あと、これまで評価して下さった方々へ。
改めて有り難うございます。
自分のセンスとノリが、皆さんを喜ばせられると思うと、嬉しいで。
……執筆速度は上がりませんが。
あと、皆さんがヤケに騒いでいるなと思ったら、自分がランキング入りしたという事実。
……マジかいな。
これからも宜しくお願いします。
※カルディナさんの留学時期を2年前→3年前と訂正しました。
ライヒアラ騎操士学園
「───どうして、どうして貴女は解らないんですかッ!?」
「貴方こそ、どうして理解出来ないのですッ!?」
闘技場に響く2つの声と、空中を縦横無尽に何度も交わる閃光。
片や全長2.2メートルの
その性能はカルディナの力と小型
そして片や、とある
その
表面装甲や面当ての造形が、イカルガに似せている辺り、相当作為的であり、
そして空を舞う、恐ろしい鬼面の2体を見上げる銀凰騎士団の面々は、この世の行いとは思えない狂気じみた光景にこう洩らす。
「「「……どうしてこうなった。」」」
………さて、何故こんな狂気じみた事になったのか?
早朝にライヒアラ騎操士学園に到着したカルディナと、フミタン。
広い鍛治学科の試験場に降り立った時、彼女らを迎えたのは小柄な姿の銀色の髪の持ち主、銀凰騎士団団長、エルネスティ・エチェバルリアであった。
そして、驚愕の表情で硬直する団長補佐──アデルトルート・オルターと、アーキッド・オルターのオルター兄妹。
無理はない。
今のカルディナ──ガオガイガーの姿を一目見た瞬間に、「鋼鉄の怪物が空を飛んで来たッ!?」と驚き、エルネスティより、あれはカルディナだと告げられ、再度驚く。
事前に教えられていたとは言え、実物を見ると、やはり驚く他ない。
そして驚き畏怖を抱く2人とは対称的に、一人喜びに震える人物──エルネスティは着陸と同時に、たまらず駆け出し、ガオガイガーに銀の弾丸となって突撃する。
「何とスゴいガオガイガー!!おお……黒くて、硬くて、大きい……デッカイのが、また何とも───って、何で避けるんですか!?主役機の必殺技をヒラリと避けるボス機の如く!」
「……貴方、それ本気で言ってます!?」
「本気です!肩の500系新幹線!背部ステルス!両脚のドリルタンク!ドリルはどう回してますか?電力?それとも
まさかの全身くまなく触り、挙げ句にところ構わず頬擦りを敢行とするエルネスティ。
容赦ない抜き打ちメカチェックが、ガオガイガーを襲うッ!!
しかも嬉しさのあまりに無意識に魔法で加速、その速さで質量のある残像がッ!
しかしそれに勝る動きで一定の間合いを取り続け、回避するガオガイガー!
実はガオガイガーに分身機能を搭載……している訳がいない。身体強化をしているとはいえ、カルディナの自前の運動能力である。
「おや?腹部は柔らかいのですね。この素材は何でしょ……」
「──離れなさい!この変態ロボット狂がッ!!」
しかしガオーマシンの重さの分、遂に追い付かれ、腹部にタッチを赦してしまう結果に。
だが、カウンターでエルネスティの頭に高速で振り下ろされる、白い一閃と爽快に響き渡る破裂音……
『収納魔法』より抜き放った突っ込みの代名詞、ハリセンである。
……そして、頭を擦って一拍。
「痛いです。酷いじゃないですか。そしてツッコミでハリセンとは正当派ですね。(真顔)」
「どの口が言います!!せめてフュージョン・アウトするまで待ちなさいッ!!」
「単体でのフュージョン・アウトまで!?しかしまだ駄目ですッ!ガオガイガーは人型である事に意義があるのです。もう少し入念にチェックしてから……!」
「──ガオガイガーでありますが、これは鎧で、中身は女ですわよ?」
・・・・
「……クロスフレームアームズ・ガールのギャレオンの「ヨッシャアアアァァァ!」状態なら解りますが、そういえば中身は『カルナ』でしたね。メカではないのでした。これは失礼。そしてようこそ『カルナ』。」
「……と・て・つ・も・なく、侮辱された物言いですが、冷静になったなら良しとしましょう。」
