前回更新後、職場がコロナのクラスターでてんやわんや!出るわ出るわ芋ずる式に感染者が!
幸い陽性反応は出ませんでしたが(感染してないとは言ってない)、執筆どころじゃねぇ……でした。
執筆も感想も書けなくてすいません。
という訳で、時間も掛かりましたが、どうぞ!!
………ちなみにまだ連載続きますよ??
(そんな内容です。)
医療カプセルの中で静かに鼓動が、電子の海に鳴動する。
電子回路の路に、その光が走る。
その人物は祈るように、そして眠りの海に入るように静かに……けれども感じていた。
……聞こえる、あの人の声が。
……聞こえる、辛そうに、それでも懸命に戦う音が。
……感じる、あの人の後悔と嘆きが。
……滲みる、あの人の怒りと憎しみと恐怖が。
……痛い、それら全てを上回る、あの人の『勇気』を、強い心。
……苦しい、それは誰の為?私の為?
……怖い、これは私を想う、優しく、温かい心。
……眩しい、眩しい、眩しい───
……痛い、痛い、痛い───
……アツイ、イタイ、ヤメテ──
そして誰もが予期出来なかった。
侵食は進み、既に自力で
◯第14工房前 ディバイディングフィールド内
「──ウィルルル!先手は貰うぞ!」
4対1の戦いは、ペスカポートの砲撃から始まった。
主砲を上空に撃ったと思いきや、副砲が間髪入れてマシンガンのように連射し、雨霰の如く襲い掛かるエネルギー弾に、すぐに反応したカルディナはマギウスのスラスターで離脱──
「──させないわよ。」
──しようとした時、プレザーブの杖から無数のレーザーを放つ。しかもそれらは軌道が歪曲しており、回避行動に応じた
「──隙有りですねぇ!」
「──ぐッ!」
その隙を逃がさないように、盾を構え、重厚な車輪で突撃してきたのはポレントス。
銃撃とレーザーによって巻き起こった砂煙の中より跳び出てきたポレントスは、マギウス・ガオガイガーを超える大質量と重量による
「──フッ、まだまだ!」
だが、吹き飛ばされた先へ待ち構えていたのはピッツォ・ケリー。拡げた翼の一枚一枚の──無数の羽が震え、ざわめくのも束の間、その翼をマギウスに向け、居合いのように思い切り振り抜く。
その瞬間、ギャリッと耳をつんざくような、鋼が削れるような音が響く。
《これは──高周波ブレード!?》
「オオオォォォーーー!!」
V.Cが観測したのは、以前に出現したゾンダーの高周波ブレードよりも強い『超高周波ブレード』。
それが更に音速を超えた速さで、ピッツォ・ケリーにより、次々にマギウスに斬り掛かり、度重なる連撃がマギウスを襲う。
「まだですよ!!」
「何を───ぐぅッ!?」
更なる追撃にポレントスの
「ウィルルル!弾ちゃーく、今ッ!!」
「───!?」
───ドォォ──ン!!
