まずは惑星メルキアのソドムとゴモラから。
午後 7:30
「なるほど、そういうことじゃったか」
エリンの里に帰還したⅦ組を出迎えたローゼリアは、思わぬ客人に狼狽した。
リィンから詳細を聞かされ、クロウ、デュバリィ、アイネス、エンネアの言葉を聞いたローゼリアは里に留まることを許可した。
許可されたことにデュバリィたちは戸惑うも、心の広い方だとローゼリアに感謝を述べた。
威厳たっぷりに振る舞うローゼリアを見て、アッシュを筆頭に何人かはいつ化けの皮が剥がれるのかを予想し始めた。
「それにしても、騎神の眷属化か。相克の歴史上始まって以来の珍事じゃな」
「やっぱり前例はないんですね」
「アームブラストから聞いておるじゃろうが、相克で敗けた騎神は勝った騎神に取り込まれる。各々の持ち味を自分の力としてな」
「そして最終的に巨イナル一に達するというわけですか」
「うむ」
ローゼリアは首を縦に振る。
「つくづく先代の起動者に似とるわい」
「ドライケルス大帝に?」
「あやつは情け深い男でのう。負けた者を斬り捨てることなく、己の配下とした。中には獅子戦役後に重職に就いた者もおるそうじゃ」
「新帝国憲法の父、アルフォンスですね」
「先々月、帝国史で出てきましたね」
「第六皇子ルキウスの軍師だったとか」
「え……そうだっけ?」
「ユウナ……」
変な汗をかくユウナにクルトは呆れた。
「…………ドライケルス大帝のことはわかりました。それはそうと、獅子戦役の時は相克ではなかったんですか?」
「うむ。獅子戦役もまた、相克と言っても過言ではなかった。とはいえ、金と黒が出て来なかったために不完全な相克であったが」
「どうして出てこなかったのでしょうか?」
「分からぬ。1000年以上も姿を現さんかった故に、七体の騎神の中でも最も謎の多いのが黒でな」
「では金は?」
「金は獅子戦役以前、自身の絶大な力を畏れ、今のクロスベルの地に自らを封印したらしい」
「そして、その金の騎神は兄上によって封印は解かれた」
「そういうことじゃな」
「……………………」
ユーシスは思わず拳を握りしめる。
「ルーファス・アルバレア。内戦時から何か企んでいるような男でしたが」
「そういえば、先日キュービィーは総督殿とクロスベルで会っているそうだが」
「ああ」
「俺たちも聞きました。父たるあの方を超える、そう言っていたんだな?」
「ええ」
「父たるあの方……」
「この場合、先代アルバレア公爵ではなく……」
「オズボーン宰相、ですね」
「確かユーシスさんと総督は……」
「アルティナ」
クルトがアルティナに待ったをかける。
「……構わん。俺もアルノーや父の代から仕える家臣たちを問い詰めて真相を聞き出した。間違いなく、俺と兄上の間に血の繋がりはない」
「不義の子、というわけですか」
「何度聞いても信じられないな」
「ルーファス総督はずっと貴族を恨んでいたのかもしれないな」
「………兄上の気持ちもわからなくはない。明らかに歪んでいるにもかかわらず、それを見て見ぬふりをするばかりか、正しいことだと開き直る。これでは絶望されるのも無理はない」
「ユーシスさん……」
「リィン、頼みが──」
「わかってるさ。ルーファスさんを止めるんだな」
「ああ。貴族の有り様に絶望し、それを正さんとしたまではいい。だがそのために世界を終焉の危機に陥れるなど言語道断。絶対に俺が目を覚まさせてやる」
「その意気だ、ユーシス」
「私たちもお手伝いします!」
(ふふふ、若さじゃのう)
「さて、ここからが本題じゃ」
「本題?」
「そーいや、婆さんに呼び出されてたんだったな」
「……まあよい。キュービィー、お主の力が必要なのじゃ」
「…………………」
今まで顔を伏せていたキリコが顔を上げる。
「もしかして、記憶の部屋に変化が?」
「うむ。まあ実際に見てもらった方が早いか」
「あの………」
デュバリィが手を挙げる。
「なんじゃ?」
「何なんですの?その記憶の部屋というのは?」
「この家に古くから存在していた場所です。どうやらキリコさんの過去を見せるためのもののようです」
「ようですって、知らなかったんですの?」
「…………異能者によって扉が開かれた。それまでは開かずの扉として長らく放置されておったのじゃ」
ローゼリアは顔をしかめながら説明した。
「なるほどな」
「キリコ君の過去って、アストラギウスのことよね?」
「うむ。そのとおりだ」
「えっ……」
「あ、貴方は……」
「久しぶりだな。まさか鉄機隊の諸君も一緒とは」
ローゼリアのアトリエに入ってきたのはロッチナだった。
「また来おったのか」
