英雄伝説 異能の軌跡Ⅱ   作:ボルトメン

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もう少しで第1章が終わります。




七耀暦1206年 8月9日 午前3:00

 

キリコはノルド高原の玄関口であるゼンダー門に潜入していた。

 

ちなみにキリコは今、ゼンダー門の倉庫から拝借した第七機甲師団の軍服を着用している。

 

(やはりゼンダー門では戦艦とやらは影も形もないか。となると………)

 

キリコは軍服同様倉庫から拝借したノルド高原の地図を見つめる。

 

(南側には円柱遺跡とやらがある。だがこちらは共和国監視塔と目と鼻の先。国際情勢が不安な今、リスクが大き過ぎる。一方北側はギリギリだが見つかる恐れのある地形ではない。やはり北を目指すべきか)

 

キリコは高原の北側にペンで丸を描く。

 

(そうと決まればいつまでもここにはいられない。とりあえず足がいるな)

 

キリコはゼンダー門に設置された厩舎に入り、馬を適当に選ぶ。

 

「どうどう……。意外と大人しいな」

 

キリコが選んだのは芦毛の馬だった。キリコは芦毛の馬に鞍を乗せ、手綱を付ける。

 

(行くか)

 

キリコは芦毛の馬に跨がり、高原の北側目指して走らせた。

 

 

 

午前 5:30

 

東の空から太陽が登り、ノルド高原の固有種とも言える魔獣も活動を始めた。

 

キリコは極力戦闘を避け、かつ共和国監視塔から離れたルートを取った。

 

だが進むうちに、キリコはノルド高原の広大さを甘くみていたと思い知らされた。

 

夜明け前という時間帯だからか、食堂や酒保は閉まっており、キリコは水も食料も十分に得られなかった。

 

そのためキリコは喉の渇きに悩まされた。

 

仕方なくキリコは途中にあった集落で休憩を取ることを選んだ。

 

 

 

[キリコ side]

 

「エイジ・バートラーさんでしたか。つい最近赴任したんですか?」

 

「ああ」

 

俺は今、ゲルと呼ばれるテントのような家で軽食を取っていた。これはミルク粥というらしく、そこそこいける。

 

粥を食った後は、トーマの妹だというシーダという少女の淹れた茶を飲んでいる。

 

香りからして、どうやらハーブティーか何かのようだ。

 

ちなみに乗って来た馬は外で飼い葉を食べている。

 

「それにしても、お客さんなんて久しぶりだなぁ。半年前にガイウス兄さんに会いにトマス神父さんが来て以来かな」

 

俺の目の前にいる男はトーマと言って、旧Ⅶ組のガイウス・ウォーゼルの実弟だと言う。

 

「ところでそっちにいるのは?」

 

出入口の所で見つめている者がいる。

 

「あっ!すみません。リリ、何してるんだ」

 

トーマが咎めると、シーダよりも幼い少女が入って来た。

 

「えへへ……」

 

「もう!リリ!ごめんなさい、エイジさん。それにトーマ兄さん」

 

「いや、俺は良いんだけどね。すみません、妹がご迷惑を」

 

「別にいい」

 

俺は素焼きの湯呑みに入ったお茶を飲み干す。

 

「そろそろ行く」

 

「すみません、何もお構い無く」

 

「それで、聞きたいことがある」

 

「聞きたいこと、ですか?」

 

「高原の北側で人目につきづらい場所はあるか?」

 

「そうですね……北東部へ行ってみてはどうでしょう。あちらなら人目にはつきづらいと思います」

 

「すまない」

 

「あっ、待ってください」

 

「?」

 

トーマが引き止める。

 

「……エイジさんはいったい何をしに行かれるんですか?」

 

「悪いが極秘任務だ」

 

「そう……ですか……」

 

「……俺は戦いに行くのではない」

 

「え……」

 

「この土地を戦火に包むことはしないしさせない。それだけは伝えておく」

 

「エイジさん……」

 

「このお茶、悪くなかった」

 

「あ、ありがとうございます」

 