これで下心がなく、メカに対するただの好奇心のみ、というのだから、また恐ろしい。
「しかし、貴方はライディーンの脚に抱き付くリュウセイ・ダテですか?ここに光竜、闇竜がいたら、もっと大変になりますわよ。」
「ええ!?創ったんですか!?」
「まだ創ってませんわよ。」
「……そうですか、残念です。あの不思議変形合体、シンメトリカル・ドッキングを見たかったのですが……」
「……ちなみに、あの2体がいたら、どうしますの?」
「もちろん!ロボットですから全身くまなく、関節の造りまで、キッチリしっかり見せてもらいます!(力説)」
「────」
この瞬間、エルネスティに対して女性型ロボを見せる、触らせるのを絶対禁止の方針にする事を心に決めたカルディナだった。
「……キッド。この2人のやり取りって解る?」
「アディ。さっきの動きも含めて、人智を超えた『狂人』2人の行動と問答を凡人の俺が判る訳ないだろ?」
当人達にとっては当たり前のネタ。
他の人にとっては意味不明であり、『狂人』扱いのやり取り。
「……『カルナ』が来たって言うから来てみれば、3年前と光景が変わんないわねぇ。」
「ああ。特にエルネスティ……団長に『カルナ』は全く変わって……いや、相当変わったな。」
「いや、あれは鎧だって。しかしお互い、今はいい身分だってのに……狂人ってのは随分、出世出来るんだね。一切羨ましく思えないのが不思議だ。」
「ご迷惑をお掛けします、皆様方。こちらは皆様で召し上がってください。」
「あ、ご丁寧にどうも。フミタンも大変ねぇ……」
「いえ。ですが、エルネスティ様とカルディナ様、2人一緒の時が大変なのは、やはり否定出来ませんね。」
「「「──全く。」」」
早朝に大騒ぎする2人を見て、呆れ返る銀凰騎士団の隊長格エドガー・C・ブランシュ、ディートリヒ・クーニッツ、ヘルヴィ・オーバーリの3人。
フミタンの発言に同意しかないのは、3人も一緒である。
彼等にとってはカルディナは、可愛く頼もしい後輩であった。
現在はこのカオスな現状を見て、そうと言えるかは不明である。
こうして、ライヒアラでの一日が始まった。
機操士学園、鍛治学科……現在は銀凰騎士団の詰所。
ただ、もうすぐ引っ越しが終わるため、ある程度の荷物がなくなった状態である。
その一角にて、アルド・レイア王国より来たりし公爵令嬢、カルディナ・ヴァン・アースガルズと、アデルトルート・オルターが、作業完了と言わんばかりに手を叩いていた。
そして、そこに相対するのは……
「あの、僕は何でこのような状態なのでしょうか?これでは動けません。」
「……俺だけ目隠しされてるのは何故?関係ないと思うのですが。」
「「お・黙・り」」
フレメヴィーラ王国の銀鳳騎士団団長、エルネスティ・エチェバリアと、アーキッド・オルターが、蓑虫状態で椅子に座らされていたからだ。
ちなみに、エルネスティは冒頭のやり取りが原因。
キッドはフュージョン・アウトしたカルディナのセクシー過ぎる
流石に目付きがアウトなところをアデルトルートに見られたからだ。
そして御用、となった運びだ。
ちなみに、他の3人と新たに来たダーヴィド・ヘンプケンの4人は、カルディナのガオーマシンを見学中である。
「……さて、準備が終わった事ですし、お話を伺いましょう。」
彼等との出会いは3年前の、カルディナのフレメヴィーラ王国留学まで遡る。
期間は6か月。
留学の目的は、自らの目的である
短い間であったが、カルディナとエルネスティが知り合いだった縁もあり、オルター兄妹ともすぐに仲良くなり、カルディナは楽しい留学生活を送っていた。
ちなみに『カルナ』とは、エルネスティ達3人が愛称を持っており、それを聞いたカルディナが羨ましがった結果、アディより付けられた愛称である。
しかし『オーヴィニエ十字山脈穿ち』を発端としたカルディナの留学生活は平穏無事な訳がない。
留学当初の遠征訓練の際、『陸皇事変』に巻き込まれ、直接
