英雄伝説 異能の軌跡Ⅱ   作:ボルトメン

55 / 56
 仕事が忙しくて気づいたらお気に入り件数が400人を超えていました。本当にありがとうございます。


ガルガンチュア級戦艦②

 「豪炎剣!」

 

 「兜割り!」

 

 「メデュースアロー!」

 

 「アーマーブレイクⅡ」

 

 ガルガンチュア級戦艦内部に突入した工作班は向かって来る兵士や人形兵器を相手にしていた。

 

 だが、本来仕えるべき皇族アルノール家の専用艦カレイジャスⅡによる奇襲は兵士たちの士気に少なからず影響していた。

 

 さらに放たれていた人形兵器はOZミラージュ以前の旧式がほとんどだった。

 

 故に工作班は数で劣っていても守りを突破することが可能だった。

 

 

 

 「この程度とはな」

 

 アイネスは得物をしまうとため息をもらした。

 

 「どうやら敵戦力は向こうに偏っているみたいね」

 

 「艦の要とも言えるブリッジを手薄にするだなんて、何を考えていらっしゃるのでしょう?」

 

 (確かにな)

 

 キリコはデュバリィの言葉を聞いて思案した。

 

 「ではキュービィ―」

 

 「ここからが本番ね」

 

 「ああ……」

 

 キリコはARCUSⅡを取り出し、データファイルを開いた。

 

 「それにしても、まさかこんなことになるとはね」

 

 「ああ。キュービィーの交渉あってこそだな」

 

 「あれのどこが交渉なんですの……」

 

 デュバリィはため息をつき、昨日の事を思い出した。

 

 

 

 昨日 19∶30

 

 「ではこれにて、ガルガンチュア級戦艦への突入作戦はほぼ決まったものとする」

 

 ブリーフィングルームに集められた新旧Ⅶ組、鉄機隊らはオリヴァルト皇子の言葉を聞いていた。

 

 「他に意見があるなら――」

 

 「……………」

 

 キリコは黙って挙手をした。

 

 「キリコ君……?」

 

 「指揮系統はどう抑えるつもりですか?」

 

 「え?」

 

 「指揮系統?」

 

 「試験艦とはいえガルガンチュア級は大地の竜作戦の主力艦のはず」

 

 「うん。その通りだね」

 

 「ならば、他の艦が出張って来る可能性は十分にあり得ます」

 

 「なるほど……」

 

 オリヴァルト皇子は顎に手をやる。

 

 「我々の作戦行動中に他の空挺師団が合流したとするならば……」

 

 「いくら何でもこの艦だけじゃひとたまりもねぇ、か」

 

 「た、確かに……」

 

 ブリーフィングルームは困惑に包まれた。

 

 「だがどうする?」

 

 オリヴァルト皇子は顔を上げた。

 

 「今回のガルガンチュア級への潜入作戦……そこまで手は回らない。いや、回せない」

 

 「キリコ君の心配は分かるよ。でもここはオリヴァルト殿下の言う通り――」

 

 「ここで抑えることが出来なければ、光纏う翼の今後に悪影響を与えるでしょう」

 

 キリコは毅然と言い放つ。

 

 「キリコ……」

 

 「ですが実際問題、どうなさるつもりですの!?」

 

 「そうだ。まさか君一人で乗り込むとか言うんじゃないだろうね?」

 

 セドリックはキリコに問いかけた。

 

 「……………」

 

 キリコは顔を上げた。

 

 「俺と鉄機隊の四人一組で内部工作に当たらせて下さい」

 

 「は………」

 

 「はああああっ!?」

 

 デュバリィは思わず叫んだ。

 

 「これはまた思いきった提案だが、どういうことかな?」

 

 「Ⅶ組の名前は良くも悪くも名が知れ渡っている。そんな状況で軍の動きを妨害しようなどとすればどうなる?」

 

 「……間違いなく世論から攻撃されるでしょう」

 

 「単に黒幕を討つんならまだしもな」

 

 「そうなれば、光纏う翼の存在意義に関わる」

 

 「でもさ、どうして鉄機隊のお姉さんたちなのさ」

 

 シャーリィは挙手をして、キリコに問いかける。

 

 「結社に属しているからだ」

 

 「結社に……?」

 

 「わかったわ。キリコ君の言いたいこと」

 

 エンネアが立ち上がった。

 

 「犯罪組織として認知されている私たちならⅦ組や皇族、他のメンバーには何の影響も無いってことでしょう?」

 

 「ああ」

 

 「待ってくれ、キリコ!ならなおさら行かせるわけには――」

 

 「俺は公的には存在しない。何度も伝えているはずですが?」

 

 「しかし……!」

 

 「それに鉄機隊にとっても、メリットはあるはずですが」

 

 「メリット?」

 

 「ああ。犯罪組織の一員なら、何をしてもおかしくはないだろうからな」

 

 「な………」

 

 デュバリィは絶句した。

 

 「いや、そらそうなんだけどよ」

 