「深淵の魔女殿がご親切にも教えてくださったので」
「チッ……あの不良娘が」
「クロウさんは本当に姉さんの行き先をご存知ないんですか?」
「悪いな。ヴィータを捕捉すんのはガラ湖からガラス片を見つけるのと同じことだぜ?」
クロウは肩を竦めた。
「………はぁ」
エマは大きくため息をついた。
「ミュゼの方も知らないの?」
「生憎、私の方でも」
「まあよい。それで、今回も来るんじゃな?」
「この男よりはいささか社交的だと自負しております故」
「いちいち引っかかるが、まあよいわ。では参ろうぞ」
ローゼリアを先頭に、ロッチナとⅦ組と鉄機隊の面々は記憶の部屋に足を踏み入れた。
午後 8:00
「な、なんですの、この場所は……!?」
デュバリィは白一面で統一された記憶の部屋に驚きを隠せなかった。
「里長殿、ここが?」
「うむ。ここが記憶の部屋じゃ」
「ここでキリコ君の記憶を見ることができるのね」
「そういうことだ」
ロッチナは中央の台座を調べ始めた。
「キリコ」
「?」
「見てみろ」
「……………」
キリコはロッチナの指さす方を見た。
「………やはりか」
「前回は"Ⅰ"だったが、今回は"Ⅱ"になっている」
「え!?」
リィンも駆け寄る。
「……確かにⅡになっていますね。しかし、まさか……」
「シュバルツァー、心当たりがあるようだな?」
「はい………」
「教官……?」
「おそらくだが……第一相克に勝利し、蒼のオルディーネを取り込んだからだろう」
「相克に?」
「ですが、タイミングと辻褄は合いますね」
「だな」
「七体の騎神誕生に関与したとされ、焔と大地の両眷属を争わせた賢者なる存在。何かしらのつながりがあっても不自然ではないでしょう」
「ただ、何のためにこんなものを遺していたのかが分からないんだよね」
「結局のところ、キリコの過去から何かを割り出すしかないのが現状だね」
「なんだかよ、掌の上で転がされてる気がしてなんねぇな」
(確かにな。ワイズマン、何をしようとしている?)
「さて、と」
ロッチナは手を叩き、全員を向かせる。
「そろそろ始めるとしよう。いくら隔絶されていると言っても、時の浪費は無駄なことだからな」
「隔絶?どういうことですの?」
「ここでは一切時間が流れていないんです」
「時間が?」
「前回、ここで2時間近くいましたが、部屋の外に出てみると入った時とほとんど時間が経っていなかったんです」
「そうなの……?」
「ふむ。鍛練にはうってつけではあるな」
「私も同じことを思ってました、剛毅殿」
ラウラがアイネスに同調した。
「やはりこの二人、気が合うのかもしれん」
「大概にしときなさいよ」
アリサはため息混じりに言った。
「………脳筋パイセンが」
「アッシュさん」
「八つ裂きにされても助けないからな」
「へいへい」
アルティナとクルトの言葉にアッシュは引っ込んだ。
「ゴホン……では始めよう。キリコ」
「…………………」
キリコは台座に触れた。
[キリコ side]
最初に映ったのは戦艦の中で作戦を待つ場面だった。
この時の俺は惑星モナドから帰還したばかりだった。
だが兵士に休息はほとんどない。たとえ戦争終結間近でもだ。
既に退役艦となった戦艦テルタインに載せられた俺はナンバー22のコールサインを与えられ、小惑星リドへの奇襲作戦参加を言い渡された。
だが、それは巨大な陰謀だった。
小惑星リドの基地へ着いた俺は混乱せずにはいられなかった。
なぜなら、俺たちが襲っていたのは敵であるバララントではなく、味方であるギルガメスだったからだ。
俺は小隊長のコニン少尉に何度もこの作戦の内容を問うた。
だが教えてくれるどころか、作戦の邪魔だと通信回線を切られてしまった。
数分もすると、こちらの損害はほぼ無傷のままリドの基地を陥落させた。
他の連中が基地の金塊を物色する中、俺はひたすら作戦の意味を考えていた。そして、目当てのものがまだ何かあると。
そんな時だった。
金塊が入っていた大金庫の近くに、棺桶ともカプセルとも取れるものが置いてあった。
俺はそれに近づき、カバーを開けた。
そこには、頭髪の一切生えていない裸の女が入っていた。
いや、人間かどうかも怪しい。
次の瞬間、俺とそいつは目が合った。感情など全く感じられなかった。
俺は言い知れぬ何かを感じ、銃を向けた。
だがなぜか引き金を引けなかった。
我に返った俺はカバーを閉じた。
それでも頭がぐちゃぐちゃだった。あれはいったいなんだ。
そんな時、コニン少尉が声をかけてきた。
妙な物を発見したと言ったら、コニン少尉らはそれこそ探していたものだと言い出した。
