本編には登場しない、陰で蠢く奴等(笑)がお嬢様のせいで色々やってしまう話です。
今後「Number.◯◯.5」系の話はこの路線で行きたいと思いますので宜しくお願いします。(と言う名の不定期更新)
また、参戦(?)作品は以下の通り。
『コードギアス』(シリーズは全部)
『クロスアンジュ』
『魔法騎士レイアース』(キャラのみ)
『リリカルなのは』(魔導端末のみ)
では混迷の極み(序章)をどうぞ!
◯魔法学院 第24番教室
「クッ……この数値でも駄目か。」
「う~、残念です……」
扉の前に『放課後試験クラブ』と銘と打った看板があるその一室、その人物はうんざりとした様子で溜め息をつき、そして向かい合う人物はその答えに赤い髪から覗く『猫の耳』が見るからにしょんぼりとした。
机に向かってキーボードに数式を入力し、Enterキーを打ち、目の前の機材に発現する現象を計測、その現象が望みのものであるならば成功、それ以外は失敗───
ただし、依頼主からは「あんまり根詰めないで下さいませ」と言われているが、それでもやってしまうのが彼らである。
「……ルルーシュ様、光様。少し休憩をされた方が宜しいかと。」
「ん?そこまで経ったのか。」
「ええ……うわ、本当だぁ。」
傍らに控える
中学2年生(異世界転移者)。
そして───ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア。
神聖ブリタニア帝国第11皇子(転生)。
「そうだな……休憩するか。」
「御自愛下さいませ。光様もどうぞ。」
「お呼ばれしま~す。」
だがその間を待たず、ルルーシュのいる教室に遠慮なく入る人物が。
「──ルル~シュ~、持ってきた──ガク……」
「あー!!アンジュリーゼ様、お気を確かにー!!」
「アンジュさん、大丈夫!?」
「……アンジュ、来てくれたのは良いが、お前も少し休め。」
「アンジュリーゼ様、酷い顔です。」
「はッ!?私、今寝落ちしてた?」
「ああ。」
「今、お茶を用意致します。モモカさん、アンジュリーゼ様をこちらに。」
「ありがとうございます、咲世子さん。さ、アンジュリーゼ様……」
「……そうさせて貰うわ。」
寝不足気味でモモカに支えられているのは、アンジュリーゼ・斑鳩・ミスルギ────ミスルギ皇国第一皇女(転生)。
咲世子が継いだお茶をモモカが給仕し、そのお茶を一気に煽るように飲み干すアンジュ。
非常に
光は用意された和菓子に蕩けるような表情で舌鼓を打ち、ご満悦であった。
「──っかぁ~、濃いめのお茶が沁みるわ~。」
「甘さが……甘さが身体に沁みますぅ。」
「……末期じみた発言だな、光もアンジュも。」
「あんたも似たようなもんでしょ、ルル。」
「そうですよ、この状況で何も感じないのは人間じゃないです!」
「……違いないな。」
3人は相当くたびれていた。
ちなみに依頼主はこんな展開になる事は予想済みで、お茶、茶菓子等は既に十分な量を咲世子さんに渡している。
「ところで、持ってきたのか?」
「ええ、これよ。」
「わ゛。凄い紙束……」
「他の子達の分もね。あんた達は成果あった?」
「ああ、ようやく3分の2はな。光のお陰でコア消失からの湾曲空間展開までは良くなったんだが、展開からの空間形成がな……」
「海ちゃんも風ちゃんもお手上げで、私達はルルーシュさんに託してどうにかなった次第ですけど……」
「へぇ~、そこまで上手くいったのね。私は展開は最悪、持続時間は長いんだけど、空間成形がね……」
「元々砂地に埋もれた宝石の粒を見つけるような実験だ、そう簡単に──ん?これは……待てよ、ここを使えば───」
「何……どうしたのよ。」
何かブツブツ呟くルルーシュ。
アンジュの問い掛けにも聞こえない程の集中力で、渡された紙束を凝視し───
「……フッ、条件は全てクリアした!」
ニヤリと笑って機材のキーボードの元に行くルルーシュ。
ドルイドシステムで絶対守護領域を展開するよりも速いタイピングで数値を入力し、Enterキーを叩く。
すると機材の動きの一部始終を観測していた3人は、反応が終わった後、ゆっくりと顔を見合せ、その喜びを表すのに、ハイタッチするのであった。
翌日───
「ファイナル・フュージョン───ガオ、ガイ、ガァァァーーー!!!」
学園が指定する屋外実験区域、その空でカルディナは自前の鎧──ミニ・ガオガイガーへとファイナル・フュージョンを果たす。
《続いてディバイディングドライバー、超電導リニアカタパルトへ装填──“ミラーコーティング”スタート───完了、イミッションッ!!》
カイン、アベルよもたらされた『ミラー粒子』により開発が早まった『
フミタンのナビゲートにより、カタパルト表面との間に強力な電磁力の反発作用を発生させ、物体を加速、射出する超伝導リニアカタパルトに載せられ、ミニ・ガオガイガーの元へ飛ばされて行く。
「来ましたわね……相対距離、確認。軸合わせ───接続!!」
スラスターを吹かせ、ミニ・ディバイディングドライバーとの相対距離を合わせるミニ・ガオガイガー。
ミラーコーティングが空中で剝離したのを確認した後、左腕に接続する。
「ガオガイガー、DDモード確認───いつでもどうぞ。」
「よっしゃァァァアアアーーー!!!ディバイディング、ドライバァァァーーーッ!!!」
DDモードのミニ・ガオガイガーがスラスターを全開に、ミニ・ディバイディングドライバーを掲げて空高く飛び上がる。
そしてひねりを加えながら地上に向けて急速降下、エネルギーが満ちたブレードを地面に叩きこみ、外側にある5つのゲージより5発の炸裂音と共にブレードから発したエネルギーが地面を疾り、大地を割る。
