英雄伝説 異能の軌跡Ⅱ   作:ボルトメン

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 長らくお待たせしました。


捕縛②

 「ここですね」

 

 「この奥にハーキュリーズが潜伏しているわけか……」

 

 陽動チームとなった二代目Ⅶ組とガイウスはエイボン丘陵の封鎖区画の前に到着した。

 

 「何とか無力化させつつ正気に戻せるといいんですが……」

 

 「ああ、そうだな………っと」

 

 リィンのARCUSⅡに通信が入った。

 

 『もしもしリィン君――そちらの準備はできた?』

 

 「ええ、先ほど所定の位置につきました。そちらが問題なければいつでも作戦を開始できます」

 

 リィンはスピーカーモードにして陽動チーム全員に聞こえるようにした。

 

 『そっか、了解だよ』

 

 『なお先ほどターゲットの配置を確認しましたが――やはり4人1組で行動している模様です』

 

 『哨戒班とガンシップの防衛班、後はリーガン大尉とコーディ准尉を含む指揮班ですね』

 

 カエラ特務少尉は情報収集で得られた情報を述べていく。

 

 『改めて確認すると、諸君らに頼みたいのは哨戒班の引きつけと確保――加えて指揮班を押さえることだ』

 

 『相手は精鋭……それに黄昏の影響もある。君たちもくれぐれも気をつけることだ』

 

 「はい――そちらもどうかお気をつけて」

 

 『――それじゃリィン君たち。さっそく始めてもらっていいかな』

 

 「ええ、了解です」

 

 そう言ってリィンは通信を切った。

 

 

 

 「それでフェンスを封鎖している錠は……教官が?」

 

 キリコは錠を見ながらリィンに問いかける。

 

 「ああ、学生の頃にケルディックで音を出さないように南京錠を斬ったこともあったが……」

 

 リィンは太刀に手をやった。

 

 「だが、今回は相手に気付かれた方が都合がいい。なるべく派手に狼煙を上げるとしよう」

 

 「ククク、面白くなってきやがった」

 

 アッシュは獰猛な笑みを浮かべる。

 

 「…………………………」

 

 リィンは目を閉じ、構えた。

 

 「八葉一刀流――六ノ型・緋空斬」

 

 目を開いたリィンは斬撃を飛ばす。

 

 錠は斬り裂かれ、大きな音をたててフェンスが開いた。

 

 「教官――お見事です」

 

 「ここまでやれば相手にも動きがあるはずです」

 

 「では……」

 

 「ああ――このまま一気に突撃するぞ!」

 

 『応――!』

 

 陽動チームは封鎖区画へと突入した。

 

 

 

 一方、ハーキュリーズ05部隊アジトでは――

 

 「リーガン大尉、先ほどの物音は……」

 

 リィンの目論見通り、アジトは色めき立っていた。

 

 「フン、愚かな帝国人がやって来たのだろう。だが我々の計画の障害となるなら容赦はせん。哨戒班」

 

 リーガン大尉は哨戒班を整列させた。

 

 「奇襲をかけたつもりだろうが奴らはRAMDAの対処法までは知らんはずだ。逆に奇襲をかけて殲滅して来い」

 

 『ハッ!』

 

 哨戒班はRAMDAで透過させ、出発した。

 

 「哨戒班が戻り次第、近隣の街を襲撃する。愚かで救いようの無い帝国人共に我ら共和国軍の怒りを思い知らせてやれ!」

 

 「この新型砲弾――マレディクシオンでな!」

 

 『イエス・サー!』

 

 ハーキュリーズ05部隊の士気は熱を帯びた。

 

 「……………………」

 

 ただ一人、コーディ准尉を除いて。

 

 

 

 「総員、止まれ」

 

 魔獣を蹴散らしながら進んでいた二代目Ⅶ組は通信が入り、歩を緩める。

 

 「トワ教官からですか?」

 

 「ああ、何かあったのか……」

 

 リィンはARCUSⅡをスピーカーモードにして開く。

 

 『リィン君――今ちょうど岩で出来たアーチの近くにいるよね』

 

 「はい。何かありましたか?」

 

 『カエラ特務少尉とも話したんだけど――その先の陰に哨戒班が潜んでいる可能性が高いから警戒して欲しいんだ』

 

 (確かに待ち伏せには最適な場所だな)

 

 キリコは岩のアーチを注意深く見つめる。

 

 「なるほど……なかなか相手の気配すら感じないのでおかしいとは思っていましたが」

 

 「潜入工作に長けた特殊部隊……やはり一筋縄ではいかないな」

 

 「ああ、例のRAMDAの機能もそうだが……流石に手強いな」

 

 「トワ先輩――どうもありがとうございます」

 

 『ううん――どうか気をつけてね!』

 

 トワとの通信は途切れた。

 

 「ふふ、トワ教官のナビゲーションは頼りになりますね」

 

