艦こレーン ~オーブ鎮守府の異世界戦記~   作:しきん

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どうも、しきんです。
日常篇を描いたのですが、もう少し盛りたいと思ってもう1場面付け足してみました。
(勇の愛車どれにしようか迷ってアンケートやら活動報告で意見募集やらして不発に終わって結局自分で苦労して選んだなんて事言えない・・・)

それでは、どうぞ!


第5話 オーブ鎮守府の日常

突然だが、ここでオーブ鎮守府の地理を説明しよう。

まず、このオーブ鎮守府は4つの主要となる島--ヤラファス島、オノゴロ島、アカツキ島、カグヤ島といくつもの小島からなっている。

ヤラファス島はオーブ鎮守府で一番大きな島ではあるが、火山があり、有効活用出来るスペースの割合がが他の島よりかなり小さかった為、中央に地熱発電所と温泉、北側に航空機やモビルスーツが配備されている基地、西側に輸送船専用の港、そして東側に司令部等の中枢施設が存在する。

オノゴロ島には、各国の軍需企業等の工場や研究施設が集約されており、パーツや弾薬の供給や研究開発は主にこの島で日々行われている。

アカツキ島はモビルスーツ専用の演習場となっており、オーブ鎮守府のMS部隊はここで訓練を行っている。

カグヤ島は戦後にリゾート開発を行う為、この島の軍事基地はそれに支障をきたさない程度の規模となっている為、オーブ鎮守府ではこの基地が一番戦力が少ないのである。

この他の数多く存在する小島には、レーダーやらSAM等が設置されており、厳重な防空網が敷かれている。

 

 

海暦1941年 6月7日 午後0時12分 オーブ鎮守府 ヤラファス島ポートシティ

 

オーブ鎮守府の中枢とも言えるこの島の西側には、輸送船専用の港を中心に鎮守府の一部とは思えないような沿岸都市が出来ており、それなりに活気もある。

コンビニだけでなく、レストランやカフェ、そしてバーまであり、ここで暮らすには十分といえるだろう。

そんな事情はさておき、美しい風景が見えると評判のとあるカフェのテラス席に座っている男女4人組が何やら話し込んでいた。

 

「つまり、提督は私達にMSパイロットの育成をお願いしたい・・・という訳ですね?」

「はい。三佐と一尉にこれを任せたいと思いまして。どうですか?」

「それは、まあ構わないけど・・・ゴホン。隊長は良いとして、何故俺なんですか?教官を2人派遣するなら、もう1人はヴェステンフルス大尉に頼むべきでは?彼の方が、俺より腕は良い」

「まあ、そうですけど・・・やっぱり、やるなら徹底的にやった方が良いと俺は思います、飛鳥先輩。日本最強で、世界トップクラスの実力を持つホワイトキメラ隊なら、素人でもそれなりに出来るようにしてくれる。三佐の許で育ったパイロットは、今も誰一人欠けていない」

 

黒の半袖Tシャツを着た男は勇だ。彼の隣には、ライトグレーのワンピースを着た茶髪ポニーテールの女性--大和が座っている。そして同じテーブルの、彼らと向かい合う席に男女2人組も座っている。女性の方は青いノースリーブを着てサングラスをかけた茶髪ロングで、狐耳が印象的であり、男の方はグレーのTシャツと白くて薄いジャケットを着こなし、黒髪ショートと赤い瞳がとても印象に残る者である。

狐耳の女性の名は新沢天城(にいざわ あまぎ)。日本国航空自衛隊最強のエースで、MSパイロットになる前は戦闘機のパイロットであった。そして赤目の男性の名は飛鳥真(あすか しん)。彼も元・戦闘機パイロットで、その時からの天城の部下でもある。実は真は勇の中学校時代の先輩で、勇のMSパイロットの知り合いの中では最も親しい仲である。

 

「勇、ヒヨッコ達はどれくらいまで育てればいいんだ?」

「先輩・・・飛鳥一尉や新沢三佐がヒヨッコと言っている俺の友人達と同じレベル・・・というところですかね?」

「はぁ・・・勇、お前そりゃ酷な話だろ?確かに和樹とサイは、入隊してからまだそんなに経ってない未熟な奴らだ。だけどな・・・」

「ええ、提督。あの2人も中々の努力家です。確かにまだ未熟ですが、優れた才能はあるかと」

 

真と、それに続いて天城が勇の言葉にそう答える。

実際、勇が提督になってからまだ間もない頃からの友人である相沢和樹(あいざわ かずき)とサイ・アーガイルは、訓練学校を卒業してすぐに実戦を経験する事になったが、運が良かったとはいえ無事に生還し、その後も非撃墜数ゼロのまま今日まで生き延びている。

 

その言葉を聞いて勇は満足そうに笑みを浮かべると、他のテラス席に向かって・・・

 

「だってさ。おーい!」

 

勇のこの言葉に何かを察して顔を伏せて笑う天城と、勇の突然のこの行動に驚く真。

真が勇の視線と同じ方向を見ると、そこには2人の男性の姿があった。

 

「ブフッ!?」

「ハハハ、バレちゃったな」

 

噂をすれば影、勇の視線の先にいたのは思わずコーヒーを噴いてしまった茶髪セクシーコンマが特徴の和樹と少し気不味そうに苦笑いする金髪ショートでいつもサングラスをかけているサイだった。

 