 「臆面もなく言いやがったな……」

 

 「ふ、ふざけないでもらえます!?如何に結社に属していようとも、そこまで言われる筋合いは――」

 

 「そこで皇族の出番だ」

 

 キリコは落ち着いていた。

 

 「え?」

 

 「私たちですか?」

 

 セドリックとアルフィンは目を丸くした。

 

 「皇族主導の光纏う翼に協力し、なおかつ戦争を食い止めたとなれば、恩赦が出るのは必然だろう」

 

 「あ……」

 

 「なるほど、そうきたか」

 

 オリヴァルト皇子は頷いた。

 

 「確かに戦争が終われば恩赦を出さなくてはならない。これは帝国法にも定められている」

 

 「そ、それって……」

 

 「少なくとも、鉄機隊の人たちがやってきたことは帳消しになり得る」

 

 「そ、そんな……!」

 

 「恩赦とはそういうものなんだ。例え死刑囚でも、刑の減刑が認められたりね」

 

 「そういえば、大陸の中央にある国が恩赦と引き替えに死刑囚を戦場に駆り出したってあったなあ」

 

 シャーリィはかつての戦いを思い出した。

 

 「なんだそりゃ……」

 

 「実質、死刑と変わりありませんね」

 

 

 

 「話を戻す」

 

 キリコが口を開いた。

 

 「改めて、俺と鉄機隊の四人一組でガルガンチュア級の内部工作に当たらせて下さい」

 

 『………………』

 

 ブリーフィングルームは沈黙に包まれた。

 

 「キリコ君」

 

 「…………」

 

 「本気なんだね?」

 

 「…………」

 

 「ふう……」

 

 オリヴァルト皇子は頭を搔いた。

 

 「……許可しよう」

 

 「殿下!?」

 

 「キリコ君の言うことは筋道が通っているよ。こちらが情けなくなるほどにね」

 

 「………………」

 

 「だが内部工作となれば、絶対に失敗は許されない。その覚悟は出来ているのかい?」

 

 オリヴァルト皇子は鋭い目を向けた。

 

 「…………」

 

 キリコの表情は変わらなかった。

 

 「どうやら既に決まっているようだね」

 

 「キリコ……」

 

 リィンはキリコの方を向いた。

 

 「俺は今になっても反対だ」

 

 「…………」

 

 「だがこうなってしまった以上、俺は何も言わない。それでも約束してほしい、必ず戻ってくるようにな」

 

 「了解しました」

 

 キリコはリィンの目を見て答えた。

 

 「では皆さん、キリコをよろしくお願いします」

 

 「承った」

 

 「任せて♪」

 

 「ま、待ちなさい!まだ引き受けるとは……」

 

 「あら、キリコ君の提案は魅力的だと思うけど?」

 

 「少なくとも我らに利はある」

 

 「うぐぐ……!」

 

 デュバリィは悔しがりつつも、キリコの方を向いた。

 

 「ここまで大口叩いといて出来ませんでしたじゃ済まされませんわよ!」

 

 「言われなくても承知している」

 

 「こ……このオトコは……!」

 

 デュバリィの表情は苦々しいものになった。

 

 「それにしてもキリコ君。何時からそんなに交渉事が上手くなったんだい?」

 

 「それも相手を呑んでかかるようなやり方を……」

 

 「いい見本がいるので」

 

 「キリコさん?どうして私を見るんですか?」

 

 ミュゼは平静を装いながら答えた。

 

 「な、なるほど……」

 

 「確かに良い見本ね」

 

 エリゼとアルフィンはキリコに同調した。

 

 「………………」

 

 「ミュゼちゃん、まあまあ」

 

 ティータはミュゼを宥めた。

 

 「これで作戦の大筋は決まったね――」

 

 「キリコ〜、あたしは〜?」

 

 シャーリィが挙手をした。

 

 「殲滅しに行くわけではない以上、出番はない」

 

 「ちぇ〜」

 

 「……来たるべき時には存分に振るってもらうつもりだ」

 

 「んふふ、任せといて♪」

 

 (一生来なくていいっての)

 

 ランディはため息混じりに思った。

 

 キリコの追加案を最後に、作戦会議は終了した。

 

 

 

 「そして今に至る訳だな」

 

 「ああ〜〜ったく!思い出すだけでムカムカしますわ!」

 

 「まあまあ。いいじゃないの」

 

 地団駄を踏むデュバリィをエンネアが宥めた。

 

 「ブリッジへの最短ルートを確立。作戦を開始する」

 

 キリコはそう言ってARCUSⅡを仕舞った。

 

 「了解」

 

 「行きましょう」

 

 工作班は再び走り出した。

 

 

 

 「待ってたわ、アリサ」

 

 「リィン君たちも久しぶりね。クロウ君に至っては驚いているけど」

 

 「テレジア先輩にエミリー先輩……」

 

 一方、潜入班は兵士や人形兵器を退けながら進み、二人の女性士官と対峙していた。

 

