いよいよゾンダー戦です。
しかし15メートルのゾンダーとはいえ、2メートルしかないのは流石にキッツい。
うまく書けたでしょうか?
どうしてこうなったか?
ガオガイガーの完成を後回しに、強硬偵察に出てしまった為か?
不用意に藪を突っつき、
そもそも、ゾンダーがこの世界にいる事か?
───全て是、としか言いようがない。
───だが、それらがどうした?
15メートルのゾンダーを
ガイガーを持ち出さず、ゾンダーと相対した事がいけない事か?
はたまた、ゾンダー相手にGストーン無しで立ち向かわなければならない事がいけない事か?
───否、それらを彼女は全て否定する。
───否定する。
本当にゾンダーロボと対峙するとは思わなかった。
それが偽り無き本音であるが、いつかはこうなる運命にあると思っていた。
自分がガオガイガーを、ゾンダーの存在を知った時に、いつかはこうなると……
対峙しているゾンダーロボは見過ごす訳にはいかない存在。
そして何より今、ゾンダーを自分の手で討つ機会を得られたのだから。
それは偶然であり、必然であり、使命であり、運命であり、希望である。
サイズ差?関係ない。
Gストーン?無くとも対策は練って来ている。
ガイガー?今はまだ不完全な愛機故に、未だ勝利の鍵には成り得ない。
それよりも、最大の武器───勝利の鍵はいつだって
それは───
「……例えGストーンが無くとも、
拳を固め、カルディナは放つ。
勝利を掴む為の一撃を───
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「───ブロォウクン・マグナァムッッ!!」
「ゾ、ゾンダァァァーーー!!?」
戦闘開幕は、
巨体に怯まず、怯えず、迷いなく放った
しかしゾンダーロボも当然、装備されいる力場──ゾンダーバリアを展開、空間が歪むように見える位に競り合う……が、勝ったのは
出っ張った馬の頭部を貫き、目に見えた損傷を与える。
しかしゾンダーロボに備えられたもう1つの機能───自己再生能力が与えた損傷を修復してしまう。
流石にEI-02と姿が似ているせいか、その修復速度は早い。
そして今度はお返しと言わんばかりに、右腕の車輪を高速回転させ、砂や塵の摩擦による電気を帯びた竜巻が発生、
「──ですがその程度!!プロテクト・シェェェーードッ!!」
ガオガイガーの守りの盾、プロテクト・シェードで受け止める。
しかも集束された電磁竜巻は、プロテクト・シェードの障壁に当たると、荒々しい五芒星を描きつつゾンダーロボへと反射される!
初めて見た電磁竜巻であるが、発生原理が半ば自然現象の範疇であれば、魔法を用いて無理矢理干渉、制御する事は容易い。
何より自身のEMトルネードよりはまだ密度が薄い!