「またね~!」

 

シーダは頭を下げ、リリは手を振って俺を見送る。

 

(このまま北に行けばラクリマ湖とやらに着く。だが見つかるリスクが高い。トーマの言うとおり北東を目指すか)

 

俺は馬に跨がり、高原の北東部を目指して走らせた。

 

[キリコ side out]

 

 

 

午前 6:50

 

キリコはノルド高原北東部に到着した。

 

(……向こう側は要り組んでいるように見えるな。行ってみるか)

 

キリコは芦毛の馬を橋のような道に進ませる。

 

(まるで橋のような地形。自然が作ったものだろうが、すさまじいな……………!?)

 

突然地面にひびが走り、足元が崩れはじめた。

 

「はぁっ!!」

 

キリコは冷静に芦毛の馬にムチを入れる。

 

全速力を出した馬により、キリコは無事に渡りきった。

 

橋のような道は崩れ、向こう側と完全に途絶した。

 

(まさか崩れるとはな。これで戻ることは出来なくなったわけか)

 

キリコは再び前を向いた。

 

 

 

高原を少し進むと、洞窟の入り口のような場所に到着した。

 

「……………………」

 

馬を降りたキリコは地面を見つめる。

 

(大勢の人間が出入りしているようだな。わざわざ足跡を消している辺り、どうやらここで間違いないようだな)

 

キリコはアーマーマグナムに弾丸を装填し、覚悟を決める。

 

(何が出て来るかはわからない。だが俺には引き返すという選択肢はない。ただ進むだけだ)

 

キリコは洞窟へと入って行った。

 

 

 

(中はそれほど要り組んでいるわけではないようだ。それに魔獣の気配もない)

 

キリコは手探りで少しずつ進んで行く。

 

ある程度進むと、魔獣避けの導力灯が目についた。

 

(魔獣の気配を感じないのはこれが原因か。いよいよ核心めいてきたな)

 

さらに進むとかなり広い場所に出る。

 

(あれは……!?)

 

キリコの目の前には紅い飛行戦艦が鎮座していた。

 

(これは……カレイジャス号か?ロッチナによれば、黄昏の起きた日に黒の工房長と銅のゲオルグとやらの手引きでオリヴァルト皇子共々爆破されたらしいが)

 

キリコは思わず紅い飛行戦艦を見つめた。

 

「はぁっ!」

 

「!?」

 

背後から殺気を感じたキリコは間一髪で避ける。

 

襲撃者は大剣を振り下ろしてきた。

 

「ほう。この一撃をかわすとはな」

 

「…………………」

 

キリコは無言でアーマーマグナムを構える。

 

「やる気か。面白い……」

 

襲撃者も大剣を構える。

 

 

 

~~♪♪♪………

 

 

 

突然、楽器の音が響く。

 

(この音は……どこかで……)

 

「お願い、無意味な争いは止めて。私のために争わないで」

 

奥からリュートを携えた金髪の男が歩いて来た。

 

また、左目には薔薇をあしらった眼帯をつけていた。

 

「………………………」

 

襲撃者は苦虫を噛み潰したような顔をした。

 

「あんたは………」

 

キリコは驚きを隠せなかった。

 

「フフ。久しぶりだね、キリコ君」

 

その金髪の男とはカレイジャス号爆破によって命を落としたはずの、オリヴァルト・ライゼ・アルノールだった。

 

「キリコ?そうか、君が」

 

「俺を知っているのか?」

 

「弟からの手紙にあった。機甲兵戦術においてはかなりの使い手だとな」

 

「弟?まさか、あんたはクルトの……」

 

「ああ」

 

クルトの兄は大剣をしまう。

 

「第七機甲師団所属のミュラー・ヴァンダール中佐だ。よろしく頼む」

 

「ええ」

 

「それにしても驚いた。弟と年は変わらないのに歴戦の戦士のような凄みがある。内戦であの黄金の羅刹や黒旋風と渡り合ったというのも頷けるな」

 

