公爵令嬢は、ファイナル・フュージョンしたい。   作:和鷹聖

53 / 69
22話もこれで終わります。

突然現れた機界新種。
それに動揺するカルディナお嬢様とパスダーが何を思うのか……

そしてそれを表現するのに構想と文章量が1.5倍膨れ上がった事で時間が掛かって申し訳ない。

だが、ここが分岐点!

さあ、刮目せよ!!未知の領域を!!


Number.22 ~暴かれた『終焉を告げる存在』~(3)

 

……数刻前、第14工房

 

《カイン様、アベル様。機界四天王と思われる敵性群体に続き、推定:機界司令パスダーと思わしき個体が出現しました。》

「ああ、こちらでも確認した。不意打ちとはいえ、拙いな。」

「5対1ですか。多勢に無勢ですね。」

「いよいよなれば私が出よう。」

「もしや()()で出るつもりでしょうか?私達(三重連太陽系)の技術を用いていますが、基礎の甘い欠陥品ですよ。」

「だが無いよりはマシなはずだ。()()()の身1つでこの苦難が乗り越えられるなら構わないさ。」

 

パスダーの出現に、驚愕しつつも冷静に見定めるカインとアベルの元には王国側が製作し、不完全品であったギャレオンモドキが彼らの手によりバージョンアップしたものがあった。

第14工房の地下倉庫に鎮座しているその名を『デミウス・ギャレオン』。

だが、本当はすぐにでも向かいたいところだが、本来の目的故にすぐにここを離れる訳にはいかなかった。

そして脅威であるが2人にはそれ以上の思惑があった。

 

「……しかし『パスダー』、か。」

「この『機界司令』とやらが、()()()()と気になるところですが……04、貴女はどう思います?」

《……詳細は不明。ですが()()()()()()()()()()()()()かと。》

「有り得るね……あいつならやりかねない。」

「……ふん。どちらにせよ、本腰を入れてきた訳ですか。あの娘ならやってくれるでしょうが……やはり何かに惹き付けられた、と仮定するなら、その対象は───()()ですね。04、様子に変化はありませんか?」

《現在、異常───あり パルスの急速な上しょう をかくにん、いじょう を感ち……にげて下さ

「いったい何が──ぐは……!」

「フミタ──ぐあぁ……ッ!」

 

「ハァァァァ……」

 

「な……!?」

「まさか!!」

 

医療カプセルから生えた腕により、不意を突かれたサクヤ-04の胸部が貫かれ、Gストーンが弾き出されるように床に落ちた。

そして侵食され、ボディを構成するAZ-Mの分子結合が崩壊、吸い取られるように()()されたサクヤ-04のボディ。

また、警戒をしていた『影』達も不意を突かれた形で胸を貫かれ、痙攣した後、絶命する。

事前に知り得ていた為、落ち着いて見極めが出来たカインとアベルは直感する。

 

「ゾヌーダ……」

 

「本当に出たか……機界新種!」

「なるほど、これがゾヌーダ!」

 

医療用カプセルすら取り込み、それは人型(ひとがた)の形を伴って顕現した──機界新種(ゾヌーダ)

裸のマネキンの様な姿で、頭部は昆虫の複眼のように広い双眼を持つ、機界新種に2人は直ぐ様身構える。

 

「カイン、行きますよ!!」

「やむを得ない、行くぞ───!!」

 

事前に情報を得ている2人は、一切躊躇いのない動きで挟み撃つポジションに立った。

そして一切油断できない相手に対し、2人が取った策とは───

 

「「内蔵、弾丸Xッ!!!」」

 

カイン(ミニ・ガオガイガー)はGストーンのリミッターを、アベル(ウサリンmk-Ⅱ)Jジュエルのリミッターを解き放つ。

 

───弾丸X

 

それは獅子王凱のサイボーグボディの『メンテナンスルーム』と、Gストーンに封印された高エネルギー集積体を爆発的に開放させ、勇者ロボを限界以上までにパワーアップさせる機能を持つ『ファイナルパワーアップルーム』を併せ持つ、GGGベイタワー基地のエリアIIIである。

そして東京決戦にて勇者ロボ達に弾丸XによるGパワーの解放を成しており、その稼働データは、後にフランス製ビークルロボ、光竜、闇竜に『内蔵弾丸X』、そして『ガオファイガー』の『エヴォリュアルウルテクパワー』に用いられている。

本機はミニ・ガオガイガー、ウサリンmk-ⅡにGストーン、Jジュエルにそれぞれ対応したオーバーブースト機構として『内蔵型弾丸X』を備えている。

これにより、スーパーメカノイドに匹敵するエネルギーを一定時間使用する事が可能となるが、弾丸Xの使用は強大な力の発現、行使と引き換えにGストーン、Jジュエルの機能が失われるデメリットを持つのである。

 

「───だが、そんな事を気にしている場合ではない!ヘル・アンド・ヘヴン!!」

「この一撃に、全てを賭けましょう!!シルバリオン、ハンマー!!」

 

全力全開の一擲を生まれたばかりの機界新種(ゾヌーダ)に仕掛ける2体。

当たれば完全消滅は必須ッ!!

