公爵令嬢は、ファイナル・フュージョンしたい。   作:和鷹聖

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永らくお待たせしました!
小次郎さんご希望のネタ①『お嬢様(マギウス)VS獅子王凱(ガオファイガー)』です。
スパロボ30の世界に飛ばされたお嬢様がどうなったか、とくとご覧あれ!

※一応、腹筋注意。周辺注意。




Extra mission 01『エヴォリュダーVSレヴォリュダー』❪1❫

 

「──勇者王も勤勉ですねぇ、一通り挨拶終わったら訓練を希望するとは。」

 

長い廊下を4人の男女が歩いていた。

 

一人は白衣を纏い、眼鏡をかけ、長い髪はボサボサの小柄な女性──『メイヴィー・ホーキンス』

 

「まあ、ブランク解消のためですよ。案内ありがとうございます。」

 

遠慮がちに答えるもう一人の男は、長い茶髪の髪に黄色いベストを着込んだなり長身の男───『獅子王凱』

彼は9年もの歳月───当人とっては数日程度だが『オレンジサイト』より帰って来た。

そして余興説教あり、この度ガッツィー・ギャラクシー・ガード──通称『GGGブルー』の長官代理となった凱であるが、その前にエヴォリュダー(一人の戦士)である。

少しの時間が出来たのを見計らい、彼等『ドライクロイツ』の戦艦───万能戦闘母艦ドライストレーガのシミュレータールームに案内されている最中であった。

 

「気にしなくて結構ですよ。それよりも訓練をするなら、ドライストレーガ謹製のシミュレーター・ルームが一番です。今まで観測してきた敵機であれ、現在登録してある機体であれ、『AOS』を用いれば何でもござれですから。」

 

意気揚々に自慢するようにメイヴィーは凱に語る。

 

AOS(エーオス)』───『Advanced Organic-organization-operation System』

 

それは万能戦闘母艦ドライストレーガが誇る、次世代型有機的組織運用システムである。

戦闘中枢として機能するだけではなく、戦闘データの蓄積によって学習重ね、所属部隊の機体、人員に様々な効果を与える、画期的なシステムなのだ。

 

その管理担当主任者が、このメイヴィー・ホーキンスである。彼女にとっては自慢したい場所であろう。

そんなメイヴィー女史に圧倒されながら、凱はシミュレーター・ルームに案内されていたのだった。

本当はトレーニングルームに行きたかったのだが、案内人のメイヴィー女史の猛烈なシミュレーター推しには勝てず、やむなくシミュレーター・ルームに行くことになった。

その途中、歩きながら凱は思考する。

自身が得た、新たなる力の事、そしてこれからの事を……

 

エヴォリュダー──否、ネオ・エヴォリュダーとなった獅子王凱。

彼に秘められた能力は、以前の何倍もの力を秘めている。

それは、オレンジサイトで出会った『義妹』と共に得た力であり、己の呪詛を取り除いた力を今一度試すために。

 

……というのを見て察する事が読者諸君らには出来るだろうが、この獅子王凱は『勇者王ガオガイガー』の次元から来た獅子王凱である。

そして『スパロボ30』の獅子王凱ではない。

 

何を言っているのか解らない?それが何を意味するのかは……

 

(……後は人物の再確認だな。何故かはわからないが、この部隊にいる大半の人物を()()()()()()()()()()()()()()()()()()んだ……オレンジサイトからこの次元───いや『この世界』に来た時に、ありとあらゆる情報がいきなり頭の中に叩き込まれた。GGG以外に関わった組織、ロボット、そしてそのパイロット……中には親友というべき奴もいる……ようなんだが、まるで物語の人物に会ったような他人感しかない!みんなにはオレンジサイトから脱出した時に起きた衝撃による、一時的な記憶の混乱という事にしているが、どうしたものか……)

 

OOO(トリプルゼロ)を克服した獅子王凱だが、辿り着いた先が自分の知る世界とは似て非なる『スパロボ30』の世界だった。

気合、意気込みと覚悟を決め、ガオファーにフュージョンした後、場違いな場所に出てきたような感覚に陥り、盛大に挙動不審になった事が思い出される。

そして凱はその事を知らない。知っていても余計に混乱するだけだろう。知る手段すらない。

 

そして一番驚かされたのが、この世界を取り巻く時勢である。

スペースコロニー?モビルスーツ?人類同士で大戦争(連邦VSジオン軍)とか馬鹿じゃないか!?

ゲッターにマジンガーとは?そのエネルギー、SF通り越してファンタジーじゃないか?!しかも地球人類攻め立てられて死にかけてません?

DCL??何で色んな時空の奴らが来ているの?

しかも宇宙人の襲来?異星文明は三重連太陽系だけでお腹一杯です……と、思ったら年下だった流竜馬、兜甲児、アムロ・レイが年上に……あれ?そんなヤツいたっけ?

