では、リクエスト第二弾~♪
……という名目を借りた、本編消化企画~(隠す気ゼロ。)
ただ、新年早々投稿しようと思いましたが、その直前で厄災続きで少し自重。ご冥福と速やかな復興をお祈り致します。
また、今回の話を作るにあたり、あてにしていた公式ホームページの公開小説が全て消失(当たり前じゃ)
という訳で、僅かな記憶と原作知識、スパロボシナリオを元に、一切合切オリジナル展開でお送りいたします。
それではどうぞ。
『先日は随分気持ち悪……もといだらしない笑顔をしていたと聞く。』
「喧嘩売ってますの?」
《事実では?》
「V.C.ィィィ……」
数日後、シュミレーターに足を運んだカルディナは、早くも『管理者』に捕まった。
アカシックレコードの『管理者』は相当暇と見受けられる。
ついでに、ここで限定復活しているV.C.にもツッコミを入れられる始末。
恨みがましい視線を胸の飾り花に送るも、暖簾に腕押しでしかない。
《前日までに7件の苦情が入っています。いずれも「笑顔の裏に何かありそうで、仕事に集中出来ない。」と。》
『道理だな。それに気を付ける事だ、カルディナ。お前の行動の一挙一動は既にアカシックレコードに記録されている。』
「んな!?プライバシーの侵害ですわ!」
『超越存在にプライバシーもなかろう。お前は既にその対象となっているのだ。自覚せずとも8K並みの画質で記録されるのだ。しかもどこからともなく、あらゆる角度で……』
「ヒエッ」
『せめて人様に見られても問題ない表情を心掛ける事だな。何せアクセス権限が低いところにあるからなぁ……』
「うにゅにゅにゅ………!」
『まあ、そんな些末な事はどうでもいい。』
「些末!?」
『それより本題だ。カルディナ………お前、『確定未来』について思う事はあるか?』
「……何ですか、その漠然とした話は。」
『持論でも構わん、答えてくれ。』
「確定未来……」
『管理者』からいきなりの話で面食らうカルディナであるが、無茶振りされても律儀に答えるのが彼女。
一考してから答えた。
「私が思うに『確定未来』は『ラプラスの悪魔*1』と『マクスウェルの悪魔*2』の条件が揃えば出来るかと。」
『なるほど、その【悪魔】を挙げたか。的を射ているな。』
《全知の存在と、事象操作ですね》
「ええ。極端に言えば、瞬時に全てを見通せる存在と、都合のいい事象操作が出来る存在が揃えば、万物をコントロール可能な状態――『因果率操作』は簡単に出来るでしょう。つまり『確定した未来』になる………でもそれが何か?」
『いや、それらを理解しているなら重畳。お前には『ある意味、確定した未来を覆して貰おう』、と思ってな。』
「確定未来を覆す……しかもある意味?」
《言い回しが随分不確定ですね、何か理由でも?》
『カルディナ。お前には既に『因果率操作』を可能とする因子を持っている事は自覚しているな?》
「『アカシックレコード』と『
『それと、無限にエネルギーを生成出来る環境……主に『Gストーン』と『Jジュエル』だな。それだけではなく、お前は『太極』についても熟知している。それだけ極めているのであれば、片足どころか両足がどっぷり浸かっていよう。』
「随分お詳しいのですね。」
『我も体現者だからな。元は五行を極めていた身、陰陽もまた然り。自然と辿り着けた。』
声が声だけに、どっちに似ようが説得力は高い。
天変地異すら起こせそうである。(成敗ッ!)
