公爵令嬢は、ファイナル・フュージョンしたい。   作:和鷹聖

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予告していた話の前に、まずはプロローグ的なものを。
脇道を行くので、それなりに筋の通った説明は必要かと。

あと、『Extra Mission』は本編に直接関わりない外伝的な内容です。
シュミレーター・マシンで起きた出来事を中心にやっていきます。


Extra mission 00『for Akashic Records』

 

機界新種(ゾヌーダ)戦での傷がようやく癒えたカルディナが、自らの戦力アップを目指すため、サクヤシリーズにとある注文をした事から件の話は始まったのだった。

 

「シュミレーター・マシン……ですか?」

「ええ。戦闘の腕を上げたいなら戦うのが一番だけど、ゾンダーにしろ、ゾヌーダにしろ、日常的にいるものでもないでしょう?魔獣だって出現には波があるし、演習だけで外に出ても、私達の機体は馴染みが浅いものばかりで、騒がれるのがオチで、面倒極まりないわ……だから、常日頃から最高の環境で戦える、シュミレーターが欲しいの。」

「ん~……MSのコックピットをいくらか使わせてくれるなら、出来なくないな。戦闘データはこれまでの戦闘記録と、メモリーに蓄積されたもので、かなり精密なシュミレーターが作れそうだな……ちなみに数は?」

「10……いえ、12基は欲しいわ。他の団員にも、あるいは望む非戦闘員がいればやらせてあげたいし。最悪暇つぶしでもOKね。」

「そうなると空いているコックピットの数が若干足らないのだけど……」

「とりあえず、シュミレーターの開発を優先して。影響がなければ、開発中の機体からむしり取ってもいいわ。」

「急ですね。となると……マン・ロディが幾つかと、フラウロス用のコックピットブロックがまだ搭載されてなかったのもありましたね。」

「ん~……シノには悪いけど、フラウロスは後回し。まだキャノン砲の設計がまだだし。代わりに鹵獲したグレイズ改造して初代流星号・改にすればいいかしら。」

 

サクヤ05の無意識で非情な宣告に、さらりと許可を出すカルディナ。

それでもコックピットブロックは必要では?という意見は自然に却下された。

シノとフラウロスが泣いているのは容易に想像できるのはさておき、シュミレーター・マシンはさっくり製造された。

そして今日―――

 

「これがご注文のシミュレーターです。」

「ありがとう。」

 

カルディナがサクヤシリーズの一体、05にお礼を言いつつ、箱状の躯体、シュミレーター・マシンがそこにあった。

ずらりと10基以上並ぶその光景は圧巻である。

 

「シュミレーター・マシンか……」

「歳星で姐さん達とやったのを思い出すな。」

「昨日、急にインストールされたアプリがあると思いきや……こんなものを作ってたなんてな。」

「お嬢、これ俺達もやっていいの?」

「ええ。セッティングは既に終わっていますわ。使用する際には皆さんお持ちの個人端末を使って下さい。今の身体能力に応じて機体も自動でセッティングされますので。」

「武装は登録してあるものを好みで出来るぞ。ただ選ぶのに時間かかるだろうから予め設定しておいた方がいいぜ。」

「ただし自在に使いこなせるかは、貴殿方次第……ライフルにしろ、ハンマーにしろ、癖のあるものも多いわ。」

「何言ってやがる、それをやり遂げてこその試験団だぜ!」

 

そうして手の空いた団員達がこぞってシミュレーターで訓練し始めた。

やはりいくら撃墜、失敗してもやり直せる環境は十二分に有難いものだ。

また、今まで自分が乗れなかった機体に乗れるのも大きい。わくわくしながらガンダムフレーム機に振り回される子供らの光景は母笑ましい。

更にはフュージョンも再現可能だ。究極の人機一体の仕様(カルディナの意見)であるフュージョンの体験は一度はやってみたいところ。

セレクト内にはギャレオンもあり、フュージョンにチャレンジする猛者もいるが、カルディナ用にチューニングされたものなので、どこまで追従出来るか……

またアースガルズ家の騎士達も最近ではランド・マンロディに搭乗出来る者も増えており、非番の者が数人いたりする。

機械に嫌悪感が少なく、積極的に挑んでくれるのはアースガルズの家臣の気風、気骨故だろうか。

そんな光景にカルディナは非常に満足する。

 