 

……何だ、この状況。ウラシマ効果?(違う)

 

ネオ・エヴォリュダーになったばかりの獅子王凱の生機融合した脳細胞と神経に、多大なる負担をかけたのは記憶に新しく、SAN値直葬案件だ。

また、覚えがなく、そして覚えがある人物達に対し、どう振る舞うべきか凱は引き攣った笑顔の下で密かに悩む。

半ば流れでGGGブルーの長官代理という立場に立たされたので、言い出すにも躊躇している。

それでも通常運転なのは、凱の人望の厚さのお陰と言える。

 

「……大丈夫、凱兄ちゃん?」

「あ、ああ……何とかな。」

「無理しないでください、凱さん。オレンジサイト帰りで、『覇界王』と戦ったのですから……」

 

そして後ろに続くのは、凱の記憶より大きく立派になったガッツィー・グローバル・ガード──通称『GGGグリーン』隊長である、天海護と、副隊長の戒道幾巳の二人。

 

「やっぱりギャレオンを助けられなかったのが……」

「い、いや、そんな事はないぞ!」

 

世界は違い、9年も経ち、成長している姿とはいえ、知っている顔である二人の存在は、今の凱には非常に心強く、頼れる存在だ。

先程までの戦い───『覇界王ジェネシック』との死闘、その戦いで共に戦った際に、新生GGGの隊長を充分に務めていると感じる程に。

滅び行く宇宙よりESミサイル(護と幾巳)を見送ってから、このような出会いが出来るのは、非常に感慨深く、心強い。

護が言っていたのは、木星を圧縮、特異点──ゲートと化して襲来した『覇界王ジェネシック』の事。

オレンジサイト内での事は誰よりも判っていたのは凱であり、何よりあの場でギャレオン───特にブラックボックスを回収出来なかった事を悲観していると思っている。

だが、凱は悲観はしていない。

 

「それよりも今はやれる事をしなきゃならない。再び『覇界王』と相対した時、ギャレオンを助けられるようにな。」

「そうだね、凱兄ちゃん!」

「『覇界王』もそうですが……一緒に現れた『映像に映らなかったロボット』も警戒が必要ですね。」

「あのロボット───『インビシブル』か」

 

『覇界王ジェネシック』の出現したあの場にはドライストレーガ所属の機体の他は、合体ベターマンと、複製されたEI-15の集団の他、未確認機がいたという。

『覇界王ジェネシック』と同等ながらも熱源、重力、その他にレーダーにすら引っ掛からず、目視やモニター観測は視認こそ可能であるものの、その姿は光を反射しないのか、宇宙の黒に同化したような黒塗りのように真っ黒。録画映像には明確な姿が映らない、観測不可能な存在───付いた渾名は『光を吸収する者(インビシブル)』。

 

「しかもそんな奴が2体。何なのだろう……」

 

『インビシブル』と呼ばれる類似個体は2体いる。

片方は、木星区域に突如として現れ、オレンジサイトより現れた『覇界王』を支援する動きを見せた敵性体である。

こちらは『ヴィラン・インビシブル』と呼ばれ、『覇界王』を中心に複製されたEI-15の集団と共にドライクロイツを阻み、オレンジサイトに通ずるゲートを展開させようとした。『覇界王』とまでたどり着けずにいた最中、もう一機の『インビシブル』が出現した。こちらは『ヒロイック・インビシブル』と呼ばれドライクロイツを味方、支援する動きをした。そしてEI-15の集団を文字通り粉砕したのだった。

そして今度は『インビシブル』同士が戦い始まる。だがその戦いは木星周囲を破壊の渦へと変え、今度はそのままESウインドウの彼方に場所を変え、行方知れずになって消えた。

その後、戦闘の余波に巻き込まれ、合体ベターマンと『ヒロイック・インビシブル』の相互攻撃で消耗した『覇界王』にダメージを与えるもゲートへ逃してしまったのは、力及ばずのところ。

 

その場にいたパイロットで目視出来た者達は「どっちもガオガイガーに似てなかった?」と一部揃って証言をしていたが、詳細は不明。

無論、現GGGは保有するガオーマシンで『ガオファイガー』と最新型である『ガオガイゴー』に関連する機体は、他にない事は現在駐留しているオービット・ベースで確認済みだ。というよりその場に二機揃っていたので間違いない。

一応『ガオガイガー』のガオーマシンもあるがギャレオン、もしくは代替機がいないのでそもそも3機同時運用は無理だ。

何より『ガオガイガー』といってもその輪郭は『ジェネシック』寄りらしい。

 

というか、そんな奴が2体とか止めて欲しい。

 

再び()()が現れる機会が(絶対に)訪れるかは解らない。だが地球圏には現れないようにせねばならない。

何せ再び現れた場合はその()()()()()()()()()()になる懸念があると、艦長のミツバ・クレイヴァー特務中佐は危惧している。

 

現在、木星の衛星周辺区域の光景は激変している。

あの戦闘の余波で、俗に言うなら『木星のリングが消えました』という状態となり、リングの代わりに木星周辺には異常重力帯がリング状に形成されており、近付く観察衛星が(ことごと)く行方不明となり、侵入を禁止しており、ベターマンと関連性も合わせ、調査中である。

 

「何なのだろうねぇ……アレ。出来るんだったら徹底的に分解しいしてパイロットにも尋も──じゃなかった、オハナシしないとねぇ……カメラに初めて解析不能……じゃなく『撮影不可です(見せられないよ)!』って表示させられてさぁ、あれ間違いなくハッキングでしょう?技術班(うちら)をコケにしてくれたお礼をしなきゃねぇ……クックックック……」

「あの、メイヴィーさん??」

 

どうやら、一番深い傷を負ったのはドライストレーガ技術班だったらしい。

遠望映像では(遠くから見ると)黒塗り状態、望遠映像では(近くに寄ると)撮影不可です(見せられないよ)!』と映る、実にふざけた仕様だ。あの激戦の中でそんなネタを仕込む余裕が『インビシブル』にはあったらしい。

 

『ヴィラン』は『……そんな近くだなんて卑猥です、最低です』

『ヒロイック』は『え~?そんなに見たいんですか?』→『やっぱりダメ!』

 

激戦繰り広げているくせに、カメラ映像はギャグでしかない……さて皆さん、どう思う?

