公爵令嬢は、ファイナル・フュージョンしたい。   作:和鷹聖

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今回はあまり良い話ではない事を先にお断りしておきます。

プライベートに余裕がなく、感想欄で一部の方に返答できなくてすみませんでした。
感想コメントはしっかり読んでます。
どうもありがとうございます。

◇◇◇◇

敷かれたレールを走るのと、脱線してでも開拓するのと、果たしてどちらが良いのか。

実際に痛みを伴うなら、果たして耐えられるか?

そんな話に仕上がっています。
しかもまだ序の口……

ちなみに私もここまでになるとは思わなかった……


Number.13 ~出撃!未完の勇者王~(2)

「───ヘル・アンド・ヘヴンッ!!」

 

 

膨大なエネルギーを用いるガオガイガー最大の必殺技『ヘル・アンド・ヘヴン』。

ガイガー、そしてガオーマシンのGSライドより発せられる過剰なGパワーが、エネルギー回路を痛め付けて行く。

何より魔術制御型(マギウス・タイプ)の機体であるガオガイガーから制御出来ない程の膨大なエネルギーが天使や悪魔を、そしてカルディナを襲う。

 

 

(──ううっ!エネルギーが、暴れ回って……!?制御……しなきゃ!!)

「ゲム・ギル・ガン・ゴー・グフォ……ふんッ!!」

 

 

『ゲム・ギル・ガン・ゴー・グフォ』の呪文を唱える事で辛うじて制御が可能になったカルディナはEMトルネードを放つ事で、一瞬だが余力を得た。

そして拳の先を定め、推進器(スラスター)にエネルギーをありったけ込め、解き放った。

 

……それからは、無我夢中で記憶がなかった。

 

核摘出から浄解を見届けるまでやりきったカルディナだが、血を吐いて気を失うまで、本能的な無意識下の行動であった。

 

 

 

そして、カルディナの意識は()の中に沈んだ……

 

 

 

 

 

──……ざめよ。

──……ざめよ、〔 ─ 〕よ。

 

 

──(体表損傷度67%オーバー、内部損傷度52%、外部干渉による影響で肉体の修復が間に合いません。)

 

 

──……る時は近い。

 

──……の御力、我が下に……

 

───(緊急処置により、周辺の◯◯◯を使用、強制活性開始。)

 

(……誰?? 何処かで聞いた事があるような)

 

──……れ、……るのだ

 

──魔力《マナ》を高めよ、開闢(始まり)とならんが為……

 

──(精神干渉防壁が一部突破……いけない、このままでは……!)

 

──終焉(終わり)をここに……

 

(この声は……私が生まれた時に聞こえた……そしてもう片方は、気のせいと思ってた、時々響いてた、声……)

 

──…焉を超え……誓いを……

 

(……片方は途切れ途切れ……もう一方は小さすぎて何を言っているのか、よく聞き取れませんが、こちらも1つ言いたいのですが……さっきから途切れ途切れの方よ、尋ねます。)

 

───!!

 

───(?!)

 

(なぜ声が〔 ── 〕さん?ム◯のデ◯ガイヤー将軍ではありませんよね?もしくはバ◯マーのシ◯ァーとか?)

 

───?!?違っ!?!!何#故???

 

(一番信じられなかったのは、まる◯ちゃんのお父さんのひ◯しと同じ声優だった事ですわ。◯スガ◯ヤーさんやシヴ◯ーさんと同じだなんて……警◯24時やマグロの一本釣りでのナレーションも渋くて好みですわ。もちろん一番は次◯ボイスでしてよ!でも一番は驚いたのはまる◯のお母さんがクレ◯ンし◯ちゃんのマサオ君の声優と忍◯まのシ◯ベエと同じ方だったという事ですわ。ああ、声優とは……実に偉大ですわ。で、再度伺いますが、ご用件は?)

 

───……もういい。

 

───(せ、精神干渉防壁、自己修復!?干渉を跳ね返した??うそん……)

 


 

 

 

───ぱち

 

 

「……何でしたの、結局。」

 

 

それがカルディナが目覚めて放った、最初の一言だった。

変な絡み方をしてきたくせに、何だか非常に呆気ない、そんな気さえした。

ちなみに小◯さんと屋◯さんがそれぞれ担当した声で警◯24時が見たくなったのは、ご愛嬌。

 

 

「───カルディナ様!!」

「───お嬢!!」

「わぷっ!?───ウィ……じゃない、フミタン、イザリア……さん??」

 

 

そんな時、フミタンとイザリアがカルディナに覆い被さるように抱き付いてきた。

それだけではない、周囲には驚愕で目を見開いた、鉄華団のメンバーがいた。

 

 

「……って、あんたら、ガン見してないでさっさと撤収!!」

「そうです!!これ以上お嬢様を見たら殺しますよ!!」

「あ、あの僕は……」

アンタ(クスト)は目隠ししたまま継続っ!!」

「はいぃぃぃっ!!」

「あ、あの、いったい何が……??」

「お嬢……お話しする事は多々ありますが……」

「まずはその凶悪なブツを隠してくれないかい?特に男共には目に毒なんだから……」

「へ??凶悪とは、いったい何を……」

 

