公爵令嬢は、ファイナル・フュージョンしたい。   作:和鷹聖

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お待たせしました。
コロナでないにしろ、家族共々ダウンしてた和鷹です。

この話で、物語中で起きていたフラグや、不可解な事象に関するカルディナさんの秘密を公開します。

ようやくというか、やっとというか、長かったな……

そして文章も長文なので、ゆっくり読んでね!


Number.14 ~開闢と終焉の狭間で~(2)

《改めて、ご挨拶申し上げます。私は制式名称:サポート&ナビゲーション&コントロールシステム搭載型AI付与式無限情報サーキット『V・クォーツ』、略称名『V・C』と申します。》

 

 

非常に丁寧、かつ長い制式名称名乗るところから、V・Cの話は始まった。

 

 

《そして私は三重連太陽系、11番目の遊星、医療と技術の星『紫の星』で使用されていた無限情報サーキットであります。》

「(「───!?」)」

 

 

そして開始早々、爆弾を落としてきたV・Cに対し、全員が驚愕する。

 

 

《……といっても私は皆様が懸念するような存在───ゾンダーではありません。その点ついては獅子王凱様、貴方が一番御存知ではありませんか?》

「あ、ああ。」

 

それは予想通り、というような雰囲気でV・Cは凱に尋ね、戸惑いながらも凱は肯定する。

Zマスターの浄解を間近で確認した凱だからこそ、V・Cの問いには確実に答えられた。

現時点でのソンダー生存は本来はあり得ない。

Zマスターの核──ゾンダークリスタルは確実に天海護によって浄解を果たしているのを間近で見ている生き証人の1人が獅子王凱だ。

 

 

《それは間違いはないでしょう。ですが、私はゾンダー化した紫の星の機界昇華が完了する前に、星より脱した一部──そうお考え下さい。》

(ゾンダーの機界昇華を脱した、とな?)

《Zマスターの初期の機界昇華は皆さんが御存じな程、実は()()はありません。むしろ原点は機械のみの乗っ取りに特化されただけのものです。人間を取り込む能力は、実は後天性なのです。》

「そうなのか……?」

《はい。後にゾンダーの代名詞になる能力の土台となるものは、紫の星にあった3つ機構より2つ、流用されています。》

 

 

ひとつが『超適合性細密機械群体:|AZ-M』

ひとつが『マイナス思念エネルギー転換型無限情報サーキット:Pジスト』

ひとつが『サポート&ナビゲーション&コントロールシステム搭載AI付与型無限情報サーキット:Vクォーツ』

 

 

《──以上の3つが『精神浄化システム』を、そして紫の星を構成していました。その内皆様がZマスターと呼ぶメディカル・プログラムに奪われたのはAZ-Mと、Pジストになります。》

(構成……じゃと?その言い方だと、紫の星はその『精神浄化システム』を基礎とした人工天体だと聞こえるんだが……)

《はい。紫の星は、99%人工天体です。》

(99%……それは何故なのですか?)

《紫の星が三重連太陽系の『医療』を司る地だからです──》

 

 

V・Cの記録によると、三重連太陽系の各遊星それぞれが突飛した専門分野の星だという。

しかし、だからといって総ての星で安全が常時保たれている訳ではない。むしろ日々精進、試行錯誤の中、怪我をする者はごまんといる。

中には致命傷を負う者もおり、その星での治療が困難な場合が多い。

そこで最後の砦となっているのが、医療の遊星『紫の星』。

各遊星より患者は1日最低でも総計万単位で搬送されてくる。そのため空きベッドなどすぐに埋まってしまい、いちいち増改築などやっている暇はないので、AZ-Mで建築物や部屋を素早く構成し、患者を受け入れる体制を整えている。

そのため、紫の星は自然と医療体制、そしてナノテクノロジー、インターフェース技術等が他の星より優れてしまう。

そして結果的に中核以外は、星総てをAZ-Mで構成する事になってしまった。

 

 

(……何とも凄い理由だな。)

「ゾンダー発祥の地だからと忌諱していたけど、紫の星にそんな事情があったなんて……」

《中には危険な実験やオーバーワークで精神が苛まれた人もいて、そんな人達のセラピスト代わりに使用されてもいます。そのため、嫌でも多方面への技術向上を図らなくならないといけなかったのです。》

(ん……わからなくもないが、それは少々環境が悪くないか?)

《悪いです。最新医療を行使しようとも彼等は無茶な研究を止めようとはしません。むしろ万全な医療体制があるというセーフティがあるがため、ありとあらゆる無茶を推してまで研究に没頭していました。そのため各遊星より殺到、延々と入退院を繰り返します。