『故にその力がどれだけ通用するか、試して貰おう。今回往く世界はアカシックレコードの力を用いて演算して再現した、三重連太陽系の軌跡が紡いだ仮想世界だ。』
「もしかして……GGGの、ガオガイガーがいる世界!?」
《『30』の世界ではないのですね。》
『ああ。あの世界はまだ調整中だ。調整班の連中によると……『集められるだけの滓因子を集めてくる』だそうだ』
《……不吉以外の言葉が出て来ないんですけど。》
『そこは諦めるしかあるまい。我々は
「……い、いったい何と戦わせるのです!?」
『ノーヒントだ、行ってこい!』
《――!直下の物質が消失。》
「話を聞きなさい――って、落とし穴ぁぁあああぁぁぁ――………?!」
そうしてカルディナを強制転送した『管理者』。
だが愉快な雰囲気は一切なく、張り詰めた思いを募らせているのようにも見えた。
『……すまん、カルディナ。今回の敵は我々にも未知数の敵なのだ。アカシックレコードの予測演算とは言え、お前は『覇界王』の本当の脅威を知らん。今回はその脅威を知るのだ。そして……演算領域と言えど、中身は限りなく本物だ。お前と『覇界王』との
空いた穴を見つめながら独り語る『管理者』。
しかし……
《ん?なかなか空間が修復せんな。何かはさまっているの───》
───プルプルプルプル……
《……何故そこにいる?もしかして登って来たのか?器用に四肢を指先まで突っ張らせて。》
「イエッス!ちなみに『管理者』!そんな素晴らしくヤバゲな世界へ私を連れて行くのですから、最低限マギウスに妄想武器の一つや二つ、実装しても構いませんわよね!?」
《……ああ、うん。どうぞ。》
「よっしゃぁあああぁぁぁ…………!」
限定空間故に魔法が使えないため、堕ち往く穴の壁面を四肢でよじ登り、這い上がって来たカルディナの、異常に気合いの入った雄叫びが響き、そして木霊して消え、空間が閉じた。
それまで『管理者』は唖然とするしかなかったという。
『……何を実装する気だ。』
《……げ、月龍、日龍、共に中破!GSライドに異常発生、戦闘継続不能!》
《翔龍!二機の回収を頼む、大急ぎだ!》
《了解!!》
《す、すみません……》
《後を頼みます……》
激しいエネルギーの弾雨に貫かれたGBR-14 月龍、GBR-15 日龍を両脇に抱える、GBR-21 翔龍。
その傷は相当深いものであった。
「ポルコート!」
《ま、まだ!押されていますが、戦闘継続可能です!》
「後退してポルコート!弾薬の消費が激しいわ!今なら補給にまだ間に合うわ!」
《う……了解。》
地球を背にしたオービットベースをゼロロボ達から防衛するため、マシンガンやロングライフルを撃ち続けるGBR-10 ポルコート。
ガンシェパーとガンホークの二体のガンマシンと合体し、ビッグポルコートなって奮戦しているが、如何せん周囲にいる無数の敵、ゼロロボの数が尋常な程に多く、無理をしてでも弾薬を切らしかかっていた。
《心配はいりません、私がフォローします。》
《ありがとうございます、ビックボルフォッグ。》
だが、そこをビッグボルフォッグが惜しむ彼の背中を言葉で押し出す。
《行きますよ、ゼロロボ!『大回転魔弾』!!》
広範囲をカバーすべく、高速回転しつつ弾丸を放つ『大回転魔弾』を放ち、次々に破壊されるゼロロボ群。
しかし一部完全にとはいかず、修復され始める個体もいた。
だが……
《まだだ!ウルテクビーム、全弾発射!》
《ライトニング・スプラッシュ*3!》
《喰らえ!
超竜神、天竜神、撃龍神の攻撃がゼロロボを討つ。
シンメトリカルドッキングを果たしたビークルロボ達の高火力の攻撃はゼロロボの進軍を大いに削いでいく。
《これならばゼロロボの進軍
《だが気を付けろ、超竜神!本命は――!》
《――高エネルギー急速接近!回避を!!》
《うおおおおッ!?》
遠方から迫り来る高エネルギーの豪雨に翻弄されるように、余波エネルギー込みで紙一重で避ける三機。
だが僅かにかすった天竜神の右脚の一部が僅かな余波で焼き焦げていた。
同時に、避けた高エネルギーは背後の隕石群を瞬時にマグマへと成り下げてしまう。
《ぐっ、なんて火力だ!隕石群がマグマになるエネルギーだなんて……》
《大丈夫か、天竜神!?》
《……っ痛ぁ~!お肌が焼けちゃった。》
《……問題はないようだ。駆動系の確認だけはしておくんだぞ。》
《わかりました、超竜神兄さま。》
《それより最大の難関は……!》
三機の見つめる先――そこに君臨するのは暁のように燃えるエネルギーを纏い、天浄より献上された神器を掲げるような姿勢で立ち塞がる、100メートルの
《ふん、流石に避ける事ぐらいは出来るか。》
《ルネ、降ってしまったとはいえ、元は覇界の将であった者達。一筋縄ではいかないのは承知の上……だがトモロ!》
《ESミサイル装填完了。》