その後、フレメヴィーラ王国の要望の1つ、この地に合った『治癒魔法』の術式の開発に着手、市井まで確立した技術を広めた事により『北の聖女』と呼ばれる。
そこで2ヶ月経過。
それからはカルディナは授業や、要望に応えながらも、エルネスティと鍛治学科のメンバー達と一緒に新型
そこで、カルディナとエルネスティのタッグは、異才と鬼才を放ち、2人は『狂人』と称された。
お互い単独であれば、ただの偉才を放つ人材であるが、2人が組むと途端に狂気的な『何か』が生まれるのだ。
そしてオルター兄妹は2人のストッパーとしての才能を伸ばし、ある種の常識人になった。
しかし『テレスターレ』が出来上がった直後、留学期間を残り2ヶ月を残した時、カルディナは機操士学園から姿を消すのだった……
そして、姿を消した理由が……
「オルヴァーさんを介して『祖母』に会いに行った為なんですね?」
「ええ。」
エルネスティは、改めて
と言っても、エルネスティ達は既に事情を知っており、この質疑は復習のようなものだった。
何より、後日カルディナより「ごめんなさい」の意向を連ねた謝罪の手紙を受け取っているため、彼女自身も悔いていた。
故に会いに行った事自体、本人の意思ではなかったのは判っていた。
ちなみにこの場にいるのは、仲良し4人とフミタンの他、カルディナの斜め後ろに、今回の記録係に抜擢された、
この6人である。
他の皆様方は退出中である。
「ちなみに、誰に、どのような理由で呼ばれたかを伺っても?」
「え……と、その……」
カルディナはエルネスティの問いに、何故か歯切れ悪く、しばし沈黙する様子を見せる。
ノーラはその様子を不審に思うが、キッドとアディはそれが不安ではなく、「あ、これしょうもない理由だ」と察する。
何故なら、沈黙というより「これ、答えていいのかしら?」と悩んでいる様にも見えた。
ありますよね、答え事態がアウトな案件……
「あの、カルディナさん?」
「ああ、ごめんなさい。呼ばれた理由ですね。ですが……機密保持は問題ありません?」
「機密保持?」
そう言われて、一瞬何の事か解らなかったが、エルネスティは直ぐに察した。
今回の件は
つまり『ここにいる人物に、聞かせて洩らさないか?』と、暗に言っているのだ。
友好国同士の人間であっても、機密漏洩は極刑もの。
表沙汰には出来ない話に、保証は絶対である。
どうやらその事に当たる内容らしい。
だが、この場にいる人間は、その点については問題ない。
「ええ。元より問題ありません。」
「であれば、お話します。」
エルネスティの答えを聞き、カルディナは語り出す。
「機操士学園を離れ、
ここまでは、
そしてキトリーは
充分に秘匿に値する。
しかし、そう言われればカルディナの容姿に納得がいく。
本人は歯牙にも掛けない様子だが、他人から見てカルディナは非常に美しい。
その大元が、あの人並み超えた美貌の持ち主のキトリーであるなら、納得がいく。
キトリーに直接会った事のあるエルネスティは、自然と納得出来た。
だが、内から滲み出るものの影響で、両者に血縁を感じさせないのは、気のせいではない。
しかし、エルネスティはここで疑問を抱く。
「あれ?それではカルディナさんって、種族はエルフですか?それにしては、耳が長くないようですけど……」
「たまに言われますが、正確には私、ハーフエルフですの。」
「ハーフエルフ……」
「父は
節足生物をまとめて『虫』と言うのと一緒か?とキッド。
いやそれでは蟹等の生物に失礼では?とエル。
昔の人は、括りが大雑把ねぇ、とアディ。
そのひそひそ話、聞こえてますわよと、カルナさん。
いや、正直どうでもいい。
「ただ当時、私もキトリー御婆様が、祖母等と知りませんでしたわ。留学直前になって御母様から「いるから」の一言のみです。そして残り2ヶ月となった頃に、いきなりオルヴァーさんがやってこられて……」
……すみません、一緒に来て頂いて宜しいですか?
