あれから、俺はあの2人に撫でまわされた
嬉しそうな感じだったからいいんだが
いろいろ喋ってる女が困ってたから、なんとか席に戻した
それで、なんか色々あったが、順調に進んでいって
今は飯の時間だ
アイラ「どうですか?燈。」
燈「うめぇ。」
アイラ「そうですか。もっとお食べなさい。」
周りの人(子供用メニューなのか。)
ここの飯は上手い
エビフライでかいし、肉も柔らかいし、野菜も美味い
あいつらが美味いって言ったのも納得だ
友希那「可愛い!可愛いわよ、燈......!」
こころ「シャッターが止まらないわ!」
彩「これは永久保存しないと......!」
香澄「燈君よく食べるねー♪将来、食費が大変だよー♡」
蘭「あたしが稼げば、燈が喜ぶ。燈が喜べば、あたしはいくらでも働ける。これって、永久機関?」
ましろ(チーン)
レイ「倉田さんが死んでる。」
燈「お前らは食わねぇのか?」
こいつら、ずっとなんかしてるな
写真撮ったり、一人で喋ったり、死んだり?
もう食い終わったのか?
レイ「私はもう食べ終わったよ。」
燈「そうなのか?」
レイ「うん。」
和奏はそう言って、俺の隣に座った
もう、動いていいのか
他の奴らも結構動いてるし
レイ「よかったよ、スピーチ。佐渡君の気持ち、伝わってきた。」
燈「そうか?まぁ、あいつらの反応見るにそうなんだろうが。」
レイ「嬉しそうだったよ。2人も、佐渡君も。」
燈「まぁな。」
あの2人は、大事な家族だと思ってる
これから先も一緒にいるし、離れることも早々ないだろう
そう思えるのも、ちゃんと家族として好きだからだろ
燈「結婚って、まだよくわかんね。」
レイ「その心は?」
燈「あいつらが幸せなのは見ればわかるが、なんでそうなのか分からん。好き同士が家族になるって、どういう感じなんだろうなって。」
アイラ「燈は結婚に興味があるのですね。」
燈「そうは言ってないが。」
好きな女がいて、そいつと結婚する
それは俺にとって、遥か遠くにあるものな気がする
燈「和奏、結婚したいって、どういう感じなんだ?」
レイ「うーん、そうだなぁ。その人とずっと一緒にいたいとか、好きって感じじゃないかな。」
燈「そうか。」
多分、和奏の言う好きは、俺が考えてるのとは違う
もっと、違う意味がある
それが分からない、だが、分かることもある
燈「でも、結婚ってのはそんなに簡単じゃねぇ。」
レイ「え?」
燈「家族が出来るってことは、一緒に暮らすってことで。そのために、ちゃんと頑張らないといけねぇ。それに、子どもとかいたら、なおさら。」
レイ(意外にちゃんと考えてるんだ。)
あいつでも、プレッシャーを感じてた
あいつは金稼いでるし、性格もまぁいい
それでもああなるんだ
俺が思ってる以上に、難しいんだろうな
レイ「今は分からないかもだけど。それでも一緒にいたいって思えるから、結婚するんだよ。」
燈「そう__」
こころ「そうよ!」
燈、レイ、アイラ「!?」
横から、こころのデカい声がした
気配感じなかったぞ
どうやって近づいたんだよ
こころ「どんなに苦労しても、愛してるから一緒にいたい!そう思うのは不思議なことじゃないわ!」
香澄「そうだよ!好きな人となら、どんな困難でも乗り越えられる!」
蘭「それに、今は男だけが働く時代でもないし。」
彩「一緒に歩いていくんだよ!」
友希那「きっと、佐渡君にも分かる時が来るわ。そして、その時には、愛を教えてくれる人がいる。」
ましろ「そうですよ!ていうか、燈さんと結婚したい女の人なんていっぱいいるんですから!」
燈「そ、そうか(?)」
すごい勢いだな
流石の俺でも怯んじまった
こいつら、実はすごい強いんじゃね?
