公爵令嬢は、ファイナル・フュージョンしたい。   作:和鷹聖

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どうもです!
ゴールデンウイークは皆様、どうお過ごしでしょうか?
私は子供に振り回されながら、仕事に夜勤ばかり。
コロナも規制が低くなるとはいえ、まだまだ油断ならないこの頃。

……患者、利用者を扱う仕事に『連休』などない。
……宿泊?観光?ナニソレオイシイノ?

まあ、平日に休みがあるのである意味では役得なところもあったり。
それに今更3日以上の休みをもらっても身体が『??』となることもあります。

それはさておき、物語はある意味一区切り的なものに入ります。
『終焉を告げる存在』が何なのか?
今まで色々ネタはちりばめていましたが、解る人にはわかるでしょう(タブンネ)

……ただ、話が少し伸びるのはご容赦下さい。(妥協出来なかった)
……また、演出・表現が行き過ぎでは?というところもあるので、ご容赦を。(設定盛り過ぎ?)

ではどうぞ!


Number.22 ~暴かれた『終焉を告げる存在』~(1)

 

◯アルドレイア王国 城内王室執務室

 

「……よし、これでギャレオンの2号機、そして3号機の開発の目処が立った。」

「では、予定通りに……」

「ああ。王国技術科の者達に通達せよ。3号機の『ガオーマシン』の建造に着手せよ、と。」

「御意に。」

 

王国城内執務室にて、国王レクシーズと、ガオガイガー開発にも携わったミハイルがいた。

カルディナの愛機『マギウス・ガオガイガー』の核、試作型(マギウス・ギャレオン)を元にした次世代型(ギャレオンの2号機)と、2機をブラッシュアップした最新型(ギャレオンの3号機)を創る計画である。

2号機はマギウスの成功と失敗を元に、この世界の魔法と三重連太陽系の科学技術で創られる、カインのギャレオンとカルディナのギャレオンの『次世代(ネクストナンバー)』として開発される。

そしてその2号機を元にアルドレイア王国初の『国王機(フラッグシップ)』として誕生させるのが、レクシーズが搭乗者として製造される3号機なのだ。

2号機はカルディナの工房で着手、完成間近である。

その後、3号機を王国の工房で………と言いたいところだが、核となるギャレオンは残念ながら王国主体では再現・製造が出来ないとレクシーズ、そしてミハイルが結論付けている。

 

「無理に創ろうとしても、我々王国の技術者だけではギャレオンに備えられている魔導演算機(ブラックボックス)を1から製造するに必要な技術を習得するには、それこそ三重連太陽系が歩んで来た歴史を辿るぐらいの時間が必要かと……特に、マギウスギャレオンのものは殊更です。」

「……充分、同意出来る意見だ。」

 

現行の魔導演算機(マギウスエンジン)がようやく満足に製造出来始めた王国の技術者には、難しい話だ。

特に、マギウス・ギャレオンはシステムの癖が強く、レヴォリュダーの能力で常時アップデートを繰り返す為、カインやアベルですら完全な解析が出来ていないので、マギウスのコピー品は絶望的である。

むしろ、フレーム以外を独自に創った方が早いと全員が意見一致している(一部を除く)。

現に、王国独自にマギウス・ギャレオンのデチューンモデルを建造しようとしたが、見事に起動すら出来ない失敗作が出来ている。

ならば意地を張らずにギャレオンは委託し、出来る可能性のあるガオーマシンを王国側で創る事で決定となった。

また、どの様なデザインするか、合体機構等の構想(モチーフ)は既に大まかに決まっている。

 

「それでも困難を極めると思われますが、全力で着手致します。」

「とはいえ、マン・ロディの改良型『グランドマン・ロディ』は成功している。無下になる必要はない。」

 

ランドマン・ロディをガンダムフレームを元にした新型ロディフレームでブラッシュアップしたMS『グランドマン・ロディ』。

ロディフレームの汎用性と拡張性の優秀さはそのままに、全長を伸ばしつつ剛胆性を突き詰めた、騎士好みの機体に仕上がった。外観は重装甲の鎧騎士、といったところ。

こちらは王国主導でやってもらった結果、成功した事例である。

『お嬢様の工房(アトリエ)』での、あの辛く仰天の日々が成果を結んだのだ。

 

「カルディナの下で学び、培った力、存分に振るうが良い。吉報を待つ。」

「御意に。」

 

ここに、アルドレイア王国による、国王機製造の計画が始まったのであった。

 

「しかし……はぁ。」

「陛下??その書類がどうかされましたか?」

「ああ、2日前に魔法学園でカルディナ達のサークル活動で行われた内容と成果物の報告書だ。よくもまぁ、毎度毎度問題ありきの発明、開発しか出来んのかと関心していたところでな……見てみるか?」

「では……ふむふむ……ぐふぉ!?」

「……口外するでないぞ。」

「で……出来ません、こんな内容は……!」

「それで驚くな、他にも似た『C(カルディナ)ファイル』行きのものはゴマンとある。」

 

先日のディバイディングドライバーの件である。

安全な空間制御ツール(ディバイディングドライバー)が出来たと思ったら国を滅ぼせる(比喩無しの)代物(ディバイディングブレイカー)も出来た。

即座に『Cファイル(特定機密文書)』行きだ。

 

