もう12月、すぐ年の瀬ですね。
すんなりいくと思っていた戦闘シーンが難産な話でした。
加えてお嬢様、エル君、、ミカが大暴れで『マテやコラ』状態。
混乱に混乱を重ねるNumber.19、どうぞ!!
《な、なななな……!?》
目まぐるしく変化する、突然過ぎる事態に理解が追い付かないコーラル。
ムスファのグレイズが化け物に襲われたと思いきや、更にイレイド機が空から飛来した鳥人間らしき者にやられ、化け物になった。
ムスファ機も沈黙した後、それすら化け物になった。
総勢、3体の
どうしようかと手をこまねいていると、地面のしたから突如爆発───と共に
そして出てきたのは、グレイズ以上の巨体を持つ、複腕の白い異形───
《何だ、あれは!?》
《……何、お前ら。》
驚くクランクの声に反応し、複腕の
《人の言葉!?しかも少年の……あれは我々と同じく鋼の巨人──モビルスーツなのか!?》
《何!?》
残されたクランクがそう推察すると、コーラルはその考えに同調、すぐさま声明を発した。
《ならば……異教徒達に告ぐ!我々はお前達が
アンテナ付きの
相手が人間であれば、
──が、次の瞬間、バルバトスの背部から高速射出されるワイヤーにより操られる、二刀のブレードが
《うるさい。》
それが逆鱗だと実感した時には時遅く、
『γナノラミネート・ワイヤーブレード』、そして『γナノラミネート・テイルブレード』
ガンダムアスタロト・オリジンの専用装備である『γナノラミネートソード』。
その原理をハシュマルの超硬ワイヤーブレードに応用したもので、ナノラミネートアーマーに対する絶対瞬断の刃である。
とある
しかもバルバトスルプスレクスにも手を加えたようで、テイルブレードの先端エッジにも同じ効果を持つ機構を搭載している。
斬撃特化の
『どっちもワイヤー操作なので仕込むのは楽でした(ドヤァ)。思い付かなかった?ねぇねぇ、思い付かなかった?プークスクスwww』と笑って天使、悪魔の両方からボコられる原因となった装備である。
そしてその返答が……
『自分らの天敵を自分で造るんじゃない!』
他にも意見はあったが、総員一致の意見だった。
そんな事はあまり関係なく、天使と悪魔が合わさった
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「──おお、三日月さん速いですね、もう
「でもあれはただ勢い任せで突っ込んだだけね。地上通じる旧地下通路が近かったからそこからって言ったら、迷う事なくエイハブ粒子砲を撃って道を拓いたなんて、無茶苦茶よ。それ程、アトラを想っているのか……それは終わってから聞いてやりましょう。」
先行した三日月を追うように、カルディナとエルネスティが地下ドックに続く通路を行く。
カルディナはそうであるが、エルネスティもインナー・スーツである『IDメイル』を自身の衣服の下に着込んでいる。
そのため一部追加鎧がある他、現在エルネスティの首から下の肌が露出している個所は全て黒い。時折その黒い『IDメイル』の表面に鮮やかな翡翠色の光の線が走る。
「いきなりIDメイル貸して欲しいって言うから貸したけど、勝算はあるのかしら?」
「ええ。先程倒れた時に、どうにも
「ちょっとの接触だけで、そこまで覚醒するなんて……貴方ってとことん規格外ね。」
「
互いに毒づきあっているが、不敵な笑みを浮かべる2人。
新しく新調したカルディナの白い『IDメイル』の両手甲にはそれぞれGストーンとJジュエルが、そしてエルネスティの左手の手甲に備えられたGストーンが、2人の『勇気』で満ち溢れ、光り輝いていた。
そして2人は地下ドックの入口──愛機が安置されている空間に辿り着く。
「……さて。形にはなったけど、そっちの調整は相当
「はい。怪我の功名から出来た仕様ですが、問題ありません。そしてぶっつけ本番は世の常。カルナこそ大丈夫ですか?」
「ええ。職人、スタッフみんなの努力と技術で、常にカスタマイズされ強くなる……それがガオガイガーですもの。」
そこには調整を終えたギャレオン、そしてマギウス・マシン達と、アクシデントから甦った新生イカルガの姿があった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
《待たせたな、三日月!》
《ん、シノ。》
三日月──バルバトスが睨みを利かせて牽制する最中、3機のランドマン・ロディが来た。
《状況は……あんま良くねぇな。》
《まあ、こうなりゃな。》
昭弘が躊躇し、ユージンが息を呑む。
ゾンダーロボ3機に、グレイズ3機という状況である。三竦み、という訳ではないが、戦況が崩れると厄介な事には変わりない。
《アイン、無事か!?》
《はい、不意を突かれましたが……コーラル聖騎士長は?》
《無事だ。しかし、とても戦える状況ではないが……》
