あれから、学校で後ろ指を刺されることは無くなった
今はむしろ、平和すぎてあくびが出るくらいだ
だが一つ、重大な問題がある
クラス男子「__おはようございます!兄貴!」
燈「......」
こいつらだ
毎日飽きもせずに兄貴と呼んでくる
こうなった原因は......
A男「本日もお勤めご苦労様です!」
燈「......飽きないな、お前。」
こいつだ
名前は確か......名前......
燈「お前の名前、なんだっけ。」
晃「多田晃っす!」
燈「あー、そうだった。」
こいつからクラスに伝染して
今の状態になったんだ
このクラスの男子全員が俺の舎弟と言う事になってるらしい
勘弁してほしい
俺はそんなこと思いながら自分の席に行った
燈「......?」
晃「あ、椅子、温めておきました!」
燈「お前は何をしてるんだ。」
俺の椅子には何かのクッションが置かれていた
しかも、妙に暖かい
どこで買ってきたんだよこれ
香澄「__わぁ、すごいね!」
燈「......戸山か。」
香澄「そのクッションいいね!欲しいな!」
燈「欲しいならやる。」
いや、むしろもらってくれ
俺は柔らかすぎるの嫌いなんだ
有咲「おー、今日も貢がれてるなー。」
燈「おい、生徒会でこれやめさせろ。」
有咲「無理だな。」
燈「......チッ。」
香澄「まぁまぁ!そんなに怒らないで!」
燈「怒ってねぇよ。疲れてるんだよ。」
こちとら今まで一人気楽にやって来たのに
急にこんなことになったら疲れるんだよ
ほんとに、なんでこうなった
燈「はぁ......」
有咲(マジで疲れてるな。)
香澄「皆と仲良しになったね!」
燈「お前マジで眼科いけ。」
俺はため息交じりにそう言った
そして、顔を伏せた
燈(あー、マジでだりぃ......)
俺はそう思いながら
ゆっくり意識を落としていった
__________________
昼休みになった
俺は教室の居心地が悪すぎて、
結局、屋上でサボってた
燈(__なんだかなー。)
今まで貶されてばっかで、
人からなんて言うんだ、褒められる?
そう言うのに全くなれない
暴力で溢れた世界に慣れ過ぎてるのか
やっぱりこの世界の感じになれない
燈(あの雲......ハンバーガーみたいだ。)
こころ「__あら!やっぱりここにいたのね!」
燈「......」
何か視界の端に見えたぞ
俺は大きなため息をついた
燈(無視しよ。)
こころ「?」
金髪は俺の顔を覗き込んできてる
俺は目を閉じて無視を決め込んだ
すっごい気配を感じる
こころ「寝てるの?」
燈「......」
こいつまじでどんな距離感でいるんだよ
文字通り目と鼻の先に気配感じるぞ
こころ「燈ー?」
燈「いや、馴れ馴れしいな。」
こころ「あら?起きてたのね!」
燈「......!」
やべぇ、ついツッコんじまった
まさか、俺に反応させるための演技だったのか!(違います)
こいつ、意外と頭いいな
燈「......何の用だ。」
こころ「燈は最近、とーっても噂になってるわね!」
燈「......そうか。」
こころ「それで、気になったから会いに来たの!」
燈「そうか。帰れ。」
俺は突き放すようにそう言った
嫌いなんだよ、金持ってる人類
無駄な幸福をむしゃぶりつくしてて
その下にいる人間の事なんて考えやしねぇ
こころ「どうしてそんなに怒っているの?」
燈「知らん。帰れ。」
こころ「どうして?」
こいつ、マジで鬱陶しい
自分が迷惑をかけてるなんて思ってないんだろうな
おめでたいやつだ
俺は少しため息をついて立ち上がった
こころ「どこに行くの?」
燈「お前に何言っても無駄そうだし、俺がどっか行く。」
こころ「なんであたしを避けるの?」
燈「......嫌いなんだよ。お前みたいな金持ち。」
こころ「?」
金髪は首を貸しげてる
ほんとに、こう言う奴が......
燈「......お前。」
こころ「?」
燈「自分の行動の下にいる犠牲者の数を考えたことあるか?」
こころ「え?」
燈「......」
まぁ、ないだろうな
能天気に生きてそうだし
今までのやり取り考えて、
かなり好き勝手してるんだろう
燈「別にどうでもいいが、覚えとけ。お前みたいな奴の下には何体もの屍があるって事をな。」
こころ「......?」
俺はそう言って、
屋上から出て行った
__________________
放課後になった
まぁ、一日中寝てただけだが
俺はいつも通り家に向かって歩いてる
燈「__ん?」
帰り道の公園の草むらで、
違和感のあるものを見つけた
俺はそれに歩み寄った
燈「......猫?」
猫「にゃー。」
俺が見つけたのは猫だ
動きがかなり鈍い
あと、この腹の感じ......
燈「......子供いんのか。」
こいつ、首輪が付いてる
元は飼い猫だったのか
でも、ここにいてこの状態って事は
捨てられた後の野良猫との子供だろう
燈「......お前、可哀想だな。」
猫「にゃー......」
燈「俺の家来るか?別にペット大丈夫らしいし。」
俺はそう言いながら猫を抱き上げた
人になれてるのかかなり大人しい
燈「さてと、行くか。」
?「__あなた、何をしてるの?」
燈「!」
俺がその場を立ち去ろうとすると
後ろから女が話しかけて来た
銀髪の女で手には猫の餌を持ってる
燈「持って帰るんだよ。こんな状態の猫、野放しに出来ねぇし。」
?「......そう。」
燈「?」
銀髪は妙に寂しそうな声を出した
こいつ、まさか
燈「こいつの面倒、見てたのか?」
?「えぇ、そうよ。」
燈「そうか。」
?「?」
燈「お前、良いやつだな。」
俺はそう言って、
家の方向に少し歩いた
燈「悪いが、こいつは俺が引き取るぞ。」
?「あなた、名前は?」
燈「ん?」
銀髪女はそう尋ねて来た
俺は少し間を開け、口を開いた
燈「佐渡燈だ。」
?「そう。」
銀髪はそっけなく返事をすると、
俺の上の中にいる猫に手を振った
?「バイバイ......」
燈「お前。」
?「?」
燈「名前。」
俺は銀髪にそう聞いた
銀髪はすぐに答えた
友希那「湊友希那よ?」
燈「そうか。」
俺はそれだけ聞くと、
湊に背を向けた
そして、口を開いた
燈「この先のアパート。」
友希那「え?」
燈「こいつ、お前に気を許してるみたいだし、偶に様子見に来てやれ。」
友希那「えぇ、分かったわ(?)」
燈「じゃあな。」
俺はそう言って
自分の家に向けて歩き始めた
__________________
しばらく歩き
もうすぐ家に着く
燈「__あっ。」
こいつの名前、考えてなかった
湊も名前を考えてる様子は無かったし
飼うなら付けた方がいいな
燈「ふーむ......」
猫の名前か......
なんかいいのねぇかな
燈「......ココ。」
猫「にゃー?」
燈「お前の名前、ココでどうだ?」
猫「にゃー!」
燈「はは、気に入ったか。」
俺は腕の中にいるココを撫でた
そして、こう言った
燈「じゃあ、帰るか。新しいお前の家に。」
ココ「にゃー!」
俺はゆっくり、揺れないように歩き
アパートに入って行った
佐渡燈
嫌いなもの:人類(金持ち)