艦こレーン ~オーブ鎮守府の異世界戦記~   作:しきん

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どうも、しきんです。
昨日、七夕で短冊を書くのを忘れてしまったので今日書こうかと思っております。

もうすぐ勇達の転移後初のドンパチ回がやって来るのでお楽しみに。
それでは、どうぞ!


第6話 提督と指揮官の邂逅、迫り来る戦い

海暦1941年 8月2日 午前10時28分 アズールレーン・ハワイ基地

 

あれから2ヶ月が経ち、ハワイ基地は遂に完成した。

当初の設計には無かったレーダーやらMS用格納庫やらを追加建設する事となり、途中ペースが少し遅くなった時期があったが、妖精さん達が手伝ってくれたおかげで完成予定日より5日早く基地が完成したのである。

 

今日、指揮官の着任式が行われる。そして基地には勇と大和の姿もあった。

 

「提督はここに来るのは2ヶ月ぶりですね」

「ああ、着任式に招待されるなんてな・・・」

 

何故ここにいるのかというと、勇もこの着任式に招待されたのですさのおでまたハワイ基地にやって来たのである。大和は勇の秘書艦として勇と行動を共にしているのだ。ちなみに、勇と共にやって来た赤城以下、護衛艦隊は基地周辺の警備に参加している。

 

「そういえば、指揮官っていうのは俺達の世界でいう提督のようなヤツだったな。着任する指揮官ってのはどんな人なんだ?」

「ウェールズさんの話では、その指揮官は軍人家系生まれだそうです」

「そうか・・・俺に似た性格なのかな・・・・・・」

 

2人がこんなやり取りをしていた時だった。

 

「ユウ・ミカワ中佐ですね?」

 

軍服をちゃっかり着込んだ男性が声をかけてきた。20代前半の茶髪碧眼と、勇とはまた違うような大人な印象のイケメンである。

 

「はい、そうですが?」

「初めまして、今日からこの基地に着任するアレックス・グレイ大佐だ。以後よろしく頼む」

 

勇は驚いた。無理もない、普通この年で大佐なんてどこぞの紅い彗星でもない限りはあり得ないのだ。

 

「三河勇中佐です。よろしくお願いします」

 

そして2人は握手した。

 

 

同時刻 同基地 広場

 

一方その頃、天城と真は広場にいた。

さっきまでMS用格納庫で作業をし、一息ついたところでここに立ち寄っているのである。

 

「良い場所ですね。桜も綺麗ですよ」

「そうね。公園なんて、何ヶ月ぶりくらいかしら?」

 

天城達が話していると、天城達の来た方向とは逆の方から中学生ぐらいの伸長の少女3人組がやって来た。

そして、淡い紫色のロングヘアーの少女が天城達の許に走ってきてこう言った。

 

「あ・・・あの、ちょっといい・・・・・・??」

 

その声に天城が気付いた。

 

「・・・?どうしたの?」

「えっと・・・」

「あれ?ユニコーンちゃん、その人達誰?KAN-SENじゃなさそうだけど・・・」

「・・・・・・zzz・・・眠い・・・・・・」

 

遅れて紫髪緑眼のポニーテールが印象的な少女と白髪ポニーテールの眠たそうな少女が近づいてきた。

 

「フフフ・・・自己紹介しないとね。私はオーブ鎮守府から出向してきた新沢天城っていうの。よろしくね」

「同じくオーブ鎮守府から来た飛鳥真。よろしくな、3人共!」

「ええッ!?貴方達が今噂の人型兵器のパイロットさんですか!?お、お会いできて光栄です!私、ジャベリンと言います!よろしくお願いします!」

「ラフィー・・・終わり・・・zzz・・・・・・」

((ええ・・・))

 

それぞれ軽く自己紹介する。最もユニコーンは照れくさそうに無言で笑い、ラフィーのは終わるのが早すぎて2人がドン引き(?)してしまったのだが。

 

「そういえば・・・ユニコーンちゃんは私達に何か用があるんじゃないの?」

「あっ、そうだ!えっと・・・お姉ちゃん達、ゆーちゃん知らない?この子なんだけど・・・・・・」

 

そう言ってユニコーンは1枚の絵を天城達に見せる。

その絵は見事なまでに上手に描かれており、色を付けてコンテストに出せば入賞出来そうな代物である。

 

「ユニコーンのゆーちゃん、私の友達なの。何処かにいって、捜してるの。お姉ちゃん達、知らないかな?」

「(上手ね・・・)ごめんね。私達も今日ここに来たばかりで、見ていないわ」

「(上手いな・・・)俺も、隊長と一緒にここに来たから見てないな」

 

2人の返答に、ユニコーンはしょんぼりと頭を下げる。そりゃあ誰だって大好きな友達が行方不明になったら心配するものだ。世界が違ってもそれは変わらないだろう。

 

「まあまあユニコーンちゃん、次だよ次!」

「頑張ればきっと見つかる・・・zzz・・・・・・」

 

ジャベリンとラフィーがユニコーンを慰める。それを見ていた天城は決断した。

 

「・・・分かった。私達も手伝うわ。丁度、時間が余っているし」

「へっ!?」

「何が『へっ!?』よ。こういう時はフォローしてあげないとモテないわよ」

「は、はい・・・」

「ええッ!?良いんですか!?」

「こういう時は助け合いでしょう?一緒に友達を見つけるわよ」

 

それを聞くや否や、ユニコーンの表情は泣きじゃくんだ笑顔となった。

 

「ありがとう、お姉ちゃん達・・・!」

 

斯くして、天城達はゆーちゃんを捜す事にした。

 