直後、俺は外にいるテルタインを呼んで来いと命令された。
みんな、知っている。俺が見た何かが何なのかを知っている。なぜ隠す。
考えてがまとまらずに動いていた為か、背後から迫る爆弾に気づくのに遅れてしまった。
爆弾は爆発し、小惑星リドはチリとなり、宇宙の闇に消えた。
俺は完全に気を失い、宇宙を流されていった。
[キリコ side out]
『…………………』
Ⅶ組と鉄機隊の面々は黙って見ていた。
「なるほど。小惑星リドではこのような状況だったのか」
「ああ……」
ロッチナの問いかけにキリコは素っ気なく答える。
「本当に苦労ばかりしているんですね」
「いやいや、苦労の一言で済ませていいものではないでしょう!?」
「望まぬ部隊に入れられ、あちこちで戦うしかなかったキリコ君に較べれば、マスターに拾われた私たちは幸運だったのかもしれないわ」
「うむ。レッドショルダーにバーコフ分隊だったか」
「………待て」
キリコは待ったをかける。
「……なぜそれを知っている?」
「……え?」
「そ、そういえば……」
「キュービィーが異世界から転生してきたことは以前聞いた。だがその詳細までは聞かされてなかったはず……」
鉄機隊の面々は思わず動揺した。
「俺も知ってるぜ。ISSってのに編入されて、モナドって星が崩壊して、ザキってやつを弔ったんだよな?」
「な!?」
「どうなっているの!?」
「……もしかしたら」
「リィン?」
「ここで見たものは部屋に入っている者だけに共有されるんじゃないか?」
「共有?」
「俺たちは一回目から見た。対してクロウやデュバリィさんたちは二回目だ。なのに一回目の内容を知っているってことは、そういうことじゃないか?」
「なるほど」
「筋は通っているな」
「なんだかやけに親切なシステムね」
「となると、変に人を入れない方がよさそうね」
「だろうな。こんなもん、混乱させるだけだぜ……っと、すまねぇな」
クロウはキリコに詫びる。
「気にしなくていい」
「おばあちゃん」
「わかっておる。里の者に調査させようと思っとったが、断念せざるを得んな」
ローゼリアは腕を組み、ため息をつく。
「結論が出たところで、続きといこうか」
「………………」
キリコは台座に触れた。
[キリコ side]
気がつくと、俺は機械やコードが付いた椅子に座らされていた。
両手両足は拘束されており、身動きが取れなかった。
突然、声が響いてきた。
そこから、名前と生年月日、所属先などの質問に答えていった。
ようやく俺は尋問だと気づいた。
最後に俺は妙な質問をされた。
『素体はどこだ』と。
何のことだが全く分からなかった。声は棺桶のようなものがあったはずだと言った。
俺は見なかったと答えた。あれが声の言う素体なのかも分からなかったからだ。
声は俺の言葉を嘘だとはねつけ、尋問は拷問へと変わった。
脳内に電気ショックを流され、叫び声が部屋中に響いた。
ふと、横目で見ると、クルト、アルティナ、アッシュは言葉を無くし、ユウナとミュゼは両耳を押さえていた。
これは無理もないな。
初代Ⅶ組も似たようなものだった。
鉄機隊は睨むように見ているところを見ると、少なくともこういう場面は見慣れているらしい。
電流が止み、俺は声の主──ロッチナを含めた数人に押さえつけられ、注射器から何かを打ち込まれた。
それが何なのか気づけたのは大分先のことだ。
その後、惑星メルキアの軍基地に連行された俺を待っていたのはひたすら拷問の日々だった。
毎日のように薬物刺激と電磁刺激を併用した拷問を受け続け、体も精神もボロボロになっていた。
何度言われようとも知らないものは知らない。
だがその言葉は届くことはなく、電圧を最大にまで上げられた。
その僅か数秒後に意識を失った。どうやら心停止したようだ。
蘇生させようと高電流を流され、俺は海老反りに拘束具をぶち破りながら床に投げ出された。
意識が朦朧とする中、俺は偶然近くを転がっていたナットを握りしめた。
今見ると、これも異能の力なのだろう。
拷問が終わり、俺は部屋に戻された。
その際、ほんの一瞬の隙を突いて俺はドアの下にナットを転がした。
故障かと思い入って来た兵士を気絶させ、マシンガンをもう一人に発砲。
そこからは立ちふさがる兵士は有無を言わさず殺し、ひたすら空港を目指した。
息も絶え絶えに戦闘機を奪い、俺は基地を脱走した。
俺の運命を狂わせてきた、あの忌々しい戦争は、その日終結した。
だがそれは、何の意味もなかった。
あれを見た時から俺自身の戦いが始まっていたのだ。
果てのない戦いが。
[キリコ side out]