初めに撃ち出した主砲の
湾曲空間内とはいえ、その爆発の威力は周辺の大地を揺らし、高温の炎はマギウスを蝕んで行く。
「特製のナノテルミット*1弾頭だ。一堪りもあるまい、ウィルルル──」
「──この、程度ッ!!」
《排熱機構──作動。》
「──ルッ?!」
「あらあら……」
「……む。」
「何だと……?!」
《マギウス・アーマー、正常に稼働中。エネルギー損耗率23%。》
四天王が凝視する、今も尚激しく燃える爆心地より動く影………それは排熱機構を全力作動させ、燃え盛るテルミット燃焼の炎を一掃する存在──仕留めたと思った筈のマギウス・ガオガイガーは
「ウィルルル!?テルミット硝煙を吹き飛ばした?!しかもバリア機構を兼ね備えた装甲だと!?」
「非常に強固ですね。しかし出力は高そうですが……」
「損耗も激しいはずだ!ならば、我等四天王の連携を以て──!!」
「完全勝利を!その命、刈り取ってあげるわ!」
そして再び行動を開始する機界四天王達。
「………」
《………》
しかし先程とは打って変わり、カルディナとV.Cは一言も発さず、四天王の猛攻に防戦一方であった。
「──でぇええいあッ!!!」
気迫を込めた翡翠の一刀が、黒いシュヴァルベ・グレイズの一体を唐竹に切り裂く。
その背後からライフルを至近距離で構えた機体がいたが、流れる動きからの横蹴り、そしてライフルより早いヒール・バンカーでコックピットごと貫く。
いくらインナーフレームが丈夫であっても、コックピット・ハッチを的確に貫かれ、パイロットが死ねば木偶の坊に成り下がる。
「……残り、3つ。」
そうやってアクニカ・カイエルの駆るガンダムバエルは、無駄のない動きで目の前のゴミ達を
そして残り3機のシュヴァルベ・グレイズだが内2機はアグニカからすれば雑魚だ。特に1機は動きがドン臭過ぎて
だが、問題の1機は相当な手練れだ。機体の差を力量で埋められる実力差を持っている。
現状ではバエルに充分な分があるが、同レベルの機体であれば中々いい勝負が出来るだろう。
「ならば残る雑魚を片付けるか……バエル!」
《エイハブ粒子、チャージ。スラスター、起動──》
「──イグニッション!!」
スラスターを全開にしつつも、突撃しながらスラスターの可動部の砲門より高濃度のエイハブ粒子をシュヴァルベ・グレイズ叩きつけるガンダムバエル。
しかし、ここで妙な事が起きた。
手練れのシュヴァルベ・グレイズが、ドン臭いのをかばったのだ。無論、シールドを用いて損傷が軽微になるようにしたのだが、何故かかばった。
アレに重要な人物がいるのかと思考したアグニカだが、時間優先で斬れば一緒と考えるのを止め、ブレイブキャリバーを振るう。
流れるように1機斬りつけ、更にもう一つ、今度こそドン臭いのを──手練れがかばう。
「またお前か!?」
また手練れが介入したせいで、剣閃がずれ、胴体を泣き別れにさせただけにしてしまい、コックピットを討ち損じた。その前に両腕をもいでいたので、結果的には
モビルアーマー相手では逆に致命傷を貰ってしまう事案なので、アグニカとしては失態&致命傷レベルだ。
「この……邪魔しやがって!!」
腹いせ代わりに地面にバンカーを打ち込んで煙幕を立たせた後、キャリバーを突いてでコックピットを潰しに行くアグニカだが、僅かに相手の反応が勝り、頭部を潰すぐらいに留まったが、事前にチャージしたエイハブ粒子砲が機体に直撃し、機体は破壊される。
爆発する間近にパイロットが脱出し、こちらも撃ち損じた。
《敵パイロットに逃げられた。》
「クソが!!」
どうやらまんまと逃げられたらしい。
手練れが乗っていたグレイズを破壊しながらアグニカは悔しがる。
相手の動向から推察すると、目的は破壊活動よりも潜入を優先したような動きであった。
それを事前に察知していたアグニカだが、まんまとしてやられた事に憤りを感じる他ない。
《迎撃は?》
「いい。気掛かりはあるが……オーダールーム、侵入して来たモビルスーツは全て撃破したが、2名取り逃がした。捜索は人海戦術で。後は頼んだ。」
《構わん、今はカルディナの援護に向かってくれ!》
「了解……間に合ってくれよ!!!」
《フル・ブースト。》
そして後れを取り戻さんが為に最大戦速で空を駆け、カルディナの元に飛び立つガンダムバエル。
……だが奮闘空しく、間に合う事はなかった。
容赦なく降り注ぐ弾丸の雨。
数多の熱線の軌跡。
止められない大質量の塊。
避けられない音速の刃。
これらが機界四天王が用意した得意とする武器であり、マギウス・ガオガイガーを狩る為に振るう。
……だが、しかし。
(──ウィルルル!?どうしてだ!?我等の攻撃は確かにカインの遺産モドキを攻め立てている筈だ。しかし何故奴は倒れない?エネルギーを切らさない?有機生命体ならば有限の体力を切らす筈だぞ!)
(……確かにこちらが押している
(はて?何でしょうな、この違和感は。真芯に当たり続けている筈なのですが、当たった後の手応えがないですと?そんな馬鹿な……)
(……いや、間違いなく手応えがなくなって来ている!まるで紐や糸……いや、重たい空気を、水蒸気でも相手にしているかのような……何だ、この違和感は!?)
