公爵令嬢は、ファイナル・フュージョンしたい。   作:和鷹聖

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という訳で(?)お待たせしました、後編~。

フミタン・アドモスとヴィータ・アドモス、2人の関係とは……!?で始まる話はここです。

話を考え直す際には実はヤバげなフラグがひっそりあったり、回収したら世界観が一掃されてしまうようなネタがあることもありますよね??ね?(訳の解らない強要)

それではどうぞ。


2023/10/18 文章追加、変更
子供カルディナが襲われた際、6歳の子供じゃ性犯罪は難しくない?(意訳)とご指摘を受けました。
けっこう過激な描写ですが、確かにと思いまして、実際お父様がどう動いたかを追記しています。耳汚しな話なので割愛してますが。


Number.23 ~取り替えっこ(チェンジリング)の果てに~(2)

 

 

「うぇ~~~ん、フ~ミ゛~タ~ン゛~~」

「あ~、はい。すみません、よしよし……」

「こちらをどうぞ。」

「……どうも。」

 

ドルト郊外にある鉄華団のキャンプ地、その大型テントの中に案内された鉄華団一同はようやく終わった任務の休息がてら、広間にて数人のメイド達、執事達からお茶を出され、嗜んでいた。

ルムがお茶出しにしれっと参加しつつ、一息吐いたところで、全員が帰投するのを待っていたクーデリアが走ってやって来て、再び出会えたフミタンに大泣きしながら抱き付いて甘える始末なのはご愛嬌。

 

(……まあ、そんな事もあっていいか。)

 

前世死んだ者が、今は存在している世界で『何でいるのか』を深く指摘するのも野暮だ。

三日月もフミタンに再び出会えたクーデリアを優しく見守っている。

細かい疑問はさておき、良い出会いには感謝する事にしたオルガ。

 

そんな中、ヴィータがやって来て、緊張が走る。

 

「お待たせしました。」

「……おう。それでしっかり事情、聞かせてくれんだよな?」

「はい……といっても、お伝え出来る事は私とフミタン姉様の事、そして『GGG諜報部』の簡単な()()()()ぐらいですね。」

「どれもヤバ気な内容だな。」

「『GGG諜報部』に関しては何となく察せられる気がするけど、一番はフミタンさんとヴィータ……さん、だね。」

「──であれば、まず私の事からお話しましょう。その方が時系列的にも判りやすいので。」

 

そう切り出したのはフミタンであった。

 

「私は……そうですね。前世の事はさておき、今世では多少裕福な商家に生まれました───」

 

『七星君主』の統治するギャラルホルン教皇国───そこは豊かな国()()()()

広大な土地ながら痩せ、起伏のない平地では水の供給さえ困る時がある。表の見映えの良さとは裏腹に、裏では貧困層を多く占める。

それを『カイエル教』の布教により輪を繋ぐ、そんな国だ。

フミタンという少女はその国の商家の次女として生まれた。

記憶を取り戻したのは3歳の頃、転生した事もそうだがギャラルホルンの地にいる事に軽い絶望を覚えつつも、器量と商才ある父親と面倒見の良い母親、怖がりな4歳の長男、頼れる使用人達の影響もあり、多少ながら希望は持ちつつ日々を過ごしていた。

また、物覚えの良いフミタンを父親は自身のノウハウを自慢気に話す事で、前世の知識も合わさり、商売の事も自然と学ぶ事が出来た。

忖度の駆け引きが上手く、何より父には信用があった。

生活は節制していたが、幸せは確かにあった。

 

だが、その幸せを破壊したものが、ノブリスであった。

 

フミタンが6歳の頃、取引先の信用がアドモス商会に集中していたため、儲からない他の商会が嫉妬したのを逆手に取り、当時No.2のノブリスは彼等を唆して強盗に見せ掛けた闇討ちを行ったのだった。

混乱の中、父も母も、兄も、使用人達も死に、残った者達は批難され、アドモス商会はゴルドン商会に吸収された。

近くの林に果実を収穫しに訪れていたフミタンは、その光景を目の当たりにし───逃げた。

 

「……当時の私は文字通り小娘でしたからね、捕まればどうなるか解っていましたから、それはもう必死に逃げました。」

 

捕まれば人身売買行きだろう。

そうして訳も解らぬまま必死に逃げた先がギャラルホルンとアルドレイアの国境付近である。

 

「無我夢中で逃げたせいで当時は何処にいるか判りませんでした。そうして逃げて4日経過した頃の夜です。ろくに食べれず、月明かりも雲に隠れ、暗い夜道を歩いていて、もう駄目かと思った矢先……()()はいきなり燃え広がった豪炎の真っ只中に巻き込まれたのです。」

「只事じゃねぇな。何なんだ?」

「アグニカ様の第二夫人エリザベート様が放った魔法による、豪炎です。」

「エリザベートさんの魔法……?」

「……その場所は、カルディナお嬢様が初めてゾンダーに遭遇した場所、と言えば判りやすいでしょうか?」

「……あ。」

 

フミタンが出た場所───そこは世界初の『ゾンダー殺し』が行われていた場所であり、カルディナ・ヴァン・アースガルズ、5歳が一度死に、AZ-Mにて再誕した、人生初のゾンダー遭遇現場であった。

 

その事を後にカルディナより見せられた過去の映像記録で知ったのを思い出すオルガ達だが、ゾンダー相手に自身の師の1人でもあるエリザベートがガチバトルを仕掛けていた光景は、火山の大噴火の中で繰り広げられた激戦に等しいのを覚えている。

何気にフミタンに哀愁が漂っている。

 