 

イザリアが身を挺しながら指さすもの───カルディナ自身を見ると───なかった。

 

IDメイル───特にパワードスーツに関する伸縮素材が()()()()()()()()していたのだった。

ちなみに鎧(手甲と具足、腰回り、背部)は無傷であった。

胸部、局部は野ざらし、下着姿と思っても良いかもしれない。

 

 

「───どうしてこうなってるんですの!?」

 

 

しかしその質問に答えられる者は、誰もいなかった。

 

 

 

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

「……で、今どうなってますの?」

「端的に言うと王都に移動中です。」

 

 

予備のIDメイルを纏ったカルディナは、現場の指揮を執るオルガの代わりに、ムルを呼び寄せ、事情を尋ねた。

そして傍らにクストがカルディナの左腕に嵌め込まれたGストーンの調整(アジャスト)を行っていた。

 

 

「ガオガイガーは?」

「手動でフュージョン・アウトさせて牽引車(ギャリッジ)に全部乗せてます。そして今は総出で修理にかかっています。ドリルガオー()は辛うじて無事でしたが、ステルスガオーとライナーガオーは内部機構がオーバーヒートして応急措置もしないと使えない状態らしいので、少し深刻かと。」

「うわぁ……」

 

 

間違いなくヘル・アンド・ヘヴンの影響である。

また、ファイナル・フュージョンの影響で上腕の接続部が一部ひしゃげている。

そのため牽引車(ギャリッジ)の上が、ステルスガオーと真ん中にライナーガオーが挟まって載っかっている、という、かなり不思議な光景になっている。そして更にその上にギャレオンだ。

それをダメージの少ないドリルガオーとランドマン・ロディが引っ張っている。

その上での突貫修理だ。

ステルスガオーのウイングに木々が引っ掛からないか不安なところがある。

こうなると、水陸両用整備装甲車か、三段飛行甲板空母が欲しいところである。

 

 

「まあ、幸いにも過負荷がかかったところはパーツ交換程度で済むようでしたので、現存するパーツで急ピッチでやってます。」

「そうですか……ですがムル。」

「……何ですか?」

「オルガはよく止めませんでしたわね、私の事。」

「……団長、言ってましたよ。『止めたって無駄だろう?逆に止めりゃ意地でも出ようとするのがお嬢だ。だったら少しでも死なねぇようにするのが最善……そう思ったさ。それに、戦い(やり)に行くんだろ?』って。」

「……ええ。」

「やはりですか……現状、2機のランドマン・ロディがいますが、ゾンダー相手に牽制程度しか役に立たない以上、()()()()()()()()()()。遺憾ですが、カルディナお嬢様にお任せするしか……」

「───いいのよ、それで。」

 

 

悔しい思いをするムルの言葉をカルディナはやんわり肯定する。

 

 

「それが(わたくし)の望みであり、ガオガイガーに乗る者の宿命だと思ってます。」

「……はい。団長も、きっと止めても無駄だって言うでしょうね。でも、死なないで下さい。」

「勿論です。」

 

 

それはこの場にいない団員達の思いでもあるから。

 

 

「あ、それともう2つ。」

「何でしょう?」

「1つ目。何で私、鎧以外は裸だったのかしら?」

「それは知りません。」

「僕も知りません。」

 

 

それは応急措置を行っていた担当者達も困惑していた。

IDメイルを脱がす事すら難しい出血量だったため、まずは止血を優先し、総出で回復魔法を掛けていた。

またバイタルサインも非常に微弱なため、ダメ元でクストがGストーンの調整(アジャスト)を試みた矢先……

 

 

「スーツのスキンがいきなり()()()()()()()()んです。」

「……はい??」

「そうしたら皮膚の出血が、全て綺麗に再生したんです。それにみんな驚いていた時に……」

「私が目を覚ました、と。」

「……はい。」

「………」

 

 

何だそりゃ??と思う出来事だ。

いくら回復魔法でもそこまで万能ではない。

通常、じわじわ治るのが通常だ。

それ以上の短時間での回復力ではまず術者の魔力(マナ)供給が間に合わず実行不可能。

そして術式(スクリプト)のリミッターを外す事は出来るが、細胞に深刻なダメージを与えてしまう。

ちなみに、あの時は内臓までダメージを受けていた筈だが、総出での回復だ。そのような回復力を受けては、本来回復しきっても猛烈な虚脱感が襲ってくるが、現在そのような事はなかった。

 

そしてもう1つ。

 

 

「……私に、Gストーンの調整(アジャスト)って受け付けるんですのね、クスト。」

「何か、お嬢なら効きそうな感じがして……」

 

 

魔術回路(マギウス・サーキット)は繋げているが、人体に直接接続している仕様にはしていない。

ましてや、サイボーグやアンドロイドならまだ解るが、有機生命体のカルディナに効くのだろうか……と疑問を持ったが、現に()()()()()()()()()()ので、回復からの虚脱感がないのは調整(アジャスト)のお陰なのだろう。

ただし、過去にGストーン精製初期の頃、お遊び感覚でクストに調整(アジャスト)をしてもらった事はあるが、その時は何も感じなかったが。

 