尚、シュミレーター・マシンのプレイ内容はマシンの直上にモニター画面が設置してあり、そこで観戦出来る仕様になっている。

ゲー〇センみたいとか言わない。

 

「みんな満足してくれたみたいですわね。」

「やっぱ普段触れられない他人の機体を操縦出来るのは非常に意味が大きいな。いい刺激になる。」

「とは言っても、現状でしか出来ないチューン内なので、今のシュミレーターでは現実で起こる結果の予想範囲内です。これ以上の応用は皆さんの操縦結果の蓄積次第ですね。」

「やり込めば、ここから更に発展するのか。そいつは嬉しいな。」

「まあしばらく時間はかかるけどな。」

「……さてと、私もそろそろやりましょうか。え~と、空いた席は……と、一番端ですわね。」

 

壁側の使われていないマシンに向かい、乗り込むカルディナ。

だが、その事にサクヤ05が違和感を持つ。

 

「どうした、05。」

「あの06、07……あの場所にマシンを設置した記録有ります?」

「え……ないな。」

「私も……」

「マシンのナンバーは『13』?登録にはない筐体(きょうたい)……?」

「09は何か言ってたか?」

「いえ、何も。」

 

オーダーは12基。

だが間違いなくここには13基ある。

 

「……そういえば、09が設置してた筐体があれだったわね。」

「じゃ何か?09が勝手に増産して設置した筐体だっての?」

「……何か、嫌な予感がします。」

 

未だにカルディナは会った事のないサクヤ09の所業。

そうとは知らない間に、マシンが搭乗したカルディナを呑み込み、モニター画面に『Welcome』と表示、その後機体セレクト画面に移る。

 

「やはりリハビリを兼ねて、機体はマギウス・ガオガイガーとして、武器は必要なし。マギウスなら内蔵武器で充分ですわ。場所は宇宙、空、陸、海と何でもありますわね、ここは陸上で。エネミーはランダムセレクト……ん、BGMまで完備とは……ええと、これは『勇者王誕生!』一択で……あ、間違えましたわ!まさか複数あるとは……『御伽噺Ver.』?聞いた事がないですわね。」

 

BGMのセレクトで間違えたBGMを選んだカルディナ。

だがカルディナは『勇者王誕生!御伽噺Ver』なんて知らない。

ただし『勇者王誕生!』は様々な派生がある事は知っている。その数はヴォーカル担当の遠〇氏に『俺はいったいどれくらい勇者王誕生!を歌えばいいのか……』と愚痴らせた程。派生した歌詞が覚え切れないのは有名な話。

 

「……私の知らない、ガオガイガーがある?気になりますわね。」

 

そしてそのBGMを選んだ事によって、シュミレーター・マシンは異常な駆動音を響かせ誰もが予想もしない動きを見せた。

例えるなら、ユニコーンガンダムがNT-Dを発動させた駆動音か、皆殺しイデの発動の如く!

 

翠の閃光と共に流れるエフェクトを発するモニター画面が、突然駆動音が停止し、メイン、サブの全ての画面が暗転。そしてメイン画面のみを残し、宇宙猫よろしくでいきなり謎空間がカルディナを出迎えた。

薄明かりのモニター画面に光りが入り、文章が浮かび上がって来た。

 

【待ちわびたぞ、『未完の一片』よ】

「え……あ、の……どちら様?」

【我は皆からは『アカシック・レコード』と呼ばれる超情報集合体、その管理者の一人。よろしく。】

「ア……アカシック・レコード?!」

【然り。】

 

何か得体の知れない存在が、アクセスしてきた。サクヤシリーズの手によって造られたシミュレーターマシンに、だ。

しかも相手は文字で会話、カルディナは音声でだ。

しかしその疑問にアカシック・レコードの管理者を名乗る存在は答えた。

 

【知れた事。この会話はお前の『脳内書庫(B・ライブラリ)』───つまりはアカシック・レコード経由で会話している。音声であろうが文字であろうが、お前がアカシック・レコードの一片を有する以上、認識されて会話として成立する。】