「その現場に居合わせたのか……御愁傷様。」

「人生で一番死を実感した時でしたね。流れる涙も瞬時に蒸発する熱気の中、敵味方の区別をつける余裕がなかったエリザベート様の剣と炎から逃げるのに必死になる最中、カルディナ様と出会いました。」

 

当時ゾンダーを相手にしていたのはエリザベートにフュージョンしていたアグニカである。

最大火力で燃やしても再生し続けるゾンダーを相手を少しずつ切り刻みながら、豪熱地獄が造り上げられる中でフミタンとカルディナは会合する。

とはいえ、挨拶をする暇もなく、出会った瞬間アイコンタクトで協力し合いながら必死に逃げる幼子達。

抗う?足を止めたら死にます。力のない幼子は逃げるしかない。

敵はゾンダーだが、最大の障害はエリザベート(inアグニカ)さん。

後は野となれ、山となれ、灰となれ、塵となれ。

ゾンダーの消滅と共に、天然の熔鉱炉が出来上がったのは言うまでもない。

 

「……まあ、その縁あって私達はアースガルズ家に厄介になる事が出来ました。」

 

それからカルディナが事情を知ると、助力を得て私設秘密諜報機関『CAV諜報部』が出来た。

 

「全てはノブリス・ゴルドンを含めたゴルドン商会を潰すためです。私の他にもノブリスに商会や、あのジジイの障害になり殺された人の関係者を中心に構成しています。」

「道理で殺気が尋常じゃねぇと思った。けどどう集めたんだ?簡単じゃねぇだろ?」

「私も尽力はしていましたが、大多数はカルディナ様が12歳の頃に行った武者修行の旅の折に。あれはご自身の修行の他、人脈形成のための旅でもあったそうで。その過程でノブリスに恨みを持つ者を勧誘し、また人伝で勧誘……その繰り返しです。そしてカルディナ様が戦う術のノウハウを指導して頂いた事により、我等は他を圧倒出来る武力を持った商業集団『アースガルズ商会』を形成出来ました。」

「………」

 

恐ろしい話である。

ちなみに勧誘した構成員(メンバー)の一人一人は、例外なくノブリスにこの上ない怨恨を抱く者達ばかり。

故に勧誘には商人の守秘義務が守られていた。

 

「騎士を超越した力を習得出来る場、この上ない経済環境を用意してくれたカルディナ様には絶対の忠誠を誓う者ばかりです。故に『CVA諜報部』は全国規模を超えて他国にも人員を配置出来るまでに増えました。そしてカルディナお嬢様が『GGG』の隊長に任命された事により、我々も相応しいよう『GGG諜報部』として再編成致しました。」

「あの……」

「何でしょう、ユージン様。」

「全国規模って言うけどよ……実際はどれくらいいるんだ?」

「……詳しい人数は明かせませんが、アースガルズ領内で街中の住人5人程声を掛ければ、一人は『諜報部』の人間に当たる程度には……」

「ヒエッ!」

「加えて、アルド・レイアの秘密諜報部の人数、代表、家族構成も把握しております。」

「……わかった、もういい。」

 

「……聞かなきゃ良かったぜ」と後悔するユージン。街中にどれだけの『影』──諜報部員がいるか、具体的に言われると恐怖感が凄い。

また、カルディナやV.C.の持つ能力で、例え口に出さずとも接触するだけで伝播出来る。

正に情報を得られる最上の環境と言える。

 

「また人それぞれなのですが、カルディナ様を敬愛、信仰する者が多く、商会や諜報部でカルディナきょ……いえ、これに関しては今回の件に関係ないので省略します。」

 

……何が言いたかった。

想像は出来るが、この件は聞いてはいけない。

そう思いつつ敢えてツッコミは控える一同。

 

「ちなみに私自身は前世を含めたノブリスへの復讐と、何処かにいらっしゃるであろうクーデリアお嬢様のためでした……前者は本日達せられ、後者はカルディナ様のご縁で早期に居場所を知る事が出来たので、後ろ髪を引かれる事はありませんでした。」

「でも最初からいたんなら教えてくれても良かったと思うんだが……」

「下手に知らせると、クーデリアお嬢様すら狙われる可能性が出てきますので、今日まで言う訳には参りませんでした。多数の同士がいるとはいえ、全ては私達が始めた事……巻き込む訳にはいきません。」

「フミタン……」

「……フミタン。あんた、従者の鏡だな。遠い場所でクーデリアに会えず、寂しかったろうに。」

「ありがとうございます。ただ、商会の仕事で時々ヴィータと入れ替わっている事もありましたので、皆様やクーデリアお嬢様の動向は直に御拝見させて頂いていましたので……実はさほど寂しいとは感じておりませんでした。」

 

むしろ、近くで見れて微笑ましかったです、と告げるフミタン。

その事実に一同ショック。

クーデリアも「き、気付きませんでした……」と大きくショック。

変装術さえも習得している今のフミタンには、雰囲気の似ているヴィータに変装する事は容易である。

実はちょくちょく変わっていた姉妹であった。

 

閑話休題(それともかく)

 

「……フミタン、1ついいかな?」

「ビスケットさん、何でしょうか?」

「いや……気のせいかもしれないけど、さっきの説明で『私達』って言ってたよね?さっきの話の中でフミタンの他に誰かいたの?」

 

話の中で、フミタンは何故か『私達』と言っていた事にビスケットは今世では物書きもしているためか、そのところが異様に気になっていた。

そしてフミタンは静かに頷いて肯定する。

 