少しずつ、少しずつ追い詰めているはずなのに、機界四天王は逆に少しづつ違和感を抱く。
だがそれが何なのか、彼等には理解出来ずにいた。
「……無駄よ。動きはもう見切ったわ。それに……出力で勝とうなんて思わない事ね。」
「ウィルルル、減らず口を!ならば今度は曲射等と言わず、直接当ててやる!」
「……考えても止む無しね、援護するわ!!」
痺れを切らせたペスカポートの主砲が今度は直接マギウスを狙う。
同時に迷う事を止めたプレザーブの杖から放たれた
「──見切ったと言った!」
「ウィィィッ!?」
「何ですって!?」
高速回転する右腕が『化勁』の要領で、弾頭をいなし、明後日の方向へと弾き飛ばす。
同時に、左肩のアリコーン・ガオーの翼が広がり、その銀の羽根が宙を飛び交い、迫り来る幾多のレーザーの雨をマギウス・ツール『アリコーン・フェザー』が展開した反射結界『ミラーコーティング・フィールド』でマギウスを守り、一つ残らず全てのレーザーを反射する。
そして逸らされた弾頭、弾かれたレーザー攻撃が混ざり合い、後方でテルミッド焔硝の大爆発を起こす。
その 自身の圧倒的火力を無効化された事に、驚愕するしかないプレザーブとペスカポート。
「──だが、これは避けられまい!!」
「そこです!!」
遠距離では分が悪いと判断したピッツォ・ケリー、ポレントスが、得意とする突撃と近接攻撃を仕掛ける──が。
「その程度。」
「何ですと!?」
「馬鹿な!?」
ポレントスの
大柄で、回避するには難しいマギウスの躯体で、直線と曲線の軌道を回避されるとは思わなかったピッツォ・ケリーとポレントス。
思わずマギウスから距離を取ってしまう。
《お嬢様、敵性群体『機界四天王』の行動アルゴリズム、解析。及び行動予測乱数調整パターン・アルゴリズム作成、完了しました。》
「……わかったわ。」
その
だが四天王にはその動きが、歩むような速さで前進するのみ、そのように見えた。
「……ふむ、隙だらけですねぇ。それとも誘っているのですかな?ではそれにお付き合い致しましょう───どちらにせよ、真の力の前には小手先の技術など無意味である事を教えて差し上げましょう!」
超重量と車輪の駆動により、運動エネルギーが最高潮になる。
再び
「──
「!?何が────!?」
だがその目論見自体が、地面と共に破壊された。
マギウスが非常に重い一歩を踏み出した瞬間、右足のドラゴンガオーの
まるで地獄の業火が吹き上がったかのような崩壊。
同時に超高速で突撃するポレントスのバランスが路上の崩壊によって崩れ、無様にも前のめりになった。
───その瞬間を
「ど──っせいァ!!!」
「ぐはぁぁっ!!」
バランスを崩した瞬間に生まれた隙をついた、渾身の背負い投げ。ポレントスもまさか投げられるとは予測出来ず、受け身も出来ないまま自身の重量と運動エネルギーを一身に受け、叩き付けられてしまう。
その威力は先程の地面の崩壊具合を超えて、深いクレーターを成型してしまう程の落下エネルギーを生んでいた。
同時に、ポレントスは全身にゾンダーでは有り得ない一時的な機能不全を引き起こされたのだ。
人間で言えば、落下時の痛みと肺から空気が全て吐き出された呼吸困難にも似た症状だが、こちらは瞬間的なG&Jパワーを叩き込まれての全身麻痺。
動けない。
「そこだ───!」
「──
「ぬぉおおおッ!?」
ポレントスを
しかし
「このッ……何という嫌らしい攻撃だ!」
だが一度に最大65535もの標的を迎撃出来る
回避行動も詰め将棋の如く次第に狭まって行き、遂にその動きを捉える。
そんなピッツォ・ケリーにダメ出しの一手──
《マギウス・ツール──ドリルコネクター・
「──!?」
「ツールコネクト──ブロウクン・ドリルッ!!」
──マギウス・ツール『ドリルコネクター・
マギウスの左脚───ドレイク・ガオーの