《ESミサイル発射!同時に左腕反中間子砲18連射、5連メーザー砲32連射、両脚メーザーミサイル掃射!》
上下よりESウインドウが開き、交互にESミサイルが三機を狙って放たれるのと同時に、反中間子砲とメーザー砲、そしてあまりスポットが当たらない両脚のメーザー兵器の一斉掃射が三機の不意を突く。
だが何より、この攻撃群はトモロ0117の演算により攻撃間隔、回数と共に回避が非常に難しい軌道を描いていた。
反中間子砲は物質破壊、メーザー兵器は電子機器の破壊に特化している。勇者ロボ軍団にはこの上ない強力な兵器である。
何より
《うおおおおっ!なんて弾幕だ!せめて回避しながらESミサイルだけでも……!》
《攻撃アルゴリズム解析だけでも時間がかかるぞ!》
《も、もうダメ……!!》
「――諦めるな、みんな!!」
「まだ終わっちゃいない、護!」
「プロテクトシェード共振波形……よし!凱兄ちゃん!」
「ああ!今、二機の力を一つに――!」
「「「ダブル・プロテクト・ウォーールッ!!」」」
三機の前に駆けつけたガオファイガー、そして新たなる勇者王『ガオガイゴー』が、共振させたプロテクトウォールを展開した。
──ダブル・プロテクト・ウォール
それは、二機の勇者王のプロテクト・シェードのフィールド共振波形数値を合わせる事によるプロテクトウォールの派生である。
ガオファイガー、ガオガイゴーとの連携を前提にしているが、防御力向上のため、オービット・ベースの大型ウォール・リングを用いる事で、覇界王キングジェイダーの一斉掃射をも弾く事が可能である。
本来はダブル・ヘルアンドヘヴンのように、詳細な調整をGGGスタッフが行った上で発動させなければならない程繊細なものであるが、
ダブル・プロテクト・ウォールは覇界王キングジェイダーの攻撃を見事防ぎ切り、想像以上の成果にオービット・ベースで戦況を見ていたGGGグリーン長官、阿嘉松は驚きを隠せなかった。
「なんつー性能だ。覇界の眷属……特に『
「はい!これもアルエットちゃんのお陰ですね!」
「ああ。寸前だったがよ、実装出来て本当に助かったぜ。」
「は、はい……ですが……」
「……気にすんな。信じた結果がこれだ。情報の提供者は『味方』だったってこった。それより今は目の前の事に集中してくれ。」
「はい!」
「??」
阿嘉松の言葉に促され、迷いを払うように集中するアルエット。
だがアルエットにとって、このダブル・プロテクト・ウォールは悪魔の囁きに等しい事案だった。
覇界王キングジェイダー出現1時間前、アルエットのデスクに密かに送られて来た仕様書、それがダブル・プロテクトウォールであった。
ファイアウォールに万全を期すGGGのシステムであり、自らが手掛けるものもあるシステムをかいくぐり、一切のアラームもなく、そのデータは届けられた。
イタズラメールの一つ届かない環境故に、初めは警戒心MAXでいたが、中身を見るにつれ、そのプログラムの内容に天才児と呼ばれる自身が圧倒された。
ガオファイガーとガオガイゴー両機の使用前提でありながら、無駄のないアルゴリズムの羅列、どこにどう作用するか、一目で『美しい』とわかる。何より即導入可能だ。
これを作った人物は自分以上に天才だ。
だが、システムだけでは完全に扱えない事も示唆されており、獅子王凱のエヴォリュダー能力を中核とした上でパGとJの力を共鳴させるという、パイロット三人の特性前提という『人間臭さ』も持ち合わせている。
機械の様な精密さと、パイロットの特性を十二分に知った上での設計……
ここまでの事をやってのけるのは今のGGG隊員に居れば名乗り出ている筈、であれば外部犯だ。
だがそんな誰とも知らないシステムを実装するなんて馬鹿げているが、同時に送られてきた強力なシステムを実装してみたいという欲も出て来た。
故に阿嘉松のみにこの事を打ち明け、承諾を得るとすぐに実装された……瞬間に『覇界王』出現の報。
アルエットはこの上なく戦慄した、あまりにもご都合過ぎる展開に、データを送って来た人物はこうなる事態を読んでいたのかと。
「……ここまでくると、製作者の顔を拝んでやりたいわ。」
「アルエットちゃん?」
「何でもないです。」
ちなみに冒頭で月龍、日龍が負傷させられたのはキングジェイダーの一斉掃射に被弾したせいで、いつもの悪い癖が出た最中に、ゼロロボ相手に翔龍がピンチになっていたのを一瞬傍観していた間に被弾、という自業自得な展開のせいである。
いくらガオファイガー、ガオガイゴーでも庇い切れない。
「さて、最強の盾を手に入れたのはいいが、ゼロロボと『覇界王』相手にいつまでも防戦一方って訳にはいかんな。早くキングジェイダーのところに行かんと、何せヤツの手には……」
《……ゴルディオンクラッシャー。レプリジンの三重連太陽系で消滅したはずのアレを持ってくるなんて。》