 

「……まあ、その辺りの原因究明は後にしましょう。クスト、もういいわ。ありがとう。」

「うん。」

「お嬢、外の整備班からの連絡よ。応急措置は終わったって。」

「そう……判りました。ムル、団長(オルガ)に伝えて。牽引車(ギャリッジ)の進行方向をを王都に。ここから出撃します。先行するので後から来て、と。」

「判りました。」

 

 

非常に不可思議な事があったが、出撃に支障がないなら行くだけ───

 

 

(───!?貧血、ね。頭がぼんやりするけど、しっかりしないと……)

 

 

足取りが多少ふらつく。

やはり身体は本調子ではない。

それでもそんなカルディナを誰も止めないのは、それが最善の手段であるのと、カルディナ自身の決意が強いことを誰もが知っているから。

そして、応急措置が終わったギャレオン、ガオーマシンは分離状態のまま王都に向け出撃し、足が軽くなった牽引車(ギャリッジ)も進行速度を速め、後に続くのだった。

 

 

 

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

───ゾンダー発生、12分前

 

 

「……どうして、どうしてだ?私の方が……あの公爵令嬢より私の方が優れているのに、王はどうして認めて下さらない!?どうして……!!」

「───ふふふっ。第六師団の兵士サマは王様に実力を認めてもらいたい、と……」

「な、何奴!?」

「良いでしょう、その怒りをぶつけなさい。そして力を与えてあげましょう、この世で最強になれる力を───」

「や、やめ……うわぁぁぁぁーーー!!!」

 

 

 

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

「──ほ、報告!!第二、第三師団の損耗7割を越えました!!敵の動きが速く、接触と同時に多数が討たれてしまい、防衛戦線維持が困難です!!」

「第一師団、第四師団は左右に展開!接近は決してするな!!ゴーレム部隊による遠距離法撃により牽制に専念せよと通達!第五師団は隙を見てノックバックで対象を王都の郊外まで叩き出せ!!」

「報告!第五師団、全滅!術者の安否は不明です!!」

「馬鹿な、早い!こちらの動きを読んでいるとでも!?」

「重装甲の師団が、こうも易々と……!」

「陛下をお救いしろ!!どんな犠牲を払ってもいい!!」

 

 

王都内。

王城城壁が迫る場所にて、防衛戦が行われていた。

だが、戦況は芳しくなく、一方的に進行を赦してしまっていた。

 

 

「……魔獣とは違うとは判っていたが、ここまで損耗が激しいとは。ゴーレムが赤子のようだ。これが……ゾンダーなのか?」

ゾンダー!!

 

 

そんな凄惨な戦場と化した城壁で追い詰められたアルドレイア王国、国王レクシーズは己の作り上げたゴーレムが破壊される様と、折られてしまった宝剣『ゴルディオン・ソード』を見て歯痒い思いをするのだった。

 

 

 

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

───数分前。

王室の窓より見下ろす、一方的な被害出す凄惨な防衛戦に戦慄する、国王レクシーズ。

 

一見、鋼鉄の鎧を纏った騎士という風貌だが、顔から覗く光る単眼(モノアイ)に裂けた口を持つその存在。

何より、胸に妖しく光る十字の宝石に『』Zゾンダーロボ。

唯一の攻撃手段として、得物に細剣(レイピア)を持つが、30メートルを越える巨体の得物であるが故に、5~9メートルのゴーレムを相手取るには大剣となんら変わりないものだ。

 

そして一番厄介なのはその俊敏かつ無駄のない的確な動きで、各師団の軍行に合わせ、その弱点を的確に潰し、確実に殲滅してくる事。

まるで師団の特性を全て知っているように……

 

 

「くっ……!このままでは全滅しかねん。こうなれば、私が出るっ!!」

「お待ち下さい、陛下!!御身に何かあっては……!!」

「───この様な状況でそんな事を言っている場合か!?国が滅べば、王どころではない!それに、あやつが魔獣を遮る廊壁が破壊してしまえば、魔獣の大暴動(スタンピード)が起きかねん!!そうなればこの国どころか近隣諸国すら危うい!」

「し、しかし……」

「アースガルズ卿、後の指揮は任せた。防衛を徹底せよ……せめてあの娘が来るまでは時間を稼ごう。」

「ぎょ、御意……ッ!」

 

 

せめて捨て石にならずとも、一矢報いよう。

そう思って出陣した筈だったが、結果は見るも無残であった。

ゴーレムの平均身長は5~9メートル、それが一番()()()()()()()()()()()()()()()だ。

だが、ゾンダーロボには一切通用しなかった。

攻撃が届く前に一掃されるのだ、それはレクシーズも例外ではない。

剣を構え、迫り来る大剣を光に還す──前に、重力衝撃分解の限界を超えた質量が襲い掛かり、レクシーズの乗るゴーレムを城壁へと容易く吹き飛ばす。

 

その時であった。

 

鋼のライオンとウサギが火を吹いて(ブースターを全開で)ゾンダー相手にかち合った。

 

カインとアベルである。

 

 