燈「でも、俺は、それくらい好きな奴のためなら、死ぬ気で頑張ると思う。そうしないといけない気がする。だから......」
ボーカル達「?」
燈「そう言う奴が出来た時の為に、俺が生きる道でもあるし、やってみたいことでもあるってこと、したい。」
レイ「!(佐渡君の、やりたいこと?初めて聞いたかも。)」
多分、俺の知能はよくて中学生くらいだ
ここから先、どう頑張っても、普通の奴より出来が悪いと思う
そうなると、俺に出来ることは......そんなに多くない
慎吾「あっかりー!何してるんだい?」
燈「なんだ、動いていいのか?」
慎吾「まぁ、大丈夫でしょ!」
オリビア「私なら、どんな服装でも動けますし。」
燈「そうか。」
なんか、すごい都合よく集まったな
ちょうどいいし、こいつらにも言っとくか
どっちみち、色々教えてもらわなきゃいけねぇし
燈「俺、やってみたいことがあるんだ。」
慎吾「え!?何々!?何でも言ってよ!」
俺は今まで、色んな奴に支えられてきた
迷子になるし、物壊すし、喧嘩もした
だからって訳じゃないが、俺は、支えてくれる奴らを喜ばせたい
出来れば、自慢できるような男になりたい
だから、俺は......
燈「俺は__」
きっと、甘くない
でも、関係ない、やる
子どもな俺の、それらしい野望
俺はそれを口にした
__________________
“数年後”
『Wooooooo!』
長い廊下の先から、すごい声が聞こえる
その先にある熱や振動が、ここにいてもよくわかる
この世界に来て何年か経つが、良い雰囲気だ
慎吾「__燈、前の試合、終わったよ。」
燈「......あぁ。」
俺は、ノソっと立ち上がる
心臓が下から軽く押されてるような感覚
これは緊張なのか、ワクワクなのか、未だに分かんねぇ
けど、関係ない
慎吾「最後の確認だけど、相手も恐らく、燈と同じだよ。今までの相手とは違うと思う。」
燈「そうか。」
慎吾「まっ、関係ないか!」
こいつは今も変わらない
あの日から、ずっと、俺に協力してくれてる
子どもも生まれて大変なのにな
慎吾「今日はオリビアも、皆も来てる!いいとこ見せに行こう!」
燈「あぁ、そうだな。」
そうか、あいつら来てるのか
あいつらも、あの日から、ずっと友達でいてくれた
俺の子供じみた野望を、ずっと応援してくれてた
それに、少しは答えられる人間になれたのか
その答えは、今日出る
慎吾「行こう!新たな王様になりに!」
燈「あぁ。」
軽く頷いて、歩き出す
声が、段々と大きくなっていく
そして__
『世界ミドル級タイトルマッチ!そのリングに歩みを進めるのは、“キング”シンゴ・イチノセの息子にして、その後継者!史上最短タイ3試合で世界戦に辿り着いた、最強の挑戦者!今夜、その牙は、世界をも粉砕するのかー!世界ミドル級ランキング1位!アカリ・サドー!』
『Fooooooo!』
なんか、すごい気合の入り方だな
まぁ、いいか
紹介とかなんでも
燈「熱いな。」
慎吾「お気に召したかい?」
燈「あぁ、良い。」
ここが、今いる世界の頂点の舞台
急いだ甲斐があった
香澄「燈君―!」
蘭「がんばれ!燈!」
彩「こ、こんなところで試合しちゃうんだ!すごい!」
友希那「始まってもないのに、涙が......」
こころ「勝って!燈!」
ましろ「頑張ってくださいー!」
レイ「がんばれ、応援してるよ。(やっぱり、すごいな。ここまで、こんなに早く来ちゃうなんて。)」
咲「がんばれ。(相手、結構強い。)」
オリビア「怪我はしないでくださいね。」
お、あいつら来てる
席もちゃんとリングの近くだな
そこなら、俺の成長した姿、ちゃんと見せられるな
「__よぉ、チャレンジャー?調子はどうだ?」
国歌やらなんやらを聞いて、レフェリーの所で注意を言われた後、チャンピオンが話しかけてきた
こいつ、多分アメリカ人だろう、それっぽい英語だ
てか、すごいニヤケてる
こっちを舐めてるのがよくわかるな
燈「いつも通りだが。」
「いつも通りでいいのか?」
燈「どういう意味だ?」
「俺は今までとは違うぜ?」
なるほど、こいつ、自信があるんだな
俺と同じ種類だからか?