 「ああ、これで不意を突かれなくて済みそうだな」

 

 「ならこちらから撃って出ようぜ」

 

 「いや、ここは念には念を入れるべきだ」

 

 キリコは待ったをかけてアルティナの方を向いた。

 

 「ステルスモードで空中から観察していてくれ。奇襲を仕掛けてくる奴がいたら対処を頼む」

 

 「了解しました」

 

 アルティナはクラウ=ソラスのステルスモードを起動した。

 

 「そこまでしなくても良いんじゃないの?」

 

 「馬鹿正直に4人全員で来るとは思えない」

 

 「確かにな。気配すら読ませねぇなら奇襲は1人で足りるってわけか」

 

 「ああ」

 

 「ではこちらは……」

 

 「真正面から仕掛ければいい」

 

 「決まったようだな」

 

 リィンが声をかけた。

 

 「では行くぞ」

 

 陽動チームは岩のアーチへと向かった。

 

 

 

 「そろそろ連中と接触するはずだな」

 

 リーガン大尉は時計を見ながら呟く。

 

 「ガンシップの調整は後どのくらいだ?」

 

 「ハッ!最終調整も残り30分足らずで完了します」

 

 「そうか……」

 

 リーガン大尉は新型砲弾を見つめ、狂気的な笑みを浮かべる。

 

 「ククク……いよいよだ。いよいよ我らの怒りを知らしめる時だ」

 

 「ええ、まったくその通りであります」

 

 「それを成し得るためのマレディクシオンですからな」

 

 「……………………………」

 

 周りが新型砲弾を見つめる中、コーディ准尉は背を向けていた。

 

 

 

 (マレディクシオンですって!?)

 

 リーガン大尉ら指揮班の会話を盗聴していたをカエラ特務少尉の顔が青ざめる。

 

 (カエラ少尉!?)

 

 (それはいったい?)

 

 トワとテイタニアはただ事ではないことを察した。

 

 (……共和国軍技術局が開発した新型砲弾のことよ)

 

 (それは今の会話で理解している。知りたいのはそれがどのような結果を齎すのかだ)

 

 テイタニアはカエラ特務少尉に詰め寄る。

 

 (………あれはただの砲弾じゃない。複数の毒性物質をかけ合わせて造られた化学兵器よ)

 

 (放たれれば最後、半径100アージュ以内には人も動物も残らず感染すると言われているわ)

 

 (な……!?)

 

 テイタニアは思わず硬直した。

 

 (兵器そのものは十月戦役よりも以前から研究されていたらしいわ。でも、開発に関わった機関があまりに非人道的な実験を行っていたとして、大統領令により研究機関は解体、出来上がったサンプルは廃棄されていたはず……)

 

 (そ、そんなものがどうしてこんな所に……!)

 

 (……何者かによる手引だろうな)

 

 (そんな……)

 

 カエラ特務少尉は愕然となった。

 

 (そ、そんなものを使ってしまったら……)

 

 (もはや戦争ではなくなる。そうなればハーキュリーズはもとより、共和国は終わりだろう)

 

 (さらに周辺諸国からも見捨てられるだろうな。非人道的な兵器を投入したと見做されるだろうし、世論もその方向に向かうだろう。黄昏の呪いに覆われる今の帝国なら尚更な)

 

 (……………………)

 

 トワは青ざめ、体が震え上がる。

 

 (だが、今はガンシップを押さえるのが先決だ。気落ちしている場合ではないぞ)

 

 テイタニアは毅然と振る舞う。

 

 (……ええ、分かっているわ)

 

 カエラ特務少尉は何とか頭を切り換える。

 

 (リィン君たち……急いで……!)

 

 トワは祈るように陽動チームのいる方角を見つめた。

 

 

 

 一方、陽動チームは哨戒班との戦闘にはいっていた。

 

 「く、クソ!こちらは完全に気配を消していたはずなのに!」

 

 予想だにしない状況にハーキュリーズは劣勢を強いられた。

 

 「だ、だが錬度は此方の方が上だ!正面から排除して――」

 

 「フレイムグレネードⅡ」

 

 状況の立て直しに回ろうとした哨戒班の動きをキリコのクラフト技が妨害する。

 

 「ぐあっ!?」

 

 「合わせろ!」

 

 「OK!ジェミニブラストⅡ!」

 

 「ムーランルージュⅡ!」

 

 キリコの後方からユウナとミュゼの援護が決まった。

 

 「教官!クルトさん!今です!」

 

 「「応!」」

 

 リィンとクルトが哨戒班目掛けて斬りかかった。

 

 「秘技・裏疾風!」

 

 「テンペストエッジⅡ!」

 

 二人の斬撃は哨戒班の士気を大いに削った。

 

 「最後の押しだ。決めるぞ!」

 

 「あいよ!」

 

 ガイウスとアッシュが得物を構える。

 

 「ゲイルストームⅡ!」

 