「はい。カルディナ様と出会う前に、もう一人傍にいました。」

「……もしかしなくても、それってヴィータ?」

「はい。ヴィータはノブリスの襲撃がある1ヶ月前に出会った義理の妹です。」

「義理の妹……ってどういう事だ??」

「1ヶ月前に、父が行商の先で拾ったのが発端でした───」

 

見た目4歳程で、行商先でどこからともなく現れた……自身をヴィータと名乗り、外見は特徴的な赤髪の女の子で、孤児のようなボロボロの外見以外は特徴もない。

ただ、何の記憶も持っていない女の子であった。

 

「記憶喪失ってヤツか……」

「らしいです。そして不憫に思った両親はヴィータを養女として引き取り、家族の一員なりました。ちなみに、ヴィータと襲撃の件はシロです。後日カルディナお嬢様が記憶を覗き込み、調べましたが一切その手の形跡、記憶もない事が判明しています。」

「そう言われても、怪しくないような、そうでもないような……」

「同意します。今のところ、ヴィータは限りないグレーです。ただ、不可解な点も。これはお嬢様もV.C.も仰っていましたが───」

 

「──『エピソード記憶』。これが4歳当時のヴィータにはないのよ。」

≪4歳以前の記憶がない……脳を有する生物で、生まれてからのエピソード記憶の一切ない生物なんてありえません。≫

 

「エピソード記憶が、ない……?」

 

エピソード記憶は感覚記憶が多く占める。同時にあらゆる記憶との関連も強い。

そこには何らかのストーリー(生きた軌跡)がそこにあり、そして記憶とは当人の意思とは関係なく自然と蓄積されるのだ。

それらの過程がないのは非常に不自然といえる。

 

「よくそんな不自然な人間を受け入れたな、お嬢は。」

「それは……当時のカルディナお嬢様の心理状況が原因です。ゾンダーに襲われた前日、カルディナ様がギャラルホルン教皇国で、同盟を組もうとした事があったのを覚えていますか?」

「ああ、確かご破算になった奴だろ?しかも同行してったお嬢を第一王子が妾になるよう強要したって話だ。」

「はい。ただその日、その他に箝口令が敷かれた事件がありました。それが……その王子に密室で襲われかけたという事件です。」

「マジか……強要の話は知ってるが、密室で襲われたのは初耳だぞ。」

「お嬢も言ってくれりゃ……いや、無理だな。」

「そこは察してあげて下さい。」

 

絶句する一同にあえて釘を刺すフミタン。

 

条約締結の当日、当時の担当だったクリストファーが式典参加するにあたり、彼から一時的に護衛と共に離れていたカルディナであるが、そこに6歳となる第一王子がニタニタと笑いながらやって来た。

そして品定めをするようにカルディナを値踏み、そこで婚約を強要するも拒否。

それに謎の触発をされた王子は、カルディナの護衛達を捕え、そしてカルディナを誘拐、自身の寝室に連れ込んだのだった。

そんな行為に走られては、幼いカルディナとてすぐ解った。

 

急報を受けて駆け付けたクリストファーが見たのは、部屋の外で泣いていたカルディナと、逆にカウンターを食らわせて全治3ヶ月の重傷を負わせ、◯玉が片方再生不能になって悶えていた王子の姿であった。

幸いカルディナは純潔は守れたものの、その影響で心身共に傷を負ってしまった彼女を誰が責められようか。

そしてこの事件を元に条約は決裂。

先にカルディナをアルドレイア王国への帰路へ帰したのだが、そこに出現した数体のゾンダーに襲われたのがこの時となる。

 

この頃にはカルディナはガオガイガーの映像を視聴し終えて、ストーリーも理解していた事は幸運であり不幸でもある。

当然ゾンダーの脅威は幼いながらにも知っており、故にこの上なく震え上がった

極めつけにそんな精神状態で豪火の中をひたすら走り回された子供の心理とはいったい如何なるものか。

 

尚、この暴漢事件は王子の独断ではなく、裏で王子を持ち上げて唆した家臣達の存在があり、『条約締結代表の娘が王子に床に入るよう誘惑し、招いた』と偽証し、カルディナを教皇国のものにしようとする目論みであったが、カルディナの行動と、クリストファーの条約破棄という機転、更にはその場で犯人である貴族達を尋問、娘に暴漢を働いた責任として、その場にいた貴族達を残らず斬殺した事で手打ちにしたという裏話があるが、詳細は耳汚しな話なので割愛させて頂く。

 

「全てが終わった後、互いに震えながら自己紹介をしましたが……ヴィータの名前を聞いた時、カルディナお嬢様の精神は限界を越えました。」

 

 

───も、もうおわりだわ!!みんな……みんな、きかいしょうかにのみこまれて……きえてなくなるんだわ!じょうかいできるひともいない!それをかいひしても、さいごは……このほしも、みんなも……うわぁーん!!