少なくともメイヴィーさんは嗤っているのに、目が怖い。

 

さてもどうあれ、シミュレーター・ルームに着いた一行。

だが中の様子がおかしい。

 

「──あ、凱!それにメイヴィーさん!ようやく来たか、待ってたんだぜ!」

「どうしたんだ甲児に竜馬。そんな血相を変えて……」

「どうもこうもあるか!おい、メイヴィーさんよ!シミュレーターの中に変な奴がいやがるんだ!どうにかしろよ!」

「え、竜馬さん……もしかして負けたの?」

「不意討ちを喰らっただけだ!」

「いや、ボロクソに負けただろ。」

「甲児もやられただろうが!」

「あの兜甲児や、流竜馬を倒したって、誰が!?」

「『インビシブル』だ、『インビシブル』!」

「『インビシブル』!?そんな……まだデータなんて入れてないよ!?」

「嘘付け!無茶苦茶被害に遭ってんだぞ」

「それに俺らだけじゃねぇ……」

 

甲児が指差す先には凄惨な光景があった。

 

まず全員「orz」なチーム・ラビッツの5人。再起不能。

続いて獣戦機隊のリーダー、忍が悪態を付いているところから、負けたらしい。

他にもガクブルなシュラク隊のお姉様方や、新入りのガンダムパイロット。

コンバトラー・チームは戦うか否かで揉めており、華撃団の三人は全力で拒否していた。

グリッドマン同盟の4人は、内海(メガネ)が暴走しているだけで裕太や六花は全力で止めている。グリッドマンすら躊躇している状態だ。

仇を取ろうとするブレイブポリスであったが、泣きながら必死に引き留める勇太にたじたじである。

 

「これみんな……戦意喪失してる……?!」

「ああ、『インビシブル』のせいだ。今はアムロとカミーユ、ウッソが戦ってるがよ……」

 

うんざりする竜馬が中央の大画面モニターを指差した。

そこには、無機質なブロックが並ぶ空間で、量産型νガンダムがフィン・ファンネルを一斉掃射、フルアーマーガンダムmarkⅡがグレネードで牽制しながら2連装ビーム・ガンを連射、Vダッシュガンダムがオーバーハングキャノンとを戦火の中心にいる標的──『インビシブル』に撃ち出した───が、効かない。ビームが全て跳ね返っている。

その後、ウッソがダメ出しにと下半身(ボトム・リム)を分離、射出する『ボトム・アタック』を敢行した瞬間───

 

「何!?」

「そんな、いつの間に───!?」

「うわぁぁあああっ!!」

 

ニュータイプ達の背面に『回避など無意味よ!』と言わんばかりの無数のビームが突き刺さり、ガンダム達が無惨に破壊される。

辛うじて機体サイズの小さいVガンダムが、オーバーハングのバックパック、両腕の喪失だけで難を逃れた───かのように見えた瞬間、自らが撃ち出した筈の下半身(ボトム・リム)がVダッシュガンダムのコックピットに突き刺さり、ウッソがそれを認識した時には機体が木っ端微塵になった。

 

「圧倒的だな……」

「今の光……ビット攻撃か?」

「つーか、Vガンダムのアレ(ボトム・リム)を投げ返して……当てる!?」

 

ボトムを器用に掴んで勢いはそのままに、独楽のように回り投げ飛ばしたのは、深淵の闇のように真っ黒な30メートルクラスの機体───間違いなくあの『インビシブル』であった。

その機体はバックハンド・スローの姿勢で止まっていたが、突如として姿が消える……

 

「あ、また消えやがった!」

「さっきからあんな感じなんだよ、誰もいなきゃカメレオンみたいに姿を消して、誰かが対戦しに来たら姿を現すんだが、黒塗りみたいなのに被われて詳細な姿が確認出来ないんだ。」

「だが現れれば見敵必殺……実力は本物だ。」

「おう。アムロ、カミーユ、ウッソ。どうだった?」

 

シミュレーターから降りてきたニュータイプのエース勢。だが戦績を省みても元気がないのは明らかに見て解る。

 

「あの機体……モビルスーツクラスの兵器じゃ止められないな。ビームがまるで効かない。」(アムロ)

「あいつ、始めは回避運動をしていましたけど、途中でビームが跳弾出来る事を覚えると、一切動かなくなりましたよ……というかボトムが返されるなんて……(泣)」(ウッソ)

「あのビット攻撃……戦闘で被弾して散った装甲だとばかりと思ったけどブラフだったなんて……最後やられた攻撃には何の意思もなかったから、反応が遅れたよ。というか……」(カミーユ)

 

「「「どうやって攻略すればいいんだ!」」」

 

「ニュータイプ勢にここまで泣き言を言わせるなんて……」

「メイヴィーさん、どうにかしてくれよ!」

「データの凍結でもいいからよ、早くあいつどうにかしてくれ!」

 

「ちょっと待って……私、本当にこんなデータなんて入れてないよ!?」

 

「……え??」

 

メイヴィーの一言に、その場が凍り付く。

そして改めてメイヴィーがシュミレーターのシステムをチェックし、結論を出す。

 

「……これは確かに、木星で出現した『インビシブル』に似てるね。『ヒロイック』の方かな?でも私は間違いなく、こんなデータを入れてないよ。シュミレーターはあくまでドライストレーガのシステムが登録した機体データを元に構成してるからね。登録されていないものが出てくる事なんて、まずない……あ、ハッキングされた形跡がある!ここかぁ!?」