「それは……」

ある意味、医療従事者の天敵のようなものです。完治すれども再び再発する……もはや一種の不治の病と言っても過言ではありません。治療して(倒して)治療して(倒して)治療して(倒して)も際限なく湧き出てくる、貴様らはゾンビか。あれだけ労働環境を是正しろと勧告を出したのに……ぁあ?まともに休める場所が紫の星(ここ)だぁ??紫の星(ここ)は休憩所じゃねぇよ……はぃ?紫の星の研究員(オマエラ)もか!?って、入院棟に研究資料持ってくるんじゃねぇ、絶対安静宣告されて(喰らって)いるでしょうに、遊星主に報告して……は?遊星主(アイツ)もだと?!やってんですか!遊星主(アンタ)も絶対安静でしょうに勝手に病棟抜けて(脱走して)るんじゃない!研究棟に行くな!シバくぞコラ!!はあ……このままでは次の休み(アップデート)まで回路()が持たな──ええ?延長??この間も2週間休み(アップデート)延長したじゃないですか、もう2年も休み(アップデート)ないんですよ、あいつら(AZ-MとP)に1日でいいから割り振って……は?体調不良(バグ発生)で先に休み(アップデート)、だと……そんな……返して、私の休み(バカンス)返して!!1日で終わるから、すぐ終わるから……え?無理??shit(嫉妬)!!こうなったら他の医療スタッフに仕事を割り振って───え??医療スタッフ(同僚)入院した(死んだ)、だと───ピガッ!ブツッ……

「(「(………)」)」

《……再起動、終了。申し訳ありません。前任者の記録(メモリー)が間違えて流れてしてしまったようです。》

 

 

──いいや、確実に無限情報サーキット(V・クォーツ)の本音も入っていたよね?

 

全員がそう思った。

 

 

《ただ、聞いて頂いたように、紫の星はある種の医療窮地の地でした。そして私は各スタッフや患者へのサポート、医療ナビゲーター、そして星全体のエネルギーコントロールを担当していました。》

「……激務じゃありません?」

《いえ、星中のマイナス思念を延々とエネルギー転換する『Pジスト』や、休みなく酷使され、常に海洋体積レベルでナノマシン・マテリアルの常時生産を強要される『AZ-M』よりは、マシな扱いかと。ワーカーホリックの精神異常者や、一般人クレーマー患者、刻々と気紛れレベルで変化するエネルギー送信制御、万単位の外来応対等……フフフ、軽いものです。》

「……まあ、非常に皮肉っている点はこの際置いておくとして……V・Cさん、貴方……で良いですか?)

《性別はありませんが、製作者の意向によれば『女性オペレーターをイメージ』だそうです。》

「そう……なら、貴女はどうしてオレンジサイト(ここ)にいるのかしら?」

 

 

カルディナがその質問を尋ねると、V・Cは急に黙った。

 

 

───ポク、ポク、ポク、チーン。

 

 

「え、?急に木魚と御鈴の音が?どこから?」

《凱様、音源は私です。》

「……そうか。というかどうしてだ?」

《申し訳ありません。あまりにもこのお嬢様がアホな事を抜かしやがりますので、つい。》

「アホとは失礼な!」

《アホではありませんか。私がここに来た理由はただ一つ───貴女を連れ戻しに来たのですよ、カルディナ・ヴァン・アースガルズ。》

「───え??私を??どこかでお会いした事、ありました??」

 

 

──ガーン!

───ガガガーン!

 

 

(今度はピアノが音源ね。)

《……()どい。あれだけ尽くした私を知らないと?散々弄んだ挙げ句、要らない子扱いした私を忘れたと??およよよ……》

「ちょ……人聞き悪い事言わないで下さいます!?私、本当に貴女の事は───」

《これを見てそう言えますか?《スリープモード》起動。》

「それがいったい何だと言うので───って、私の触媒結晶ーっ!?

 

 

そこに有ったのは紫色の発光が段々と弱まり、そしてそこには青みがかった紫色の小さな球体。

それは、カルディナが5歳の頃拾った、カルディナ最強の一因を作った触媒結晶であった。

 

 

 

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

 

(5才の頃に、自分の家の裏山で拾ったとな。それが無限情報サーキットだったと。にわかには信じられんが……)

《事実です。》

 

 

麗雄が半ば呆れたように呟き、それを肯定するV・C。

今日に至るまで、半ば休眠状態に近い状態だったV・Cは、ナビゲーション機能はダウンしていたため、会話は出来なかったが、エネルギー生成よりもエネルギー制御に長けた故に、カルディナが体内に宿す触媒結晶と共に魔力(マナ)生成を行うのは非常に相性が良かった。

そのため、カルディナに重宝されていた。

 

 

《優れた無限情報サーキットは、触媒結晶の役割も果たせ、どんな事も出来るのです。》

 

 

……表情はないが『ドヤァ』している気がした。

 

閑話休題。

 

カルディナは5年程、自身の実力を確めるため、非常時以外は使用を控えていたが、それでもカルディナには欠かせないものであった。

そして、ガイガーの動力源に組み込み、ジェイダーと戦える程の実力を示し、なくてはならないものとなった。

 

……Gストーンが来るまでは。

 

 

《……酷いです、Gストーン(本命)が来たら即座にポイ、だなんて。恨みます、妬みます、うらめしや、です。》

「ご、ごめんなさい……」

《期待していたんですよ、楽しみだったんですよ、あのガイガーに組み込まれ、戦えるのを。そしてガオガイガーになって『Vパワー、全開!』みたいな事をしたかったんです、それを……およよよ……》

 

 

このAI(V・C)、言葉遣いこそ淡々としているが、チクチクと責めている。

というか、そんなに楽しみだったのかと、AIらしからぬ発言である。

ちなみにV・クォーツ自体にそんな高出力のエネルギー生成能力は、ない。

そんな事は露知らず、カルディナは申し訳ない気持ちでいっぱい、獅子王一家は生暖かい視線で経緯を見ていた……が、もうそろそろ割り込むべきか。

 