「……あれだけ見事な土下座、初めて見ましたわ。」
本当は断りたかった。
しかし申し訳なさ過ぎて、不憫なオルヴァーの顔を立てて、仕方なく行く事に。
また、その際には説明事項に秘匿事項が多すぎて、必要最低限の事しか伝える事が出来ず、「祖母に会いに行く」となったのだ。
そしてその要件が……
「ただ《顔を見たかった。近くに寄ったのだから、顔くらい見せろ。》ですわ! 腹立たしいッ!!」
キトリー自身、それしか言ってこなかった。
感動の出会い、心温まるエピソード……
ナニソレ? オイシイノ? である。
まるで『新世紀エヴァンゲリオン』の某眼鏡親父のコメントである。
感動の欠片もない。
ただ近状報告程度の会話はしており、そこで……
「……あれ?どうしましっけ?何か忘れているような……う、思い出そうとすると頭痛が……フミタン、覚えてます?」
「いえ、他愛もない会話が続いただけです。はい他愛もない平凡な会話のみです、はい。」
挙動がおかしくなった。
カルディナは思い出したら頭痛を伴い、挙動がおかしいフミタンは何かを知っている様子。
ただ……
「……間違いなく、
「え!?そうなの!?」
「なら、聞かなくていいですね。カルナの記憶が曖昧になる事案です。きっとロクでもない……いや、知ったら只では済まない事案でしょう。僕もそれを聞いて余計なものを背負いたくありません。」
そこは省略された。
「それに『あれ』があった時期です。判っているとは言え、カルナが関与していないのですから、無理に聞く必要もないです。」
「ああ、『あれ』か……」
エルネスティから笑顔が消え、キッドの表情も険しくなる。
それは、カルディナがキトリーと会っている裏で、とある事件が起きたからだ。
本来であれば『カザドシュ事変』と呼ばれる
新型
しかし、この内容の通りには事件は起きなかった。
実際に起きたのは、次の通りとなる。
新型
そして、数日の慣熟期間を経て、朱兎騎士団の団員がテレスターレ3機に搭乗し、エルネスティ1名のみを連れてカザドシュ砦へ向かった。
その道中、シェイカーワームに遭遇し、撃退した後、偽装した賊に襲われ交戦。
その最中に所属不明の
捨て身の攻撃に、テレスターレ2機が未起動のまま起動不可能な損傷を負う。
残ったテレスターレ1機は
そして賊は強奪したテレスターレで、護衛のカルダトアを中破させ、置き土産として事前にばら蒔かれていた
同行していたエルネスティも、あまりの展開の早さに対処しきれずにいた。
その結果、犠牲者、重傷者こそ出なかったものの所属不明機を半数取り逃がした挙げ句、テレスターレ『1号機』を強奪されてしまう。
後に『新型機強奪事件』と呼ばれる、史実とは違う事が起きたのだ。
何故こんな事になったのか?
まず史実とは違い、強奪されたテレスターレは『操作性の良さが、段違いに良い』からである。
元々
(中身はグルンガストに用いられるTGCジョイントの応用で、重力慣性操魔法に、人体の加減感覚を反映出来る魔法を合わせたもの)
その為、原作・アニメより非常に取り回しの良いテレスターレが出来上がった。
それは、模擬戦でエドガーが操るアールカンバーに『少し余裕を残して勝てた』位には、その能力は向上している。
しかし、それが良くなかった。
その性能故に鍛治学科に入り込んでいた間者が、初期の草案とは言え、テレスターレの設計図の一部を事前に盗み出していた。間者が姿を消し、事態が発覚したのは移動の前日。
これにはカルディナも驚愕。
何しろ『ナイツマ』の原作の展開は十二分に知っているのだから。
そして、それはエルネスティも同じだった。
幼少の頃にカルディナより転生者である事を見破られてから、自身も作品の一部(主人公ですが)である事を告げられ、それで尚アニメ版の『ナイツマ』(諸事情により7話まで)を他作品と合わせて嬉々として見ていたため、来るであろう展開を知っていたのだ。
……しかし、消えた間者の顔はアニメや漫画の顔ですらないし、まさか
2人は青冷めた。
半ば浮かれていた影響もあるが、事前に講じた筈の間者対策が悉く通用しなかったショックは計り知れない。
と言うより相手──銅牙騎士団の間者活動が上手だったのだ。
だが、こんな事は他人に話せる訳がない。
そして一番不可解なのは、開発が間に合った筈の
その後の適合作業も間に合わなかった。
そして成果物に対して学生達では荷が重いと判断した、ディスクゴード公爵が朱兎騎士団団員のみで、移動を決定する始末。
エルネスティのみ原作順守で同行した。
どうやら世界は余興あれども、強奪ルートに進ませたいようだ、と確信したカルディナとエルネスティ。
「これは被・強奪イベントのフラグが立った」と2人のスパロボ脳は直感した。
……何より、今後の展開が同じとは限らないという、バグったこの世界の影響の力を見せつけられたのだ。
ただ、
開発後期には複雑を超え、ブラックボックス化した
最早、強奪される前提で動いていたのである。
そして
ジャロウデク帝国の
「……まあ、もう過ぎた事ですし、こちらの対策は万全にしました。もうあんな事は起きないでしょう。」
