スパロボで家庭用ゲームの『スパロボ30』の発表がありましたね。
その中で、ガオガイガー『final』と『覇界王』、そしてナイツマが登場!!
なんという僥倖、なんという至福!
時代がようやく(私に)追い付いて来たか?(違う)
……鉄血がいれば完璧だったのですが。
そうとなれば、早速予約せねば……
ちなみに予約先(Amazon、PS4、Switch等)で予約特典が違うようで、皆さんは何処で予約します?
ちなみに私は、まずハードを手に入れるところからです。
……忙しすぎて、大きいハード有ゲームなんぞする暇がない。子供もまだちっちゃいので、小ささ優先でSwitchを手に入れる予定。ソフト予約はAmazonというひねくれ具合。
それとは関係なく、『公爵令嬢~』の本編、どうぞ!
「───いやぁ~、しかし驚いたよ。まさか君らがカイン殿、アベル殿の血縁者だったとは……」
「私も驚いています。ティ・ガー様が私達の先祖のカイン様、そしてアベル様と交流があったとは……」
長く伸びる鉄で出来た廊下を4人の男女が歩いている。
先頭はカイゼル髭を生やした筋骨粒々の男、ティオレンス・ガルス・ガーベルトが患った脚も何のその、スタスタと歩く。
その後ろをカイン、アベルの血縁者と言われた茶髪の優しげな男性と、青みがかった髪の女性、最後に現在ティ・ガーの付き人役をする黒髪の少年が。
「死にかけで助けられた大恩は忘れないさ。それよりも君らの存在に気付けなかったのは僕の──いや我々の失態だ。レメク君、カルエラ君、済まない。」
「……いえ、我々も知られまいと秘匿していましたので、気付くのは無理は無いかと……」
「それに、今回の事は私達も子供達より知らされねば解らなかった事。明かさなかった私達にも罪はあります。」
茶髪の男性──レメクと、青みがかった髪の女性───カルエラは申し訳なさ気にティ・ガーに謝罪するが、ティ・ガーはそれに首を横に振って応えた。
「それは我々も同じだ。その気持ちは君らの故郷に着くまで胸に秘めてほしい。」
「判りました。」
「仰せの通りに。」
……そんなやり取りを
「……しかし、本当に凄いですね、ここは。」
「うん、私もそう思うよ。ガオガイガー、そしてカルディナ嬢の熱意には……」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
北に伸びる荒野を四足歩行の巨大な鋼の獅子──ギャレオンが腰から尾を引いた爆炎をな放ちながら疾走する。
G・インパルスドライブを併用した走法は、この世界のあらゆる存在よりも速い速度を叩き出す。
更にギャレオンは腰にハーネスを取り付け、自身と同じぐらいの大きさ───高さ12m、横幅11m、全長20mの箱形で、
彼等は今、ここにいる。
この
本来の設計では
それで収容人数は最大50人程。物資を無視すれば100人は超える。
そして居住性は非常に良く、移動時の振動も問題なく、長期間の滞在にも十分耐えれる。
簡単に言えば、家ごと牽引しているか、巨大なキャンピングカーを牽引しているか、そんなイメージして頂けたら解るだろうか。
尚、部品は試作品で使用しなくなったものをバラしてトンネル経由で輸送してもらっている。
ちなみに密輸ではない。
自前の路線だ、密輸ではない。
そしてその
そこには上座に国王レクシーズ・G・アルドレイアを始め、近衛騎士団の精鋭数人を護衛とし、家臣のクリストファー・エルス・アースガルズ公爵。
世話係にフミタン・アドモス、他数名の
鉄鋼桜華試験団より団長オルガ・イツカ、副団長ビスケット・グリフォン。団員三日月・オーガス、クストース・マーレ・カエルム、ムルタエノス・ヴィアム・レクティオ。
特別団員にアシュレー・E・アルドレイア。
そしてもう4人ほど、ティ・ガーとレメク、カルエラと黒髪の少年が部屋に入ってきた。
「おお、待たせたね。」
「いえ。お身体は如何程で?」
扉の近くにいたカルディナの父親、クリストファーがティ・ガーの身体を心配するが……
「実に重畳。今でも自分の脚が不自由とは思えんよ。これもこの装備と、彼のお陰だ。」