形成されたディバイディングコア、それを中心にレプリションフィールドの次元反発作用によって空間を押し広げ、アレスティングフィールドによって固定、形成された直径1kmにも及ぶ深さ10m程の円柱状の平地空間である、マイクロ・ブラックホール並みのエネルギーを用いて顕現した湾曲空間───ディバイディングフィールドを発生させたのであった。
ディバイディングコアが消失した後も、フィールドは維持され、そして空間崩壊が起こる事もなかった。
そしてディバイディングフィールドの淵に降り立ったミニ・ガオガイガーはDDモードを解除、ディバイディングドライバーを置き、フィールド内に降り立つ。
そこに別の個体が降り立った。
対面するのは全身が土気色であり、全長2メートル程であるが、見間違う事はない特徴的なデザインの2体のナイトメアフレーム───KMF史上“2強”の存在たる、ランスロットと紅蓮弐式である。
ただし、そのデザインラインから推察するに、ミニ・ガオガイガーの様なパワードスーツ仕様ではない。
その2体を確認するや否や、ミニ・ガオガイガーは、片手で「
紅蓮は「絶対泣かす!」と言わんばかりの
まずは挨拶代わりにと、ランスロットがヴァリスを模した魔導兵装で狙いを定め、単発連射。次いで紅蓮弐式が
しかし、ミニ・ガオガイガーは即座に紅蓮弐式の右側に独楽のように回り込み回避、回し蹴りを紅蓮の胴にお見舞いし、蹴り飛ばす。
その刹那にランスロットが急接近、
態勢を立て直した紅蓮がグレネードランチャーを、ランスロットが再びヴァリスを連射するも、プロテクトシェードで防ぐ。
今度はお返しと言わんばかりに、ミニ・ガオガイガーが両腕を広げ───「ヘル・アンド・ヘブンッ!!」
その行為を「待ってたよ!」と小さくガッツポーズしながら紅蓮はランドスピナーで大周りで旋回、輻射波動をセット。
ランスロットも同じように側面から攻める。発動までに大きな隙があるヘルアンドヘブンは単機で左右、もしくは前後の応戦は出来ない。
「ゲム・ギル・ガン・ゴー・グ───キャンセル。」
「「!?」」
ここでヘルアンドヘブンをキャンセル。
その行為に紅蓮は「何でするのよ、そこでぇー!!」と驚愕し、ランスロットも判断が一瞬遅れた。
その隙を突いてミニ・ガオガイガーは後退、左腕に充填された飽和限界のプロテクトエネルギーを用いて───
「──プラズマ、ホォォーールドッ!!」
機体が交錯する一瞬に、以前にも身をもって体感したものより1.5倍も強力なプラズマホールドで2機は拘束。
「──か~ら~の~、ブロウクン・マグナァァーームッ!!」
ヘルアンドヘブンに使われる片割れ分の量のブロウクンエネルギーを内包したブロウクン・マグナムを受けて、紅蓮とランスロットはまとめて「爆・散ッ!!(by:オレンジ卿)」されるのであった───
「まさか纏めて拿捕されるとは……」
「……嘘でしょ、挟撃出来ると思ったのにィ~。」
「だから言ったじゃない、カルディナ相手に
「散々
「……返す言葉がないよ。」
ディバイディングフィールドの縁に設置された、シミュレーター用のKMFコックピットブロック2基より無念の声が漏れる。
枢木スザクと紅月カレンの2人である。
そして傍らのアンジュとルルーシュが2人に苦言を挺する。
「っていうか、私にはリニアシート型の操縦席は馴染めないわ。こう……腕を突き出せない感覚が……。」
「僕にはバイク型の方が馴染めないけど……後ろが見辛いし、姿勢が……」
「飛行兼高機動戦闘ならバイク型、近接戦闘込みならリニアシート……パラメイルの可変コックピットって実は凄かったのね。」
「それでも使い分けが必要だろ?可変時に隙が出来る。まあ、今回2人が負けたのは不慣れなコックピットの仕様……という訳だな。」
スザクとカレンのコックピットの仕様が逆だったのである。
決して腕が落ちたとかではない。
「とはいえ、スザクとカレンを纏めて撃墜するとは……無茶苦茶な女だ。」
「そうね……エースだったんでしょ、2人とも。」
「ああ、しかもとびっきりのな。」
紅蓮とランスロットの残骸を両脇に、ディバイディングフィールドから離脱、着地するミニ・ガオガイガーこと、カルディナを見上げるアンジュとルルーシュ。
彼等は皆、同級生である。
そして更には───
「撃墜、お~め~で~と~う~!……あ~、やっぱり撃墜されたねぇ~え。予想はしてたけど技術者としては悔しいねぇ。」
「そうねぇ~、2人とも不慣れなモノを使うからよ。とはいえ、コックピットの環境問題は簡単じぁないよ。」
「ああ。3つ候補がある。それぞれ利点がある以上、1つに絞るのは……やはり難しいな。」
「……あの~、御三方?今の論点そこじゃないと思うんですが。」
更に傍らに控えていたのは、ランスロットの生みの親、ロイド・アスプルンド。
紅蓮弐式の生みの親、ラクシャータ・チャウラー、セシル・クルーミーの姿が。
そしてその中に何故か、『クロスアンジュ』ラスボスであるエンブリオまでもがいる。
そこに突っ込みたいところだが、アンジュが特に気にせず何も言わないところから、何かが違うようだ。
またそれ以上に、4人全員が白衣を着ており、ロイド、ラクシャータ、エンブリヲが向かい合って意見をぶつけている辺り、『混ぜるな危険』という文字が浮かぶのは間違いではない。
そんな事をしている間に、ディバイディングコアが消失した後の約30分が経過、そして空間崩壊が起こる事もなく、フィールドは集束、消失した。
そしてフュージョン・アウトしたカルディナは彼等に近寄って行く。
「どうだ?ディバイディングフィールドの状態は。」
「文句無しの環境、そして注文通りの持続力ですわ!これで実戦に耐えられるものが出来そうです!」