 「ランブルスマッシュⅡ!」

 

 竜巻を飛ばすクラフト技と痛烈な一撃を叩き込むクラフト技は哨戒班を吹き飛ばす。

 

 吹き飛ばされた哨戒班にもはや勝ち目はなくなった。

 

 

 

 (クッ!ここは一旦退いて――)

 

 「逃がしません」

 

 ステルスモードを解いたクラウ=ソラスが退却しようとした哨戒班の一人を拘束した。

 

 「ナイス、アル!」

 

 「わたしだけ忘れてもらっては困ります」

 

 アルティナは小さく微笑む。

 

 「キリコの予想はズバリ的中だな」

 

 「ああ」

 

 「ふふ、見事にお株を奪われてしまいました♪」

 

 ミュゼは微笑んだ。

 

 「う、ううう……」

 

 膝を付いた哨戒班は陽動チームを睨みつける。

 

 「こ、ここまでか……」

 

 「ああ……だがこれで……」

 

 「時は稼げた………」

 

 哨戒班は意識を手放した。

 

 「ガイウス――彼らの様子を見てくれるか」

 

 「ああ――任せてくれ」

 

 ガイウスは哨戒班を調べ始めた。

 

 数分後、リィンたちの方を向いた。

 

 「結論から言うと……どうやら彼らは再び眷族化したわけではないようだ」

 

 「どうやら一種の催眠状態にかかっていたみたいだが……」

 

 「催眠?」

 

 「操られてたってか?」

 

 (なら、それをかけた元凶がいるということか)

 

 キリコは哨戒班を見ながら思案した。

 

 「察するに、隊長格の方が怪しそうですね」

 

 「ああ……ともあれ彼らはしばらくこのままでも問題はない」

 

 「……以前のように全身がズタズタということはないのか?」

 

 「ああ。本格的な眷族化ならばそうなっていただろうが、今回はそこまでではない」

 

 キリコの疑問にガイウスは断言した。

 

 「よ、良かった〜……」

 

 ユウナはホッと胸を撫で下ろす。

 

 「それよりも、一刻も早く元凶の方を何とかするべきだろう」

 

 「だな」

 

 「ああ。それにこいつの言ったことが気になる」

 

 キリコは哨戒班の一人に目をやる。

 

 「時は稼げた、だったな」

 

 「このまま飛行艇で向かうってことじゃないの?」

 

 「連中の数はそう多くはない。いくら飛行艇があろうとも、それだけでは事は成せない」

 

 「となると、此方の知らない切り札を持っているのかもしれないな」

 

 「切り札……」

 

 「それはいったい……」

 

 「そろそろ切り換えてくれ」

 

 リィンは二代目Ⅶ組を向かせる。

 

 「現時点では何だって疑える。今は元凶の所までたどり着くことが先決じゃないか?」

 

 「ッ!そうですね!」

 

 「確かにダラダラしてる暇はねぇな」

 

 「向かいましょう、教官」

 

 「分かった――それじゃあこのまま一気に制圧するぞ」

 

 陽動チームは再び動き出した。

 

 

 

 「チッ!何をチンタラしている!」

 

 リーガン大尉は哨戒班が戻らないことに苛立ち、舌打ちを打つ。

 

 「ガンシップの調整はどうだ!?」

 

 「間もなく完了します!」

 

 「そうか……やむを得ないが、我々だけで動くしかあるまい」

 

 リーガン大尉は軍帽を被り直し、ガンシップに近づく。

 

 「ククク、いよいよだ。いよいよ裁きの時だ」

 

 「これは我々だけではない。傲慢で恥知らずな帝国の者共に振り下ろす、全ての共和国民の怒りと正義の鉄槌なのだ――」

 

 「もう止めてください!大尉!」

 

 コーディ准尉の我慢も限界だった。

 

 

 

 「もう少しで潜伏場所だな」

 

 陽動チームは魔獣を蹴散らしながら奥へと突き進んでいた。

 

 その時、リィンのARCUSⅡに通信が入った。

 

 「はい、こちら陽動チームです」

 

 『リィン君、今どの辺り!?』

 

 トワは急かすように問いかける。

 

 「後少しで潜伏場所に到達する見込みですが、何かありましたか?」

 

 『いい?落ち着いて聞いて――』

 

 トワはハーキュリーズ指揮班の会話とカエラ特務少尉からもたらされた情報を話した。

 

 「な……!?」

 

 リィンは開いた口が塞がらなかった。

 

 (どうやら本当に何かあったようだな)

 

 キリコは目を細めた。

 

 「……分かりました。急いで向かいます」

 

 『気をつけてね……』

 

 リィンは通信を終えた。

 

 「教官……」

 

 「あまり愉快な内容ではないようですね」

 

 「ああ……聞いてくれ」

 

 リィンは通信内容を二代目Ⅶ組とガイウスに告げた。

 

 「化学兵器!?」

 