「ありがとうございます。」
《──良かったですわね、ビルス。》
ティ・ガーの称賛に少々緊張する少年、名をビルスという。
そのビルスに
ティ・ガーの脚は治癒した訳ではなく、秘密はティ・ガーの身に付けている装備にある。
IDメイルの応用で、軟鉄の伸縮性と人体の電気信号、そして魔力操作による3つを利用した、補助具である。
本質的にはIDメイルと何ら変わりないが、ティ・ガーの負傷した脚を重点的に
《ただ、魔力操作と思考制御の兼ね合いにはまだ改良の余地がありますわ。》
「ほう?これでもかい?」
「はい。今はご満足されていますが、今後意識されていない動作で違和感を覚えてしまうかと……なので、個人用のフィッティングはこれからになります。」
「なるほどね……実にいい!」
ちなみにカルディナは今、ギャレオンのコックピットに鎮座、操縦しているためリモート会議宜しくの如く、
《ティ・ガー様のお身体は、
「……はい。ティ・ガー様、お役に立てて光栄です。」
「うむ。これからも頼むぞ、
「はい!」
一礼するビルスに、大いに頷くティ・ガー。
そんなティ・ガーにカルディナが尋ねる。
《……ところでティ・ガー様。
「──ん、スマン。つい嬉しくてな、手心はしたのだが……」
《やはりですか。こちらでも見ていましたが、訓練相手にと試験団の団員、あと近衛の方々がボコボコにされてましたわ。ビスケット、至急
「あはは……判りました。それと見張り役はどうします?」
《陛下……》
「……残りの近衛にさせよう。この場はいい、1人残して彼等と代わって来い。」
「……承知しました。」
レクシーズの後ろに控えていた数人の近衛騎士が、1人残してビスケットと共に退室した後、それぞれが席に座る。
その最中、クストとルムが、レメクとカルエラにこそりと話し掛ける。
(……父さん、大丈夫?)
(ああ。しかし驚いたよ、お前達が貴族の方々と繋がりがあるなんて。)
(それは僕らも同じだよ。母さんもティ・ガー元将軍の所で働いていたなんて……)
(カルディナお嬢様の紹介でね。)
テーブルを挟んでレクシーズの正面に前に座る2人───レメクはクストの父親、カルエラはムルの母親である。
息子達に突然来て欲しいと頼まれて、やって来たら、まさかの運命的な会合である。
紹介された奉公先の主人のティ・ガー、そしてその関係者、そして紹介した
また、子供達にも先祖にまつわる力を有しているとは、どうして想像出来ただろう?
そして今、一丸となって故郷に向かっているのだ。
一族の代表としているが、2人は緊張以上に高揚していた。
……しかし子供達より事情を聞き、当日レクシーズやクリストファーより事の経緯を聞かされるや否や、半ばランデブー紛いに連れて行かれるのは止めて欲しかったとは言えない。
ティ・ガーのフォローが入るまでは生きた心地がしなかった。
自分達の一族の悲願である、故郷への帰還。
その手助けをしてくれると。
また、2人の容姿もまた一役買っていた。
「……似ている。」
「ああ、カインさんやアベルさんの面影がある。」
メレクは若かりしカインに似ており、カルエラは成長したアベルに少し似ている。
そしてレクシーズとクリストファーより、自分達の知らない先祖との交流を聞かされ、昔話を真摯に聞き、安堵した。
「……カイン殿、アベル殿には今でも感謝しきれない。そして貴公等にもまた感謝したい。」
「い、いえ、私共は何も……」
「いや、親あればこその子だ。貴公等がいなかればクスト、そしてムルの2人はいなかった。でなければ、惨事は免れなかったからな。」
その気持ちに偽りはない。
何故なら、先のゾンダー出現の事である。
カルディナより見せられたゾンダーの実映像を見たレクシーズ、クリストファー、ティ・ガーの3人は驚愕した。
そして遂に現れたゾンダーに際し、クスト、ムルの2人は『浄解』を発現した。
もしクストとムルがいなければ、『浄解』を発現出来ていなければ、その後どうなるかを国の重鎮3人は理解していた。
その親である2人には、国の代表としても一個人としても、レクシーズは礼をし、頭を下げた。