《あ、危なかった……だが!何だこの不可解な状況は!?このままでは折角の名誉挽回のチャンスが……!》
《聖騎士長?》
何かブツブツ呟くコーラルだが突如、超高速で飛来する物体がコックピットを揺るがした。
《な、何だいったい──!?》
《──このギャラルホルンのゴミ共がっ!!お前達の頭には『反省』と『規約遵守』の文字はないのか!?》
三日月達の後方───正面切って立ち塞がるのは、
そして
後手に回ったとはいえ、対応が早いのは娘に出遅れないよう頑張った成果である。
ちなみに先程のメイスはクリストファーが『風力増幅』を付与した投擲である。
ここに至るまで、警ら担当のアースガルズの家臣達が気付かない訳がないが、スラスター移動によるグレイズ達の素早い動きに報告が間に合わなかったのが現状となる。
ちなみに、試験的に『
また、ライド達と共にアトラを探索してくれていたのは、警らの家臣達であるが、その連携は実に優秀であったものの、今回はギャラルホルン側がそれを上回る結果になってしまった。
が、今の光景でそれらも帳消しになった。
そして有り得ない出来事にたじろぐ
《ふ、不意打ちとは卑怯な!それに我々の職務を妨害するとは言語道──!》
《──元々我が家人である我が娘、カルディナを貴様らが勝手に『聖女』呼ばわりしているだけだろう!!しかもお前らの所有物扱いだと!?そんな不遜で約束も守れない愚者の愚言に誰が耳を貸すかァッ!!》
《ち、違うぞ!?我等が言う『聖女』はカルディナ・ヴァン・アースガルズではない、
「「「………」」」
「……そうか、それが返答か───死ね。」
どちらも変わりはない───
そんな
幸いにもコックピット内のコーラルは奇跡的に無事であるが、這い這い出て来たコーラルが見たグレイズは最早使い物にならない損傷を負っていた。
義娘を想う父の怒りの前には、ナノラミネートアーマーなんて無意味だった。
《ウソ……だろ??》
《……すまん、ユージン。お前に今のグレイズを当てるつもりだったんだが。》
《公爵様の怒りはごもっともだ。それに手間が省けたからいい。》
巻き込まれないだけ、まだマシ……
そう思うユージンである。
対してギャラルホルン側は進退窮まる状況に陥っていた。
「ク、クランク!アイン!お前達はこの戦況をかき回し、ここを突破しろ!私は降りて先に『聖女』を探しに行く!」
《む、無茶です!この状況では撤退を……!》
「命令だ!そうせねば、私は左遷されて……ブツブツ……!!」
《クッ……やむえん、アイン!》
《判りました!》
だがそのやり取りは筒抜けであった。
《……ばっちり聞こえてんぞ。外部のスピーカー使うとか有り得ねぇだろ。》
《あれじゃ筒抜けだ、何考えてんだ?》
《とはいえ、まだ2機残ってる。ここを抜けられたらやべぇぞ、無理矢理侵入しそうな感じだから抑えねぇと被害がヤバそうだ。どうすっか───》
《───無事か、お前ら!?》
周りに構う事なく進もうとするグレイズ達。
そして威嚇するゾンダー達の対処に迷う3人のところに、入った通信の声の主──
《オルガか!?今どこにいる!?》
《公爵様のところだ。状況はこっちも把握している。んで作戦だが……建物の守りはこっちでもやるが、グレイズ相手にゴーレムじゃ当たり負けするのは必至だ。だから、お前ら3人でグレイズを1機ずつ確実に張り付け。》
《いいのか!?》
回避しつつ問答するユージンに、オルガは明確に答え、即座に3機は行動を開始する。
《ああ。お前らはとにかく被害を最小限に抑えてくれ。》
《判った。だが、あのゾンダー野郎はどうする?それにアトラも……》
《──そっちはミカに任せる。他2体もだ。》
《いいのかよっ、とな!!》
《今のミカに近づくな。
《うん。俺もその方──がありがたい。今のバルバトスじゃ……加減、出来ない。》
《……ああ、ナノラミネートアーマーがよ、紙切れのように切られてんのは驚いたわ。》
《……というか今はそれしか方法がねぇ。降りた奴は公爵様達がどうにかしてくれる!それに援軍もすぐに来るから、それまでは
《おう!》
オルガの指示に毅然と動く4人。
ランドマン・ロディ3機はとにかくグレイズに張り付き、
また、バルバトスは一対のブレードを伸ばして2体のゾンダーを牽制しつつ、アトラを内包する偽バルバトスゾンダーを相手取る。
重量級である今のバルバトスは、本来のスペックでは急速旋回行動は出来ないが、スラスターではなく、ランドスピナーを標準装備するGフレームはスラスターと併用する事で、その重量を感じさせない動きをする。
更に───
《──ヤラセヌ》
《──そこぉぉぉーー!!》
例え意識外からの攻撃とて、テイルブレードワイヤーブレードが通さず、迎撃する。
その中から迫り来るゴーレムゾンダーの重厚な拳には、ハシュマルの脚、そして爪が開き、捕える。
《運動エネルギー弾、イグニション!!》