 

 

「……名前を聞いた後に、どうしてそんな理由で泣く?」

「理由は『ヴィータ自身』です。後に知りましたがヴィータとはラテン語で生命──『(いのち)』。ではガオガイガーのストーリー内でその名前を冠する人物と言いましたら……」

 

「───(みこと)。」

 

思わず呟いたビスケットの一言に、全員が驚愕、凝視する。

加えてフミタンは頷き、当人(ヴィータ)は沈黙で応える。

そして全ての推移を察っしてしまう一同……

 

「赤髪でヴィータ()の名前……カルディナお嬢様はそこで当時のヴィータに卯都木命様───『機界新種』の陰を見たのでしょう。」

 

そして事実、そうだった。

もちろん当時は被害妄想も入った推論だったのだろう。しかし恐怖体験に加えて自身のバイブルでもあるガオガイガー最大の敵の存在を示唆する人物が突如現れたのだ。

口走ってしまうのは仕方ない。

 

「そして恐怖体験の中で口走る事を信じる者は、当時誰もいなかったのです。目の前のゾンダー達はエリザベート様により苦労されつつも殲滅されたのです。未知の『その後』を必死に語られても、全て恐怖から来る世迷言だと、家族も他の誰も真面目に取り合いませんでした……一人を除いて。」

「それが……ヴィータだったと。」

「……は、はい。ですがヴィータだけは違いました。当時のヴィータはカルディナお嬢様の話を全て聞き終えた後、ただ一言だけ───」

 

 

……しんじるよ、あなたのおはなし。

 

 

純真無垢な瞳で、そう告げたのだった。

それが当時のカルディナの心をどれだけ救った事か、それはカルディナ当人にしかわからない。

だが、カルディナが必死に両親を説得し、ヴィータがアースガルズ家のメイドとして正式に採用された日より、カルディナとヴィータは、常に共に行動するようになった。

 

「なるほどな、そんな経緯が……ん、フミタンどうした??」

 

シノがフミタンの顔色が冴えない……どころか、悪くなっている事に気付く。

顔をしかめ、吐き気があるのか、口を抑えていた。

 

「す、すみません……気分が悪くなって……話の途中なのですが……中座、します。」

「お、おう……って、いきなり?」

 

よろよろと立ち上がったフミタンは周りのメイド達に支えられながら席を立った。

 

「な、何だ……何か気分悪くするような事したか?俺ら。」

「───いえ、お気になさらず。ただの自然現象なので、皆様のせいではありません。」

「何かただ事じゃない雰囲気だったけどよ……身体がどっか悪いのか?ドンパチしてた時にも『休め』とか言ってたじゃねぇか。」

「いえ、義姉は至って健康ですよ。介抱もあるので問題ありません。戻ってこれれば当人の口より聞けるかと。その方が良いと思います。」

「……なんか良く解らねぇな。まあいい。それよりもヴィータ……だよな。」

「はい。その名前で呼ばれるのは初めてですね。改めまして……」

 

皆の前で一歩前に出て、メイドらしい会釈をして改めて、その人物は名乗る。

 

「私は、ヴィータ・アドモス。フミタン・アドモスを義姉に、現在はカルディナお嬢様の専属メイドとしてアースガルズ家に仕える者です。」

 

義姉のフミタンに代わり、次いでヴィータが説明役となった。

そのヴィータにオルガは早速手を挙げる。

 

「ヴィータ……まず、1つ聞いていいか?」

「はい、なんなり……と申し上げたいところですが、義姉がほとんど話してしまいましたので、答えられる事は……」

「いや、そうじゃねぇ……単刀直入に全員疑問に思ってんだが、まず何でフミタンと名前が『逆』なんだ?ってところからだな。取り替えてたのか、それとも元々なのか?それが知りてぇ。」

 

まず、一番の疑問をぶつけるオルガ。

何故、真の名前のヴィータではなく、義姉のフミタンを名乗っていたのか。

ようやくその疑問を明かせる時が来た。

 

「それは、ですね……結論から言いますと、お嬢様が運命を捻じ曲げたかったからです。」

「運命??」

「今となって、ようやく私達、義姉妹にも解り、昨日お嬢様よりお聞きした事なのですが……お嬢様は取り替えっこ───『取り替え子(チェンジリング)』をしたかったようです。」

取り替え子(チェンジリング)??」

「……ビスケット、知ってるか??」

「確か……」

 

───取り替え子(チェンジリング)

それはヨーロッパの民間伝承の話で、妖精が人間の子供を連れ去る時に、身代わりとすり替える事を指す。特に生まれてくる子供が、親とは違う特徴を持っていた時に『妖精にすり替えられた』……そう言われる事がある。

 

「妖精と人間……」

「まあ、科学的に言えば違うんだけど。実際は両方の親が持つ遺伝子情報の中で、時折何世代か前の遺伝情報が現れるのが本当のところ。『メンデルの法則』って覚えてる?」

「優劣の法則とか、F2とかだったっけ?」

「うん。でも、今回の件とは何か違うみたいだけど……そうでしょう、ヴィータさん。」

「その通りです。実際は私と義姉さんの名前を取り替える事で、私が機界新種である事をねじ曲げたかったのです。」

 

──妖精(ヴィータ)人間(フミタン)との名の交換。

 

それこそ当時のカルディナが2人の名前を交換させた理由であった。

だが……

 

「……それって、意味あるのか?」

「因果さえねじ曲げられれば、機界新種の存在が有耶無耶になるとも考えたのでしょう。」

 

だが所詮は切羽詰まった子供の浅知恵でしかなかった。当時を振り替えれば、今のカルディナでは真っ先に却下する方法だ。

幼いヴィータの身体には既に機界新種の種子が埋め込まれていた可能性がある。

はたまたその後か……

それが名前を交換したぐらいで、因果を変えられるなら苦労はしない。

仮に成功していたのなら、フミタンの方が機界新種になっていた可能性があるが……

 

「結果として、成果はなかった───そう断言せざるを得ません。それだけ当時は追い込まれていたのでしょう。」

「……だよな。」

「ただ、それ以外では効果はありました。特にノブリス相手には私の名前は油断させるには丁度良い知名度の低さでした。そういう意味では身を隠す、工作には渡りに船の案です。」

「無茶苦茶な割には恩恵もあった訳か……」

「はい。」

「わかった。んじゃ次だが……そもそもここに来て問題ねェのか?お嬢もそうだが、他のお偉いさんがたがよく許可を出したな。」

 

