写真撮ってから、俺たちはなんかデカい部屋に移動した
なんか丸っこい机に白い布かぶせたのがたくさんある
俺はどこ行けばいいんだ?
レイ「佐渡君はこっちだよ。」
燈「お前らは?」
レイ「私たちは親族じゃないから。アイラさんもいるからね?」
燈「分かった。」
香澄、蘭、彩、友希那、こころ、ましろ(母親だぁ......)
俺は軽く頷いて、和奏に言われた席に座った
まぁ、何とかなるだろ
アイラ「結婚式はどうですか?燈。」
燈「よくわかんねぇ。けど、あいつらが幸せそうなのは分かる。」
アイラ「それさえ分かっていればいいんですよ。」
燈「そうか?」
まぁ、あいつらの結婚式であいつらの幸せ以外考えることないか
よくは分かってないが、そうなんだろ
燈「お前はどうなんだよ?息子の結婚なわけだが。」
アイラ「感動してますよ。お腹を痛めて産んだ子ですから。もう、妻が出来てしまうのかとも思いましたね。」
燈「ふーん。そーゆーもんなのか。」
アイラ「はい。そういうものです。」
人の親になったことない奴にはわかんねぇことだな
多分、俺とは全然違うんだろうな
よくわからんが
『__新郎新婦が入場します。皆様、大きな拍手でお迎えください。』
そんな女の声が聞こえたのと同時に、一番デカいドアが開いた
そこから、さっきと違う服を着た一ノ瀬とオリビアが入ってくる
こっちの服もいい感じだな
慎吾「燈、いい子にしてたかい?」
燈「あ?当たり前だろ。和奏がついてたんだぞ。」
慎吾「うん、ちゃんと自分で判断できるようになろうね。」
わざわざこっちに来て、そんなことを言ってきた
んなこと確認しにくんなよ
さっさと席にいけ
慎吾「これから料理が出てくるから、たくさん食べるんだよ。」
そう言って、一ノ瀬とオリビアは席に着いた
そして、さっきの女が色々と喋った
かいえんの言葉?らしい
そこから、何人かおっさんが呼ばれて、喋りだした
アイラ「__燈。そろそろ出番ですよ。」
燈「もうか!?」
アイラ「聞いてなかったんですか?」
燈「聞いてねぇよ。」
アイラ「全くあの子は......」
もうちょっと後だと思ってた
まぁ、別にいいんだけどな
そんな難しいこと喋るわけでもねぇし
俺が思ってることだけだし
アイラ「頑張ってください、燈。」
燈「分かってる。」
『次は、佐渡燈さんのスピーチです。』
燈「お、呼ばれたか。」
なんかいろんなおっさんが喋ってた気がするが、聞いてなかった
まっ、取り合えず行くかー
燈「っと、ここでいいのか?」
俺は言われた場所に立った
すごいよく見えるな
そんなことを思いながら、俺はマイクに近づいた
燈『俺からは、あいつら......一ノ瀬とオリビアに感謝を伝える。』
“レイ”
佐渡君が話し始めた
なんか、自分のこと以上に緊張する
これが子を持つ親の気持ちなのかな?
燈『俺は、イギリスで一ノ瀬に拾われてから、ずっと世話になってた。毎日うまい物食わせてもらって、あったかい風呂に入って、いい布団で寝させてもらってた。』
『__!』
招待客がざわつく
多分、「拾われた」のところに反応してるのかな
あんまり人間に使われる表現じゃないし
燈『一ノ瀬がいなきゃ、俺は今頃、どっかの国で野垂れ死んでたと思うし、今みたいになってなかった。だから感謝してる。』
レイ(うん。ちゃんと喋れてるね。)
燈『......っていうのが、今までの俺が思ってたことで。本題はここからだ。』
レイ「!」
佐渡君はそう言って、2人の方を向いた
ここからが本番なんだね
燈『まず、俺の親は両方死んでる。』
『__!!』
さっきよりも大きいざわつき
それはそうだ
佐渡君を見てたら、そんな風に見えないもん
燈『だからこそ、俺は知ってる。家族の大切さとか、いることが普通じゃないとか。』
慎吾、オリビア「......!」
燈『家を出るとき、行ってくるって言うのも、帰って来た時、ただいまって言えて、美味しいご飯があるのも、当たり前じゃない。思った以上に特別で、宝なんだ。』
普段、なにも考えてないように見えても、実際はそうじゃない
誰よりも家族の大切さを噛み締めてたんだ
失ってきたからこそ......
