公爵令嬢は、ファイナル・フュージョンしたい。   作:和鷹聖

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衝動的に、かつ前から温めていた間話です。

内容はかなりショッキングなのか?と思うところもあります。(意味不明)
まあ、本編に引っ掛かるところもあったりなかったり。
本編の補足的な話です。


あと、感想欄でベターマン出演を望んでいた方へ、『Final』のような演出したいと私は言っていましたが、すまない……


──あれは嘘だ。






間話 ~忌憚~ -Danger-

「──戻りましたわ。」

 

 

 空が暮れた頃、フレメヴィーラ王国よりアルド・レイア王国の地──アースガルズの領地にある、自身の家に戻ったカルディナ・ヴァン・アースガルズと、そのメイドのフミタン。

 

 ガオガイガーの姿からフュージョン・アウトし、IDメイルを瞬間装着空間で着替え、普段の余所行きの身成りにする。

 なお、ガオーマシンは『収納魔法』行きである。

 しっかりと堅固な造りの玄関を開け放って、戻ったことを告げた先には、数人の執事達と、父親のクリストファーが心穏やかならぬ様子でいた。

 

 

「おお!カルディナ!戻ったか。」

「少々遅くなりました、申し訳ありません。」

 

 

 と、告げるカルディナの表情は眉間に皺を寄せていた。

 さすがに長旅が堪えたようで、疲れが見えている。

 

 

「疲れただろう、休むといい。」

「そうしますわ。ちなみに私がいない間、何かありましたか?」

「特に何も……いや、小包があったな。フレメヴィーラからだ。」

「私に?いったい誰からです?」

「差出人は『古のエルフの森』……ああ、キトリーお義母様からだ。」

「───ッ!?」

 

 

 これはまた、ロクでもない人物からである。

 そして、一番手紙を出すイメージが湧かない。

 ちなみに、『古のエルフの森』は『アルフヘイム』の隠語の1つとして使われている。

 とはいえ、彼の地は秘匿区域だ。

 誰だ、手紙を代筆した人物は?

 

 

「……間違いなくオルヴァーさんですわね。」

「そんなに嫌か?」

「そういう意味ではないです。もう少し気の効いた誤魔化し方をしてほしいと思うのです。」

 

 

 むしろキトリーに使われて哀れで仕方ない。

 そう思いながら、小包を開けるカルディナ。

 そしてその中からは、一通の手紙と、表面が非常に固そうな『実』が1つあった。

 とりあえず、手紙をクリストファーが読む。

 

 

「手紙は……『久々に顔を見せなさい』、これだけか。相変わらず簡潔過ぎるな、お義母様は。」

「もう少し気の効いた言葉でも書かせれば良いのに……で、何ですの?この実は……」

 

 

 明らかに食用には見えない。

 食用であっても固くて食べれなそうな実だ。

 まるでガリガリと音を立てて食べろと言わんばかりのものだ。

 

 いやいや。

 

 だが、カルディナはこの実に覚えがあった。

 実食してはいないだろうが、やけに畏怖と嫌悪感が沸き上がるが、それ以上に本能が『食べろ!』と訴えてくる、何故だ?

 

 

「何々……『ネブラを同封する。必要とあらば食せ』だって。ネブラって、この実の事か────なぁ!?!?」

 

 

 いきなりカルディナが、クリストファーが見ていた実を鷲掴みにして、凝視する。

 しかもその凝視する表情に喜怒哀楽は消え失せ、全くの『無』である。

 

 いきなりの事で、クリストファーは困惑するが、こんな時の娘は非常に険悪なので余程の事がない限り近付いてはいけない……という父親の経験則が非常事態の警鐘をガンガン鳴らしている。

 だが、友人に会いに行くと言って出掛け、機嫌良く帰って来たのに、何故いきなりそこまで機嫌が悪くなれるのか疑問に思うところも。

 成人こそしていないが、既に大人顔負けの存在になりつつある娘を気にしたいクリストファー。

 そして実を持って、早足でクリストファーの横を素通り、エントランスから階段を登り、2階へと向かうカルディナを呼び止める。

 

 

「ちょ、ちょっと待った!カルディナ、どうした、何処へ行く!?」

 

 

 ───ピタッ……

 