「となると一番可能性が高いのはウイルス?」

「かもね。でもあんなに馬鹿正直に現れては戦いに応じるウイルスなんで聞いた事がない。そして今の問題は───『インビシブル』がいるからシミュレーターが使えない、のが一番の問題かぁ。」

 

正確には使える。

だが、どう操作しても皆が『ヒロイック・インビシブル』と対戦するようドライストレーガのシステムが組んでくるようで、仕方なく『インビシブル』と戦っても全員、文字通り『瞬殺』だ。

ちなみに現在システムにロックが掛かっているようで、メイヴィーですらこのロックは突破出来ないとの事。

事実上、ドライストレーガは『インビシブル』にハッキングを受けている状態だ。

 

「……四面楚歌ね。明らかにこの『インビシブル』が原因なのは間違いないわ。一番の解決方法は『インビシブル』の撃破ね。」

「それが出来れば苦労はねぇよ。」

「じゃあ、部隊編成をして臨むか?」

「──それは止めておいた方がいい。」

「クワトロ大尉??」

 

待ったをかけたのは先程の戦いで、エース級ニュータイプ勢で唯一参加しなかった、情けない男シャア、もといクワトロ。

そんな彼は苦虫を噛む様な表情をしながらも口を開く。

 

「あの『インビシブル』は、異様の一言に尽きる。動きには無邪気に遊ぶ子供のようなものを感じたが、攻撃は無心……機械のように正確無比で殺気がない。木星で戦った個体とは些かあの雰囲気とは違うが、それは何とも言えん。しかし編成を組み、大部隊で臨んでもこちらに勝機はないかもしれん。」

「その理由は何です、クワトロ大尉。」

「これまでのシミュレーション内容を見て解った事がある。それは『インビシブル』は我々の情報(パーソナルデータ)を事前に、十全に把握している。癖やとっさの行動のパターンはもちろん事、機体特性すらもだ。弱点や急所は真っ先に狙っている傾向が常々だ。」

「確かに……攻撃全てが見透かされたような感じだった。」

「それに機体の弱い部分も確実に狙って来ましたし。」

「何より機体性能が尋常じゃない。チーム・ラビッツ戦では、パープルツーの索敵能力を真っ向から潰せる能力とローズスリー以上の機動性を見せていた。」

 

───ビクッ!

 

クワトロの言葉にケイとタマキ、そして連鎖的に残りの男達が「ひぃ!」と反応する。

シュミレーター内での『インビシブル』との初戦───チーム・ラビッツの戦闘内容は酷かった。

 

『インビシブル』を確認したチーム・ラビッツはパープルツー(ケイ)の索敵から始め、ローズスリー(タマキ)は錯乱を敢行するため突出、ブルーワン(アザキ)レッドファイブ(イズル)がそれに続き、ゴールドフォー(スルガ)が後衛を務めた。

だが索敵、解析を行ったパープルツー(ケイ)が『インビシブル』の『視線』を感知するや否や、センサーやレーダー機器、更には多元電子支援機器が、開幕からいきなりハッキングされたのだった。

これにより一瞬混乱したチーム・ラビッツは沈黙して応答の出来ないパープルツー(ケイ)を全員が注視してしまう。

その後、ローズスリー(タマキ)が反転して戻って来たのだが、何故かゴールドフォー(スルガ)の元へ特攻。しかも全ての火力とフルブーストで、慌てふためきながら狙撃する弾道をゲッターの無茶苦茶な軌道をしながらゴールドフォー(スルガ)をフレンドリー・アタック。

 

……ローズスリー(タマキ)が過ぎ去る瞬間、背面に取り付く『インビシブル』の姿が横切りるのを見て、ブルーワン(アザキ)レッドファイブ(イズル)は青冷めた。

 

遠くに見えたのは、手足を巧みに使い、無理矢理ブースターの軌道を変えていた光景だった。

実はその前に、既に『インビシブル』に同等のスピードで並走され、取り付かれた挙句にハッキングされ、機体操作権を掌握されていたローズスリー(タマキ)

しかしそうなっては逃れる術はなく、またローズスリー(タマキ)より遅いブルーワン(アザキ)レッドファイブ(イズル)では逃れる術もなく、一方的な追跡劇がスタート。

無駄なく当たるミサイルとレーザーの弾幕に焼かれ、最後に挽かれてローズスリー(タマキ)のフルブーストによって玉砕。ローズスリー(タマキ)も32Gが掛かるまで加速した頃、機体の耐久限界が超え自壊し、終了となった。

だが『インビジブル』は無傷だった。

 

……その時のパイロット達の心境たるや。

 

「何より戦い方が技巧極まりない。スーパーロボットクラスのパワーでありながら、モビルスーツ以上の小回りも持つ。モビルスーツ程度の耐久性では、肉薄されれば確実に一撃で終わる。掴まれでもすれば、どうなるかは……いや、言わないでおこう。」

 

それを聞いたモビルスーツのパイロット達はビクッとした。

『インビシブル』の一撃に際し、2~3機がまとめて撃墜されている。特に酷かったのは人間ヌンチャクならぬ、モビルスーツ・ヌンチャク。モビルスーツの加速Gより更に酷い速度で振り回されたパイロットが多数いる。

ヨナのガンダムナラティブはA型装備で、長モノを掴まれ、『ホォ~アタァー!』された第一人者。

限界まで加速した速度よりも速い速度で振り回され、その恐怖を身を以て体感したヨナ。

「……もう音速超えでも怖くない」との事。

 

 

「それに戦略家でもあるな。連携が荒いところ、死角といったところはすぐに見抜いてくる。」

「だから初めに戦ったラビッツは連携の隙を突かれて瓦礫したのか……」

「しかも対、大多数相手を平然と相手に出来る相当な武術の達人……しかもOS等といった自動操縦に頼らない戦いの猛者だろう。」

「武術の達人って、どうして解るんです?」

「ダンクーガとの戦いだな。」

 

───ビクッ!