 

……だが

 

「ハァァァァーーー!!!」

「な……!?受け止めただと!?」

「しかもエネルギーを……吸収している!?」

 

両腕を広げ、ヘルアンドヘヴンも、シルバリオンハンマーも受け止める機界新種(ゾヌーダ)

その上で源泉たるGパワー、Jパワーを無尽蔵に吸収する。

 

「くっ!!対消滅の可能性を考えていないのですか、この機界新種(ゾヌーダ)は!?」

「ならば対消滅する程に喰らわせてやるまでだ───ウィーーータァッ!!」

「いいでしょう、光に───なりなさい!!」

「ハァァァァーーー!!!」

 

圧倒的なエネルギーのせめぎ合い。それは工房を破壊し地上にその猛威を現すまでに荒れ狂った。

しかしそれ征したのは───機界新種(ゾヌーダ)

放出するエネルギーを上回るスピードのエネルギー吸収が勝ってしまったのだ。

極限までエネルギーを吸い取られた2機は、機能を維持出来ずに機能停止、バリア機能を無効化され、遂にはGSライド、ジュエルジェネレーターごと機体を吸収する。

地球で観測された機界新種(ゾヌーダ)ですら行わなかった暴挙だが、それをやってしまったこの機界新種(ゾヌーダ)は、不思議そうに自身の挙動を確認した。

 

対消滅、及び拒否反応……なし。

 

満足な結果に拳を握り、その後迷わずに物質昇華を周囲に振り撒きながら地下格納庫へと向かった。

 

───そしてその先で行われる機界融合。

 

GストーンとJジュエルを取り込み、未知なる危険を孕んだ機界新種(ゾヌーダ)は、その脅威を世界に広げんが為、顕現する。

ただ、その姿は宿主の潜在的思考を読み取った影響で、侍女(メイド)型のゾヌーダロボとして顕現するのであった。

 

 

 

〇王都 GGGオーダールーム

 

混乱を極めたオーダールームにいた隊員達は、第14工房を監視していたカメラの内、辛うじて生き残っていた映像を見て、全員が呆然としていた。

機界四天王、及びパスダーの出現に、そして怒涛の如く現れた機界新種(ゾヌーダ)

に……

 

「……嘘だろ、機界四天王に……敵の親玉(パスダー)で、もう理解が追い付かないってのに──機界新種(ゾヌーダ)だぁ!?」

「いや、いくら何でも早すぎるだろ……こう、もっと場数を踏んで、とか、予兆とか……」

「──全員現実を見ろ!!今起こっている事は紛れもなく現実だ!!」

「「「──!!」」」

「……確かに驚く気持ちは解る。だが、今起きている事は……我々が目撃している現実は、本物だ!!映像や作り物(アニメーション)ではない!!」

 

ティ・ガーの叱咤に全員が目を覚ます。

例え知っている知識であろうとも、それが自分達の知るセオリー通りに事が運ぶ訳ではない。

それが勝ち目があるか解らない戦いであれば尚更の事。

全員の目がまだ死んでいない事を確認したティ・ガーは改めて指示を飛ばす。

 

「状況を報告せよ!」

「第14工房は……設備は崩壊していますが、辛うじてV.Cネットワークの端末は映像、音声を送られて来るこの回線のみ生きていますです。ですが物質昇華と思わしき現象により、映像安定しません。」

「ミニ・ガオガイガー、及びウサリンmk-Ⅱ改の反応、ロスト……消失寸前の記録には吸収された形跡がありました。」

「マギウス・ガオガイガー、機体に目立った損傷箇所はありませんが、G&Jファイバーがオーバーフローを起こしています。直前の戦闘が原因かと。現在、AZ-Mによる再生を実行中。パイロットもバイタルに異常ありませんが、心神喪失が強いようで動きがありません……」

「ガンダムバエル、現在現場まで直行していますが、到着まで15分と予想!」

「ディバイディングフィールドに異常あり!エネルギーが吸い取られています。予想閉塞時間が、残り14分切りました!予定時間より早まっています!」

「カルディナ……!」

 

刻々と悪くなる状況に、ティ・ガーを始めとしたスタッフ達は、ただ見守るしか出来ずにいた。

 

 

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

「……馬鹿な、早過ぎる。我等はまだ存在している……()()ですらまだ存在しているのだぞ。それなのに、何故貴様が顕現しているのだ───機界新種(ゾヌーダ)!!」

 

「ゾヌゥーーーダァッ!!!」

 

遂に暴かれた。

『終焉を告げる存在』──機界新種(ゾヌーダ)

マギウス・ガオガイガーにも、そしてゾンダーにも、その脅威を向けるのであった。

 

 

──機界新種(ゾヌーダ)

地球に飛来したゾンダーが本格的な活動を始める2年前、飛来直後のEI-01(パスダー)が卯都木命の肉体に埋め込んだ機界生命体の種子が進化して誕生した存在である。

2003年に命の肉体に埋め込まれてから3年間、彼女の中枢神経に擬態することでGGGのセンサーだけでなく護の感知能力すら欺き、潜伏を続けて成長、更には命が凱や勇者ロボ達の近くに居たことで、本来ゾンダーにとっては天敵であるGストーンのGパワーへの耐性を獲得している。

(しかし、対消滅する可能性がゼロではないからか、ゾンダーや原種同様、Gストーンを持つメカを取り込んではいない。)

 

ソンダーのマスタープログラムであるZマスターの消滅後も消えること事はなく、護ですら気付いたのは覚醒直前だったことから、最低でもZマスター消滅時には既にゾンダーとは異なる存在として独立していた事が窺える。

尚、機界31原種との戦いの途中から命が度々眩暈などの体調不良に陥っており、これらは機界新種(ゾヌーダ)が覚醒を始めたことに起因し、爪、耳原種の命に対する言葉やZマスターの最後の台詞はこの機界新種(ゾヌーダ)の存在を示唆するものであった。

 

曰く、

 

負の感情(マイナス思念)は宇宙に滅びを与える、生命体は負の感情(マイナス思念)を持たぬ機械生命体ゾンダーへと昇華されるべきなのだ」

「だからこそ生命体は機械と融合を果たして、次なる次元に向かうのだ」

 

と。

だが、ゾンダーが「機界昇華による進化・秩序」を目的としているのに対し、機界新種(ゾヌーダ)は「物質昇華による滅亡」を行おうとした。

これはZマスターの意図通りなのか、意図とは外れた存在なのか。もしくはOOO(トリプルゼロ)の影響であったのかは不明。

 

何より、機界新種(ゾヌーダ)の最大の能力『物質昇華』はありとあらゆる創造物を絶縁体へと変えてゆく。

もし、ゾンダー(同族)に振るわれた場合、『同族殺し』となる事と同義である。

 

何故、こんな能力を兼ね備えていたのか?