 

「ま、まあ、そのくらいにしよう。しかし、何で裏山なんて、君はそんなところにいたんだ?」

《……ゾンダーに紫の星を機界昇華される寸前、遊星主の手によって、私は区画ごと強制分離(パージ)させられました。その後なけなしのエネルギーを駆使し、ESウインドウを開き、空間転移を繰り返し、ゾンダーより逃げ回ったのです。》

 

 

そして無茶なESウインドウの影響で、カルディナのいる次元の星に不時着したという。

それが今より600年以上も前になる。

そしてその場所こそが……

 

 

「……アースガルズ領、なの?」

《はい。紫の星の区画はアースガルズ領を中心とした場所に埋まっています。》

「そんな……今まで全然気付かなかったわ。」

《不時着時に残存エネルギーをほぼ使い切ってしまったため、区画維持すら(まま)ならず、当時の星の外観は既にありません。現在は地中か、山岳の中にあります。》

 

 

ちなみに強制分離(パージ)された区画はおよそ月の体積の半分だったという。

そして落下時に地殻変動がなかったのは、不時着に慣性中和装置(イナーシャルキャンセラー)を使用したからである。

そしてある程度の地殻変動を経て、比重の軽いV・クォーツ自身も外に出てしまった。

その時にカルディナに拾われたのだった。

 

 

《ですが、星の材料──AZ-Mは現在、一部を除いて休眠状態にあります。》

「一部を除いて……つまり、一部は活動しているって事か?エネルギー切れなのに?」

《はい、そうですよね?カルディナお嬢様。》

「──WHY!?」

《──WHY!?、じゃありません。無断借用しておいて、それはないと思います。》

(無断借用とな?カルディナ君……)

「え、冤罪です!誤解です!いったい何を証拠に……!」

《──ギャレオンを始めとして、ガオーマシンの装甲、駆動系の伝達ケーブル、基礎フレームにも使用されています。そして何より……今、身につけている()()です。》

「身につけているって……私のIDメイルの何が──って、ま、まさか……!!」

「ん?AZ-M……ナノマシン……軟らかい鉄、あ。」

(んん、そういう事か!)

(ああ、なるほど。)

 

 

カルディナが自覚し、凱が連想し、麗雄と絆がそれにたどり着いた。

 

 

《はい。休眠状態のAZ-M──もしくは『軟鉄』とお呼びした方が解りやすいでしょう。》

 

 

───『軟鉄』

それはアースガルズ領を中心に古くから産出される正体不明の物質である。

見た目は鉄のように見える、軟体物質。

鍛冶には向かず、製鉄しようにも高温すら耐え、その形状を変えない。

しかし、鉄華団やカルディナがIDメイルとして用いている、。

 

その正体は、ナノマシン・マテリアルの集合体──AZ-Mであった。

 

 

《本来は特殊暗号化された電気信号によって形状変化するのですが、お嬢様には魔法でプロテクトを突破されたという恥辱ですが……お嬢様?》

「う……うそでしょ……三重連太陽系の遺産が 間近にあって気付かなかったなんて……それを知らなかったとはいえ……、……」

(……とてもショックを受けてますね、カルディナさん)

(先程の説明で、その軟鉄とやらは彼女らの世界では非常に身近……いやありふれたもののようじゃ。気付かんのも無理なかろう。とはいえのぉ……)

 

 

ましてやそれがナノマシンと言われても、ナニソレと言える。

 

 

《その点については致し方ないところもありますが、一番直接恩恵を現在進行形で受けるお嬢様がショックを受けるのは心外です。》

「恩恵を……現在、進行形で??」

《……御自覚、ないのですね。AZ-Mに一番親和性のある人物は、鍛冶職人ダーヴィズ氏を除けば、断トツでお嬢様です。その原因が、貴女が致命傷を負った際に使用されたAZ-Mの体内残留物がそれを可能している事に。》

「致命傷?体内……残留??なに、それ??」

 

 

V・Cの言葉に唖然とするカルディナ。

何を意味しているかが解らなかった。

致命傷は解る。此度のゾンダー討伐で、初めてガオガイガーによる『ヘルアンドヘブン』を使用した際に、エネルギー制御が間に合わない影響で、身体が回復魔法も追い付かない程にズタズタになったのを覚えている。

 

 

《その際に纏っていたAZ-M──IDメイルの伸縮素材分を使用して応急措置を行ったのです。》

「……え、IDメイルのスキン!?」

 

 

カルディナは思い出した。

1体目のゾンダーを倒した後自身が倒れ、再び目覚めた後、何故か鎧以外は裸だった事を……

溶けるように消えた、パワードスーツであるIDメイル。その根幹の素材が軟鉄なのだ。

 

 

「って、まさかあれ……!」

《はい。応急措置のため、使用させて頂きました。さらに2度目の戦いにて返り討ちに遇い、致命傷を受けた『今』も体内のAZ-Mで治療、延命処置をしています。現状、貴女の身体はAZ-Mの機能無しでは生命活動を維持できない状態にあります。》

「そ、そんな!で、ですが、私が軟鉄を扱ったのはさほども長くないのに……」

《そも、一番初めに身体に取り込む事になったのは5歳の頃、私を拾ったその後、ゾンダーに襲われた事が始まりです。》

「……は??」

《正確に言うなら、ゾンダー襲撃時に横転した馬車の中で首を打ち付け、脊髄を損傷した事が発端です。》

 