ヴィータ=機界新種というのは、国王(レクシーズ)を始めとして、一部の上層部には周知されている。

の筈だが、ヴィータはフリーであった。

 

「それについて陛下を始めとした上層の方々より、『平時の通りに』と許可を貰っています。理由は……抑えられる戦力の問題と、私自身のストレスの問題でしょう。」

「抑えられる戦力と、ストレス……??」

「まあ……見て頂いた方が早いですね。すみませんが、こちらをご覧下さい。」

 

と言って、胸元のリボンをほどき、その下を恥ずかしげもなく、躊躇なく見せるヴィータ。

だが、全員の目に映ったのは……

 

「首に、Gストーンを嵌め込んだ……そりゃ首輪か?」

「それに胸……紫と緑の光?」

「緑の光はGストーンだとしても、紫は……まさか!ゾンダーメタルか?!」

「正確には『ゾヌーダメタル』と言うらしいです。」

「ゾヌーダ……メタル。」

「聞くだけでヤバいワードだな。」

 

一同が言葉を失う中、淡々と服を正すヴィータは説明を続ける。

 

「私が機界新種になった際、機界新種は同時期に私の経過観察をしていた、サクヤ04を取り込みました。サクヤシリーズはAZ-Mの他、GSライドを備えている個体なのは皆さんもご存知の通り。それが機界融合の際、このように体内に取り込まれた、という事です。」

「取り込まれた……って、確かGストーンとゾンダーメタルって、反物質的な関係じゃなかったか?そんなのが一緒になって問題ないのかよ?」

「いいえ。相反するこの存在達は私の中で互いを牽制し合い、拮抗し───結果Gストーン側がじわじわとパワー負けている状態です。」

「負けてんのかよ!?」

「それで急遽、Gストーンをもう1つ首輪に、そしてお嬢様と同型のパワードスーツを拘束具として使用し、ようやく均衡を保てています。」

「勝った訳じゃないんだな。でも2つで効果あるなら3つ目も付けりゃいいんじゃねぇ?」

「残念ながらそれは不可能なのです。Gストーン、またJジュエル等の無限情報サーキットは勇気の意思を伝えられる存在がいないと、その力は発現出来ません。」

「……初耳。」

 

無限情報サーキットであるGストーン、そしてJジュエルはその膨大な出力を生む反面、勇気を生む意志がいないとその力を十全に発揮できないのはご存じの通り。

そう言う意味では、超AI搭載のロボットは限りなく人間に近い電気信号(パルス)を発している、と言える。

この世界では魔力(マナ)の影響下、その傾向が殊更顕著であるが、その条件を満たしているのがV.C.を始めとしたサクヤシリーズの超AI達だ。

 

「私の場合は、サクヤ04が担当してくれています。」

《ハイ、私ガ担当シテマス。》

「04!生きていたんですね!」

「サクヤ05さん、感動のところ申し訳ないのですが、量子リンク───」

 

「───アビバビババ?!」

 

「……したら、悪性電波を受けてしまいますので、通信は音声通信で、と言いたかったのですが、遅かったようですね。」

「05!?しっかり!」

「そういう事は早く言ってくれ!」

「スミマセン、ぞんだー化シタ影響デ性質ガ『ウイルス系』ニ変化シタヨウデ……」

「だ……だいじょうぶですぅ~……」

 

取り込まれたサクヤ04は機界新種(ゾヌーダ)との機界融合で取り込まれていたが、その超AIは無事であったものの、何とも一癖ある存在として変化、ヴィータと一体化していた。

ただその影響は機界新種(ゾヌーダ)故に『悪性』あるが……

 

「ヴィータ、そんなにエネルギーが出てんなら、何らかの反発ってないのか?」

「ありますよ。私の体内にあるGストーン、ゾヌーダメタルは現在も対消滅反応を起こしています。そのエネルギー量はTNT火薬換算で推定、毎秒12.247メガトン以上。」

「ちょ……!?核融合炉より出力上じゃない!?爆発しないの!?」

「爆発こそしないでしょうが、メルトダウンは確実かと。それをサクヤ04にお願いしまして、体内に相転移炉を形成して頂いています。」

「……え、人体に搭載可能な相転移炉の爆誕じゃない。」

「この相転移炉を今後は『GZレヴ』と称しています。名実共に危ない女になってしまいました。」

「誰が上手い事を言えと……」

 

ヴィータのボケに、頭を抱えるオルガ。

だが、ふと今までの話を整理した時、更なる疑問が浮かんだ。

 

「……ヴィータ、今のお前の身体組織はどうなってやがる?」

「さすが団長、良いところをお気付きに。」

「茶化すな。」

「私の身体は現在、ゾヌーダメタルにより元の肉体とAZ-Mと共に機界融合が行われ、名実共に生機融合体となっています。体組織はゾンダーとほぼ同様です。」

「……それに加えてGストーンと、ゾヌーダメタルの対消滅エネルギー制御するための相転移炉──GZレヴ……ほとんどお嬢と同じじゃねえか。」

「はい。体組織の性質こそ違いますが、生機融合体なのは事実です。その事からカルディナお嬢様(レヴォリュダー)と相反する存在──『ネガ・レヴォリュダー』と命名されました。」

「ネガ・レヴォリュダー……」

 

───ネガ・レヴォリュダー

それはGストーンとゾヌーダメタルが対極となり誕生した『GZレヴ』を核に、ゾヌーダ化したAZ-Mに取り込まれた生機融合体(ヴィータ・アドモス)の別称である。

その特性、性質はレヴォリュダー(カルディナ)と全く正反対と言っても過言ではない存在で、それは人のカタチをしたゾヌーダそのものである。

 