それに応え、レメクとカルエラは同じく頭を下げ、その光景を間近で見ていたクストとムルは、自分達の行動の大きさを知るのだった。
「……陛下、発言を宜しいでしょうか?」
「ああ、レメク殿。構わない、言ってくれ。」
「はい、では……今後の事についてなのですが、これから我らの故郷に向かう、との事なのですが……大丈夫、なのでしょうか?」
「大丈夫、とは……いや、確かにな。」
レクシーズがレメクの質問に言葉を鈍らせる。
レメクが気にしていたのは、未だ集落を取り巻く瘴気の事だった。
20年経過しても尚、晴れない瘴気。先遣の報告でも目視出来る程の濃さであるという。
口には出さないが、隣に座るカルエラも、そしてこの場にいる全員が出発前に周知されていたので、誰しもがその事を懸念していた。
そんな不安に対し、一考したレクシーズが答えた。
「……恥ずかしながら、今回の遠征に際し王国から、私個人としても、何一つ有効と思えるものは用意出来ていない。」
「そ、そんな……」
そもそも今回の遠征は極秘裏だ。
カルディナがクリストファーより過去に交流があった事、そしてクストがGストーンの感知に成功した事により急遽発案されたものだ。
事が事なので、カルディナが冷静さを失い、独断専行しそうなのを必死に説得し、最低限の準備をして翌日全力で疾走している、というのが事の経緯だ。
だが、それまでは重度のお通夜ムードだった。
現に全員の持つ情報が開示された瞬間、まずカルディナが発狂。
未だ晴れない瘴気が20年以上。事情を知る者なら絶望的だ。ゾンダーメタル等なくてもゾンダーになれる。
レクシーズやクリストファーすら、行動出来なかった後悔から脱け殻同然に落ち込んでいた。
そしてティ・ガーからの叱咤激励を受けた後、救助を立案した。
だが、集落を取り巻く瘴気に対し、秘密兵器的なモノは何一つない、という。
しかし、策はある。
「瘴気を除去する方法はあるという、そうであろう、カルディナ。」
《はい。》
瘴気を取り除く方法だが、理屈は単純。
『浄化魔法』を使用する。後は仕上げに『風魔法』で瘴気を吹き飛ばす、以上だ。
「……出来るのか?あの集落は結構な規模があるが。」
《
ギャレオンに『くちからびーむ』をさせるため(願望)により、前歯4本に仕込んだ『
いざとなれば、大概の
広域浄化は問題ない。
そしてやってのけれる娘の所業に、クリストファーは頭を抑える。
「……何でもありだな。」
「だが、元々お前頼みなのだ、任せる。」
《ありがとうございます。》
「だがそれ以上の懸念もある。」
「……時間、ですか?」
「ああ。」
カルエラの問いに、レクシーズは項垂れるように肯定する。
しつこいようだが、既に事が起きて20年以上経過しているのだ、誰しもが生存者がいるとは期待していない。
それが例えカインやアベルであっても。
また、今日まで差程騒がれなかったのは、その土地への往来が極端に少なく、そして瘴気自体が拡散しにくい盆地という環境であった事による事が大きい事を断っておく。
そして事態の解決方法を誰も持っていないのも一因である。
そして今回の唯一の解決方法を持つのはカルディナが契約している『
『
ただ、カルディナと契約するまでは自ら動く事はなく、『
その影響で、カルディナすら、浄化魔法を習得したのは3年前になる……
「故に、我々はどのような事態をも想定しなければならない、そこは判って欲しい……」
「……はい。」
「……解りました。」
覚悟していたとはいえ、レクシーズの言葉に少し落ち込むレメクとカルエラ。
しかし、落ち込んでいる暇はない。そう自身に言い聞かせ、気持ちを奮い立たせる2人であった。
……というのも、ここにレメクとカルエラが来るまで、縁あるレクシーズやクリストファー、ガオガイガー崇拝者のカルディナすらお通夜ムードだったのをティ・ガーが、
「落ち込むなら、集落について事態を収拾してからにせんか!!」
と叱責を受けて、立ち直った3人を出発前に見ていたのにも起因していた。
その後、各々頭が冷えるまでティ・ガーとレメク、カルエラは退室していたというのが流れである。
───
