公爵令嬢は、ファイナル・フュージョンしたい。   作:和鷹聖

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長話後半です。
ここらで、世界観とか、ハッキリすると思います。

……というか、これで理解して頂けないなら、私の表現力上、もうどうしようもない。
o(T△T=T△T)o

徹夜感覚で書いたので、誤字脱字、意味不明な文があったらすいません。


Number.06 ~カルディナの感じる、世界の違和感~ (2)

「……まるで、『胡蝶の夢』ですわ。」

 

 

 ───『胡蝶の夢』。

 自分が夢の中で胡蝶(蝶のこと)として、ひらひらと飛んでいた所、目が覚めたが、はたして自分は蝶になった夢をみていたのか、それとも今の自分は蝶が見ている夢なのか、という説話である。

 この世界にも、非常によく似たような説話はある。

 

 

「『胡蝶の夢』?」

「ガオガイガーの映像は『記憶書庫(B・ライブラリー)』より出したものです。それは、私にとって、そして皆さんにも夢の様、そう映ったと思います。ですが、現実は、ゾンダーが実在する。」

「……寝ても覚めても、映像でも現実でも、同じ存在がいるから、ですね。」

「ええ……」

 

 

 フェルネスの言葉に同意しつつ、カルディナはすっかり冷めたお茶を一口。

 その表情は晴れない。

 

 

「……ゾンダーの存在を『記憶書庫(B・ライブラリー)』でも現実でも、目の当たりにしたのが、5歳の頃。しかし討伐された以上は、被害にあったのが私であっても触れもされません。そして、一番重要なのが、ゾンダーによる実害が、まだ出ていない事。それによって、ガオガイガーを知らない人にとっては『目撃情報が稀な正体不明の魔獣』程度の認識でしかないのです。そんな現状で、ゾンダーが現れたら、ゾンダーの本懐である『機界昇華』が起きたら、どうなるか……対抗手段などありませんわ。」

「だから、ガオガイガーを創って対抗するしかない。そう思ったんだ。」

「───いえ。それは違います。」

「??何がだい?」

 

 

「──ゾンダーが居なくてもガオガイガーは創る予定でしたわ。ただ、子供心で『ガオガイガーを創ろう!』と決心した矢先に、ゾンダーに出会って『これはもうガオガイガー創らなきゃ、世界が危ないッ!』と思って、製造を急いでいるのが現状です。」

『───!!』

 

 

 その通りだ。

 例えゾンダーの事を知らなくても、カルディナのガオガイガー創りは継続され、何時かは完成させていたであろう。

 ただ、ゾンダーの存在がガオガイガーの誕生を早めようとしているだけである。

 現に、ガオガイガーの映像を見るまでは、ゾンダーの話は一切出てきてない。

 ただ、趣味と使命(?)が合致したに過ぎない。

 

 

「例えゾンダーが現れなくても、ガオガイガーは絶対に創りますわ。そして原寸大のガオガイガーで『ファイナル・フュージョン』を成功させるまでは絶対に諦めません。私の『ガオガイガー愛』は常にGストーンの出力と一緒で無限ですわ。ええ、これは勇気ある誓いなのですッ!」

 

 

 ……ええ。カルディナお嬢様は、常にガチです。

 

 

「……流石、お嬢。ゾンダー関係無く、ガオガイガーは創るって訳ね。逆に安心したわ。」

「ただ、気になるところは多々あります。特に気になるのは『被害報告がない』というところですわ。」

「確か……ゾンダーの目的は『機界昇華』という、全てのマイナス思念を持った有機生命体を『機械生命体』へと変える、でしたね。その為にゾンダー化の触媒に人を使う、と……」

 

 

 正確には、知的生命体にゾンダーメタルを植え付け(生機融合化させ)発生させる。

 最終的にはゾンダー胞子──素粒子Z0を大量発生する苗床として「開花」させ、胞子をばらまく事により惑星(ひいては宇宙の生命体すべて)をゾンダー化させる『機界昇華』を目的としている。

 マイナス思念を持つ知的生命体を対象とするのは、ゾンダーの『元のプログラム』の影響と考えられる。

 

 

「ええ。ですが、仮に年に数人行方不明になろうとも、この世の中は、人拐いか事故程度にしか思わないでしょう。かと言ってガオガイガーの事、ゾンダーの事を懇切丁寧に説明したところで……」

「……与太話として、誰にも信じてもらえる事は、ないか。」

「その通りです。ですので、私が打てる手は、ゾンダーがいつ現れても良いように、対抗存在(カウンター)としてガオガイガーを創る、しかないのです。それも完成までは秘密裏に、他のどんな勢力……国、貴族にも邪魔されずに。しかも関わる身内には誤解されないように。」

 

 

 そこは重要である。

 やっている事が、事なので、国や他の貴族達からの横槍は絶対に避けねばならない。

 只でさえ注目されて、やっかみ(ヘイト)が色濃い状況であるのが現状なのに、下手な所にバレたら、資材調達に深刻な影響が出る。

 国に曲解して伝わると、国家反逆にもなりかねない。

 

 そして身内にも、気を配る必要がある。

 一つ間違えれば反乱の兆しにも見えるガオガイガーの創造は、扱いを間違うと公爵家のお家騒動に発展しかねない。

 ちなみに、フェルネスを介して実の父親(クリストファー)に対し情報を誤解されないように小出しで漏らしていたのは、ある種の配慮である。

 

 ……ただ、あれ(・・)で配慮というには、お父さんには胃を痛くする事案であるが、ゾンダーの事を伝えたら、ストレスがマッハの、胃腸炎発症は待った無しであろう。

 

 

「そうだったんだ……ん、てことは、今回創ったガオガイガーも、そうなの?」

「そうですわ。もちろん、原寸大の建造の為の縮小模型(ミニチュア)でもありますが、本当の目的は、先程の映像にあった大きさのゾンダーに対して、もしくはそれに近い対象に対して、『ヘル・アンド・ヘブン(核を引っこ抜く手段)』が通じる様にと。まさか30メートルの巨体で、人サイズの相手をする訳にもいきませんし……」