しかし……
「……流石に決定打には成り得ませんか。」
「ゾンダァァァーー……!」
EI-02戦でもそうであるが、
それは目の前のゾンダーも一緒である。
「であれば、あの胸に鎮座する
あのゾンダーロボの胸部───馬車の駆体にまるで取れるものなら取ってみろ!と言わんばかりに露出して鎮座する、ゾンダーを
「ですが──!」
「──ゾンダー!!」
ゾンダーロボが反撃に転じ、今度は腕を振り上げて近接攻撃にシフトした。
30メートルもないにしろ、15メートルの巨体だ、
回避しつつも車輪で抉れる地面の状況を観察するカルディナは思わず苦笑いする。
「流石に、
「お嬢様、援護します。」
「
きっと当たれば只では済まない。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
クスト、ムル。
2人は鉄華団においては凡夫な存在だった。
人並みに優れてはいたが、三日月や明弘、シノ等とは違い、そこまで戦闘の才がある訳でなく、またカルディナの様に魔法に長けている訳ではない。
しかし、その内には確かにあった。
誰にでもない、2人だけの力が───
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「───ゲホっ、ゴホっ!」
「い痛つつつ……、いったい何が──」
「──よう、気が付いたか?」
いきなり突き上げられた痛みに、事態の把握が出来ていないクストとムル。そんな2人に声をかけたのは黒衣のローブを纏った、眼は
その男は……
「きょ、教官!?」
「おう。」
「その姿は……」
「ん?まあ一張羅───正装だな。悪魔を束ねる存在の頂点であり、我等がお嬢様に仕える
男を教官と呼ぶ2人。
というのも、鉄鋼桜華試験団にとって、彼は戦術・戦闘を主に教える教官である。
また、非常に面倒見が良く馴染みもあり、頼れる兄貴分とした存在でもあるが、その正体がお伽噺にも語られる
だが、
その直後、巨大な地鳴りが起きる。それも一度や二度ではなく、何度も何度も……
爆発、地鳴り、嵐が吹き荒れるような……それらが交互に何度も何度も続く。
「な、なに!?この揺れ……っていうか、何が起きてるの!?」
「……いい感じに始めたか。お前ら、本題は
「何を……あれは!?」
2人が見たのは銅色の馬の顔をした、15メートルにも及ぶ巨大な怪物が、両手に携えた巨大な車輪から強烈な竜巻を放つところだった。
その威力は、巻き込まれた森という地形をひっぺ返し、ズタズタにしていく。
その中から矢の如く
───
最大戦速でゾンダーの喉元に、
「───貫けェェェーーー!!!」
──さり、そのまま大穴を喉元に空け、貫く!
痛覚があるかどうか不明だが、まさかの突貫&貫通で怯むゾンダー。
そこに
しかし、空中で反転した
「おお。流石お嬢だ、跪かせたか。ラファエルはダッセェ。やるならもっと集束させろよ。」
「ええ?!あの黒いの、お嬢!?」
「……空飛ぶ、鎧??」
「ああ、お嬢だ。でもなぁ……あれで決定打にはならないのが厄介だな、起きてくるぞ。」
「「 ──え?? 」」
スラスターを全開にして回避する
その軌跡を読んで回避しつつ、再びブロウクン・マグナムを放とうとするが、何故か右腕を突き出すだけ動作をする
その隙を逃さず、ゾンダーはもう片方の腕で竜巻を発生、
その竜巻をプロテクト・シェードで防ぐも展開が遅かったため遮るだけになり、
そして吹き飛ばされた先は、クストとルムがいる場所だった。
「───うわ!こっちに飛んで来るよ!!」
「どうする!?どう受け止めたら……!!」
「心配ねぇ、よっと。」
そこにガオガイガー《カルディナ》が突っ込んで来て、その円がまるで伸縮性優れたゴムように伸びる。
吹き飛ばされた運動エネルギーの慣性を相殺しきった瞬間、
「どうした、お嬢。カウンター狙いで追撃する、いいチャンスだったのによ……」
「
「……どれぐらいの時間がいる?」
「5分あれば修復出来ます。」
「──わかった。」
そしてそれ以上言葉を交わす事もなく、
そして空中を高速旋回しながら
そしてその光景をただ、黙って傍観するしかないクストとムルは言葉がで出ず、ただ混乱していた。
目の前の未知の巨人との戦闘光景。
初めはゾンダーという
また、空を舞う
そして目の前の
……何、この状況。
事態の移り変わりに心が付いて来れない2人にカルディナは視線を合わさず、けれど語り掛けるように話し掛け始めた。
「……ここに来るまで、そして今に至っても何を貴方達に話をすればいいか、迷っていますわ。」