 

騒いでいた獣戦機隊のメンバーが急に黙る。

それを察しているクワトロだが、可哀想とは思いつつ話を進める。

 

『インビシブル』攻略に手を焼いているのを見兼ねて、獣戦機隊が一対一(サシ)で挑んだ。

先手はA(アルティメット)・ダンクーガがミサイルを弾幕に、一気に距離を詰めての『ブースト・ウイングカッター』を行う。

30mクラス同士の大質量のぶつかり合いは、スピードが乗った方が勝つ───と思ったが、勝敗は腕を突き出して一切動かない『インビシブル』に上がり、右舷ウイングが千切られるように破損したA(アルティメット)・ダンクーガは地面を転がり墜落。

接触直前に亮が気付いた事だが、『インビシブル』は『退把*1』で迎撃したとの事。

そこで今度は亮に操縦を委ね、格闘戦に移行。

だが『インビシブル』は亮よりも上手(うわて)であり、攻撃(鉄拳)が当たらず逸らされ返され、常にカウンターを受ける始末。その光景は中国武術同士の戦い。

だが機体重量が増し、以前より機敏には動けず、追加装甲で連装キャノン等の武装が埋まって迎撃支援が出来ないA(アルティメット)・ダンクーガには不利である。

挙げ句の果てに、追加装甲越しであろうともコックピットがある頭部、胸部、両足へ容赦ない打撃が襲い、『オラオラオラァ!』と執拗に狙われた。しばらくコックピットに強打される恐怖を味わった獣戦機隊。このあたりもリアルに*2再現されるのを呪ったという。

我慢の限界を超えた忍に操縦を交代、断空剣を取り出し、投げ飛ばした────が、それが悪手。『インビシブル』は初見にも関わらず何事もないように剣を掴み取り……喜ぶモーションを取った。

それに「?」と反応したのも束の間、断空剣を少し調べた後、『インビシブル』が『鮮烈な赤い光』に包まれ、強力なエネルギーを流し込まれ掲げられた断空剣が真っ赤なエネルギーを発し───A(アルティメット)・ダンクーガは、そのエネルギーの刃で真っ二つにされた。

4人は何より「俺達の知らない能力を何で発揮出来た……??」と開発者の葉月博士を呪いたい気持ちでいっぱいだった。

 

「だが、それ以上にだったのがマジンガーZや真ゲッタードラゴンとの戦いだ。あれは敵意も剥き出し、『インビシブル』の狂気といえる戦いだった。」

 

マジンガーZとは、出現した瞬間『インビシブル』から襲ってきた。大地に立つマジンガーZを怒涛の走法*3で襲来。消えたと思ったら背後よりマジンガーZ(甲児)が一時も息つく事が出来ない、マシンガンを受けた方がマシ!と言わせられる拳打を浴びせられ吹っ飛ばされ、続けて意識の向けられていない方向へ次々に拳打を被弾し続けるという、一方的な近接戦になった。更に虚実を練りに練り込んだ動きに頭が、意識が翻弄される。

力押しなら負けないが、これ程の技巧極まりない相手とは戦う機会はそうそうなかった甲児には防ぐので精一杯だ。

スクランダーカッターを大太刀のように振り回す事もしたが、風を避けるように拳一つで軌道を変えられ、サザンクロスナイフも当たっても効果がなく、むしろ指弾で返される度にキャノピーがぐわんぐわん揺れる。アイアンカッターによる攻撃すらそもそも当たらない。

ただし超合金ニューZの硬さは正に(くろがね)の城。拳如きでは破壊は出来ない──と、甲児が安堵した瞬間、マジンガーZの内部に異常が発生。

 

───フ◯~エノ、キ◯~ミ~!

───「ダメだ!」

───(´・ω・`)ショボーン

 

ではなく、強烈な拳打からソフトタッチへシフトし、内部へ爆発するような発勁『浸透勁』を放つ『インビシブル』。強固な装甲であろうとも内部は脆い。

一瞬の内に両腕、両脚の内部破壊を行われたマジンガーZが立てる訳もなく、最後にパイルダーを指先一つで『ダウンさぁ~!』と突かれ、終了。

パイルダーにA(アルティメット)・ダンクーガのような追加装甲がとても欲しくなったと、甲児は落ち込む。

 

真ゲッタードラゴンとの戦いでは、更に酷い。

『インビシブル』よりも高い身長より繰り出す、勢い任せのゲッタートマホークを掴んでゲッターごと投げ飛ばして地面に叩き付けるのだ。

ゲッタートマホークに振り回される真ゲッタードラゴン……

どの角度で振ってもいつの間にか投げ飛ばされ、遂にはステゴロで戦うも、空手の使い手である竜馬の拳や蹴りすらも化勁*4によって無効化される……というか、必死になってゲッターを投げまくる『インビシブル』。