「流石、お嬢。抜かり無いわ。」

 

 

 小さい相手だろうと、大きい相手だろうと、全力で相手をするのがお嬢様である。

 その為のミニチュアと原寸大の創造である。

 

 ただ、この話には一つ、対ゾンダーならではの問題がある。

 それは、狼系獣人のフランがちょっとビクビクしながら、洩らすように呟いた。

 

 

「……『浄解』、はどうすんの?」

「……痛いところを突きますわね、フラン。」

「あ、ゴメン、お嬢……」

「いいのです。現状発見し、核を引っこ抜いても『浄解』については、一切の手がありません。あれは詠唱したところで、誰にでも出来る代物でない様みたいですし。」

 

 

 ───浄解。

 カインの息子、ラティオこと天海護や、アルマこと戒道幾巳が持つ特別な力で、ゾンダーに取り付かれた人間を元に戻す。

 公式の情報では「本来、誰しもが持っている力」と記されているが、現実はそうではない。

 過去にカルディナが、性質が一番似ているであろうと考察した『浄化魔法』で、詠唱をして試したが(ポーズやタイミング、羽の形や枚数の顕現、光る身体もバッチリで)、一切そんな現象は発現しなかった。

 ましてやカルディナ自身、ゾンダー相手に試した訳でないので、本当に効果があったかすら不明だ。

 

 

「今のところの対処として、大火力で燃やし尽くすか、その場で核を握り潰すか……」

「あの核を握り潰すのはいいとして……ゾンダーって、大火力で燃えるもんなの?」

「ヴィトーの疑問は最もですが、そちらは前例がありますので……」

「前例……ああ、姉さん、ね。」

 

 

 イザリアの姉が、カルディナ救出の際に、大火力の炎魔法で焼き付くした。

 ただ、ゾンダーを倒した時、イザリアが目にした光景は、半ば溶鉱炉化した地面の中で、溶け行く異形であったとか。

 放った魔法の威力は如何程か……

 その時の姉曰く、気だるげに欠伸をしながら、こう答えた。

 

 

「偶然発見して、想定以上の耐久だったから、全力で燃やした。いいじゃん。助かったんだから。」

 

 

 ……幻晶騎士(シルエットナイト)戦略級魔法(オーバード・スペル)を軽々と超える魔法をポンポン繰り出す。それがイザリアさんの姉、である。

 ただ、それでも全力で立ち向かわなければ、倒せない相手だったという。

 

 

「……あの人は、参考にならないわよ。」

「全くです。未知の相手によく出来たと思いますわ。」

「ちなみにゾンダーになった人達って……」

「……申し訳ありませんが、浄解の手段が出来ないあの時は、もはや手遅れです。」

 

 

 それが、対処方法のない、現状である。

 

 

 

「何にせよ、今は浄解の使い手はいないのです。まさかギャレオンが、本当にラティオ──天海護を連れて来る訳がないでしょうから。」

「仮に存在したとしてもよ、映像のようにゾンダーと相対しなきゃ、その力も出ない気がするぜ。」

「……だよ、なぁ。」

 

 

 ガオガイガーが創れたとしても、浄解の使い手(護や戒道)がいない現状は極限の戦力で倒す他ない。

 ましてや、目撃情報が僅かにあるとは言え、ゾンダーに遭遇していない現状はどうする事も出来ない。

 RPGように、歩いたらエンカウントする訳でもない。

 

 ……ただ、フランだけは、カルディナに対し、

 

 

(……本当に、いないのか?)

 

 

 チラチラっと視線を送っていた。

 それに気付いたカルディナは、何も言わず、軽く首を横に振るに留めていた。

 ともあれ、それ以上は話が進まない様で、一旦区切るためカルディナは話を纏めた。

 

 

「……まあ、色々話しましたが、私がガオガイガーについて、そしてゾンダーついて話せるのはこの位ですわ。未だ見ぬ敵とはいえ、これから皆さんには苦労を掛けます。」

「とはいえ、そこでお嬢様の秘密を知るとは思いませんでした。それもアースガルズ家にとって重要な案件です。公爵様(お父上)には真実を話さなくて良いのですか?」

「……ガオガイガーが完成していない現状で話してしまうと、逆に心配し過ぎて、ガオガイガー創りの妨害を受ける可能性があります。それに『記憶書庫(B・ライブラリー)』の事は、お父様の性格上、間違いなく『国王』まで報告一直線でしょうから、まだしたくありません。なので、フェルネスさんからはやんわりとした報告をして下さい。」

「……善処します。」

 

 

 普段から表情が見えにくいフェルネスの表情が、哀愁を漂わせていた……のは間違いない。

 それを不憫そうに横目で流しつつ、イザリアはヴィトーとフラン、ダーヴィズの4人で自分達の行う指針を整理していた。

 

 

「まあ、私らは特にやる事は変わらないわね。」

「一先ずは、ガオガイガーを創るって事か。第1話のGGGって組織も、そんな感じだったよね。ガオガイガーありきの、浄解は無しって。」

「俺らはまず、原寸大のガオガイガーがない事から、第1話の状況ですら無い訳だけどよ……しかしこの世界は難儀だよな。作り話が、一部とは言え、現実にあるのは。」

「そうよねぇ。一見ゾンダーに対抗出来るのは、ガオガイガーって感じるけど、実際には、ゾンダーへの対抗者(カウンター)天海護(ラティオ)って子なのは何となく解る気がするわ。」

のは何となく解る気がするわ。」

「───その通りです。」

「うわ!ビックリした!お嬢、驚かさないでよ。」

 

 

 いきなり話に割って入ってきたカルディナ。

 どうやら、フェルネスとの話は終わったらしい。

 2人が後ろにいた。

 

 