 「バカな……正気なのか……?」

 

 「おいエセふわ、お前が感じたことってのは……」

 

 「ええ。でもまさかそのような代物を持ち出してくるとは……」

 

 さしものミュゼも化学兵器という可能性は読み切れなかった。

 

 「キリコ、向こう側には化学兵器ってのはあんのか?」

 

 アッシュはキリコに問いかけた。

 

 「……それほど詳しいわけではないが、厄介なものなら聞いたことがある」

 

 「それは?」

 

 「VXとか言う代物だ。ほんの僅かでも吸引・接触しようものなら即座に感染。全身を激しい痙攣が襲い、内蔵を吐き出さんほどの苦痛の末に死に至るというらしいが……」

 

 「なんだそりゃ……」

 

 「さらに親油性が高く、薬品を用いなければ洗浄が出来ないらしい」

 

 「水ではとても洗い流せないということですか」

 

 「そ、そんなものが……!?」

 

 「とはいえ、こちら側の技術力ではまだそこまでには至らないだろう」

 

 「どちらにせよ、使われれば敵味方問わず、ただでは済まないだろうが」

 

 「はい。帝国側に共和国殲滅の名分を与えるだけでなく、決起軍の結束も大きく揺らぐでしょう」

 

 「政治的に考えれば、当然か」

 

 「い、急いで止めないと!」

 

 「分かっている。急ぐぞ!」

 

 陽動チームは走り出した。

 

 

 

 「そろそろ衝突する頃合いか」

 

 「そうですね」

 

 同時刻、ロッチナとレクター少佐はミルサンテのカフェテラスで紅茶を楽しんでいた。

 

 「〜〜〜……ふむ、良い香りだ。ここはなかなかの穴場だな」

 

 「ええ……」

 

 レクター少佐はカップの紅茶を飲み干す。

 

 「さて、そろそろ聞かせてもらいましょうか?」

 

 「何がだね?」

 

 「アンタ………全部知ってたんだろ?」

 

 レクター少佐はロッチナを見据える。

 

 「全部、というと?」

 

 ロッチナはさらりと受け流す。

 

 「そもそも、あの特殊部隊が拘束されていたのは情報局お抱えの場所だ。だが連中はあそこから脱出した」

 

 「合鍵でも造られたのではないのかな?」

 

 「ところがだ。あの鍵は特別な製法で造られていてな。その造り方は俺でも知らねぇ。知ってんのはそれこそ鉄血のオッサンくらいのもんだ」

 

 「ふむ。確かに私でも知らないな」

 

 「だがマスターキーは存在する。それを持ってんのは、この世でアンタだけだ。しかも宰相閣下の任命によってな」

 

 「これでもシラを切るかい?ルスケ大佐殿?」

 

 「………………………」

 

 「………………………」

 

 互いに無言になった。

 

 「フフフフ……」

 

 ロッチナは笑みを浮かべ、降参するように両手を挙げた。

 

 「流石はレクター・アランドール少佐。鉄血の子供たちは伊達ではないな」

 

 「な〜にが流石だよ」

 

 ロッチナの変わり身にレクター少佐の呆れかえった。

 

 「全てはアイツのためってわけですか」

 

 「そうだ」

 

 ロッチナは紅茶のお代わりを注いだ。

 

 「私やキリコが生きたアストラギウス以上にバラエティに富んだこの世界に於いて、不死の異能者が何を齎すか。わたしの興味はそれに尽きる」

 

 「なら聞くが、アイツがこの世を全部破壊し尽くしちまうようなことになっても……アンタは変わらずにいられんのか?」

 

 レクター少佐は鋭い視線を送った。

 

 「フフフフ……」

 

 ロッチナは紅茶を啜り、レクター少佐を見返す。

 

 「望むところだよ……!」

 

 「ッ!?」

 

 狂気を孕んだ笑みにレクター少佐は思わず気圧された。

 

 「…………」

 

 ロッチナは微笑みながら、レクター少佐のカップに紅茶を注いだ。

 

 (どうやらまだこのおっさんのことを見縊ってたらしいぜ……)

 

 レクター少佐は本心を悟られないように努めるのに精一杯だった。

 

 

 

 「見えた……!」

 

 陽動チームはハーキュリーズ05部隊が潜伏する場所を捉えた。

 

 「まだ動いてなさそうね」

 

 「……キリコ、どう思う?」

 

 「先ほどの哨戒班の帰還を当てにしているにしても、動きが無さすぎる。内部で何かあったようですね」

 

 「だな」

 

 「確かに動きがあってもよさそうだが」

 

 「では、私が先行しましょうか?」

 

 「いや、ここは正面突破だ」

 

 クラウ=ソラスに乗ろうとしたアルティナをリィンが止めた。

 

 「確かに不意を突くなら絶好のタイミングかと」

 

 「でも、待ち構えてるってことはないんですか?」

 