そしてそれが今、為されようとしていた。

 

ただ判る事は一つ……それは機界新種(ゾヌーダ)が物質文明に、終止符を打つモノであるという事である。

 

そんな機界新種(ゾヌーダ)が形を変えているとはいえ、目の前にいる。

現在はディバイディングフィールドの影響で地面には何の変化もないが、その空間断絶のフィールドのエネルギーは少しずつ吸収され、展開時間を秒単位で削っている。

ディバイディングフィールド閉塞まで残り14分を切った時、何もない無貌の顔の機界新種(ゾヌーダ)が生き残っている2体を見る中、パスダーが口を開いた。

 

「……機界新種よ、貴様は我等『先発者』の後、送り込まれる原種を含めたゾンダーが滅んだ後に現れる『調停者』であるはず……だが、それを破りここに現れた。何故だ?」

「……」

「我等はこの星の阻害因子に阻まれていたが、今はこの様に活動出来るまでとなった。貴様が介入すべき(とき)ではない、それなのに何故現れた!?」

「……」

 

パスダーの問いに、沈黙を以て機界新種(ゾヌーダ)は答える……が、それは回答ではない。

全く動きを見せない機界新種(ゾヌーダ)であるが、無貌の顔に突如、亀裂が出来た。

それは少しずつ形を整え、口角のようになり、開いた。

そして響く、念波のような音が直接。

 

【……その問いは、無意味。】

「何??」

【お前たちは、()()()()()。故に無意味。故に無価値、故に滅ぼす。】

「滅びて等いない!我等は今も尚ここにいる!」

【ここは違う次元。断絶した次元。そして分かれたルーツ。故に()()()()。故に()()()()()()。消滅の()()も果て、機界昇華もなされていない……お前達は既に()()()()()()()()()()()()()()()()。】

「まさか、連絡が途絶えたのは……そんな事が!!」

【繋がった波……幸運、そして不幸。されど無価値、無意味。我は『調停者』。故に滅ぼす。文明、命の営み……全て『昇華』する、命の源に。そして静寂を───】

「───黙れッ!!!」

「……」

 

大声で、しかも感情的な声で機界新種(ゾヌーダ)の声を遮ったパスダー。

怒りと悔しさを滲ませるそれは、知る限りのパスダーの姿とは程遠い。

 

「……機界昇華。それはゾンダーの──いや、()()宿願ぞ!心弱き者は、機界昇華にて機界生命体へと進化させねばならん!!進化せねば……我等は生きる術を───喪う事になる!!」

【……全ては塵芥と化す。これまでの為した事は無意味、無価値。滅べ、心弱きモノ。」

「我に……その言葉を向けるかァッ!!」

 

アクティブ・スラスターを拡げ、自然体に構える機界新種(ゾヌーダ)に対し、握り締めた拳を振り上げ、機界新種(ゾヌーダ)へと衝撃波を放つパスダー。

同族対決という異様な戦いの狼煙がここに上がったのだった。

 

 

 

……そして、その戦いより外された存在──マギウス(カルディナ)は……

 

「痛い痛い痛い!!ちょ、止めて!!」

《──止めませんからね!!そんな悲壮感丸出しな思考を止めるまで止めませんからね!!》

 

絶賛、マギウス・ガオガイガーの右腕が独自に自身の顔面を立て続けに殴っている、という意味不明な事態を起こしていた。

何故かというと、V.Cが機界新種(ゾヌーダ)の出現によりショックを受けて動けないでいたカルディナより、マギウス・ガオガイガーのコントロールの一部を奪い、事を起こしていたのだった。

 

「止めなさいって!どうせいつまでもウジウジしてんじゃないって言うんでしょ!?でも相手は機界新種よ!?私はこうならないように密かに警戒して事を進めて来たっていうのに……あの子は───ヴィータは!!」

《───んな事ァ、判ってんですよ!!!これまでのカルディナ・ヴァン・アースガルズの努力は、事前の説明で判っています!貴女がどう心を砕いて懸命にしてきた事も!!ですけど、それすら及ばないのが機界新種(アレ)というものでしょうが!!ですが───()()()()()()()()()()()()()()

「───!?」

《死んで……ないでしょう??そんな悲しみ方をするのは……守りたい大事な相手が死んでしまってからにして下さい。『ヴィータ』は、まだ生きてます───まだ手遅れじゃないんです!!貴女なら、どうにか出来るでしょう!!レヴォリュダー、カルディナ・ヴァン・アースガルズ!!》

「………」

 

ここまで必至に喰い下がってくるV.Cは初めてだった。

思い返せば、V.Cの事は最低限の事しか知らない。しかし三重連太陽系『紫の星』の事務的なナビゲーターAIとして生まれたV.Cの何がここまで駆り立たせるのか。

 

ただの超AIがこんなにも()()()()()()()感情を見せる理由───

 

 

 

………解らない。

 

けれどもその事が、カルディナに笑みを浮かばせる。

 

「……ハイハイ、判ったわ。まったくどっかの粗暴なAIのせいで、悲しい気持ちが白けちゃったわ。」

《そ、粗暴!?私は──!》

「──ありがとう、お陰で目が覚めたわ。」

《……わ、判ればいいです。》

「そうね、まだ終わってない……まだ手遅れじゃない。私は戦える。その為のマギウス・ガオガイガーなんですもの。奪われたなら……奪い返すだけよ。」

《──TGSリアクター、システムの全快を確認。いつでも行けます……それでこそ、カルディナお嬢様ですね。》

 