「すいません。ゾンダーの対応の話が聞こえましたので。ですがその通りです。『浄解』の力のない私達に、ゾンダー殲滅は難しい。難しいですが……可能性はあります。」

「あるの!?」

「一つは『浄化魔法』。ゾンダーの状態を『呪い』『異常状態』と仮定した時、効果を発揮するのでは、と考えています。」

『異常状態』と仮定した時、効果を発揮するのでは、と考えています。」

「『浄解』と『浄化』、ですか。まあ、仮説としては面白いですね。」

「そして二つ目ですが……言葉で説明するのは簡単なのですが、どうも『この事』を話すと全てが残酷に見える様に思えまして。」

「??」

「……」

「どう説明したら、ショックを受けにくくなるかと……」

 

 

 よく解らない言い方をするカルディナに対して、理解が及ばない一同。

 というより、ショックを受けるのは前提らしい。

 

 ……唯一、フランは何かを察したようだが、何が怖いのだろうか、怖くて閉口していた。

 

 

「……そういえば、ヴィトー。」

「何、お嬢?」

「貴方、魔術式投影機(プロジェクター)を作る過程で、疑問に思ってましたわね。ガオガイガー以外の話ってあるのかと?」

 

『————!?』

 

 

 

 カルディナは『記憶書庫(B・ライブラリー)』の存在より先に、ガオガイガーという作品を一部とは言え、世に出したのだ。

 そして今なら、他にも作品が納められているのでは?という疑問も出てくる。

 魔術式投影機(プロジェクター)の製作者であるヴィトーは誰よりも、先にその疑問を抱いた。

 

 

「あの時は、はぐらかしましたが、実際はたくさん(・・・・)ありますわ。」

「そうなんだ。お嬢の事だから隠してる気がして、何かありそうな気がしてたけど。」

「ほぉ~、そりゃ興味があるな。」

「まあ、私もまだ全ては見てませんが……せっかくですから、私が把握している範囲(・・・・・・・・・・)で、いくらか見ますか?」

「え?いいの?」

「もちろん。せっかくの機会ですから、見ていただけると嬉しいです。」

「へへ、やったぁ!」

 

 

 ヴィトーは喜んで、席に着いた。

 他の者達も「まあ、せっかくだから……」という雰囲気で、席に着くのであった。

 

 

「……それに、今話そうとしていた事への回答、にも繋がりますので、丁度良いです。ただ、しっかり正気は保ってください、ね。」

「……え?何で?」

 

 

 

 

 後に思った。

 これがカルディナが先に言った『後悔』であると。

 

 後に、皆が口を揃えて語る。

 「出来れば、知らなきゃ良かった。」と。

 

 後に実感した。

 実は『胡蝶』は、とんでもない害虫だったのでは?と。

 

 

 

 

「まずは『聖戦士ダンバイン』という作品から。」

 

「……ん?」

「どうしたの?フェルネスさん。」

「いえ、この頭を丸めた老人、先月に一族郎党、処刑された貴族の当主にそっくりと思いまして……」

「言われてみれば……あ、この水色の髪の王女様、近くの教会にいるシスターにそっくり……」

「確か事情があって出家したとか……凄い偶然ね。」

 

 

 どうやら、そっくりさんや似た人物がいたようだ。

 

 

 

「では次に『魔神英雄伝ワタル』という作品を。」

 

「あれ?この大柄のオッサン、鍛治ギルドの副ギルドマスターに似てない?」

「隣にいる女の子……街にいる、売り子じゃなかったっけ?あのすごい騒がしいの。」

「……このワタルって奴。昨日、商店に納品しに行った時、見習いの講習受けてた奴にそっくり。」

「何かすごい偶然だな~。」

 

 

 どうやら、ギルドや、アースガルズ商会の誰かに、似た人物がいたようだ。

 

 

「次は異世界(現代)風の作品で『REIDEEN』。」

 

「うお!?スゴい金ぴか!しかもガオガイガー並みにデカい!あれって純金で出来てるの?」

「動きが鈍くて笑える~!」

「……ん?この女の人……」

「どうしたの、フラン?」

「肌白くて、人間族だけど……肌黒くしたら、イザリアの姉御みたいな……」

「……はは、まさかぁ。」

(……他の二人は、王国の暗部に同じ顔がいましたね。)

 

 

 流石は異世界。

 イザリアさんのそっくりさんいるらしい。

 ちなみに最後のコメントはフミタン。

 

 

 

「次は『天空のエスカフローネ』。」

 

「……流石に、似た顔はいないわね。」

「……いえ、取り巻きの方は、どこかの騎士団の若手で見た気がします。」

「……へえ、そうなんだ~。」

「おや、この主人公の女の子、カルディナ様のご学友の一人では?黒い髪の殿方はその護衛の一人ですね。お二人とも相思相愛でしたね。」

「って事は、その騎士団もそのご学友の領地の所属?」

「……ははは~、すごい偶然ね~。」

 

 

 流石はカルディナの関係者。

 どうやら、そっくりさんがいるらしい。

 

 

 

「ちょっと意向を変えて『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』」。

 

「……」

「……」

 

「「「「………」」」」

 

「……冗談、キツイぜ。」

「……世界って、丸いんだな。」

「……あんた、言う事それだけ?」

 

 

 流石に、宇宙を題材にした作品は衝撃が強かったようです。

 世界観に意志が折れそうです。

 

 

「最後に『ナイツ&マジック』。」

 

「……」

「……」

「……これは、フレメヴィーラ王国、ですか?」

「そうですわ。」

「……おい、ダーヴィット・ヘンプケンが、何で映ってんのよ?あいつ俺の従兄弟なんだが。」

「ああ、やはりでしたか。どこか似ていると思っていましたから。」

「……主人公の名は、エルネスティ・エチェバルリア。外交先の、エチェバルリア公のお孫さんでしたね。」

 

 

 どうやら、実在する場所が作品中にあったよう───

 

 

 

「──お嬢、今まで見せた、作品の意図は、何?」

「……やはり判ります?」

 

 

 苦笑いのカルディナに対し、最早精神的に限界に達する一同より、辛うじて辛辣な口調で物言うイザリア。

 