 「いや、連中は早く行動に移りたいはずだ。なら待ち構える意味はない」

 

 「そ、そっか……」

 

 ユウナは納得した。

 

 「教官、そろそろ」

 

 「ああ。ここからは死地だ。くれぐれも油断するな」

 

 『イエス・サー!』

 

 「応!」

 

 陽動チームは潜伏ポイントへと駆け出す。

 

 

 

 「陽動チーム、動き出しました」

 

 「私たちも行きましょう」

 

 「目的はガンシップ及び新型砲弾の確保。行くぞ」

 

 陽動チームと連携して奪取チームも動き出した。

 

 

 

 「お、お願いです、リーガン大尉……!俺たちがどう足掻いた所で……帝国に与えられるダメージなんて知れてるじゃないですか」

 

 「それも軍事拠点じゃなくて街を対象にした破壊工作だなんて……」

 

 「いや、それだけならまだしも……あんなモノまで持ち出すなんて正気の沙汰じゃありませんよ」

 

 「こ、ここは大人しく投降しましょう――実は姉さんに言って、共和国に帰れる段取りもつけてもらっているんです」

 

 「コーディ准尉、貴様本気で言っているのか?」

 

 陽動チームが乗り込んだ先では、コーディ准尉がリーガン大尉ら指揮班に必死の説得を試みていた。

 

 「貴様をことを心底、見損なったぞ……」

 

 「…………………」

 

 「帝国という存在は私の先輩にして貴様の父親の仇――もはやそのことを忘れたのか」

 

 「そ、それは……」

 

 「フン……もう貴様には期待せん」

 

 リーガン大尉は駆けつけた陽動チームの方を向いた。

 

 「フフ、愚かなる帝国人よ――見苦しい所を見せたな」

 

 「……………」

 

 「どうやら、こいつが売った情報を元にここへ来たようだが……もはや我々は隠れ立てはせん」

 

 リーガン大尉ら指揮班の身体から黒いオーラから湧き上がった。

 

 「今コソ、コノ〝チカラ〟デ――えれぼにあトイウ罪深キ国ニ鉄槌ヲ下シテヤル!!」

 

 リーガン大尉は陽動チームの前にルキフグスを顕現させた。

 

 『!?』

 

 「ひいぃっ……!あの時の赤い悪魔……!?」

 

 「リーガン大尉といったか……どうやら完全に呪いに侵されてしまったようだな」

 

 「悪魔を使役する能力……」

 

 「このまま放置すれば、いずれは外法になる可能性も……」

 

 「クカカッ、コレハイイ――マサニ最高の気分ダ」

 

 ガイウスの不安を余所に、リーガン大尉は恍惚に浸る。

 

 「サア――貴様ラノ悲鳴ヲ聞カセテモラウゾ!」

 

 ハーキュリーズ05部隊指揮班とルキフグスが襲いかかる。

 

 

 

 「ッ!」

 

 ルキフグスは錫杖を容赦なく振り下ろした。

 

 「くっ!」

 

 リィンはギリギリで躱した。

 

 「「RAMDA、駆動」」

 

 ハーキュリーズ隊員の二人がアーツを放とうとRAMDAを駆動させた。

 

 「させるか!真・双剋刃!」

 

 クルトの放った斬撃はRAMDAの駆動を妨害した。

 

 「ならば!」

 

 リーガン大尉がクルトに斬りかかる。

 

 「させない!」

 

 「クリアブラストⅡ」

 

 ユウナとキリコの銃撃がそれを阻んだ。

 

 「今です!」

 

 「心得た!タービュランスⅡ!」

 

 「続きます、オワゾーブルーⅡ!」

 

 ガイウスとミュゼのクラフト技が敵を貫く。

 

 「ッ!!」

 

 ルキフグスは錫杖を地面に突き立て、魔法陣を展開させた。

 

 「これは……!」

 

 「しまっ……!?」

 

 魔法陣から湧き上がる瘴気を受けた者は崩れ落ちるように眠りについた。

 

 (なら……)

 

 瘴気を免れたキリコはレキュリアの薬を蒔き、眠っていた者たちを起こした。

 

 「済まない、キリコ!」

 

 「礼は後にしてください」

 

 キリコは狙いを定めていたハーキュリーズ隊員らに発砲しながら答えた。

 

 「くらえや、ディスペアースロー!」

 

 ハーキュリーズ隊員らの真横に移動していたアッシュが魔力の籠もったダーツを投げつけた。

 

 「ぐっ!小童が!」

 

 アサルトライフルを持ったハーキュリーズ隊員が銃口をアッシュへと向けた。

 

 「秘技・裏疾風!」

 

 即座にリィンが斬りかかり、その隙にアッシュが下がった。

 

 「こちらも行きます。ブリューナクⅡ、照射!」

 

 クラウ=ソラスのレーザーがルキフグスに直撃した。

 

 「フレイムグレネードⅡ」

 

 ダメ押しにキリコのクラフト技がルキフグスに軽くないダメージを与えた。

 

 (どうやら効いたようだな)

 

 「オノレ!!」

 

 リーガン大尉は黒いオーラを滾らせてキリコに斬りかかった。

 

 「っ!ハンティングスロー」

 

 すかさずキリコはリーガン大尉の足に投げナイフを放つ。

 

 「グアッ!?」

 

 リーガン大尉は動きを止めた。

 

 (そして……!)