(無様だな。時間を稼ぐどころか、この最強の国王が障害にすらならんとは。そもそも勝負にすらならないこの戦い……もはや我々の知るものではない。)

 

 

いくら攻撃を浴びせようが蓄積されるはずのダメージは消え失せ、どんな陣形ですら一瞬で破られる。

それを可能にする剛体、剛力、剛胆。

魔獣のそれを超え、既に未知の敵となったゾンダーは、王国の全勢力を結集しようが勝てない。

 

 

「だが、タダでは負けん!その腕の一本、切り裂いてくれるまでは……!」

 

 

──それすらも無駄になりましょう、切った張ったが効きません。ゾンダーとはそういうものです。

そう教えてくれた小生意気な娘──カルディナの顔が浮かんでくる。

結局、あの娘のいう事が真実だった。

 

 

「……そうであろう。だが!私にもこの国の王として、往かねばならんのだ!!私は───!!」

「いけません、カイン!!」

「くぅ!このサイズでは競り勝つ事も出来んか!!レクシーズ、そこから離れるんだ!!」

 

 

片脚が折れているため、簡単には動けない。

だが、無情にもゾンダーロボは細剣(レイピア)をレクシーズへと振り下ろ────

 

 

《──貫け、ドリル・ブーストアタァァァーーックッ!!!》

「ゾンダァァァー!?」

 

 

───さんとするが間髪、ゾンダーロボに対し、最大戦速の突貫を試みる()()()()

 

 

「───!?」

《砕け、ドリル・ブーストナックル!!》

《こっちも!ドリル・ブーストナックル!!》

《これも持っていきなさい、ガイガー・クロー!!》

 

 

一ノ撃(ドリル・ブーストナックル)ニノ撃(ドリル・ブーストナックル)、そして三ノ撃(ガイガー・クロー)をお見舞いするドリルガオー装備のガイガー。フルブーストの推力はあっという間にゾンダ王城前より引き剥がし、王都郊外まで吹き飛ばす。

着地間近でゾンダーに狙いを定めたライナーガオーが、黒柱(ワームスマッシャー)で宙に下半身を固定し、追い討ちで法撃(ゴッドフリート)を放つ。

 

 

《これが先程の正式なフォーメーションです!》

《だが、まだだ。》

《これには続きがありまして。》

《止めの、一撃と行こうかい!》

 

 

とどめにステルスガオーが魔法障壁を展開し、ゾンダーロボに突撃、音速を超えた一撃は上半身をへし折り、残骸は王都郊外へ。

そして王都郊外へ往く白い巨人──ガイガーとガオーマシン達は吹き飛ばされたゾンダーロボの後を追う。

その光景の一部始終をみていたレクシーズは唖然としていた。

判っていたつもりだったが、自分達より圧倒的な力だったガイガーとガオーマシン。

 

 

「……あれがガイガー。カルディナの力か。」

 

 

そして安堵するレクシーズの下に、ランドマン・ロディ2機が周りを囲むように現れ、そこにオルガを含めた鉄華団の数人と、途中で彼等と合流を果たせた息子のアシュレーがやって来た。

 

また、カインとアベルも空中より降りてきた。

 

 

「ご無事ですか、父上!!」

「陛下、大丈夫ですか!?」

「全く、無茶をしますね」

「ヒヤヒヤしたぞ、レクシーズ。」

「む、其方はカルディナ預かりの鉄華団の……オルガ、と言ったな。それに、アシュレーか。それにカイン殿とアベル殿まで……すまないが手を貸してほしい。」

「オルガ、大変だ!陛下の脚が折れてる!」

「壁に打ち付けられた時にやられたみたいだな……」

「父上……なんて無茶を。」

「私の事は……ぐぅっ!構わん。するなら応急手当程度で良い。それよりも今はあのゾンダーロボ、そしてカルディナだ。非常時下で戦力を拡げているが、カルディナの事(ガイガーガオーマシンの乱入)を想定して全軍には『白い巨人が現れた時は手出し無用』と周知している……が、この混乱だ。万が一、横槍(トラブル)が入らないとは言えん。念のため私が赴いて()()とならねば。」

「そうですね、あの娘の元には早く行かないといけません。ですが……」

「有難い話ですが、怪我人連れて前線に行くのは……どうしよう、オルガ。」

 

 

回復魔法を施しながらオルガに尋ねるビスケット。

そのオルガも目を瞑り、一考する───

 

 

「……善処しますが、間違いなく激戦だ。身の安全は保証出来ませんよ、レクシーズ陛下。」

「覚悟の上だ。」

「……判りました。昭弘、陛下をお前のロディの手の上に乗せて行ってくれ!ビスケットは陛下に付いて応急手当の継続、ミカは昭弘の護衛!アシュレーは近衛の騎士にこの事を伝えに行ってくれ。後から来るよう先導だ!他の奴らはパワードスーツ任せで全力で付いて来い!」

《ああ!》

《わかった》

「「「了解!!」」」

「私達も行きましょう、カイン。」

「ああ。」

「アシュレー、騎士達への説明を頼むぞ。それと後からお前も付いて来れんな?」

「勿論だ。僕だって伊達に鉄華団の特別団員をやってないさ。」

 