 ……そう、カルディナが見せたのは、何という『地獄』か。

 

 今まで見せた作品全て、例外無く『作品と同じ人物が実在する』という地獄だ。

 それは……

 

 

「『記憶書庫(B・ライブラリー)』と、現実で完全に似通った方々の一覧です。ご覧になった他、王国に住むおよそ7割が、何かしらの作品の人物に該当しています。」

「嘘ォ……」

 

 

 イザリアは、力なく漏らす。

 他の面々も似たようなもので、口から魂が抜けているような……

 しかし、目にした事実と、周囲にいる人物の容姿は、間違いなく附合している。

 

 

「……私もこの事実に気付いた時、似たような思いをしましたわ。そして一通り見聞した時……私はある結論に達しました。」

「どの様な結論に?」

「この世界には『胡蝶の夢(作品の人物達)』が溢れている。その『胡蝶の夢(形創るもの)』の元は『記憶書庫(B・ライブラリー)』に在るような、数ある作品達で、この世界は形創られている、という事に、ですわ。」

「……お嬢、本気で言っているの?」

「ええ、本気です。」

 

 

 つまり、この世界は『作品』の情報を元に生まれた、と言っている事になる。

 誰もが冗談と思える事であるが、そう語るカルディナの瞳は本気だった。

 

 

「……そして、この結論はある種、他国の方々にもある程度の割合、該当していますので、概ね合っています。皆さんもある程度、思い返せば身に覚えがある筈で───痛タタッ!?」

 

 

 話すカルディナの表情は晴れない。

 逆に、ゾンダーの事を話す時以上に落ち込んでいるように、そして追い詰められたようにも見えた。

 そしてカルディナ以外の者も、身に覚えがあるかは、先程の映像を見ても明らかだ。

 思い当たる節がいくつもあるため、どう言えばいいか解らない。

 

 ──と云うのにも拘わらず、カルディナの頬っぺたを無造作に引っ張るのは、イザリアだった。

 

 

「は~い、辛気くさい空気は止め。取り敢えず、一旦仕切り直し。オーケー?」

「お…お~け~、です、わ。」

「しかし、いつの間に、とんでもないものを見つけ出して来たわね?一つ、向こうで状況整理ついでにお姉さんに話しなさい。」

「ひゃ……ひゃい。」

 

 

 そして頬っぺたつねられたまま、カルディナはイザリアに連れて行かれてしまった。

 

 

「……な、何やってんだ、ありゃ?」

「イ、イザリアの姉御が、お嬢に手を挙げてる?!止めなくていいの!?」

「ああ、ダーヴィズさんやフランは見るのは初めてですね。イザリアは、優秀な金属細工師であると同時に、カルディナお嬢様の精神的なストッパー、お目付け役なのです。」

「お目付け役?」

「公爵令嬢故に、諌められる者がいない。しかし昔の事件……まあ、ゾンダーに襲われた場でお嬢様を保護した時から、お嬢様はイザリアを慕うようになりました。それで半ば私的なお目付け役を任せられました。まあ、叱る姉、の様な存在ですが。」

「そうなんだ。そうは見えなかったけど……」

「普段は主従関係でお互いそうは見せていませんが、見えないところでは、結構叱っていましたよ?」

「マジか。」

「今は『言いたい事があるなら、恐れず報・連・相!でしょ?』とでも言っているのでしょう。妹を心配して叱る姉のように。ただ、2人とも仲はとても良いです。でなければ、あの公爵令嬢の鬼才の暴走が、自然に止まると思います?」

「……いや、思わんな。」

「そう言われれば、納得。」

「道を間違えそうになったお嬢様を、真摯に叱れる貴重な存在……それがイザリアです。」

 

 

 フェルネスが僅かに優しい表情で、困惑しつつも何かを話すカルディナと、眉を潜めてやれやれといったイザリアを見て、ホッとする。

 

 

「……どうやら、お嬢様は落ち着いたようです。あの様な表情をしている時は、余程思い詰めているのでしょう。故に我々は一つ、覚悟はした方がいいですね。」

「……現実と『B・ライブラリー』の関係?」

「ええ。この情報は、予想せずとも、ある一種の禁忌です。それに対しお嬢様は心を痛めていた。我々を気遣っての事です。」

「……」

「……ただ、普通であれば冗談言える事ですが、ゾンダーという未知の敵に対抗するために、どうしても話さねばならなかったのでしょう。お嬢様は根拠もなしに、あの様な事を言う方でないのは、よく知っています。イザリアも同じ気持ちな筈です。」

「そうです。何かしら意図があるのは間違いありません。」

 

 

 そこは一番の理解者故に。

 

 

「私も何となくですが、この後の展開が読めました。しかし……咎めたい気持ちは判りますが、今は話を聞きましょう、フラン。」

「……ああ。」

 

 

 思い詰めた表情のフランに、それとなく気遣いするフミタン。

 それは不安か、怖れか、いずれにせよ、これからカルディナが語る事で判明すると、フランは自分に言い聞かせた。

 

 

「……んで、お嬢。いつからこの事実に気付いたの?」

 

 

 そして仕切り直し。

 イザリアの叱咤に、仕切り直したカルディナは、ゆっくりと語り始める。

 

 

「……3つの頃にはやんわりと気付いていました。そして4歳の時には、ウンザリしてました。『この世界は作り物かと』。実際、ツギハギの様に作品の人物がバラバラに出てきて、見事な調和で交流されている時は、怒りすら込み上げてきました。そんな中、『記憶書庫(B・ライブラリー)』の中に、作品の登場人物が出てこない作品を見つけたのです。」

「もしかして、それがガオガイガー?」

「ええ。あの時は唯一心許せる作品で、嫌な現実を忘れさせてくれるものでした。」

 

 

 それから、あれよあれよとハマり、後に『悪魔憑き事件』が勃発。それに懲りず、後に史上最強のガオガイガーオタクが誕生した。

 それが現在の、カルディナお嬢様である。

 

 