 

「……お母様のところへ、ですが、何か?」

 

 

 呼び掛けに対しピタリと止まって、まるで人形の挙動のように首だけを動かすカルディナ。

 父親を見下ろすその表情に、精巧に創られた人形の様に、感情はない。

 

 

(……ああ、これは相当キてるなぁ。)

 

 

 そしてそのまま見送るしかないクリストファー。

 最近、娘との接し方が良く解らない悩みを持つ。

 

 

 そんな父親の気持ちなど、どこ吹く風。

 カルディナはとある部屋の前にいた。

 

 

「失礼します。」

「……、……」

 

 

 かろうじて聞こえそうで、聞こえない声の主より許可が出て、カルディナはすぐドアを開け、早足で部屋の中に入ると、そこは幻想的な空間が広がっていた。

 

 神秘的な光を漂わす森の中。

 そのような装飾を施した部屋。

 その中に、白い綿をふんだんに集めたようなクッションにその身を委ね、淡い微睡みに揺蕩う1人の幼い少女が……

 ショートカットに揃えられた白い乳白の髪が弛く揺れ、透けるように薄い衣を纏い、白く滑らかな肌が特異な色気を誘う。

 そしてその胸元には紅い魔石ような、紅く妖しい宝石が埋め込まれているようにあった。

 その人物に対しカルディナは───

 

 

「──お母様、お話があります。」

 

 

 と言いきった。

 そう、この人物がカルディナの母親。

 ケルセリーヌ・エルス・アースガルズ夫人である。

 

 ……うん、幼女だけど夫人ですよ。

 

 

「……、………?」

「……お母様??」

 

 

 しかし声が聞こえない。

 声が小さ過ぎて、聞こえないのだ。

 口もロクに動かず、何か言った?みたいなぐらいの音……しか聞こえない。

 ただし、これは病気とかではない。

 

 

「───ああ!!もう!!」

 

 

 そんな状況に苛立ったカルディナは、会話方法(・・・・)を切り替えた。

 

 

《これで、ヨ・ロ・シ・イ・デ・ス・カ!?》

《わ~い、カルナちゃん。お久しぶり~。》

 

 

 苛立つカルディナ対し、無気力な表情に反して軽い口調の声が頭に響く。

 それはこの少女から。

 所謂、テレパシー。

 

 

《……まったく、いちいち『通信魔法』で話さないと駄目ですか!?声の出し方忘れたのですか?!》

《それは慣れてないからでしょ~?私はこっちの方が楽だよ~、口を動かすなんて原始的で嫌~》

 

 

 ケルセリーヌ・エルス・アースガルズ夫人。

 旧姓、ケセリナ・キルヤリンタ。

 通称、ケセリーちゃん(希望)

 年齢、永久の17歳。(熱望)

 こんな口調でナリして、キトリーの娘である。

 20年ほど前、若かりしクリストファーがアルヴの民ゆずり、そしてキトリーゆずりのスタイルとその美貌に一目惚れし、口説いて結婚を申し出て貴族となった人物。

 その後、貴族としての勉学に励み、カルディナを始め、2人の子供を出産。最強の教育ママとして見事子供達を育てる。

 自身もその美貌を武器に社交界の男達を魅了し、手玉に取っていたという。

 

 だが、3年程前に「……これで終わりにしましょう」と呟いた後、社交界の場、そして表舞台から姿を消した。

 その理由は……

 

 

《体型維持して、子育て、社交界、貴族のあれやこれや……三食昼寝付きでいいからと結婚したのに、つらい毎日……ついでにストック分の『スヴェイエトの実』もなくなりそうだったから、カルナちゃんが成長したら、いろいろ止めようと思って。それに、丁度良く眠りと思索の時が来たみたいで丁度良かった。》

 

 

 との事。

 そして始まった眠りと思索の日々(ニートライフ)

 消費したエネルギーを回復するために目下、実施中なのだ。

 流石はアルヴの民。眠りと思索の日々(ニートライフ)のためなら妥協がない。

 

 なお、幼女体型なのは元々で、とある実を摂食すると、一時的にキトリーばりの美貌の大人になる。

 繰り返すが、幼女体型は元々だ。

 胸の宝石?無論、触媒結晶だ。

 ただ、普段は偽装して隠している。

 