「フッ……ならこれでお前の依頼──『ディバイディングドライバーの湾曲空間の形成値の発見』は、達成したと言っていいな?」
「ええ、もちろんですわ。」
「わかった。詳しい事はこのファイルに纏めてある、後で確認しておけ。」
「───ッシァッ!!」
ルルーシュより、その数値が記載された紙束を受け取り、喜びのあまりにガッツポーズをとるカルディナ。
「はしたないぞ、カルディナ。公爵もぐもぐ…令嬢のもぐ…のする所作ではもぐ…ないだろう……もぐもぐ」
「……その言葉、ピザを食べながら言う台詞じゃないと思うけど、C・C。」
「いいだろう、カレン。労働の正当な権利だ。私はピザを食べたいのだ。カルディナの奢りで。」
「……あんた、一番サボってなかった??」
「まあまあ、カレン。それぐらいで結構ですわ。今日、非常に上機嫌なのです、それくらい目を瞑りますわ。まあ、そのピザ代の請求先をルルーシュか、C・Cにするかは後で考えますが……」
「何だと!?そこは奢りだろう!?」
「……どうして俺に請求が来る?」
「嫁の食い扶持ぐらい、持ってってヤツですわ。」
「つまり奢るつもりはないと。」
カルディナの普段は見ない光景だが、学友の前ではこんなものである。
更に───
「カルディナ、お待たせ。」
「よ、カルディナ~。」
「サリア、それにヒルダ、ヴィヴィビアン、エルシャ。この度はどうも──」
「いいっての、そんな固っ苦しい挨拶。そ・れ・よ・り・も……」
「はいはい、報酬は後でお渡ししますので、よしなに。ヒルダは……」
「……私は、後でいいわ。」
「了解。」
「……にゃ~。カルディナ~、私はもうコリゴリだにゃ~。」
「フフ。ヴィヴィちゃん、頭から湯気出っぱなしだったものね~。」
「あはは……次頼む時はもう少し身体を動かせるものにしますわ。」
また更に───
「カルディナさ~ん!」
「ああ、光。海、風も。この度はありがとうございます。」
「いいのよ。お陰で稼げたし。とはいっても……」
「ええ。中学で習う知識で考えるには大変でした。」
「でも実験は面白かったです!導き出した数式があんな現象を起こすなんて!カッコ良かった~!2度目は御免ですけど……」
「あはは……」
「
「あ、モコナ。こんにちはですわ。」
「
「……何を仰っているのか、解りませんわよ、
きっと
とまあ、こんな面子が揃って実験に携わっていたのだった
さて、話を進める前にこの状況について説明しよう(CV:小◯清志)
まずルルーシュを始めとする『コードギアス』『クロスアンジュ』のメンバーは大概皆、転生者である。
そして『
まず『コードギアス』のメンバーは、アルドレイア王国からはだいぶ離れている神聖ブリタニア帝国にいる彼等には、カルディナが武者修行行脚の折に出会った。こちらのブリタニアはアルドレイアと同じく、『ボキューズ大森林』からの魔獣被害に苦しむ国でもある。
彼等とはカルディナの武者修行旅の際に面識を持ち、多々の経緯を超えて、その縁を得てルルーシュ一行はこちらの魔法学園に来た。
その目的は魔法を学ぶ事はもちろんだが、一番の理由は 魔獣被害に遭った折に重傷を負って歩けなくなった、ナナリーの為である───
ちなみに、前世の記憶を持つのはルルーシュ、スザク、C・C、カレン、咲世子の他……
「──お兄様、スザクさん。実験が上手くいったと伺いましたが……」
「ああ、ナナリー。やっと終わったよ。実験は成功だ。」
「ああ、良かった……これで早く帰ってこられますね。」
「ようやくな。」
「どうでしたか、スザク。」
「ああ、ユフィ。慣れない事はするんじゃないね……カルディナには負けたよ。」
「そうですか、カルディナ相手では仕方ないですが……次は頑張ってください。」
「もちろんだ、次は負けないよ。」
「それではカルディナさん、ナナリーの件は……」
「もちろん、ナナリーの事はお任せを。既に用意してありますわ。」
「あぁ……良かった。これでナナリーも歩けるのですね。」
「ああ、何だかドキドキします。」
「まだ上手くいってないのというのに気が早いな、ナナリー。」
「ルルーシュ。カルディナさんですもの、信用していますわ。」
「……ユフィに、そこまで言われるとと何とも言えんな。ではジェレミア、咲世子。ナナリーをユフィと一緒に第23番教室に案内してくれ。既に準備は整えているそうだ。」
「お任せを、ルルーシュ様。それとカルディナ嬢、この度はありがとうございます。ナナリー様の脚がようやく……」
「いいえ。ナナリーの事は私も無関係ではないので。」
「俺も残りの用件を済ませてから行く。ナナリーを頼むぞ。」
「「イエス、ユア・ハイネス」」
「ではルルーシュ、カルディナ。先に参ります。」
「ルルーシュ、僕もユフィについて行くけどいいかい?」
「ああ、頼むぞ。」
そしてナナリー、ユーフェミア一行は教室を離れる。
ちなみに、ユーフェミア、ナナリー、ジェレミアも前世持ちである。
ジェレミアはともかく、ユーフェミア、そして、ナナリーについては色々あったが、この場では割愛させて頂く。
少なくとも現在は全員が納得出来る環境である、という事は間違いない。
また、ルルーシュとC.C.はともかく、カレンがここにいる理由は、前世の事も含め……聞くだけ野暮と言うところだ。
聞いたら顔を真っ赤にして、全力でそっぽ向かれた。
つまり、そういう事だろう。
そして次に『
修学旅行で偶然居合わせ、東京タワーの展望台で光に包まれ、やって来たのがこの世界。
しかし
ただ、転移先がアースガルズ領の町の中。転移後すぐに町中で見つけたカルディナが保護した経緯がある。
(………何してますの、仕事しなさいな、
(事故、事故、事故!!)