カルディナが勇気を取り戻した事で、エネルギーが満ち溢れ、AZ-Mが活性化、機体状態が全快したマギウス・ガオガイガー。

今、ここに復活を果たす。

 

「さて、どういう訳か、仲間割れしているゾンダーだけど……どうしたものかしら?」

《お嬢様。それについて一つ、聞いて頂きたい事が……》

「何かしら??」

《聞いて頂けますか?》

「……いいわ、聞かせて。」

 

そしてゾンダー同士の戦いを観戦しつつ、カルディナはV.Cの話を傾聴する。

戦いの流れはパスダーがその技量の高さと手数の多さから、高速移動に惑わされずに機界新種(ゾヌーダ)へダメージを終始与え続けている。

ただしゾンダー相手に打撃によるダメージの蓄積を狙うのは無意味である。損傷による一時的な機能不全こそ見込めるが、パスダーには一歩踏み込める決め手がない。

逆に機界新種(ゾヌーダ)は当てる、受ける触るだけでエネルギーを吸収出来る。更に、機界四天王より奪った機体片、大規模なエネルギーにより、圧倒的な優位を持っている。

そしてカルディナの感想は───

 

「───その話が本当なら、それは良く、そして悪い『奇跡』ね。カイン様と、アベル様はその事を?」

《サクヤ-04の推論に熟考、同意されていたそうです。》

「仕方ない……一肌脱ぎましょうか。」

《大いに火傷しそうですね。》

「全くだわ。直接触るのは危険だから───」

 

そう言って、右腕の高速回転を始め、狙いを戦い合うゾンダー達に定めるのであった。

 

「ヌ、ヌォォォ……!」

 

そして戦いの果てに蓄えていたエネルギーの7割を吸い取られ、物質昇華された左腕を吸収されたパスダーは、首を掴まれ、残存エネルギーを吸い取られようとされていた。

 

【……我が糧となれ、滅び逝くもの。】

「ま、まだだ。まだ我は───!」

 

「──ブロウクン・バレットッ!!」

 

【───!?】

「ヌォッ!?」

 

その刹那、高密度の拳大の風の塊がその間を貫き、機界新種(ゾヌーダ)の腕を弾いた。

更にもう一撃、機界新種(ゾヌーダ)の胴体を的確に捉えた一撃が、フィールドの端まで吹き飛ばした。

 

「どうかしら?風を右腕部周辺で高速回転させて、超高密度に形成し、塊として撃ち出す『ブロウクン・バレット』の味は。熱、電気エネルギー等とは違い、極度な運動エネルギーの塊ですわ……吸収は出来ないでしょう。」

「……貴様は!」

 

拘束から解かれたパスダーが、マギウス・ガオガイガーを一瞥する。

結果的に敵に助けられた、という形になってしまったが為か、睨み付けるだけで即応攻撃とはしてこなかった。

そしてカルディナもパスダーをモニター越しに一瞥する。今まで架空の相手、遭う筈のない規格外の存在に、カルディナは心は戦慄するが、すぐに治め、臨むのだった。

 

「何の真似だ?我と貴様がとは敵同士の筈。」

「ええ、そうよ。でも……機界新種(アレ)は私の獲物よ。アナタには渡さない。」

「余計な事を……」

「そう感じてるならここは引いてもらえないかしら?()()は私が御相手致します。同族、されど異質の相手に、このまま勝てる……そうは見えませんが?」

「フン、戯言を……しかし的確な分析だな。」

「お褒めにあずかり光栄ですわ。」

「……良かろう。貴様がどのように奴を制するか、見せて貰う。だが──」

「──貸しだ何だとするなら、ここで一つ嘘偽りなく答えて頂けません?『機界昇華は、誰の意志です?』

「──!?」

「御返答は??」

「……、……決まっておろう、『我』だ。」

《……やはりそうでしたか。ありがとうございます。》

「その声は───!?」

《……》

「……そうか、違う(みち)を往くか。」

 

振り返らず、そしてそれ以上語らず、パスダーはフィールドの外へと出て行った。

そしてマギウス・ガオガイガーも振り返らず、ただ立ち尽くすのみ。

 

「……満足しました?」

《はい。》

「……そう。なら──」

 

「ゾヌゥーーダァーーッ!!!」

 

機界新種(ゾヌーダ)、再起。

しかも立ち上がった機界新種(ゾヌーダ)は砂塵の中でその姿を変化させていた。

だがその姿は、巨大な背面ウイングに迫り出た左右非対称の両肩、剛腕と言うに相応しい両腕に、船の衝角を携えた両脚。

極め付けは胸の歪な獅子の顔───

 

《まるでガオガイガー、いえ───マギウス・ガオガイガーですね。》

 

機界四天王とパスダーの力、そして寄生主自身の記憶を元に形創られたガオガイガーモドキ……否、マギウス・ガオガイガーモドキ、である。

 

「しかもカラーリングが白いって……何かの皮肉かしら??」

 

不完全な合成獣(キメラ)であるその姿は歪なれど、白いマギウス・ガオガイガーとも言える。

カルディナにはどうしても『レプリジン・スターガオガイガー』を連想して止まないが、そこは置いておく。

その姿は王都のオーダールームでも観測出来ており、全員が驚愕していた。

 

「白い……マギウス!?何の冗談だ?!」

「って言うか、なんであんな姿になれたんだ??」

「取り込まれた()()にはそんなものはなかった……となれば、核となった()()()()が原因ね。フミタンはお嬢に常に付き従っていた。公私共に連れ添う仲だし、お嬢の力の全てを、誰よりも一番に見届けている第一人者よ。」