「……いつからうちの国(アルドレイア王国)はこんなものを持つようになったのでしょう?技術革命とは恐ろしい───とか言う次元ではないですね。カルディナ嬢だから出来る事なのでしょう、これは。」

「まったくだ。あの娘がいたからこそ、ここまで、このようになったのだ。恩恵は計り知れないが、その分の何かしらの苦労は付いてくるがな。」

「……御自愛致してくださいませ。」

 

苦笑いでレクシーズの身を案じるミハイルの言葉の通り、確かにこのようになったカルディナの恩恵は計り知れない。

カルディナの存在が始まりとして、三重連太陽系にまつわる者達との出会い。

今のアルドレイア王国が魔獣番の国と揶揄されていても、今では軍事面でも文化面でも発展が素晴らしいと感じられる(ただし、他国には秘匿)。

 

その事に恩義を感じるが、時には過分過ぎるのでは───心配が過ぎるともレクシーズは感じる。

 

(だが、我々がそう思うだけで、あの娘には今後はもっと良くない事態が起きる───そう予測する左証か。現にそのような事を想定する、実験の申告書が山ほどある。確かに前代未聞の事態にはそれ位で臨まねば。さて……)

 

改めて己を律したレクシーズが、カルディナより送られて来ている、紙の書類であれば山になっている申告書のデータを消化しようと目を通す中、昨日送られて来た中に、気になるものがあった。

 

「……『あの者』の、身体検査??しかも早急に、か。何があったのだ?」

 

それは、おおよそ告げる必要もない申告書だが、珍しく最優先で確認して欲しいとの念押しがあったもの。

それにレクシーズは些かの不安を覚えた。

 

 

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

◯???

 

「──皆、一通り使って貰ったけど感想はどうかしら?」

 

紫の木の幹がひしめくとある場所───ゾンダリアンの本拠地に、機界四天王が面と向かっていた。

その中でも一際目立つのが『赤い魔女』とも言える紅一点の存在、プレザーブが他の3人に意見を求めていた。

 

「劣化体よりは強く、機界昇華も阻害因子に邪魔される事無く出来ましょう、しかし……」

「まだ劣る。改良型といえど、少なくともあのカインの遺産モドキには勝てていない。」

「ウィルルルル、他にもイレギュラーもいる。総合的に『満足に動けても勝つべき相手には勝てない』と言ったところだ。」

「……でしょうね。評価ありがとう。」

 

3人の意見を聞いてプレザーブは丹念にメモを残す。ゾンダリアンの所作としてはあり得ないものだ。

その光景に、ピッツオ・ケリーを始め、ポレントスやペスカポートは疑念を抱く。

 

「プレザーブ……それは必要な事なのか?我々はゾンダリアン。下等な人間共に後れを取る事など───」

「───あるからこうなっている、ではなくて?」

「ウィルル??」

「何が言いたいのですかな、プレザーブ。」

「……そうね、この際だからはっきりと言いましょう。『我々は負けている』と。」

 

明らかにゾンダリアンらしくない発言を言い放つプレザーブ。

侮辱と受け取りかねない発言であり、明らかに不機嫌になる3人であるが、手を挙げるような事はしなかった。

 

「その理由、聞かせて貰いましょうか。」

「ああ。だが我々が納得しないような理由であれば……」

「ウィルルルル。容赦はしないぞ、プレザーブ。」

「ええ、勿論よ。」

 

あくまでも話は聞く姿勢を取る3人であった。

 

「私が改良型ゾンダーメタルを開発した事で、この星に蔓延するゾンダーに対する阻害因子──『魔力(マナ)の残滓』により劣化体に出来なかった『機界昇華』の機能を取り戻した事はご理解していますわね。」

 

ゾンダーがこの星で十全にその能力が発揮出来なかった理由、それは───

 

───阻害因子『魔力(マナ)の残滓』

 

そもそも魔力(マナ)とは、無機的量子エネルギーが有機体、もしくは電子信号に対し感応性の性質を持つように変換された、感応型量子エネルギーである。

それはあらゆる感情に対し、術式の効力に沿ってその力を発現する効力を持つ。

その性質だけ聞けば、ゾンダーとの相性も非常に良いと思われる。感情に対し作用するなら、マイナス思念と非常に相性が良い……はずであった。

しかし現実は作用しない。

それどころか他のエネルギーよりも効率が悪いものとなり、足枷にしかならなかった。

その原因こそが『魔力(マナ)の残滓』。

その正体は、魔法を使った後に残る、生命の持つ数多の感情が混沌とした僅かな値の魔力(マナ)の残留エネルギーである。

 

喜怒哀楽と、人は生きる上で様々な感情が現れる。魔力(マナ)に込めた感情はエネルギーを含み、自然界を漂うが、生物や人体には全くの無害なモノだが、これがゾンダーにとっては厄介物に他ならない。

無尽蔵に、無差別にエネルギーを吸収するゾンダーにとっては、マイナス思念のエネルギーの他、()()()()()()()()()()()をも取り込んでしまい、更に一定量蓄積すると勝手に再増幅を行う魔力(マナ)はそれぞれ対消滅を引き起こし、機界昇華に必要なエネルギーの精製を阻害され、確保出来なくなってしまうのだ。