 「分校の子たちは初めてね。第三飛行艦隊所属のテレジア少尉よ」

 

 「あたしはエミリー。同じく第三飛行艦隊の少尉になるわ。アリサとはラクロス部の先輩後輩――人呼んで炎の女よ!なんてね」

 

 「先輩がた……」

 

 「……ふふっ相変わらずのようですね」

 

 リィンとアリサは懐かしむように微笑んだ。

 

 「教官の学生時代の先輩にあたる方々のようですね」

 

 「アンゼリカお姉様とは同期にあたるんでしたか」

 

 「ああ、卒業後の進路は聞いてはいたが、こんな所で再会するとはね。フフ、フライトジャケットの似合う素敵な女性になったじゃないか?」

 

 「ふふ、ありがとう」

 

 テレジア少尉は微笑んだ。

 

 「……貴女も、フェリスも無事で良かった。艦の回りを飛んでいる蒼の騎神はクロウ君よね?本当は彼とも会いたかったけど」

 

 「ジョルジュ君といい色々おかしな状況になってるみたいね。いずれ同窓会をしたい所だけど――」

 

 「その前に責務を果たすとしましょうか」

 

 エミリー少尉は拳銃を、テレジア少尉はライフルを構える。

 

 「っ……先輩……!」

 

 「……やはりお二人も立ちはだかるんですね」

 

 「ええ――納得いかないことは正直、山ほどあるわ。こんな実験艦に配属されたことも同僚たちがおかしくなりつつあることも」

 

 「もちろん帝国が滅茶苦茶な理由で戦争を起こそうとしてることもね」

 

 エミリー少尉の表情が真剣なものに変わる。

 

 「それでも――トールズを卒業して自分たちで選んだ道だから。ここで退いたり譲ったりはできない――何よりも帝国軍人として」

 

 「……ったく、アンタたちは」

 

 「……本当に変わりませんね」

 

 「ああ……誇らしくすらあるが」

 

 アンゼリカは感慨深い表情を浮かべ、手甲をはめる。

 

 「フフ、ここは私たちが引き受けよう。同窓生としてお互いのトールズ魂を今こそ比べるためにも」」

 

 「相手になります、先輩がた。お世話似合うなった貴女たちを今こそ越えるためにも……!」

 

 アリサは導力弓を構える。

 

 「アリサ……アンゼリカ先輩――わかった。ここは宜しく頼んだ!」

 

 リィンは距離をとって、仲間たちもそれに倣う。

 

 「ふふっ、ありがとう。アリサたち、アンゼリカ」

 

 「受け止めてもらうわ、私たちの全力を……!」

 

 

 

 「バ、バカな……!」

 

 一方その頃、工作班はブリッジを制圧していた。

 

 「これは……どうしたことだ?」

 

 「艦長と副官らしき人に、ブリッジ要員が三人?」

 

 (これだけの戦艦を動かすには明らかに少なすぎる。ブリッジ要員ならこの倍は必要……?)

 

 思案していたキリコはあるものを目にした。

 

 「これは?」

 

 「カペル……か?」

 

 「確かそれは……」

 

 「リベールのラッセル博士――ティータちゃんのお祖父さんとお母さんが開発した導力式演算装置の名前ね?」

 

 「ああ、だが……」

 

 キリコはカペル?に手を触れた。

 

 「以前、ティータに見せてもらった写真と形状が異なる。おそらくZCF製ではないだろう」

 

 「そ、そんな物がどうして搭載されているんですの?」

 

 「分からない。だが……」

 

 キリコは座席に座り、コンソールを立ち上げた。

 

 「か、勝手にいじったりして大丈夫なんですか!?」

 

 「デュバリィ」

 

 「ここはキリコ君に任せましょ。貴女確か機械オンチだったはずよね?」

 

 「う、うるさいですわ!」

 

 「…………………」

 

 キリコは三人のやり取りを無視して作業を進めた。

 

 「…………なるほどな」

 

 キリコはキーボードを叩くのを止めた。

 

 「何か分かったの?」

 

 「この装置は艦の飛行や火器管制、さらに人形兵器の制御やセキュリティを賄っているようだ」

 

 「「「!?」」」

 

 鉄機隊は驚きを隠せなかった。

 

 「こ、こんな小さな装置で!?」

 

 「いや、リベール王国のアルセイユ号にも搭載されているそうだな?」

 

 「らしいわね」

 

 「だが全てを賄っているわけでもない。どうしても人間が操作しなければならない箇所がいくつかあるようだ」

 

 「そ、それはそうでしょう」

 

 「そしてそれは三人ほどで十分なようだ」

 

 「っ……そういうことか」

 

 アイネスは未だ気絶しているブリッジ要員たちを見る。

 

 「おそらく、この艦は高度な演算装置による機体制御及び必要最低限での人員でどこまで運用できるかを実験するためのものなんだろう」

 

 「最終的には完全な無人の戦艦として戦場で運用するためにな」

 