「生き残るのに必死だっただけだ。それにあくまでも機甲兵戦術での話だ」

 

「謙遜しなくてもいい。あの二人には随分と手を焼かされたからな。聞けばあの第九機甲師団にいたとか?」

 

「………えっと…………二人とも、僕を置き去りにして盛り上がってないかい………?」

 

完全に蚊屋の外になっていたオリヴァルト皇子は悲しげな表情を浮かべる。

 

「………そういえばこのたわけがいたな」

 

「ヒドイッ!でもそういう放置プレイも………♥️」

 

オリヴァルト皇子は頬を赤らめ、ミュラー中佐にウインクをする。

 

「キリコ君、俺はこれからあのたわけをしばくつもりだが、協力してくれるか?」

 

「………………」

 

キリコは無言でポケットから何かを取り出す。

 

「それは、メリケンサックか?」

 

「軍服のついでに第七の倉庫で拝借した」

 

「……………」

 

ミュラー中佐は改めて軍服姿のキリコを見る。

 

「……まあいい。一つ貸してくれるか?」

 

「………………」

 

キリコはミュラー中佐にもう一つのメリケンサックを渡す。

 

「ふむ。なかなかしっくりくるな。これなら良さそうだ」

 

「えーーっと、二人とも?そんな物騒な物身につけてどうしたんだい?」

 

オリヴァルト皇子は軽口を叩きながらも冷や汗を流す。

 

「隠れていろと言ったにもかかわらず、勝手に出て来て場を掻き乱す。挙げ句、へらへらと何の反省もない……。少し空気の読み方というものを伝授してやろうと思ってな……!」

 

ミュラー中佐は指をペキポキと鳴らす。

 

「…………………」

 

「あーー、その、命だけは………」

 

「殺しはせん」

 

「ほっ」

 

「その代わり再起不能になってもらう」

 

「ミュラー君!?」

 

「少なくとも世の中は静かになるだろう」

 

「キリコ君も!?えっと、ボク怪我人……」

 

「遺言はそれでいいのか?」

 

「…………………」

 

「スイマセンでしたーーーっ!!!」

 

オリヴァルト皇子はミュラー中佐とキリコの前で土下座した。

 

 

 

「それよりキリコ君、なぜここに?」

 

ミュラー中佐にこってりしぼられた後、オリヴァルト皇子はキリコに問いかけた。

 

「とある奴からの以来でな。ノルド高原で戦艦が造られているとな」

 

「なるほどね。大方情報畑からだろう。だがそんなことより……」

 

オリヴァルト皇子は微笑みを消し、キリコの眉間に愛用の拳銃を向ける。

 

「君は陛下暗殺未遂で処刑されたはずだ。なぜ生きている?」

 

「………………」

 

「それ以前になぜ陛下を撃った?」

 

オリヴァルト皇子は目を細める。

 

「……あんたは黄昏については?」

 

「無論知っている。我らアルノール家が代々に渡って帝国を覆う呪いに苦しめられてきたこともね。だがアルノール家でない君にいったい何の関係がある?」

 

「信じるかどうかはあんたに任せる。まず、俺の話を聞いてほしい」

 

「……わかった」

 

オリヴァルト皇子は拳銃をしまい、笑みを浮かべる。

 

「許してくれたまえ。こうでもしないと納得する人間が出てこないと思ってね」

 

「………………」

 

「では聞こう。キリコ君、君の語る真実を」

 

「ああ」

 

 

 

キリコはオリヴァルト皇子とミュラー中佐にあの夜の出来事を、自身のことを、倒すべき宿敵のことを語った。

 

 

 

「「……………………………」」

 

二人は言葉を失った。

 

「…………………」

 

キリコはただ、無言を貫いていた。

 

「馬鹿な………」

 

「なんということだ………」

 

オリヴァルト皇子はキリコの顔を見る。

 

「私たちは、キリコ君一人になにもかもをおっ被せてしまっていたのか………」

 

「気にしなくていい。俺は異能の力で戦いから逃れられないし、安息を得ることもない。生きている限りな」

 