そして活動するだけでエネルギーの対消滅が続くようになってしまい、これらを防ぐ為に『オブジェ』と化し、通常のゾンダーが『劣化体』へ成り下がる要因となる。

ちなみに、劣化体がゾンダーロボ化出来るのは、なけなしのエネルギーを用いた自己防衛なのだが、過去に幻晶騎士(シルエットナイト)にゾンダーメタルを使用した際にはその反応は著しく、魔力転換炉(エーテルリアクタ)がエネルギーの対消滅を更に加速させ、ゾンダーの活動に更なる停滞を強いられた。

そのため、幻晶騎士(シルエットナイト)をゾンダーロボにする旨味はあまりにも少ない。

これは触媒結晶を介さずに源素(エーテル)を使用すると起きる現象であるが、限定的な行使しか出来ない有機生命体には関係のない事であった。

であれば、同じく量子エネルギーである源素(エーテル)をエネルギーとして使えば良い──と当初は仮定したのだが不可能であった。

 

源素(エーテル)は有機性質を持つ存在には作用しませんね。それはゾンダーでも一緒です。」

「ゾンダーはマイナス思念を持つ者により強く作用するが……それは有機生命体を取り込んでこそだ。まさかそれが裏目に出るとは……」

 

この結果が判明した時、パスダーも機界四天王も頭を抱え、絶望した。

『有機生命体取り込んだら使えません』とか、源素(エーテル)の判定が酷い。

エネルギーの取捨選択をゾンダーに強いるこの星は、ゾンダーには優しくない。(結論)

 

「……なので触媒結晶を取り込み、ゾンダー用に魔力(マナ)を使えるようにした改良型ゾンダーメタル『Z・インプラント』を作った訳だけど……あくまでエネルギーの収集を効率よくしたものにしか過ぎないわ。副次的にはゾンダーロボ自体の性能を上げはするけど、今回の問題とは別。」

「では、どんな問題が?」

「戦略的な問題よ。」

「戦略、的……?」

「ええ。機界昇華を行うために、ゾンダーロボにエネルギーを蓄えさせてゾンダープラントにまで育て、機界昇華の要『素粒子Z0』を精製して散布し、他の物質を機界昇華する………その過程こそが問題よ。」

「ウリィ??どこに問題がある。完璧ではな──」

 

──ゴリッ、ゴリゴリゴリ……!

 

「ヴリィっ!?」

「………ど・こ・が『完璧』よ。機界昇華に重要なゾンダーロボを護衛もなしに放り込んでおいて、こちらはやられるのを高みの見物、それのどこが『完璧』なのかしら?抵抗勢力が来てもゾンダーロボにお任せって、むざむざ『殺って下さい』と言っているようなものでしょう?現に4回、4回襲撃したはずなのに、全て破壊されているわ。しかもいない筈の『カインの遺産モドキ』と『破壊マシン』の手によって。それで何も手を加えないのは馬鹿なの、馬鹿じゃないの??」

「で、ですがプレザーブ。今まではそれで良かったのです。ここまで抵抗する事など無かった──」

「──なければ放置?以後は問題なし??もしくは悪化するまで放置かしら?手駒が無くなって後がなくなったら四天王の登場??その段階で、最早()()だという事が解らないのかしら、えぇ??」

「ウィルルルル!!わかったわかった!わかったから頼む、杖の先端で私をゴリゴリ削るのは止めてくれ!何か削りカスが出ている!」

「あ~ら、失礼。」

 

懇切丁寧に杖を細かくねじるのを止めるプレザーブに、鋭い指摘を受けて挙動不審になるポレントス。

そして心底ホッとしたペスカポートの眉間に穴が掘られたのを見たピッツォ・ケリーは「確かにそうなんだが、何だこの茶番は。」と思っていた。

 

「それ位にしておけ、プレザーブ。確かにお前の意見は正しいところもある。だが、具体的にはどうするつもりだ?」

「今までのやり方を変えるわ。これまでならポレントスの言う通り『さして問題のない場合』はそれで良かった……ですが、『カインの遺産モドキ』と『破壊マシン』がいると思われる現状であれば、御伽噺の主人公に魔獣を少しづつ差し向けて、戦わせて、困難を大きくしつつも経験させ、そして大物に……私達を討てるように『育て上げる』ようなやり方になりかねない……ですが、私達の本来の目的は『機界昇華』。それだけを達成させるなら、人間を秘境にでも拉致してゾンダーメタルプラントに育て上げるまで防衛に徹すればいいのでは、というのが最善ね。」

「だが、問題は二つあるな。まずゾンダーメタルを植え付けた人間は、ストレス発散の()を攻撃すべく行動する習性がある。あの『破壊マシン』はゾンダーロボになった瞬間、感知して飛んでくるぞ。しかも二つ目に戦力、あの『カインの遺産モドキ』は我々の想像を絶する。」

 

感知し、文字通り飛んで来る。そして一時的にだが光速でもやって来る。

ゾンダー側にしてみれば、存在自体がヤバい(マギウスは反則)

 