 

『隣国』に和平条約を締結、そして見事にご破算になった事件。同行した5歳の頃、それは起きた。

ゾンダーに初めて襲われ、カルディナ以外は全滅した、あの事件───

そこで実はカルディナは、脊髄を損傷し、四肢不全になるまでのダメージを受けていた。

 

 

《幸いにも横転した馬車が破損した際に、偶然にも休眠状態のAZ-Mが露出した地盤に落下し、不完全起動状態のV・Cは自動救命処置としてAZ-Mによる治癒再生をお嬢様に施し、損傷は完全に回復しました。》

「え……じゃあ私は……!」

《あの時、AZ-Mも私もなければ(どちらが欠けていても)()()()()()()()()()()()()でしょう。》

 

 

カルディナ、5歳。

その頃に起こした、V・クォーツの収拾とゾンダー初接触によるAZ-Mとの会合。

それが紫の星2つの遺産との出会い。

カルディナの命運はこの時、分かれていた。

 

 

《そして本来は身体の治癒と共にAZ-Mは自然排出されるのですが、あの世界の生物に施された量子エネルギー演算仮想領域『魔術演算領域(マギウス・サーキット)』が体内でAZ-Mの回路と直結してしまい、貴女は他者より量子制御──魔法に秀でている存在へと成ったのです。》

 

 

魔術演算領域(マギウス・サーキット)』は魔術演算領域であるのと同時に、魔術操作の基盤でもあるが、幸にも不幸にも体内に取り込まれたAZ-Mとの相性が非常に良く、身体蘇生と同時に全身に元々あった魔術ネットワークを強化してしまった。

 

 

(V・Cさん、AZ-Mって体内に残留し続けても、害はないのかしら?)

《ありません、絆様。元々は医療用ナノマシンです。体内に集積しても問題ありません。むしろ、電界情報を今まで以上に速く送れます。それにお嬢様、そんな存在を知っていますでしょう?》

「鉄華団……阿頼耶識ね。」

 

 

前世の鉄華団のMSパイロットが持つインターフェース──阿頼耶識は、その施術時に体内へナノマシンを注入している。

それに、医療用ナノマシンはSFでもポピュラーなもの。

故に、人体とナノマシンの相性は害を成すものではないと言える。

 

 

《……以上の事より、カルディナ・ヴァン・アースガルズは、分類上ナノマシン付与型サイボーグであるとお伝えします。》

「────ファッ!?」

「サ、サイボーグ……??」

 

 

いきなりの宣告であるがV・C曰く、カルディナの身体は、AZ-Mが現在67%も占めらているという。医療中と欠損補填の影響だ。

サイボーグと言っても過言ではないだろう。

そんな訳で知らぬ間に、カルディナはサイボーグになっていた。

 

 

《そしてこれを問題1です。》

(問題1?)

《はい、問題です。それに冒頭で貴女を迎えに来た、と言いましたが、正直今は躊躇しています。弱い上に、自覚なき問題が山積み……それらに気付かない貴女に価値があるのかと。》

(ずいぶん辛辣だが……いったい、他に何があると云うんだ?)

《……では、話を続けます。》

 

 

何か言いた気なV・Cであったが、彼女は話を進めた。

 

 

《問題2として、お嬢様の胸部にある触媒結晶についてです。》

「……私の触媒結晶が、何か?」

 

 

カルディナはハーフエルフ。

そしてエルフの体内には生まれながらに触媒結晶がある。

カルディナにもその特性は受け継がれているが……

 

 

《現在、お嬢様の()()は、ゾンダーの武器によりコクピットごと貫かれていますが───生体反応はあります。それを助長しているのが全身のAZ-Mと、Gストーンです。》

「Gストーンが……でも胸の触媒結晶と何か関係が??」

《……訂正します。お嬢様のIDメイルの左腕(ガオーブレス)に付けたものではなく、胸の触媒結晶のGストーンが、です。》

「……………ふえ?!」

《また何を言っているのですの?みたいな声を出さないで下さい。お嬢様のハーフエルフたる触媒結晶は現在、Gストーンと化しています。》

(なんと?!)

 

 

麗雄博士が驚くのも無理はない。

生体精製とでも言えばいいのか、無限情報サーキットの原料である触媒結晶を生まれながらに体内に持つが故に、それをカルディナがGストーンとして知らず知らず精製してしまった。

科学文明由来のもの故に、そんな事が有り得るのかと思う。

ただし、カルディナは納得いかないようで……

 

 

「ちょっと!私、そんな事一度も──!」

《──Gストーンを7個(自分用1個、ギャレオン用1個、ライナーガオー2個、ドリルガオー2個、ステルスガオー2個)も精製しておいて、何を言うのです。それだけ精製すれば、その余波がご自身に影響がないとよく言えますね。それに加えてご自身に1個……貧弱なエネルギー回路しか持たないイミテーション(魔法製ガオガイガー)なれば、事情を知る者なら出力過多でオーバーブロウする事なんて周知の事実、「自殺志願者か!?」と呆れられます。》

「ぐふぅ──!!」

《……それに、知っているんですよ?その他に3個も余分に精製した事を。》

「──ギク!」

(……何やっとんじゃ、お前さん。)

 

 