 

 さらにルキフグスの頭部目掛けて引き金を引いた。

 

 「ッ!!?」

 

 ルキフグスの動きが鈍った。

 

 「(ここしかないか)教官!」

 

 「ああ!灰ノ太刀・絶葉!!」

 

 キリコの声を起点にリィンのSクラフトが炸裂した。

 

 ルキフグスは消滅し、ハーキュリーズ05部隊指揮班は全員膝をついた。

 

 

 

 「コ、小癪ナ……!」

 

 「ダガ!!」

 

 リーガン大尉はスイッチのような物を取り出した。

 

 「あれって……!」

 

 「起爆装置か!」

 

 「不味い!向こう側にはまだ先輩たちが!」

 

 「くっ!うおおおおっ!」

 

 リィンは必死に駆け出した。

 

 「ククク……死ネエエェェッ!!!」

 

 リーガン大尉は狂気の笑みを浮かべ、起爆装置のスイッチを押した。

 

 

 

 少し前―――

 

 「ぐっ……!」

 

 「バ、バカな……!?」

 

 「これで見張りは全部か」

 

 陽動チームが刃を交えている頃、ガンシップの防衛班はテイタニア一人に制圧されていた。

 

 「な、なんなの……本当に……」

 

 「すごい……」

 

 テイタニアの技量を目の当たりにしたカエラ特務少尉とトワは目を見開いた。

 

 「時間が惜しい。さっさと終わらせるぞ」

 

 テイタニアは一瞥すらせず、ガンシップに乗り込んだ。

 

 「テ、テイタニアさん!」

 

 「ま、待って!」

 

 トワとカエラ特務少尉は慌ててテイタニアの後を追った。

 

 ガンシップ内では既にテイタニアが操作にはいっていた。

 

 「………………チッ」

 

 最後の工程でパスワードが必要になり、テイタニアは思わず舌打ちをした。

 

 「ここは貴女に任せた方が良さそうだな」

 

 「え、ええ。任せて」

 

 テイタニアと交代したカエラ特務少尉はコンソールにパスワードを打ち込もうとした。

 

 その瞬間、警告音が鳴り響いた。

 

 「これって!?」

 

 「何かあったようだが?」

 

 「……いけない!」

 

 カエラ特務少尉の顔が青ざめた。

 

 「新型砲弾が起爆しようとしてるわ!」

 

 「何だと!?」

 

 「直ぐに脱出を!」

 

 三人はガンシップから急いで降りようとした。

 

 だが、搭載された新型砲弾が輝き出した。

 

 「しまっ……」

 

 「間に合わ……」

 

 (リィン君……)

 

 三人は覚悟を決めた。

 

 「フフフフ……」

 

 その時、この状況に不似合いな声が響いた。

 

 

 

 「ソ、ソンナバカナ……!?」

 

 リーガン大尉は確かに起爆装置のスイッチを押した。

 

 だがガンシップは突如として顕れた結界に覆われ、新型砲弾の起爆は完全に防がれた。

 

 「ど、どうなってるの?」

 

 「……どうやら、予期せぬ助けがあったようですね」

 

 ミュゼは微笑んだ。

 

 「そちらは置いておいていいだろう。今は――」

 

 キリコはリーガン大尉らの方を向いた。

 

 「こいつらを捕らえる方が先だ」

 

 「それもそうだな」

 

 陽動チームはリーガン大尉らとの距離を詰める。

 

 「クッ!マダダ……!」

 

 リーガン大尉から再び黒いオーラが吹き出る。

 

 「帝国ノ奴ラヲ……皆殺シニスルマデハ……!」

 

 再びルキフグスが顕現した。

 

 「これは……!」

 

 「また顕れた!?」

 

 「流石にこれ以上は……」

 

 「……いや違う!」

 

 ルキフグスは陽動チームではなく、リーガン大尉に狙いを定める。

 

 「ナ、ナゼダ!?」

 

 リーガン大尉の動きは鈍った。

 

 「あ、悪魔め――こっちだ!」

 

 コーディ准尉はルキフグスを引きつけようと発砲した。

 

 「まずい――俺たちも加勢するぞ!」

 

 「その必要はないわ」

 

 突如、ルキフグスの足元から蒼い焔が吹き上がる。

 

 ルキフグスは断末魔の叫びと共に消滅した。

 

 

 

 「これは、もしや……」

 

 「……来ていたのか」

 

 「い、今のはいったい……!?」

 