「・・・嵌めましたね?こんな事していたら嫌われますよ、提督」

「フフフ・・・和樹達には、三佐の口から褒めて頂いた方が結構効くと思いましてね」

 

呆れた天城の指摘を受け流して勇と大和は席を立ち、この時点での自分を含む4人の料金をテーブルの上に置く。そして路肩に停めてあった日産・スカイラインGT-R(R34)に乗り込む。

 

「では、ハワイ基地のパイロット候補生の教育、宜しくお願いします」

 

勇はエンジンを掛けると、天城に念押しする。するとその時、真がフリーズから立ち直った。

 

「あー!お、おい勇!お前、何かっこつけてんだー!」

「追加で注文したのまでは払いませんよ、先輩」

 

顔を真っ赤にして怒る真に言い訳無しでそう言うと、勇はアクセルを踏んで車を発進させた。

 

「あ、ちょ!人の話は最後まで聞けーーーッ!!」」

 

車で去って行く勇に、真が叫び声を上げる。

 

「あっ・・・じゃあ、俺達も失礼します」

「新沢三佐、飛鳥一尉、失礼します」

「ああは言ったけど、訓練を怠らないようにね」

 

勇が去ったのを見届けた天城は、その場から離れていく和樹とサイに釘を刺す。

 

「はい!これからも精進します!」

 

離れていく和樹の返事を聞き、天城は会計で代金を支払う。4人のコーヒーは既に空であった。

 

「領収書は提督に押し付けておく必要がありますね・・・」

 

もちろん、この混乱(?)を生み出した勇への報復も忘れずに・・・。

 

 

同時刻(オーブ時間) ユニオン NYシティ アズールレーン総司令部

 

勇達がこんなやり取りをしていた頃、NYシティにあるアズールレーン総司令の会議室で、2人の男が話していた。

1人は20代前半の茶髪碧眼のイケメン士官、もう1人は50代後半の金髪緑眼で典型的な口髭が似合う将官だ。

 

「それで、話とはどういったものでありますか?」

 

イケメン士官の名はアレックス・グレイ。バージニア州出身で、軍人家系の影響でアズールレーンの士官となる道を選んだのである。

アレックスは目の前にいる将官に質問する。

 

「君も聞いているかもしれないが、この前・・・オーブ鎮守府と名乗る者達が現れたのは知っているかね?」

 

アレックスの質問に答えた将官の名はセドリック・ギンズバーグ。オハイオ州出身で階級は少将という地位から、エリート将官と呼ばれているが、反重桜主義者なのではとも言われている。そして先の軍縮の影響もあって、現地での指揮を執った事は殆ど無い。

 

「彼らは人類の艦船にもセイレーンの量産型にも似た艦船でロイヤル艦隊と接触し、なんと国交を締結してアズールレーンに加盟したのだ。それは良かったのだがね・・・」

 

ギンズバーグは少し間をおいて話を続ける。

 

「その彼ら・・・オーブ鎮守府のリーダーは重桜人なのだよ。しかも生意気な事に、我がユニオンの最新鋭機『F4F(ワイルドキャット)』の性能を上回る航空機に留まらず、18m程はあると言われるモビルスーツなる人型兵器を有しているとの事だ。このような生意気な連中は我々の手で管理しなければならんのだよ。そこで、だ」

 

ギンズバーグの意図がどうにも分からないアレックスにこう言った。

 

「ハワイ基地着任にあたり、本日を以て君を二階級特進とする」

 

ギンズバーグのこの発言にアレックスは驚愕した。それもその筈、戦死する訳でもないのに二階級特進するというのだ。驚かない訳が無い。

 

「二階級特進、ですか・・・!?」

「うむ。独立遊撃艦隊とはいえ、上層部には敬意を払わなければならんからな。これで彼らの行動を制限出来るだろう」

「しかし、彼らはアズールレーンの加盟国、しかもロイヤル公認の独立遊撃艦隊ですよ!?そんな事をすれば、鉄血が離反した時と同じ轍を踏む事になります!」

 

アレックスは反論する。仮にもオーブ鎮守府はアズールレーンの加盟国であるのだ。その友と言うべき彼らを管理しよう等と、アレックスにとっては許せないものであった。

これに対して、ギンズバーグはこう問うた。

 

「グレイ大佐・・・我がユニオンの誇りは何だね?」

「・・・?『自由』と『正義』ですが・・・」

 

いきなり何を言い出すのかと言いそうな表情でそう答えるアレックスを笑いながら、ギンズバーグはこう言った。

 

「その通り。我がユニオンは正義を以て彼らを管理しなければならん。そして来るべき重桜との戦争に備える為にもだ。分かるかね?」

「・・・ですが!」

「それでは頼んだよ、グレイ大佐。君の活躍に期待しているよ」

 

アレックスの反論を聞く事無く、ギンズバーグは会議室を後にした。

 

「全く・・・こんな事、馬鹿げている!」

 

アレックスは、傲慢な上官に対する怒りを募らせていた。




なんか陰謀めいたラストになっちゃいましたね・・・。
何はともあれ、遂にアズールレーン側の指揮官が登場しました!
勇達オーブ鎮守府とアレックス達ハワイ基地の今後の活躍にご期待ください!

次回予告

ファーストコンタクトから2ヶ月が経ち、ハワイ基地はいよいよ本格的に機能し始める。勇とアレックスは出会い、太平洋を舞台とした物語が動き始める。

次回『提督と指揮官の邂逅、迫り来る戦い』
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