備え付けの運動エネルギー弾発射装置からエネルギー弾が射出、拳を粉微塵に砕き、体制が崩れたところにカウンターを叩きつけるバルバトス。
ソレを隙と感じたグレイズゾンダーがアックスをバルバトスに向かって振りかぶるが……
《サセン》
いつの間にかチャージを終えていた背部の『エイハブ粒子砲』の砲身がバルバトスの頭部に覆い被さるように挙上、放たれる圧倒的な火力がグレイズゾンダーの下半身を薙ぎ払い、残った上半身をテイルブレードで追撃しようとする。
しかし、その上半身を刀身で「邪魔」とばかりに吹き飛ばし、ブーストで肉薄する偽バルバトスゾンダー。
振り降ろされる大刀をテイルブレードを直持ちしたバルバトスがいなし、同じく直持ちしたワイヤーブレードで斬り返すが、バックステップで離脱、空振る。
着地地点に運動エネルギー弾を連続で撃ち出し、足元を狙うがスラスターで一瞬浮き上がり、流れるような動きで左右に回避され、有効打にはならない。
それどころかすぐにブーストで懐に入り込み、再び斬りかかる。バルバトスはブレードで受け止めるも更に接近され、左手を手刀とした抜き手が肩のハシュマルのスラスターの一部をかすめる。
そんな予想を超えた動きに、三日月は翻弄されてしまう。
《……速い、強い》
「何だあのバルバトスモドキ。あの動きは……まるでミカじゃねぇか!」
《確かゾンダーって奴は核にした人物の経験とかを反映させるって言ってなかったか?》
《嘘だろ、あれアトラだろ!?どうしてそんな芸当が……!》
何故そんな事が出来るか想像がつかない一同であったが、三日月が翻弄される原因はもう一つ。
そして三日月は迎撃しようとするも、あわやコックピット──ゾンダー核がある場所に対する攻撃を思わず躊躇している。
更には手足への攻撃は悉く翻され、千日手状態となっていた。
「やべぇな……流石にミカでも打つ手がないか。」
ポツリと呟くオルガ。
流石に他のゾンダーロボへの攻撃は躊躇いなく出来るが、偽バルバトスゾンダーへの攻撃は防戦一方。
Gフレームであっても、モビルアーマーと合体していても、
そう無意識に思う三日月には反撃の手が思いつかなかった。
そしてそれはバルバトスに宿る天使と悪魔も一緒である。
《コノママデハ……!》
《うう、またやられちゃうの……!?》
《マタ??》
《あの時……『主様』の『願い』を叶えられるって思って、みんなで頑張ろうとしたら歪められて……挙句に
《………ソレハ我々モ同ジダ。》
そのやり取りが頭の中でガンガン響くのを五月蠅いと片隅に思う三日月だが、今はそれが何となく解る。
どうすれば失敗しないか、どうやったらアトラを助けられるか……
それがバルバトスの挙動に躊躇と隙を生み出し、偽バルバトスゾンダーがそれを突こうと──
《──チェスタァァァーーッ!!》
した瞬間、横から飛び蹴りで彼方へ吹き飛ばすのは、白い躯体に胸に獅子を宿す巨人、ガイガーであった。
更に、グレイズゾンダーが再度急襲してきたが……
《──こんにちは!僕も混ぜて下さいッ!!》
その肢体を瞬く間に切り裂き、胴体を蹴り飛ばす蒼い影──イカルガである。
《お待たせしました!》
《ああ、ありがてぇが……って、その
《はい!これが新しく生まれ変わった新生イカルガ──その名も『
──
Gストーン適合実験の際に負傷したイカルガに、カルディナが
動力源の
更に『
「……フフ、フフフッ!僕は今、猛烈に感動しています!夢にまで見た科学と魔法が一体化したものが、僕のイカルガの中にあるのを!さて、イカルガにフュージョンした僕の力、存分にお見せしましょう!」
そして
《さてと、私も始めましょう……マギウス・マシン!!》
そしてカルディナは喚ぶ、己の
そして暴れるゾンダー達を体当たりであしらい、空を舞うマギウス・マシン達を、地下ドックに造られた指令室内のモニター越しに凝視するのは、長官となったティ・ガー。
「……本格的に攻めてきたようだな、ゾンダー。だがこの国に誰がいるのか、お前達が相手取る者達が誰か教えてやろう───勇気の名の元に!ファイナル・フュージョン、承認ッ!!」
「承認を受諾。ファイナル・フュージョン……プログラム、ドライブッ!!」
ティ・ガーの承認に、フミタンがプログラム・ドライブを果たした時、5つの僕を従え、カルディナは叫ぶ!
「ファイナル・フューーージョンッ!!」
ガイガーから発せられる白銀のEMトルネードがゾンダーを、加えてグレイズをも領域の外に押し出した。
そして始まるファイナル・フュージョン。
有角狼《ガルム》を右肩に、有角翼獣《アリコーン》を左肩に。
そして
強靭な腕を携え、鬼の面が現れた時、純白の御髪を靡かせ、獅子を胸に宿す黒い鬼神がその姿を現した。
「マギウス・ガオ、ガイ、ガーーッ!!!」
今ここに我等が勇者王が復活した。
科学と魔法、破壊と守護、悪魔と天使、陰と陽
そして、三重連太陽系と地球
あらゆる対極の存在を束ねし勇者王
その名は、マギウス・ガオガイガー!!