 

《……で、どうしたの?》

《お婆様からこれが送られて来ました。》

《んん~~?あ、それ『ネブラの実』じゃない。どうしたの?》

《……私にこれを食べて、アルフヘイムに来い、だそうで。》

《あははは。確かフレメヴィーラ方面に行ったの今日だったよね、入れ違いだったのは痛いねぇ。まあ、『ネブラの実』食べたらすぐだけどね。また行ってあげたら?》

《嫌です!初めて行った時に酷い目にあったのです!御免被ります!》

《……重症だねぇ。》

《当たり前です!以前、実験中にお婆様にキレられて、ボコボコにされた挙げ句、【ズキュゥゥーン】で『ネブラの実』を食べさせられた事は忘れもしれませんわ!!》

《……で、第2ラウンドで更にフルボッコ。あの時のリアルタイム中継は思わず声に出して笑ったけど。だって全然動けてないし~。》

《当たり前です!【ズキュゥゥーン】されて動揺した直後に、限界バトル吹っ掛けるお婆様に勝てる訳ないでしょうに!というか、私はこの実がある事自体に畏怖を覚えて動揺して、それどころではなかったのです!!》

《自然の摂理だよ?気にしちゃ駄目───》

《───そんな摂理、あってたまるかぁーーー!!!》

 

 

 カルディナが口調を乱してキレた。

 相当腹に据えかねているご様子。

 ケセリナも表情こそ変えていないが、娘をやたら煽る煽る。

 

 

《はぁ……現にあるんだから仕方ないでしょう?しかもその実、最近生った新しい実だよ?新鮮なんだよ~?お婆ちゃんに感謝しなきゃ~……》

《───生る時点で充分アウトですわッ!!》

《うん、カルナちゃん、地味に反抗期?》

《……私は心配なんです、他にも生ってるケースがあったらと思うと……》

《私は嬉しいな。『ネブラ』は一般的だし『フォルテ』とかない?『アクア』でもいいよ?『スヴェイエト』のストックも足りないからなぁ……あ、でも『オルトス』は勘弁ね、300年前の戦いでカンケルとのド突き合いはコリゴリ……》

《……不穏な名前がゴロゴロと。》

《仕方ないじゃない、私達アルヴの民──いえ、ソムニウムは本当の意味での栄養摂取……確かD型アミノ酸、だっけ……?『実』じゃないと取れないんだから。定期摂取は必要だよ?》

《やはりソムニウム(その)の話になりますの?》

《いえ~す》

 

 

 頭が痛すぎて、カルディナはその場にうずくまるしかなかった。

 

 ここまでの話で察しは付くだろうが、カルディナ、キトリー、ケセリナはソムニウム───ベターマンである。

 

 

 地球において、人類がベターマンと呼ぶ、紀元前以来から人類の歴史に度々存在が確認されてきた霊長類とされる種族。

 数千年前にダイブインスペクション(次世代環境機関NEOが進めていたベストマンプロジェクトの一環で、リンカージェルにより遺伝情報を書き換え、通常の50倍もの細胞分裂に耐えうるテロメアをもつ不死身の細胞を持ち、耐性病原菌や癌をも克服する完全なる人類(ベストマン)を目指した実験)を成功させた種族。

 基本的にリミピッドチャンネルを通じて意思疎通を図る。地球生命で唯一D型アミノ酸を利用して生きており、人類にとっての光学異性体となる存在。アニムスの花からでしか生命維持に必要なアミノ酸を摂取できない。

 地球生命にとっての免疫機能の役割を担っている。

 地球生命滅亡の危機であるカンケルの出現、それに呼応して発生するアルジャーノン、そしてアルジャーノン発症者を苗床にして生み出される、アニムスの花に呼び出されるように出現した。

(Wikipedia参照)

 

 要は地球という星の抗体免疫の宿命を持った超人である。(超暴論)

 

 

 ちなみにカルディナがベターマンの事を知ったのは、ガオガイガーを見終わった後、製作スタッフの事が気まぐれに気になり、ちょっと『脳内書庫(B・ライブラリー)』で調べたら出てきたのを見たためだ。(全話鑑賞済み)

