上手く書けるかは分かりませんが、精一杯頑張ります!
よろしくお願いします(●︎´▽︎`●︎)
第12話 ~ゼオンの対面~
「――エクセレス・ザケルガ!」
ザケルガをパワーアップさせた、雷の力を一点に集中させた『エクセレス・ザケルガ』がオレの眼前に迫る。
やはり、オレと戦った時よりも遥かに威力と精度が上がっている。
――が、それでもまだ。
「ソルド・ザケルガ!」
僅かに、オレには及ばない。
掌に出現した雷の大剣を握り締め、目の前に迫ってきた『エクセレス・ザケルガ』を縦に叩き斬った。
と同時に、ガッシュが『ラウザルク』で肉体を強化して突っ込んできたので、大剣の角度を変えて素早くガッシュに斬り込む。
しかしそれは紙一重でかわされて、余裕が削られたオレとガッシュと拳の打ち合いが始まった。
「ヌアアアア!!」
「チィッ……テオザケル!」
「テオザケル!」
激しい体術勝負の狭間にオレが放ったテオザケルは、ガッシュのテオザケルとぶつかって相殺され、再び術の撃ち合いになる。
「ガンレイズ・ザケル!」
「ラシルド! ザグルゼム! ザグルゼム!!」
ガンレイズ・ザケルを、強化されたガッシュの盾に立て続けにぶつけると、盾は遂に音を立てて粉々に砕け散った。
……そこで、オレは漸く本気を出す。
「――ツメが甘いな、ガッシュ。クリア戦でパワーアップしたにしては、オレに押されてないか?」
「ヌ……ア、」
ファウード戦の時のように、全力疾走してガッシュの背後に回り、手をかざす。
「コレで終わりだ――ジャウロ・ザケルガ!」
空中に形成された金色のリングから、十一本の雷が放たれた――
☆
「ヌオオオオ、今日も負けたのだ! 悔しいのだ、悔しい悔しい悔しいーーーーー!」
「悔しいなら、公務の時間がない時に遊んだりせず、ココに来て特訓したらどうだ?」
その日、オレとガッシュは、王宮の格技館にて模擬戦を行っていた。
数週間前……そう、オレがガッシュの学校に潜入していた頃、ガッシュに『模擬戦をしないか』と誘われていたが、結局色々と忙しくなって機会がなかったから、仕事が軽くなって暇になってきたこの頃、暇さえあればガッシュと模擬戦を行うようになっていた。
ちなみに、現在のオレの戦績は、今回の結果を含めて四勝一分一敗。
引き分けになった一回は、コンディションが優れずに純粋に勝敗がつかなかった。負けた一回は……思い出しても腹が立つ。いくらガッシュでも、やっていいことと悪いことがある。
「そうだな――変な小細工をしたりせず、正面からオレとぶつかって勝てる王になれるといいんだがな」
「グハッ!」
そう、あの時は、戦闘開始の合図とともに、ガッシュが削られた鰹節を辺りに撒き散らしたんだ。オレは思わずそれを拾い集めようとして、戦闘などそっちのけになり――ガッシュの術のオンパレードで降参せざるを得なくなった。そして説教せざるを得なかった。
鰹節は勿体ないわ、卑怯だわで……ああ、腹が立つ。ガッシュがオレの弟じゃなければ、間違いなくバルギルド・ザケルガを撃っていただろう。
「そ、そんなことよりゼオン……今日は、お主に会いたいと言う者が王宮に来ておるのだが……」
「話を逸らす口実じゃないのか?」
「そこまで疑わなくてもよいではないかー! これは本当なのだ、嘘ではないのだ!」
泣き喚き、慌てふためくガッシュのその姿は、とても演技とは思えず……オレは格技館の床にゴロリと寝転がって呟いた。
「変わったな……」
「?」
昔なら、オレを訪ねに来る人物など絶対に存在しなかっただろう。寧ろ、オレを避ける人物ならそこら中にいたが。
それもこれも、ガッシュやティオ、キャンチョメ、ウマゴン、パティのお陰なのだろう……口には出さずとも、心の中で素直にそう呟けるくらいにはオレはアイツらに心を開いているようだった。
「……よく分からぬが、まあいいのだ。とにかく、そのゼオンに会いたがっている魔物というのは、千年前の魔物との戦いの時にすごくお世話になった人なのだ。デモルトという石版魔物の中で最強と言ってもいいような強さを持つ魔物を倒すのに、大きく貢献してくれたのだぞ」
「なぜそんな魔物がファウード戦まで生き残っていないんだ?」
「それは……その魔物本人が、千年前の魔物だから。その子は、他の石版魔物と違い、自分達がしていることがどれだけ迷惑なことなのかを理解していたのだ」
「……」
だから、自ら本を燃やされたということなのか……。
ガッシュの説明に、オレは思わず胸が痛くなる。
他人に八つ当たりすることなく、寧ろ自分よりも遥かに恵まれた境遇の現代の魔物に力を貸した魔物か……。
何となく過去の自分と重ねて考えていると、
「あら、貴方がガッシュのお兄さんなの?」