「……すさまじいな」
「でも、どうしてこんなに……」
「そ、そうですよ!なんでここまでして……!」
ユウナはロッチナに食ってかかる。
「キリコが見たのはメルキアの軍事機密の中でも最高レベルの案件だ。同じ立場なら帝国軍でも同じことをやると思うが?」
「し、しかしそれでも……!」
「どうなのだ?アルティナ・オライオン情報局員?」
「……否定は……しません………」
「そんな……」
「……情報は時に命よりも重くなる。もしそれが漏れれば取り返しのつかないことになる。軍隊や猟兵団に懲罰部隊が存在するのもそのためよ」
サラは敢えて厳しい口調で言った。
「「…………………」」
ユウナとクルトは顔を伏せるしかなかった。
「………一つ、よろしいでしょうか?」
「?」
ミュゼがキリコに問いかける。
「キリコさんは兵士でいらっしゃったんですよね?」
「ああ」
「百年戦争は終わったんですよね?」
「正確には休戦だ」
「その……軍隊には戻られたのですか……?」
「いや、それはない」
『えっ!?』
キリコの意外な言葉に全員がキリコを見る。
「軍の最高機密を見た以上、軍に居場所などあるはずがない」
「ま、待て!つまりお前は……」
「脱走兵だ」
『えええええっ!?』
キリコが語る真実にⅦ組と鉄機隊は驚愕した。
「脱走兵!?」
「確かに円満に除隊してる姿は想像しちゃいなかったが……」
「まさかのカミングアウトでしたね……」
「……ぶっちゃけ過ぎ………」
「マスターがお聞きになったらどのような顔をなさるか……」
それぞれが心情を口にした。
「というより、キリコ君心停止にまでなったのに死なないのね……」
「不死の異能者に偽りなしだな」
「……………………」
[ロッチナ side]
私の手を逃れたキリコを待っていたのは、また地獄だった。
地獄の名は、ウド。
元々は巨大なコンピューター工場が存在したが、それ故にバララントの標的として爆撃を受けた。
ボロボロになった街にメルキア各地から戦火を逃れた難民や食い詰めた軍隊崩れが集まり、巨大な闇市を作りあげた。
治安など最悪の部類に入る。退廃と混沌とをコンクリートミキサーにかけてぶちまけた、そんな喩えが良く似合う。
もしかすると、この世界が終焉を迎えた後はこうなるのかもしれないな。
キリコがウドの街に入ったのは終戦直後の混乱のまっただ中だった。
この地獄の様相を呈した街が、キリコによって更なる地獄に見舞われるとは、いったい誰が予想しただろうか。
ウドの街に入り込んだキリコは闇市をぶらついていた。
すると、遠くからけたたましい爆音が響いてきた。
街の住民は皆、血相を変えて逃げ出した。
当時、ウドの街はブーン・ファミリーと呼ばれる暴走族が牛耳っており、住民にとっては恐怖の象徴だったそうだ。
取り締まるべき治安警察は目こぼしを平然と行い、裏で上前をはねているばかりか、トップですら暴走族とつるんでいる。
逃走を試みたキリコも捕らえられ、連中のアジトに連行された。
キリコはそこで労働に従事する羽目になった。
「ひどい……」
「街だけではない。まるで人の心を失ってしまったかのようだ」
「終戦直後ということも手伝って、どこの街や一部を除いた国々は混乱を極めた。まるでこの国の未来を見ているようだな」
「帝国がこの街のようになると?」
「帝国だけではない。共和国にクロスベル、隣接するリベールやレミフェリアもこうなるだろう。このまま世界が終焉を迎えれば、な」
「そんなことさせない!」
「ふむ、気勢を吐くのは結構。だが叶えられなければそれは子どもの戯れ言だぞ?ま、私はどうなろうとも構わないのだが」
「あ、貴方って人は……!」
私にとってはキリコの行く末の方が遥かに重要なのでな。
それさえ見届けられるならこの世界が滅んでも構わん。
[ロッチナ side out]
[キリコ side]
ブーン・ファミリーに捕らえられた俺は何を掘っているのかも分からないまま、労働についた。
途中、拐われてきた住民と思われる男に食い扶持という名のヂヂリウムを見せてもらった。
ヂヂリウムは希少な液体金属で、コンピューターの回路などに利用されている。
そもそもブーン・ファミリーのアジトとなっている場所は巨大なコンピューター工場だった。
それがバララントの爆撃を受けて、ヂヂリウムが四方八方に飛び散ったらしい。
それに目をつけたブーン・ファミリーは街で捕らえてきた人間に掘らせている。
この時はこのヂヂリウムが俺の運命に大きく関わってくるとは夢にも思わなかった。
掘っている途中で赤い色をした雨が降ってきた。