 それをケセリナが眠りと思索に入った直後、カルディナが……

 

 

「エネルギー切れで眠りに就くとか……まるでソムニウムですわね。」

 

 

 と小言で言った直後───

 

 

《──え?なになに?ソムニウム(お母さん達)の事、知ってるの!?何で?教えなさい!》

「すわっ!?何ですの!?頭に直接!?どんなSUN値直葬!?メーデー!メーデー!」

 

 

 『リミピッド・チャンネル』で直に聞いてきた事から端を発する。

 ちなみに、カルディナの『脳内書庫(B・ライブラリー)』の事もおおまかな事は知っており、カルディナの異様な知識については教育ママを演じながらも「面倒だからいいや。」で黙っていたらしい。

 結構、面倒臭がりやである。

 それから『リミピッド・チャンネル』経由でカルディナの『脳内書庫(B・ライブラリー)』の映像(のみ)を日夜観まくって過ごす日々。

 

 ──ヲイ、眠りと思索はどうした?

 

 ……あ、眠りと思索の日々(ニートライフ)か。

 なまじ美少女で表情も変化しないから、『眠りと思索(真面目にやってます)』と言い訳出来、周りからも怪しまれない。

 

 また『脳内書庫(B・ライブラリー)』の作品閲覧が長いためか、サブカルチャーの影響が強いためか口調は、凄い軽い。

 そして知識量もその応用も凄い。

 何というオタクお母さん。

 

 なお、一番好きなのは、恋愛系。

 女はいつまでも、心は少女なのだ。

 

 

 ……閑話休題。

 

 

《ある種、私らはカンケルの様な存在(種を滅ぼすモノ)と戦う宿命を持たされてるんだから。『アニムスの花』が現れるのは、そんな奴らが現れる前兆……自然の摂理なんじゃない?》

《かといって、アルジャーノンが流行りでもしたら、その時は終わりですわよ?お母様の優雅な眠りと思索の日々も。》

《ぐぬ、それは困る。お母さん、働きたくないで御~座~る~》

《……『通信魔法』越しにごねるのは止めてください。》

《ん?……前にも言わなかった?これは『通信魔法』じゃなくて、これは───》

「あ~あ~あ~あ~~、聞キタクナイ~~。」

《……あのねぇ、お母さん言わなかったっけ?事実を認めない子は、キ・ラ・イ・ダゾ! 『リミピッド・チャンネル』だって───》

───いやぁあああぁぁぁーーー!!リミピッド・チャンネル(そう)は言わないでーーー!!!」

 

 

 もうそろそろカルディナさんの心も限界なようで。

 

 

《……ええ~?現実を見なさいって。もしかして、まだ受け入れられない?自分がソムニウムの直系だって。》

《違います!私はヒト型種です!》

《まあ、ハーフだし。でもアースガルズ家にはソムニウムも一緒でしょうに。過去、多種多様な種族と婚約して、子孫繁栄。雑多な血統貴族もそうそういないよ? 今さらソムニウムの血筋が入ろうが変わりはしないって。パワーアップはするだろうけど。》

《……うぅ、雑多な血統貴族と言うところは認めますけど、それとこれとは話が別です!》

《違わない。そうだから、カルナちゃんは人外な力持ってるんでしょう?自分の力の源には感謝しなさい。》

《……はい。》

《ならよし。あと、嫌ならネブラの実はお母さんが預かるから。》

《……いえ、自分で持ってます。》

《そう?ならいいけど。》

《……疲れたから、今日はもう休みますわ。》

《うん、お休み~。》

 

 

 そしてとぼとぼと歩みながら、カルディナは部屋を後にしていく。

 そして部屋に独り、ケセリナは半目の目蓋を閉じた。

 

 

《……という事で、しばらくはまた行かないみたいだよ~、キトリーお母さん。》

《ぬう。強情な孫よの、誰に似たやら……》

《完全にお母さん。》

 

 

 『リミピッド・チャンネル』越しにカルディナとケセリナの話を聞いていたのは遠く離れた地、アルフヘイムに鎮座するキトリーだった。

 だが現れて早々に娘にディスられる。

 

 

