血界戦線〜GlaciesEdge〜   作:蒼穹の命

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氷血刃とライブラと

 世界の終わりが始まるのはいつも唐突である。特にこの街ではなおのこと。

 特に問題なく買い出しが終わり、冷蔵庫を整理し終わって軽く一休みした後、私服からライブラ用の仕事着Yシャツと黒スーツを棚から引っ張り出して着替えている途中、着替える前にポケットから出してテーブルに置いてたスマホから着信音が鳴っていた。

 

「チェインからだ。なんかあったのか? はいもしもし、こちら『夕夜! 堕落王が動いた! 警戒態せ……』おいチェイン! 何があった!?」

 

 異界屈指のはた迷惑の魔人が今度は何をやらかしたのか聞こうとしたが、電話越しから大きな斬撃音が響いたのを最後に通話が途切れた。

 

「チッ! あのクソ堕落野郎今度は何したんだよ!!」

 

 事の発端に悪態をつきながら夕夜はすぐさま着替えを終わらせて(面倒だったので上に着る黒スーツは腰に巻いた)すぐさま家から飛び出した。それと同時に再びスマホから着信音が鳴り響いたのですぐさまポケットから取り出して電話に出た。

 

「チェインか! さっき馬鹿でかい斬撃音が聞こえたけど大丈夫なのか!?」

「なんとかね。時間がないから簡単に説明するね。堕落王の術式で生かされてる二分割された邪神たちが合体して元に戻ったらこの街の結界を切りさける怪物になる。そうなる前に止めるには邪神を召喚してるゲートを見つけて破壊すること。片方はもう召喚されて街中で暴れ中だから、もう片方のゲートを破壊するしかない。今あたしとSS(シルバー̪̪シット)と新人君でそれを追ってるって所」

 

「新人ってさっき言ってたジョニーランディスか? 来て早々世界の危機に巻き込まれた上に戦闘以外はアレなカテゴリ人型の屑と組まされるとか災難にも程があるな……」

 

「いや、ジョニーランディスじゃない。でも、今回は肉眼では認識できない邪神を捉えるために彼の力……目が頼りなの」

 

 話の中に気になる単語がチラホラと混ざっていて色々と聞きたいことがあるが、今はこの事態の収束させることが最優先事項だと認識している夕夜は口から出かけた疑問を飲み込んだ。

 

 

「なら俺は暴れてる半身の方に行って足止めか?」

 

「いや、夕夜にはスターフェイズさんから指示が来てる。この混乱を機にやらかそうとしているバカどもの相手を頼みたいとのことよ。HLPDとライブラの構成員たちでそれぞれ当たってるけど、今ブリゲイドとサトウの二人が大群に遭遇して孤立状態になってかなり危険みたい。いまギルベルトさんがそっちに向かってるから合流したらすぐに二人の所まで向かって」

 

「了解!! んじゃ、またあとでな」

 

「うん、またあとでね」

 

 

 そちらの援護に行くべきなのかと聞いたが、どうやら自分には別の役目があるとのことを知って夕夜はチェインとの通話を切り、なすべきことを果たすためにこちらに向かってきてくれている人物を探そうとしたその時、自分の目前に全身に包帯巻いている老執事──ギルベルト・F・アルシュタインが運転している銀色のオープンカーが滑り込んできた。

 

 

「ギルベルトさん!!」

 

「すれ違いならずに済んで良かったです。さあ、乗ってください夕夜様。これより最速、最短距離でお二方の所までお連れ致します」

 

「すいません、お願いします!」

 

 

 夕夜はすぐさま後方座席に乗り込んだのを確認したギルベルトは、目的地までオープンカーを全速力で発進させた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 夕夜たちが向かっている大通りにて、横転しているHL特注の戦車に耐えられる強度を持つ大型自動車を盾にしながら人間と異界人の二つの種族が混ざったマフィアたちの襲撃に応戦している二人組──ブリゲイドとサトウが僅かな重火器を駆使して奮闘していた。

 

 

「おい、そっちはあと何発残ってる!?」

 

「次のマガジンで最後だ! くそっ! なんで俺たちの方ばっかり群がってきてんだよ!!」

 

「そんなこと、俺が知るか! 今は口よりも手を動かせ!! がっ!?」

 

 

 自分たちに置かれている状況に対してぼやくサトウを怒鳴りながら応戦しているブリゲイドの肩に敵の弾丸が命中し、鮮血をまき散らしながら倒れた。

 

 

「ブリゲイド!くそったれ!!このままじゃ……」

 

 