「……あの、国王一つ懸念が御座います。」
「ん?カルエラ、何だ?」
「実は故郷に、『白き方舟』という守り神がおりまして……」
「それは……」
その場にいた者達は、『白き方舟』の言葉に反応した。
十中八九、超弩級戦艦Jアークの事だろう。
過去の記憶にも、Jアークらしきものが集落の後方に鎮座していたのは確認している。
そしてカルエラの懸念というのは……
「『白き方舟』には集落の番人がいる、という言い伝えがありまして、災いをもたらすモノには容赦なく滅びを与えたとか、それで……」
《もしかすると、
「……もしかすると、ですが。」
カルエラの懸念は十分に判る。もしそうであれば、重大な障害となろう。
ジェイアークにしろ、キングジェイダーにしろ、そしてジェイダーにしろ、反中間子砲やメーザー砲を撃たれでもすれば防ぐ手段はない。
特に警戒しているのは反中間子砲。
あれは原子核内の反発しあうクーロン力によって抑えつけられている中間子と対消滅フィールドを形成・射出する兵装であり、物理的な強度を無視して物体を原子崩壊へと導く、トンデモ兵器だ。
つまり当たれば即終了。核摘出を考えなければ、ゾンダーどころか原種ですら破壊出来よう。
それが8門搭載されている。
カルディナがガイガーにフュージョンしたところで、
正面どころか、かすりでもしたら即アウトだ。
『白き方舟』を知る者は、すぐにその事が脳裏によぎった。
特にカルディナはその事を十二分に熟知している。
だが、肝心のパイロットはどうだろうか?
過去の記憶にも、Jアークが起動したことはおろか、正規パイロットの『ソルダートJ』がいなかった。
この星に逃げ込むまでは、自動操縦でも可能だろう。
だが正式に起動、動かすには……
《特にトラブルを持ち込みたい訳ではないので、穏便には済ませたいところですが……》
「可能であれば、矢面に立って私もメレクも説得の場には立ちたいところですが……」
「集落の関係者とはいえ、生まれも面識もない私達ではどこまで力になれるか……」
「…そうだな、留意しておこう。」
いるかどうかわからないが、もしかすると脅威になりかねない。
心に引っかかるものを感じながら、一同は故郷の集落へ赴くのだった……
「──しかし、
《そうでしょうか?この
「だが居住性は善し、収用人員が100人を超える。馬車による移動が霞んでしまうぞ。」
《その代わり、ここのような平地でないと大きさ故に移動出来ませんし、荒れ地の山脈越えは無理です。移動の地形は限られてしまいます。」
「ではこの先の渓谷はどう越えるつもりだ?かなり深いが……」
《
「限られているんじゃないのか?」
《力業です。ギャレオンと私でないと無理ですわ。》
「ふむ、そうだったな。であれば、ギャレオンの構造、間近で見させて貰いたいが……」
《でしたら、ギャレオン(ミニ)が格納庫に御座います。そちらは壊さない程度であればご自由にご覧下さい。詳細は職人がいますので、彼らに……》
「ほう……長旅だからな、そうさせて貰おう。アースガルズ卿、貴殿も来い。」
「是非に……そうだ、カルディナ。それとは別にハンマーを担いだピンクのウサギの大きな人形があったが、あれはなんだ?」
《ああ、『ウサリンmarkⅡ』といいます。》
そして傍らで終始やり取りを見ていたオルガと三日月、そしてアシュレーは……
「……この世界のお偉いさんってのは、随分フリーダムなんだな。」
「……ん。あの人らが特殊なんじゃないのかな?」
「……うん、否定出来ない。」
さっきまでの空気はどうした、といった視線を向ける。
癖のある人物とは、おいおいそういうものではないだろうか?(偏見)
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
その後の旅路は、特に特筆するような事はなかった。
せいぜい旅団級魔獣がわらわらやって来て、近衛騎士が応戦、然る後、カルディナの父親のクリストファーがゴーレムで善戦し、復活したティ・ガーが同じく自前のゴーレムで無双し、レクシーズが魔獣を次々に光に還したぐらいである。