 

ゆーちゃん捜索開始から十数分後 近くの丘

 

あちこち捜して天城達はこの丘にやって来た。

 

「ゆーちゃんどこー!」

「ゆーちゃんどこですかー!」

「ゆーちゃん、一体どこにいっちゃったんでしょうか・・・」

「ゆーちゃんどこだー!?」

「ゆーちゃん・・・どこ・・・・・・」

 

全員声を上げるが、一向に見つからない。

 

(あまり長い事捜す訳にはいきませんね・・・11時半に始まるから、30分程前には戻らなければ・・・)

 

天城がそう思っていると、ラフィーがある人影を見つけた。

 

「じゃあ、あそこにいる人に聞いてみる」

 

その言葉を聞いた一同はその人・・・ローブ姿の少女に近付いた。

すると、その少女の足にぬいぐるみのような何かが当たった。

 

「ん?あのぬいぐるみ・・・」

「ゆーちゃん!」

「えっ!?あれがゆーちゃん!?」

「うん!」

 

ぬいぐるみの正体がゆーちゃんだという事に真が驚く。そして、ユニコーンはゆーちゃんを抱きしめた。

 

「ゆーちゃん見つけた!良かった・・・!ありがとう!」

「いえ・・・お礼を言われるような事はしていないので」

 

少女はユニコーンにそう言った。すると、ジャベリンが一同の前に出てこう言った。

 

「それにしても、ここは綺麗な場所ですね!」

 

ジャベリンのこの言葉に、少女は辺りを見渡す。

確かに、ここならいい景色が見る事が出来る。カメラマンや画家にここを教えたら大喜びするだろう。

 

「風が気持ちいい・・・」

「確かに、ここでランチするにはいいわね」

「片桐さんにここ教えたら1枚だけも写真撮りに行きそうですよね」

「こんないい場所を知っているなんて、あなたなかなかやりますね!」

「え・・・あ、どうも・・・・・・」

 

ジャベリンからの称賛の声に、少女はぎこちない様子で言う。

 

「私、ジャベリンと言います!」

「ラフィー」

「ユニコーン」

「私は新沢天城。階級は三佐、一般的に言えば少佐よ」

「俺は飛鳥真。階級は一尉で、新沢三佐の部下なんだ」

 

一同はそれぞれ軽い自己紹介をする。そしてジャベリンが、少女にこう聞いた。

 

「名前、何ていうんですか?」

 

その言葉に少女は動揺した。

 

「え・・・わ、私は・・・」

(・・・!?この子、もしかして―――ッ!?)

 

天城が少女が何者かという事を見抜いた直後、何かが近づいて来るのに気づき、

 

「皆、伏せて!」

 

そう叫び、一同がその言葉通りに伏せた刹那、鳥のような謎の物体が時速400㎞以上は出てそうなハイスピードで一同をニアミスするように通り過ぎて行った。

 

「きゃっ!」

「うぅん・・・」

「キャー!」

「な、何だぁ!?」

 

強烈な風圧が襲い掛かってきたが、一瞬だったので大事には至らなかった。

 

「何?鳥かな?」

「いえ、違うわ・・・。あの風圧は鳥が出せるレベルではないわ・・・!」

「だ、だったら何なんですか今の・・・!?」

「・・・?あれ、あの子がいない」

 

ジャベリンが今さっきまでいた少女の姿が無い事に気付く。天城はそれを聞くと、何かを悟ったかのような様子で真の肩に手を置いた。

 

「真・・・そろそろ戻るわよ」

「え?あっ!そんじゃ、また会おうな!」

 

真を連れて持ち場に戻る途中、天城は・・・

 

(・・・やっぱり、そういう事だったのね・・・・・・)

 

そう思っていた。

 

 

「こちら綾波・・・」

『作戦行動中だぞ。コードネームを使え』

「あっ・・・こちらユズ。基地の構造は大体把握した、です」

『よし・・・こちらもそろそろ仕掛ける』

「それともう一つ・・・」

『なんだ?』

「基地に少佐の階級の軍人と、その部下がいました。恐らく、この基地に指揮官だと思われます」

『ほう?佐官クラスの指揮官とはな・・・我らもそこそこ指揮は出来るが、我らを凌駕する才能を持っている達人かもしれんな。その者達の顔は?』

「はい。すぐに送る、です」

『・・・ご苦労。では、状況を見て合流しろ』

「了解」

 

 

同時刻 とある海域

 

ハワイ基地から西に150㎞程離れたこの海域で、2人の・・・いや、2隻のKAN-SENが話していた。最も、会話が弾んでいたのはある人物の写真を見るまでだったのだが・・・。

 

「・・・は?」

「加賀ぁ~?そんな顔して、一体どうしたのかしら?」

「ね・・・姉様・・・」

「どうしたの?そんなに改まって―――」

「こ・・・これを!!」

「さっき言ってた指揮官と思しき人の・・・」

 

その写真を見た2隻のKAN-SENは絶句した。何故なら、その写真に写っている人物は・・・

 

「天城、姉様・・・・・・!?」

「嘘だ・・・!何故、天城さんが・・・!!」

 

彼女達―――一航戦にとってかけがえのない存在なのだから。




≪超絶速報≫重桜の一航戦、遂に我らが天城姉様の生存を知る。
ところで、東京を舞台にした暴走カーアクション小説っていけますかね?

次回予告

開戦の時を悟った天城、天城の生存を知った一航戦、双方の想いが揺らぐなか、勇達は転移してから初めての戦闘が幕を開ける。

次回『初陣!アズールレーンVS一航戦&セイレーン艦隊』

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