機界新種(ゾヌーダ)と一体化していますが、その機界新種(ゾヌーダ)自身は先の戦闘で弱体化しています。そのため、Gストーンの効果で何とか機能の半分ほどを封じ込めています。触れるだけで行われる『物資昇華』が発現していないのがいい例です。ただ、負の意識(ストレス)を一定以上抱くと機界新種(ゾヌーダ)の力は強まってしまいますが……」

《のぶりすノ時ハ、ぎりぎり物資昇華ガ行ワレズニ済ミマシタ。》

「マジギレする一歩手前でしたからね、」

「……よくそんなんで行動制限ないんだ?」

「制限はあります。今はお嬢様の護衛の名目で私の監視者が交代で常に2名ずついます。何かあれば即座に連絡が飛びますよ。」

 

ヴィータの言葉に反応して執事、メイド達が一礼する。

諜報部総出で監視しているようだ。

 

「お嬢の護衛の名目って……ヴィータの役割は変わってないのか?」

「カルディナお嬢様の専属メイドの役目は変わりありません……というより、何かあった(覚醒した)場合、お嬢様は自身を抑止力とし、私を傍に(とど)めているのです。」

「抑止力……」

「私がゾヌーダ化した場合、誰が止めると思っているのですか。その役目はカルディナお嬢様以外に務められる存在はいらっしゃいません。そして、私自身が環境を変えられる事で発生するであろうストレスを考慮し、結果として現状維持の方策がなされたのです。お嬢様が望み、陛下達も承認された事です。私も異存はありません。」

 

尚、承認した当人達は解っているものの、盛大に頭を悩ませている。

 

「それでいいのかよ。」

「何よりそれが私の望みであり、私がお嬢様に付き従う理由ですので。」

「……こう言っちゃ何だが、互いに依存しまくってないか?」

「依存、ですか……私とお嬢様の関係を言い表すなら、確かに依存という言葉が当てはまりますね。お嬢様は私に『この世界で唯一、無条件で信じてくれる味方』という認識です。私も『記憶のない地獄より救い出して頂いた恩人』。それが今では身分超えた無二の親友……これが私とお嬢様の共通の認識です。」

「聞いてて恥ずかしくなるような話だな……まあ、羨ましいとは思うが。」

「……まあ、互いに目が覚めた後に遠慮なく言葉をぶつけて、泣き合って、出た結論みたいなものです。」

 

それはとても劇的だったと、その場にいた人間は語る。

ヴィータが目覚め、経緯の説明を受けたヴィータはすぐに自身の手で命を絶とうとした。

それを必至に止めたのは這い這いの身体のカルディナであった。

存在するだけでカルディナに迷惑が掛かるなら、今すぐ命を絶つと宣言するヴィータに、ヴィータがいなければ誰が自分を信じてくれるのかと、そんなに私が頼りないのと激昂するカルディナ。

 

そんな訳がない、じゃあ死なないで、貴女に迷惑をかけたくない、そんな呪縛なんて消し去ってやる、無茶です、無茶でもやる──

 

互いを想うあまり、突き放そうとするが何が何でもすがり付い来て、そして無下に出来ず、甘ったれた水掛け論以下の言い合いに、周囲はその内容に辟易する程。

最後は普段の凛々しい姿なんて素知らぬ、お構い無しの号泣しながらの「好き!好き!」の言い合い。

そしてその場にいた人間は思った───

 

……何、口から水飴が噴水みたいに噴き出る程の、このベッタベタのバカップルの喧嘩は??

 

「───すまん、どうしてそうなった??」

「お嬢様が───いえ、カルディナがあの第一王子から暴行を受けた時に、男性恐怖症に陥ってしまったみたいで、互いの傷を舐め合うように、傷が癒えるまで一緒に過ごすようになったのですが、いつの間にか相思相愛(ラヴラヴ)となりまして……今では身分あこそあれど、お互いがいないとダメになるくらい愛し合っています。」

「───わかった、もういい。親の惚気を聞いているようで、甘過ぎて胸焼けしてきやがった。」

「失礼致しました。今の話の4分の1は冗談として……」

「4分の3は、やっぱマジなのか。」

 

他の団員も同じような気持ちで、胸焼けが酷い様子。

親はいないが、いたらこんな惚気話をされるのかと思うと、何とも言えない。

……約一組からは、これからそんな話が聞こえて来そうだが、それはいい。

 

だが、ここにいる皆は知っている。

カルディナもヴィータも惚気ていようが、その実は狡猾で非情であり、誰よりも情熱的で人情深く、そして真摯である事を。

それは誰よりも奪われる、失くなる恐怖を知っており、それに抗う術を常に考えている。

誰よりも『勇気』の意味を知っているのだ。

 

「……まあ、私はそれ故に自害でも他殺でも死ぬ訳にいかなくなりました。仮に自害しても機界新種は私を無理矢理取り込み、暴走して滅びを振り撒くだけようです。そしてカルディナが私に「生きて!」と言った以上、それは絶対です。いつか再びゾヌーダ化して機界新種となり、真正面から戦い、浄解される事が私の唯一の道です。そしてそれを成すのはカルディナ・ヴァン・アースガルズであると信じています。なので、完全に勝利出来る条件が整うまでは現状維持、という事です。」

「……本当に、それしか道はねぇのか?」

「今はそれしかありません───今は。」

 

その言葉がズキリと胸に刺さった───少なくとも、とある2人には強く。

 