でも.....
燈「問題ない。勝つさ。」
「ハハッ、おもしろい。」
チャンピオンは笑いながらコーナーに戻った
確実にこっちを舐めてるな
面白い
慎吾「今回はいけそうかい?」
燈「あぁ、いける。」
慎吾「なら、心配ないね。行っておいで。」
燈「ん。」
マウスピースを付けて、コーナーに立つ
この瞬間はいつも静かになる
客も緊張するもんなのか?
燈(さて__)
(カーン!)
燈(行くか。)
俺は軽く飛び跳ね、目の前の相手に視線を映した
さて、どんなもんか
今の世界のトップってやつは
“別視点”
ゴングが鳴って数秒は両者とも動かなかった
チャンピオンはリングの真ん中を陣取り、迎撃態勢を整えて、待ち受けている
(さぁ、来い。)
燈「いいのか?そんなにスペース空けて。」
「っ!?」
その瞬間、燈の姿はチャンピオンの視界から消えた
チャンピオンはガードを固め、目を動かす
だが、いない
まるでリング上から消えたかのように、足音も何も聞こえない
これは、チャンピオンにとって、初めての経験だった
燈「空いてるぞ、ここ。」
「!?__うぐっ!!」
声がした瞬間に、恐ろしい威力のパンチが飛んできた
それは悠々と固めたガードを破壊し
チャンピオンにダメージを与えた
「!?!?(ど、どこから!?)」
チャンピオンは戸惑った
消える姿に、キャリアで初めてもらうダメージ
どれこれも、初めての経験だったからだ
だが......
(ダメージは大したことはない。早い動きも、俺の特性を生かせば......!」
燈(ほう。これは、サイか。)
鎧のような筋肉が隆起し、さらに防御力が高まった
チャンピオンの超越者としての能力である
まるで体毛を変化させるように、筋肉を変化させる
その防御はまさに鉄壁、突破不可能
ただし......
燈「良いもの持ってるな。」
「っ!(ゾクッ)」
ただし、それは普通の相手ならである
チャンピオンは目の前のチャレンジャーの放つ気配を察知し、気付いてしまった
目の前にいるのは、自分と同じであって同じではない
最強の獣であると
燈「さぁ.....」
「ひっ。」
燈「本気でぶつかろうぜ。」
「う、うおおおおお!!!」
チャンピオンは勇敢だった
目の前にいるのは明らかに異次元の存在
太刀打ちできるかもわからない
だが、その決断が間違っていると気づくのは、ほんの一瞬あとのことだった
「ぐっふぅぅぅううう!!!」
燈「......」
観客「!?」
チャンピオンの勇敢な突撃は、その鮮血が舞い散る結果に終わった
まるで時空が歪んだように、チャンピオンの顔面は四方八方に弾け飛び
力ない人形のように、その場で崩れ去った
レフェリー「す、ストップ!コーナーに......!?」
レフェリーがストップをかけ、チャンピオンの顔を覗き込む
そして、ハッとした表情を浮かべ
その数秒後、両腕を振った
(カンカンカーン!)