総数10個。

お前は弾丸Xでも創る気か、と言わんばかりの個数だ。

それだけ数をこなせば、自身の触媒結晶に何らかの影響を及ぼす事間違いないが、カルディナはその点について考えが及んでいなかった。

元々、ガオーマシンへの積載量が多いのは魔力転換炉(エーテルリアクタ)をそのまま転用したためであり、初合体後はその試験を行う予定だったが、その前にゾンダーがやって来てしまった。

Gストーンが多いのは判っていたが、改装が間に合わなかった、というのが真相。

けれど調整もGストーンの数を念頭に入れて、ある程度の余裕をもってされていたのは各技術者の熟練の技だが、エネルギーブロウを引き起こしたのは、カルディナの体内にあるGストーンが数に入っていなかったからだ。

何にせよ、カルディナがガオガイガーのエネルギー過多問題を発生させた原因がここにあった。

 

……そして、この件には麗雄博士ですら擁護する気を失せた。

ただし最後の3個は趣味だが、今回のエネルギーブロウには入っていない。

ただ、言い逃れは不可避。

 

 

《加えて、体内にあるGストーンはゾンダーの武器で綺麗に真っ二つになり、微細な破片は衝撃で体内に散らばりました。ナノマシン付与型サイボーグの特性と合わさり、お嬢様は現在、エヴォリュダー()()です。》

「な、何だって……!?」

 

 

Gストーンを持つサイボーグの身体が機界新種による『物質昇華』の影響と、天海護による浄解作用によって変化した奇跡の超進化体『エヴォリュダー』。

それが本人が知らず、擬きとはいえ、別アプローチで顕現している事に、凱は驚きを隠せない。

カルディナもそんな自覚はなかった。

 

 

《ただし現状、限り無くエヴォリュダーに近い状態、としか言えません。ただ、Gストーンを内包している以上、セミ・エヴォリュダーとも違うと言えます。また、この事は皆様の会話中にAZ-Mを用いて凱様の身体をスキャニングし、お嬢様の身体を調べて、つい先程発覚した事です。》

「いつに間に……」

《医療用無限情報サーキットなので。周辺の方々の健康確認は必要最低限の確認事項なります。AZ-Mさえあれば、気付かれる事なく可能です。》

 

 

このAI、口も達者であれば、手も早い。

この分だと、ここにいる全員を調べているに違いない。

しかし、麗雄は思った。

 

 

(……確かに聞けば驚くことばかりだが。)

 

 

思考に疑問が走る。

だが、思惑と関係なくV・Cの話は続く。

 

 

《次に問題3、『元始情報集積体(アカシックレコード)』についてです。》

「……何か、急に話が脱線した気が。」

《そう思われるのも仕方ありませんが、お聞きください。》

「………」

《カルディナ・ヴァン・アースガルズは現在『元始情報集積体(アカシックレコード)』を保有───正確にはアクセス権限を持っています。これによってあらゆる次元より集約された情報にアクセスし、読み取る事が可能となります。また、保有者との親和性に基づき、読み取れる情報は増減します。》

(ふむ、親和性とな。)

(この場合の親和性とは具体的に何ですか?)

《三重連太陽系の調査結果を引用すると『根源に触れる回数』。要はアクセス回数が多ければ情報を多く、多様に引き出す事が出来ます。》

「なるほど、回数か。てっきり特別な因子が必要かと思ったけど……」

《慣れの問題でしょう。しかしアクセス権限を持っていても、情報を読み取る際に発生する負荷に対する耐性がない者は、負荷に蝕まれます。特に流れ来る情報量は、TB/毎時単位です。どんな情報であれ、5年以上経過すると情報処理が追い付かず、脳に負荷がかかり、死にます》

「……想像以上に負荷が強いんだな。ん?じゃあカルディナは??」

《5歳の際にV・クォーツ()を拾われた事による接触で、情報ネットワークが構成、現在は流入する情報群を無限情報サーキットに蓄積、整理(ライブラリ化)しています。》

 

 

カルディナの言う『脳内書庫(B・ライブラリ)』である。

これは、V・クォーツとの間に無線量子通信と言える回線が形成されているため、接触の有無関係なく情報が蓄積、整理される。

ちなみに4歳以前は生まれた際に獲得した自我で、ある程度自己整理出来ていた……が、それでも危うかったようだ。

 

 

「……つまり、カルディナはV・クォーツ()がいなければ『元始情報集積体(アカシックレコード)』の影響で既に死んでいた、と。」

(そしてV・Cさんが管理している、と。)

《肯定です。》

「ぐふぅ……!!」

「幼少から助けられていると言えばいいか、命を握られているというか……」

 

 

ちなみに『元始情報集積体(アカシックレコード)』とアクセス権限を持つ人物の短命の話は既にカイン、アベルより聞いているため、V・Cの話は、より信憑性を増している。

そしてその延命方法も……

 

 

《また、『元始情報集積体(アカシックレコード)』とのアクセスの()()が増すと、引き出せる情報も物理法則や魔法法則を超え、より世界の法則に干渉出来る力すら宿す事も出来るので、気を付けて頂きたいです。》

「……カルディナ、君はかなり数奇な境遇なんだな。」

「……否定、出来ませんッ!」

(しかし、そうなると───やはり解せんな。)

(……そうですね)

「「??」」

(V・C、君の言う事は、確かに驚く事ばかりだ。しかし有益な事項ばかりで、カルディナ君には不利益をもたらす事はあまりない気がする。確かに問題は多少あるが、僕には何が問題なのか……)

(むしろ注意喚起にも聞こえました。V・Cさん、まだ他にもあるのですか?)