あとは師団級魔獣が一体出てきたが、ガイガーにフュージョンしたカルディナが一撃で首を斬り跳ねた程度である。
失ったのは近衛騎士達の
……そんな事を繰り返しながら2日程、一行は遂に目的地
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
《───皆様、目的地の近くまで着きましたが……絶対に外には出ないで下さい。》
「……何?」
到着直後、カルディナが言い放った言葉に、一同は困惑するが、勘が鋭い者はすぐにその理由を察知した。
「カルディナ、外の様子を我々に見せる事は出来るか?」
《はい、こちらを……》
そして映し出された
そこには……
「ひでェな……」
「うん、これは……」
オルガと三日月が思わず同情し、呟いてしまう程の光景だった。
そこは
木々は徹底的に枯れ果て、人どころか動物、魔獣、虫すらいない。
半ば冥界、死語の世界と例えられてしまうような場所だった。
そのせいで、クストやムルはもちろん、レメクやカルエラは非常に強いショックを受けてしまっている。
レクシーズやクリストファー、ティ・ガーは何とか正気を保っているが、思い出の地がここまで悪化している事に後悔の念が強く、言葉が出ない。
カルディナですらショックを隠せないでいる。
(事前に報告を受けてはいましたが、
ここまで酷いとは……これではゾンダープラントの方が、まだ綺麗と思えますわ!)
あちらは無菌、無発酵。
逆に発光、菌なし───
(あ、ダメですわ。素粒子Z0があるからノーカウント!)
付着したらゾンダー化する。
結局どっちも地獄だ。
「───ええぃ!!考えるのは後!!今は行動あるのみ!!
《はい、カルディナ様。》
悪い予感を振りほどくように顔を振るカルディナは
普段はメイド服を纏っているが、今は正真正銘『天使』の姿だ。
「他の『天使』も随伴して、集落の瘴気を解析。その後、浄化に最適な構成術式、及び必要装備のリストアップを!」
《御意に。》
「
《あいよ。
こちらも、呼び掛けに応じて顕現。
普段はジャケット姿であるが、今は正真正銘の『魔王』スタイル。
「周辺の索敵を。他の『悪魔』を随伴して地形データの作成をして。周辺環境データも。出来れば生命反応も捜して!」
《任された。》
そしてその場から居なくなったと思えば、いつの間にか上空をハイスピードで飛び回り始める悪魔達。
《──そして……団長。》
「おう、装備はP2(Poison Protection)でいいか?」
《ええ。瘴気を解析、浄化してから突入して貰います。》
「……念のために、強化フィルターも持ってくが、いいな?」
《許可します。他に不安があれば追加装備を認めます。》
「よし、お前ら聞いたな!?準備に掛かれ!」
その一部始終見ていた一同は呆気に取られるのだった。
「……あれらが、今回のお前の切り札か?」
《出来れば『勝利の鍵』と仰ってください、陛下。》
「ん、ああ。しかし大丈夫なのか?
《まずは瘴気の毒素を分析して、最終的に浄化し終えた後に行かせます。万が一、密閉した空間に浄化し忘れた空気があっては困りますので───》
────その時だった。
カルディナが
空で旋回する天使達や悪魔達同も同じく
だが、空を切り裂くように放たれる閃光は如何に素早い天使や悪魔でさえも捉えようとしている正確さで矢継ぎ早に放たれている。
「な……何だ!?」
「この光はいったい……!」
《この閃光色は────まさかッ!?》
集落の奥より次々と放たれるピンク色の『ヤバい砲撃』。
そして皆が騒然とし、カルディナがそれが何かと気付いた矢先、傍らに
《カルディナ様、大変です!!》
《悪い予感が的中しやがった!!》
「……と言うことは、あれは────!!」
その瞬間、林一帯の木々が激しく波打ち、集落の奥から何かが浮上して来た。
くっきりとした8つの赤い砲身である
そこから直角に上に伸びる、巨大な顔を白いマスクで覆い被せたような、そして金色の城のエントランスを模したような造りのバイザーに、その両端に雄々しく伸びる翼を象った翡翠のフレーム。
城を模したその頂点には翡翠で出来た城を模したような造形物。