「ウィルルルル。もう一つは他の機械人形共にも劣化体と言えど倒す力を持つ奴が存在する。お前の言葉通りなら、そいつらも脅威になりそうだ。」

「ええ。その体制は既に整えられているでしょう。『カインの遺産モドキ』を始めとしたあの集団は、私達の特性を事細かに知っている、と結論付けてもいいわ。」

《………つまり下等な人間共と見下している場合ではない、という事か、プレザーブ。》

 

そこに現れたのは機界指令パスダー。

紫の壁が割け、その禍々しい巨顔が現れる。

一同は一礼し、パスダーを迎える。

 

「はい、その通りです。我々は認識と、これからの行動を改めるべきかと。」

《一理ある。だが、どうするつもりだ?》

「それに関しては私に策が御座います………とは申しましても捻りもない、正道なやり方ですが。」

「正道の策だと?どんなものだ。」

「フフフ、簡単な話です。一番の脅威と成り得るのはあの『カインの遺産モドキ(マギウス・ガオガイガー)』。そして取り巻きも脅威ですが、今の時期で奴らは勢力を分断する兆しがあると、情報を得ました。故に獲物を狩るのであれば───」

 

妖艶に笑うプレザーブ。

その策は『獲物を狩る』のに相応しいものであったが、同時にそれが眠れる獅子を起こす行為と知るには、時既に遅かった。

 

 

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

〇ギャラルホルン教皇国 聖堂中央議会場 ???

 

「………いけません、いけませんねぇ。」

 

白を基調とした華美な装飾の仮面を被った人物──枢機卿は嘆くような振る舞いで議会場にいる人物達に語り掛けた。

 

「我らが崇拝する『アグニカ様』の寵愛を無下にする方々へ、()()()()()()()()()()人を送りました。しかし………聞き入れて頂けませんでした。送った方々は皆捕らえられ、そして無残に殺されてしまったという……いけません、いけませんねぇ。我らが寵愛、『アグニカ様』の寵愛を無下にする……その何たる罪深き事か。他の皆々様、どう思われますか??」

 

『『『神罰、神罰、神罰!!』』』

 

「アグニカ様はこの世界の神である。その寵愛を無下にするとは言語道断。赦し難き重罪でありましょう。」

「しかし、聖女様をお迎えに参った信徒はどうしたというのだ?」

「一緒に同行したのだが……連絡が途絶えましてな。」

「では他の者達と一緒で処されてしまったのか……」

「赦せん!信徒を害する等!そして聖女様は我等カイエル教の元でこそ、その真なる力を発揮する。」

「『聖域』の様子はどうですかな?」

「……未だ、非常に不安定です。他の聖女様も『祈りを捧げている』のですが、芳しくありません。」

「『聖域』の安定はカイエル教の、ギャラルホルン教皇国の、ひいてはこの世界の安寧の為にある。」

 

口々に()()()()()()()()()()()()()()()聖職者達。

無駄に肥えている輩が多いためか、華美な装飾を携える輩が多いためか、下品な表情で語るためか、その言葉は何とも()()()()

ちなみに、グレイズ4機が乱入してきた事件では、密かにカイエル教の間者が来ていたが、『影』が全て始末、もしくは捕らえた。

後の顛末は……ご想像にお任せする。

 

「しかしどうする?」

「教皇国の兵にも協力を仰いだ結果がこれだ。残念だが教皇国の力も大した事がない様だ。」

「それは言い過ぎですぞ。まだ未熟な若輩、長のエリオン卿もケツの青い若造なのです。たかが数度の()使()()が出来なくても、もう少し暖かい目で見てはいかがかと……」

「とは言え、これ以上の失態も看過出来ない。とあれば……」

「ええ。非常に心苦しいですが………心迷える子羊達には教団の『子飼い』を用いる事とします。許可の程を……」

 

枢機卿の声に全員が静かに挙手する。

その動向に仮面越しでも不気味に笑った気配が、枢機卿から感じ取れる。

 

「……ありがとうございます。これで心迷える子羊達は無事、寵愛を受ける事になるでしょう。そして我らの『生きる繋がり』が広がる………昏き世界に聖なる(ともしび)を!そして我等に『生きる繋がり』を!」

『『『『昏き世界に聖なる灯を!そして我等に『生きる繋がり』を!』』』』

「──Amen(アーメン),Hallelujah(ハレルヤ)

 

非常に盛り上がる議会場。

しかし、そこに渦巻くのは()()()()()()()()()()()()()()()()()の邪悪であった。

そしてギャラルホルン教皇国より、更なる脅威がアルドレイア王国に差し向けられるのであった。

 

「………フン、道化共が。」

 

その陰にいた、黒い存在の吐露した小さな呟きをかき消して………

 

 

 

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

 

〇アースガルズ領 第14工房

 

 

「──じゃあ、頼みますわね。」

《ああ。お膳立ても済んでんだろ、どうにかしてみせるさ。むしろ……お嬢の方が気を付けてくれ。昨日の話を全部鵜呑みにしたくはねぇ……普通はそんな事、ある訳ねぇと思いたい……が、全部否定も出来ねぇ。万が一何かあった時は……最低でも生き延びてくれ。皆の為にもな。》