「『悪魔憑き事件』の真相が『記憶書庫(B・ライブラリー)』……ガオガイガーの閲覧が原因だったとは……」

「……ただ徹夜し続け、馬鹿をしただけです。実際には何もないので、今更ですがロクでもない事をしたと思いますわ。」

 

「「「──いや、全く。」」」

 

「……うう。身から出た錆とはいえ、手厳しいです。」

 

 

 全容が判明すると全員が賛同する程、本当にロクでもない事件でした。

 しかし、そんな葛藤があったからこそ……

 

 

「今ではそんな世界でも、慣れると楽しいと思えるようになりました。無茶な掛け合わせ(クロスオーバー)であっても世界は成り立つ事が判りましたし、結局、数多の作品を元に構成されたような無茶苦茶な世界ですが、事実を知ろうが知るまいが、生きる分には問題はないのです。何より『記憶書庫(B・ライブラリー)』にはそれ以外の情報も沢山あります。だからそういうものだと思ってました。」

 

 

 ただし『作品』に於ける『物語の筋書き』はある程度生きており、時折適応されている事も付け加える。

 

 

「……なる程ね。殆どの人物の特異な素質、あるべき環境、特殊な状況も、消えている事が多いのに、その作品特有のセオリーは、生きているって訳ね。」

「本来は、まるっと残る筈が、部分的には消滅しています。まるで『実験結果の悪いフラスコの実験』のように。」

 

 

 作品通りに事が進んでいれば、この世界は既に特異な兵器で溢れている。

 しかし、それがないのは、この世界の技術、魔法の発展がそもそも『平々凡々』に進んでいる為だ。

 そして、現代風ロボはいざ知らずとも、異世界風ロボの登場人物はいるが、ロボットの土台となる技術環境が殆どない。

 

 この世界はフラスコの中身のような場所。

 ただし、その実験は混ぜ合わせても、互いを打ち消し、何の効果も出さない。

 故にその実験結果はロクに出ない『出来の悪いフラスコの実験』である。

 カルディナはそう思っていた。

 

 そんな状況下でのゾンダー(本来あり得ない存在)の出現……

 

 

「……ガオガイガーに関連する登場人物が実在していないのは確認済みなのです。であれば、その敵もいない。その筈なのに、奴らは現れました。初めてでしたわ。『記憶書庫(B・ライブラリー)』のセオリーから外れた存在が現れたのは。しかもそれは普通の手段では屠れない、厄介な敵……」

 

 

 これがカルディナが感じていた、この世界の違和感。

 自身の持つ『記憶書庫(B・ライブラリー)』に記録されたガオガイガーだけが持つ差異。

 GGGスタッフは、面影を持つ者すら一切存在せず、ゾンダーのみが存在する世界。

 

 ガオガイガーという作品に於ける、ゾンダーへの対抗者(カウンター)が居ない事に、ガオガイガーをよく知るカルディナはこの上なく戦慄した。

 

 

「……ですが二年前。『彼ら』との遭遇で、事態が一変しました。」

「彼ら?」

「私の保有する傭兵団……今は『鉄鋼桜華試験団』と名を変えていますが、その中に『浄解』を使えると思わしき人物がいたのです。」

 

 

 ──『鉄鋼桜華試験団』。

 それは、カルディナが有する傭兵団である。

 試験団の名の通り、カルディナや職人達が開発、もしくはアースガルズ商会で作られた、あらゆる試作品の試験者(テスター)を行う、総勢32名の集団である。

 

 そして『浄解』を使えると思わしき、その人物の名は……

 

 

「『クスト』。そして『ムル』。この2人です。」

「え!?『ムル』まで!?」 愛称なのかもしれないが、二文字の名前で愛称は必要だろうか?

「フラン、何で知ってんだ?」

「ダーヴィズさんは『彼ら』を見ていないので、で知らないでしょうが、フランは『鉄鋼桜華試験団』の一員なのです。ただ、フランは職人なので、普段は別行動なのですが……」

 

 

 そして、ダーヴィズ以外も全員、担当職上のやりとりで面識がある。

 

 

「……そうだったのか。」

「でも『クスト』は似てる奴がいたから判ったけど、『ムル』までなんて……」

「『ムル』と思わしき人物が出るのはもう少し先になるんです。見ていないのは仕方ありません。」

「しかしお嬢様。本当に『浄解』が使えるかは……」

「不明です。実際にゾンダーに相対しなければ、能力は発現しないでしょう。それまでは、ただのそっくりさんか、能力を持つ者か、私には解りません。望みは薄い、でしょう。ただ、こちらをご覧下さい。」

 

 

 カルディナはモニターを見るよう促し、そこにある人物達を投影させる。

 その人物は、2人の子供。

 一人は、茶髪のやんちゃそうな子供。

 もう一人は、紫の髪のクールな子供。

 

 

「ガオガイガーの最重要人物である『天海護』、そして『戒道幾巳』。この2人こそゾンダーを『浄解』出来る者です。」

「……ここまでとは。」

「子供の姿とはいえ、これは期待を寄せたくなるわね。この子等が成長すれば、私らが知ってる姿になる。お嬢が躊躇する訳だわ。」

「お嬢……この事って、2人は……」

「知りません。知る筈はありません。ですが、当時の私が喜んだ事は認めますが、取り巻く『現実』が、簡単に喜ばせてくれません。なので私はこの事を一切告げる事無く、今まで黙秘し続けていました。ですが、いつかは……」

「……話す必要が、ゾンダーに対抗するために秘密を明かす必要がある、と。」

「……はい。私独りだけでは、この事をどう明かすべきかと。」

「いきなり言われても、面喰らうだけだしね。今のオイラ達みたいに……」

「ゾンダーだけでも青天の霹靂なのに、そもそもこの世界が作品を元に構成された世界だなんて、いきなり言われても、現実味がないわな……」

 

『………』

 

 

 黙り込む一同。

 取り巻く状況は理解、整理出来た。

 しかし、心はどうにも動揺する。

 