何より、バイザーの中心に紅い十字の
分離すれどもその強さは折り紙付きの存在。
空に浮かぶ鋼鉄の舟であり、空を舞う鳥。
その名も……
「……ジェイ、バード。」
軽巡洋艦モードである、ジェイバード。
まさかの機体にコックピット内で息を呑み、驚くしかないカルディナ。
だが、驚く暇すら与えるつもりがないのか、空に浮かぶジェイバードは更なる変化を遂げる。
《───フュ───ジョンッ!!》
響く声に呼応するように、反中間子砲を抱く台座が垂直に降り、その先端が起き上がり、足となる。
更に両極に広がる翡翠のフレームが90度回転、その下部より鋼の双腕が降り、現れる。
そして頭頂部が後ろに倒れると思いきや、その下から青いバイザーと、十字の紅いJジュエルの額当てを備えた鋼の顔が現れる。
四肢に力を漲らせ、
《ジェイ、ダァァァーー!!》
予想していた最悪の存在の1つ。
その名は、ジェイダー。
《……こうも抵抗するとは。》
地上に降り立ったジェイダーより言葉が発せられた。
それは苛思い通りに行かない、立ちを含めた言い方である。
「声が───でも、この声は……」
《ここは不毛の地にて猛毒の蟲毒。お前達盗人が来るような所ではない、早急に立ち去れ。》
それは警告であった。
だが、声の主は『ソルダートJ』の声では……いや、男性でも少年でもない、歴とした
どちらかといえば、パルス・アベル寄りの声だが、完全に一致してはいない。
では誰か??
カルディナはその事に疑問を抱くが、それよりもジェイダーのパイロットに問い掛けた。
《───お待ち下さい!!私達は盗人等、そんな事をしに来たのではありません!!どうかその砲撃をお止めください!!》
《──!?スピーカーによる広域拡声ですって??誰かは知りませんが、どんな目的であろうとこの先へは行かせる訳には……これ以上の犠牲者を出す訳にはいかないので──!?》
《??》
不意に、ジェイダーのパイロットの声が途切れた。
だが、少しの沈黙の後、ジェイダーは思いも寄らない行動に出た。
《───『プラズマウイング』ッ!!》
《───ちょ!?何を……!?》
ジェイダーはギャレオンを見るな否や、光輝く孔雀の羽───プラズマウイングを広げ、突撃するッ!!
《──黙れ!!!私にそんな
《違いますぅっ!!!》
《『ミーム・レリーズ』など無用!!その核を破壊しますッ!!!》
まさかの勘違い。
だが激昂したジェイダーのパイロットには、今は何を言っても無駄ようだが……
《『プラズマソォォォーーード』ッ!!!》
そしてあろう事か、両腕には光の剣───プラズマソードを展開ッ!!
相手は完全に
《……そっちがその気なら、こちらもっ!!》
そして────
《──フュ──ジョンッ!!》
高らかな叫びと共に、跳び上がったギャレオンの両足が垂直に折れる。
両手の爪が間接から曲がり、鋼の手指を現す。
そして上半身が回転し、ギャレオンの顔が首ごとスライドして人体の胸部に移動。
その跡から頭部が現れ、オレンジ色の瞳に光が灯る。
四肢に力が漲らせ、顕現した白き巨人は自らの名を叫ぶッ!!
《ガイ、ガァァァーーー!!!》
カルディナは、ギャレオンとフュージョンする事により、マギウス・メカノイド、ガイガーへ変形するのだ!!
《───『ガイガー・クロウ』ッ!!!》
ガイガーへとフュージョン(変形)したカルディナは、ガイガー唯一の武器、ガイガー・クロウを起動、ジェイダーへと突撃───交差するっッ!!
《───くうっ!》
《───な!?弾かれた!?》
『障壁魔法』を施したガイガー・クロウをふるい、ジェイダーのプラズマソードを受け流すガイガー。
宙を高速移動するジェイダーは二度、三度とガイガーに刃を向けるが、一切刃は届かない膠着状態だ。
(──攻撃が通らないッ!?出力、機動性はこちらが上のはず!けど何で……!?)
(──ギリギリ、ですわ!かなり出力を上げて、魔力転換効率を最大まで上げているのに、その差は皮一枚の出力程度負けている……その差で防いでいる、あとは上手く受け流しているだけです、もし失敗するとそこで終わりですのよ!)