「……さぁて、仕切り直しと行きましょうか。」
光り輝くコックピットの中で、カルディナは凛とした瞳を細める。
そして、マギウス・ガオガイガーは地上へと降り立つ。
《お嬢!》
《お待たせ。》
味方以外を吹き飛ばし、文字通り仕切り直しとなった戦況。マギウスを中心に、戦線は整えられるが……
《オルガ、今回は貴方が指揮して。》
《な……俺か??》
急にオルガに指揮を振るカルディナ。
突然の事に一瞬躊躇するオルガであったが……
《……まず、ゴーレムみてぇなゾンダーにゃ、イカルガが付いてくれ。》
《了解です。》
《次いでグレイズモドキには、お嬢のマギウス。》
《了解。》
《そしてバルバトスモドキには……ミカ、お前が行け。》
《……俺が??》
《ああ。お前が、だ。無理なら、2人が終わるまで───》
《───わかった、やるよ。》
《ああ。そして残りはグレイズ2機をやれ。手足はもいでいい、鹵獲する!》
《よっしゃ。》
《わかった。》
《いいぜ。》
そしてすぐに全機散開する。
カルディナがオルガに指揮を委ねたのは今後のためでもあった。
今後、加速するゾンダーの発生に対して指揮できる者は多い方が、それも事情をよく知る者の方がいい。
カルディナは当然として、ティ・ガーもそれに該当するが、現状ではオルガも該当する。
最悪のケースは散り散りの地点にゾンダーが同時出現し、更にギャラルホルンの手勢が現れる事。
ならばカルディナの下に就き、鉄華団を率いるオルガこそがその役に相応しく、都合がいい。
具体的には火麻作戦参謀ポジションに。
流石にコスプレなどさせる気は毛頭ないが、この世界で出来る役割を振るなら、彼が一番当てはまる。
カルディナはそう考えていた。
そして、どうやら本人も乗り気な様子。
「──さて一番手は頂きましょう!」
ゴーレムゾンダーを任されたエルネスティ。
斑鳩・牙鳳には武装がいくつかある。
「まずは、これです!!」
一つは
強力な強化魔法によりあり得ない程の強度と切れ味を持ち、剣の内部には
それが二振り。大型化に伴って打ち直された凶悪な武装は、Gパワーを取り込んだ事でゾンダー相手にも謙遜……どころか圧倒する。豆腐でも切っているように抵抗なく細切れにされるゴーレムゾンダーは、瞬間再生能力がなければ相手にならない。
あまりの猛攻に距離を取ろうと後ろに跳び退くが……
「逃がしません!『
虚を突かれたゴーレムゾンダーはゾンダーバリアすら貫通し、その頭を砕かれた。
フレメヴィーラ王国にもたらされたガオガイガーの設計図、それに記されていた『ブロウクンエネルギー』の発生方法を元に造られたのが、『
元より有線射出機能を持っていた
しかし、今回の新生事件により得た力により、ガオガイガーにも匹敵する威力となった。
ただし、有線射出機能はそのままである。
しかし、その程度で怯む事はないようで、すぐに光線を放つゾンダー。
「甘いです!『
こちらもガオガイガーの設計図を用いてプロテクトエネルギーを形成し、壁状に展開する仕様なのは変わりない。
反射した光線はゾンダーに直撃するが、ゾンダーバリアがそれを遮る───
「──隙ありです!『
───のを見越して、爆煙の中で急接近したイカルガが『
『
元になったのはエルネスティの得物──ガンライクロッドで、
『斬る』よりも『撃つ』に特化しつつ、超近接戦闘でも取り回せる兵装で『単射』『連射』『チャージショット』の3種類が撃ち分けが可能……というが、斑鳩・牙鳳になってからの威力は格段に上がり、『単射』モードであってもゴーレムゾンダーのゾンダーバリアを破ったのだった。
「いい威力です、では名残惜しいですが終わりにしましょう。ベルゼブブさん、サンダルフォンさん、準備はいいでしょうか?」
《無論だ。》
《いざ、参りましょう。》
そしてエルネスティの持つ『勝利の鍵』───一対の
エルネスティの背後に現れ、そして霧のように消え、GS
天使、悪魔が宿ったGS
「ではイカルガ……貴方の力、僕に見せてください!ヘル・アンド・へヴン!!」
───右に
───左に
「ゲムッ・ギル……ガン・ゴー・グフォ……はあぁぁぁーーーッ!!」
荒れ狂い、相反する2つのエネルギーをイカルガの膂力で、エルネスティの力で合わせ、
「──行きます!!」
その拳は ゾンダーの胸部に突き刺さり、上半身を砕く。
「……そう、イカルガの力は──伊達ではありません!!」
破壊エネルギーでボロボロになった上半身より、その渾身の力で核を抜き取る。
その瞬間、ゾンダーに行き渡っていたエネルギーが行き場を失い、大爆発を起こすその前に、イカルガの
「フル・ブラストッ!!」
そして放たれる
「これが──斑鳩・牙鳳の力です!!」
ゾンダー核を抱える、イカルガはその威を示したのだった。
「───おぉ、流石ね。」
少し離れた場所で、イカルガの戦いを横目で眺めつつ、
ゾンダーと融合した事でマギウスより大型になったグレイズゾンダー。その戦闘力は脅威そのものであるが───
「ほっ、よ、は、せいっ!」
「ゾ、ゾガガ、ゴゴガゴ、ゾォー!?」
アックスに対して拳で迎撃、捕まえようとする腕を掴んで投げ飛ばし、空中に舞った瞬間、胸部を除いた全身に拳打の嵐。無限再生も追い付かない速度でスクラップに変えてゆく。
攻撃に対する
例え、無限再生があろうと、ナノラミネートアーマーで覆われた装甲だろうと、エイハブ・リアクターによるエネルギーの無限供給があろうとも、マギウス・ガオガイガーは全て拳打で打ち負かす。
マギウス・ガオガイガーの改修は特別なことはされていない。ただ、常用使用に耐えうる調整をされただけである。
それが意味するもの……
三重連太陽系の二大頭脳による改修により、一回きりの活動限界を常用化へ昇華されたマギウス・ガオガイガーは、Gストーン、Jジュエルの相互作用による共鳴現象に加え、
アベル曰く「アーク艦隊を総結集して相手出来るか不明な規格外」
カイン曰く「ジェネシックと肩を並べる奇跡の存在」
という評価を受けたのが、今のマギウス・ガオガイガーである。
しかし、当のカルディナはそんな評価を出撃前に受けていて尚……
「ありがとうございます。」
浮かれる様子もなく、感謝の謝辞を述べた。
今のカルディナにとってゾンダーとは、
もちろん長年夢見ていた『ガオガイガーに乗る』という夢が果たせた事は彼女にとって、非常に大きな喜びであるのは間違いなく、強大な力を手にした事も嬉しい事である。
しかし、カルディナの内に在りし
自分の存在は、文字通り在り方次第で繁栄も、滅亡ももたらす……
だが、そんな事は関係ない。
例えどんな事があろうとも、カルディナは何にも負けない、何も奪わせない。
マギウス・ガオガイガーは、その『勇気ある誓い』の証なのだからッ!!