百年も続いた戦争の穢れが赤い酸の雨となって降ってくる。当然人体には有害で、俺たちの体をジワジワと溶かしていく。
Ⅶ組全員は目に見えて分かるほど引いていた。
この世界の導力技術ならこうはならないかもしれないが、絶対にならないとも言い切れない。
作業中、さっきの男が苦しみだした。俺が駆け寄ると、見張りが銃を発砲してきた。
それに腹を立てた俺は掴みかかるも、あっという間に多勢に無勢になり痛めつけられた。
その夜、俺は脱走を決意する者たちとともに混乱を起こした。
俺は同室だった男が気になり、ブーン・ファミリーの長のブーンの屋敷に潜りこんだ。
最上階の一室に入ると、ブーン・ファミリーの幹部と思われる者たちは死んでいた。
その中に一人だけ身なりのいい中年の男が上座に座っていた。この男も死んでいた。
瀕死の重傷を負った同室の男によると、中年の男はウド治安警察の署長だと言う。
治安警察とは名ばかりに、構成員のほとんどが軍隊崩れの連中で、暴力と権力でウドの街の住民からは恐れられていた。
さらに、暴走族を取り締まるどころか、裏で上前をはねているというのだから余計たちが悪い。
ユウナは怒りに震えているようだ。彼女の目標としている警察がこんなざまでは無理もないかもしれない。
同室の男が息を引き取った直後、俺は避難していたブーン・ファミリーの幹部に追いかけ回される羽目になった。
乗っていたバイクもミサイルで破壊され、絶体絶命に追い込まれた。
その時、突然幹部の額に銃弾が撃ち込まれた。そのまま幹部はバイクの爆発に巻き込まれ死んだ。
そのまま逃げようとしたが、逃げた先はダストシュートになっていた。
そこで俺は錆び付いて役目を終えたATを発見した。
俺は錆び付いたATのコックピットの中に入って休息を取ることにした。
冷たい鉄の棺桶のはずだが、俺はまるでお袋の胸に抱かれたかのように眠りについた。
[キリコ side out]
「ふぃ~~、波乱万丈とはこのことかよ」
「これまで見て来ましたが、初めて安らいだお顔になりましたね」
「確かに、うって変わったようにも見えるが」
「コックピットの中だからこそ、だな?」
「ああ」
キリコはロッチナの推測を肯定した。
「コックピットの中だからこそ……」
「キリコに限らず、戦争帰りというのは何かしら後遺症を抱えているものさ。キリコの場合、泥沼のような戦争に病んでしまい、コックピットの中でしか安心して眠ることができないのだろう」
「キリコさん……」
「……確かに、百日戦役直後の父さんはどこかイライラしていて、よく魘されていたって」
「まさしくそれだ。特に最前線で戦う兵士は如何程のものかは想像するに難くない」
「……今なら分かる気がする。父さんがどうして音楽の道に猛反対したのか」
「エリオット……」
「戦場のなん足るかを知り尽くした御仁だからこそなのだろうな」
「感傷に浸るのもいいが、続きといこうか。キリコ、そろそろあの三馬鹿が出てくる頃合いか?」
「………そうだな」
(あら?キリコさん……なんだか)
ミュゼはキリコの顔に僅かながら変化があったことを見抜いた。
[キリコ side]
目が覚めた俺はコックピットを出て、軽く体を動かした。
不意に物音がしたため、鉄棒を構えた。
そこにいたのは白髪の男だった。
警戒を解き、白髪の男について行った先で俺は林檎を齧っていた赤い髪の女に出会った。
いきなり舌を出され、面食らった。
赤い髪の女──ココナが去った後、俺は食事にありつくことができた。
白髪の男──ブールーズ・ゴウトと名乗った男は働き口があるから契約しないかと持ちかけてきた。
だがこんな胡散臭い話にホイホイ乗るほど馬鹿じゃない。
その代わり、比較的動けそうなATを手に入れた。
さっそく修理に取りかかっていると、モジャモジャ頭の男がトラックでやって来た。
モジャモジャ頭の男──バニラ・バートラーは馴れ馴れしく接してきたが無視した。
暴走族の執拗な追っ手が迫る中、ゴウトとバニラの手を借りなんとか修理に成功。
街中で暴走族を迎え撃つことになった。
途中、治安警察の戦闘ヘリが奇襲をかけてきたため、大混乱に陥った。
この抗争でブーンを含めた暴走族の大半は命を落とし、組織としての力は急激に衰退していった。
俺の乗るATはミサイルの誘爆によって引火、炎の中で幻覚を見た。
その後、ゴウトに助け出された。
[キリコ side out]
「……無茶苦茶にもほどがあんだろ」
「そうだな」
「それにしても、なぜ治安警察は暴走族を攻撃したのでしょう?」
「新しい署長、ギムアール・イスクイ署長のやり方だよ。逆らう者は徹底的に叩き潰すという風にな」