「……テレパス系の能力より無茶苦茶ですわ。」

【ニュータイプよりは優しいぞ。いきなりおかっぱピンクの深層意識に無断でお邪魔して「人は判り合えるんだ……」とかぬかす、失礼な某カミーユよりはマシだ。】

「遠慮ないディスり!しかも実名で!いや、気持ちは解りますけど!」

【一番は音声だとCV:を無駄に設定せねばなるまいが、実際やると面倒だからだ。ちなみに我の地声は井◯和◯とグ〇リバとやらを合わせた声に似ているらしい。まあ、そんな些末な事はどうでもいい。それより本題だ───我はお前を強くしたくて接触してきた。これよりお前に七難八苦の苦ぎょ──もとい試練を与える、それを突破してみせよ!】

「いきなり物騒な事を何を言っていますの!?しかも苦行!?荒唐無稽な言葉なので、嫌でもCV:井◯様のイケボイスで再生させてもらいますわ!!」

【好きにしろ。】

 

CV:井◯和◯だと「お前に名乗る名前はない!」と言われそうながら、終わったら酒盛りが始まりそう。

CV:グ◯リバだと、ネクロロリコンを伴って、SAN値直葬な奴らが「あざ~す!」してきそうで怖い。

 

(屈強なスパロボプレイヤーの皆様はお好きな方で脳内再生してください。)

 

【理由はお前に強くなってほしいから。そして一番は───私の暇潰しだ。】

「……この上ない、特にどうでもいい理由ですわね。イケボの脳内再生の無駄遣いですわ……」

【暇潰しとはいえ、アカシック・レコードの試練が出来るのだ、少しは有り難く思え。】

「拒否権は……」

【お前の鍛錬不足で死ぬ者が出ると思え。そのためにアカシックレコードの回線を筐体に組ませて、この様な特殊環境を作ったのだろうに、今更寝惚けた事を言うな。】

「な……!?」

 

そんな記憶も覚えもない……が、なんとなく犯人は察する事は出来る。

犯人はサクヤシリーズ、それも未だあった事のない個体―――サクヤ09。

V.C.が未だ目覚めない現在のV.C.ネットワークの中核を担う存在で、ネットワーク上の代表だ。

何でそんな個体がポンと出たかは不明だが、三重連太陽系でアカシックレコードの研究がされていた以上、出来ない芸当ではない……ハズ。

 

「……解りましたわ。それで何をさせられるんですの?」

【お前に相応しい試練───今回はこれだ。】

 

訳のわからないまま、管理者が干渉し、メイン画面に映し出された映像が変わる。

それは……

 

―――ご注意

 

総訳すれば『離れてプレイして、休憩も取ってね♪』の注意喚起文。

 

次に親の顔よりも見た、バ〇プレ〇トのロゴとではなく、オレンジカラーの『B〇ND〇I・N〇M〇O』のロゴ。

 

更に黒面に金字で『SUPER ROBOT WARS』と、達筆な丸に0にニコチャンマークらしき絵をあしらった『30』の文字。

 

これにはカルディナも驚きを通り越して、硬直。

その後、『協力企画』が一気に羅列され、宇宙空間に浮かぶ青い地球(ほし)をバックにして、現れたメインタイトルが現れる―――

 

──スーパーロボット大戦30───

 

「ナ……ナニコレ???私の知らない……『スーパーロボット大戦』!?」

 

どのシリーズかは分からないが、カルディナは直感する。

これは紛れもなく『スーパーロボット大戦』であると。

メインタイトルの下に点滅している『Press any button』が非常に怖い。

 

ちなみにカルディナはアカシックレコード経由でスパロボはプレイした事がある。

実質脳内プレイとはいえ、間違いなくスパロボプレイヤーだ。

ただし、最新は『V』まで。『X』や『T』は時間がなくまだ未プレイ。

初プレイは『新』で、『F』は『F完』でウイングゼロカスタムを選択してからデータがバグったため以降は未プレイ。ハマーン様が後に仲間になる事を聞いて号泣、クワトロ大尉を憎んだ。