とりあえず転移後、呑気に彼女らのマスコットキャラクターになっている
現在は再転移のタイミングを待ちながら、学園で勉強しつつカルディナが生活に困らないようアルバイトを斡旋している。
お陰で原作以上に異世界生活っぽい事をしていいる始末。
『
……あらぬ事を考えてると、電光超人キック(ウサギ風味)が襲って来るので注意を。(実害有り)
最後に『クロスアンジュ』のメンバーだが、かつて所属していた孤島・アルゼナルのアンジュを始めとした主要メンバーがこの学園に通っている。
理由は『
……『
普通は使えるのであるが、既に呪いといってもいい部類だ。
流石に迫害まではないが、王家として見聞が悪いとの事で荒療治まがいに、また、カルディナが武者修行時代に出会った縁もあってこの国に留学している。
ちなみに魔法が使えない理由は既に判明しており、
カルディナの診断でようやく判明したのだった。
故にその報酬は、彼女らの体質を考慮した『魔法が使える
「ではこれらになります。」
「へぇ~、無難に杖ね。あんたなら銃でも出ると思ったけど。」
「……私とて、そこまで愚かじゃないですわよ。銃の流布は危険でしょうに。今回用意したのは量産品ですわ。」
「でも随分可愛いデザインじゃん。それによく見ると1つ1つ違うし。私はこれなんかが──」
《──
「え~!?喋るんだ~!私はヒルダ、宜しく~!」
《
真ん丸の赤い宝玉を金の三日月で覆い、一部ピンクの基幹に白い長柄の杖が、ヒルダが手を取った瞬間に突如喋り出した。
ヒルダが自己紹介で名前を教えると、しばらくその杖は黙るが……
《
「早速だけど魔法の練習したいんだよね、出来るかしら?」
出来る?。」
《
「んじゃレッツゴー!」
「あー、ヒルダ!私も~!」
「じゃあ、私も。」
そしてウキウキで練習場へと走り出すヒルダ、ヴィヴィアン、エルシャ。
その光景を
「……どうしたのよ、未知の光景を目の当たりにしたような顔して。」
「え、あ、いや……何で喋るのかな、と。そんな機能は付けてないし……それ以前に、あんなデザイン作りましたかしら?」
「何を言っているのよ?自分で作ったんでしょうに……あ、私はこれにするわ。」
そう言ってアンジュは黒い斧らしき杖を選ぶ。
狙ってやっているのか、偶然なのか……
《──
「初めまして、バルディッシュ。私はアンジュリーゼ・斑鳩・イスルギよ。早速だけど、色々魔法を試したいのよ、付き合ってくれるかしら?」
《
「ありがとう。なかなか素直な子じゃない。じゃカルディナ、またね。」
そしてウキウキの駆け足でヒルダ達の元へと向かうアンジュ。
カルディナはその後ろ姿を呆然と見送る事しか出来なかった。
「……私、あの2本作りましたっけ??」
《──お答えしましょう。》
「V.Cサン??何か知ってますの??」
《あれは間違いなくお嬢様が作った杖です。
「貴女のせい!?それで『レイジングハート』ですって!?しかも『バルデッシュ』も!?」
《ですが、ただの会話・能力補助AIです。能力再現も不完全で、流石にオリジナルのような出力はありません。」
「……え?それって限定的な能力再現はあるって事?」
《……》
「V.C、正確に報告しなさい。何処までやったの?」
《ちょっとしたお遊びでした、原作再現しています、さーせん。ただ、出力不足は否めなかったので対ゾンダー戦も考慮し、全ての杖にGストーンを少し加えています。》
「うわぁ……出力不足が完全に穴埋めされましたわ。特級クラスの間違いが起きる気しかしない……」
《シミュレーションでは問題ありません。想定以上の機能を加味していませんので、最大出力はオリジナルの80%しか出ませんよ??また、付与しました機能は『A`s』ではなく『StrikerS』を参考にしています。》
「それで80%も出れば色々アウトです!」
となれば『レイジングハート・エクセリオン』は確定した事になる。
使い手がヒルダなので、CV:田〇ゆ〇りで白い冥王様の「ブラスタァァーー・スリィィィーー!!!」が待ったなしだ。
勇気の力で地殻が破壊されなければいいが……
「……一応、人間時代はロリキャラだったのですが、ねぇ……」
《今では冥王、板についている、ですか??》
「そ。」
「……何の話をしている、カルディナ。」
「ああ、ジル先生。どうしました?」
煙草を吹かせながらカルディナを呼びに来たのはジルこと、アレクトラ・
「ルルーシュが呼んでいたぞ。博士達も報酬をと騒いでいる、とな。」
「あ、そうでした。」
「まあ、魔法が使えるようになった事で浮かれている、あのバカ娘共も同じだがな。」
ひとまずレイジングハートの件は忘れる事にしたカルディナは、5人の博士の元に行く事に。
……本当にいいのか??
「お待たせしました。それでは5人はディバイディングドライバーの『本体』の製作の報酬なのですが……」
「遅いよ~。」
「待ちくたびれたよ。」
「まあまあ二人とも。」
「そこまで急く事もないだろうに……」
そこにいたのはロイド、ラクシャータ、セシル、のほほ先生*1にエンブリヲ(?)がいた。彼等にはディバイディングドライバー(1/1スケール)の制作を依頼している。
ロイド、ラクシャータにはフレームを、のほほ先生とエンブリヲ(?)には空間歪曲術式を、セシルには全体の補佐を。
実験に使用したミニ・ガオガイガー用のミニ・ディバイディングドライバーも5人の作品であり、実大ディバイディングドライバーを製作する経緯としてはカルディナらしい。
特に、空間歪曲理論はエンブリヲがある程度習得していたため、完成までかなりの時間を短縮出来た。
……というのも、今いるエンブリヲはかつてのラスボスのエンブリヲではない。
この世界での現在の名は『ゼンブリオ・F・レーヴェンヘルツ』という。
……何を血迷ったか、そこにいるジルこと、アレクトラ・マリア・
ついでに名前も一部おかしい。
『クロスアンジュ』の話では到底考えられない組み合わせだが、このエンブリヲ当人に前世の記憶はなし、なのだ。ちなみに、ジルは前世持ちだ。
これで二人は一応、婚姻関係を結んだ夫婦なのだ。いったい、何の冗談と思われるだろう、本当に。
ただ、エンブリヲ本人の生まれも育ちもはっきりしており、更には生前の能力・才能面の記憶を引き継いでいるようで空間術式に関しては非常にエキスパートな存在。また、魔法に対しても非常にその才は明るく、学園に赴任するまでは家庭教師も多々兼任していた経緯もある。
その才能あって、学園に来たのだが、それはあくまで偶然なのだから驚きだ。
だが赴任当時、鉢合わせしたジル、アンジュ達に堂々と闇討ち(?)されるのは想像するのに易い。
当初は相当殺伐としており、常に追い回され、逃げ回る日々を送ったエンブリヲ。