地に臥すゾンダーに対峙するマギウス・ガオガイガーは今、その全ての力を解き放つ。
「ヘル・アンド・へヴンッ!!」
TGSライドがその力を開放し、マギウス・ガオガイガーに、そしてカルディナに在る『あらゆる対極する力』が発動する。
「ゲム・ギル・ガン・ゴー・グフォ……ハァァァーーー!!」
対極する力を一点に合わせ、白銀に染まるマギウス。
両腕より放たれる白銀の
スラスターを全開に、最大戦速で突貫するマギウスはグレイズゾンダーの胸部を砕き、ゾンダー核をがっちり掴む。そして、ゾンダー核を湾曲フィールドで包み込み、衝撃でボロボロになった爆発間近のゾンダーの残骸を掲げ上げた。
《──エネルギー、開放!》
「ウィィィーーーータァァッ!!」
掲げられた拳から放たれる
光が完全に消失した後には、摘出したゾンダー核を片手に、機体から排熱ダクトより勢いよく蒸気を吐き出すマギウス・ガオガイガーの姿があった。
《排熱処理終了。全システム、オールグリーン。》
「……了解。これがマギウスの力、か。」
光り輝くコックピットの中、胸に手を当て、ぽつりと呟くカルディナ。
その手が力を込めて握られた時、カルディナはマギウスが己が相棒として新生した事を実感したのだった。
「──!」
「ゾンダァァァーー!!」
残るゾンダーに対し、三日月は苦戦していた。
吸気圧縮による更なる強化を経て、偽バルバトスゾンダーはその身体能力、出力を更に高めてバルバトスと対峙する。
振られる大刀が異様な音を鳴り響かせて、先程まで防げたワイヤーブレードを弾く。
《超高周波ブレード!?僅カナ間ニココマデ強化サレルトハ……》
《う~、あれだけの威力、喰らったらナノラミネートアーマーでも瞬断だよぉ~!》
「そんなにヤバいの?」
《ヤバい。でも一番ヤバいのはあの動き……どうしてあんなに俊敏なの~!?》
賑やかになったコックピットの中、ゾンダーを相手取る
今の偽バルバトスゾンダーは今までの動きがもっと早送りになったように速い。
だが、それよりもっと無駄がない。回避時も必要最低限に。
《……そんだけミカを見てたって事だな。》
「オルガ??」
《戦闘中にすまん。だが、一つ言っておかなきゃならねぇ事がある。V・Cの解析結果だと、あの動きは9割ほどお前の動きだ、って事だ。》
「……え、意味わかんない。」
《つまりは模倣──訓練中も普段の生活の中でもそんだけお前を見てたって事だ。》
「………」
普段の生活の中、前世の記憶があろうとなかろうと、アトラは三日月を想い、そして見ていた。
彼の一挙手一投足を。完全に記憶に焼き付けるまで見続けていた。
だがそれが今、三日月本人を苦しめているのは皮肉と言える。
そしてゾンダーの能力で更に昇華されているというのは何たる事か。
《俺から評価しても、過去にお前が戦った
リミッターを外したバルバトス。あの時の動きは誰も敵いはしないだろう。
だが、今はどうか?
《でもよ、俺と話しながら戦ってる時点で、お前にゃ結構余裕あるんじゃねぇか?》
「……ん、まあ、確かに。」
一撃必殺の攻撃を斬り交わし、神速の殺陣を交えつつも、雑談と言える話をしつつ、重くて文句しかない評価をした、不慣れなモビルスーツで互角に渡り合っている様は、何と言えようか。
《今ならわかる、俺達は確実に成長しているって。》
「うん、俺もそう思う。」
《んで、ミカ。俺はお前に、無茶を言う。》
「何?」
オルガの胸の内に眠る棘───昔、名瀬から『着地点はどこでもいい、早く終わらせたい気持ちが先走ってる』と言われた言葉。
『火星の王』になる事で、皆に安住の地を与えられると思っていた時に浴びせられた痛烈な言葉だが、確かにそうなれば自分達の居場所は作れる。
しかし生まれ変わり、落ち着いて考えた機会を得た今は、それまでの過程こそ重要、とオルガは気付いた。もし、当時自分達が思い描くように事を動かしていたら、マクギリス・ファリドの提案にそのまま乗って、もし成せたとしても、安住はあったか……
答えは『否』。
もしギャラルホルンを退け、成せたとしても、根回しもない、突然現れた支配者を名乗る若造に待ち受けるのは何か?