 黒いオーラから解放されたリーガン大尉は呆然となった。

 

 「さあ――これで残ったのは貴方だけだ」

 

 「これでもまだ、やり合いますか?」

 

 「くっ……」

 

 リーガン大尉は歯軋りをした。

 

 「大尉……」

 

 コーディ准尉はやり切れない目でリーガン大尉を見つめる。

 

 「そこまでよ、大尉」

 

 そこにカエラ特務少尉らが駆けつける。

 

 「カエラか……。では防衛班は――」

 

 「既に捕縛している」

 

 テイタニアがリーガン大尉に目を向ける。

 

 「そちらも成功したようですね」

 

 「う、うん。思わぬ助っ人が来てくれたんだけど……」

 

 「それは後ほど。さて――」

 

 リィンは再びリーガン大尉の方を向いた。

 

 「先ほどの問いについてはまだでしたね。まだ、やり合いますか?」

 

 「………………………………」

 

 「………………いや……いい」

 

 リーガン大尉は得物を地面に下ろした。

 

 「………部下の身の保障は……してもらいたい…………」

 

 リーガン大尉は倒れ込んだ。

 

 「気を失ったか……」

 

 「相当な力を使っただろうし……無理もないだろうな」

 

 その後、リィンたちに回収されたハーキュリーズ隊員たちの処置が行なわれ、リーガン大尉に発生した眷族化の因子を取り去ることにも成功した。

 

 

 

 「リィン君たち、お疲れ様」

 

 「ええ、そちらも――じゃなくて!」

 

 笑顔で迎えたヴィータにリィンが突っ込む。

 

 「ど、どうしてこちらに!?」

 

 「魔の気配を感じたからまさかと思って来てみたのよ。そしたらなんだかピンチだったから手助けさせてもらったわ」

 

 「そ、そうだったんですか」

 

 「それはともかく、これはどうするの?」

 

 ヴィータは結界で覆われたガンシップに目を向ける。

 

 「こいつが残ってたな」

 

 「ですが、このまま結界を解けば……」

 

 「毒性物質がバラ撒かれることになるだろうな」

 

 キリコが前に出る。

 

 「やはり……」

 

 「さらに、毒性物質で汚染されたガンシップや地面の洗浄も不可欠だ」

 

 「そこまですんのか……」

 

 「毒性物質に耐性のある魔獣によってさらに撒き散らされる可能性があるからな」

 

 テイタニアも前に出た。

 

 「なら、どうすれば……」

 

 「………………」

 

 キリコは腕を組み、思案した。

 

 「……汚染されたガンシップを周囲2アージュの地面ごと取り出して、焼却処分するしかない」

 

 『!?』

 

 キリコの提案にテイタニア以外が驚愕した。

 

 「結界で覆った状態で浮遊させることは出来るか?」

 

 「……無理ね」

 

 ヴィータはきっぱりと言った。

 

 

 

 「そんな……!」

 

 「クロチルダさんでも無理なのか……」

 

 リィンたちは肩を落とした。

 

 「……私一人ならね」

 

 ヴィータは微笑んだ。

 

 「そ、それって……」

 

 「なるほど、エマさんかローゼリアさんの協力を仰ぐのですね?」

 

 「それでも良いんだけど……来たわね」

 

 ヴィータの視線の先に魔法陣が顕れ、劫炎のマクバーンが転移してきた。

 

 「なっ!?」

 

 「ご、劫炎!?」

 

 「うるせぇな。寝起きに響くだろうが……」

 

 マクバーンは気怠そうに頭を掻いた。

 

 「んで?わざわざ呼び出しやがったのは……」

 

 「これを処分してもらいたいのよ」

 

 「いやいやいや!」

 

 ユウナは思わず突っ込む。

 

 「なんていうか、いいんですかそんな軽い感じで!」

 

 「大丈夫よ。知らない仲じゃないし」

 

 「で、で、でもクロチルダさんは今は敵ですよね!?」

 

 「え、ええっと……」

 

 「ね、姉さん……いったい何の……」

 

 話についていけないカエラ特務少尉とコーディ准尉は呆然となった。

 

 「フフ、その前に――」

 

 ヴィータはフィンガースナップを鳴らした。

 

 「「ッ!?」」

 

 その瞬間、二人は固まったように動かなくなった。

 

 「クロチルダさん!?」

 

 「心配しなくてもいいわ。ちょっとの間だけ術をかけただけだから。全て終わった頃には解けるから」

 

 ヴィータはウインクをしながら答えた。

 

 「は、ははは……」

 

 「いい加減マヒってきやがったな……」

 

 「お前らも大変だな……」

 

 マクバーンは思わず同情した。

 

 

 

 「んで、コイツを燃やしちまえばいいんだな?」

 

 「出来れば跡形もなくね」

 

 「あいよ」

 

 マクバーンは右手に高密度の焔を顕現させる。

 