 いる筈のないゾンダーの存在。

 そして『記憶書庫(B・ライブラリー)』にある作品の数々と世界の人々の関連。

 

 知らねば何も思わなかったが、知ってしまった以上はどうすべきか……

 

 誰もが答えを出せない中で、フランが問う。

 

 

「……なあ、お嬢。」

「……何でしょうか?」

「2年前の『俺達』との出会いは、『クスト』と『ムル』を引き入れる為、だったのか?」

 

『??』

 

「……そんな事ある訳がありません。『あれ』は完全に私達の意思の範疇外……むしろ私にとって予想外の事でしたわ。そして、あの日から今日に至るまでの日々は、私が『団長』に言った通り、『私の為であり、貴殿方の糧に』の言葉通りです。その約束に今も偽りはありません。」

「……そっか。そう言うなら俺は、お嬢を信じる。」

「ありがとうございます。」

 

 

 どうやら、フランのわだかまりは解けた様子。

 それは、カルディナと『彼ら』との約束故に、フランは余計に不安になっていたようだが、もうそれもなくなった。

 それが何かは、後に語られるだろう……

 そして、それを見た一同も安心する。

 

 ゾンダーや世界の事で、皆を心配するカルディナの心に不安はあれど、迷いはない証であるから。

 

 

「それで、お嬢。今後の予定は?」

 

 

 イザリアがカルディナに問う。

 しかしその答えは判りきっている。

 

 

「もちろん、ガオガイガーを創る。二言はありません。」

「まあ、その通りね。世界の秘密云々は、まだ正直受け入れきれないけど、私らは職人。予定通りに原作に忠実なガオガイガーって奴を、創ってやろうじゃないの。」

「まあ、そうなるよね。オイラも頑張るよ!」

「へへ、世界の危機迫るって奴だ。いっちょやってやるぜ!」

「ああ、もちろんだ!」

 

 

 ヴィトー、ダーヴィズ、そして気持ちを新たにしたフランの気合いも十分。

 フェルネスは、「そうですね……」と呟いた後、

 

 

「私はゾンダーや、この世界の秘密について、もう少しお嬢様と検証したいところです。しかし『クスト』と『ムル』については……」

「折を見て、見回りを増やすしかありません。運良ければゾンダーに出くわす事もあるでしょうが、望みは薄いでしょう。『団長』にはそれとなく指示しておきますわ。それに私、一週間後にフレメヴィーラ王国に行かねばならないので、それまでには必要な物を挙げ……」

 

「「「「───え!?」」」」

 

「な……何か??」

 

 

 ようやく安堵したと思ったのも束の間、驚愕する一同。

 

 

「……フレメヴィーラ王国にですか。いや、確かに予定にはありましたが……」

 

 

 どうやら、事前に行く事は予定にあったようだ。

 しかし、先程のやり取りの後なので、どうも皆が過剰に反応し過ぎるのは仕方ない。

 

 

「しかしフレメヴィーラっていや……到着するまでに数週間はかかるぞ?」

「ステルスガオーで行きますので、日帰りですわ。」

「確かに『山脈の下に開通したトンネル』を抜けるより早いわね。」

「そして、お嬢様がお会いになる方と言えば…………『銀凰騎士団』団長『エルネスティ・エチェバルリア』殿、ですね。」

 

『───!!』

 

 

 立ち直ったとは言え、まだ衝撃の抜けきらない一同は、記憶に新しいワードに再び固まる。

 

 現実にある、友好国『フレメヴィーラ王国』。

 アルド・レイア王国にもその名が聞こえる『銀凰騎士団』の若き団長『エルネスティ・エチェバルリア』。

 

 そしてそれに連なるは『ナイツ&マジック』という作品。

 

 

「彼とは幼少の頃から顔馴染みで、向こうのライヒアラ機操士学園に一時期留学した際に意気投合した仲ですし。」

「短期留学でしたが、行きましたね。」

「ええ。その縁もあって現在、ガオガイガー建造に一部ご協力して頂いているのは、皆さんもご存知かと。」

「……そういや、そうだったわね。」

 

 

 そうなのだ。

 カルディナを除き、既に職人達は『ナイツ&マジック』の存在達に関わっていた。

 伊達にミニチュアのガオガイガーを幻晶騎士(シルエットナイト)の技術を応用し、創ってはいない。

 

 

「忘れてない訳じゃないけど、さっきの映像の事と、『記憶書庫(B・ライブラリー)』の話で、一気に別世界の住人に見えたよ。」

「去年の交換技術留学を思い出すなぁ……知ってる人が実は有名人だったみたいな感覚……」

「そう考えると、幻晶騎士(シルエットナイト)の技術でガオガイガーを創るのは些か無理はあるのでは?」

 

 

 ……それは、尤もな理由だ。

 幻晶騎士(シルエットナイト)は平均10メートル前後。ガオガイガーは30メートル以上。

 そして、使われている技術が違うので、それは当然といえる。

 しかしそれは次のカルディナの言葉で打ち消される。

 

 

「……それは、重々承知しています。ですが、機械文明のないこの世界でマトモな『機械仕掛けの巨人』を再現・創造するのに、私達の世界で、他に応用出来る技術がなかったのです。幻晶騎士(シルエットナイト)の技術は唯一、『特別な要素・因子に頼らない、知識・技術さえあれば建造出来る巨大創造物』です。作品の世界でも、この世界(こちら)でも。」

 

 

 それが、幻晶騎士(シルエットナイト)の技術を応用した理由である。

 他の異世界ロボットでは、何かしら契約・伝説の存在、特殊因子、特に『選ばれし◯◯~』が必要になるものが多い。

 それは絶対に許容出来ないし、そもそもカルディナが必要とするものではない。

 何より、そんな要因はこの世界にないのだ。

 無難な魔法技術以外は。

 しかし幻晶騎士(シルエットナイト)は魔法技術である故に、知識・技術さえあれば建造、そして運用が出来る。

 

 逆に言うなら、可能性が悉く失われたこの世界で、この道しか手段が残されていなかったのが現状でもある。

 