簡単には終わらない各国からの陰湿な工作、絶え間ない武力介入……そこまではいかないだろうが、まず国同士の関係は相当ギシシャクしていただろう。
息が詰まりそうな不信感が周りから向けられる中で、本当に安住はあったのだろうか?
後ろから撃たれる恐怖を気にしながら、安心して生きていけるのだろうか?
残念ながら当時の
少なくとも、カルディナ・ヴァン・アースガルズに出会うまでは。
自分の親の領土の経済支配まで行いながら、恨みを極力買わない様にしている策略と技量はため息しか出ず、『
そして人柄。彼女の周りは温かい。
公爵令嬢という立場こそあれど、それ以上に彼女は周囲に繊細に配慮し、人を想う。
そんな光景を見て、「俺にもそんな事が出来るだろうか?」とつい希望を持ってしまう。
そうして思い返した時、自分達が求めた『目指した場所』とは……
その本当の意味は『安からかに暮らせる環境』である事を改めて気づかされたオルガ。
だからこそ、『どこでもいい』なんて事は、むしろ許されない。
当時やらなければならなかったのは、血を吐いてでも心を砕き、周りと同調して自分達の確固たる居場所づくり。
──これは私なりに突っ走った結果よ?
──でも、私みたいになりたいなら……ついて来なさい、全力で。
記憶を取り戻した後、尋ねた返答である。
そうなりたい。
そして今度こそ、その道があるなら実現させたい、『仲間達と一緒に』───
《……ミカ、今度こそ『誰も死なせねぇ、そんな未来』を掴め!!》
「!!」
《手始めに……
「……わかった!」
オルガの
三日月にはオルガの言う事の本質を直感で理解した。
そして、自分にもその言葉通りにやらなきゃならない事が───今、目の前にある。
大刀を振る偽バルバトスゾンダーの猛攻を巧みに受け流し、機体を旋回しながら、2本のブレードを振り回し、大刀を弾くバルバトス。
そして、コックピット内の三日月が身に着けるIDメイルの胸にある『Gストーン』が、光を放つ。
そしてコックピット内も白い光で満たされる──
「……バルバトス、ハシュマル。」
《!!》
《は、はい!》
「お前らが、本当に天使と悪魔だって言うなら……出来るよな、全力でやってみせろ。」
《……承知ッ!》
《や……やってやらい!!》
───右に
───左に
無意識ながらに放つのは二心合一、矛盾も全て一つにする、対ゾンダー用の一撃必殺──ヘルアンドヘヴン。
「……はぁぁぁーーーッ!!」
呪文も無しに破壊と守護の荒れ狂い、相克する
無論、
そしてその隙を突いて、2本のブレードがゾンダーを突き刺し、一気にワイヤーが巻き取られていき、同時にランドスピナーを起動、スラスターも全開に加速するッ!!
無理矢理間合いを詰められるゾンダーは大刀の出力を最大に白光化する刃をバルバトスに向け、振り下ろす───
《──甘イッ!!》
《コイツを、持ってけェーー!!》
それより速く、複腕たるハシュマルの両脚が、大刀にエネルギーを供給する両腕を制し、遮ると同時にエネルギー弾頭をゼロ距離射出。
膨大なエネルギーのぶつかり合いに、ハシュマルの両脚と、ゾンダーの両腕が
だが、それこそ狙いであった。
「──アトラを……返せッ!!」
バルバトスの
そして胸部の中にあるゾンダー核を一気に引きずり出したバルバトス。
三日月は見事、ゾンダー核の摘出に成功したのだった───
《───マダダッ!!》
「!?」
しかし、核を引きずり出した亡骸に残されたエネルギーが行き場を失い、爆発を起こそうとする。
その膨大なエネルギー量は未知数だが、周辺の被害はさておき、至近距離の爆発はバルバトスの装甲では到底耐え切れるものではない。
ましてや、浸透する衝撃は防ぐ手立てがバルバトスにはない。
《──間に……合えェェェーーー!!!》
その状況を打破すべく、
しかしチャージ不足の砲撃ではマギウスやイカルガが見せたようにはいかず、例えフルチャージであってもゾンダーを消滅させる威力はない。
《しまっ───!?》
《──ダブル・プロテクトッ!!》
《シェーーードッ!!》
その瞬間、視界が真っ白になり、音が消えるレベルの爆発が起きた。
周囲を荒れ狂わし、猛威を振るう灼熱の熱風と業火、そして衝撃波が起きる。
誰もが白く染まる世界に絶望を感じたが、それ以上襲い来るものは来なかった。
何故なら───
《……ふぅ。プロテクトシェードの同期・広域展開は上手くいきましたわね。》
《ギリギリ、でしたけどね……》
《ええ、V・Cさんを合わせた、僕ら3人の演算でなければ、即座に広域障壁を展開する事は難しかったですね。》
「……お嬢、エル、V・C」
マギウスと、イカルガ。
2体の鬼神がバルバトスとゾンダーの間に『プロテクトシェード』を展開、同時に爆発に伴う弊害を閃光以外の全てを遮断したのだった。
そして呆気にとられた三日月だったが、マギウスから、浄解モードになったカルディナが出てきた事で我に返り、抱えていたゾンダー核を地面に優しく置き、バルバトスから出てきた。
「まったく、無茶苦茶して……でも、よく頑張ったわね、三日月。」
「これぐらい何でもない……それよりお嬢、お願い。」
「任せなさい。」
──サンクトゥス
──レッフェルト
──テストル
──ルルーウス
──ヒーク レリヴィーム
浄解の光に照らされたゾンダー核は、みるみるその機能を解除され、1人の少女を還した。
「みか、づき……三日月……」
「アトラ……」
現れた少女──アトラを優しく抱き締める三日月。
倒すのではなく、敵の手から助け出す───
今までした事がなかった困難な戦いを経て、三日月はアトラを取り戻したのだった。
───ビキッ バキバキ──ドスン!!