「と言う割には、根に持ってますわね?」
「当然です。僕はあの時の怒りをぶつけられずに、今に至ります。なので『次会う時』は、殲滅戦待ったなし、ですよ?それはカルナも一緒ですよね?」
「ええ。骨も残さず殲滅して差し上げますわ。」
「「フッフッフッフ……!」」
「こえぇ……ここに鬼がいる。」
「やっぱり2人いると、色々おかしくなる……」
アニメの展開を知るが故に敵の目星は付いている。
しかし、己の目指す愛機がないため、敵陣には踏み込まない。
しかし、己の愛機がこの世に創生された瞬間、ジャロウデク帝国はこの世から姿を消すかもしれない。
狂人の2人は、嗤う。
しかし、眼は一切笑わず、己が敵の殲滅を夢見るのだった。
───閑話休題。
「で、話を戻しますが、御婆様との話が一通り終わった後、オルヴァーさんがお詫びにと、
「ほうほう。」
「まあ、秘密厳守ですが工房内を一通り……」
そして、実際に
キトリーの孫、ということもあり、可愛がられながら間近で見る機会を得た。カルディナも思ってもみない機会に高揚した。ならば、一つも見逃さず、一つでも多くの技術を吸収しよう。そう思いながら見学していった。あわよくば、実際に造る機会も……
その中で職人の動き、魔力の流れ、
その動きが余りにも的確で、真似とは思えない動作に職人やオルヴァーもカルディナの所作に思わず息を呑む。
「……やってみます?」
その言葉が出たのは、自然だった。
こうして、カルディナは
「ずるいです!僕より先に
「まあ……その点については弁解の余地がないですが、私は身内、エルは外様。立場が違う点は御容赦下さい。」
「うぅ……いつの時代も、身内には甘いですね。」
そして基礎から学び、試作機を造り上げるまで、何と1ヶ月。
実用的なものが出来たのはその1週間後。
紙が水を吸うどころではない。
高分子吸収素材が自重の数倍の量の
そもそも、
そして普通ならそれで終わりだ。
後は大型の触媒結晶でも使い、
しかし、カルディナはアルヴの民も考え付かない事を考えていた。
テーマは、使う素材は変わりなく、改良点を見つける。
そして見つけた。見つけてしまった。
改めて一つ一つを読み解く内にカルディナでしか出来ない方法を見つけた。
だがその方法に、カルディナは盛大に頭を痛める結果となったのも事実。
「ど、どんな方法ですか!?素材も変えず、何を変えたのですか!?」
「落ち着きなさい。ちゃんと話しますわ。」
話が核心的なところに行き着こうとし、高揚するエルネスティを宥めるカルディナ。
「……まあ、結論から言うと、変えたのは『
「ライフソング……あの超大規模魔法術式を、ですか?」
「正確に言うと、その中心術式の中に含まれる『詩』の箇所です。エルもご存知でしょう?」
「ええ。」
この時には、アンブロシウスの許しを得て、
超大規模魔法術式たる
あれを変える事、その余地があるのか?
「あれを『こちらの知識』で考えたら解りませんわ。『詩』ですもの。ですが『私と貴方の持つ知識』で見方を変えた時、あれはどう見えます?」
「僕とカルナの知識……?」
「……『もでらー』さんには解りづらいですわね。と言うか、一度聴いてますわよ?」
「え?いつ!?」
「直接、私からです。まあ、歌って差し上げますから、お聴き下さいな。」
そして懐から、『お嬢様の工房』お手製の
どうやら『詩』は軽快なもののようだ。
「へぇ~、何か綺麗って言うか、可愛い曲~。」
「………これ、は。」
「でも何だか懐かしいような気もするな……ん?どうした、エル?」
曲が進むにつれ、反比例するように様子がおかしくなっていくのが、誰の目にも判るぐらい、段階を踏んで動揺するエルネスティ。
そして、カルディナがサビを歌い上げて、曲も終わった後エルネスティは、今まで見たこともないくらいに、憔悴していた。
それは前世のSEで体感した、デスマーチすら超えるヤバさだという……
そして憔悴の彼方より復活したエルネスティが、絞り出すように口にしたのが……
「……な、何でこの『OP』、が?」
「ええ、ようやく思い出しました?」
カルディナが歌い上げた曲。
それはアニメ版の『ナイツ&マジック』に使われた主題歌『Hello!My World!!』であった。
《NEXT》
冒頭は色々試行錯誤しました。
訂正して書いてませんが、エル君が無自覚なセクハラをして、カルディナさんからヘルアンドヘブンを受けちゃうシーンもあったり……
ジャロウデク帝国には殲滅予告です。
間話扱いになるでしょうが、どこまで殲滅させるかは、執筆時の気分次第かと。
テレスターレの話は、完全に忘れてました。史実通りにすると矛盾が生じるため、あえてこの機会に。
書いてませんが、ディスクゴード公爵は、この件相当参ってしまってます。
バグった世界のせいなのか、ケルヒルトさん率いる銅牙騎士団がキレッキレだったのかは不明。
決して17歳パゥアーが炸裂したとか言わない。
そして魔力転換炉の核心について。
原作にはない設定です。『公爵令嬢~』独自なので、誤解せぬように。