「お嬢……?」
「……何を?」
「貴方達はそもそも、鉄華団に入る前も今も、自分達の目的を果たすため行動している、それも何らかの『宝石』──翡翠のような石と、ルビーより煌びやかな石を探している、違うかしら?」
「うっ……!」
「それは……」
「やはり図星、ですか……」
2人が休日返上してまで探していた宝石、きっとそれは『Gストーン』、『Jジュエル』であろうとカルディナは予測していた。
事実、2人もその様な宝石を探していたいたという情報が多々あった。
カルディナも2人が出会う前には、存在自体あるなんて微塵も思わなかった……
いや、ガオガイガーマニアであるカルディナが、ゾンダーの存在を幼い時に知った以上、今の今まで様々な考察を予想してきている以上、存在するという予想もあった。
だが『もう1つの可能性』が出てしまうので、思いたくはなかったが今回、クストとムルの反応を見て予想が半ば確信に変わった。
「一族の拝命なのか、それとも独断……はあり得ないでしょうが、2人を見ていれば強い使命感で動いていたのは判ります。そしてその石の名はGストーンと、Jジュエル……合ってますわね?」
「ど!?どうしてその名前を……!?」
「聞き込みでもその2つの石の名前は一度も出してない筈なのに……どうして??」
「私もその事を知り得るからです。ただ貴殿方とは別のところからですが……そもそも貴殿方が探している宝石──Gストーン、Jジュエルは、
ただし
そもそもゾンダーとは、元は人間のストレスなどのマイナス思念を解消・抑制するメンタルケアを目的に作成された、精神浄化システムと言われている。
負の感情……悲しみ、苦しみ妬み、怒り、憤り、恐怖……そんな感情を消し去るシステムが突如暴走したのだ。
その理由が、ゾンダーメタルを統括するマスタープログラム『Zマスター』が「マイナス思念を無くすには発生源の有機生命体を機界生命体に昇華させればよい」という歪んだ結論を導き出した事が端を発する。
紫の星から始まった機界昇華は次々と他の星達を呑み込み、三重連太陽系を滅ぼした。
だがその過程で生まれた『抗う力』もまた存在する。
それが一番重要な存在である……
「───
「それって、どういう事……?」
「──貴殿方には、ゾンダーを討つ力がある、という事です。」
淡々と、カルディナは2人に自身の
「………え??じゃあ、僕達はその2人っていう───」
「───それは完全否定させて貰います。」
「……無表情な真顔で否定するんですか?そう言っておきながら。」
「はい、そこは断固と。」
そこは完全否定である。
何故ならカルディナの勘はそう告げていないからだ。
まさか『FINAL』の最終場面で、護と戒道を乗せたESミサイルの転移先が、実はこの世界だった、と想像した事はあるが、それではあのEDがオーバーキルする。
是非ともそんな想像は止めましょう。
……話を戻す。
実のところ、そんな想像はしなくとも同一人物ではない状況証拠はカルディナの中で揃っている。
そして一番の決め手は、ゾンダー出現時のあの反応だ。
後は
……だが、当の2人には理解し得ない事でもある。
「……いきなりこんな話をして申し訳ない、と思っているわ。そしてこんな状況に巻き込んでしまって……予想していたとはいえ、ここまで余裕が無いとは思わなかったから……でも、早かれ遅かれ、間違いなく貴殿方は
「こうなっていたって……僕達には何が何だか……」
「……そうだよ、今もお嬢が僕達の事情を知ってて、僕達の知らない事を知ってて、あまつさえあの化け物を討つ力があるとか……」
「誤解しなように言いますけど、貴殿方が想像しているような派手な力ではないですわよ?」
そうなの??と、明らかに戸惑う2人に、カルディナは遮るように言った。
確かに
「ただ、その力が発揮される時、その力をしっかり受け入れるよう、そして思うままに解放して貰いたいです。」
「……受け、入れる??」
「ええ……あまりこういう言葉は使いたくはないですが、その力は2人の生まれの証、
「ちょ……!それってどういう事──」
「──さて、右腕の修復も終わりましたし……行きます!!」
そして、残された2人は……
「な、何だろう、今のお嬢の言葉……」
「生まれの証、運命そのもの……何を知ってるんだ?あのお嬢様は僕達の事を……本当は、僕達もロクに知らないのに……」
「……でも、本当にそうかも。」
「……クスト?」
クストは目を瞑り、カルディナの言葉を自身の内で反芻するように呟く。
「本当は……さっきみたいに何かを感じる事が