「……あ。」
《あ~……》
《う~ん、これは……》
「……はぁ、造り直しね。」
ヘルアンドへヴンの反動でボロボロになり、欠落したバルバトスの両腕と引き換えに。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
アースガルズ家 周辺
「───んじゃ、始めるぞー!」
荒れた戦場の跡。
鉄鋼桜華試験団の総出、またアースガルズ家の家臣達で整地作業が行われていた。
しかし、作業は難航。それでも四苦八苦しながら整地作業は続く。
そんな中、手を止め、黄昏るように周囲を見渡していたユージンに、ビスケットは声を掛けた。
「どうしたの、ユージン。」
「ん、ああ、悪ィ。ちょっと思うとこがあってよ、つい考え込んでた。」
「……どうしたの?」
「いや、
「あ……ああ、確かに。」
ユージンに言われてビスケットは手にしていた鉄製のスコップで地面を突いたが、スコップは地面に刺さらず、鉄を叩いたようにカン高い音を響かせる。
「……地面が高温で硬質化してる。」
あの爆発の際、プロテクトシェードにより守られた内側は難を逃れたが、その外側──爆心地はガラスのように結晶化し、硬くなっていた。
時間経過により熱こそないが、その代わりに地面の有様は自然界に還るには厳しい状態と化していた。
「こんなん、よくお嬢達防げたな。」
「それだけガオガイガーが優秀……って言いたいけど、それだけじゃないね。」
「ああ。こんなんと俺達戦うのか……本当にゾンダーって奴はやべぇな。」
直接相対していないとはいえ、同じ戦場にいたゾンダーの恐ろしさを垣間見たユージンであった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
アースガルズ家 カルディナ私室
「あ~、疲れたぁ……」
《お疲れ様です。》
ようやく私室で休憩を取れる事が出来た深夜、カルディナは安楽椅子ゆらりゆらりと揺られて休んでいた。
今日だけでも機体改修から始まり、ガンダムバルバトスの合体事故、『オルフェンズ組』に関する重大な秘密の解明、そして領内に出現したゾンダーと、アトラのゾンダー化に、ギャラルホルンの領土無断侵入……
あまりにも内容が濃過ぎる一日に、カルディナは辟易していた。
流石に任せられる事後処理は一通り一任してきているが、その密度は重労働に値する。
それでも収穫は多くあった。
まずはイカルガ、ガンダムバルバトスの強化。
「破壊と守護の混合エネルギー触れる機会があったとはいえ、まさか2人がヘルアンドヘヴンを使えるだなんて……『フュージョン・システム』の影響かしら?」
《概ねその通りかと。課題は多いですが、現状は正常に稼働しています。》
「そうね。あとは機体改修が何処まで出来るかだけど……イカルガはエルに任せましょう。エルはエヴォリュダーの能力に近い資質が開花したけど、あくまで能力だけで、肉体は人間のままだしね……打開策は自分でどうにかするでしょう。」
《バルバトスを始めとするフレームに関してはカイン様、アベル様の御知恵を拝借しつつ天使、悪魔達が率先して行っています。改修プランから、おそらくガイガーに近い改修が成されるでしょう。》
そして自身の相棒たる、マギウス・ガオガイガーの強化。
これは一番うれしい。
そして同時に、一番望ましくない。
「ゾンダーの同時出現……こうも簡単にされちゃうと頭が痛いわ。」
《今回確認されただけでも3種類のゾンダーがいました。特に三日月さんが相手をしていたゾンダーのゾンダーメタルは王都戦で相対した種と同じでした。あれが一番厄介で……機界昇華を真っ先に行えるタイプかと。》
「……要警戒、ね。そして今後複数の都市で同時展開されてしまえば、今以上に戦力は必須。そしてギャラルホルン……あの馬鹿達はいったい何がしたいのよ!?っていうか何でグレイズ!?教皇国にそんな技術はないはずなのに……」
《『影』の報告でも事前察知は出来なかったようです。私にもこのような事態は予測出来ませんでした。》
「まるで突然湧いて出てきたみたい……本当に魔法ね。それと被害区域の状況……早く『ディバイディング・ドライバー』を造らなきゃ。それと他のガオガイガータイプは必須……か。」
触媒結晶持ちのゾンダーの爆発力の威力、それは本当に恐ろしいものだった。
V・Cによる部品製造の時間が短縮されたとはいえ、時間が掛かる兵器製造。開発は急務である。
特にガイガーの2号機、3号機は今後必須……と、思っていた矢先、扉をノックする音が。
一声かけて入室してきたのはフミタンであった。
「失礼します。あのグレイズとやらの存在は、ギャラルホルンの何処を探しても製造拠点はなかったとの事でした。どこから出てきたかも……不明です。」
「お嬢様宛のお手紙をお持ちしました。」
「こんな時間に……随分急ね、誰かしら?」
「イザリアさんの旦那様からです。」
「───え。」
予想外の人物からの手紙に驚くカルディナはすぐにその手紙を見て───
「……V・C。天使達、悪魔達に連絡して。『予定を変更する』って。」
《判りました。》
「あと、『第一位』をここに。」
《はい、お待ち下さい。》