 「……無人でというのは気に食わないですわね」

 

 「?」

 

 「古来より戦というものは人と人の想いが交錯するもの。人の意志が通わない戦など……!」

 

 「このままいけば、無人兵器同士の……ゲームと何も変わらない戦争になるだろうな」

 

 「見過ごせんな……」

 

 「ええ。戦争を望むわけではないけど、そんな薄ら寒いものは願い下げね」

 

 鉄機隊はキリコの仮説に憤る。

 

 「……今はあの障壁を破るのが先決だ」

 

 キリコはキーボードを叩き、操作を進めようとした。

 

 「これは……」

 

 キリコの指が止まった。

 

 「どうかしましたの?」

 

 「……悪いが、ここからは俺一人にさせてくれ」

 

 「え、どうして……」

 

 「説明している暇はない。あんたたちは艦を彷徨いている人形兵器を掃討しつつ、潜入班と合流してほしい」

 

 「キュービィ―……」

 

 「頼む」

 

 キリコの真剣な表情を向けた。

 

 「……わかったわ」

 

 エンネアは同意した。

 

 「行きましょう」

 

 「わかった」

 

 「仕方ありませんわね」

 

 アイネスとデュバリィはエンネアに続いてブリッジを出た。

 

 「…………………」

 

 キリコは画面に映った内容を睨みつける。

 

 

 

 「あ……」

 

 「……勝負がついたか」

 

 その頃、アリサとアンゼリカは戦いに決着をつけていた。

 

 「っ……」

 

 「ここまで……みたいね」

 

 エミリー少尉とテレジア少尉は肩で息をしていた。

 

 「先輩……大丈夫ですか!?」

 

 アリサは慌てて二人に駆け寄った。

 

 「あはは……なんとかね……成長したわね、アリサ……正直、学生時代とは見違えたわ……」

 

 「アンゼリカも……ここまで強くなってるなんて。大陸一周もの、行方不明任務なったのもちゃんと糧にしているみたいね……?」

 

 「フフ、後輩たちに迷惑をかけた分くらいはね」

 

 「……俺たちも良い勝負を見せてもらいました」

 

 リィンたちも二人に歩み寄った。

 

 「やれやれ……どの教え子も成長著しいというか」

 

 「ふふ、分校生としても負けていられませんね」

 

 「ふふ……私も先輩がたと全力でぶつかれてよかったです。ちょっとだけラクロス部時代を思い出しました」

 

 「ふふ……あたしたちもよ」

 

 エミリー少尉は微笑んだ。

 

 「――頑張って、アリサ。あんたの底力なら絶対に……お母さんにだって届くから」

 

 「……あ………はいっ、必ず……!」

 

 「……アンゼリカもこのままアリサやリィンクンたちを支えてあげて。そうすればジョルジュ君にだって……」

 

 「……ああ、そのつもりさ」

 

 アリサとアンゼリカは二人の想いに応えた。

 

 「「…………………………」」

 

 エミリー少尉とテレジア少尉は安堵からか、糸が切れたように崩れ落ちる。

 

 「怪我は……?」

 

 「……深手は負っていません。このまま休ませておきましょう」

 

 「とりあえずは安心か」

 

 「――そちらも終わったようですわね」

 

 『!?』

 

 リィンたちが振り向くと、鉄機隊が歩いて来た。

 

 「デュバリィさん!」

 

 「アイネスさんにエンネアさんも……どうしてこちらへ?」

 

 「キリコ君に貴方たちと合流してほしいって言われたのよ」

 

 「キリコが?」

 

 「……肝心のご本人はどちらに?」

 

 「ブリッジに残っている。一人にさせてほしいとな」

 

 「まったく、さっさと障壁を解けばいいものを……」

 

 「障壁を解いていない……?」

 

 リィンはデュバリィの言葉を受けて顎に手をやる。

 

 「リィン君?」

 

 「いえ、キリコは考えも無しに動いたりはしません。本当に何かあったのかもしれません」

 

 「確かめに行きたい所だけど、今は奥に進むのが先決よ」

 

 サラは奥に通じる階段を見つめる。

 

 「そうですわね。では我らもこのまま……!」

 

 デュバリィが言い終える前に人形兵器の群れがやってきた。

 

 「ちっ!」

 

 「千客万来ね」

 

 アイネスとエンネアは得物を構える。

 

 「ここは我らが引き受けます。貴方がたは進みなさい!」

 

 「わかりました。アリサ、皆」

 

 「行きましょう――このまま母様たちのもとへ!」

 

 リィンたちは走り出した。

 

 

 

 「…………………………………」

 

 キリコはキーボードを叩き、いくつかの操作を行っていた。

 

 「…………ダメか」

 

 操作は難航していた。

 

 (障壁を解除した瞬間に自爆プログラムがセットされるよう仕掛けられているとはな。いくつかアプローチを試みてはいるがどれも繋がらない)

 

 (今は教官からの通信を待つしかないか……)

 

 キリコはため息をついた。

 

 すると、キリコの背後のドアが開いた。

 

 「ここは俺一人でいいと言ったはず……だ………」

 

 キリコは目を見開いた。

 

 「フィア……ナ……?」

 

 「………………」

 

 (違う!コイツは……!)