何度かあった。その度に気のせい、って思ってたけど……本当はちゃんと感じてた。ムルもそうでしょう?」
「……ああ。ほんの一瞬、一瞬だからあまり気にしないようにしてたけど、本当に気のせいじゃなかったんだ。」
実は今までも、微弱な反応は感じていた2人だが、自分達以外は感じられない反応であり、そして何も起こる訳でもなく、今日に至るまでそれが何であるかは解らなかった。
「……お父さんもお母さんも、僕達がどこから来たのかをハッキリ言ってくれなかった。幼い時から渡り歩く生活で……生活が苦しくって、口減らしを志願した時に、ようやく言ってくれた……」
「『緑のGと赤のJの石があるところが、私達の還る場所』……その言葉を頼りにこれまで来たけど、そのヒントが僕らの中にある……か。」
何故そんな生活を送らねばならないか解らなかった。
それでも鉄華団に拾われ命は助かり、今度はカルディナに拾われ、今では家族や数少ない一族もアースガルズ領に定住する手助けもされて、生活すら助かっている。
それでも一族の悲願である、故郷の帰還は棄てた訳ではない。
ただどこにあるか、今では記憶が曖昧で誰も知らないからだ。
ちなみにカルディナや鉄華団にGストーンやJジュエルの事を言い出していないのは、宝石絡みで、かつカルディナは貴族という事もあり、知られれば強引に接収される危惧していたためである。
そんな恩あれども警戒していた人物から、自身の知らぬヒントがもたらされるとは……
「……何か疑ってたのが、恥ずかしいな。」
「裏が確実にあると思ってたけど、この状況を見ると、僕らには実はもっと凄い秘密が隠されていたりして……」
巨大な異形を目の前に、怒涛の勢いで立ち向かうカルディナを見るクストとムルは苦笑いしつつ、目の前に広がる自分達の次元の超えた戦いをその目に焼き付けていた……
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「──チィッ、固いな!」
「その程度ですか!?私をさっき馬鹿にしたのに、貴方も大したことないのですね!(♪)」
「……聞こえてたのかよ。」
「ええ、もちろん!」
ゾンダー相手に飛び回りながら牽制、隙あらば致命傷を負わせようと攻撃を繰り返す
再三傷を負わせても直ぐに復元するゾンダーに対し、口喧嘩をしながら攻撃を繰り返すだけ余裕があると見受けられる。
「──ゾンダァァァーーー!!」
「効くかよ、
「ゾ!?ゾンダァァァーーー!!」
厄介な電磁竜巻も最早、カウンター返しと言わんばかりに
更に……
「──
「ゾンダァッ!?」
真正面から2対の白い閃光が頭部を撃ち抜く。
その衝撃で、仰向けに吹き飛ばされ、地響きを立てて倒れるゾンダー。
「……ようやくあのバリアにも慣れてきましたね。撃ち貫くだけなら私達にも出来てきました。」
「ああ。だが一向にやられる気配がない。お嬢の言う通り、あの核とやらを引っこ抜くしかねぇ。破壊出来れば簡単なんだが……」
「駄目です、お嬢様の言う通りなら、あの中には人がいるはずです。」
「解ってるっての。そのお嬢は……」
「───ゾンダー!」
しかし……
「──ブロウクン・マグナムッ!!」
「ゾンダー!?」
構えた腕関節を撃ち抜く
更に砕かれた腕が反転、ゾンダーの頭部に
そして突き抜けたブロウクン・マグナムの戻った先には、空中で右腕を空に掲げる
そして右腕にブロウクン・マグナムが納まった後、ゆっくりと地上に降り立ち、
「……御二人共、夫婦喧嘩ならこの戦闘が終わってからにして下さいませ。」
「お嬢様!?戦線復帰の第一声がそれですか!?ていうか、聞こえてたのですか?!」
「よせやい、まだ婚約届も出してないっての。」
「──
「まあ、冗談はさておき……お嬢、
「ええ……まさかと思ったものが
そう、長年捜していた勝利の鍵を、居るかどうかすら解らなかった
このチャンスを絶対に不意には出来ない。
そして、この場にて自分が出来る、一から今まで鍛え上げた、あの技こそ不可欠と。
「……御二人共、ご用意を───」
「──仰せのままに。」
「──見せて貰おうか、我等を振るう力の真価を。」
───フュージョン───
2人がその姿を人型からエネルギーの塊に変え、Sライナーガオーの両端に宿り、500系のぞみのライトが眩く光る。
その瞬間、膨大なエネルギーがガオガイガーから迸った。
右肩に宿るのは、万物を葬る
左肩に宿るのは、万物を護る
そしてガオガイガーは見据える。
ゾンダーを。
倒すべき敵を。
(……ゾンダー。Gストーンがなくとも、これが貴方に抗う力ですッ!!)