『Wooooooo!!!』
試合終了を告げるゴングが鳴り、観衆から歓声が上がる
1R1分というあまりにも早すぎる決着
ほとんどの観衆にはそうとしか映らない
そんな、試合だった
“燈”
燈(思ったよりも、やるな。)
俺は自分の拳を見た
そこには、赤い亀裂が入って、血が流れてる
久しぶりだな、こんな傷負うの
流石に硬かったな
燈(まっ、いいや。)
『それでは、新チャンピオンにお話を伺いたいと思います!』
燈「!」
しばらくボーっとしてるとそんな声が聞こえた
もうそんな時間か
そう思って、俺はマイクを持ってる女の方に歩き出した
その時にはもう、拳の傷は塞がってた
燈(これで、世界チャンピオンか。)
思ったよりも早く達成できた
正直、一ノ瀬のネームバリューのお陰だが
これからは、俺の実力次第だろう
まだまだ、上はいるだろうし
「それではチャンピオン__」
燈「マイク、貸せ。」
「え?あ、はい。」
俺は女に言い、マイクを貰った
正直、言いたいことは山ほどある
今日のために色々考えて来たし
燈『えー、まず、今日集まってくれて感謝する。チャンピオンはいいメンタルを持ってた。俺に向かってきた相手は初めてだった。』
『おぉー!』
『いいぞー!チャンピオンー!』
燈『まぁ、それはそれとして。』
まず、何から喋るか
順番、全く考えてなかった
取り合えず、あれからいくか
燈『俺、この間、妹が生まれたんだ。名前は
『おめでとー!』
燈「ほら、オリビア、来いよ。」
オリビア「は、はい。」
オリビアは白を連れて、リングに上がってきた
そして、白を抱っこして
会場に見せるようにした
燈「ほら!どうだー!すごい光ってるだろー!」
白「キャキャ♪」
燈「そうかそうか。」
白は嬉しそうにしてる
ここまで来て泣かないのって、将来大物になりそうだな
燈「あっ、後で写真撮るから、オリビアもいてくれ。」
オリビア「はい。おめでとうございます、燈さん。」
燈「おう。」
さて、ここからが割と本番だ
正直、緊張って、今の方がデカいな
ここ数年、別にボクシングばっかやってたわけじゃない
他にも考えてたからな
燈『さーて、もうちょっと時間貰うぞ。』
俺は空気を吸い込んだ
心臓がすごい動いてるぞ、すげぇ
こんなになんの、初めてかもしれねぇ
燈『どうだ?俺は、少しは成長したか?』
俺は、ある奴に話しかけた
多分、観客の誰も分かってないし、一ノ瀬たちも分かってない
それに、本人も多分、分かってないと思う
燈『ここ数年、ボクシングやら勉強やらやってきて、やっと、高校卒業くらいの頭にはなれたと思う。』
正直、ちゃんとした努力ってああいうことだと思った
でも、あいつらがずっと、支えてくれた
勉強教えてくれたり、差し入れしてくれたり
その中で、あいつらのことも少しは知れたと思う
燈『それで、ちゃんと、あの日に言われた意味も分かった。』
ずっと一緒にいたいって、知ってなお、難しいと思った
まず、そう思える奴と出会うことが難しい
そう思えば、俺はラッキーだった
燈『それで、まぁ、なんだ。』
う、上手く言葉が出ねぇ
ここ数年で学んだが、準備って大切だ
その場のノリで行こうとすると、無理なこともある
燈『今日勝ったら、言うって決めてた。』
そう言って、俺は歩き出す
向かうのは、リングから一番近い席
他とは違って、知ってる気配がある所だ
燈『一度しか言わないからよく聞けよ。』
?「!」
俺はある奴と目が合う
そいつを見て、思い出が蘇ってくる
高校の時に出会って、結構一緒にいて、面白くて、自分の意思を貫き通す、すごい奴
そう、俺は、こいつと__
燈『俺と結婚しようぜ。そんで、一緒にいてくれ。』
?「!///」
俺はそう言って、ポンとマイクを放り投げた
もし取り損なっても、俺が間に合うし
壊しても、弁償すればいいだろ
そんなことを考えてるうちに、マイクはそいつの所に届いて
慣れたような雰囲気で、口を近づけた
?『__はい!///』
そいつは、顔を真っ赤にして、笑顔でそう言った
心が、満たされる感じがする
そうか、これが、一ノ瀬たちが感じてたものなのか
不思議なもんだ
燈「じゃあ、上がって来いよ。」
?『うん!///』
俺は、リング状にそいつを引っ張り上げて、そのまま抱き上げた
そしてまた、歓声があがる
俺の中にあった意味のない行動に意味が生まれていくような気がする
燈(そうか__)
そいつの幸せそうな顔を見て、分かった
飛び跳ねたいくらい幸せで、何よりも愛おしく感じる
放したくない、ずっと一緒にいたい
懐かしいようで、初めての感情
そうか、これが、幸せか