それは堅固な物質であれ、右腕より発生する破壊エネルギーと併用する事により、どんな物質でもその構成を破壊する事が可能で、掘削能力を向上させるのである。
「しまった!!」
その高速回転をするブロウクン・ドリルを容赦なくピッツォ・ケリーに───
「──やらせはしませんぞ!!」
間に割って入るのはポレントス。
機能を麻痺させていたポレントスであったが、瞬時に盾を構えられるまでに回復し、ピッツォ・ケリーを庇うのだが、ゾンダーバリアを多重展開し、元の素材も吟味したその盾が、文字通り音を立てて無惨に削られてゆく。
だが、チャンスでもある。
「今です!抑えている間に、一斉攻撃を──!」
「──貫けェ!ドリル・ブロウクンマグナムッ!!」
「そ、そんな馬鹿な、盾が──うわぁぁあああッ!?」
「ポレントスッ!?」
そんな
削れゆく上から、更に回転速度を増し、撃ち出したドリルコネクターとブロウクンマグナムの併せ技『ドリル・ブロウクンマグナム』がポレントスの盾を、そして重厚なボディを貫き、循環出来ない膨大なエネルギーが爆発を起こす。
だが
「ウィ!?ウィルルルッ!!」
ポレントスを屠った凶撃が自分の元に来ようとは予測出来ず、錯乱しつつも多々ある副砲を乱射し、迫り来る音速を超えた凶撃を撃ち落とそうとしたが、全弾命中させているが一向に勢いが衰えない。
「ウィルルル……ピッツォ───」
「ペスカポートォ!」
船体の先頭にある1つ目を容赦なく砕き、そして
その光景にピッツォ・ケリーが叫ぶ。
「貴様ァ──ぐぁあああッ!?」
憤怒するピッツォ・ケリーだが、マギウスの攻撃の手は休まらない。
ガルムガオーからの
「覚悟しろッ!カインの遺産モドキッ!!」
渾身の一撃を繰り出さんと決死の覚悟でマギウスへと突撃するピッツォ・ケリー。そのスピードは先程よりも格段に速く、音速を超え、光速にも届かんとする。
しかし──
「マギウス・ウイィィーングッ!!」
マギウスもジェイダーのプラズマウイングを元に創られた『マギウス・ウイング』を展開、超高速の戦いに入った。
白金と漆黒の閃光が幾重にも折り重なり、螺旋を描くようにぶつかり合っていく………が、一方的にマギウスの攻撃がピッツォ・ケリーを蝕んでいく。
「馬鹿な……振り解けない!?私が、速さで負けているだと!?」
「これだけ速く動いているのに……あのカインの遺産モドキの周囲の攻撃が、何故的確にピッツォ・ケリーだけに当たるの!?」
あまりの速さにプレザーブは立ち尽くすしかなかった。
片や光速に迫る速さのピッツォ・ケリー。
片や光速に達した速さのマギウス。
そして上回る戦闘技術。
速さで翻弄する事に関しては他を追髄を許さないピッツォ・ケリーだが、今は完全に負けている。
そしてマギウスを狙うにしても速過ぎて当たらず、もし撃とうものならピッツォ・ケリーに誤射しかねない。
また、
「こうなったら誤射覚悟で──!」
「──ガッ!?」
「……捕マ・エ・タぁぁぁーーー!!!」
「おぁああああ!?」
「ピッツォ!」
何度も繰り広げた超高速の交差が終わりを告げた。
一瞬の隙を突いたマギウスの
その事に歓喜とも狂気とも、隠しきれない憤怒とも感じ取れる慟哭を含んだ宣告を吐き出す
そこからはマギウスの一方的な独壇場である。
逃げようにも鋭い牙が胴体を離さず、ピッツォ・ケリーの限界を超えた速度で成すがままに空へと上昇、マギウス・ウイングを翻したマギウス・ガオガイガーは身体を屈め──
《マギウス・ウイング、推力最大。》
「ォォオオォォォーーーー!!!」
その推力を限界まで引き上げた光速落下の蹴りを放つ。
落雷の如き激しい閃光と衝撃が、ディバイディングフィールドを激しく揺らし、その余波が周辺の土地を震わす。
光速での落下エネルギーを十全に受けたピッツォ・ケリーは満身創痍で叫ぶ事すら難しいが、辛うじて命はあった。