ガオガイガーは繰り出す。
対・ゾンダー用のあの必殺技を。
「──ヘル&ヘヴン!!」
───ヘル&ヘヴン
それは攻撃と防御のエネルギーを一つに合わせた、ガオガイガー最強の必殺技である。
全身に破壊エネルギーと、防御エネルギーを纏い、相手に突撃し、ゾンダー核を抉り出す技である。
二つのエネルギーを両手に集めた上で両掌を組みエネルギーを融合させた後、
ただし、今の
これはゾンダーに抵抗する絶対性が無いことを意味する。
その為、カルディナが次案として用意したのが、悪魔が主に使用する『
この2つの力は
更に、通常反発し合う2つの力は体外では合わせることは到底不可能であるが、今の
「
この詠唱を唱える事により、その2つを完全に練り込む事が出来る。
更に、カルディナは知らない事だが、合わさったこのエネルギーは
そして合わせた両掌を前に突き出す。
「──フンッ!!」
「──オオオオォォォーーー!!!」
そして背部スラスターを起動、最大戦速の勢いでゾンダーの胸部目掛けて突撃する。
「ハァアアアァァァーーー!!!」
衝突した
だが、ガオガイガーの両掌外側に展開する『
そしてその核をガオガイガーの両掌の内側に展開する『
(───な!?この手応えは……!!)
だが、核を掴んだところからも侵食──
込めた
更に、両掌の装甲すら鳴動する核に、徐々に熔けるように侵食されて行く。
本体から離れていないとは言え、胸部装甲よりも強力な侵食能力に、その異常性にカルディナは驚きを隠せない。
極めつけはその大きさ。1.5メートルもあるゾンダー核だ、引き抜きにくいのも尋常ではない。
───しかし、これで終わる
「……この、程度でぇ……!!私の『勇気』は……終わりませんッ!!!」
ガオーマシンに備えられた小型
そして転換し、取り込まれた
魔法の究極とは、使用者の願いを叶える事。
つまり感情の強さ、願いの強さが物を言う。
そしてそれであればGパワーがなくとも、勇気の感情を込める事でゾンダーと拮抗出来るのでは?
カルディナはその願いを込めて、このガオガイガーを造った。
そしてそれは……!
「───ァァァアアアーーー、フンッ!!!」
堅固に固定されたゾンダー核を、絡まるケーブルごと己が力を振り絞り、引き千切り、遂に抉り出すッ!!!