 

 襲撃者は導力銃の引き金を引いた。

 

 キリコは咄嗟に物陰に隠れた。

 

 だが反応が僅かに遅れ、銃弾はキリコの腕を掠った。

 

 (完全に油断した……)

 

 キリコは傷のことなど気にも留めず、襲撃者を伺う。

 

 (まさかお前も乗っていたとはな……F)

 

 「………………」

 

 キリコを襲ったのは黒の工房が創り出したホムンクルス――Fだった。

 

 

 

 [キリコ side]

 

 思わぬ襲撃者に俺は混乱してしまった。

 

 腕の止血を済ませて様子を伺おうとすると、銃弾が飛んでくる。

 

 それにしても狙いが正確すぎる。

 

 黒の工房でさらなる調整を受けたのかもしれないな。

 

 このままでは埒が明かない。

 

 俺は覚悟を決めて飛び出した。

 

 飛び出した瞬間、俺はアーマーマグナムをFに向けた。

 

 その際、俺はFの顔を見た。

 

 (あの顔は……)

 

 感情はほとんど感じられないが、あの顔と眼差しは間違いなくフィアナだ。

 

 わかってはいる。

 

 フィアナは死んだ。

 

 マーティアル教団の聖地アレギウムで、俺の腕の中で死んだ。

 

 だから目の前にいるコイツはフィアナじゃない。

 

 だが……それでも……。

 

 (俺は撃てるのか……?)

 

 俺は思わず迷ってしまった。

 

 それが命取りだった。

 

 Fは迷うことなく引き金を引いた。

 

 回避が遅れ、左足に被弾してしまった。

 

 「くっ!」

 

 左足から鮮血が滴り落ちる。

 

 (クメンの、カンジェルマン宮殿の時とは違う。あの眼には温もりは一切ない。黒の工房で聞こえたあの声はどうやら戦いの中で見た幻に過ぎなかったようだ)

 

 もう、迷うことはない。コイツは……敵だ!

 

 [キリコ side out]

 

 

 

 「………………ぁ…………」

 

 「……………………………」

 

 「はあはあ………やりましたね………」

 

 「ああ……何とか届いたみたいだ」

 

 一方、リィンたちは死線のクルーガー、銅のゲオルグ、イリーナ会長、シュミット博士、黒のアルベリヒらと邂逅を果たしていた。

 

 そこで黒のアルベリヒから世界の行く末を聞かされるも、既に真実を知るリィンたちに論破された。

 

 その後、イリーナ会長とシュミット博士に促された死線のクルーガーと銅のゲオルグはリィンたちに戦いを挑んだ。

 

 苦しい戦いの末、リィンたちが勝利した。

 

 

 

 「……どうして、僕は………」

 

 銅のゲオルグは項垂れた。

 

 「フン……やはり最後まで詰めが甘かったようだな」

 

 シュミット博士はやはりといった表情を浮かべた。

 

 「フッ、いい加減に認めたらどうだい」

 

 「自分でもわかっているんだろう?君は”ジョルジュ・ノーム“を捨てきれない……事ここに至ってすら」

 

 「いや――捨てられないんだ……生ぬるかった私たちとの友情ごっこが。ただの夢にしか過ぎなかった他人事だと割り切ったあの学院生活が」

 

 「………ッ…………………」

 

 アンゼリカの言葉の一つ一つが銅のゲオルグの胸に突き刺さった。

 

 『――大丈夫、2人とも!?』

 

 【ったく、無茶しやがるぜ】

 

 突如画面にトワとクロウが映し出された。

 

 「あ――」

 

 「通信のジャックに成功したみたいだな」

 

 【……よっ、元気だったか?オルディーネから失礼するぜ】

 

 『対空砲はほとんど無力化した……!なんとかもうすぐ駆けつけるから!待ってて――ジョルジュ君!』

 

 「……トワ……クロウ………」

 

 銅のゲオルグは頭を垂れた。

 

 

 

 「……フフ、まさか死線を突破されるとは思いませんでした」

 

 「本当に……成長なさいましたね、アリサ様」

 

 「なんだって乗り越えるわ……貴女という家族を取り戻せるなら」

 

 アリサは死線のクルーガーを見つめる。

 

 「クク……この茶番はなんだね?ゲオルグに加えて執行者の失態とは」

 

 黒のアルベリヒが割って入った。

 

 「まあいい。イリーナ、この場はいったん――」

 

 「軽々しく呼ばないで頂けるかしら?私を呼び捨てにしていいのは父とあの人だけよ……シャロン」

 

 イリーナ会長は黒のアルベリヒの呼びかけを無視して死線のクルーガーに語りかけた。

 

