白と七人の歌姫   作:火の車

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母性

 賑わってる廊下をぶらぶら歩き

 

 3年の教室のある場所まで来た

 

 多分、湊はこの辺にいるはずだ

 

 気配もこの近くに感じるし

 

リサ「__あっ。」

燈「ん?」

 

 ある教室の前に来るとギャルが出て来た

 

 こいつ、どっかで見たことあるような......

 

燈(やべぇ、思い出せねぇ。)

リサ「えーっと、佐渡燈、だよね?」

燈「そうだが......お前は?」

リサ「あたしは友希那の幼馴染の今井リサ。一応、1回会ったことあるんだけどね。あの時は酷いこと言っちゃったけど。」

燈「......あっ。」

 

 そうだ、思い出した

 

 湊を家に送った時にキレて来たギャルだ

 

 そー言えばこんな顔だった

 

リサ「えっと、なんでここに?」

燈「湊が何してるか見に来た。」

リサ「あっ、そうなんだ。なら、入って。この中に友希那いるからさ。」

燈「お、そうか。なら、邪魔するわ。」

 

 俺はそう言ってギャルが出てきた教室に入った

 

 さて、湊は何やってるんだか

__________________

 

 “リサ”

 

燈「__おーい、湊ー。」

友希那「佐渡君!?なんでここに!?」

燈「仕事ないから色々見て回ってる。」

友希那「そうなのね!思う存分見て行っていいわよ!」

 

リサ「......」

 

 あたしの幼馴染は変わった

 

 原因は、伝説の不良と呼ばれる、佐渡燈

 

 今も友希那は恋する乙女......いや、メスの顔をしてる

 

燈「お前らはなにするんだ?」

友希那「私達は猫カフェよ!」

燈「猫カフェ?って、猫がいるあれか?」

友希那「いいえ、残念ながら本物の猫は連れてこれないから、私達が猫のコスプレをするわ。」

燈「なんか、彩と咲の動物カフェに似てるな。」

友希那「丸山さん達も?なら、負けられないわね。」

 

リサ(友希那......)

 

 最近、現実を見るのが怖くなってた

 

 だって、そうじゃない?

 

 幼馴染が男子の写真を部屋中に貼って、夜な夜なその写真を見てハァハァ言って、その上自分で編集した彼の音声をヒーリングミュージックばりに聞いてるんだよ?

 

 こんな現実、受け入れたくないよ

 

 けど、今、目の前の光景を見たらわかる

 

 友希那の佐渡燈への気持ちは本物だ

 

リサ(でも、どーするのこれ?)

 

 幼馴染として応援するべきなんだとは思う

 

 けど、今の友希那はド変態

 

 あの友希那と付き合ったりしたらと思うと、彼がかなり心配になる

 

友希那「佐渡君♡猫の衣装を着てみたわよ♡」

燈「可愛いな。」

友希那「そう?///嬉しいわ///」

リサ(こういう所だけ見たら普通に青春なんだけどなぁ......はぁ。)

 

 あの変態趣味さえなければ......

 

 あれ1つがほんとーに致命的なんだよ

 

 なんで壁どころか天井にも貼ってんの......!

 

燈「......おい、湊。お前の幼馴染、何してるんだ?」

友希那「声にならない声で叫んでるわね?」

燈「変な奴なんだな?」

リサ「2人ほどじゃないからね!?」

燈、友希那(あ、ツッコんできた。)

 

 俺が変な奴なのは認めよう

 

 てか、俺の周りって変な奴多いよな

 

 まともなの和奏と市ヶ谷しかいないし

 

リサ「......てかさ、2人ってどういう関係なの?」

燈「なんだ急に。」

リサ「いやー、仲良さそうだからー。」

燈「俺と湊は友達だ。」

リサ「あ、うん。」

 

 あー、この子は気付いてない感じか

 

 いや、雰囲気的になんとなく子供っぽい

 

 何と言うか、小さい子供と話してるみたいな

 

 恋とか、そう言うの知らなそうな感じがする

 

友希那「いきなり何を聞いているの?」

リサ「気になっちゃって。」

燈「?(何がだ?)」

リサ「いやぁ、仲よさそうだし。」

 

 この子がこういう性格だと、難しい

 

 だって、この子どう見ても純粋じゃん!?

 

 そんな子をあのド変態友希那とくっ付けたら大変だよ!

 

リサ(どうしようっ!!!)

燈「おい、ギャル。」

リサ「な、なに__って、ギャルって呼び方やめて。」

友希那「無理よ。彼は人の名前を覚えるのが苦手なの。」

リサ(この子、ほんとに高校生......?)

 

 多分、第一印象を呼び方にしてるんだろうなぁ

 

 別にバリバリにギャルなつもりはないけど

 

 まぁ、いいや

 

リサ「それで、どうしたの?」

燈「お前の手、甘い匂いがする。なんか作ったのか?」

リサ「なんで分かったの!?」

 

 犬!?

 

 鼻良すぎでしょ

 

 さっき、ちゃんと手洗ったのに

 

燈「何作ったんだ?」

リサ「えーっと、メニュー用に作ったケーキだけど。」

燈「ケーキ。美味そう。」

リサ「......っ!」

 

 佐渡君はそう呟いて、物欲しそうにあたしの方を見てる

 

 その目は信じられないくらい輝いてて

 

 後ろにはブンブン振られてる尻尾が見える

 

リサ「......食べる?」

燈「いいのか!」

リサ「い、いいよ。(ぼ、母性が......!)」

 

 あたしはそう言って、作ったケーキを取りに行く

 

 ヤバい、あの子、すっごい母性を刺激して来る

 

 子供いたらあんな感じなんだろうなぁ

 

リサ(どうしよ、可愛い。)

 

 あの子を不良とか言ったの誰?