───その瞬間に引き起こる、滞ったエネルギーの大暴れによる、大爆発。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「───カルディナお嬢ーーー!!!」
核を抉り出した瞬間を目撃したクストとムルは、一目散に駆け出し、カルディナの元へと向かう。
だが、爆炎は豪々と燃え盛る。至近距離で爆発に巻き込まれ、いくら
その現場を間近で目の当たりにして、クストは落胆する。
「そ、そんな。あの爆発じゃあ……」
「……!?クスト、あれを!!」
「───あ、あれは!!」
だが2人は気付いた。
爆炎燃え盛る中、一歩一歩ゆっくりと歩む、1つの影が……
そして2人の
《──ふう、危うく丸焦げになるところでしたわ。》
ガオガイガーである。
ゾンダー核を持っているが、今は侵食能力が鎮まっているようで、ゆっくりと歩んでいた。
ちなみに核を抉り出した瞬間、『守護の力』でガオガイガーは護られていたのだ。
その姿に2人は安堵する。
「お嬢!!」
「良かった、無事だったのですね!」
《──ええ、ですが
「最後……??」
その言葉に疑問を持つ、クストとムル。
何故なら
《───ですので直ちに、この核を
「破壊……」
「そうすれば、あの化け物はもう……」
《それじゃ、しますわよ。》
そう言って
それをクストとムルは、ただ見ていた。
これでようやく終わる、と。
……駄目だ
ヒビが入る核を見ながら、帰ったら何をしようか、と。
……やめて
今にも壊れそうな核を見ながら、僕らは───
「───駄目だ、お嬢様!!!」
「それを壊しちゃ、駄目ェェーーー!!!」
「───!!」
その声に、カルディナは空を見上げた。
その先には、彼女の待ち望んだ存在が空を舞っていたのだった。
それは、全身から緑の光を放ち、妖精の羽を広げ、額に光輝く『G』の紋章を浮かび上がらせた、クスト。
そして対になるのは、赤い光を全身から放ち、背に孔雀を思わせる細い羽、頭上には天使の輪のようなものを備え、瞳に『J』の紋章を浮かび上がらせた、ムル。
共に『浄解モード』の姿で、カルディナの前に舞い降りたのだった。
その姿に、カルディナは『天使』を見た。
それから言葉はいらなかった。
カルディナはゾンダー核を握るのを止め、ゆっくりと地面に核を下ろし、一歩下がる。
その様子を見た2人は互いに見つめ合い、頷き、クストがゆっくりと浮遊し、核に近付いた。
そして、右腕を空に伸ばし───
クーラティオー
テネリタース・セクティオー
サルース・コクトゥーラ
呪文を詠唱し、発現する『浄解』の力。
浄解の力がゾンダー核に放たれると、核がゾンダー人間に、そしてゾンダー人間から……
「あ、ああ……ありがとう。」
1人の人間にその形状を
そしてそこには涙して手を合わせて感謝する、鎧を纏った1人の若い男がいた……
「……これが、僕の力。」
「じゃあ、僕にもそんな力が……」
そしてクストは発現している『浄解』の力を改めて自分が今、成した事を実感出来ないようにいた。
本能的には理解していよう。
しかし、理性まではその理解が追い付かない。
またムルも同じく、自身の姿を見てそんな心境であった。
そんな戸惑う2人を見ながらカルディナは
空が眩しい。
頬をなぞる風が気持ちいい。
そう感じ取れるなら、自分は生きている。
夢にも見た、あのゾンダーの戦いから生還したのだ。
そして目の前に『浄解』の力を持つ2人……
(……奇跡、ですわ。)
普段思う事もしない『奇跡』を実感していた。
実を言うと、本当にこのような状況になるとは思わなかった。
綿密に計算して、結局は行き当たりばったりなのだ。大口を叩いておいて面目が立たない。
特にクストとムルに関しては未知の領域。
勝率こそ、0とは言わないが、この勝利へと導けるのは、獅子王麗雄博士ではないが、限りなく0に近い。
(……この2人が、いる事自体が奇跡なのです。)
だが……勝った。
その事を静かに噛み締めるカルディナであった
。
……だが、この事実がカルディナの予想を超えた、天文学的な確率の事象の結果等と、この時のカルディナには思いもしなかった。
《NEXT》
クスト君とムル君の話の繋ぎがいまいちかと思いますが、ご容赦を。
というか、もう1つ続きます。