平静を装い、見た目は余裕そうだが、実際ガイガーはかなりギリギリの戦いだ。
特にガイガー・クロウは一撃を受け流す度に目立つ傷が絶えない!
『強化魔法』の耐久性をプラズマソードが僅かに越えているのだ。
耐久性が低い事が実に痛い。
(……であれば次で───!!)
(いつまでも後手に回るのは悪手、何とか近接戦に持ち込まねば──!)
そして再び互いが肉薄しようとする───その時、ジェイダーはその場で静止する。
《───
《───なッ!?》
不意打ちの反中間子砲により、
その瞬間、辺りは爆煙に包まれたのだった。
《NEXT》
◯ビルス
『鉄血』2期で、アッシュ君が兄貴分と慕っていた、阿頼耶識の施術に失敗し下半身麻痺になってしまった人物。
こちらの世界に転生し、事故で脊髄損傷、下半身麻痺になって記憶を取り戻す。
半ば自暴自棄になっていた時に、お嬢様に自分を慕う少年達と共に拾われる。
その後、カルディナのシゴキを受けつつ、IDメイル完成後に医療応用のため、医療用パワードスーツの試験者に抜擢、その確立の立役者の1人となる。
現在は商会の会計を務めつつ、ティ・ガーのパワードスーツの調律者を受け持つ。将来は魔導義肢の分野を確立させる事に邁進する。
なお、試験団の中にはアッシュもいるが、記憶回復はまだ。
◯レメク、カルエラ
『公爵令嬢~』よりオリジナルキャラ。
レメクがクストの父親。
カルエラがムルの母親。
2人とも直系であるが、現地や周辺の集落との交流もあり、世代を重ねているため、外部の血も流れている。
カインの若かりし顔に似ているレメクに対し、カルエラは髪の毛の色のみ似ている。また、厳密にはこの世界にアベルの直系はいない設定。
2人には特別な力はなく、クストとムル、他の子孫も力を宿している者は強弱問わず、先祖還り。
◯ウサリンmarkⅡ
カルディナの習作。ガイガー(ミニ)は職人と共にアルドレイア王国で造ったが、ウサリンmarkⅡはエルネスティと(完全にネタ扱いで)造ったものをリメイクしたもの。
原点は『黄金勇者ゴルドラン』と『ブレイブサーガ』。
『もしもの可能性』を考慮し、制作されたが現状は不発。
しかしスペックは製作者に身に覚えがない程に高く、リメイク後の性能は破格。
操作方法はガイガー(ミニ)と同じく思念操作か、外部ケーブルによる魔力操作。
今回はとある目的のために持ち込まれたが……
◯ジェイダー
紛れもなく本物。
本来の性能はJ-002機に限らず、ジェイダーと謙遜ない。
ただし、とある事情で本来の力を発揮出来ないが……
次話に続く!
ちなみに、私がスパロボ30で予想しているネタは……
ナイツマからキトリーさんが、ソムニウム達とリミピッド・チャンネルでいきなり介入とか……
《──せ、先々代族長!?》
《───うむ。》
エル君の術式改変能力がエヴォリュダーの能力と同じだったり。
「ガイさん、じゃあGGGのコンピューターにハッキングですね!」
「何か楽しんでない!?」
ソール11遊星主がエル君の世界の宇宙で、三重連太陽系を創造する事を企んだり
「ここの暗黒物質は質が良いですね」
「だからって僕らの星に来ないでください。」
リュウセイとロボット談義
「スーパー系こそ最高だ!」
「リアル系こそ至高です!」
感激のあまり、一緒にロボットの脚に抱き付き火傷。(予想者多数)
「お約束ですね!」
「包帯ぐるぐるで言わない!」
キトリーさんとウサギまんじゅうさんが対面。
「ぷぷぷぷぅ~」
《……》
「ぷぷぷ……」
《……》
《……あの、何か言って?》
《──断る。》
一番オススメは……
「……キトリー様、ソムニウムだったのですか?」
《そうだが、何か?》
「……いえ。あと、アルフヘイムの地下はいつから花畑に??」
《良質なアニムスの花が育つのでな、コツコツと……》
「……」
これは実現してほしくない。