しかし巻き上がる噴煙の中で身に纏う獣達の双眸が、ピッツォ・ケリーを逃がす筈もなく……
「──止め。」
何より
「──ぁぁぁああああッ!!!」
「──!?」
しかし、やらせはしないと、噴煙を目くらましにプレザーブがマギウスへと突撃し、杖を突き当ててレーザー攻撃をゼロ距離で掃射。
これには
そこからは近接攻撃の嵐であった。
胴体を再生させたプレザーブは、杖を分割して至近距離からレーザーを撃ち続け、更に背部の装飾としてあったマントを変形させ、2つの大きな歯車を生成、電動丸ノコギリのような音を響かせ、マギウスを切り裂くように交互に当ててゆく。
左腕の展開が間に合わず、右腕を盾替わりとするマギウスが激しい火花を散らせて防御するが、それが次第になくなり、マギウスの高速回転による防御が全ての攻撃を防ぎ、拮抗している───
「……違う、全部弾いている、回転を
レーザーは難なく受け流され、歯車は右腕の回転と、文字通り歯車の噛み合わせがぴったりになったように一切の抵抗がなくなってしまっていた。
まるで「この程度、見切るに易い」と言われているかのように。
それどころか、次第に
「……それで終わりかしら───ゾンダリアンッ!!」
「がァッ!?」
一歩踏み出したマギウスが瞬間的にGパワーをブーストし、プレザーブを左の拳で殴り飛ばした。
激しく転がり、ディバイディングフィールドの壁に衝突してようやく止まるプレザーブのボディはGパワーの影響で再生も阻害され、ボロボロなっていたが、そんな事など関係なく更に迫るマギウス。
その迫り来る姿は、プレザーブには悪鬼刹羅の
「ぐぅ……!その力、いったいどこから来てるっていうの!?」
「まだ解らないかしら?ゾンダーメタルが
「ふ、ふふふ……この、化け物が!!!」
「それはそっちでしょうが!!」
「ガ──ぐはぁッ!?」
そして何の躊躇もなく踏みつけ、竜の牙が容赦なくその深紅のボディを噛み砕いて行く。
更にプレザーブが思わず叫んだ「化け物」の言葉への返事に、怒りをぶつけるカルディナ。
「……化け物は貴方達じゃない。そのエゴの塊のような
「ぐぅ……!解って、ないわね……機界昇華は、世界に平穏を……もたらす神聖な───」
「──Zマスターが浄解される事で、
「がはッ!」
「
「少なくとも負の感情に……ストレスに苛まれる事は──ないわ。それがあらゆる苦しみから解放───」
「──されないわよ。ゾンダー化した時点で自我がないゾンダーの魂は、永久に蝕まれる……それこそ、輪廻転生しようとも、永久に。」
「そ……んな、そんな馬鹿な事が───!」
「あるわ。転生して尚、ゾンダーになっている者は魂に激しいノイズが後遺症レベルで入るのよ。確認も取れているわ。貴女の言う
「そ、そんな……!?」
「……何を驚いているのかしら?貴方達がやりたい事でしょう?使命なのでしょう?本能レベルで組み込まれた命令でしょう?それなのにその副産物やリスクを知らないなんて……Zマスターのマスタープログラムは既に浄解され、滅びている。けれど貴方達は未だこの星に存在している。何なの、貴方達は?亜種か特別変異か……そんな中途半端な
動揺するプレザーブ等関係ないと言わんばかりに言葉で責め立てるカルディナ。
その怒りに呼応し、再び強力なエネルギーがマギウスのボディから噴き出し、そして右腕と左腕に収束していく。
「……ディバイディングフィールドの持続時間は残り19分。それまでにここにいる貴方達の核を抉り取るには容易い───けど、そんな慈悲染みた事はしない。お前達を破壊……破壊、するッ!!」
「うぅ……!」
そこにいるのは勇者とは程遠い、魔獣ですらない、人の形をした悪鬼刹羅の
その姿にゾンダリアンであるプレザーブですら恐怖を覚えた。
目の前に存在する者が、
何より、プレザーブ
何故、何がそうさせるのか?
