後半は33話を読んでからお読みください。
実験用機甲兵 フェンリール
全長 7アージュ
重量 6.8トリム
材質 クルダレゴン合金(フレーム、装甲)
武装
アームパンチ(右腕のみ)
大型アイアンクロー
12mmマシンガン
ハンディソリッドシューター
V-MAX
概要
フルメタルドッグに代わる新たな実験用機甲兵。
ロッチナが書いた草案とフルメタルドッグの戦闘データを基に、黒の工房に一時身を寄せていたG・シュミット博士が設計し、造られた機体。また、道化師カンパネルラが故意に隠していたため、工房長である黒のアルベリヒですら知ることはなかった。
同じ実験用機甲兵であるフルメタルドッグとの大きな違いはその安定さにある。格闘能力を向上させることで総合力を底上げさせ、武装を限定させることで活動限界時間を増加させることに成功。結果、射撃戦寄りかつ短期決戦寄りだったフルメタルドッグに比べ、本機は継戦能力に優れた長期戦寄りとなっている。
特に防御力がケストレルβ以下であったフルメタルドッグに対して、フェンリールはフレームと装甲を神機などに使われるクルダレゴン合金を用いることで、シュピーゲルS並みにまで向上している。ただし、リアクティブアーマー機能は搭載されていないため、実際の防御力はドラッケンⅡ程度と思われる。
頭部のターレットレンズは回転式から固定式に変更された。また、一つ一つが防弾板で補強されており損傷率は低下した。
コックピット内部の作りを見直し、コントロールボックスを内部に据え置くことで背部バックパックの換装を容易する。その代償にコックピットはフルメタルドッグのそれより狭い。
ターンピック機構とローラーダッシュはフルメタルドッグと性能は遜色ない。ただし耐久力は上がっている。
フルメタルドッグと違い、外付けの武装は開発されていない。これは前述の通り、武装を限定することによって活動限界時間を増加させているため。
格闘能力向上のため、左腕を大型アイアンクローに変更。大型アイアンクローの爪はゼムリアストーン製であり、機甲兵はおろか魔煌機兵の装甲すら引き裂く。生産に限りがあるためコストは計算不可能となっている。
大型アイアンクローには12mmマシンガンが内蔵されている。これは後述のハンディソリッドシューターの対比であり、連射による牽制が目的だが、当たり所によっては機甲兵や飛行挺をも撃墜する。再装填には専用の弾装を大型アイアンクローに着脱する。最大弾数は200発。
メインの武装としてハンディソリッドシューターが挙げられる。前述の12mmマシンガンと違い、一撃必殺をコンセプトとして開発された。とはいえ連射性はそこまで低いわけでもない。再装填は専用の弾装を着脱する。最大弾数は32発。
残る右腕はマニピュレータを守るために、籠手とナックルガードが一体化したような形状になっている。これはアームパンチを使用した際のショックを和らげる仕組みになっている。とはいえ、連発し過ぎると故障することには変わりない。最大弾数は6発。
機体の性能が高い反面、操作性はフルメタルドッグ以上にピーキーなものになっている。二代目Ⅶ組はおろか、機甲兵搭乗経験のあるリィンですら移動が困難なほど。
以上のことから、フェンリールはキリコ専用機として運用されていくことになる。ただし、キリコ自身は過去の因縁から本機を好んでおらず、全てが終われば即座にスクラップにすることを心に決めている。
オーロックス砦や黒竜関を立て続けに陥落させたため、帝国軍人たちの記憶に深く刻みこまれている。なおかつ、とある暗殺者コンビなどの裏側の存在からも注視されており、後に乗り手共々《蒼き災厄》と呼ばれることとなる。
実は、装甲とフレームにクルダレゴン合金を用いたことで製作者サイドですら想定外の機能が宿ることになった。
キリコとフェンリールが極度に追いつめた際、キリコの生存本能と仲間たちとの戦術リンクが組合わさり、それらがクルダレゴン合金に感応し、蒼いオーラを纏うこととなった。
その状態になった時、フェンリールの全能力は飛躍的に向上する。
その威力は文字通り桁違いで、あらゆる攻撃が必殺の一撃に跳ね上がる。これにより、ドレックノール要塞に押し寄せた魔煌機兵部隊を殲滅させている。
この戦闘でのデータはティータ・ラッセルによる解析の後、最大値への転換という意味からV-MAXと命名される。
そもそもクルダレゴンは精神感応力が著しく高く、同じ素材を用いた神機は碧の御子を介した至宝の力で圧倒的な力を奮った。
フェンリールの場合、機甲兵クラスにダウンサイジングしたことによって至宝に頼らずとも真価を発揮することが出来た。ただし、これらは上記の通りイレギュラーであることを書き記しておく。
キリコにとっても切り札になり得るのだが、その発動条件がフェンリールの損傷率90%以上に追い込まなくてはならないため、リィンをはじめとするⅦ組から使用厳禁を言い渡される(キリコとしても合理的でないため、一応同意している)。
名前の由来は北欧神話に登場する魔獣フェンリルより。
たとえ神にも従わないキリコが神話に登場する魔獣の名前を冠した機体に乗り込むことになったのは皮肉としか言い様がない。