 「っ!」

 

 「やはり見慣れませんね」

 

 「それじゃ、いくわよ」

 

 ヴィータは結界で覆った汚染されたガンシップを浮遊させた。

 

 「おらよっ!」

 

 マクバーンは高密度の焔を投げつけた。

 

 着弾した瞬間、焔は汚染されたガンシップを包んだ。

 

 「きゃあああっ!?」

 

 「くっ!」

 

 焔の勢いにリィンたちは気圧されそうになった。

 

 その間に、ガンシップは原型を失い蒸発していった。

 

 ヴィータが結界を解くと、そこには消し炭しかなかった。

 

 「次はガンシップの下の地面ね。どれくらい削ればいいのかしら?」

 

 「周囲2アージュ、深さも同じくらいで頼む」

 

 「わかったわ。でもちょっと時間をちょうだいね」

 

 ヴィータは魔法陣の調整を始めた。

 

 

 

 「それよりも、まさかアンタが来るなんてな」

 

 リィンはマクバーンに問いかけた。

 

 「まあ暇だからな。それよりお前」

 

 マクバーンはトワに目をやる。

 

 「お前の知り合いだっつうアイツ……ゲオルグだったか?」

 

 「っ!」

 

 「ジョルジュさん……」

 

 「トワ教官にアンゼリカさん、クロウさんと同窓だった……」

 

 「………………」

 

 キリコは組んだ腕に力を込めた。

 

 「そいつがな、あのアルベリヒと死線と一緒に何とかという戦艦に乗ってるんだと」

 

 「!?シャロンさんと!?」

 

 「それにアリサさんのお父様と……」

 

 リィンたちは驚愕した。

 

 「そ、それでその戦艦というのは……」

 

 「さあな。そこまでは知らねぇ」

 

 マクバーンは素っ気なく返した。

 

 (もしや、ガルガンチュア級戦艦のことか?)

 

 テイタニアは考えこんだ。

 

 「………………」

 

 キリコは不審に思ったが、触れなかった。

 

 「話し込んでる所悪いけど、出来たわよ」

 

 ヴィータは地面結界で覆い削り取っていた。

 

 「んじゃさっさと――」

 

 マクバーンは焔を放り込んだ。

 

 焔は一瞬で燃やし尽くし、消し炭すら残らなかった。

 

 「ふああ……これで終わりか?」

 

 マクバーンは欠伸をしながら言った。

 

 「ええ。ご苦労さま」

 

 「フン……」

 

 マクバーンはどこかへと転移して行った。

 

 

 

 その後、挨拶もそこそこにヴィータも転移して行った。

 

 カエラ特務少尉とコーディ准尉はヴィータが去ったのと同時に我に返った。

 

 二人の記憶が飛んでいたことも手伝い、何者かによる襲撃でガンシップは大破させられたことで落ち着いた。

 

 現場での後始末をテイタニアに託し、リィンたちはミルサンテに帰還した。

 

 「はあ〜〜〜〜〜」

 

 リィンたち大きなため息をついた。

 

 「きょ、教官……」

 

 「ご心中、お察しします」

 

 「まさかクロチルダさんが来てくれるなんてね……」

 

 ユウナ、ミュゼ、トワは苦笑した。

 

 「とりあえず、ミッションは成功なんだろ?」

 

 「まあ、それはそうなんだが。ハーキュリーズの人たちは共和国に送還されるんでしたね?」

 

 「うん。一旦、帝都病院で回復を待って、それから引き渡されるみたい」

 

 「そうですか……」

 

 「まあ、ウルスラ病院よかいいだろ」

 

 「ちょっと、それどういう意味?」

 

 ユウナはアッシュをジロリと睨む。

 

 「……皇帝と工作員を同じ病院に入れるつもりか?」

 

 すかさずキリコが言葉を挟む。

 

 「流石にそれはダメでしょう」

 

 「あ……そっか」

 

 ユウナは頬を掻いた。

 

 

 

 「他のみんなも無事に終えたみたい」

 

 トワはARCUSⅡに入ったメッセージを読んだ。

 

 「ならいよいよ……」

 

 「相克か……」

 

 「ああ……」

 

 リィンは顔を上げる。

 

 「とりあえず、カレイジャスⅡに来てもらって皆と合流しよう。その後アグリア旧道を経由して龍霊窟に向かう」

 

 「うん。あっ、来たみたい」

 

 リィンたちの頭上をカレイジャスⅡが旋回する。

 

 「とりあえず、ガラ湖周遊道の空き地に来てもらおっか」

 

 「そうですね」

 

 リィンたちはガラ湖周遊道に向かって歩き出した。

 

 (猟兵王との戦いが始まるのか)

 

 キリコは、次に待つ戦いに想いを馳せる。

 




 次回、ガルガンチュア級戦艦に潜入します。

 マレディクシオンとはフランス語で呪いという意味です。

 
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