「キリコ君、正直僕は君を即座に撃つつもりだった。陛下の仇として、アルノール家の人間として」

 

「オリビエ……」

 

「だが陛下は、父上は君に全てを託した。だから敢えて銃弾にたおれた……」

 

「…………………」

 

「許してくれなどとは言えないが、本当にすまない」

 

「許さなくてもいい。こうなることはあの時から承知の上だ。それに例え、皇帝やあんた、それにセドリックが俺を許してもこの国の人間全員が納得するはずがない」

 

「キリコ君……」

 

(この若さでこの境地、いったいどれほどの地獄を見てきたというのだ……)

 

ミュラー中佐はキリコの佇まいに畏敬と畏怖を覚えた。

 

 

 

「それで、あれはカレイジャスか?」

 

キリコは紅い戦艦を見ながら聞く。

 

「正式にはカレイジャスⅡだね。皇族専用機ではあるんだが、より戦艦寄りになっているんだ。艦首砲に加え、様々な特殊機能を装備させることになっている」

 

「カレイジャスの発展機か]

 

「そうとも、新しい翼というわけさ。いずれ光まとう翼となって帝国の空を飛び回るだろう」

 

「……建造に関わっているのはあんたたちだけじゃないはずだ」

 

「ほう?どうしてそう思うんだい?」

 

「普通に考えれば分かることだ。皇室の資産がどれくらいかは知らないが、それだけで造れるはずがない」

 

「やっぱり優秀だね。そうだな……具体的には四大名門などの有力貴族にZCFやラインフォルトなんかの企業。さらにリベール王室のバックアップも受けているよ」

 

「……………………」

 

オリヴァルト皇子の口から語られる名前にキリコは唖然とした。

 

「おい、オリビエ。良いのか?彼は──」

 

「……戦艦などどこにもなかった。単なるガセに過ぎなかった」

 

冷静さを取り戻したキリコはきっぱりと言ってのけた。

 

「フフ、とんだスパイだね」

 

「情報局の、ロッチナの狗になった覚えはない」

 

「ロッチナ?そんな人物が情報局にいるのかい?」

 

「表向きはルスケと名乗っているらしいが」

 

「ほう。情報局長のルスケ大佐、か。なかなかの癖の強い人物らしいが」

 

「知っているのか?」

 

「宰相殿の派閥に加わってないにもかかわらず、異例のスピードで出世していると噂になっていてね」

 

「かなり権謀術数に長けているらしく、敵対する者が一人もいないというがな……」

 

「…………………」

 

 

 

「そういえば……」

 

「ん?」

 

「あんたは黄昏が起きた日、カレイジャスの爆破で死んだと聞いている」

 

「ふふ、何でだろうね?」

 

「……キリコ君は怪盗Bというのを知っているか?」

 

「怪盗B……神出鬼没のこそ泥か」

 

「そうだ。怪盗Bことブルブランの手によってオリビエは死なずに済んだのだ」

 

「もーーっ!いきなりバラしちゃうなんてミュラー君てばイジワルなんだから。でも、そんな辛辣な所も………♥️」

 

「ヴァンダールの剣の一刀両断とアーマーマグナムの一撃、どちらか好きな方を選べ」

 

「スミマセン調子にのりました」

 

「……………………」

 

キリコは二人のやり取りに呆れるしかなかった。

 

「……ゴホン。あの日、カレイジャスに仕掛けられていた爆発物が起動してね。ブリッジにいた僕やトヴァル君、アルゼイド子爵閣下は死を覚悟したんだ」

 

「……………………」

 

「だがすぐには爆発しなかった。むしろ何か結界のようなものが張られていたんだ」

 

「結界?」

 

「最初からオリビエたちを殺すつもりではなかったのか……」

 

「その直後、見覚えのある魔法陣が展開されて、間一髪脱出した。もっとも、爆風を浴びてよりハンサムになったけどね」

 

オリヴァルト皇子はにんまりと微笑む。

 

「オリビエ………」

 

「ということは、後の二人も?」

 