だが身に覚えのない、ただ怯えられているため不審がられるのみであったので、とりあえずカルディナがブレイクをいれた。
そしてカルディナを中心に尋問するが当人は身に覚えのない知識記憶を非常に不気味がって生きてきたようで、カルディナが思いきって前世話を切り出すと「……なるほど、かもしれないな」と、むしろ妙に納得してしまった経緯がある。
これにはアンジュを始めとして、他のメンバー達も唖然とした。
自分達のラスボスが記憶喪失なのだから。
というか、同一人物ですらないかもしれない。
極めつけのカルディナの
結果は
そして付いた渾名が『
CV:関◯彦効果も合わさり、土井先生風味のエンブリヲが出来上がっていた。
ついでにうざったらしい長髪もバッサリ切り、何かスッキリ。
更に『ゼンブリヲ』を改名もして、本名もゼンブリオ。過去のエンブリヲよりイメージを脱却。
その後、変わりはしたものの、その才能を野放しには出来ないとジルが、監視役に立候補。
そして1ヶ月も経たない内にエンブリヲもとい、ゼンブリオを婿入りさせた。
ここの経緯はまったくの不明。
当然周囲は大騒動+大反対。当然、前世持ちであるジルも相当な恨みを持っているだろうが話は淡々と終わった。
「奴への監視役は必要だろう?ならばより近く、一緒の方がいい。なぁに、奴はこちらの事を知らないのだろう?なら好都合じゃないか。」
アンジュ達の説得に理解を示しつつも、エンブリヲを婿入りさせた際のジルの顔が、姉と慕ったサリアも見た事のない、この上なく満面の笑顔で怖かったという。
事情を全て理解した上でこのエンブリヲを婿入りさせたジル。
記憶がない故に八つ当たり対象とするのか、はたまたかつて篭絡されたために無意識に絆されたか……
カルディナが事前に付けた監視も唐突に加えて何の脈絡もない事態に困惑。それまでが異常も実害もないとの報告もある以上、詮索すべきか迷うとこであるが、それ以上に誰もが追及するのが怖かった。
何せ、ジルに対してゼンブリオ先生が照れつつも困り果てているから。
ついでに、何でCV:本◯貴子のキャラは一癖も二癖もある人物を気にかけるのだろうか、とも思ったカルディナであった。(超偏見)
どちらにせよ、今は良き協力者であるのは間違いないようだ。
そしてこの癖の強い4人を統括しているのは、少し離れた場所にいる、
カルディナと出会うまでは平凡な魔法の先生だったが、今ではあらゆる特異知識を取り込み、4人の博士の技術・知識交流を経て、某・獅子王博士と、もしくはそれ以上の叡智者となったのほほ先生。
ただし偉そうしている様子はなく、むしろおっかなびっくりのおどおどした様子。
叡智者であれど、耐性はまだ低い。
「───で、報酬なのですが……」
そう言って、カルディナは傍にいるフミタンが持つ鞄より出した、ビー玉ぐらいの宝石と無機質な腕輪のアクセサリーを取り出す。
三重連太陽系のESウインドウの技術と、カルディナ、ゼンブリオの空間術式の知識を元に作った『Other Dimension Storages Accessory』───略称『
「ロイド博士とラクシャータ博士のご希望が、『持ち運び可能なKMF製造環境一式』ですわね。ODSAにまとめて入れてますから、お受け取りを。」
「流石、お嬢様解ってるわねぇ~。」
「いや~、これでKMF研究が出来るよ。しかも
危険人物らに、非常に与えてはいけないモノを報酬として渡すカルディナ。
いとも簡単に行われる、えげつない行為だが、まだ続く。
「セシルさんは『万能工作機構』でしたね。」
「ええ。あとメイさんにも……」
「ええ、もちろん。今は別件を任せていますので、後で渡しますわ。」
───『万能工作機構』
サクヤの創造能力のデチューンであり、特殊機能を持たない部品であれば、材料が許す限り創造可能な代物だ。
ただし、使用者の制限は事前に持たせてあるが……
「ゼンブリオ先生は『持ち運び可能なパラメイル製造環境一式』……こちらもこのODSAに。」
「ああ、ありがとう。」
「のほほ先生は、ODSAだけ……で、よろしいのですか?」
「ああ。他の博士らとは違って何かを開発したい、という訳ではないからの。むしろカルディナ君らが教えてくれた、理論・法則的な知識の方が嬉しいかの。」
「では……今度はこちらを極めてみます?『ブ◯イシ◯クロン理論』。」
「──ほほう?」
情報提供元はアベルである。
非常に物騒な奴らに、非常に物騒なモノを報酬として渡すカルディナ。
だがこれもある種のセーフティである。
「けど良かったのかい?今更だけど。私らにKMFの製造環境をくれるっていうのは、そのまま『KMFを創る事』に他ならないけど。」
「まあ、貰ったからには遠慮せず作るけどねぇ~。とはいえ、裏があると勘ぐっちゃうのは自然だねぇ。」
「それはそうでしょう。ですが、それも今更です。」
製造環境を提供するのは、ある意味過剰な武力を渡す事と同義なのは、カルディナが誰よりも理解している。
しかし、そうしなければならない理由が、ゾンダーなのだ。
『対抗策がない故に、代替の対抗策を模索する』───それがこの『放課後試験クラブ』の
それに、仮にカルディナが志半ばに倒れた時、その代わりと術を受け継ぐ存在は1人でも多い方がいい……それ故に、自身の財と知識を以てその術を信じるに足る人物に与え、形にしている場の1つがここである。
『鉄鋼桜華試験団』然り、『放課後試験クラブ』然り。
今はその方針が変化───進んだと言えば良い。より良い対抗策を模索する補助機関になっている。
KMFやパラメイル製造に助力するのもそれに付随する。
傍から見れば破天荒であるが、明確な理由がここにある。
「それに動力源や素材の違いで四苦八苦するでしょうが……」
「あ~、それは大丈夫、大丈夫。この世界の知識も合わせたKMFの設計は、さっきのランスロットの稼働データで確立したから、問題なくできるよぉ~。」
「多少手間取ったけど、環境さえ整えば後はこっちのもんさ。性能とて前に造ったモノとは一線を臥すものを追々、お嬢様には成果として見せてあげるさ。」
「ご期待しています。ゼンブリオ先生も……」
「無論だ、カルディナ嬢。私も持てる知識を活用してするさ。今日この場にはいないが、サラマンディーネ嬢の龍神器シリーズの案とも合わせた設計になるだろうから、皆の手助けになるものを作るつもりだよ。」
自信を持って宣言するゼンブリオ。
搭乗出来るパラメイルが全てラグナメイル以上のものになっていそうな勢いだ。
さて何が出来るやら……
ちなみにこの『放課後試験クラブ』の活動責任は
ただし貴族、平民の道楽程度の活動だろうと高を括っていたが、実際に行われていたのは、下はお菓子や特産品の開発や試食だが、上は戦況をどうとでも支配出来る兵器の開発───