 

そして鉄華団の助力を得て、レクシーズはカルディナが向かったゾンダーロボとの戦いの場へと向かった……

 

 

「ア、アシュレー王子!!陛下は!?」

「ああ、来てくれたか、近衛の皆。陛下は事態を見届けるため、先に行かれた。僕達も行こう!」

「はい!ですが、陛下のお耳に入れたい、急を要する事案が……!」

「何っ!?」

 

 

……このタイミングで最悪の事態が起きていた。

近衛が持ってきた事案──それは彼等がガイガー(カルディナ)に追い付いた時に、ガイガーが爆撃の嵐の真っ只中にいた事に由来する。

 

 

 

 

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

《やりましたか!?》

《……ラファエルさん、そのセリフ(フラグ)好きですねぇ。》

 

 

フラグ、ではないが、吹き飛ばされたゾンダーロボは折られた上半身をみるみる再生、ついでに黒柱(ワームスマッシャー)からも無理矢理脱出しつつ、損傷個所を再生させる。

 

 

「やはり再生しましたか。ですが、当初の目的……王都からの引き剥がしは達成しましたわ。」

《後は核を抉り出すだけですね。ですが……》

「ご心配無用。先程と同じであれば、多少の無茶をすれば勝てますわ。」

《確実にお説教コース……いや、号泣コースかな?》

「……2度目は辛いですが、受け止めますわ。」

 

 

ヒロインに泣かれる主人公みたいな、そんな冗談混じりの会話をしつつ、再生途中のゾンダーロボに引導を渡すため、カルディナは再度、ファイナル・フュージョンの要請をしようとした直後───()()()()()()()()

例えるならガンダムOOの第一期で行われたガンダム捕獲作戦で行われた長時間の砲撃のような、極端な話、スパロボのイベント砲撃エフェクトが長く続くような、爆発はあってもノーダメージ。

辺り構わず撃ち続けているだけの弾幕だ。

無論、ガイガーや、ガオーマシン、そしてゾンダーロボの装甲には直撃しても効果はないが、あまりにも───

 

 

「───鬱陶し過ぎる!!何ですの!?このネチネチした粘着した法撃は!?」

《見栄を張り過ぎて無茶苦茶撃ってるだけみたいだが……動けねぇ!!》

《機体の操縦が……!!》

《ぐうっ!鬱陶しい!!イライラする!!》

《もー!!回避が間に合わないよ!!》

《ガブリエルさん!どっから撃ってるか解んない!?》

《今、調べます……距離5km地点、反応あり……これは!?》

「何でしたの!?」

《アルドレイア王国の軍勢ではありません!これは『()()』の……『ギャラルホルン教皇国』の一個師団です!!》

「───はいぃぃぃッ!?!?」

 

 

一個師団の軍勢のゴーレムより放たれる豪雨の如き法撃の嵐。

あまりにも急転同地な報告に、カルディナは叫んでしまうが、その声は爆音に掻き消されてしまった。

 

 

───『ギャラルホルン教皇国』

アルドレイア王国の民達からは『隣国』と称される事が多く、『カイエル教』という()()()()()()()()()を主とし、自ら保有する勢力を『聖騎士』と称した、宗教国家である。

 

 

「──ハハハハハハッ!!!どうだ悪魔めッ!!!このセデク・オーツ・クジャンの聖なる軍勢が成敗してくれる!!」

 

 

指揮を執るのは『ギャラルホルン教皇国』の『七星枢機卿(セブン・スター)』の1つであるクジャン家、次期当主とされるセデク・オーツ・クジャン(18)、という男。

なお、国にイオク・ソート・クジャンという双子の弟がいる。

この男の指揮の下、ゾンダーロボに対し法撃を放つゴーレムの師団であるが……全てゾンダーバリアで遮られ、再生中のゾンダーロボに対しては効果を示していない。

視界は遮られ、牽制という意味では効果を生んでいるが。

 

 

「うむ!!効果覿面(てきめん)だな!!見よ、この爆炎を!見ているか、カルディナ・ヴァン・アースガルズ!!我が活躍を!!ぬ!あの白い巨人の悪魔や訳の解らん鉄の塊もろとも、敵を焼き払え!!」

「──何邪魔してくれてますの、あのゴミ王子がァァァァーーーー!!!!」

 

 

ちなみにこの男がここにいる理由は、アルドレイア王国で不穏な動きありと噂を聞き、()()()一個師団を動かし、混乱で警備手薄になったのをいい事に()()()()()()()()()()()()()をして、ここにいる。

本人にはその気はないが、端から見れば侵略行為である。

静止する部下の言葉にも耳を貸さず、好戦派の騎士達は嬉々として従軍する始末。

 

全ては()()()カルディナにイイトコロを見せたいがため。

 

そしてセデクには幸運──カルディナには不運にもゾンダーとの戦闘現場にかち合い、一斉法撃に遭う。

 

なお、カルディナが5歳のとき、『ギャラルホルン教皇国』との和平協定を結ぼうとした時にカルディナに求婚紛いの無礼を働き、協定を無に帰したのは、この男である。

そして長い謹慎期間を経て、再教育されたが……

 