この異常な怒りは何が起因するのか───
(───
ゾンダーのような、ゾンダーであり得ない、
自分の言葉を反芻し、驚愕する。
(私の知らない、
ソレを知りたい。猛烈な欲求が湧き上がる。
だが、好奇心は猫を殺す。興味本位で突っ掛かった存在が目の前の
目の前の存在相手に、時間がない。
プレザーブの思考は走馬灯のように駆け巡り、そして諦めた。
「死ネ。」
そして相反する膨大なエネルギーを合わせようとするマギウス・ガオガイガーの、ヘルアンドヘヴンが今───
「 そ う は さ せ ん 」
「な───ぁあああッ!?」
空から一条の
それはプレザーブのレーザー攻撃よりも強力な一撃が無防備なマギウスを吹き飛ばした。
《きょ、強力な
観測しようとするV.Cのセンサーに更に異常が観測される。
突如として大量の
その木の葉はV.Cのセンサーをかき乱し、異常を来し、感知を遅らせた。
そこから来るのは正確無比なレーザー攻撃。
舞い落ちる木の葉に当たり拡散、マギウス・ガオガイガーの攻撃にも劣らないレーザーの嵐がマギウスの死角を絶え間なく襲い続ける。
「マ、マギウス・アーマー、展開!!」
《了解!》
突然の猛攻に防御するカルディナは、本来であれば機界四天王の他に警戒する、もう一つの対象を見上げた。
莫大なレーザーを放つ、空中に浮遊するゾンダーメタルプラント──否。
ゾンダーメタルプラントに偽装した
「……フフフ。盲点だったわ。まさか偽装して来るなんて。機界四天王がいるなら、貴方がいても当然、おかしくないわよね────パスダァァアアアッ!!!」
「我が名を知るか……如何にも、我が名はパスダー。カインの遺産モドキよ、我が力の前に……散るがいい!!」
機界司令パスダー、
サイズこそ知るモノより小さいが、マギウス・ガオガイガーよりも一回り大きい。
上半身のデザインは東京決戦時とほぼ同じで、下半身は大地より解き放たれ、強靭な脚を持つ、完全な人型のパスダーである。
そして機界生命体でありながら、気を抜けば吹き飛ばされそうな威圧感を放つが、カルディナもまた負けていない。
放出されるG&JパワーとZパワーが互いに干渉し合い、互いに睨み合い両者の間で対消滅を起こし、そのエネルギーがプラズマとなって干渉し合っていく。
それでも尚、一歩一歩ゆっくり歩み距離を詰める両者。
武術の達人は、戦いに於いて相手とのタイミングを図り、技を繰り出すだけでなく、己の有利な
これを『制空圏』と言い、これは己にとって絶対に有利な間合いの総称なのだが、これが達人同士がぶつかり合った時、重なった『制空圏』から排除しようとする、所謂“陣取り合戦”が始まる。
そしてその“陣取り合戦”が全長30メートルを超えた者達が繰り出すなら、闘争に円熟したものであるなら、それはどんな所業か───
「ヌォオオオオォォォッ!!!」
「ハァァアアァァーー!!!」
その刹那───圧倒的な踏み込みと、その剛腕が炸裂した瞬間、強烈な衝撃の余波がディバイディングフィールドを物理的に震撼させ、激しい拳打の嵐が暴風のように繰り出される。
更に、マギウスが
互いに当たる軌道を
その中を対消滅の破壊的な余波が舞い狂う中、激しく、速く、熱く、執念深く、互いの生死を賭けて拳を交える2体の猛者。
一瞬の油断で、受けた拳打で対消滅のエネルギーを受けるだろう。
僅かな読み違いで、レーザーの雨に焼かれるだろう。
そんな絶対に干渉が不可能な戦いが始まったのだ。
そんな中、満身創痍なプレザーブであるが機界融合の素体として使っているグレイズの
(早くエネルギーを蓄えて、参戦せねば。せめて援護位は出来るはず……しかし、あのカインの遺産モドキ……いえ、カルディナ・ヴァン・アースガルズ公爵令嬢のいう事が頭から離れない。もし呪いのようにこびり付くなら機界昇華にどれ程の意味があるというの?