……そんな事も露も知らない三国。
いつの間にかそんな責任を取らされる三国は血を吐いてもいいだろう。
「さて、5人の報酬は以上としまして最後に───ボーナス・タ~イム!」
「───ちょっとロザリー、早く早く!遅刻だよ!」
「待てってクリス!」
アンジュ達とは別に遅れてやって来たロザリーとクリスのペア。
彼女らもクラブのメンバーである。
「今日発売の限定品買いにいったら、遅くなっちまったよ。」
「欲張って買い過ぎるからだって。間に合わなかったら報酬無しだよ。」
「それだけは嫌だー!今月カツカツなんだよー!」
転生しようが仲の良い2人が急いで向かうと、他のメンバーが輪を作ってミニ・ディバイディングドライバーを装着したカルディナの後ろの高台にいた。
「──続いてヴィヴィアンの考えた数式で参りましょう……ハァアアァァーーッ!!」
ドライバーから放たれるエネルギーが地面を割る───ハート型に。
「あら、かわいい。」
「あひゃひゃひゃ!これは笑えるねぇ……やってる事は非常に無駄に高度だけど。」
「空間湾曲面を更に歪曲しているとは……なるほど、この数式で歪めているのだな。」
「応用すれば局地戦や限定的な使い分けが出来そうだが……意味があるかと問われれば、無いな。」
「でも面白いでしょ?」
「そうね、面白いから採用ですわ。」
「やりぃ~、ブイ!」
そこでは無駄に洗練された無駄のない動きの無駄な技術ではなく、決して無駄ではない、『実用的ではないが、応用の可能性を秘めた試験』が行われていた。
各自持ち寄った、数多のディバイディングドライバーの設定数式ではあるが、中にはアイディアチックな設定もある。
尚、実験に参加したメンバーには、実験結果次第で追加報酬が支払われる仕組みだ。
無論、良いものであれば高値が付く。
「戦略面ではルルーシュ考案の『深掘り型』」
「200mほどあれば、敵を落とすだけでも効果的だろう。」
流石は穴落とし大好き人間。
「実用面ではゼンブリオ先生の『空中展開型』」
「地面がなくとも空中に湾曲空間を展開出来るからね。」
空に空間湾曲の
ガトリングドライバーの、一歩手前の技術になりそうだ。
「アンジュ発案の『広域展開型』」
「エネルギーが無尽蔵なら、土地が出来そうじゃない?」
理論上は可能かもしれない。
「そして多数あったのが円形以外の展開ですわね。」
「四角、菱形、ハート、三角……エネルギーが円形より食うけどね。」
実用性があるかは不明だが、応用は出来そうだ。
「こんなところですか。これで以上でしょう……」
「───ちょーーっと待ったァァーー!!」
「あ、ロザリーとクリス。」
「何だよ2人共、どこ行ってたんだよ、遅いぞー。」
息を切らせてやって来たロザリーとクリス。
その両手には戦果となる大量の袋が。
「今日販売の限定品をゲットしに。」
「素直で宜しい。戦果は袋の数で解るわ。で、今来たって事は……」
「もっちろん、私らのも申し込むっ!」
「……大半は私がしたけど。」
「ク、クリス~、それを言わないでくれよ~。あ、これ設定した数式。ルルーシュ、頼むな。」
「それとみんなにはお詫びのお菓子。」
「二人揃うと図々しいのか律儀なのか解りませんわね。」
「やれやれ……今、準備する。」
「さて、私らは手伝うとするかい。」
そしてルルーシュや博士達が準備を進めている間、カルディナ以外束の間のお菓子タイムとなった。
「ようやく実験も終わりね~、今日からようやくぐっすりと寝られるわ。」
「そうですね~」
「へぇ~、これは美味しいわね。」
「うん、うん、いいの選んできたわね。」
「あぁ~、癒されるぅ~。」
「アースガルズ商会の新商品だって。」
「……カルディナさんに頼めば良かったと思うのでは??」
「───はッ!?」
「ロザリー、だが既に遅しっやつね。あ、これ美味し~。」
「それは判ってた。でも現地で苦労してゲットするのはまた違う。あと限定品も。」
「クリスはマメね。」
「うーん、これ食べ辛い~。べたべたする~。」
「さて、準備出来たぞー。」
「大トリはどんな現象を見せてくれるやら。しかしこれは……」
「大丈夫かい、これ?まともに機能するようなものじゃない気がするけど……」
「──あ、取れた、って私の飴玉ー!」
「あ~、実験フィールド内に落ちちゃったわね。仕方ないから終わった後で取りにいきましょう。」
「うう~」
「さて行きますわよ───ディバイディング・ドライバァアアアアッ!!」
本日最後のエネルギーチャージを果たしたディバイディングドライバーより、放たれたエネルギーが地面を割る。
同時にヴィヴィアンが不意に落としてしまった棒キャンディがその空間湾曲内に落ちた───
───閉じた。そして棒キャンディはなくなった。
「「………え?」」
これにはヴィヴィアンも、エルシャもびっくり。
───ではなく、展開したはずのディバイディングフィールドが最大展開を終えた後で、急速に閉じたのだ。
しかも、フィールド上部にあった砂塵、棒キャンディ等をまとめて落として、
現に、フィールドが展開した跡地のみ砂塵や緑等は一切ない、綺麗すぎる程に整地されていた。
その異様な光景に、一部を除いた全員が戦慄した。
「どーだー!?パッと開いてキュッと閉じる、面白いだろ~?」
「すぐに閉じるから実用性は低いと思う。精々フィールド上のゴミとかが下に落ちる程度……ロザリーの案。」
「いや……うん、面白いよ。面白いけどねぇ……」
「え、何?何でみんなそんな『おいおい、またかよ!?』みたいな目で見るんだよ!?」
「フフフ、お~め~で~と~う~!もうみんな目撃しちゃったねぇ……はぁ。」
「は!もしかして……『また』やっちゃった?」
「「「「………」」」」」
クリスの質問に、無言で全員頷く。
その無言の返答に2人は震えた。
「ジェレミア。」
「はい、ここに。ルルーシュ様。」
「事態は把握しているか?」
「……いえ、まったく。来たばかりで何が起きたかは解りませぬが……」
「……いや、それでいい。済まないが
「『また』、ですか……承知しました。」
何が起きたかは不明だが、雰囲気で察知したジェレミアは固有能力『ギアス・キャンセラー』発動。
生前に有していた能力は後付けでも持っているようだ。
そして『ギアス・キャンセラー』を受けた全員は
一息付いた後、全員(一部除く)の精神はズタボロになっていた。
「はぁ、はぁ……うっわ、私、なんて事を……」
「ヤバい狙われる、消される……!」
「わわわ、私は悪くないわ、あれはカルディナさんの命令でででdedede……」
「うにゃら~、あれ?黒い隙間から誰かが見ているぞぉ~??黒くてヌメヌメ~?テケリ・テケリ、イアイア……」
「ダメよ!!まだ見えてるの!?誰よ!SAN値計って正常だって言ったやつ!!」