『α』でヒュッケバインmarkⅡのチャクラムシューターに感激し、『第二次α』でゼンガー親分に惚れて「チェストー!」三昧、『第三次α』でクォヴレーを中心としたデッドエンド族にハマった。

『Z』は『第二次Z再世篇』まで。クロウの「呆れる程に有効な戦術」を真似したほど。ただし習得は出来ず。『時獄』『連獄』『天獄』は未プレイ。

プレイできなかった物に関してはY〇uT〇beで覗き見程度だ。

残りは原作映像を見て補完している。

『OG』は『MD』のみ未プレイ……(涙)。

 

とはいえ、スパロボ世界はゲームとして面白いのは納得できる。

だが、現実世界となって自分に降り掛かる可能性というのは、アカシックレコードやこの世界に関わるカルディナだからこそ瞬時に理解出来る。

 

───99%は安全だろう。1%は非常に危険だ。

 

「……ちなみに、これプレイしましたらどうなるのです?普通にゲーム、ですか?」

【寝惚けた事を言うな、原寸大ロボットとガチガチのバトルに決まっている。中の人間もアカシック・レコードに記録された本物だ。】

「ひっ──!」

【心配要らん、しばらくはミッション形式にしてあるから、条件を達成、もしくは失敗してもシミュレーターから解放される仕組みだ。その間はこのコックピット内は外界から隔離された状態となっている。周りの事は気にするな。】

「し、しばらくは……って、いつかは本編の世界にぶん投げる気です!?」

【当然。しかしお前、本能的に判っているな……この『スーパーロボット大戦30』に限らず、数多の世界の鋼の巨人が一つの世界に集まらなければならない、その意味を。】

「……な、何の事でしょう?」

【───よし、逝ってこい。まずはお前の好きな人物とガチバトル(限界を超えた死闘)だ。】

「ルビと字面ァーーーーああああッ!!?」

 

そしてカルディナは問答無用でシミュレーターのモニターより発せられた強烈な光の奔流に呑まれ、中より姿を消す───

 

【……気を付けろ、カルディナ。お前達の言うOOO(トリプルゼロ)───その『真の脅威』に立ち向かう足掛かりなのだ、この試練は。お前に秘めた可能性を見せてみよ。お前ならば……出来る筈だ。】

 

モニターに表示された文章が不穏な羅列を画いているが、それは誰の目にも映る事はなかった。

 

「……行ったみたいね。」

 

……一人を除いて。

 

 

 

【つづくのだ】

 

 


 

 

《現在公開出来る情報》

 

〇シミュレーター・マシン

ガンダムフレーム系のMSコックピットブロックを採用し、作られた。急造でありながら三重連太陽系の技術を応用し、作られたため、再現幅は非常に広い。

普段の使用では姿を現さないが、裏システムとしてアカシックレコード経由で未知の次元の相手と戦う事が出来る。

無駄にゲーム性が強いため、勝敗の有無に関わらず、生死を問われる事のない安全設計。

ただし、それは身体に限った話で、精神に異常をきたす呪詛の類までは無効化出来ず、そちらを防ぐにはパイロットの腕次第となる。

アカシックレコード経由なので、管理者と会話する事も出来るが、そのキャラクター性はランダム。

グ〇リバ仕様なら、デモンベインのグランドマスター口調。

井〇和〇仕様なら、夏目友人帳のニャンコ先生(斑)口調。

その他にも老若男女問わず、さまざまな管理者がいるらしい。

ちなみにその姿を直視すると必ず死ぬ。

 

〇スーパーロボット大戦30

……Coming soon.

 

〇スパロボのプレイ履歴

筆者のプレイ履歴。

 

〇ここでの99%と1%の扱い。

泣かされた人なら理解できるはず。

信用等ない。





終始こんなノリで書きます。
盛大な技術の無駄遣いとノリツッコミって、ストレス発散には丁度いいです。

「シリアスさんの気配が……死んだ?!」
「シリアスさんを殺した犯人は……ギャグ、だと!?」

みたいな。
え?いつもと変わりない??

次回はそのままの流れでリクエスト話『エヴォリュダーVSレヴォリュダー』です。


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