何か迷いがあるのか、機体の再生は着々と進むが、カルディナの言葉に動揺を隠せないプレザーブ。
そんな時、向かい側より無理矢理立ち上がってきたのは再生を終えたペスカポート。
「ウィルルル!!許さん、許さんぞ!カインの遺産モドキ!!」
「……さあ、反撃と行きましょうか。」
「この屈辱……今こそ晴らす!!」
ポレントスとピッツォ・ケリーも瀕死の淵から機体の再生を果たし、立ち上がった。
プレザーブ以外がマギウスに対し、臨戦態勢を取ったこの状況に、カルディナは戦慄した。
「ぬ──隙ありっ!!」
「しま──っ!?」
一瞬の警戒の代償に隙を突かれ、反応が遅れたために右手首関節部にダメージを負い、更にレーザーの集中攻撃を浴びてしまうマギウスは、後退を余儀なくされた。
戦闘継続な損傷であるが、目の前のパスダー相手には一瞬の遅れも赦されない。まして、先程まではあしらったとは言えど、機界四天王が3体いる以上、劣勢になったのは間違いない。
……駄目、やめて、あの人が死んでしまう
……やめて、やめて、やめて、やめて、やめて、やめて、やめて、やめて、やめて、やめて、やめて、やめて、やめて、ヤメテ、ヤメテ、ヤメテ、ヤメテ、ヤメテ、ヤメテ、ヤメテ、ヤメテ、ヤメテ───
……止めさせなきゃ、止めなきゃ、防がなきゃ、コワさなきゃ、ダメ、駄目、ダメ、駄目、ダメ───
……ソウダ、破壊、破壊、破壊、破壊破壊破壊破壊ハカイハカイハカイハカイハカイハカイハカイ───
……これが最後のキーとなってしまった。
「まだよ、まだ私の勇気は───!?」
「……ぬ、何だ?この異様な波動は───」
《え、コレハ!#&%$%$|~==`*{<>+{`+{'?%*;──がァァアアアアッ!!》
周りの空気が、何かが変わった時、カルディナとパスダーは戦いを止め足を止め、周囲を警戒した。
そして突如、V.Cが苦しみの悲鳴を上げた。
本来苦しむ筈のない超AIのV.Cが、尋常ではない苦しみ声を上げたのだ。
《──っだぁッ!!はぁ、はぁ……!》
「ちょっとV.C、いったいどうしたの!?」
《……ネ、ネットワークにウイルスを確認したので力づくで遮断しました。》
「V.Cのネットワークに……誰が?!」
《ウイルスの発信元は、サクヤ-04。同時に工房内のリンクが途絶しました。》
「うそ……それじゃ今、工房内は───」
更に工房の建物より閃光───激しいエネルギー爆発が観測された。
「何だ!?」
「あの場所は確か……」
「ウィルルル、異様な反応があった場所だ。何が起きた??」
激しく燃えるように吹き上がる、
「……お嬢様、ミニ・ガオガイガーとウサリンmk-Ⅱ改より、『内蔵弾丸X』の発動を確認───同時に、両機の反応がロストしました。」
「カイン様と、アベル様が!?」
《───!!素粒子Z0反応増大、来ます!!》
まさかの両機の反応消失にショックを受けるカルディナだが、そんな暇等ないと言わんばかりに、ミニ・ガオガイガーとウサリンmk-Ⅱ改を亡き者にした、素粒子Z0を持つ存在が工房の地下を突き破って現れる。
破壊されて湧き上がる砂煙の中でその相貌が光り、一歩一歩淑やかに歩むその存在は───
「ウィルルル?ゾンダーロボ、か?」
「……何だ、あいつは。」
「
女性型の駆体に、青いクラシックタイプの
ただ顔にデザインはなく、未加工のフィギュアのように眼も口もない。
「あれが……特異な反応の元、なの?」
「ウィルルル、この際利用させてもらう。そこのゾンダーロボ、お前もカインの遺産モドキを攻撃しろ!」
「………………ハァ??」
「!?」
「ウィルル!?」
ペスカポートの指示に「何言ってんの??」と言わんばかりに、そいつは首を傾げる。
発した言葉がそれに更なる拍車をかけ、緊張していた空気が思わず弛む。
だが、
「何だそのやる気のなさは!さっさと攻撃を始めろ!」
「ハァ……」
そんな態度に激昂するペスカポートに 溜め息混じりにやれやれとお辞儀をして返事────