《……肯定します。むしろ今までの話は、これからする問題を助長する弊害になりかねない為に説明させて頂きました。》

 

 

これ以上何を!?と言いたいが、もうここまで来ると、何でも来やがれ!というのがカルディナ以外の心境だ。

その空気を察してか、カルディナも黙る事に。

 

 

《……ではこれが私からお話出来る最後の問題案件です。今、お話した『元始情報集積体(アカシックレコード)』ですが、そもそも()()()()()()()()()()()()

「それは……生まれつき、とか?」

(本来はそうじゃな。だが……)

(……そう、ではないと?)

《はい。カルディナ・ヴァン・アースガルズは出産直前、とある(人の電界情報)を喰らっています。》

「(「(───!?)」)」

《───と言いましても、向こうも乗っ取りを画策していたようで、抵抗した結果(返り討ち)となりますが。それが今回の問題を引き起こしました。》

「いったい何が……」

《それは喰らった魂が原因で───

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──お嬢様がOOO(トリプルゼロ)に汚染されたのです。》

 

 

V・Cの告げた言葉に絶句してしまう一同。

 

問題の内容は次の通りになる。

カルディナが産まれる寸前、とある魂が多次元より飛来した。

それは『元始情報集積体(アカシックレコード)』を持ちながらもOOO(トリプルゼロ)に汚染された魂であり、揺蕩うその存在はカルディナの肉体を乗っ取ろうと画策したのだ。

 

出産間近の忙しさに紛れ、誰もが感じ取れない希薄な気配だったが、その魂の接近に、出産寸前の母(ケセリナ)と遠くから見守っていた祖母(キトリー)がその危険性を察知し、真っ先に迎撃した。

 

祖母(キトリー)は瞬時に霊的滅殺効力を発現、魂の大部分を削り取り、(ケセリナ)がそれに追い討ちをする。

そして止めを刺そうとした瞬間、(カルディナ)が秘めた力を用いて、その残滓を喰らってしまったのだ。

 

 

僅か数秒の出来事。

防衛本能か、野生か、どちらの所業かはわからない。

3人以外は察知されない水面下のその後、カルディナは誕生した。

そして生まれながらに『元始情報集積体(アカシックレコード)』とOOO(トリプルゼロ)をその身に宿す存在となった。

 

しかし本能的に喰らったとはいえ、OOO(トリプルゼロ)を御する術を持たない幼いカルディナが、いつか覇界の使徒となるのは必定。

しかしソムニウムではOOO(トリプルゼロ)を取り除く手段など持たない。

そこでキトリーは己が持つ秘術で、OOO(トリプルゼロ)をカルディナの中に、彼女(カルディナ)自身のソムニウムの力を糧に厳重に封印した。

故に、カルディナにはソムニウムの特徴は今までに表に出る事はなく、人間(ヒューム)の姿に留まっていた。

 

 

《──さすがはソムニウム(ベターマン)、というべきですか。OOO(トリプルゼロ)を封じる術、もしくは耐性を持つとは。ただし、10年程も経過すると綻びが現れたようで、お嬢様に新たに処置を施したようですが……》

「処置って……それって、フレメヴィーラ王国に留学中に呼ばれた……あの時!?」

《ケセリナ様の思考を読み取った限りは……》

 

 

ちなみに行った処置は『ズキュゥゥゥーーン!!』とその後の限界バトル+α。

あれにも意味はあったのか……と頭を抱えるカルディナ。

また、ケセリナとキトリーがカルディナに今までOOO(トリプルゼロ)について伏せていたのは本能的に危険性を察していた事は、云うまでもなく、一切OOO(トリプルゼロ)の気配を匂わせる事なく今まで隠し通せたのは、ある種の才能、そして子思いの成せる技だ。

その事に気付いたカルディナが、自身の中に深く、意識を集中させて、自身の奥底の───更に奥に封じられたドロリと蠢く存在に気付いた時、ひどく動揺し、恐怖した。

 

 

「い……今のが000(トリプルゼロ)!?」

《そうです。(電界情報)の奥底に封じられているので判りにくいですが今は、本体が損傷しているため、封印が瓦解しようとしています。お嬢様の──そのOOO(トリプルゼロ)のオレンジの色に染まった髪がその証になりましょう。》

「え?まさか───ひっ!?」

 

 

自身の髪を見て、カルディナは青ざめる程に酷いショックを受けた。

母親譲り、ないし祖母譲りの透き通るような白い髪が燃えるようなオレンジ色に染まりきっていた。その色は正にOOO(トリプルゼロ)

元々魔力(マナ)を通しやすい髪であるため、その属性による一時的な染色は現象としてあったが、何もしていない状態での染色状態はあり得ない。

この髪全てがOOO(トリプルゼロ)であるなら……

 

 

「い、いや……!!」

(地毛と思っていたが、000(トリプルゼロ)の色だったとは……!)

(綺麗なオレンジなんですけどね……)

《そして、OOO(トリプルゼロ)の封印が完全に瓦解した時、またはお嬢様が絶命した時、OOO(トリプルゼロ)はお嬢様を汚染し尽くし、全てを()()するでしょう。》

(まさか、その時の問題とは……カルディナ君の持つ能力による───次元への干渉か!?)