「……善処するわ。」

《頼むぞ。》

 

モニター画面の映像が切れ、交信していたオルガを画面越しに見送ったカルディナは、ため息を一つ吐く。

ドルト工業集落(コロニー)の問題に、アースガルズ商会の使いとしてオルガ達、鉄鋼桜華試験団を送ったのだが、カルディナはその道中には同行しなかった………いや、出来なかった。

 

カルディナが持つ工房はアースガルズ領だけでも多々あるが、ここは周辺に集落や拠点もない辺鄙な場所にある第14工房。

ある意味特別な場所である。

カルディナが一時的でも見られたくない成果物の保管や、隔離したいものの保管場所……

今回は後者が当てはまる。

 

──ピピピッ

 

「ん、このコードは……陛下ですわね。はい、こちらカルディナです。」

《私だ。申告書は読んだぞ、どういう事だ?》

「……ご報告の通りです。あくまで可能性、の話ですが。」

《……今まで、そんな予兆があったのか?》

「ありませんでした。ただ当初から……いえ、()()()()見当は付けていましたが。完全に勘、ですが。」

《勘……確かにな。読んだ内容の限りだと、信用するに足らん。人員を割く今の時期にすべき事かと疑問すらある。》

「……はい、その通りです。ですが───!」

《──否定はせん。今回の事は目を瞑る。思う通りに、納得するまでやれ。不確定要素は排除するのだ。緊急時は報告だけは忘れるな。お前の命は、お前だけのものではないのだ……》

「大いに……感謝致します。」

《ただし猶予は一週間。それで何もなければ、この件は終わりだ。ただ気のせいかもしれん……以上だ。》

 

そしてモニターは切れる。

レクシーズにこれから起こらんとする事に許しを得たカルディナは、安堵すると同時に気合を入れ直す。

そこに機を待ち、声をかけて来た者がいた。

 

「カルディナ。」

「やあ、話は終わったかい?」

「アベル様、カイン様。この度はご迷惑を……」

「──今更です。逆に貴女からの迷惑なんて放置すれば余計な厄介事になりかねません。」

「気にする事はない、事が事だからね。」

 

ミニ・ガイガーとウサリンmk-Ⅱ姿の2人であった。

しかし元の姿より違和感がなくなってきた、そう思う。

特にアベルの姿は最近妙に可愛いウサギ人形が進行している。

多々いる女性スタッフの意見が惜しみなく『可愛い』をつぎ込んでいるため、その可愛いウサギ人形ぶりが凄まじい。その度にツンな言動で返すアベルだが、行動自体はまんざらではないと出ている。

やはり、カルディナは元の姿よりこちらの方がしっくりくると思っている──

 

「何か??」

 

ウサリンが担ぐピコピコハンマー(当たれば光になるやつ)ちょっと光って(…何か言いました?と勘繰り)驚いた。

 

「しかし……やはり()()()()()で、どうにかならないものかな?」

「はい、昨日から散々試しましたが、やはり……」

「今、V.Cが検査していますが、今のところ何も出ていません。取り越し苦労でしょう。まあ何かあったとしても、昨日ようやく造り上げた新型装備や、新型の『内蔵弾丸X』があります。」

「アベル。」

 

リボンで装飾した自身の胸を小突くアベルをカインが諫めた。

 

───新型『内蔵弾丸X』

それはGGGが開発した『Gストーン』に作用し、エネルギー生成能力を励起させるシステム『弾丸X』を参考に開発された新たなるGSライド増幅機関である。調整次第でその出力を極限にまで高め得る可能性を秘めているのそのままに、ミニ・ガイガーにはGストーン用のもの、ウサリンmk-ⅡにはJジュエル用の内蔵弾丸Xが内蔵されている。

ただし、そのスペック故にGストーンやJジュエルの機能を失う危険性も排除出来ない要素も継承してしまっている。

 

「まあ……使わない事を祈っている事ですね。」

 

カインの言葉に一間置いて首を振り、やれやれといった様子そっぽ向くアベル。

その後ろ姿を見ているしかないカルディナとカイン。

 

「すまないね、アベルはああ言っているが、本当は……」

「……判っています。アベル様なりの気遣いでしょう。『躊躇うな』と。もしそうなった場合、()()()()()()()()()()()()()。世界が終焉を迎える前に……」

「心得ている……しかし、本当に間が悪い。遠征さえなければ、多少の戦力も……」

「いえ、死者が増えるだけです。それに、何があっても良い様にあえてこの場所を選んだのです。」

「まあ、過剰な守りを見せてしまえば、逆に他に警戒されるし、街中や工房では周辺の被害は計り知れないからね。ディバイディングドライバーがあっても難しい。」

「万が一の遊撃役にはアグニカさんに担当して貰っていますし、例えギャラルホルンが来ようとも殲滅して下さいますわ。ゾンダーが来ようとも、討伐だけなら可能……それに散々検討しましたが、対処出来る人間が……私だけですから。」

「……そこまでしてやりたいんだね、彼女に。」

「はい。私を救ってくれた……唯一無二の親友ですから。」

 