「であれば、カルディナの強みを誰よりも知っている。」

「そんな人物と機界新種(ゾヌーダ)が導き出した究極の答えが、それこそマギウス・ガオガイガーって訳ね!」

「……っていうか、あの機界新種(ゾヌーダ)ってフミタン……なんだよね??でもお嬢は『ヴィータ』って言ってる。それってどういうことなの??」

「それは解りません。ですが、お嬢様の言う事です、何か根拠……もしくは今まで何かを秘めるために偽って来たのか───」

 

「───その通りだ。」

 

「陛下?!」

 

混乱するオーダールームにレクシーズが現れる。突然の登場に一同は慌てて跪くが、レクシーズは良しとはしなかった。

 

「今は私に構う必要はない!それよりもこの戦いの一部始終を見逃すな!各自、持ち場に戻れ!」

「「は、ははッ!!」」

「……それより陛下。陛下は此度の事をご存じで??」

「ああ。一週間前にカルディナより密かに知らされた。質の悪い冗談と思って尚、手は打ったが、事態は予想を超えた事となった……今回の事で尚の事、思い知らされた───如何に我々はカルディナに頼り切り、そしてこの世界の命は薄氷の上で繁栄を過ごせていたかを……」

 

ティ・ガーの問いに、レクシーズは重く答える。

最早、世界の運命を託せる存在が、たった一人しかない無念さを抱きながら……

だが、そんな事は今は関係ない。

この戦いは止まらない、止められない。

 

黒と白。

生と死。

ガオガイガーとゾンダー。

 

対立し、対峙するだけで生きとし生けるものを破壊する両者が、ここに向かい合う。

 

「……V.C。TGSライド、フルドライブ。同時に全リミッター解除!全部マギウスマシンの防壁、バリアに回して!!」

《了解!》

「皆さん、準備は良いですか!?」

 

《もちろんだ。》

《準備はいつでも。》

《さすがに手は抜けられないね。》

《元より手を抜くつもりもありませんが。》

《さあ、参ろうか!》

《いくよ!全力、全開で!!》

 

天使、悪魔達もその力を滾らせる。

そして一歩、二歩と歩み、互いに近付きながらウイングを展開、そして───

 

「ハァァァアアアッ!!!」

「オオオォォォーー!!!」

 

推力最大で急襲するマギウスと機界新種(ゾヌーダ)

接敵一番に互いの必殺の一撃をいなし、気迫を乗せ、繰り出した攻撃はディバイディングフィールドを震わす!

マギウスと機界新種(ゾヌーダ)の戦い、それは重量級でパワー型の同型同士の戦いに似合わない、まるで何処にどう来るかが予め予知された、速さ極まる戦いであった。

正確無比───相手の急所を的確に捉えて、尚も的確にいなし、避け、尚も打ち続ける。

それは演舞でも見ているような優雅さもあるが、触れれば対消滅の余波で互いを削り合い、何よりその余波を貫いて更に圧し通し、無手で装甲を抉り取る『破壊』が場を制する。

一つ当たれば致命傷の戦技───互いが互いの手を知っていて尚、相手を打ち破らんとする姿勢は、互いを喰い合うようにも見える。

 

それでも雌雄を決する一撃は、互いを追い詰めて行く。

 

《ぐぁあっ───!?》

《サタン!?》

 

機界新種(ゾヌーダ)の物質昇華の影響で触れ、阻む度にマギウスが蝕まれてゆく。

更に物質昇華の一番の凶悪な点───エネルギーの強制離散は、バリアを無効化し、高位存在である天使、悪魔を蝕んでいく。

鉤爪のように鋭い指がマギウス・アーマーを突き破って右肩(ガルム)に食い込み、機界新種(ゾヌーダ)の物質昇華の影響でエネルギーが強制的に離散、回路を始めとした周辺物質を蝕むのは致命的であった。

 

《──ぁぐッ!奴に触れるだけでもエネルギーの生成が維持出来ないッ!!》

《各マギウスマシンのGSライドの稼働、限界間近です!》

《これが機界新種(ゾヌーダ)、物質文明に終止符を打つ者!》

《姿形は違えど、俺達に終止符を打つ気満々だね!》

《奴は神、悪魔……いや違う!悪魔は我等だ!》

《そして神でもない!例え超常の存在だろうと──!》

《私達はそんなもの、受け入れません!!》

「そうよ……みんな負けるつもりなんかない、だから───貴女も機界新種(そんなヤツ)になんか負けないで、ヴィータッ!!」

 

 

《 《 ───!!! 》 》

 

 

その時、奇跡が起きた。

突如、機界新種(ゾヌーダ)の中から放たれたのは『(Gパワー)の光』。

そして共鳴して放たれる『赤き(Jパワーの)光』に苦しむ機界新種(ゾヌーダ)

 

「どうして機界新種(ゾヌーダ)からGパワーとJパワーの光が……!」

《あの波動パターン……間違いありません、ミニ・ガオガイガーとウサリンmk-Ⅱ改に実装されていたものです!》

《まさか、あの2つを吸収してたのか!?なのにどうして!?》

《……まさか、サクヤ-04とヴィータさんが機界新種(ゾヌーダ)に一定の間、()()()されるよう隠蔽をしたのでは!?》

 

機界新種(ゾヌーダ)の内部では、ゾヌーダロボへ機界融合する前に吸収したGSライド、ジュエルジェネレーターがゾヌーダ核の中に楔のように取り込まれていた。

今まで隠蔽してきたものが、カルディナの呼び掛けによって意識を取り戻した04とヴィータが起動させたのだった。

 

機界新種(ゾヌーダ)といえど、一時的に無害化されたGSライドとジュエルジェネレーターは取り込みきれず、その影響で04とヴィータも完全に融合出来なかったと見た!》

《あの2人……やってくれる!》

《しかし何時まで()つか……!》

《……お嬢様、サクヤ-04より最後のメッセージです。『後は、お願いします』と……加えて、サクヤ-04からのリンク──途絶。》

 