 

「ハハハハハハッ!!!撃て撃て撃──!!」

「──何をしているか、貴様等ァァァーーーー!!!!」

 

 

調子に乗っているセデクの耳に激しい怒号が響く。

声の聞こえる方向を向くと、巨大な鉄の巨人が見えた。その掌の上に拡声器を携えたレクシーズが。

 

 

「ギャラルホルンの者共に告ぐ!!私はアルドレイア王国、レクシーズ・G・アルドレイアだ!!!今すぐ即刻立ち去れ!!」

「お?これはこれは、アルドレイア王国のレクシーズ陛下ではありませんか!!我々を歓迎して下さるのですね。私はギャラルホルン教皇国のセデク・オーツ・クジャンです!!」

「──貴様等にどんな理由であれ、入国の許可等ない!!この場にいる時点で侵略行為と見なす!!さもなくば即刻立ち去れ!!!それにお前が討とうとしている()()は───」

「私の目的は勿論!愛しのカルディナ会いに来たのです!!ああ、カルディナ!今すぐこの悪魔達を打ち倒し、会いに行く!!このセデク・オーツ・クジャンがあらゆる障害を打ち砕いて行く……そして私の妃にしてやろう!!待っていてくれ!!!」

「話を聞けェェェーーーー!!!!」

 

《……な、な、何だ、あの自己中ヤロウは!?》

「こ、怖いよ、全然話を聞いてない!」

「どこの世界にも聞き分けない者はいますが……!」

「……あれが指揮官かい?何と愚かな。」

 

 

今までにない、別次元の相手(分からず屋)に恐怖を覚える鉄華団のメンバー達。

その中で、三日月が動いた。

 

 

《……お嬢の盾になってくる》

「止めろ、ミカ!!あの弾幕の中に入るのは自殺行為だ!!」

《威力はそこまでないみたいだし、盾は持って来てるんだ、時間稼ぎぐらいは出来る。それに打開出来るのはお嬢だけだ。それと、死ぬつもりもないし。》

「……団長命令だ、絶対死ぬなよ。」

「わかった。」

「やむえん、私も行こう。」

「……仕方ないですね。」

 

 

大盾を持ってランドスピナーを走らせてガイガー。の下に行くランドマン・ロディ、そしてガイガー(カイン)ウサリンmark-Ⅱ(アベル)

激しい弾幕に晒されるも、超人的な反応で防御、回避するが───

 

 

「ゾンダァァァァーーー!!」

「───!?」

 

 

三日月達の動きよりも早くゾンダーが再生を果たし、行動を開始する。

ゆらりと動いたかと思いきや、ガイガー(カルディナ)の前に立とうとする三日月のロディ前に現れ、細剣でいとも簡単に凪ぎ払う。

次に後方から鬱陶しい法撃を放つギャラルホルンの一個師団の中央へ跳躍し、自重任せに潰す。カインとアベルは眼中にない。

それでも止まない両翼からの法撃の弾幕で足止めされている無防備なガイガー(カルディナ)に、切っ先を定めたゾンダーは、その十分な助走距離を───(はし)った。

 

 

《───マズイ!!》

《───いけません!!》

 

 

最悪の事態を予見したサタンとラファエルは、ライナーガオーの車体を2体の間に割り込ませて来たが、弾幕の中でも何事もないように動くゾンダーロボは、細剣で車体中央を両断する。

 

 

《───サタン!?このぉ!!》

《ラファエルの……仇ィッ!!》

《ゾン……ダァァァァーーー!!》

 

 

切り払われ、城壁に打ち飛ばされたライナーガオーの仇を討たんと、2機のドリルガオーが突貫を仕掛けるが、走行進路前を攻撃され、車体が衝撃とデコボコ路面で浮かされた隙を狙われ、アクロバットな体術で蹴り払われる。

 

 

「マモン!?ザドキエル!!」

《こいつは、ヤバイな……》

《ベルフェ、回避を───!?》

《ゾンダァァァーーー!!》

 

 

更に回避行動をとろうとするステルスガオーの前に、いつの間にか回り込み、両翼を的確に切断してしまう。

 

 

「───やらせん!!」

 

 

落ち行くステルスガオーを助ける暇もなく、ガイガー(カイン)はゾンダーロボに攻撃を仕掛けるが、圧倒的な質量差、体格差は埋められず、ガイガークローによる攻撃も目眩まし程度にしかならないが、その隙にウサリンmark-Ⅱ(アベル)がありったけのキャロットミサイルを撃ち込み頭部に直撃する。

 

 

「今だ!!」

「……とっておきです、受けなさいッ!!!」

 

 

そして、造り直した超重力衝撃波槌(ピコピコハンマー)の一撃が、ゾンダーロボの細剣の3分の2を両断する。

そしてカルディナも黙ってはいない。

カインとアベルの連携で作り出された隙を、残り少ない全力で生かすために───

 

 

(ガオーマシンは全てやられてしまった……ですが、ガイガークロー(超振動クローの一撃)の最大出力ならゾンダー核の破壊ぐらいは───!)