《それは詭弁ではないか。》

《いや、口調はいざ知らず、正義感溢れるところなんて、瓜二つだよ。》

《ふん、あ奴はまだまだよ。鍛練が足らぬ。実の使い方も知らぬ若輩よ。》

《……さすが、ソムニウムの元2代目族長の言葉は違うねぇ。私は産まれてないけど。》

 

 

 生まれて15にしかならない孫に対し、何という無茶を言うキトリー。

 と言うのも、次代をソムニウムの1人、後のパキラ老に委ねた後、キトリーは『オルトスの実』片手に当時出現したカンケルの殲滅に赴いた。

 そして戦いには勝った。

 しかし、戦いの余波で発生した次元の門(ESウインドウ)で、独りこの地に跳ばされた経緯がある。

 

 その星は創世記の真っ只中で、当時キトリー独りしか生物がおらず、秘術で分身を造り、次第に増えゆく動植物を喰らい、生きていたという。

 そしてその内、星の環境に適応するが如く、胸のペクトフォーレスの性質が変化し、大気中に漂う源素(エーテル)魔力(マナ)に変換することにより、より高いエネルギー変換を行うよう、自身も変容──進化していった。

 そして分身達も次第に自我を持ち、現在のアルヴの民となり、更に派生、変容を重ねてエルフとなった。

 ちなみに、その間外界が同様に変化、変容を重ねていたが、キトリーには預かり知らぬところだった。

 

 

 

《……それから、この地にてソムニウムという言葉は聞く事はなかったが、こうして再び他者……孫から耳にするとはな。そういえば、パキラは逝ったのだな。》

《パキラ……確か『ベターマン』って作品にあったね。モロにソムニウムの事が描かれてた。そんでパキラは最強のソムニウムだとか?》

《我よりは弱いがな。そして次長はラミアとかいう若造か……数奇なものよ。孫の所業でかつての同胞の有り様を知るとは。》

《……ちなみに、それ本当なの?》

《うむ、多少時が経った故に、人相は変わっていたが、パキラやポタイジュに相違ない。それにリミピッド・チャンネルで、現・族長と確認済みよ。》

《……何て言ってたの?》

《絶句しておったわ。先々代の族長が生きていたとな。まあ、彼方にもカンケルが出現したそうな。そ奴が討ち取り、今は眠りと思索についておる。》

 

 

 『リミピッド・チャンネル』は空間のみならず、次元を超える。

 熟練者であれば、別次元にいるラミアに連絡を取ることだって容易い。

 

 

《ふぅ~ん、ますます不思議だなぁ~。てっきりカルナちゃんの『脳内書庫(B・ライブラリー)』って、架空の作品を集めたものって感じがしたけど……》

《むしろ識っている者にとっては『事象の軌跡』に近い。モノの中にはあの小僧(エルネスティ)の姿や偽装した我自身もいた。無論、それだけではないが、それだけの情報集合体を有するというのは、どうもな。》

《だからお母さん、直接カルナちゃんに会いたいんだ。》

《うむ。有するのが因果の結果とはいえ、あまりにも的を当て過ぎる故に、直接問うつもりだったが、あ奴には臍を曲げられた。》

《ついでに直に顔を見たかったとか?》

《……それもあるが、この事は直接やった方が確実と思ってな。》

《あ、じゃあやっぱり?》

《ああ、やはりリミピッド・チャンネルのみでは限界がある。》

 

 

 目を瞑って一呼吸置くキトリー。

 そして次に放った言葉が……

 

 

 

《………ケセリナの録画ストック分を総て見果たしてしまった以上、『名探偵コナン』の他の話を見るには、ケセリナ経由では厳しい。やはり大元たるカルディナから直接引っ張ってくる必要がある。》

 

 

 だから直接呼ぶことに執着したとか。

 孫にDVDかBLボックスを持って来させ、更にプレイヤーを設置して見させろと言うような感じだろうか。

 

 

《お母さん、推理モノ好きだもんね。》

《戦にない知的興奮がある。真実はいつも一つじゃ。しかし、もうそろそろ他も見たいというべきか……》

《『金田一少年の事件簿』、『R』、まだまだあるよ? でもお母さん、カルナちゃんからリミピッド・チャンネルのアクセス、頑なに拒否されてるからねぇ。あんまりしつこいからだよ?》