V.Cは静かに告げた。

V.Cの分体といえど、サクヤ-04はその命の限り、戦ったのだった……

 

《……お嬢、()()の事は気にするな。物質昇華の負荷は全て受け持つ!!》

《早く、ヴィータを助けてあげて……!》

《今が命を賭ける時ぞ!!》

「……みんな!」

《それまで各GSライドは皆で()たせます、だから──!》

《お嬢はただ、勇気を胸に前を向いてくれ!》

《そして勝利を、その()に───!》

《やりましょう……これが最後のチャンスです!》

「……往くわよ、みんなッ!!」

 

その言葉に、全員の意志は一つになった。

溢れ出るGパワーとJパワーを抑える事は出来ても、消滅させる事は不可能と判断した機界新種(ゾヌーダ)は再びマギウスに襲い掛かる。

振りかぶる物質昇華の拳に、右脚(ドラゴン)のドリルが廻り、迎え討ち、砕く。

 

《構わずブチかませッ───!!》

 

マモンの声が途絶えた。

それでも一歩前に進む。

次に砕けた腕とは反対の拳が迎え出るが、それを左腕(アリコーン)で迎え討ち───クロスカウンターとなり相討ちとなるが、気合で押し込み吹き飛ばす。

 

《勇気と、共にッ──!!》

 

同時にラファエルの声が途絶えた。

砕けた頭部など気にする間もなく、瞬時に負傷箇所を再生させた機界新種(ゾヌーダ)と両手を手四つ状態になり、一瞬拮抗する。

その瞬間、マギウスは遠距離攻撃を全展開──暗黒霊牙(ワームスマッシャー)と、アリコーンフェザーを一斉発射。

 

《私達の心は一つッ──!!》

《だから圧し通らせて貰うッ──!!》

 

ガブリエルとベルフェゴールの声が途絶えた。

強力なゾンダーバリアを有する機界新種(ゾヌーダ)であるが、一斉掃射の圧力は機界新種(ゾヌーダ)が姿勢を崩すにまで至る。

その隙を逃さず、マギウスは左脚(ドレイク)で蹴り上げ、更に踵落としで頭部を潰す。

 

《この世界と、私達の居場所を護る為にッ──!!》

 

ザドキエルの声が途絶える。

けれども攻める手は止めない。

最後の駄目押しに高速回転させた右腕(ガルム)で殴り、殴り、殴り飛ばす。

 

《勝利は、すぐそこだッ──!!》

 

サタンの声が途絶えた。

みんなは(天使も悪魔も)いない。

殴り飛ばされ、けれども辛うじて受け身を取って立ち上がった機界新種(ゾヌーダ)が見た光景は──

 

「ヘル・アンド・ヘヴンッ!!!」

 

──核を抉り出す気だ。

 

光り輝くマギウス・ガオガイガーの、必殺の一撃。

その姿は光り輝く破壊神。

本能レベルまでに危険を感じた直感が、機界新種(ゾヌーダ)に最後の一手を打たせた。

 

「ハァァァアアアアッ!!!」

《あれは……!?》

「ヘルアンドヘヴン……!」

 

 

機界新種(ゾヌーダ)による『ヘルアンドヘヴン』。

ゾンダーがヘルアンドヘヴンを使ったのは、かつて地球のGGGのコンピュータシステムにゾンダー化してハッキングした犬吠崎こと、EI-15。

猿頭時耕助の活躍により排除された後、ガオガイガーの予備パーツを用いてEI-15に変化。ファイナルフュージョン・マニュアルによりファイナルフュージョンしたガオガイガーと交戦し、ガオガイガーは勝利した。

 

だが、この機界新種(ゾヌーダ)にはガオガイガーの要素(パーツ)は一切含まれていない。

そしてその異常は王都のオーダールームでも確認が出来た。

 

「……それでも、やってのけるとは。」

「ディバイディングフィールドの展開限界、残り5分を切りました!!」

「この戦い、どうなるんだ……??」

 

「──信じるんだ。」

「──祈りなさい、それがあの娘の為になります。」

「そうです!今、僕達に出来る事はそれしかありません!」

 

「あ、あなた方は!?それに……いえ、その通り。今は祈る──勝利を。それがカルディナの為に。」

 

突然現れた人物らに驚きつつもレクシーズは、オーダールームのスタッフ達はその人物の言う通り、カルディナの勝利を祈るのだった。

 

そしてヘルアンドヘヴン同士、2つの力を1つにし、EMトルネードを互いに解き放つ。

ぶつかり合ったEMトルネードは、性質の違いから激しい乱気流となり、フィールドの中だけでなく周辺をも破壊し、その嵐の中を突き抜け───2機は激しく衝突する!

出力最大(フルブースト)でヘルアンドヘヴンを突き合わせる余波で、EMトルネードは吹き飛び、対消滅の衝撃波が常に撒き散らされていく。

 

圧倒的な破壊力の前に、拳に入る亀裂───しかし互いに再生能力を有しているため、破壊と再生を繰り返すが、機界新種(ゾヌーダ)の方が一枚も二枚も上手で、徐々にマギウスは押し込まれていく。

更に天使達と悪魔達が抜けた影響は大きく、GSライドのコントロールはカルディナとV.Cが肩代わりしているが、既に風前の灯火。

切り札はあるが、ここでは切れない。

 

《……シス、テム全同調完了……後は、お願いします───》

「……V.C!」

 

V.Cの声が途切れた。既に物質昇華に対し最後の防壁となり、カルディナを守ったV.C。

出会いは短くとも最大の戦友(とも)の声が聞こえなくなった事に、カルディナは涙を浮かべる。

 

とうとう独りとなった。

 

 

───このままじゃ敗ける。

 

一瞬、脳裏に(よぎ)ってしまう。

その思考を振り払うが、機界新種(ゾヌーダ)相手に出力不足は否めない。

どうすれば───

 

 

──負けないでくれ、カルディナ!!