「いや、子爵閣下だけは行方が知れない。あの方に限ってそんなことはないと思うが……」

 

オリヴァルト皇子は悲しげに目を伏せる。

 

「一つ聞きたいことがある」

 

「なんだい?」

 

「ロッチナによると、爆発物を仕掛けというのは銅のゲオルグという奴らしいが、心当たりは?」

 

「銅のゲオルグ………」

 

「……さあ、聞き覚えがないね」

 

「そうか……」

 

キリコは若干の疑念を覚えた。

 

 

 

「さて、キリコ君。君はこれからどうするんだい?」

 

「とりあえず帝国かクロスベルに戻る。いつまでもここにはいられない」

 

「いや、今は戻らない方が良い」

 

「なぜだ?」

 

「君はどうやら、ここに来る前に色々とやらかしているみたいだね?」

 

「……………………」

 

「オーロックス砦に黒竜関、そこを襲撃した犯人を帝国軍が血眼になって探しているらしい。帝国全土は勿論、その捜査範囲はクロスベルにまで及んでいるらしい」

 

「捜査には情報局の、カカシ男や氷の乙女が絡んでいるらしい。今戻っても彼らに摘発されて終わりだろう。ほとぼりがある程度冷めるまでここに留まるのが賢明だと思う」

 

「いや、俺は……」

 

「君の言う宿敵──ワイズマン。おそらく君は帝国各地を混乱の渦に巻き込むことで彼を引きずり出そうとしているんだろう。違うかい?」

 

「それは……」

 

キリコは思わず視線を外す。

 

「君とワイズマンの因縁は他人が、この世界の人間が口を挟めることではないだろう。だが敢えて言おう。君は間違っている」

 

「……………………」

 

「君がこの数ヶ月、第Ⅱ分校で培ってきたものはなんだい?」

 

「質問の意図がわからない」

 

「君は一人で難問をクリアしていったのかい?」

 

「これは俺の問題だ。あいつらは………」

 

「良かったよ。君が彼らのことを口にしてくれて」

 

「!」

 

キリコの反応にオリヴァルト皇子は微笑む。

 

「君はおそらく、仲間たちと完全に縁を切ったつもりでいるようだが、本当は今も思っているはずだ。じゃなかったら、あいつらなんて言葉は出てこない」

 

「……………………」

 

「Ⅶ組というクラスの最大の特徴はね、仲間をどこまでも信じるということさ」

 

キリコは帝国方面を見つめる。その後すぐにオリヴァルト皇子たちを見る。

 

「……俺は何をすれば良い?」

 

「?」

 

「自分の食い扶持くらいは自分で稼ぐ」

 

「ふふ、決まりだね。ミュラー、案内してやってくれ」

 

「わかった。ついて来てくれ。一応、他言無用に頼む」

 

「わかっている」

 

キリコはカレイジャスⅡの仕上げに携わることになった。

 

(ついでと言っては何だが、あの人立ちに協力を仰いでみようかな)

 

(ちょうど、人材には困らないしね)

 

オリヴァルト皇子は鼻歌を歌いながら、ARCUSⅡを取り出した。

 

 

 

一方、その頃

 

「閣下」

 

「何かな?リーヴェルト少佐」

 

「先日の黒竜関襲撃の件ですが……」

 

「ああ、聞こう」

 

「襲ったのは二機。一つは猟兵王の紫の騎神であることは間違いありません。もう一つについては調査中ですが、いずれはっきりするかと」

 

「それはいい」

 

「え?」

 

「黒竜関を襲撃したという謎の蒼い機甲兵。既に工房の方で調べている。近いうちに結果は出るだろう」

 

「………わかりました。では、本業に戻ります」

 

「うむ」

 

リーヴェルト少佐はその場を後にする。

 

「………………………」

 

男は外の景色を見つめる。

 

 

 

「地獄から舞い戻って来たか。異界より来たりし不死の異能者、キリコ・キュービィーよ」

 

 

 

男はニヤリと口角を上げた。




次回、再びクロスベルへ
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