切なげな表情を見せるカルディナは、もう一つのモニター画面越しに映る医療用ポッドの中で揺蕩う、今も眠る人物───『フミタン』を見つめるのであった。

普段見せる事の無い不安げな姿を心配しつつ、カインはモニター越しにいるV.C(No.04)に声を掛ける。

 

「……V.C、彼女の容体は如何かな?」

《バイタルサインに異常はありません。ですが、睡眠周期でレム睡眠状態が長く続いているのが少々気になります。》

「脳が活動を続けている……という事か?だがそれだけでは判断しかねないね。脳波はどうかな?」

《通常計測されているパターンです。》

「わかった……そのまま観測を続けてくれ。」

《了解致しました。》

 

画面越しのV.Cは頷き、再び観察作業に戻る。

また、この工房いるのはカルディナ達の他、偽装した『影』が数名いる程度の最低限。

誰もが何もなければ、と願っているが先が見えない。

 

「……長丁場になりそうだね。」

「そう、なりそうですわ。」

「暇潰しが欲しいところですね。」

「あ、そういえば……王国側で造りましたマン・ロディの改良型『グランドマン・ロディ』の評価と、マギウス・ギャレオン(モドキ)の習作を預かっていまして。新型ロディはともかく、ギャレオン(モドキ)の方はシステム系が悪いせいなのか、ウンともすんとも動かない、との事でその原因を突き止めて欲しいと頼まれてまして……」

「何ですか、それは……そこまでのポンコツなら、逆にまるっとシステムを書き換えれば、スッキリするのでは?」

「習作ですからね……というか、やってみます?現物は隣のフロアに。AZ-Mとリキッド液、他機材なら潤沢にありますが。」

「……私に振れば、そのギャレオンモドキが赤の星仕様になりますが。」

「え、何ですの、そのワクワクする改造プラン。」

「良いでしょう、AZ-Mとリキッドを寄越しなさい、ストレス解消に……キッチリ改造して差し上げます。」

「只今。」

「……お~い、何を不穏な事を言っているのかい?」

「カイン様はどうします?」

「しないとは言っていないよ。」

 

別の意味で不穏な事を言う一同だが、『やるな』というブレーキ役がいない事が悔やまれる。

ちなみに、元より合格点を貰ったグランドマン・ロディは、カイン、アベルから細かい修正点を受け、おおよそ再現不可能なシステムへと組まれ直され、ギャレオンモドキは中身がまるっと赤の星スペシャルにされたが、手間のかかるJジュエルも再精製しないと動力源が確保出来ない事に気付き、泣く泣く魔力転換炉(エーテルリアクタ)で動くように再調整するハメになった。

 

しかし、それ以上の事はなく、何もないまま、一週間が経過してしまう───

 

 

 

────ゴゴゴゴゴッ!!

 

それは突如起きた。

作業が一段落し、もう何もないのではと思いかけたその時であった。

突然の地鳴りが響く。地下にいるカルディナ達にはそう感じるが、これは───

 

「連続する爆発!?しかも人為的な……V.C!!」

《周辺に大型の動体反応を確認。映像、出します。》

「あれは……ロボット!?」

 

モニターに映し出されたのは、煙の中に(そび)える4つの影。

 

下半身に車輪を持ち鎧を纏う、大楯を持つ者。

4本の主砲と数多の副砲を持つ、戦艦の形に偽装した者。

赤い魔女のような、杖を持つ者。

空を舞う、鳥人の姿をした者。

 

全てが30mクラスの鋼鉄のロボットであった。

更に───

 

「くぅ───!?」

「カルディナが反応した!まさか──」

 

カルディナの感知能力に反応し、4体のロボットの後ろに急速に生えて来た、鉄鋼色の大きな木。

所々電飾のような光を点滅するように放ち、尚且つ底部のスラスターで宙に浮いているそれは───

 

「ゾンダーだと!?だが、この距離になるまで何故、感知出来なかったのです!?しかもあれは───」

「空こそ飛んでいるが……ゾンダーメタルプラントのようだ。」

《では、あの4体のロボットは……!》

「感知出来ないゾンダー……まさか、あいつらは───V.C!!」

《了解。緊急コール発令!マギウスマシン、緊急発進!ファイナル・フュージョン要請!ディバイディングドライバー、スタンバイ!!》

「───ギャレオォォーーーンッ!!!」

 

まさかの事態に、カルディナは誰よりも早く、速く外へ走り、ギャレオンを呼ぶ。

 

「イークイップ!フューーージョンッ!!マギウス・ガイ、ガー!!」

 

《お嬢、来たぜ!!》

《おいおい、何だいアレは?》

《敵は多勢に無勢、か。修羅場だな。》

《ですが、我等であれば!》

《不可能などない!》

《ファイナル・フュージョン承認も出た!!》

《お嬢様、今こそファイナル・フュージョンを!》

 

マギウス・ガイガーにフュージョンしたカルディナは、工房内に待機していたマギウスマシン達が出てきて事を確認した。

マギウスマシンに乗り込む天使、悪魔達も普段とは違う雰囲気を察知している。

 

「行きますわよ!!ファイナル・フュージョン!!!」

 

そして吹き荒れる白銀のEMトルネードの中で、マギウスマシンとマギウスガイガーは一つになり……

 

「マギウス・ガオ、ガイッ、ガーー!!」《/b》

 

今ここに、ゾンダーの野望を打ち砕かんと君臨した異世界のスーパーメカノイド。

その名は、勇者王マギウス・ガオガイガー!