 

(──この声……アシュレー殿下!?)

 

──まだ終わってない、諦めてはいけない!

──貴女の力はこんなものですか?まだいける筈です!

 

(カイン様、アベル様……!)

 

──頑張って!

──負けんなよ!

──生きて帰って来て……!

──絶対勝てよ、お嬢!

──!

 

(この声は……みんな!!)

 

それはGストーン・リンクによる、みんなからの『勇気の声』。

その声はGストーンの力を高め、Jジュエルとの共鳴を更に高めた。

 

「……ふ、ふふふ。あははは!そうよ──私は独りじゃない。殿下が、カイン様が、アベル様が、みんながいる!そして───!」

 

 

──カルディナ……

 

やっちゃえェーー!!

 

 

 

「……貴女の声も!必ず、助けるから──ヴィーータァァーーッ!!!」

 

カルディナの叫びに、TGSライドが応えた。

そしてここでカルディナは最後の『勝利の鍵』を解き放つ。

 

「……システム、リミッター解除。内蔵弾丸X起動!ハイブリット・エヴォリュアルウルテクパワー全・開!!」

 

カルディナ最後の勝利の鍵『内蔵弾丸X』。

その全リミッターを解除したエネルギーをレヴォリュダーの能力により制御するGストーンとJジュエルを用いた『H(ハイブリット)・エヴォリュアルウルテクパワー』がカルディナが用意した最後の切り札であった。

 

カルディナと皆の勇気、H・エヴォリュアルウルテクパワーの力がマギウスの拳に宿った時、機界新種(ゾヌーダ)の拳を砕き、歪んだ獅子に突き刺さり、GとJのパワーがゾヌーダに浸透する。

 

「ゾ、ゾヌーダァッ!?」

「何を驚いているのかしら!?Gストーンの力はゾンダーに抗うために生まれた勇気の──生命(いのち)の力!!アナタも今、それを身を以って味わってるでしょう?!」

 

外と内より浸透し、四肢を満たすエネルギーは機界新種(ゾヌーダ)を構成する組織を崩壊させ、脆くする。

 

「私が……みんなが諦めない限り、勇気を束ね1つになったこのマギウス・ガオガイガーの力は───!!」

 

そしてマギウスの拳はがっちりとゾヌーダ核を掴み、全エネルギーを拳に集中させ、空へと掲げる。

 

「───無限を超えた、絶対勝利の力だぁぁあああっ!!!」

 

放たれる白き奔流。

機界新種(ゾヌーダ)のボディを消し飛ばし、地表を光の渦へと巻き込み、展開時間残り数秒のディバイディングフィールドの力場を悉く砕いた。

光は成層圏を抜け、宇宙(ソラ)へと抜けた。

 

 

 

……そして、ディバイディングフィールドが消失し、窪地となった大地に、マギウスの掌に残る鳴動する球体(ゾヌーダ核)

最後の力を振り絞り、カルディナは浄解モードになり、機界新種(ゾヌーダ)へと浄解の呪文を唱える───

 

 

 

───此度は、負けを認める。だがこの(ぬし)は渡さぬ。

 

「───!?」

 

───覚えていろ、『勇者王』そして『我等を奪いし者』よ。

 

 

突然のテレパスを受け、少ない動揺を受けたカルディナが目にしたのは、球体からゾヌーダ人間、そしてカルディナのよく知る少女へと急速に変化していったゾヌーダ核の急激な変化であった。

マギウスの掌に伏す少女に、浄解の(いとま)など与えない……そんな意図すら垣間見えるが、それ以上に……

 

「ふざけないで、そんなのアリ……??」

 

既に限界を超えていたカルディナは、悲しみと悔しさで浄解モードも解け、意識を失い、倒れる。

 

「……完全に、救えなかった。呪縛を、解けなかった。ごめん、ヴィータ──」

 

偶然にも重なり合った手が、二度と離さないようにと語るように……

そして救援に向かったバエルが到着したのは、このすぐ後であった。

 

 

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

「……終わったようだな。」

「はい。」

 

少し離れた場所より、一部始終を観ていた機界司令パスダー、そして四天王の1人、プレザーブ。未だ戦闘形態のパスダーであるが、機界融合をするエネルギーもないプレザーブは人間形態になっていた。

パスダーはただ静かに。プレザーブは何か動揺を隠せない様子でいた。

ちなみに他の四天王は未だ意識を取り戻していない。

そして何か尋ねたそうな様子でソワソワし、プレザーブは意を決してパスダーに問う。

 

「パスダー様、一つ宜しいですか?」

「……何だ?」

「あの機界新種……というゾンダー、あれは何なのでしょうか?我らが理想とする機界昇華、それを否定するような存在にしか見えないのですが……」

「───プレザーブ。」

「──!?」

「……我らとは()()()()()()()()()()()()()()()よ、アレを頼るな、求めるな。アレは……我等を否定するものだ。」

「否定……!?」

「アレはただ全てを『破界』する。そこに()()はない……解かるな?」

「……はい。その通りです。

「であれば、我らは───む。」

「パスダー様?」

「ここでの話は、ここまでだ。追手が来たようだ。」

「追手が……!」

 

パスダーの視線の先──空を見上げる。

そこには───ギャレオン(カインの遺産)。そしてその頭部に乗り、妖精のような羽根を生やし、緑色に輝く一人の男と、孔雀の羽根を生やし、赤く光る小柄な女がいた。

その2人に、パスダーの目は見開いた。

 

「フ……フフフ。生きていたか、アベル。そして──カイン。」

「ま、まさか奴らが……!」

「間違いない。どうやって生きていたかは解らぬが、再び出会えようとはな。」

 

三重連太陽系『赤の星』指導者、アベル。

同じく『緑の星』指導者、カイン。

元の肉体に魂を宿し、ここに復活。

 