 

「……そうでしたね。申し訳ありませんでした、お嬢様。」

「いいえ、私も選んだ道が、無理を押し通して、進んでいる道と自覚はしています。彼……エルネスティさんにも言われましたし……」

 

 

 しかし進むしかない。

 カルディナが行かねばならない道とは、そういう道なのだ。

 更に……

 

 

「お嬢。フレメヴィーラ王国も気になるけど、『あいつら』の事も気にしてやんないと……まさか『あいつら』がねぇ……」

「……ええ。判ってます。関わった以上は最後まで面倒は見ますが、『クスト』と『ムル』も含め『彼ら』も該当してる事は、私にとっても命題ですわ。」

「お嬢……」

「フラン、悪いようにはしません。無理に受け入れて貰うつもりはありませんが、絆の強い『彼ら』の事です。いつかは勘付くでしょう……」

 

 

 身内にも『記憶書庫(B・ライブラリー)』に関連する者達がいる様で、カルディナを含め、その場にいる者達は、これからの道のりが開発を含め、困難な事を覚悟した。

 

 

 その人物達とは……

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 ───夜・アースガルズ邸 敷地内兵舎

 

 

 ここは正式なアースガルズの騎士団の兵舎……ではなく、カルディナ個人が保有する、傭兵団の兵舎。

 そこには18歳に満たない未成年の少年達が大勢いる。

 ここは『鉄鋼桜華試験団』の兵舎。

 造りこそ華美でないが、実直な造りの空間に実用第一の家具が揃えられている。

 全ての作業が終わり、一部の団員達は広間でそれぞれ寛いでいた。

 

 

「あ~、今日も1日働いたぜ。主に解体作業だけどよ。」

 

 

 茶色の短髪の少年が欠伸をしつつ、体を伸ばす。

 それに同意したのは、傍らの金髪で、少々たれ目の少年。

 

 

「だな。しっかし、午前中に爆発が起きたと思ったら出撃要請……の直後に大亀の回収とはよ。訳が解らんかったぜ。」

「……話だと、お嬢が討伐したって。フレメヴィーラで陸皇亀(ベヘモス)とか言われた魔獣だとか。」

 

 

 大人しそうで、伸ばした前髪で片目を隠している少年が、然り気無く補足する。

 

 

「マジか!砦一つ消し飛ばしたって噂だぞ。ホントかよ!?」

「……まあ、現に討伐した奴はみんな解体したからな。今回のは番か、子供らしいが、放置してりゃ、みんな焼かれたようだがな。火力が異常だとか。」

 

 

 頭を抑えて説明したのは、白っぽいグレー寄りの髪をオールバックにし、前髪を特徴的にまとめた少年。

 それに、小柄の黒髪の少年がボソッと一言。

 

 

「……の、割には酷い殺され方してたけど。あれ何なの?」

「何でも、お嬢様が新兵器を使ったって話だよ。」

 

 

 ぽっちゃりとした体格の少年が苦笑いをして、黒髪の少年にその問いに答えた。

 

 

「新兵器?騎士団の人もよく知らないみたいだったけど。」

「……戦闘経過が十数分後だったって。鍛冶師の人がチラッと洩らしてたのを聞いたけど、だから騎士団の人もよく知らないみたい。」

「……お嬢、また何かやらかしやがったな。」

「オーケー、いつものお嬢ってこった。」

「あはは……っと、ありゃ?『クスト』はどこ行った?お~い、『ムル』。『クスト』知らねぇ?」

 

 

 そして『ムル』と呼ばれた、長く伸ばした紫がかった髪をした少年は、ソファーで寛ぎながら読書をする片手間で、何かの魔法の練習をしていた手を止める。

 

 

「……いや、知らないな。最後に食堂に行ったのを記憶してるけど。」

「食堂?」

「そういえば、『アトラ』がお嬢様に頼まれた試作品の練習をすると言ってたな。それに釣られたんじゃ……」

「──ただいま~!疲れた~!」

「……言ってる傍から戻ってきやがったか。ん?『クスト』。その籠は何だ?」

 

 

 『クスト』と呼ばれる──茶髪の前髪を特徴的に伸ばした少年は、満面の笑みでその両腕の中にある中くらいの籠を、皆に見せた。

 

 

「いや~、『アトラ』が作ってくれた渾身の一作……その名もシュークリームッ!手伝わされて、腕がボロボロだけど、とっても甘くて良いのが出来たから、みんなにお裾分け~。」

「へぇ、となるとそれは試供品か。」

「そうなるかな?『シノ』はいる?」

「もちろんだ!それは『試験団』としては試さねばなるまい。」

「何を格好つけてやがる。ただ食いたいだけじゃねえか。」

「……とか言いながら、手が伸びてるよね、『ユージン』。」

 

 

 そして、その場にいる者達に、シュークリームが振る舞われた。

 やはり、年頃の少年達には甘いものに目がないようで、嬉々として口に放り込まれてれてゆく。

 

 

「『ムル』も食べる?」

「……甘いのは苦手なの知ってるだろ?」

「甘さ控え過ぎた、ビター味なんてのもあるけど。流石にこれは……」

「──それ、絶対お嬢様の差し金だな。よし、それを貰う。」

「本気で……?」

「さてどんな味か……」

 

 

 

 ───ピィーーーン

 

 

『───!?』

 

 

 突然、シュークリームを口にした瞬間、2人の挙動が止まる。

 それは嫌な『何か』を感じ取った様子で……

 

 

「ま、まさか……」

「ああ、これは……」

「どうしたの?」

 

 

 『クスト』は驚愕し、『ムル』は俯いたまま動かない。

 そんな様子に黒髪の少年が尋ねた。

 そして『ムル』は数拍の間を置いた後、静かに呟く。

 

 