 

《ディバイディングドライバー、接近!》

「行きますわ!!」

《──軸合わせ、接続確認!》

「ディバイディング、ドライバァアアァァァーー!!」

 

ファイナル・フュージョンを果たしたカルディナ──マギウス・ガオガイガーは急速上昇、接続を果たし、ディバイディングドライバーで、直径10キロもの湾曲空間を展開する。

そしてDDモードを解除、ディバイディングドライバーを湾曲空間の外に刺し、自らは湾曲空間へと降りる。

そして改めて見据える。

出現時から今まで傍観していた、湾曲空間内にいる4体のゾンダーロボと、不気味な程静かに宙に浮くゾンダーメタルプラントに。

その光景に、カルディナは喉を鳴らす程の警戒感を持った。

 

「何かしら……寄せ集めじゃない、あのゾンダーメタルプラントを含め、何か意味のある布陣のような……」

《可能性の高い情報を掲示しましょうか?》

「いいわ。私の直感が『時期早々な奴ら』って言っているから。」

 

だが、警戒しているのはゾンダー側も一緒だった。

 

「……まさか、地上でブラックホールと同等のエネルギーを持つ現象に、直に対面するとはな。初めは攻撃かと思ったが、空間制御の類だったか。」

「大地を割り拓く……しかも物理的破壊ではなく、絹と粉砂糖と硝子の粒子だけで造形したような精密な、空間作用による超高度エネルギーによる精密な現象……フフフ、ゾクゾクしちゃうわ。」

「ええ、これ程の湾曲空間……ここまでの規模を発現させるには、相当なエネルギーと技術を必要とします。このような星にここまでの現象を発生させられる存在がいようとは……」

「ウィルルル。それに奴の発するエネルギーも尋常じゃない。触れるだけでも常に小規模再生を必要とされる可能性がある。あのカインの遺産モドキ、只モノではなさそうだ。」

「しかし、これまでの観察データ通りね。合体してこそ、真価を発揮する……予定外の寄り道だけど、当初の目的は果たせそうよ。」

「ああ。」

 

互いの存在を警戒し、一歩も動かない……

だがそこで声を上げたのはプレザーブであった。

 

「初めまして、『カインの遺産モドキ』さん?」

「……初めまして。言語が理解出来る……そしてその物言いは……皆様は機界四天王、ですわね。」

「ご名答。」

 

まさかの機界四天王、しかも全員がゾンダーロボ化している事に内心驚愕するカルディナ。

それに加え、空を漂うゾンダーメタルプラントが不気味さに拍車をかけている。

だが、救援は呼んでいる。それまではあくまで冷静を保つしかない。

 

「こちらには何をしに?」

「決まっている。我等、機界四天王……いや、ゾンダーが成す事は機界昇華に他無い。」

「それは知っています。ですが……私が聞いているのは、何故辺鄙なこの場所に来たか……何故かしら?」

「それはですね……我等はあなたを我等の最大の障害と認識しています。ここで排除しようかと。」

「───!?」

「それとゾンダーを密かにプラント化させようと、この近辺に来たのですが、それは単なる偶然で、あなたを発見したもの実は偶然。実に数奇ですが、その偶然に際し、()()()()()()()()()()()()()のですよ。」

「……気になる?」

「ウィルルル。我等に近く、そして劣化体にしてはあまりにも強力な反応だ。そして……何故か無視できない。」

 

それは、他の3人にも理解が不能な反応。しかし、無視するには放置出来ない反応であった。

急な事であったが、全員一致での行動に、挨拶代わりに砲撃とレーザー攻撃を地表にお見舞いしたのだ。

その話を聞いたカルディナの顔から───表情消えた。

 

「……で、それを見つけたら、どうするつもり?」

「可能なら回収しようかしら?どちらにせよ、何故かは気になるし……機界昇華の礎になるなら本望でしょう。それに貴方みたいなのがここにいるなら、何かあるんじゃ───」

「……V.C、TGSライド───全開ッ!!!」

《了解!》

「「「「───!?」」」」

 

───大気が激しく揺れた。

TGSライドによる、GストーンとJジュエル、そして魔力(マナ)の共鳴現象。

更に、6人の天使、悪魔の反発するエネルギーと、カルディナのレヴォリュダー能力とV.Cの能力をによる無駄のないエネルギー制御。

それがカルディナの全力全開。

ゾンダー核を捕獲せんが為に出力を抑えた()()とは違う、()()()()()()()()()姿()()

ゾンダーの核をえぐり取るには過剰過ぎる出力と圧倒する気迫に、機界四天王は圧倒され、身をこわばらせ、必要もないはずの息すら呑まされる。

そして太陽にも似た白金の輝きに包まれたゾンダーを滅ぼす化身のマギウス・ガオガイガーは、その輝きとは裏腹に放たれた圧倒的な殺意と気迫をその身に凝縮する。

そんなマギウス・ガオガイガーは大地を揺らす程に踏み締め、ゆっくりと構えた。

 

「名前………お伺いしても?」

 

その問いで機界四天王は気付いた。

 

((((──気を抜けば、確実にここで死ぬ。))))

 

その問いは、殺す前に名を訊ねる行為。

目の前の憤怒の化身(マギウス・ガオガイガー)は、自分達の障害──いや、脅威となり得る。

如何に機界融合したゾンダリアンとはいえ、その根底に残っている有機体の本能(恐怖)は完全に消し去れない。

マイナス思念を受けている筈なのに、その怒りはゾンダリアン達の身を震わす!