その姿を歓喜するような、木陰の隙間から覗くパスダーだが───視線が合った。

 

「フュージョン───デミウス・ガイガーッ!!」

 

『デミウス・ギャレオン』と復活したカインは、『デミウス・ガイガー』へとフュージョンするのであった。

そして直ぐ様降り立ち、見渡す。

 

……しかし、そこには誰もいない。

 

「どうしました、カイン。いきなりフュージョンするなんて……」

《今……確かに誰かが存在し(ここにい)た。》

「もしやゾンダー、ですか?」

《ああ。ただ懐かしくも、決して相容れない者のような気がしたが……》

「………」

 

不穏な気配を感じつつ、今回の事件は終わった。

そして今回の事件は勝者のいない、ただ謎ばかりが深まる事件であった。

 

【被害】

・第14工房 全壊

・マギウス・ガオガイガー 中破(完全修復に5ヶ月)

・V.Cネットワーク 機能不全

・フラワー、サクヤシリーズ 機能停止

・死傷者 2名(内1人は重体)

・サクヤ-04 消滅

・機界新種 浄解ならず

 

特にV.Cネットワークの機能不全は、王国の連絡手段ばかりか、鉄鋼桜華試験団の作戦に大きな支障をもたらそうとしていた。

 

ひたすらに失われたモノは多い。

敵も味方も、どちらにも機界新種(ゾヌーダ)は爪痕を残した。

 

だが……

 

 

《────!?!?!?》

 

 

今、1体のサクヤシリーズに異変が起きた。

それは、V.Cが今日まで()()()()()()隠蔽してきた、とある存在。

 

「………私は───」

 

『始まり』が、そして『全て』が、再び集約されようとしていた。

敵も味方も、どちらも巻き込む嵐となって……

 

 

《NEXT》

 

 

《─次回予告─》

 

カルディナ倒れた事により、不安に陥る鉄鋼桜華試験団。

 

行われるのは包囲網。だが、過去の焼き直しのような計画にクーデリアの心は揺れ動く。

 

しかし託された任務を遂行するため、一行は死力を尽くす。

 

そこに現れた予期せぬ人物。更に明らかになる『アドモス商会』の秘密。

 

隠されていたのは、過ぎ去りし日の少女の絶望である事を彼等は知る……

 

 

次回『公爵令嬢は、ファイナルフュージョンしたい』

Number.23 ~取り替えっこ(チェンジリング)の果てに~

 

次回もこの物語に、ファイナル・フュージョン承認ッ!!

 

これが勝利の鍵だ!

『アドモス姉妹』

 

 

 


 

《現在公開できる情報》

 

〇デミウス・ギャレオン

〇デミウス・ガイガー

 

アルドレイア王国の技師達のみで開発した王国製ギャレオンの試作品。

カルディナの工房の職人の手がはいっておらず、各錬成や付与魔法(バフ)の効果が甘くなっているため、三重連太陽系の品質としてや、マギウス・ギャレオンと比較し4~5枚以上も脆い仕上がりになっており、『基礎の甘い』仕上がりとなっていたものを、カルディナ、カイン、アベル、サクヤ-04により再調整したものが本機。

特に縛りがないため、事前登録さえ行えば誰でもフュージョンする事は出来るが、ファイナル・フュージョンは対応機がないため出来ない。

動力源はGSライドとジュエルジェネレーターを使用しているが、共鳴現象を起こす事が出来ず、ネジ一本から装甲まで三重連太陽系の技術で再強化しているが、時間が足りなかったため全ての調整は行えず、トータルで本家ジェネシック・ギャレオンやマギウス・ギャレオンの域には達していない。

 

 

 

〇グランドマン・ロディ

ランドマン・ロディの発展機。ロディ・フレームを基礎から見直し、ガンダム・フレームを真似て四肢を延長して剛体性を増強しつつ、量産性も上げた王国製試作量産機、第14工房にあったのはその試作2号機。

それをカルディナ、カイン、アベル、サクヤ-04が三重連太陽系の技術を用いて更に機動性を上げるため、試作したアクティブ・スラスターを取り付けたものが本機。

四肢の延長や付与魔法(バフ)機構の増加に伴い、全体的に細身のシルエットに対して、装置によりバストアップ、機動性を重視するため、ヒールも装備したせいで、意図せず女性型となった。

格闘能力は随一で、関節可動域は達人の動きを再現するために、原型を留めていない程に改造を施している。

動力源はGストーン後付け型魔力転換炉(エーテルリアクタ)

機界新種が取り込んだ時には起動実験前だったため、Gストーンは外されていた。

 

 

機界新種(ゾヌーダ)

今作、一番バグったやつ。物質昇華でゴリ押しは平常運転。浄解能力者泣かせで、核形態からすぐにゾヌーダ形態になる。普通は無理。凱兄ちゃんもあの状態から、よく浄解出来たなと感心するレベル。マヂでもう戦いたくない相手。でももう一度対戦予定。

orz

 

 

 






……という訳で、機界新種は浄解出来なかったよ。
出来ると思っていた人、ごめんなさい。強制力が入りました。
ちなみに一番トチ狂ってるゾンダーは腕原種(アームストロングさん)だと思います。
超竜神がザ・パワーで復活後、強龍神、幻竜神回で、スフィンクスゾンダーにハンマーヘルアンドヘヴンの核摘出後、即座に核から変身して離脱とか、やめーや、とか思える程の回だったと思います。
腕原種(アームストロングさん)は一番優遇されているなぁ。

それと、今回の話である程度自分が書きたかった予定の前振りの内容は7割ほど書けました。後はオチがしっかり付くようにこれからも書いていきます。

とはいえ………けっこう組み込んだのは気のせいじゃないはず。

ご感想、お待ちしています。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。