相方が撃たれたことにサトウが着を取らられてしまい、わずか二人で踏ん張っていた戦線は瓦解した。

その隙を彼らが見逃すはずもなく、一気に進軍しようとしたその時だった。

ブリゲイドとサトウのいる横転した車の横を通り越し、減速せずまっすぐに異界人マフィアたちの方へと突撃していくオープンカーが現れた。

 

 

ブラッドエッジ ドライブオン

 

 

 会敵する直前に夕夜は自身の異能の力を顕現させて戦闘態勢に入り、座席の横に取り付けられている管のような装置を引っ張りだして管の先にある蓋を開けた。そして能力発動時に出現した、右手付近に漂う大量の血が管の中へと吸い込まれるように入っていき、外へと踊り出た瞬間、

 

 

「抜血」

 

 

 続けて発せられた言霊によって巨大な血の刀が瞬時に形成された。そしてマフィアたちにぶつかる直前にギルベルトがハンドルを切ったことによりオープンカーは勢いよくスピンし、血の刀は周囲にあるモノたちを切り刻む赤き回転のこぎりと化した。

 瞬く間にマフィアたちは赤い刃の餌食となってスライスにされ、それらから飛び散る色とりどりの体液に大量の臓物と肉片が大通りを彩っていき、瞬く間に気色の悪い即席アートがその場に出来上がった。

その光景を啞然として見ている二人の元に、オープンカーから降りた夕夜が駆けつけてきた。

 

 

「間一髪、ギリギリ間に合ったってところですかね」

 

「神薙!!」

 

「来てくれたか……グッ」

 

「ブリゲイドさん!?撃たれたんですか!?」 

 

「大丈夫だ。こいつが着てるのは最近届いたばっかの最新の超攻殻コートだからな。出血こそ派手だが、見た目程酷くはねえ筈だ。ほんと運がいいぜ「よくねえよ、すげえいてえっての!!」……この通り叫ぶ元気があるから大丈夫だ。それよりもタイミング良すぎだろ……まさか狙ってたとかじゃないよな」

 

「んなわけないでしょう。何を言ってるんですかまったく。せっかく駆け付けたのに……っと。話してる場合じゃなかった。第一波はこれで終わりだと思いますが、そろそろ第二波が来るはずです。ここは俺が引き受けますので、2人はここから退避してください。ギルベルトさん、2人をお願いします」

 

「かしこまりました。夕夜様、どうかお気を付けて。さあお二人とも、こちらの方へ」

 

「すまない、助かる! いくぞ」

 

「おう! いつつ…… 死ぬんじゃないぞ神薙!!」

 

「誰にモノ言ってるんですか? こんなのはもう慣れっこですよ」

 

 

 見送った夕夜はもう間近に迫ってきている第二波を眺めながら呟く。

 

 

「まあ、少しでも油断したら簡単に死んじゃうのがこの街なんだよなぁ……とはいえ」

 

 

エスメラルダ式血凍道

絶対零度の盾(エスクードデルセロアブソルート)

 

 

「そう簡単に俺の首は取らせねえぞ」

 

 

 夕夜の靴底から零れ落ちた血が空気中に漂う水分を巻き込み、一瞬にして巨大な蒼白い強固な氷の壁が完成した。飛来してきた鉛玉の大群と、襲い掛かろうとした異界人マフィアたちは、巨大な氷壁に飲み込まれていった。そんな中、壁の一部になるのを免れた一人の人間の男が視界に入ったので、口からほけ*1を出しながら音を出さずに彼の目前へと踏み込み、即座に抜血して形成した血の刀で容赦なく頸動脈目掛けて振り下ろし、赤い生命の証をまき散らしながら男が倒れるのを尻目に視界からすぐ外し、その場で勢いよく跳躍して自ら作って壁を乗り越えながら呟いた。

 

 

「こんなところで死ねわけにいかないんでな。彼女残していくとか男としてやっちゃいけないと思うし、何よりも……あいつに譲って貰った人生(・・・・・・・・・・・・)なんでな。そんじゃあこいつで……」

 

飛んでくる弾丸を体をひねって上手くかわしながら着地した瞬間、再び靴底から数滴の血を地面に垂らす。そして、

 

 

エスメラルダ式血凍道

絶対零度の地平(アヴィオンデルセロアブソルート)

 

 

一瞬にして銃を撃っていたマフィアたちごと辺り一面を氷に覆い、蒼く冷たい世界が誕生した。

 

 

「おしまいっと。にしても、ここにはかなりの数が来てるって聞いた筈なんだけど……どう見ても数が少ないな……」

 

 