 

 

ガイガークローに渾身の力を込め、捨て身の一撃を繰り出すカルディナ。

ウサリンmark-Ⅱ(アベル)の一撃で僅かにバランスを崩したゾンダーロボへ、拳を繰り出───

 

 

 

───来タレ、我ガ下へ

 

 

(──ッ!?こんな時に、ふざけた干渉等───)

 

 

────ドン!!!

 

 

「────ッ!?」

 

 

胸部にガイガークローを当てられる寸前に、視界を遮るような爆発が起きた。

その影響でガイガークローが胸部に突き刺さったが、勢いが僅かに衰えたため、核はヒビが入る程度の損傷しか与えられなかった。

 

 

「ゾン……ダァァァァーー!!!」

「!?しまっ───!!」

 

 

────ドズッ!!

 

 

すぐさまカウンターの攻撃を受けたガイガー。

その一撃は、ガイガーの胴体、ギャレオンの口に短くなった細剣が突き刺さり、コックピットが貫かれ、カルディナもその切っ先に胸を貫かれてた。

 

 

(───勇気が……砕かれ……!!)

 

 

何か大切なものと一緒に貫かれ、息絶えるカルディナ。

そしてガイガー(カルディナ)の敗北───

その光景に、その場にいた誰もが絶句した。

遅れて来たアシュレー達も到着と同時にその光景を目の当たりにし……

 

 

「カ……カルディナァァァーーーー!!!!」

 

 

アシュレーは、愛しき婚約者の名を叫んだ。

 

 

そしてその攻撃の主は、先程崩壊した一個師団の中央からで───

 

 

「……見たか、悪魔め!これが……クジャン家の誇りある一撃だァァァーーー!!!」

 

 

明らかに場違いな自らの行いを自覚せずに、高らかに叫ぶのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

──システム、起動完了。サーチ開始。

 

──サーチ終了。対象:カルディナ・ヴァン・アースガルズの電位体が体内より消失。

 

──同時に、『O-3』の痕跡を確認。

 

──『O-3』による拉致と推定。

 

──……追跡を開始する。

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

沈む、沈む、暁の中に。

深く、深く、更に深く

 

 

(……終わるの、私?このまま───)

 

 

そして染み込むように入ってくる。

 

開闢と終焉、それらが総てカルディナの中へと注がれ始め……

 

 

 

 

───まだだ!!まだ終わってない!!

 

 

(……だれ?この声……いえ、知ってるこの声は───)

 

 

───見せてやる、本当の勇気の力を!!

 

 

……その声に、注がれる力は消え失せ、失っていた筈の力が、胸に暖かい光と力強い波動となって蘇って来た。

 

カルディナは知っている、この力が何なのか。

カルディナは知っている、この力で何が出来るかを。

 

 

(……そうよ、まだ終わってない───まだ)

 

───私の勇気は、まだ終わってないッ!!!

 

 

 

───正義導く Gストーン

 

───悪の根元叩くため

 

───今こそ舞い上がれ

 

 

 

カルディナの意識は暁の深淵より舞い上がった。

 

それは奇跡。

 

G()()()()()()()()()()()による、復活であった───

 

 

 

 

「───は!?ここ、は……??」

 

 

カルディナが目を覚ました。

思考がぼやける彼女が初めに見たのは、巨大なロボット。

そしてその存在を徐々に確認すると、身が凍るような思いがした。

 

それは三重連太陽系の大いなる遺産──

 

 

「ジェ……ジェネシック・ガオガイガー!?」

 

 

何故!?と思う。いきなりガオガイガーやガオファイガーをすっとばしてジェネシックなのだから。

だが、おかしい。

何故なら、そのジェネシックは全身が茜に染まり、限りなく『暁』の色だからだ。

何だか怖い、そう自然に思うが、それ以上に『このジェネシックなら、今ならモノに出来そう』という考えが──

 

 

「───イヤイヤイヤ。」

 

 

そこは理性でセーブする。不謹慎であり失礼だ。

そして当のジェネシックは、その鋭い両腕を胸のギャレオンの前で『何か』を護るように、もしくはじっくり『圧縮するように』掌を合わせており、反応はないが、その機械仕掛けの瞳はこちらを見ているかのように見える。

そして周りの風景もそうだ。全てが『オレンジ色』なのだ。

何かしら流動体があるが、それが液体か軟体物質か、それともオーラなのか。

謎は尽きない……

 

 

「───というか、ジェネシックが何でこんなところに?そしてここは……」

 

 

───何処、と言いかけたところでカルディナの思考がリフレインする。

 

創り上げたガオガイガーの初出撃。

ゾンダーと戦い、辛勝を期した。

そして再びゾンダーと戦い、妨害を受け、その隙を突かれ……

 

 

「……ひっく、ひっ……ふぇぇぇ~~~ん!」

 

 

抑えきれなくなった感情が限界を超えて、カルディナは泣いた。

 

 

「まだ、で……まだ、やれるはずなのにっ……やれるはずだったのに……みんな、ごめんなざい……」

 

 

後悔、懺悔、そして謝罪……

カルディナに広がる悲しみは、その目蓋に涙を浮かべさせた……

 