「誰が悪いのかも分からなくなってしまったわね」
「それはそうとルスケ大佐。貴方はなぜここまで詳しいんですか?」
「簡単なことさ。私もウドの街にいたからだよ」
「貴方もいたんですか?」
「当時、我々は奪われた素体がウドの街に運び込まれたのはおおよそ掴んでいた。そして偶然キリコもウドの街にやって来たというわけさ」
「それだけではありませんよね?」
ミュゼが口をはさむ。
「ほう?」
「追われていたキリコさんは偶然助かったように見えましたが、これは第三者の手引きがあってのことですよね?ルスケ大佐?」
ミュゼは微笑んだ。
「お見事。先ほどキリコの体に打ち込んだのは実はメルキア軍製のビーコンでね。惑星メルキアの軌道上から24時間監視し続けることが可能なのだよ」
「ビーコン!?」
「宇宙から視てたってか。そりゃ逃げられねぇわな」
「キリコは気づいていたのか?」
「……それがビーコンだと気づいたのは大分先のことになる」
「少なくともこの時点では気づいていなかったわけか」
「そういえばキリコ君、さっきルスケ大佐が言ってた三馬鹿って人たちは……」
「ユウナさん、失礼ですよ」
アルティナかユウナの発言を咎める。
「あ!ご、ごめん……」
「………闇のつく武器商人のゴウトとバニラ、戦災孤児のココナ」
キリコは遠くを見るように顔を上げる。
「最初は互いに利用し合う歪な関係だったが、ウドでのある一件を経て、俺たちは戦友とも腐れ縁とも呼べるようになった」
「キリコにとって、忘れられない人たちなんだな」
「ああ」
(フッ、一番忘れられないのはフィアナだろうに)
ロッチナは心中で鼻で笑った。
[キリコ side]
ゴウトに助け出された俺は、ゴウトの事務所で手当てを受けた。
ゴウトの言うとおり、あの頃の俺は助けられたのが逆に迷惑だとでも言わんばかりの目をしていたんだろう。
Ⅶ組と魔弓からまるで同情のような視線を送られたが、今さらだ。
手当てが終わると、ゴウトは一枚の紙を寄越してきた。それはバトリングの選手としての契約書だった。
ココナとの一悶着の後、俺はゴウトに連れられてバトリングの会場に足を運んだ。
その際に、黒塗りの高級車が会場に入って行くのが見えた。
ゴウト曰く、乗っているのはファンタムレディと呼ばれる謎の女だ。女が現れる日は必ず死人が出るという。
だがなぜだろう。俺には全くの赤の他人とは思えなかった。
バトリング。
俺と同じく戦場帰りで食い詰めたあぶれ者たちがATでコンバットを見せ、観客は勝つ方に金を賭ける。
戦争の空気がいまなお残り続けるこの時代に、バトリングが生まれるのもある意味当然だった。
ちなみにバトリングはこのウドの街が発祥らしい。
俺とゴウトは選手控え室に行き、そこでボモーというAT乗りとトラブルになった。
長く戦場にいた俺にとって見れば、バトリングなど所詮、遊びだ。その一言が勘に触ったらしい。
そこでゴウトの提案で、バトリングのレギュラーゲームで決着をつけることになった。
レギュラーゲームとは武器弾薬を用いず、アームパンチのみで戦う。とはいえ、打ち所が悪ければ死ぬことだってある。
試合で使うATを選んでいると、殺気を感じた。これは控え室でトラブルになった奴じゃない。
この時、俺もゴウトも気づかなかった。このバトリングは仕組まれたものだったことに。
バトリングが始まる直前、電光板に表示されたのはレギュラーゲームではなく、リアルバトルになっていた。
リアルバトルは武器弾薬が使用可能であり、文字通りの実戦。
そして賭け金もレギュラーゲームとは桁違いのため、会場は一気に興奮の坩堝と化した。
ゴウトは俺に意地を張るなと必死に止めようとしたが、もう手遅れだ。
殺るか殺られるか、俺の頭にはそれしかなかった。
運ばれてきたへヴィマシンガンを構え、バトリングが始まった。
最初は探り合いに始まり、有効射程距離にまで詰めていく。
相手の声が聞こえてくる距離にまで詰めると、俺は相手の声に驚きを隠せなかった。
なぜなら相手はボモーではなく、コニン少尉本人だったからだ。
隙を突かれ、コックピットにへヴィマシンガンに突きつけられた。
コニン少尉は言った。『お前は死ぬべきだったんだ』と。
ただで死んでやる義理はない。
銃撃をギリギリでかわし、コックピットにアームパンチを叩き込む。
俺もギリギリだったとはいえ、殺してしまった。
これではあの不可解な作戦は何だったのか、なぜ俺を殺そうとしたのかが分からなくなってしまう。
そうとは知らないゴウトとバニラとココナは親しげに近寄って来た。