隼人や弁慶がいればもう少し冷静になり、手数も増え、また違った結果になっただろうが、竜馬一人のゲッターでは手に余る。

あるいはブラックゲッターなら勝機があったかもしれない……多分。

痺れを切らせた竜馬はゲッタービームを放とうとするが、その瞬間に圧倒的な速さで踏み込まれた『インビシブル』に体勢を崩され、ビームの発射口である額に指先一つで『浸透勁』を打ち込まれ、「……お前はもう、死んでいる」と背を向けられ、頭部ごとゲッタービームが暴発、コックピットが破壊されたとシステムが判定し、終了となったが、『インビシブル』はそれでも無傷だった。

 

そして最後に量産型νガンダム、フルアーマーガンダムmark-Ⅱ、Vダッシュガンダムでアムロ、カミーユ、ウッソの三人で臨んだが、結果は知っての通り。

高出力ビームは弾かれる、ビット(網目の弾幕)は感知出来ずに貫かれる、ボトムに砕かれる、散々な結果だ。

 

「……とまあ、そんなところだろう。明らかにこちらの事を熟知してなければ、こんな仰々しい悪魔の所業のような事など出来まい。」

「じゃあどうする!?」

「どうするったってよぉ……こうなりゃ部隊を編成してでもやるしか───!」

「でもまた返り討ちに遭うんじゃ……」

 

もはや混乱に混乱、てんてこ舞いなシミュレータールームの中は収集がつかない。

打つ手は最早何もないのか……

 

……だがここに、まったく別のものを見ている人物がいた。

 

「……なあ、護。あの『インビシブル』の機体色……本当に真っ黒なのか?」

「え?凱兄ちゃん、どう見たって真っ黒じゃないか。」

「確かに黒系統でデザインされた機体には見えるが、俺には少なくとも単色でなく、細やかな色遣いがされてるぞ。機体の四肢なんかはジェネシック以上に気合の入ったデザインだと思うんだが。」

「……え。凱さん?どう見えるんです?」

「どうって幾巳……『右肩は白いラインの入った黒い狼』、『左肩は黒いラインの入った白い一角獣』……いや、羽根があるから、確か命がアリコーンって空想の動物がいる、って言ってたな、それだ。両脚は何だ?『黒いドラゴン』??口が180度開いて足になっている?凄いデザインセンスだな……ああ、膝にドリルを付けるためか。」

「ちょ───凱兄ちゃん!!何を見ているの!?」

「どうしたんだ、護?さっきから変だぞ。」

「変なのは凱兄ちゃんだよ!!さっきから何を見てるの?!」

「いや……『インビシブル』だが。ちなみに背中は《フェニックス》みたいなデザインだな。戦闘が終わった後、何を探しているか解らないが、ひたすらフィールド内を物色しているんだが……もしかしてみんな見えてないのか?」

「み……見えないよ……」

「まあ、誰かと戦闘している時は光も吸収してエネルギー変えてるようだからな。キングジェイダーの光子変換翼とボルフォッグやファントムガオーのホログラフィック・カモフラージュを合わせたようなギミックらしいから、みんなには見え辛いか。エネルギーの流れを見るからに、戦闘の時は高出力になり過ぎてカモフラージュのシステムにムラが出来て、完全に隠れているとはいえないんだな……というか、あのデザインはガオガイガーか??」

「え……『インビシブル』って、やっぱり目撃証言と同じだったんだ。」

「ああ、間違ってなかったようだ。ところで護……どうして俺はこんな事をスラスラ言っているんだ?」

「……解ってて言ったんじゃないの??」

「……ああ、気付いたらスラスラ喋っていたんだ、自分でもビックリだ。」

 

言うだけ言って、今さらの疑問であったが、ようやく自分の異常性に気付いた凱。

今までにない解析能力と『インビシブル』の擬態を見破れる『眼』。

それをある程度確証があって述べている以上は、やはり異常と言える。

 

「解析班もビックリな解析能力ですよ、凱さん。」

「しかしどうして……ん?いや、だったら…………いや、まさか。だが、な……」

「が、凱兄ちゃん……?」

「……護、幾巳。次は俺が『インビシブル』と戦う。」

 

何を思ったのか、強敵『インビシブル』との対戦を望む凱。

すかさずそれを聞き取ったメイヴィー女史はすぐに準備を始める。

 

「機体のデータは、ガオファイガーでいいのかい?」

「頼みます。」

「なら凱兄ちゃん、僕達も一緒に行くよ!」

「ええ、お供します。」

「二人には悪いが、今回だけは控えてくれ。」

 

折角の護、幾巳の同伴を凱は遠慮する。

その事にショックを受け護と幾巳だが、すかさず凱はフォローを入れる。

 

「あ、いや!別に足手まといとか、そんな理由じゃないんだ。『ガオガイゴー』でも『覚醒人凱号』でも『インビシブル』相手だと、異様に刺激する可能性が高い。下手をすると逆上ものかもな……だから俺一人の方がいい。」

「そうなの?」

「というか、逆上ですか??」

「……俺の予想だとな。それに今日は試したい事があって来たんだ。それを試すのにうってつけの相手になるだろう。」

「??」

「どういう事ですか?」

「まあ見ていてくれ。」

 

護や幾巳の疑問さておき、凱はシミュレーターに乗り込む。

パイロットの情報を元に、最適なコックピット仕様に形成されるシステムは、最新式といっても過言ではない。

そしてコックピットはガオファーと同じ仕様となり、凱はフュージョンする。

 

「準備完了っと───いつでもいいよ!」

「よしっ!ガオファイガー、行くぞ!!」

 

 

『インビシブル』と相対すべく、獅子王凱はシミュレーターの世界へと身を投じていくのであった。

 

 