 

「……でもわたじ……()()()()()()()()()()()()───!!!」

 

 

そしてこぼれた涙は、オレンジ色の空間に同化し、()()()

更に連鎖反応の如く、止まった空間は広がり、遂には()()()()()()()()()()()()()()()()のだった。

止まったのは空間の動きだけではない、慣性、法則、エネルギー、秩序、ありとあらゆる総てが静止した。

それは目の前のジェネシック・ガオガイガーですら、その機能や湧き出る無限エネルギーですら凍結させている。

機械仕掛けの瞳が、その光を失わせる程に……

 

……そしてカルディナを中心に『世界』は静止した。

 

響き渡るのはカルディナのすすり泣く声のみ……と思われた───

 

 

(──これは、どういう事でしょう、あなた。)

(わからん、どうしてしまったというんじゃ。『オレンジサイト』が……終焉を超えた誓い(オウス・オーバーオメガ)がまるで凍結したように止まるとは……ありえん。)

「いったい、何が起きたんだ?」

 

 

声が聞こえた。

正確にはリミピッド・チャンネルに近い感度の念話を用いる精神体が2人と、実体を持つ人物が1人というのはカルディナにはすぐに判り、しかも何故か聞き覚えがあった。

 

 

「ん?誰だ、君は……いつの間にここに……」

 

 

そしてその人物達は後ろにいたようで、向こうも気付いたようだ。

泣き顔を整え、ゆっくりと振り向くと、その顔触れにカルディナは心底驚愕する。

驚愕と緊張で身がすくむ思いだが、勇気を振り絞り、頑張って声を出す。

 

 

「あ、あああ、あの、貴女は、もしかして獅子王麗雄博士の奥方であらせられる……獅子王、(きずな)様では……?」

(え??あ、はい。獅子王麗雄の妻、獅子王絆です。)

 

 

儚げで優しい目をした女性──獅子王絆は戸惑うように答えた。

次にその隣にいる、身長が低く頭頂部の髪はないが側頭部と後頭部の白髪を立て、特徴あるピンと伸ばした白髭の人物──

 

 

「で、では……お隣のお方は、獅子王麗雄、博士??」

(ん、そうじゃ。獅子王麗雄はワシじゃ。)

 

 

獅子王麗雄は迷いなく答える。

そして最後。カルディナには間違えようもない容姿──燃えるような赤茶の長髪を持つ青年。

GGG機動部隊の隊長であり、人類で唯一のエヴォリューダー、そしてガオガイガーのパイロットであるその人物の名は……

 

 

「貴方は……獅子王凱、様??」

「ああ、俺は獅子王凱。それで、君は……いったい何者──ってどうした!?」

 

 

名前を名乗った瞬間、カルディナはうずくまり、そして立ち上がるや、手に持った『それ』を凱に前屈して突き出した。

 

 

「……こんな時にすいませんがサイン下さいッ!!!

 

 

取り出したるは色紙。

願ったのはサイン。

 

 

(………サイン?)

(………サイン。)

「………えっと、俺のサイン?」

「はい!あと絆様と麗雄様のサインも……お、お願いいたします。」

《……何をしているんですか、お嬢様。御三方ともドン引きしてますよ。》

((───!?))

「「───!?」」

 

 

更なる声──それはカルディナの隣から発せられた。

そこにはふよふよと浮かぶ、紫色に光る発光体がいつの間にかいた。

 

 

《突然失礼致します。私は三重連太陽系謹製の無限情報サーキット、『V・C』と申します。》

 

 

 

《NEXT》

 

 

 


 

 

 

《次回予告》

 

ガイガーが敗れた……

絶望し、暁に沈み行くカルディナを救ったのは、Gストーンのリンクと勇者の声であった。

 

そして静止するオレンジに染まる空間と、暁に染まるジェネシック・ガオガイガー。

そこにいたのは獅子王親子であった。

更に無限情報サーキットを名乗る『V・C』。

 

そこで語られる話は、全ての運命を覆すものであった。

 

今、明かされるカルディナ出生の秘密とは!?

 

 

『公爵令嬢は、ファイナル・フュージョンしたい』

NEXT Number.14『開闢と終焉の狭間で』

 

次回も、この物語にファイナルフュージョン承認!!

 

 

これが勝利の鍵だ!

『獅子王親子』&『V・C』

 

 

 

 

……そして、その存在は遂に明かされた。

 

 

 

──アナタヲホロボス ハカイオウ

 

 




今まで建てた、いろいろなフラグを入れたらこうなった。
でもこれでも入り口という残酷さ。
ですがこれが望む最善に行けるルート。
そしてお嬢様はやっぱりお嬢様。

ちなみに、ゾンダーにサシで殺されるか、ゲスに殺されるかの二択がありますが、後者はかなり無理があるし、当然ながら止めました。

しかし、オリジナルはともかく原作のキャラを書くのにあたり、非常に申し訳ない気持ちでいっぱい……

最後に……究極のゲスとは、自らの行いを恥じない者である。
ガオガイガーではないものの、ペシャン公を書いててそう思った。

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