その時、突然治安警察の戦闘ヘリが乱入してきた。
どうやら俺を探していたらしい。
俺は治安警察に逮捕されることになった。
[キリコ side out]
「一難去ってまた一難、じゃのう」
「………………」
「にしても、バトリングつったか。なかなか刺激的じゃねぇの」
「どこがよ!」
「だいたい、何なんですあれは!流れ弾を気にもしないばかりか、逆に興奮するなんて!」
ユウナとデュバリィはバトリングの様相に憤慨した。
「戦場の空気を楽しんでいる、そんな感じに見えました」
「これがバトリングだ。百年戦争は文化や娯楽といった物を徹底的に破壊した。にもかかわらず、戦争の残り香が色濃く残る。そんな状況下において、バトリングが生まれるのもある意味当然と言える」
「ホント人間って、血を見るのが好きなのかしらね?」
「セリーヌ!!」
「冗談よ。さすがにここまでくると無いわ」
セリーヌは本気で怒るエマに肩を竦める。
「もしかすると、この帝国で機甲兵同士の模擬戦闘がギャンブルとして認められる日も来るのではないですか?」
(極一部では機甲兵排除論も出ているらしい。そうなると、食いつめた兵士の行き着く先が賭博という可能性も否定できないか)
キリコは自身の経験から一つの可能性を見いだす。
「どうなのだ?マキアス」
「……法律の観点からだとさすがに難しいだろう。官民一体型のイベントとしてならともかく、賭博としてはさすがに認可は下りないだろう」
マキアスは眼鏡のブリッジを上げながら答えた。
「さすがにそうだよな」
「ただ、違法な地下ギャンブルなんかだと行われるかもしれない。そう思うと気が滅入ってくるな……」
「フン、せいぜい過労死しないようにな」
「フン、言われなくとも」
ユーシスとマキアスは互いに背を向ける。
(やっぱりこのお二人……)
(息ぴったりですね)
「それはそうと、キリコ君は治安警察に逮捕されちゃったけど、どうしてなの?」
「ああ。それは……」
キリコは再び台座に触れた。
[キリコ side]
治安警察本部に連行された俺を待っていたのは尋問と拷問だった。
当初はボロー司祭による尋問だったが、効果がないと分かるとイスクイ署長による拷問が始まった。
鎖で吊るされ、警官による鞭打ちが連日続いた。
なぜ俺がこの街にやって来たのか、何が目的なのかをここまで執拗に問うてきたのか。
当時はさっぱり分からなかったが、改めて見るとよく分かる。二人は俺をメルキア軍のスパイだと思い込んでいたのだ。
それもそのはず、イスクイ署長とボロー司祭はかつてメルキア軍の将校で、小惑星リドから素体を強奪した一味のメンバーだった。
だから、あの作戦で死んだはずの俺を執拗に狙っていた。
そして口を割らない俺に対して、業を煮やしたイスクイ署長は銃殺刑に処すつもりだった。
そんな時、ゴウトたちはわざわざ危険を犯してまで、俺を救出に来てくれた。
治安警察本部を脱獄した俺たちはバニラの隠れ家で身を潜めていた。
そんな時、ゴウトの元に一本の電話がかかってきた。
それは、バトリングのマッチメーカーからでリアルバトルの申し込みだった。
ゴウトは断る気でいたが、報酬の5千万ギルダンに躊躇していた。
金なんぞには興味はないが、奴らの正体を暴くチャンスだ。
そう思った俺はゴウトたちを退けて、バトリングを受けることにした。
バトリングの会場に着いた俺はいきなり砲撃を受けた。敵は複数らしい。
離れた所でバニラたちがごちゃごちゃ言っているが、どうでもいい。
それにしてもこの戦法は見たことがある。
相手の声を聞いて俺は確信した。相手はオリヤ大尉だ。
以前オリヤ大尉から市街地での戦闘の手解きを受けたことがある。
二人一組になり、片方が囮となって敵をひきつけ、もう片方が敵を撃つ。
厄介な相手だが、地形を利用すれば勝機は必ずある。
一機ずつ確実に倒し、最終的にオリヤ大尉を追いつめた。
俺はオリヤ大尉に銃を向け、小惑星リドの作戦の内容から、あれが何なのかを聞き出そうとした。
だがどこからか飛んできたミサイルの直撃をくらったオリヤ大尉は死に、俺も爆撃に晒された。
バニラを先頭に地下水道を通ってなんとか逃げきった。
この日を境に、俺は治安警察との抗争に身を投じることとなった。
[キリコ side out]
「全然尻尾を出さんな」
「あのミサイルは完全に口封じでしょう。そうじゃなければ、説明がつきません」
「君も災難だな」
「愚連隊の次は警察組織ですか」
「……あんなの警察じゃないわよ」
「治安警察の大半はあんなものだ」
「クロスベル軍警の方がよっぽど骨があるな」