《お前はいいのぉ。見放題で。》

《カルナちゃんに録画係を任命されてますので。》

 

 

 仕事、してますので。とリミピッド・チャンネル内でドヤ顔するケセリナ。

 

 

《……まあ、これらの『作品』とやらは、おそらくは並行世界の『創生者』が、己の所業を見せつけるため、人間達に自然な形で感化させたのだろう。もしくは創話に沿って世界を創ったか。あ奴らの思考をあえて伝えたか……》

 

 

 それを『神が降りてきた』とか『インスパイアされた』とかいう。

 

 

《並行世界って……お母さん、会ったことあるの?》

《若い時ここに来る前にな。その縁でウサギモドキみたいな輩がこの世界の神の手助けをしておる。助神……という立場か。》

《じゃあ主神は?》

《確か『太陽神』を語っておる、神の成り立てとか、だったか。我にはどうでもよい話だがの。まあ以前、ちょっかいをしてきた時もあったが、その時は『フォルテ』を合術にて掛け合わせた『フォルテシモ』を喰らってオハナシしたが。》

《ああ、思い出した。あまりにも協力しろって五月蝿いから、山脈に神体出入り禁止の結界を張って出禁にしたんだよね。》

 

 

 それが今の『オーヴィニエ十字山脈』である。

 

 

《元々、この星の南側の大陸の肉体を持たぬ高次元体は『三強』の封印の影響で少なかったからの、その上、精霊や天使の戯言が五月蝿くなくなって清々したわ。》

《あ~、じゃあ、主神って今は……》

《こちら側にいるぞ。太陽神の信仰がないから、誰にも気付かれていないが。》

 

 

 日々、「……誰か気付いて。」とリミピッド・チャンネルで伝えてきて五月蝿いが、とキトリーは言葉の端に付け足す。

 そして最近はめっきり聞こえなくなって、気にも留めていなかったりする。

 ちなみに、結界は感応結界で、特定のもののみを除外する機能を持つ。

 例外として、キトリーの血縁者であれば、その隣人も含めてスルー出来る。

 

 ……だがキトリーが預かり知らぬのは、アルド・レイア王国とフレメヴィーラ王国間で、山脈を越え繋がっているところ。

 それが孫娘の所業と知らず……

 

 

《まあ、些細な事よ。》

《だね~。私らソムニウムには些細な事よね~。》

 

 

 世界の危機やカンケルは気にしても、他は気にしない。

 地球より離れたソムニウムは、いろいろやらかしつつ、その種を変貌させていた。

 そしてその大元たる存在は、趣味を謳歌中である。

 

 

 

 

 

《END》

 

 

 

 

 




タイトルの意味は『貴女方に触れたらいろいろやベー』の意。
あとは『覇界王』読んでたら、衝動的にベターマン関連が書きたくなった影響もあります。


○キトリーさん ベターマン説
元々アルヴの民やエルフの胸に、触媒結晶があるという設定している(ナイツ原作での詳細な箇所の設定は知りませんが予想で)中で、舞い降りたアイディア。
ソムニウムの1人がどっか別の世界に紛れてたら、何かやらかしてもおかしくはないよね(暴論)
いや、やっててもおかしくない、はず。


キトリーさん、マジビューティー。人間離れしてる。

人間離れしてるのはベターマンも同じ……ん?

胸に触媒結晶と、宝石……あ、キトリーさんはベターマンか。普段は偽装しているって事で。
ついでにエルフはみんなキトリーさんの末裔って事で……

ならカルディナさんもベターマン……あ。

結論:主人公にベターマンという属性が付与される。

……ワタシハ、トンデモナイ事ヲシタ?

だが後悔はない。


後は、世界観のバックグラウンドとフラグをちらほら。

娘のケセリナは当初はいる、程度の考えしかなかったのですが、この回で決定しました。
しかし語り口調が、CV田村ゆかりに思えて仕方ないのは幻聴か?


ただ、この作品で、ベターマンの設定が生かされる回は相当限られるというオチ。
だが、書いている最中にフィギュアメーカーのAMAKUNIがベターマン・ネブラを販売予定との記事が……
更にAMAKUNI機神のジェネシック再販の記事が……!

……書いている最中に、何かが起きる予兆でしょうか?

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