「……事前に依頼されていたとはいえ、急に、か。また忙しくなるわね。」
一通の手紙から、事態は再び動く事になった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ギャラルホルン教皇国 某所
「……ふむ、失敗しましたか。手駒は全員捕虜、グレイズと云うロボットも捕獲と……使えませんねぇ。『勇者』の『異能』が発現した成果だというのに、使い手がゴミだとねぇ……いけません、いけませんねぇ。」
時は少し進んで、アースガルズ領への聖女奪還の失敗の報を受けた枢機卿。
次の手を考慮していた矢先、扉をノックする音が響いた。
「───失礼します、枢機卿。」
「おや?貴方は……」
「何やら部下が面白い報告をして来たので、問題とされる場所へは私が赴こうと思い、参上致しました。」
「……そう、ですか。いいでしょう、頼みますよ───マクギリス卿。」
「……失礼します。」
行儀よく部屋を後にする男───マクギリス。
その男に、枢機卿は不機嫌なため息を吐く。
「何とも耳の早い……そして、腹の底が知れない男ですねぇ。」
手勢を失ったギャラルホルンの企みは、まだ続くのだった。
《NEXT》
ギャラルホルンの軍勢、そしてゾンダーを退けたカルディナ達。
しかし、安息の間もなく次の試練が待ち受ける。
変更した開発スケジュールを繰り上げ、開発されるのは『第一位の悪魔』。
そしてそこに迫り来るのは、悪魔を探し求める、悪魔に魅了された男。
その男が見たのは、空を舞う悪魔の勇姿。
交わされる口論が指し示す『禍祓いの焔』。
今明かされる、未だ消えない焔の秘密とは!?
次回、『公爵令嬢は、ファイルフュージョンしたい』
NEXT、Number.21 ~ バエルと禍祓いの焔 ~
これが勝利の鍵だ!!
『イザリア・フランベル』
〇斑鳩・牙鳳
Gストーン適合実験の際に負傷したイカルガに、カルディナが
動力源の
また、外部補助としてV・Cの独立端末が接続されている。ただし、『火消し』の際、内部術式の再構築を行った際に、各要素が干渉しあった結果、物理的に抜け出せなくなり、除去も困難なため、そのまま譲渡したという経緯がある。
本機にはガオガイガーのデータが各所の
外観の特徴は
『
使用方法はヴェスバー+銃剣。『斬る』よりも『撃つ』に特化しつつ、超近接戦闘でも取り回せる兵装で『単射』『連射』『チャージショット』の3種類が撃ち分けが可能。
当人曰く、『ヴェスバーをガンカタみたいに振り回したら面白いかも』との迷言が聞かれている。
他、
また、飛行機関に
最後に、三重連太陽系の科学者に改修を兼ねた改良を受け、ガオガイガーの要素をふんだんに兼ね備えた、
また、名称の由来はガオガイガーの技術を組んでいる事からの敬意を表して。
決してエル君がガンレオンのサブパイロットのメールちゃんの真似「がお~♪」をしたら、非常に可愛かったと妄想をしたからではない、きっと。
〇ガンダムバルバトスルプス Ver.H
ガンダムバルバトスルプスレクスに、小型化したハシュマルが合体した形態。
元々あるGS
特徴はハシュマルの武装をバルバトスでもそのまま使用できる仕様で、そのギミックがそのまま活用されている。
特にテイルブレードと超硬ワイヤーブレードを改良した『γナノラミネート・ワイヤーブレード』、そして『γナノラミネート・テイルブレード』。
ガンダムアスタロト・オリジンの専用装備である『γナノラミネートソード』の原理をハシュマルの超硬ワイヤーブレードに応用したもので、ナノラミネートアーマーに対する絶対瞬断の刃となっている。
また、テイルブレードにも同様の処置がされており、それぞれ『斬り』、『突き』に特化している。
ビーム兵器たる、『ビームキャノン』は粒子加速射出器の『エイハブ粒子砲』として改良されており、二次被害を抑え、破壊力特化に変更されている。
ただし、デメリットとしてガオガイガーのノウハウは『フュージョン・システム』、駆動系以外は使用されておらず、あくまでモビルスーツ、モビルアーマーの技術を融合させたのみとなっている点。防御面はナノラミネートアーマーと特殊金属の硬度頼りで、特殊な攻撃には弱く、魔術抵抗にも難がある。
また、パイロットの三日月・オーガスに無断で改良したため、機体性能が本人の戦い方に沿っておらず「重い、鈍い」とダメ出しを受けている。
また、偶発的な要素が揃った事もあり、初出撃時にヘルアンドヘブンを使用できたが、本来は仕様にない使用だったので、機体の内部崩壊は避けられなかった。
今後、専用化を目的としたフィッティングが行われる予定。
イカルガに関しては『スーパーロボット大戦30』の凱兄ちゃんとエル君の艦内ミッションのやり取りからいろいろ妄想をしてネタ出しした結果です。
ソニックシューターはヴェスバーをイメージしているので、ちょっと違いますが。
バルバトスについては、アニメ出演前の考察で出た支援機扱いからネタを出しています。
とはいえ、ミカには使いづらい使用だったので今後は別にします。
次回は本編前に、書いたけど話の進行具合が悪いため、カットした閑話を挟みます。
評価、感想お待ちしています。