 「……使用人としての契約完了条件は“あの人が戻ってくること。でも先ほどの“妄言”を聞く限り、その条件が満たされていたかは怪しいわね。ならば契約は未完了――継続するかは貴女次第でしょう」

 

 「あ……」

 

 「母様……」

 

 二人はイリーナ会長の意を理解した。

 

 『……やれやれ、馬鹿娘が』

 

 「クク……ハハ………」

 

 黒のアルベリヒは嘲笑いながら前に出る。

 

 「――結構、ならば私も勝手に最終実験を始めさせてもらおう完成したばかりの“卒業作品”にして黄昏を加速させる最高傑作のね……!」

 

 黒のアルベリヒの言葉とともにアラート音が鳴り響いた。

 

 「なんだ……!?」

 

 「……何かが……!」

 

 リィンたちの目の前に巨大な魔煌機兵が落下してきた。

 

 「結社の神機――いえ……!」

 

 「くっ……ここで出すのか――!?」

 

 「……なるほど。第五で建造していた……」

 

 「卒業作品――か」

 

 そのあまりの衝撃にその場にいた全員が釘付けになった。

 

 「フフ、これぞ魔煌機兵の究極形にして最終型――最終魔煌機兵・リヴァイアサン」

 

 「帝国が共和国を喰らい尽くしたら大陸全土に放たれる予定の機体だ。他の魔煌機兵と違い自律制御だが、制限のある騎神や機甲兵など敵ではないだろう」

 

 「くっ、こんな機体を隠し持っていたなんて……!」

 

 「どうやらゴライアス・ノアがベースになっているようですが完全に別物になっています……!」

 

 「機甲兵から続くシリーズの総決算というわけか――面白い」

 

 シュミット博士は笑みさえ浮かべた。

 

 「――教官!」

 

 「ああ……!」

 

 「来い――灰の騎神ヴァリマール!」

 

 リィンは拳を掲げ、ヴァリマールを呼び出す。

 

 【どんなに強力でも所詮は無人機――必ず勝機はあるはずだ!】

 

 (来るがいい。最後に笑うのはこの私なのだから……!)

 

 潜入班は戦闘を開始した。

 

 

 

 [キリコ side]

 

 「はあ……はあ……はあ………!」

 

 (凄まじい反応速度だ………こちらの僅かな初動にも合わせてこられる……。そしてこの正確な射撃……!)

 

 物陰から様子を伺おうとすると、銃弾が横切る。

 

 持ち前の反応速度のおかげで傷を負うことはなかったが、精神が消耗していた。

 

 「う、うう……」

 

 さらに事態が悪化した。

 

 先ほど制圧したブリッジ要員と艦長が目を覚ました。

 

 「チッ!」

 

 俺は再び制圧を試みようとした。

 

 だがFに妨害されてしまった。

 

 「な……こ、これは………!」

 

 ブリッジ要員の一人が不用意にも弾かれたように後退った。

 

 「動くな――」

 

 「……………………」

 

 「が……!?」

 

 ブリッジ要員の一人は頭部を正確に撃ち込まれて斃れた。

 

 「「ひ、ひいぃぃっ!?」」

 

 残る二人は恐慌状態に陥り、駆け出そうとした。

 

 「……………………」

 

 だが全てFの前には無意味だった。

 

 「あ――」

 

 「た、助け――」

 

 二人は有無を言わさず射殺された。

 

 「ま、待ってくれ!私はこの艦の責任者だ!今からこいつを引き渡す!」

 

 艦長はそう言って俺に銃を突きつけてきた。

 

 「……止めておけ。どうせ助からん」

 

 「な、何を……血迷ったか――」

 

 俺の忠告もむなしく、艦長も射殺された。

 

 どうやら黒のアルベリヒら以外の全てを抹殺するつもりのようだ。

 

 (弾薬のストックも尽きた。そろそろ決着をつけなければ……!)

 

 俺は艦長の死体を盾にFへと接近した。

 

 死体を放り、その陰からサバイバルナイフで斬りつけようとした。

 

 だが……それすらも読まれていた。

 

 Fは死体には目もくれず、俺の右腕を掻い潜った。

 

 そして至近距離で俺の脇腹を撃ち抜いた。

 

 俺は為すすべなく、階段を転げ落ちる。

 

 Fは何事もなかったように端末を操作し始めた。

 

 「させる……か……!」

 

 俺は負傷した箇所を押さえながら立ち上がろうとした。

 

 だが、遅かった。

 

 アラート音が鳴り響き、警告の音声が流れ出した。

 

 Fはカペル?を手に取りそのまま去って行った。

 

 「…………………」

 

 このままではマズい。

 

 俺は里で貰った秘薬を服用し、ARCUSⅡに通信を入れた。

 

 [キリコ side out]

 

 

 

 自爆プログラムが発動する少し前――潜入班はリヴァイアサンの打倒に成功していた。

 

 『――障壁の消失を確認したよ!』

 

 「あ……(でもどうして……?)」

 