「なので、現状はカルディナお嬢様のマギウス・ガオガイガーの修復が終わるまでは、機界四天王、そして機界指令パスダーという露払いをお願いします。」

「……とんだ露払いだな。ま、やるしか道はねぇんだろうよ。」

「いいのか、オルガ。これ、完全に貧乏くじコースだぞ。」

「判ってるよ。だがこのまま黙ってても機界昇華に巻き込まれるだけだ。そうなりゃ俺達はオダブツ。俺らはもう前に進むしか道はねぇ……だが、我武者羅に進むつもりもねぇ。少なくとも勝利の鍵ってヤツはまだあるんだろ?」

「はい。あと2週間後には『2号機』の完成する予定となっています。」

「なら、諦めるにゃ早いな……」

「それに俺達も手伝いに回れば、2週間と言わず、もっと早く出来上がる!」

 

ガオガイガー2号機。

それは、新たなる勇者が乗る最新鋭機である。

これまでのマギウス・ガオガイガーの戦闘データをフィードバックし、開発されている。

 

「……それって相当だよな。」

「ああ。お嬢のフィードバックなら相当だろう。きっと強力な機体が仕上がるだろうぜ!」

「なら、俺達の機体にもそれできるんじゃね?」

「『出来ないなら、出来るまでやるまでやりますわ!』……絶対お嬢なら言いそうでやりそう。」

 

その事に希望を見出だした鉄華団は、意気揚々となっていく……が、そこにヴィータが忠告するように声を掛けた。

 

「──あと自慢ではありませんが私、お嬢様とは幼い時から常日頃より行動し、切磋琢磨し、体術、魔法、他知識など持つものは、ほぼ一緒です。お嬢様の修行相手は大概私です。機界新種になる前はGストーンも扱っていました。皆さん知らないでしょうが、ギャレオンとのフュージョン・テストも成功させています。」

 

その言葉に一同は絶句する。

それは希望を改めて絶望に変える言葉の羅列。

そしてヴィータは満面の笑みで──

 

「ある意味、私とお嬢様の()()()()()はほぼ同等と考えて下さい。」

「まじで……」

「もし、私が機界新種に意識も全て取り込まれ、暴走した場合はアニメ版(地球産)機界新種の数倍以上の被害予想がなされています。高機動かつ体術も万全、銃も容赦なく撃つでしょうね。そして放つ物体や四肢に触れれば半径2km以内は即座に物質昇華だそうで。仮に対峙したところでどのくらいの時間をかければ組み伏せられるか……そのような場合は、限界を超えた全力以上の全力と死力をもって殺しに来て下さい。でないと災禍をまんべんなく振りまくでしょうね、私の性格なら。」

 

絶望的な宣告をしたのだった。

同時に憂いを含むヴィータの笑みは、そうならないようにと願う皮肉を含んでいるのだが……残念ながら今の鉄華団には届きそうもないようだ。

 

「……ヴィータ、上げて降ろすなよ。」

「どうすんだよ、団長。この空気ィ……」

「言うな……数分前の自分をひっ叩いて引き留めたい気分なんだよ。」

「鬱だ……」

「なんか、なんか明るい話題はないのか……」

「……鬱といえば、フミタンはどうしたのでしょう?まだ戻って来てないのですが……」

「……そういえば遅いですね。どなたか、義姉の様子を知りませんか?」

 

ヴィータが尋ねると、一人のメイドが一歩進んで発言した。

 

「フミタンさんは……体調が優れないようで、しばらく桶から離れられないようです。」

「そうですか。今日はこちらに加わるのは難しそうですね……三ヶ月目ですから。義姉には無理しないようにと伝えて下さい。」

「はい。ちなみに私的意見ですが、初めての三~四ヶ月目は酷い場合が多いですよ。私もそうでしたから……」

 

そう言って、ヴィータとそのメイドは互いにため息。

そのやり取りをいまいち理解出来ない鉄華団達は何か置いてきぼりにされた気分だ。

 

「何だ、その三ヶ月ってのは……何が酷いんだ?」

悪阻(つわり)ですよ。妊娠三ヶ月目で吐き気が酷いんです。」

「……は??」

「加えて初妊娠ですから尚更なのです。今回クーデリア様が来るから、どうしても……と押し切られたので止む無く参加させたのですが……」

「……フミタンが、妊娠??」

「そう言っていますが。」

「「「…………」」」

 

その日の夕方、周辺の民家に「えーー」の声が木霊した。

ちなみにアトラがいれば、フミタンの妊娠は察する事は出来ただろう。

 

 

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

鉄華団がフミタンの妊娠を驚いている頃、カルディナはベッドで独り、身を休めて、そしてフミタン、もといヴィータのこれまで歩んで来た『今まで』を反芻していた。

 

(……あの時の直感は、やっぱり間違いじゃなかった。その対策にヴィータとフミタンの名前を取り替えっこ(チェンジリング)を提案した事で、何とかうやむやにしたかったけど、その果てが新たなる機界新種の誕生だなんて……)

 

生かすべきだったか、殺すべきだったかは、今となっては最早誰にも解らないところ。

例え殺す選択肢が正しかったとしても、機界新種(ゾヌーダ)が無理矢理活性化する可能性は捨てきれず、何より当時のカルディナには出来なかっただろう。

カルディナにとって嫌な事が多過ぎたあの時、誰も信じてくれなかった場合、カルディナの心は壊れていただろう。

最後のセーフティとなったのがヴィータである。

そして今は最愛の親友であり、カルディナの一番大切な人。

そんなヴィータが機界新種(ゾヌーダ)であったのは、運命の悪戯に他ならない。

怪しい点こそあれど、仮に人為的であれば何を目的としているかは不明でしかないが、そんな事はもうどうでも良くなった。

カルディナは天井に向け、腕を伸ばし、手を広げる。

 

(やるのよ、カルディナ。機界四天王もパスダーも、今は姿形もない機界原種も、全て浄解して、機界新種(ゾヌーダ)の呪縛をヴィータから……消し去る!)