 

「……フ、フフ、良かろう!私は機界四天王が一人、ピッツォ・ケリー!!」

「同じく、ポレントス。」

「ウィルルル!ペスカポートだ!」

「プレザーブよ。」

 

翼を広げ、盾を構え、砲身を定め、杖を向ける機界四天王。

相対するはゾンダーメタルの天敵、対消滅の存在───

 

「私は……カルディナ。お前達を───破壊する者だァァーーーッ!!」

 

核摘出よりも破壊優先の宣言を言い放つカルディナ。

今ここに、互いに滅ぼし合う運命を負った者達が早過ぎる出遭いより、互いの存命を賭けた戦いの火蓋が切られたのであった。

 

 

 

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

〇王都 GGG・オーダールーム

 

そして時は僅かに遡り、王都の新生GGGオーダールームにて……

 

「───カルディナからの緊急コールだと?!」

「先の14工房にて襲撃あり、対象はゾンダーロボ……5体!?」

「V.Cよりマギウスマシンの緊急発進コールを受信、同時にディバイディングドライバーの射出申請!」

「そこまでの事態か!ファイナル・フュージョン承認!!」

「了解、ファイナル・フュージョン、プログラム……ドライブ!!って、痛ぁ

「続いてディバイディングドライバー、射出準備!それと待機中のアグニカ氏に連絡を───!」

《───もう聞こえている!!こちらは何時でも行ける!俺もカタパルトに回せ!!》

 

ゾンダー急襲の一報を受けたオーダールームは大混乱の中にあった。

しかし、それでも誰しもが自分の役割を果たして行く。

フミタンの代わりに臨時でオペレーターを務めるイザリアは、不安を押し殺しながらオペレートをしていた。

 

「ガンダムバエル、上部デッキへ!」

《ディバイディングドライバー、第1カタパルト設置完了、ミラーコーティング、スタート──!》

《射出カウント5、4、3……》

《同時にガンダムバエル、上部デッキへ昇降開始──!》

《──ガンダムバエル、所定の位置に着きました───どうぞ!》

《ああ!ガンダムバエル、アグニカ・カイエル──出るぞ!!》

 

電磁加速と反発作用で一時的に光速を超えたディバイディングドライバーに続き、スラスターをフルスロットルで飛び立つガンダムバエル。

遥か彼方へミラーコーティングの光が尾を引く光景を見ながら、一直線に14工房へと向うために全力飛行に専念出来る瞬間、アグニカはスラスターを逆噴射し、急に制止してしまう。

そしてディバイディングドライバーのみ、カルディナの元へと向かうのであった。

 

「な……どうしたのアグニカ!?何で止まるの!?」

《……アグニカからオーダールームへ。拙いものを発見した、望遠映像を送る。》

「拙いもの……これは、モビルスーツ……なのか!?」

《グレイズタイプの発展型──『シュヴァルベ・グレイズ』の可能性、大。》

 

ガンダムバエルに憑依する悪魔(バエル)が解析結果を映した。

バエルの眼下にある森の中にスラスター移動をする、総勢10体のシュヴァルベ・グレイズが目下移動中であった。

その全てが真っ黒のカラーリングで、何より『エイハブ粒子』の反応を感知している。

 

《進路予想はこちらか。しかもあの動き……エース級の奴らばかりだ。今迎撃に回れば対処は可能だが……》

「それではカルディナへの対応が、間に合わん……このタイミングでギャラルホルンの者共か!」

《……オーダールーム、先に奴らを始末する。》

「……仕方あるまい、頼むぞ!他の待機中の隊員達、騎士団にも連絡を───!」

《了解……バエル、リミッター解除。GSライド、フルドライブ。》

《Yes, Master.》

《ゴミ共が……こちとら超特急で急いでんだ、慈悲はねぇ、お得意の言い訳も聞かん……黙って全員死んで貰うッ!!!

 

まるで足止めをするかの如くタイミング悪く出現した黒い集団に向け、悪鬼刹羅の怒りを込めて、文字通り悪魔と化したガンダムバエルは、突然現れたシュヴァルベグレイズの軍勢に問答無用で斬り掛かったのであった。

 

 

こうして、偶然と必然が折り重なった、数奇な戦いがそれぞれ始まってしまったのだった。

 

 

《NEXT》

 

 

 

 




……あれ?これって四天王との最終戦だっけ?と錯覚しながら書きましたが、実は違う。

……これで、まだ『本番』じゃないのですヨ。

あと、ここに至るまで描写が少ないと後悔もしています。
多分、(2)、(3)ぐらいになるカナ~……?

ご指摘、ご感想、お待ちしています。
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