「あったりまえです!ろくな捜査もしないであんな目に遭わせて!しかもどう見ても即刻銃殺刑だなんて!警察だってこと自体名乗ってほしくないわ!」
「ユウナ……」
「後、ルスケ大佐!聞きましたよ!キリコ君にオーダーだが何だかを出してクロスベルを混乱させてたって!」
ユウナはロッチナに食ってかかる。
「全ては黒の史書を書かれた呪いの根源を引きずり出すためだよ」
「だ、だからって……」
「それに、君たちは君たちで知らない所でキリコに借りをつくっているのだぞ?」
「えっ?」
「借り?」
「どういうことですか?」
「もしかすると……」
「あん?」
「以前、クロスベルのジオフロントで脱出する際……」
「そういえばやけに簡単に脱出できたけどよ……おいっ!まさかてめえ!?」
「……アッシュの想像どおりだ」
「……なるほど。私たちはキリコさんのおかげで脱出できたわけですか」
「他にも、衛士隊の追っ手を長距離狙撃で足止めをしたり、とかな」
「マジか……」
「考えてみれば、君もクロスベル入りしていたんだよな」
「というかキリコ君、狙撃も出来るの!?」
「以前、マヤから手解きをしてもらったことがある」
「そんなことがあったのか」
「こと戦闘については万能ですね」
「そうでもない。俺は武術はからっきしだ」
「確かに刀剣とナイフは別物だが……」
「そういう問題でしょうか?」
アルティナはクルトの視点に呆れた。
「そしてその後、私たちはキリコさんに足腰が立たなくなるまで散々に弄ばれたということですね♪」
「誤解を招く言い方やめい!」
ユウナが突っ込んだ。
「……マスターのおっしゃっていたとおりですわね」
「寡黙だが決して利己的ではなく、仲間のためとあらば命を投げ出すことも厭わない。既に見抜いてらっしゃったのだろう」
「義侠心に篤い男は嫌いじゃないわね♪」
「エンネア!?」
(ククク……なかなか面白いことになってんじゃねぇか)
離れて見ていたクロウの口が歪む。
(ふぬぬぬ……!絶対にキリコさんは渡しませんから!)
ミュゼは密かに対抗心を燃やしていた。
「しかし、見れば見るほど若いな。今のキリコとは雲泥の差だ」
「………………」
「……前から気になっていたんだが」
クルトが口を開く。
「キリコはその……一度死んで転生したんだよな」
「ああ」
「その……言いづらいことだが……」
「77歳だ」
「え?」
「アストラギウスで俺は77歳まで生きた」
「ほう、わりと長生きした方だな」
「77歳……」
「確かに長生きした方ですね」
「そして今のキリコさんは18歳ですね」
「なるほどな……」
ロッチナは納得したかのように頷く。
「クルト・ヴァンダール君、君の疑問には私が答えよう。前世の記憶、すなわちキリコが生きた77年分の記憶は確実に受け継がれている。単純に言えば、キリコの精神年齢はこちら側と合わせて95歳ということだ(まあ、32年も眠っていたことはカウントしなくていいだろう)」
「95!?」
「若い肉体に老練な精神力に異能者の力。加えて第Ⅱ分校で得た知識と経験。もはや私の知るキリコ・キュービィーとは別物となっているのだ」
『…………………………………』
二代目Ⅶ組は空いた口が塞がらなかった。
「……つまり、キリコの強みは異能者というよりも、長きに渡る戦いによって培われた経験則と言いたいわけですか」
「いかにもそうだ」
「やっぱりそうでしたか……!」
「め、滅茶苦茶すごいってことは理解したわ……」
「とはいえ、演習中でのキリコさんの言動や行動から考えると、納得できるものがありますね」
「サザーラントでの『戦場ではこういったことは畳み掛けるのが常だ。泣き言を言う前に、この状況をなんとかしたいとは思わないのか?』は最たるものかもしれませんね」
「それだけ言葉に重みがあるんだろうな」
「ケッ!前からどうもジジ臭ぇと思ってたんだよ!」
「……そう言ってる割には、キリコ君の助言には耳を傾けてなかった?」
「私たちは勿論ですが、アッシュさんは特に顕著だったかと」
「うるせぇ!」
「どうどう。とにかく、キリコ」
リィンはキリコに向き直る。
「……………」
「君のその力は紛れもなく君自身の力だ。その力を、俺たちに貸してくれないか。世界を終わらせないために」
「………わかりました」
キリコはリィンの目を見て答える。
(フッフッフ……これで面白くなってきた。ワイズマンよ、キリコという名の針は確実にあなたの心の臓を捉えはじめてきましたよ)
ロッチナは愉快そうに嗤った。
長くなるので続きは次回に持ち越しです。
言うまでもありませんが、アルフォンスとは作者が考えたオリキャラです。