「ギュ──ギュルルルルルルル!?!?」
「「「!?!?」」」
等、する訳がない。突然吹き荒れた暴風の後、再生を終えたペスカポートの駆体をディバイディングフィールドの壁に、文字通り擂り潰すように捩じ伏せていた。
強固であるはずのペスカポートの船体だが、極限までにひしゃげている。
その理由は、
これは偽装・可変式スラスターであり、自由角度に可変する事によりどんな体勢からどの方角へも進むことが可能で、アクティブ・アクションから収束する事で飛行までも可能とする。その推進力を一点に集中した突進は、機界四天王を容易に破壊出来る。
ひしゃげた駆体から這い出るように脱出するペスカポートの本体だが、その様子は機界生命体あるまじき、
その状況を異常と察知したのはパスダー。ピッツォ・ケリーよりも速く、レーザーで駆体に攻撃し、ペスカポートを無理矢理切り離した後、素早くピッツォ・ケリーが回収、
「ペスカポート、どうしたのだ!?」
「エ……エネルギー…が吸われて……動けな……」
「何!?」
「──機界四天王よ、
「……ハァァァアアアア」
破壊したペスカポートの残骸に干渉し、機界融合にて
先程の気の抜けた雰囲気とはうって変わり、地の底から響くような声が不気味に木霊する。
その何もない無貌がそれに拍車をかけていた。
そしてパスダーの注意喚起も空しく───
「む、どこに──ごはっ!?」
「アアアア……!」
瞬時にポレントスの前に姿を現し、盾ごとポレントスを手刀で穿つ。
盾はボロボロの絶縁体へと変わり果て、エネルギーも吸いとられ意味を成さない。
最後は、本体が生き延びられるようパスダーがレーザーで切り離すしかなった。
「くっ!離脱を───!!?」
「ハァァァアアアア!!」
「しま───がァァァああああ!?」
離脱を目指したピッツォ・ケリーは、圧倒的に上回るスピードで追い回される。
フェイントを入れた機動であっても、
最後はエネルギーを吸い取り、四肢をバラバラにし、機界融合をして取り込む。
超高振動ブレードは触れたところからその機能を停止している。
出来たのはパスダーがレーザーで本体を切り離し、逃がすぐらいだ。
「これが、異変の正体───」
機界四天王で残ったプレザーブだが、最早打つ手はなかった。
立ち尽くす彼女の前に、
パスダーのレーザーで僅かに軌道が逸らされた事で、寸前で脱出出来たプレザーブであるが、最後に見たのは、無貌でありながら怒りに満ちた
その光景を目の当たりにしていたカルディナは、戦う意思を失い、力なくマギウスの膝を付けてしまう。
「……駄目だった、間に合わなかった、私が弱い姿を見せちゃったから……あの子が不安になって、絶望して───あああぁぁぁーー!!!」
《お嬢様、しっかり!!》
そして同じく一部始終を目撃し、被害を出さないよう尽力したパスダーは、目の前で起こった出来事に未だに目を疑っていた。
「……馬鹿な、早過ぎる。我等はまだ存在している……
「ゾヌゥゥーーーダァァッ!!!」
今、暴かれた『終焉を告げる存在』──
それが今、マギウス・ガオガイガーにも、ゾンダーにも、その脅威を向けるのだった。
《NEXT》
という訳で、機界新種登場で───えええ!!?
と、思う方が大半だと思います。TV版ラスボスがもう出てきたと。
既に知っているので、わざわざラスボスをやらせる意味はないかと思うのと、『既に存在を知っている機界新種をRATさながらに撃破するにはどうしたら……』という発想から今回のネタに至りました。
ただ、この話に至るにあたり、「フラグが、少なかったな……」とは反省しています。
一応、機界新種であるフラグは既に出していますので、それで我慢してください。(-_-;)
ちなみにこの機界新種、戦闘シーンを考えている内に、TV版よりも強くなってしもうた……
素早くて、空も飛べる災厄ってヤバくない?
次話で22話は終わりなので、再びお待ちを。