それが、この言葉からよくわかる
燈『俺は父親のことをよくは知らねぇ。けど、俺に名前をくれて、世話焼いてくれるような奴なんて一ノ瀬以外にいなかった。だから、父親って、ちゃんと思ってる。たった1人の。』
慎吾「燈......」
一ノ瀬さんが感極まってるのが分かる
嬉しいの、すごくわかる
ちゃんと父親って認められてるってわかったんだもん
燈『俺は父親はよく知らなかったけど、母さんはいた。母さんは俺のことを一番に考えてくれて、毎日一緒に寝て、子守歌歌ってくれて、具も入ってないスープも、一緒ならすごい美味しく感じた記憶がある。』
レイ「......」
燈『母さんのことはよく知ってるから分かる。オリビアは母さんとは違う。』
オリビア「......っ!」
オリビアさんがショックを受けたのが分かった
けど、多分、違う
佐渡君の言いたいことはこれじゃない
燈『でも、オリビアはいつも美味しいご飯を作ってくれる。俺の話を聞いてくれる。表情変わらないから分かりずらいけど、夜に俺の部屋に来て、頭撫でて、笑ってたのもしってる。』
オリビア(き、気づいてたんですか......!_)
燈『オリビアは俺の中の母さんとは違う。けど、母の愛ってやつは、なんとなくだけど、同じくらい感じてる。」
オリビア「!」
レイ(......!)
佐渡君にとって、お母さんがどれだけ大切かは知ってる
だからこそ、その意味がより理解できる
母って認められるのが、どんなにすごいことなのか
燈『俺は、母さんとの思い出も、オリビアとの日常も、どっちも大事だ。だから、第二の母さんって思ってる。今まで言ったことなかったけど。」
佐渡君は軽く頭をかいた
照れてるのがよくわかる
そういうとこ、かわいいよね
まぁ、あの2人はそれどころじゃないみたいだけど
慎吾「燈......!」
オリビア「燈さん......」
燈『......俺が今、こうやって幸せに生きてるのは、お前らのお陰だ。ほんとに感謝してるし、俺も大事だって思ってる。』
レイ「......っ。」
やばい、泣きそう
今までのあの子を見て来たからかな
ちゃんと幸せって口に出してくれてて嬉しい
それがちゃんと、本人の雰囲気から分かるのが嬉しい
燈「これからも、よろしくな。父さん、母さん。」
慎吾「燈!」
オリビア「燈さん!」
燈「うわ!」
スピーチが終わった瞬間、2人はすごい速さで佐渡君に駆け寄り、抱き着いた
そして、2人とも思い思いのスキンシップをしてる
慎吾「こちらこそだよ!燈はずっと、僕たちの家族だ!」
オリビア「母としてまだまだ未熟ですが、もっと、燈さんを幸せにして見せます......!」
燈「分かった!分かったから一回席戻れ!司会が困ってるだろ!」
佐渡君がまともなこと言ってる
まぁ、2人の気持ちは分かるけどね
私も同じ立場だったらそうするし
レイ(ていうか、他の6人が妙に静か......)
香澄「燈君......っ」
蘭「燈はもっと、幸せになっていいんだよ......っ!」
彩「ほん、どうに、よがっだねぇ......!」
友希那「なんて、素晴らしい家族愛なのかしら......」
こころ「あたしじゃ、あの笑顔は作れないわね......今はまだ。」
ましろ「辛い過去を乗り越えてくれて、本当に良かった.......っ!」
他の6人は静かに涙を流していた
普段は奇行が目立つけど、佐渡君の過去を知って、愛した人たちなんだ
今の佐渡君を見て、嬉しくないわけないか
レイ(まだ、あの空間には入れそうにないかな。)
私は3人の方を見て、ふと笑った
本当に、美しい家族だと感じる
見た目が、とかじゃなくて、雰囲気が
お互いに愛し合って、幸せが循環してる
周りの招待客も、最初こそ戸惑ってた
けど、あの幸せそうな家族を見て、その目は暖かいものに変わっていた