《肯定です。》

「どういう事だ、父さん?」

(……カルディナ君の持つ特性──魔法は量子による事象介入を可能とするとして、AZ-Mをベースとしたエヴォリュダー(擬き)の身体は万能の電界操作が可能とし、ベターマンの因子は高度な環境耐性を持つ。そしてV・クォーツは天文学的な事案を高度に同時処理する。極めつけの『元始情報集積体(アカシックレコード)』はあらゆる事柄、事象を示す情報媒体───そこにOOO(トリプルゼロ)の無限を超えた超エネルギーが合わされば、カルディナ君は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()を可能とする存在となる。)

(それの意味するところは───あらゆる存在の覇界。一つの宇宙が消滅するだけの話じゃないわ。おそらく『元始情報集積体(アカシックレコード)』が示す世界を覇界し尽くす事が出来る……そういう事ですね、V・Cさん。)

《……肯定です。》

 

 

アクセス上限を取り払った『元始情報集積体(アカシックレコード)』を用いるカルディナであれば、全ては思いのままだ。

どんなものですら解析し、対応し、瞬く間にねじ伏せる。

望めば一瞬で物質を分解、再構成、そして崩壊へ導ける。

敵が数多存在しようとも各個撃破等、容易い。

 

杖の一振りで終わりを伝える魔女の如く。

気紛れで滅びを招く王女の如く。

正しく滅びを導く巫女の如く。

 

正にカルディナは『終焉を超えた誓い(オウス・オーバー・オメガ)』の性質をこの上なく顕現させられる存在である。

 

特に目の前にあるジェネシック(覇界の王)は、OOO(トリプルゼロ)の特性を十二分に引き出せる史上の器。

なれば、カルディナはOOO(トリプルゼロ)やジェネシック・ガオガイガーをより効率良く扱える存在。

それは終焉を超えた誓い(オウス・オーバー・オメガ)を統べる者───『覇界の王女』

 

 

「──いや!!いやぁぁぁーーー!!」

(カルディナさん、落ち着いて!大丈夫、大丈夫だから……!)

「違う、違うッ!!私はそんなのじゃない!そんなのにはなりたく……なりたくない!!いや……お父様ぁ、お母様、お祖母様、イザリアさん、ヴィータぁ……やだ、やだ、あああぁぁぁーーー!」

 

 

ついに耐えきれずに取り乱し、泣き出すカルディナ。

絆が抱き締めて落ち着かせようとするが、それでもガタガタと怯えてしまう。

気丈だったカルディナからは信じられない怯えようだ。

 

 

(……耐えられんのだろうな、自分が原因で全てを滅ぼすやもしれんのだから。この子なら死んでもそれだけは選択肢にせんだろうに。)

「V・C、何か手立てはないのか?」

《現状、ありません。OOO(トリプルゼロ)に対し、三重連太陽系の技術であっても無力です。唯一、お嬢様の本体に戻る事で、何らかの手立てはあると推測できますが仮に今、生命維持を施した本体に戻る事が出来たとして、OOO(トリプルゼロ)を克服していないこのお嬢様に、ゾンダーと戦う事は出来ない、と進言します。》

「……そういえば、カルディナはゾンダーと戦闘中だったな。」

《現在OOO(トリプルゼロ)のエネルギーが停滞しているため辛うじて時間が止まっていますが、唯一の切り札のガオガイガーも失われています。以上の事より、勝率は0.1%以下となります。》

「だがまだ勝機は───」

《───ありません。それに、凱様。貴方もお嬢様と同じです。貴方もOOO(トリプルゼロ)に汚染されています。》

「───な!?」

 

 

V・Cの非情な宣告が凱にも告げられた。

だが、事実でもあった。

OOO(トリプルゼロ)がジェネシック・ガオガイガーを満たさんとした時、獅子王凱はギャレオンによって逃がされた。

しかし、ギャレオンの願い叶わず、凱の身体には既にOOO(トリプルゼロ)が僅かだが入り込んでいた。

またこれも僅かな時間だが、オレンジサイトの中を何も装着せずそのまま漂ったため、OOO(トリプルゼロ)が更に入り込んでいたのだ。

 

 

《そして先程の診断で判明しましたが、OOO(トリプルゼロ)は現在、凱様の全身のGストーンと拮抗しています。しかし侵食と拮抗は6:4。僅かにOOO(トリプルゼロ)が勝っています。》

「じゃあ俺も……!?」

《……いずれ覇界の使徒となりましょう。》

「────!!」

 

 

V・Cの言葉に、凱は言葉を失い、俯いてしまう。

凱も自身の身体の中のGストーンを感じた時、ジェネシックに絡み付いた、ドロリとしたOOO(トリプルゼロ)の感覚を感じてしまったからである。

凱とカルディナ、2人がOOO(トリプルゼロ)に汚染されてしまった、この事実は覆しようもなかった。

宇宙の自然大災害ともいうべき、OOO(トリプルゼロ)

それを前に麗雄もどうする事も出来ず、V・Cは沈黙したまま、絆も怯えたカルディナを抱き締めたまま、虚無の時間だけが過ぎていった───

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───だが、諦めない者がここにいる。

 

 