 「魔煌機兵も完全停止……はは、目的達成だね」

 

 「大した機体だったが詰めが甘かったようだな」

 

 シュミット博士が大破したリヴァイアサンを見ながら前に出た。

 

 「黄昏と連動する完全自律制御――だが暴走するようでは実用にはほど遠い。これならフランツが残した機甲兵の構想メモや助手の示したプランの方がまだ出来がいいだろう」

 

 「――評点は不可だ。どこの誰かは知らぬが出直すがいい」

 

 「……G・シュミット………」

 

 黒のアルベリヒは苛立ちとともにシュミット博士を睨みつける。

 

 「博士……」

 

 『やれやれ、お前というヤツは』

 

 「……フフ………」

 

 「……クク、いいだろうこの場を譲ったとて支障はない」

 

 「相克についてもどちらにが勝とうが結末は同じ――贄としての役割、せいぜい果たしてくるといい」

 

 「……悪いが貴方たちの期待に応えるつもりは毛頭ない。相克を乗り越えて必ず辿り着いてみせる――貴方の主のもとに」

 

 「クク、楽しみにしていよう」

 

 「――この窮地を乗り切れればの話だがね」

 

 「なに……!?」

 

 突如、アラート音が鳴り響いた。

 

 「こ、これって……!?」

 

 「クク……戻ったか」

 

 「……………………」

 

 黒のアルベリヒのもとに、帰還したFが跪いた。

 

 「あ……」

 

 「究極のホムンクルス……!」

 

 「クク……」

 

 黒のアルベリヒは銅のゲオルグの方を向いた。

 

 「ゲオルグ――貴様には失望した。もはや工房には不要だ――どこへなりとも失せるがいい」

 

 そう言って黒のアルベリヒは転移して行った。

 

 

 

 その直後、リィンのARCUSⅡに通信が入る。

 

 「これは……キリコからだ!」

 

 「キリコさんから!?」

 

 「もしもしキリコか、何があった?」

 

 『申し訳ありません。Fにやられました』

 

 「それはわかっている。このアラート音はいったい……」

 

 『それは……』

 

 通信先のキリコはこれまでのことを全て話した。

 

 「……そうか。それで君はどうするんだ?」

 

 『出来るだけ粘ってみます。脱出方法ならどうにかします』

 

 「どうにかって……いや君のことだ、目処は立っているんだろう?」

 

 『はい』

 

 「わかった。こちらはこちらでなんとかする」

 

 「教官としてあるまじき指示だが、そちらは任せたぞ」

 

 『了解』

 

 通信は切れた。

 

 「リィン……?」

 

 「キリコさんからはなんと?」

 

 「落ち着いて聞いてくれ。実は――」

 

 リィンはキリコからの報告を聞かせた。

 

 「何ですって!?」

 

 (そんな……!?)

 

 【チッ!正気かよ!】

 

 「キリコが動かなかったのはこういうことだったのね……!」

 

 『もしや貴方がたは……』

 

 「ある程度はね……」

 

 「キュービィーめ、しくじりおったか」

 

 「お、落ち着いている場合ですか!?」

 

 「とにかく、キリコが粘っている間に無力化した乗員を保護してカレイジャスⅡに向かう。それから――」

 

 リィンの言葉が途切れた。

 

 リィンの視線の先では銅のゲオルグが拳銃を自身のこめかみに当てて自殺を図ろうとしていたからだった。

 

 「ジョルジュ!?」

 

 「――先輩!!」

 

 バンと銃声が鳴り響いた。

 

 

 

 だが寸でのところでアンゼリカが間に合った。

 

 拳銃は跳ね除けられ、アンゼリカがが銅のゲオルグの腕を掴んでいた。

 

 『あ――』

 

 「……アン………」

 

 「ようやく捕まえたよ、ジョルジュ。一人でどこに行くつもりだい?」

 

 「っ……分かっているはずだ。僕はもう、後戻りはできない。地精として僕がしてきた事をまさか忘れたわけじゃないだろう?」

 

 「だからこそ、だろう。世界は滅びに向かいつつあり、クロウにも制限時間がある。そんな状況で、君一人だけが舞台を降りるつもりなのかい?」

 

 「……それは………」

 

 銅のゲオルグの表情に迷いが生じた。

 

 「……あたしも猟兵として過去に多くの命を奪ってきた。故郷のためだなんてただの言い訳――罪は一生背負い続けなきゃならない――君にそれが出来ないとは思わないわ」

 

 【ああ……かつて《C》としてテロをしでかしちまった俺も同様だ。誰かに許されるためじゃない。背負い続けるしかねぇんだよ、俺たちは】

 

 『ぐすっ、それから逃げようなんてゼッタイに許さないんだからねっ!?たとえ無理矢理拘束してでも背負わせる……友達だからこそ!』

 

 「クロウ、トワ……」

 

 銅のゲオルグは目を瞑る。

 