「……これは、近年稀に見る『当たり』だ。」

「ウソ……だよね?お嬢もコレ、「一部の人にしか受け入れられない」って言ってたけど。」

「何を言う。この味、舌触り……甘いものを嫌う人達には大ウケのものだ。」

「絶対にウソだ!いや、だいたい『ムル』の直感は当たるけど、僕が試食した時、苦くて食べれなかったのに!?」

「それは『クスト』の舌が脆弱だからだ。これは売りに出すべき。今すぐお嬢様と交渉してくる。」

「怒られるから止めてーーー!!『オルガ団長』も何か言ってよーーーー!!」

「……ったく、迷惑だから明日にしやがれ!」

「断る。直談判だ。」

「ちょ……止まんない!『三日月』、ヘルプ!!」

「しゃーねぇ、おい『ミカ』、止めてきてくれ。」

「……了解。チェストっ!!」

「ぐふっ!!……がく」

「……ふう、ようやく止まった。ありがとう『三日月』。」

「ん。『オルガ』の命令だから。『クスト』もお疲れ。それにお嬢仕込みの『手刀』ってのは良く効くな。」

「でもそれを水月に打ち込んじゃダメでしょ……」

「……ダメ?」

 

 

 

 ……彼らは『鉄鋼桜華試験団』。

 

 略称名、『鉄華団』。

 

 

 何の因果かは不明であり、元の作品『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』であっても異世界と何ら関わりのない彼らが、何故ここに存在しているのか?

 それはカルディナであっても、誰であっても判らない。

 

 そして『天海護』に該当すると思われる『クスト』と呼ばれる少年。

 『戒道幾巳』に該当すると思われる『ムル』と呼ばれる少年。

 

 本当に『浄解』を使える存在なのか?

 

 現時点では誰にも解らない。

 

 

 

 ただ、唯一言えるのが、この世界が『フラスコの実験』による『失敗作の世界』と言えるかもしれない。

 

 

 

 

 ……そして、そんな世界に破滅への楔を打ち付ける者達もまた、存在する。

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 ……地下深く、更に地下深くに『それ』は存在した。

 

 

 激しく点滅する視界。

 機械によって構成された広く、昏い空間。

 まるで生きているかの様に脈打ち、蠢く機械の管達。

 

 

 その中央に、鉄で出来た木の幹の様な、そして幹に空いた大きな窪みが一つ。

 

 

 そこから這い出る一つの巨大な異形の『顔』……それは間違いなく『EI-01(パスダー)』。

 

 

『……未だ雌伏の時なれど。目覚めよ、『機界四天王』よ。』

 

 

「……ポレントスなら、ここにおります。」

 

「ピッツォ・ケリー。只今、到着。」

 

「プレザーブ、待機には飽きましたわ。」

 

「このペスカポート、直ぐにでも出港可能です。」

 

 

 そして、揃うゾンダリアン『機界四天王』。

 

 

 ……この世界の命運は、果たしてどうなる?

 

 

 

 

 

 

 

 

《……NEXT》

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

《次回予告》

 

 

遂にカルディナより明かされた謎に困惑するも、団結する一同。

 

そして『天海護』と『戒道幾巳』にそっくりな『クスト』と『ムル』の存在。

 

更に追い討ちを掛けるように存在する『鉄華団』、極めつけの『ゾンダー』の存在。

 

最早、誰の理解も追い付けない次元へと突入する。

 

混迷極める中、カルディナは混沌とした状況にどう立ち向かうのか?

 

そして、次の舞台は『フレメヴィーラ王国』。

 

『エルネスティ・エチェバルリア』との会談はどうなるのか?

 

 

次回『公爵令嬢は、ファイナル・フュージョンしたい』

 

『Number.07 ~狂人、2人の会談~』にファイナル・フュージョンせよッ!!

 

 

──これが勝利の鍵だッ!!

 

《前世の記憶・復活》

《ガオガイガーの設計図》

 

 

 

 

「──そして、ガオガイガーが僕を呼ぶッ!!」

 

 

────!?

 

 

 

 

 

 




現状の問題点とされること

◯色々な作品(主に異世界系)をメインにごっちゃりした世界観。なので、基本的な異世界要素は含んでいる。

◯ただし、肝心な要素が互いに打ち消しあって、各作品の特殊事情がほとんど消滅しているので、ある種、伝説の存在とか皆無状態、形骸化している。(探せばあるかも知れないが、戦力として期待は出来ない。)

◯時代背景は、おおよそ中世ヨーロッパ程度。部分的には進んでいる点はあるが、異世界特有のロボット技術は、『ナイツマ』のみ。後はゴーレムとか魔法技術メイン。

◯突飛した存在はいるが、一人で世界を破壊する~的な、そこまでぶっ飛んだ人は存在しない。

◯『記憶書庫』の存在を明かすリスクが高い。(事前に説明しないと異教扱い)

◯鉄華団は扱いを間違うと地雷化。

◯GGGスタッフに該当する人物が登場しない癖に、ゾンダーが確実に存在している。(Number.01前の状態?)

◯ゾンダー人間ですら倒すのに一苦労。(浄解なら一発)

◯ゾンダーによる機界昇華を防ぐ手段が、現時点で存在していない。

◯カルディナお嬢様の処刑フラグは、地雷の如く点在、存在している。


……というところでしょうか。

こんな状況下でガオガイガーを創り、『浄解』使用者を覚醒させるミッションです。
我ながら、主人公に無理を強いる内容です。
そしてガオガイガーらしさがロクに出てない!

……端から見ればGGGスタッフがいない状況では、無理もないし、ナイツマ要素が強い現状。

そして『鉄血のオルフェンズ』のメンバーの登場ッ!!

……前々から予定していたとは言え、この作品見たらビックリするでしょうね。
タグはストーリーで出てきたら増やす方針です。
まあ、異世界モノに『鉄血』使う人なんて、私ぐらいでしょう。


ちなみに、これで主要作品の登場は全て出ました。

・オリキャラ+ガオガイガー
・ナイツ&マジック
・鉄血のオルフェンズ

以上が『公爵令嬢は、ファイナル・フュージョンしたい』に出るキャラ達です。

……これ以上、出ませんよ?
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