「……誰だ?」
格技館の入口に、一つの影が見えた。
上半身を起こし、影に目を懲らす。
頂点の左右から角が生えた紫色の髪を、肩の辺りで切り揃えている。冷たげな雰囲気を醸し出す半月形の紫色の瞳に、月のマークが中心に描かれた紫色のワンピース。
言うならば――闇夜の月。
「私はレイラ。今のガッシュの説明の通り、"石のゴーレン"に石にされたまま千年過ごした、石版魔物よ。今日は、雷帝として有名な貴方に頼みがあって来たの」
レイラは初対面でオレを怖がるでもなく、薄らと微笑みさえ浮かべてそう言った。
☆
「レイラ……どうしてそれでガッシュのお兄さんを呼んでくるの……」
「だって、強くて忙しくなさそうって言えば、ガッシュのお兄さんはどうしてるのかとかしか思い浮かばなかったんだもの」
落胆したような声をあげたのは、桃色の髪をくるんと内側に巻いた大人しそうな少女、コルルだ。
この魔物の言葉があって、ガッシュは"優しい王様"を目指すことにしたらしい。
だが、幸いこの少女はオレのことを怖がっていないらしいからまだいい(あまり好反応ではないが)。
問題は――
「久しぶりだね、ゼオンの坊や。ファウードの時ぶり?」
「……」
宝石のように輝く金色の長い髪。『あの時』とは違う、強い意志を秘めた澄んだ空色の瞳。
「なぜお前がここにいる……チェリッシュ」
「だから、それはこれから話す内容と関係してるから。あの時はあんなに堂々としてたのに今会ったら動揺するなんて、あんたも中々カワイイところがあるじゃないの。やっぱりガッシュのお陰かね?」
「……ッ」
反論しようとしたが、昔オレが行った行為に対する罪悪感に負けて何も言えなくなる。
「チェリッシュ、煽ってないで説明しないと。怒って帰られたら困るでしょ?」
「ああ、そうねコルル。じゃあ、単純に説明しようか……そうね、まずは、私達がこんなことになってる理由を話すわ。
……学校も違うし、住んでいる場所も、環境も違う……そんな私とコルル達が出会ったのは、魔界で有名なデザイナーが経営してる雑貨屋だったわ。
コルルとレイラは、学年は違うけどガッシュ繋がりで仲良くなったらしくて、二人でそのお店に来ていたの。私は、面倒を見てる子供達に何か買ってあげられないかと思って、その雑貨屋に来てたのよ。
そして、たまたま流れで話して、仲良くなって……問題は、帰り道よ。
急に現れた三人の男に取り囲まれて、攫われそうになったんだよ。今思い出しても許せない……」
そこで一旦言葉を途切れさせると、チェリッシュは怒りを顕に拳を握りしめる。
なるほど、女が怖がられるのはこれが理由か。女は根に持つらしいからな……。
オレがそんなどうでもいい思いに耽っていると、今度はコルルが代わりに話し出す。
「その時は、みんなで力を合わせて男達を撃退したの。でも、その日から、私達が一人でいる時を狙ってくるようになって……チェリッシュとレイラは強いからいいんだけど、私は戦いとか嫌いだし、覚えてる術も少ないから……」
「……何かされたのか?」
「ううん、それはまだ。今までは何とか逃げてきたの。だけど、それももうそろそろ限界で……」
コルルは怯えた表情で俯いた。
「だから……ゼオン。ガッシュから聞いたのよ、最近、兄上が暇で、私と過ごす時間が増えて嬉しいのだって」
「何、ガッシュがそんなことを!?」
くそ、その言葉、出来れば生で聞きたかった……!
「……(流石、学校内で"ブラコン雷帝様"って呼ばれてるだけあるなあ……)」
「……(表情が一瞬にして変わった……これがあのゼオンの坊や……?)」
「……。まあいいわ。とにかく、ゼオンは嫌かもしれないけど……その暇な時間を、少しだけ頂戴。そして、その時間を、コルルの護衛に当ててほしいの」
「……」
正直言って、引き受ける理由がない。
そもそもオレとこの三人は面識がないし、面識があったとしても、オレがそこまでしてやる義理はないからだ。
だが――
「……分かった。その依頼、特別に受けてやる」
「えっ、本当!? 明日は雪じゃないだろうね……」
「……」
チェリッシュの言葉で殺意が湧いたが、
「えっ、ホント!? ガッシュのお兄さんが、私の護衛をしてくれるの?」
コルルが一瞬にして華やいだ笑みを浮かべ、何も言えなくなってしまった。
何がそんなに嬉しいのか分からないが、悪くはないと思っている自分がいた。
これも変化の一つなんだろうなと勝手に納得し、席を立つ。
「ちょっと、ゼオン。どこにいくの?」
「コルルと言ったな。チェリッシュ、レイラ、お前らは来るな。コルル、お前はちょっと来い」
「えっ……?」
オレの言葉に、コルルはキョトンとした表情で首を傾げた。