自分が来る前にあの二人が大半をやった?ありえない。彼らの猛攻を凌ぐのに手一杯で、やれたとしてもそこそこな数だけだろう。何か彼ら自身にトラブルが生じて後退したか、それとも……

その答えは背後から砕かれた音にとともに現れた。慌てて背後を振り返ると、そこには氷壁に空いた大きな穴か先程切り捨てたはずの男が何事もないように立ち、両手と頭が人間とはかけ離れた異形と化していた。だが、彼の体からなにかがボロボロ零れ落ちていた。

 

 

「(まさか、自壊してるのか……?もしかして大部分が来ているはずなのに数が少なかったのはこいつと同じ現象が起こって多数が自滅したからか?だとしても自滅するのを待つのは論外。何かされる前に今度こそ終わらせる)」

 

 

 夕夜は血の刀を鞘へ納刀するかのように右腰へと下ろし、腰を低く落とした後に半身を引いて居合の構えを取った。余計な力を抜くために息を大きく吸ってから吐き出して余計な力を抜いて後、視線を怪物へと合わせて、来たるべきタイミングに備える。そんな彼に対し、怪物は真正面から突撃し、彼の間合い入った瞬間にそれは放たれた。

 

 

一の型 紅魔一閃(こうまいっせん)

 

 

 夕夜から放たれた(くれない)の斬撃は吸い込まれるかのように首元目掛けて振るい、その勢いで首を跳ね飛ばしたかと思いきや、驚異的な反応速度で動いた手に刃を掴まれたことにより首には一歩届かなかった。だがそんなことで一々驚かず、止められる可能性を考えていた夕夜は既に次のモーションを起こしていた。

 すぐさま血を纏わせて鋼の如く硬化した右腕を刃の峰に向かって叩き込み、掴まれている手ごと無理やり首を斬り飛ばした。首を斬り落とした所で終わらない可能性を考慮して、夕夜は間髪いれず追撃に入った。振り終えて切っ先を地面に向けていた刀を心臓辺りに目掛けて突き立てて、バックステップで距離を取ったのち、

 

 

爆氷牙(ばくひょうが)

 

 

 言霊に告げられた瞬間、突き立てた刀を中心にとして獲物に牙を突き立てるかのように全身から鋭利な蒼氷が内側から外へと食い破り、数秒経たずに蒼き氷の針山となった。

 白く輝く息を吐きながら針山へとゆっくり歩み寄り、たどり着いた瞬間にソレを容赦なく蹴り砕いた。

砕いた破片に何か変化がないか暫く観察したが、特に何も起こらなかったので今度こそ仕留めたの確認した夕夜はため息を吐きながらその場で大の字になりながら転がった。ちょうどいい感じにひんやりとした空気と地面の冷気に心地よさを感じながらほとんど晴れることがない霧に包まれた空を眺めながら呟く。

 

 

「今日もこの街のイザコザとこの空は最悪だわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*1
白い息の呼び方。本来は湯気を指す言葉




日曜日中に上げれなかった上に難産……もっと精進しなければ……
今回は戦闘&ギルベルトさん、ブリゲイド、サトウ登場回。アニメのビヨンド1話のあの二人見てていいなと思ってたんで出してみたが、次こそもっと活躍させたい……

とある執事の電撃作戦にてザップが座席の横に付いてる管っぽいところから血の刃だしてるのめっちゃ好きなので、あの管みたいなのなんて言うだろって思いながら書きましたー。ここももう少し上手く書きたかった。

今回出た紅魔一閃ですが、モデルは鬼滅の刃の善逸君の霹靂一閃、命名はfgoの紅閻魔の女将の名前を見て思いつきました。刀使うキャラ良き良き
爆氷牙は絶対零度の小針の刀版?かな。小針であそこまでいけるなら刀や剣でやればもっとド派手にいけるかなと思い出してみましたー

後は前回予告した通り、アニメでのキャラが出たときの紹介文っぽいのを参考に夕夜のを下に上げました。よろしければそちらも見てください。あれも好きだわ……てかたくさんの好きがありすぎるな血界戦線……

次回も日曜、間に合わなければ月曜日更新予定なのでどうかよろしくお願いします~





神薙夕夜(Kan'nagi yuuya)

後輩
構成員最年少(18歳)
ブラッドエッジ/エスメラルダ式血凍道



最近ネットで購入した公式ガイドブックに年齢も載っていたんでそれを参考にレオ君の一つ下にしましたー。にしてもニーカ、君二十歳超えてたのね……知らんかったわ……
そしてチェインは21だから夕夜とは3歳の差のあるカップルという訳っすね。





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