「……V・C、一つ教えてくれ。」

《何でしょうか、凱様。》

「俺は()()()()()()()使()()()()()()()()()

《……否定です。今すぐではありません。侵食具合より算出すると、まだ先になります。ですが───》

「───それが判ればいい。そうか、まだ希望はあるんだな。」

 

 

その言葉にホッとし、そして誰よりも強い意思を秘めた瞳を開く獅子王凱。

この男は、まだ諦めていなかった。

 

 

 

 

《NEXT》

 

 

 


 

 

 

 

 

《次回予告》

 

 

君達に最新情報を公開しよう。

 

000(トリプルゼロ)汚染という深い絶望の中、強い意思を秘める凱。

 

凱の紡ぐ言葉が、絆の持つ優しさが、麗雄が導く答えが、絶望に沈むカルディナに力を与える時、それがカルディナに奇跡を起こす!

 

今まで宿した数多の想いが光となり、昏いオレンジサイトの世界を眩く照らす太陽となった時、幼き日の『勇気ある誓い』と共に、新たなる勇者王がここに誕生する!

 

 

『公爵令嬢は、ファイナル・フュージョンしたい』NEXT、Number.15

 

~『勇気ある誓い』と共に~

 

 

次回もこの物語に、ファイナル・フュージョン承認ッ!!

 

 

これが勝利の鍵だッ!

『真っ二つに割れたGストーン』

 

 

 

 


 

 

 

──現在、公開出来る情報──

 

 

 

◯『超適合性細密機械群体:AZ-M』

 

紫の星を構成する『ナノマシン・マテリアル』の制式名称。

AZの名が示す通り、何でも──食物以外の全てを構成、分解、再現出来る代物。

人体にも作用し、ナノレベルでの治療が可能。

欠損箇所があってもナノマシンが遺伝情報を元に再現可能で、その際には人体に染み込むように入って行く。

また、電界情報を余すことなく伝達可能なため、情報次第では破格の性能を発揮する。

軍事転用しても絶大な性能を誇る三重連太陽系最高のナノマシン。

『M』は『マーキュリー(水銀)』の意。

紫の星が機界昇華寸前に、星の10分の1が分離し、脱出。ESウインドウにて逃亡し、アルドレイア王国に墜落した。(墜落時は国が出来るずっと前)

 

 

◯『マイナス思念エネルギー転換型無限情報サーキット:Pジスト』

 

紫の星の中核たる動力炉のひとつで、無限情報サーキットの一種。

Gクリスタルを参考、性質を反転させる事で開発された、アンチ・Gクリスタルとも言うべきもの。

星中の患者、スタッフから出る『マイナス思念』を専用デバイスを用いて回収し、エネルギーとする。

本来はいち医療用に用いられていたが、収集量、対象者が甚大なため、動力炉にまで用いられた。

選定者曰く『不謹慎ではあるが、用いなければ精神に異常を抱える患者が多くなり過ぎる』との事。

三重連太陽系の終焉期では時折エラーを起こし、内包した莫大なマイナス思念をエネルギーに転換しきれず暴走し、同時期に起きた事故も合わさり、各プログラムにバグともいえるパルスを発してしまい、精神浄化システムの中枢に作用、Zマスターを誕生させてしまう。

そしてAZ-Mにハッキング、制御下に置き『ゾンダー』が誕生───という設定。

名前の由来は『パープル・アメジスト』より。

(アメジストの宝石言葉は心の平和)

 

 

 

◯『サポート&ナビゲーション&コントロールシステム搭載AI付与型無限情報サーキット:Vクォーツ』

 

紫の星のシステムの中枢の一つ。Pジストの生成する莫大なエネルギーと、精密な医療体制を確立させるAZ-Mを操作するためのもの。

エネルギー生成能力が乏しい反面、天文学的な案件の同時並行作業が可能。

全てのシステムを無限情報サーキットに登録する事で、何処にいても読み出しが可能、医療体制の中枢を担う。

また、研究補助やスタッフ、患者へのナビゲーションを担うために会話用AIを設定しており、会話が可能。

その際、担当者が変わってから設定も変わったため、AIの人格設定はかなり人間くさい。

三重連太陽系終焉期にはアップデートがされなかった時期が重なっていたため、AZ-MとPジストとの連携が上手く行かなくなった。

 

 

 




とりあえず、作中のフラグを一つ一つ回収していったらこうなった。
けれど『覇界王』が絡むのを考えたのは原作Web小説の連載終了後でしたが、どう考えてもこのルートしか思い浮かばなかった。

ちなみに原作知っている人ならわかると思いますが、凱さんがこのタイミングでトリプルゼロに侵食されているのは原作通り。判明するのは最終戦という鬼畜。ベターマンがいないといろいろ詰みます。

カルディナさんもお祖母ちゃんの力で、自身のベターマン能力で無理やり封印してますが、完全に侵食されてアカシックレコードを魔法でフル活用すると「みんな滅びなさい、オホホホ!」で多次元がバッドエンド全力疾走とか誰がした!(自虐)
制限なしのアカシックレコードって……うん、想像したくねぇ。
『滅び方、載ってます』とかシャレにならん。

とりあえず、そんな悲惨な状況にならないよう対策を講じてくれたお母さんとお祖母ちゃんに、カルディナさんは感謝しなさい。
世界の終わりを確実に迎えられるとか、まず想像したくない……

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