 

伸ばした手を硬く握り、カルディナは再び決心し、誓う。

 

(ゾンダー、私の決心は変わらない……あなた達の思い通りにはさせない。その思惑は───全て破壊するッ!)

 

 

《NEXT》

 

 


 

 

《 次回予告 》

 

復活したカルディナ。

 

だが、マギウス・ガオガイガーの復活を待つカルディナは手持無沙汰だった。

 

今急ぐのは、ガオガイガー2号機の開発だが、それだけでは足りないと、彼女がオーダーしたのはパイロット強化の手段───シュミレーターであった。

 

過去、様々な敵と戦った記録を元に、浮かび上がる強敵達と戦うパイロット達。

 

そして満足げなカルディナがシュミレーターに乗り込んだ瞬間、時空を超えた兄妹バトルが起こる!

 

更に、破界の翼が振るう破滅の銀の戦槌を前に集う、科学と魔法の勇者王!

 

いったい誰の配剤か、空前絶後の戦いを目撃せよ!

 

次回、『公爵令嬢は、ファイナル・フュージョンしたい』

Extra mission 01『エヴォリュダーVSレヴォリュダー』

        &

Extra mission 02『次元を超えた未来の共闘』

 

次も、この神話(マイソロジー)にファイナル・フュージョン承認!!

 

 

これが勝利の鍵だ!!

『アカシックレコードを利用した、シュミレーター・システム』

 

 


 

 

《 ―現在公開出来る情報― 》

 

 

◯~取り替えっこ(チェンジリング)

アドモス姉妹の名前を取り替える事で、ヴィータ・アドモスを機界新種である可能性を有耶無耶にする事。

ただし、名前を取り替えるだけで、任務遂行以外での効果はなかった。

 

〇ヴィータ・アドモス

表向きはカルディナ御付きのメイドで、裏は義姉のフミタンと共に所属はGGG諜報部(旧:CVA諜報部)を統括、自身は(戦闘力と忠誠心の強さで)隊長。

赤い長髪をポニーテールにしており、義姉と似た目付きを真似したためか、外見は卯都木命とは似ても似つかない。

カルディナと出会ってからは彼女に常に付き従い、その傍でカルディナの生き様全てを見届け、それらを習得している人物あり、カルディナにとっては親以上の理解者である。

その実はヴィータをお付きとする事で密かにカルディナもヴィータを監視している状況を作るため。

今回機界新種(ゾヌーダ)に寄生されていた事が判明するが、カルディナにとっては潜在的に予測していた事であり、周りを説き伏せ、現状維持とさせ、上記の事が露見したが、二人の関係は全く変わらなかった。

現在は弱体化の影響、2つ目のGストーンを用いて機界新種の影響──特に物質昇華等の現象は抑えられており、外見は何も変わらないが、GZレヴを取り込む身体より湧き出る対消滅エネルギーは従来以上の力をヴィータに与えており、

機界新種がいるストレスと、それに負けないと振り絞る勇気が更なる拍車を掛けている。

カルディナのレヴォリュダーとしての特性と真反対の存在故に、現状の身体構成を『ネガ・レヴォリュダー』としている。

また、一定以上のストレスを抱えると機界新種の活性化が早まる可能性が示唆されている。

また、パスダーや機界四天王のデータも内包しているため、完全な危険値は未知数と云わざる得ない。

このため、いずれ来る機界新種との戦いで対等に戦えるのはカルディナのみという状況を突き付けられる事となる。

尚、フミタンと出会う前の記憶は一切ない。

 

◯フミタン・アドモス

5歳の頃、商人ノブリスに両親を殺され、以後はカルディナの庇護下の元、復讐の準備を行ってきた転生者。

他の諜報員の手を借り、ゴルドン商会を残らず潰す事で復讐を達成している。

現在は副隊長は妊娠(現在3ヶ月)のため休職。

とある諜報員と婚約関係を持つ。

式はまだ。




フミタンが変装しているシーンはあえて書きませんでしたが、ほとんどストーリーに絡まないシーンや、喋らないシーンでは大概入れ替わっていました。

お嬢様が襲われた当時、この時既にソムニウムの血筋が開花していたとかなんとか。
例え能力の大半はトリプルゼロ封印に費やされていても、身体能力は大人一人は軽く◯せる力を有しています。

そしてようやく出せたヴィータ・アドモス!
この作品のキーマンの一人です。
隠しフラグを回収すると出来た今作の鬼畜ボスです。
物質昇華に加えて主人公と同等の超越した達人の動きの機界新種……どうです、この絶望?
勝ち目……あるのかな……orz
チェンジリングの理由は作中の通りですが、連載当初の理由は────『フミタンにファイナル・フュージョンを言ってもらいたい』です。それから設定マシマシ、百合百合マシマシにしたらこうなりました。
そんなしょうもない理由より生み出された冥土キャラでしたが……みなさん、倒せると思う!?(ガクブル)。

感想、ご意見、お待ちしています。

次回は、小次郎さんのリクエスト話です。
(すいません、リンクは未だに貼れず……)
考えていたネタとタイミングが合っていたところもあり、次回掲載させて頂きます。
兄妹対決、見逃すなよ!
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