 

 いや、あたしなんだけどさ

 

 全然、そんなことないじゃん

 

リサ「はーい、お待たせー。」

 

 切り分けたケーキをさらに盛り付けて

 

 それを佐渡君の前に置いた

 

燈「すげぇ、これ、お前が作ったのか?」

リサ「まぁね。」

燈「天才か。」

リサ「まっ、食べてみて。」

燈「あぁ。イタダキマス。」

 

 あ、ちゃんとそれ言うんだ

 

 意外といい子?

 

 うわぁ、褒めたい衝動が......!

 

燈「__うめぇ!」

友希那「流石リサね。佐渡君がすごく喜んでるわ。」

リサ「あはは、良かったよ!(か、可愛い。)」

 

 こ、子供だ

 

 無意識で母性本能刺激して来る

 

燈「お前、すごいな。店のと全然変わらねぇ。」

リサ「そんなに?」

燈「あぁ。」

リサ「そっか。ありがとねー。」

 

 褒めながら、ケーキを食べ進めていく

 

 食べるの早いな

 

 そんなに慌てて食べてる感じでもないのに

 

燈「__ゴチソウサマデシタ。」

リサ「はいはい、お粗末様。」

燈「美味かった。」

 

 佐渡君は満足そうに笑ってる

 

 あんまり大食いじゃないんだ

 

燈「今日はすごい食ってるな。」

友希那「そうなの?」

燈「蘭の所でからあげ食ってきた。」

 

 もうそんなに食べてたんだ

 

 そりゃ、ケーキもそんなに食べれないね

 

 まぁ、良いデザートって所か

 

燈「じゃあ、ケーキも食ったし、そろそろ行くわ。」

友希那「そう?もう少しいてもいいのに......」

燈「他の奴らは色々準備してるし、文化祭の時に来るし。」

 

 あ、来るんだ

 

 なら、美味しい物作ってあげよ

 

燈「じゃあ、またなー。」

友希那「えぇ、また会いましょう。」

リサ「またね!」

燈「おう。」

リサ「!?」

 

 佐渡君が軽く手を振った瞬間

 

 少し風が起こって、消えていった

 

友希那「相変わらず速いわね。」

リサ「え、見えてるの?」

友希那「何度も見てるもの。何となく見えるわ。」

リサ「えぇ......?(困惑)」

 

 あたしには全く見えなかったんだけど

 

 あんな速さで動く人間居るんだ

 

 ......いや、おかしいでしょ

 

友希那「それで、どうだったかしら?前に不良と言ってた佐渡君は。」

リサ「何と言うか、可愛かった。」

友希那「気持ちは分かるわ。けれど、佐渡君を狙うなら......」

リサ「いや、それはないから。」

 

 少し怒った雰囲気の友希那にそう弁明する

 

 確かに、佐渡君は可愛かった

 

 けど、それは子供に思うそれで

 

 恋愛感情とかは一切湧かなかった

 

リサ「何と言うか、子供に欲しい。」

友希那「そ、そう。」

 

 いやーなんでだろ?

 

 顔とかスタイルはかっこいいはずなのに

 

 何故か異性とかそう言う目で見れない

 

 本当に幼稚くらいの可愛い盛りの子供見てるみたいな

 

 そんな感じがした

 

リサ(いやー、不思議な子だったなー。)

友希那(私がヤバいのは自覚してるけれど、リサはリサでヤバいわね。)

 

 あたしはそんな事を思いながら準備に戻った

 

 さぁ、文化祭本番までもう少しだし

 

 気合入れて、がんばろー!

__________________

 

 “空港”

 

 午後3時00分

 

 多くの乗客の中に異彩を放る集団がいた

 

 黒のスーツを身に纏ったガタイの良い数人の男性

 

 そして、その真ん中を悠然と歩く女性

 

?「ここが、日本。」

 

 その女性は綺麗な長い金色の髪にアクアマリンの様な碧眼を持ち

 

 立ち姿には若い見た目に似合わない貫禄がある

 

 そして、外見に似合わず流暢な日本語を話している

 

慎吾「__日本へようこそ。お母様。」

オリビア「お久しぶりでございます。アイラ様。」

アイラ「慎吾、オリビア。お迎えありがとう。息災でしたか?」

慎吾「えぇ、お陰様で。」

オリビア「お陰様で息災に暮らしております。」

 

 その女性、アイラは慎吾たちと挨拶を交わし

 

 それが終わると、一気に真剣な表情になった

 

アイラ「この国にいるのね。あの子が。」

慎吾「そんなに気になるのかい?」

アイラ「もちろん。結果的に、私が不幸にしてしまった子供だもの。」

 

 アイラはそう言ってゆっくりと歩きだし

 

 それに続き慎吾とオリビアも歩き出した

 

アイラ(少しだけ、遅くなりましたね。責任を果たしに来ましたよ、燈。)

 

 アイラは心の中でそう呟いて

 

 懐からある1枚の写真を取り出した

 

 その写真には燈の姿が写っており

 

 それを眺めるアイラの表情はどこか愛おしげだった

 

 

 

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