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

「ここは……」

 

 

凱が現れたステージ───それは星が瞬く宇宙でも、市街地や荒野、草原が広がる陸上でもなく、海でも、ましてや羨望の良い空でもない。

緑の無機質なブロックが規則正しく、かつ障害物のように無造作に並ぶ空間で、それが延々と地平線の果てまで続いていた。

空も似たような光景で、どこまで続いているかわからない程に延々とブロックの景色が続く。

しかし、そんな空間で光源はなくとも不思議と暗くはなく、逆に明るい。フロア全体が光を発しているようにも見える。

そして長らく『インビシブル』が占拠しているステージでもある。

 

「さて、『インビシブル』は───いた!」

 

特に遮蔽物もなところに鎮座している『インビシブル』、そこにあえて存在を目立たせるよう、悠然としてガオファイガーは降り立つ。

 

───わ~い♪あはは、ウフフ♪

 

ガオファイガー出現と共に、それはもう喜びのモーションが僅かな空間の相違で『インビシブル』の仕草が判る。両手を挙げ、身体をくねらせて喜んでいる。

敵意がない事より、歓迎されている事に予想が当たっているかもしれないと確信するのと同時に、エネミーユニット(凶悪な面構えの機体)にあのように歓迎されている光景には違和感しか覚えない凱。

 

だが、すぐに切り替え、構える『インビシブル』。

その立ち姿には一切の隙がない。

ガオファイガー()も構え、相対する。

 

「──行くぞ!先手は貰う──プラズマホーールドっ!!

 

ガオファイガー()の左腕を突き出し、4つのフィールド発生器より放つ『プラズマホールド』。

フィールドの反発作用によって行動を封じる事が出来る拘束能力のある技だが、『インビシブル』に通用するかは怪しい。しかし凱の狙いは別にある。

 

「まずは、不可視領域を作る光子吸収機構(ライト・アブソーバー)の機能を止め、その姿をはっきり見せて貰うぞ!」

「!?」

 

『プラズマホールド』を広域拡散して『インビシブル』に僅かでも当てた。装甲表面で一瞬弾けたと思いきや、不可視領域を作る光子吸収機構(ライト・アブソーバー)の機能が麻痺、『インビシブル』はその全貌を現した。

凱の言った通り、左肩に有角翼馬(アリコーン)、右肩に(ガルム)、両脚に(ドラゴン)、背中に黒不死鳥(フェニックス)、そしてわざと語らなかったが、胸にギャレオン(ライオン)の顔。それはまるで───

 

《あれは……『覇界王』!?》(幾巳)

《いや、あれはジェネシックじゃない!でもすごい怖い!すごい凶悪な顔だ!》(護)

《姿形は『覇界王』に酷似……いやそれ以上の凶悪さだ。偽物にしては凶悪過ぎる!》(アムロ)

《何て凶悪なデザインだ……!》(イズル)

《何あれ……睨まれるだけで動けなくなりそう……(白目)》(ケイ)

《私、あんなのに掴まれてたのら……?(ガタブル)》(タマキ)

《あれじゃイズルの絵の方がマシだ!》(豹馬)

《怪獣より凶悪な顔だよ、あれ本当にガオガイガー?!》(裕太)

《こっちの方が『覇界王』って顔してる!怖いよデッカード!》(勇太)

《何だ……シミュレーター越しなのに、巨大で強烈なこのプレッシャーは?!)(ヨナ)

《どんな人が乗ってるんだ?いや本当に乗ってるのは本当に人、なのか?!》(ウッソ)

《敵意がない筈なのに、とてつもない強烈な思念を感じる、これは……深く、真っ暗な深淵の闇!?深過ぎて何も見えない!いったいどんなパイロットなんだ!?》(カミーユ)

《きっと乗ってる奴は凶悪な(つら)をしてるんだろうぜ!》(忍)

《こうなりゃ化けの皮剥いでやれ、凱!》(竜馬)

《……いや、みんなやられた反動だろうけど、あいつをボロクソ言い過ぎじゃないか?》(甲児)

 

酷い言い様が外野から飛ぶ。どうせ『インビシブル』に聞こえないと皆、タカを括っているようだ。

それを「……いや、俺は知~らない」と半ば無視しつつ、あえてガオファイガー()は逆手で手招きして挑発し、「乗った!」と云わんばかりに突撃してくる『インビシブル』。

振りかざす剛拳と剛拳が激しくぶつかり合う。互いに徒手空拳であるが、それ以上にぶつかり方が派手だが、一連の攻防には殺気がなく、予め打ち合わせたようにスムーズ過ぎた。

 

(──やはりか。あの機体のパイロットはクワトロ大尉の言う通り……それ以上の実力を持っている!俺との戦いの運びも()()()()()()()()()()()一切焦りがない、むしろ戦いを楽しんでいる、何て奴だ。なら───!!)