……こいつら、いったい何をしでかしたのだろうか。
「……心配ない。まだ外部には漏れてない。大丈夫、大丈夫な、はず…-」
「……カルディナ、最後に一ついい??」
「……何かしら、ロザリー。」
「今回の実験結果、ちゃんと高く買い取ってくれる??」
「もちろん、記憶がなくったって言い値で買い取るわ。でも、無駄遣いは駄目よ?」
「……うん、わかった。」
それは別れの言葉にも聞こえる。
震えた身体をごまかし、涙を浮かべながらも必死に笑顔を作るロザリーとクリス。
その顔は少しは報われた、といった恐怖に耐えながらも安堵した表情であった。
「みんな、落ち着いたか?さあ、全員俺の目を見ろ───
──ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが命じる、今日を含めた今までの実験の『やらかし』を全て忘れろ!」
「「──!!」」
そして
悲しく、そして忌々しい記憶を消し去る為に───
「それじゃ、貰ったものは貰ったし、帰りましょ。」
「クリス~。報酬でまた買い物行こうぜ~!」
「ロザリー、さっきカルディナに注意されたばかり。ちゃんと大切に使う。」
「わかったよ~。そういやアンジュ、カルディナの実験、結局どうなったんだ?」
「……ああ、ちゃんと出来たって。あんた達2人は結局間に合わなかったから参加報酬。忘れてないわよね?」
「そうだったなぁ~。まあ、いい額貰ったからいいや──」
「……いや~、今回
「毎回ろくでもないねぇ。」
「判ってはいるのだが、我々も教師として見過ごす訳にもいかないし、学者としては興味深いので毎回参加するのだが……」
「……まあ、カルディナさんの実験ですから。」
『実験結果の顛末の記憶』が封じられてしまった事を尻目に、博士達が後片付けをしながらボヤく。
ルルーシュのギアスによる絶妙な記憶改竄も何のその、ロザリーとクリス以外も平静を装って試験場を後にする。
だが、その爪痕は深い。
「……またつまらん事でギアスを使ってしまった。」
「……ったく、報酬の額の良さに釣られ毎度毎度やらかしてしまう、自分達がもどかしいわ。」
「心中お察しますわ。」
「「誰のせい『だ・よ』!?」」
今回、ロザリーとクリスがやらかしてしまった事、それはかのGGGが危惧した『ディバイディングドライバーの兵器転用の可能性』である。
ただ、その運用には細心の注意を払わなければならない。
その最たるものは、フィールド修復時の空間融合に巻き込まれ大惨事になる事。
これは湾曲空間が復元する際その内部に一定以上の質量を持った物体が存在した場合、その物体は空間の復元力によって圧壊し、そしてそれと同時に物体と空間との反発によって生じたエネルギーが物体の圧壊と共に放出され、ブラックホーム並みのエネルギーが制御下離れ、暴発を起こす危険性がある。
つまり、空間復元時にフィールド内部に何かがあると、本来は非常に危険なのだ。
だが、今回起きた事は上記の条件を全てひっくり返してしまった。
レプリションフィールドの出力は瞬間的に高められるのみであり、レプリションフィールドも拘束力も弱く、瞬間的に発動するのみ。
するとディバイディングフィールドは即座に収縮、収束してしまう。
だが今回は空間修復時に異物があったとしても、フィールドのエネルギーは暴発はせずに、その物質が空間の歪みで押し潰してしまうのだ。
加えて展開したフィールドより2~3ミリ上にある物体はフィールド形成時に『湾曲空間に切り分かれる事なく落ちる』。つまり、展開されたフィールド上にある物体は例外なくディバイディングフィールド内に、落とされるのだ。
尚、その時間は、フィールド展開約1.526秒後、約0.743秒に収束。
空間に挟まれた場合、空間の壁に圧縮され、物体は強制的に3次元から2次元にシフトさせられる。また、「収束前に湾曲空間側面に穴を開けるッ!」等の脳筋思考は無駄だと、お知らせしよう。
更に更に、先程ルルーシュやゼンブリオ、アンジュ、他のメンバー達の数値による効果も合わせる事が可能であり───
「……そうなった場合の予想被害は、それはもう恐ろしいのぉ。」
「半径10㎞とか、そんな規模じゃないよねぇ~。エネルギー次第では100kmとか1000kmとかいけそうだし。」
「そこまでいったら国土なんて関係ないねぇ。更には発動にかかるエネルギーが半分以下なのが怖い。被害を減らすどころか、被害しか出さない、更地にするだけして、破壊だけ効率の良すぎる大量殺戮兵器の出来上がりさ。」
「人を巻き込むどころか土地、いや国を丸ごと葬れる。まさに『国殺し』と言えるものが出来たとは……」
「『国殺し』……表現が現実味を帯びてますね。」
「冗談誇張が含まれないのが、ヒドイところだねぇ~、アハハハハ……はぁ。」
尚、こういった事態を想定して、
現在カイン、アベルにも依頼し、同時進行中だ。
ちなみにロザリー、クリスは今までの実験で全体の2割ほどの『やらかし』をしている。
その度に記憶はギアスで封じられている。
そして報酬は現物以外は8割ほど貯金に回され、卒業時に渡す予定だ。(クリスの希望)
「……で、どうすんだい?」
「例によってカルディナお嬢様に丸投げかな~。
「今までの成果……う、頭が!」
「下手に思い出さない方がいいよ。ゼンブリオ先生。僕らもギアスで特異な成果の記憶を封じて貰っているからね……思い出さない方が幸せな記憶もあるからねぇ~。」
「……うふふ、SAN値チェック、はいりま~す。」
「セシル君も止めなさい……あれらは色々、人類には早過ぎたからね~。」
「プリン伯爵ぅ~、あんたは大丈夫なの?」
「何言ってんだい、狂わなきゃやってらんない時もあるさ~。」
「……まったく、お前さんらは本当に肝が座っとるのぉ。わしには怖くて出来んなぁ。」
「「「「………」」」」
「な、なんじゃ??みんなして一斉にわしを見て……」
「いえ、最初に究極に危ない設定数値を提出して、第一実験場を崩壊させてしまった先生には敵わないなぁ、と思いまして。」
「……悪かったのぉ。ロザリー君とクリス君以上の苛烈な現象を叩き出してしまって。」
「あれが今回、最上の被害でしたからね。」
追々に魔法使いとなった科学者の博士達も苦言する、のほほ先生がやった事───
それはディバイディングフィールドを形成する際に、出力不足で各々のフィールドが空間修復を行う前に消失、
当然、周辺の圧縮空間はそのまま実体化、実験場のグラウンドが抉れたままとなったのだ。
被害を減らすはずのディバイディングフィールドが出来上がる光景が、見たままの『空間を切り開いた』被害光景となった………人的被害が皆無だったのが救いだ。
………お判り頂けただろうか??