 「ふふ、私たちにとっても地精としての知識と情報は何より貴重です」

 

 ミュゼは微笑んだ。

 

 「そのためにも先輩には生きて俺たちに利用されてもらいます。全てが終わるまでその命――捨てられると思わないでください」

 

 リィンは強い意志を込めて言った。

 

 「………リィン君たち…………」

 

 「フン、論理的にも破綻はない」

 

 シュミット博士が銅のゲオルグの前に立った。

 

 「せいぜい考えるがいい、三番弟子。この事態に無駄死にではなくどう有益かつ実践的な貢献が出来るか。それをもってお前の卒業試験としよう」

 

 「……分かりました、博士」

 

 銅のゲオルグから解放されたジョルジュは腕を掲げ、転移の魔法陣を出現させた。

 

 「ジョルジュ……」

 

 「……いずれまた連絡する。そして、必ず力になるよ地精の一人として、何よりもトールズの卒業生として。それとこれは――」

 

 ジョルジュはARCUSⅡを取り出し、何かの操作を行った。

 

 すると、アラート音が鳴り止んだ。

 

 『これって……!?』

 

 「いや、その場しのぎに過ぎないがそれでも数分は遅らせられたと思う。この艦はそこまで人員はいないから彼女たちを連れて脱出できるはずだ」

 

 「ジョルジュ先輩……」

 

 「それとリィン君」

 

 「はい……」

 

 「皇子殿下たちにも伝えておいてくれ」

 

 「――本当に申し訳なかったと」

 

 ジョルジュはそう言って転移して行った。

 

 「とりあえず前進したのかしら?」

 

 「ええ、そうですね」

 

 リィンは笑みを浮かべ、直ぐに真剣な表情に変えた。

 

 「改めて、ガルガンチュア級からの脱出を開始する。時間が惜しいからこのままで向かうぞ!」

 

 『おお!』

 

 リィンたちはイリーナ会長とシュミット博士を連れて来た道を戻り始めた。

 

 

 

 (どうやら何かあったようだな)

 

 一方、キリコはガルガンチュア級戦艦に仕掛けられた自爆プログラムを遅らせるべく一人ブリッジで奮闘していた。

 

 突如、自爆プログラムに遅れが生じたことでキリコはそれがリィンたちの関与を考えた。

 

 (だがそれでも……)

 

 キリコは苦い表情を浮かべる。

 

 コンソールに映っているのは未だ何重にもかけられたプロテクトのデータだった。

 

 (障壁の消失という目的は達せられた。だがこれでは……)

 

 キリコは任務の失敗を実感していた。

 

 (教官たちは………どうやら脱出しつつあるようだな……?教官はどこだ?)

 

 キリコは画面を切り替え、リィンたちの行方を追った。

 

 だがそこにリィンの姿はなかった。

 

 「遅れて済まない!」

 

 ブリッジにリィンが駆け込んで来た。

 

 「教官……」

 

 「さすがに君一人に背負わせるのは如何なものかと思ってな」

 

 「そうでしたか……」

 

 「……この人たちは………」

 

 「全員、Fに射殺されました」

 

 「そうか……」

 

 リィンは哀悼の意を表した。

 

 「それで、脱出方法というのは?」

 

 「あれです」

 

 キリコはある物を指さした。

 

 「……本当は二年生で行うことなんだが、そうも言っていられないな。やり方は分かるな?」

 

 「無論です」

 

 「そうか。では行くぞ!」

 

 「了解」

 

 キリコとリィンはブリッジの隅にあったある物を手に取り、艦の上部へと急いだ。

 

 その数分後、自爆プログラムが発動した。

 

 

 

 「あ………」

 

 「ガルガンチュア級が……」

 

 カレイジャスⅡに帰還した面々は次々に爆発していくガルガンチュア級戦艦に言葉を失った。

 

 「リィン……」

 

 「キリコ……」

 

 (やはり私も残るべきでしたか……)

 

 潜入班は祈るような気持ちでガルガンチュア級戦艦を見つめる。

 

 「フン、あの二人が簡単にくたばるわけがないでしょうに」

 

 「うむ。キュービィーは無論だがシュバルツァーも手練れであるのは事実」

 

 (大丈夫よね……キリコ君)

 

 デュバリィとアイネスが見つめる中、エンネアはキリコの無事を祈る。

 

 すると――

 

 「対人レーダーに反応あり!これって!?」

 

 ルイゼが興奮気味に振り向いた。

 

 「モニターに映してくれ!」

 

 オリヴァルト皇子は指示を飛ばした。

 

 モニター画面にはパラシュートで落下する二人の人間が映った。

 

 「教官!キリコ君!」

 

 「はは、マジかよ……」

 

 (キリコさん……良かった……!)

 

 「よし!パラシュートの落下地点を予測!艦を静止させて二人を出迎えようじゃないか!」

 

 『イエス・キャプテン!』

 

 カレイジャスⅡ全体が慌ただしくなった。

 




 次回、龍の霊場です。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。