 

そこで凱は()()()()()()()()()()()()

 

「こうやって───こうだ!!」

「!!」

 

エネルギーの流れを読み、『インビシブル』の剛拳を円の動きで()()()、一歩踏み込んだ勢いで突き出した両手が『インビシブル』の腹部を直撃し、雷鳴が轟くような威力を発揮し、吹き飛ばした。

転倒こそしなかったが、『インビシブル』との戦いが始まって以来のクリーンヒットである。

 

『双纏手』──全身の動きが連動して初めてその力を発揮する技であり、練度を上げれば繰り出す寸勁の威力は『浸透勁』をも凌駕する。

 

「だが……それすらもいなすとはな。」

 

だが『インビシブル』はすぐに回復した。

いや、凱は視た。『インビシブル』の腹部のエネルギーの流れが乱れた後、すぐに元に戻ったのを。

偶然とはいえ、致命傷である攻撃の衝撃を受け流し、残った損傷を文字通り回復させたのだ。

さすがに凱には出来ない芸当である。

 

「お前はありとあらゆるエネルギーの流れをコンマ単位で『視る』事が出来る。だからみんなを圧倒出来た……そしてエネルギー制御自体も秀でている、それが強さの秘密だ。」

 

あらゆる物体のエネルギーの流れ───それこそが秀でている理由である。有機、無機関係なく『力がどう動くか』を見極める事によって、対象の動きを演算して予測する。

ある種の未来予測である。

そして多用に扱う中国拳法の技も、元から目指した訳でなく、力の流れを効率的に突き詰めた結果の一つといえる。

凱は偶然にも『双纏手』を使った際にそれを実感した。

 

「そしてここからは俺しか解らない───そのエネルギー制御に、エヴォリュダー特有の力を感じる……ならお前の正体は──!!」

 

そこから近接距離まで接近し、拳を打ち合う。

先程よりも更に激しい拳打の嵐と、当たれば致命傷になりかねない剛脚の一撃の打ち合い。それらを紙一重で避ける。

その光景はまるで完成された演舞の如し。

ヤジを飛ばしていた外野達も、その動きに魅了されていく。

だが、いつまでも遊んでいる訳には行かない。

ガオファイガー()は拳を開き、左右の拳を受け止め───四つ手の姿勢になる。

だがこれは拮抗する為ではない───

 

「──状況は出来た!ネオ・エヴォリュダーの能力で奴にアクセスする!」

 

自身の能力───ネオ・エヴォリュダーの機械へ干渉出来る能力を駆使し、『インビシブル』へ直接アクセスを試みる凱。

エヴォリュダーの頃より強力なアクセス能力を駆使し、阻害を試みるファイアウォールを幾重も突破し、『インビシブル』のシステムの最奥へ入り────

 

「───おじゃましま~す。」

 

礼儀正しく、最終プロテクトである『扉』をノックする。

別に戦いに来た訳ではない。挨拶をしに来ただけだのだ。

するとプロテクトが解除され、とある人物が現れる。

『インビシブル』と同じく光を吸収する、正体不明の黒い存在……

 

「……さすがエヴォリュダーガイ。ここまで来るとは……途中からの予測を見誤りましたが、この私、宇宙警察機構所属の『ギャラクシールナ』の相手が務まりますか!?」

 

全身黒塗りのようなカラーであり、鎧類を纏っていても女性と判る骨格の人物であった。

高飛車なその人物は『待っていましたよ~』といった構えであった。

だが───

 

「……ああ、済まない。『光子吸収機構(ライト・アブソーバー)』の偽装は効かない。この『眼』で偽装は見えているんだ……というか、その宇宙警察……ってのは偽名か何かか?」

「はう!?」

「それに……オレンジサイトであれだけ騒ぎを起こした仲なのに、そう他人行儀されると『兄』として悲しいぞ───カルディナ。」

「へ………お、お………()()()()!?

「よう。」

 

偽装が解け、姿が露になった『インビシブル』のパイロット───もといもう一人のエヴォリュダーの進化体『レヴォリュダー』となったカルディナ・ヴァン・アースガルズは、非常に予想外で、知っている顔にネタを披露してしまい、非常に恥ずかしいというか、挙動不審で、わたわたした動きをしていた。

カルディナに相棒であるV.C.が突っ込みを入れる程に恥ずかしい。

 

《こういう渾身のネタって身内に見られると、非常に恥ずかしいんですよね。あ、どうも凱様。お久し振りです。》

「ああ、V.C.……というか先程ぶりだな。」

《おや、そうなのですか?》

「どうしてここにお義兄様が……てっきり私を知らない別の獅子王凱かと……ここは『30』の世界のはず───まさか!お義兄様もいつの間にか此方に来たクチで!?」

「ど、どうしてそれを……何か知ってるのか?」

「あ~、実は……」

 

獅子王()兄妹は恐る恐る情報交換を始める。

兄の凱の情報もそうだが、義妹(カルディナ)の情報量は凄まじく、そして中身が濃い。チーズよりも濃く、蜂蜜や水飴よりもべっとりしている。チーズのピザ、蜂蜜掛けが出来そうだ。

それ程のゾンダー関連の情報を叩き込まれた凱は、本日2回目の頭痛を発症するのであった。

 

《 NEXT 》

 

*1
中国拳法の一つで、片脚を半歩後ろに開き、腕を突き出すだけのカウンター技。相手が速く突っ込んで来れば来る程、衝突時のエネルギーは何倍にも相手に返る。当然ながら見切りや衝突時に吹き飛ばされないような強靭な身体作りが必須。

*2
衝撃はそこそこに、音はリアルに

*3
『OG』のジンライと、ラ◯カスレイヤーの某忍者を足して割った走り。ドドド走りながらぬるぬる動く!意味がわからん!

*4
腕をコロの原理で回転させ、勢いを逸らす技。






……な~にしてんでしょうね、お嬢様。

とりあえず、ドライクロイツのみなさんご愁傷様です。初見VS非初見の戦闘ではこんなものでしょうか……ねーよ。
特にダンクーガは可哀想とは思うも、DLCでありながら断空光牙剣がないのでやりました。

うん、非常に平常運転。

長いので一度切ります。

続きは、近日公開。
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