ディバイディングドライバーならぬ、『ディバイディング
「……とは言え、ねぇ。そんな力が必要かって言われたら、僕はゴメンだねぇ~。」
「私も」
「私もです。」
「私もだ。」
あくまでKMFやパラメイル等の機動兵器を作りたい博士達には、ディバイディングブレイカーのような技術は必要ないようだ。(ただし、応用はする。)
むしろ、それを打ち破るぐらいの機体を作る事に意欲を燃やしながら、博士達は後片付けを続けるのだった。
魔法の自主練習をするアンジュ達の声が遠くに響きながら………
「行くわよバルデッシュ! ライオットォォ……ザンバァァァーーー!!!」
「ブラスタァァァーー、スリィィー!!! スターライトォォ……ブレイカァァァーー!!!」
………何やら不穏な叫びが聞こえるが、これが魔法学園の『放課後試験クラブ』の日常であった。
ちなみに、その中核のカルディナは、ルルーシュとアンジュにお説教をされ、最後に「めきょ!」な
「さて、色々ありましたが、無事ディバイディングドライバーが完成しましたので、よしとしましょう。」
色んなやらかしを事を横に置いて、帰りの馬車の中ではしゃぐカルディナ。
当初の目的が果たされたのでよしとする。
「ディバイディングドライバーの本体も受け取りましたので、帰ったら早速試運転を、ねぇ、フミタ───」
「………す~、す~………」
「……あら、疲れたみたいですわね。」
珍しく馬車の揺れで寝落ちするフミタン。
普段のクールな態度からは解らない程に可愛い寝顔に、赤い髪が可愛く揺れている。
そんなフミタンに掛かる髪をカルディナは優しく払う。
「………今日もありがとう、私の我が儘に付き合ってくれて。」
そんなフミタンにカルディナは優しく語り掛ける。
今日は久々に楽しい一日であった。(誤弊あり。)
明日もこのようにバカ騒ぎ出来ればいいと思うカルディナ。
………だが、その思いとは裏腹に、その後もフミタンは眠り続けた。
《NEXT》
完成したディバイディングドライバー。
そしてドルト
同時に、教皇国やゾンダリアン達が暗躍を進める。
鉄鋼桜華試験団に全てを託し、出立した彼等を見送るカルディナであるが、目覚めぬフミタンに対し、予てより予定していた事を実行する。
増強される戦力が並ぶ中で、それは他愛もない事であった筈だが、この世界に隠された絶対の脅威がカルディナ達の前に現れる。
暴かれ、目覚めるは終焉を告げる存在。
……この世界は滅ぶべきなのか??
いいや、そうはさせない。
かつて絶望に打ちひしがれた少女の想いが今、切り開かれた湾曲空間の中で響く。
「必ず、助けるからッ!!」
……試されるのは、結ばれた絆か、絶対の力か。
今、試練の時!!
次回『公爵令嬢は、ファイナル・フュージョンしたい』
Number.22 ~暴かれし『終焉を告げる存在』~
これは……勝利の鍵と、なりえるのか!?
『内蔵弾丸X』
《現在、公開出来る情報》
〇ディバイディングドライバー
地面に打ち込んだディバイディングコアを中心に、レプリションフィールドの次元反発作用によって空間を押し広げ、それをアレスティングフィールドによって固定。直径10kmにも及ぶクレーターに似た平地の空間を約30分程発生させる装置。通称D.Dツール。
本作ではカインの助力もあり、その範囲設定や継続時間、効果範囲をある程度自由に設定出来る。
ただし基本的な設定、被害は書かれた通り。
〇放課後試験クラブ
カルディナが魔法学園に在籍する異世界人を集め、その知識で開発、試験評価を行う集団。
クラブ活動と銘打つが、内情は第二の鉄鋼桜華試験団。
女子が多いため、女子向けの開発を主としているが、それ以上に生活費を稼いでもらうためのアルバイト斡旋の側面が強い。
ただ、裏では異世界にまつわる開発も行っており、開発者はその度に口封じされているとか……
そのため、隠蔽された数々の開発物、成果があるが、そのほとんどがカルディナ・ヴァン・アースガルズが接収しているという噂が……
だが、それは事実無根であるが証明出来る証拠もないため、全ては闇の中である。
《現在、公開出来ない情報》
◯ディバイディングブレイカー
『放課後試験クラブ』謹製、危険物No.13号。
ディバイディングドライバー開発中に偶発的に出来た設定値を元にしたディバイディングドライバーの変化型。
A式:奈落墜落圧殺型、B式:瞬間圧殺非復元型の2種類あり、どちらとも一瞬で発動使用エネルギーが3分の1というエコロジー兵器。
しかし『被害を最小限に留める処置』は一切なく、結果的に広域無差別破壊兵器となった。
尚、設定された数値は10×38×97分の数値を入力する必要がある。
また話の参考にニコニコ動画の「冥王少女リリカルなのは」のネタを一部参考にしております。↓
https://www.nicovideo.jp/watch/sm5184410
だがこの程度、次元連結システムのちょっとした応用da!
冥王様はまだいないよ!
※ちなみに、筆者は「リリカルなのは」本編は未視聴。MADのみです。