キングジェイダーの掲げる右腕にあるディビジョンⅦ 超翼射出司令艦ツクヨミ』、『ディビジョンⅧ 最撃多元燃導艦タケハヤ』、『ディビジョンⅥ 極輝覚醒複胴艦ヒルメ』の集合体であり全長1kmの
そしてその最頂部のグラヴィティ・ショックウェーブ発生器は既に展開しているが、キングジェイダーの主武装『ジェイクォース』と合体し、ゴルディオンクラッシャー発動時よりも、超強力なグラヴィティ・ショックウェーブを纏っている。
そしてパイロットのJ-002とルネによるシルバリオン現象と、
「覇界の銀鎚『シルバリオン・クラッシャー』……ってな!」
「あの威力……触れるだけでも光にされる。ゴルディオンモーターじゃ、もう対抗しきれない。」
《シルバリオン・クラッシャー……いい名前だね、大河長官とジジイ考案のフォーメーションだ。これ以上ない誉め言葉じゃないか。》
「J、ルネ!」
《我等の目的は青の星の破壊……そのためには一撃必殺で葬送するのがふさわしいだろう。》
《心配しなくても、フルチャージしてから光にしてあげる。今の時間はその退屈しのぎさ。》
「これが2人の……みんなの意志なの!?」
《その通りだ、宇宙の意志に従ってとはいえ、苦痛を長引かせるのは戦士として……そして我々の本意ではない。》
《だから一瞬で終わらせてあげる。》
覇界の眷属となったJとルネに言葉は通じても、
その事を判っていても、その在り様に憤りを感じてしまう凱達だが……
《その前に、凱!お前との決着を付ける!》
《……しょうがない。付き合うよ、J。》
「J!!」
その人物が持っている心までは完全に変化する事はない。
凱との決着を望むJは直立待機のキングジェイダーの巨体をガオファイガーへと振り向かせ……あろうことか、突っ込んできた。
《今のキングジェイダーが……近接攻撃が出来ないと思わない事だな!》
「何!?」
《右腕が塞がっている以外は、別に何だって出来るのさ!》
《オオオオオッ!!》
100mの巨体が一瞬の内に間を詰め、ガオファイガーに向けて拳を救い上げるように放つ。
間髪で回避するガオファイガーであるが、その余波だけでも凄まじいが、休む間もなく右腕以外が容赦なく飛んでくる。
「凱兄ちゃん!」
《邪魔はさせないよ!》
「!?ゼロロボ!」
キングジェイダーとガオファイガーの一騎打ちを邪魔させないと取り巻きのゼロロボ群がガオガイゴーや、他の勇者ロボ達を取り囲み、足止めをするように立ち回る。
隕鉄が多量に含まれる隕石群から生み出されるゼロロボ群はその数を絶やさない。
そしてキングジェイダーの巨体に翻弄されるガオファイガーは、回避するだけで精一杯である。
《逃がさん!反中間子砲、五連メーザー砲!》
「くっ!ブロウクンマグナム!」
《ES爆雷、投下。》
「キングジェイダーの姿が――!?」
《――貰った!》
「何――ぐあああっ!!」
「凱兄ちゃん!?」
連射を目眩ましにES爆雷による潜行、そしてESウインドウから現れる瞬間のアタックがガオファイガーを襲う。
苦し紛れに放ったブロウクンマグナムすら避け、攻撃に転じるのは見事としか言いようがない。
如何にキングジェイダーといえど、度重なる兵器の使用に貯蔵エネルギーが底を突くと思いたいが、そんな事は一切ない。
それ程までに
そして最後の一撃はチャージ中のシルバリオンクラッシャーであった。寸前の回避で致命傷は免れたものの、コックピットギリギリを掠め、ガオファイガーの半身がごっそりやられてしまう。
「凱さん、脱出して下さい!ガオファイガーはもう……!」
「くっ!フュージョンアウト!」
《止めだ!》
凱が宇宙空間へ脱出するのと一拍遅れて、ガオファイガーへ向けキングジェイダーが反中間子砲を放つ。
GSライドが停止しているとはいえ、反中間子の作用で爆発と共に宇宙の藻屑へと変わってしまうガオファイガー。
だがそれで終わりではない。
キングジェイダーの指先が脱出した凱に狙いを定める。
《諦めるんだね。》
《生身では最早どうする事も出来まい……我等の因縁もここまでだ、凱!》
「こんなところで――!?」
だが、凱は肌身で感じた。
空間が歪み、開く感覚を。
それは『ソキウスの路』。
そして現れる、異形で始祖の頃より地球に住まう守護者達の末裔――
「ベターマン!!」
ベターマン・カタフラクト。ソムニウム5人の合力合体した姿である。
それは
時に手を携え、時に敵となるものの、その本質は地球を第一としている彼らが動かない筈がない。
だが、このタイミングで現れたのにはどんな理由があるのか?
戸惑う凱にリミピッドチャンネルが届く。
《元凶なる者よ、今は共に戦わん。》
「ラミア……」
《だが今はお前に戦う力を届ける事が先決。ライ。》
《フフフ、拙者におまかせあれ。『テンプスの路』で開いた路よりきたれ!!》
目の前に突如広がる新たなる異次元孔『テンプスの路』。そこから何かが出て来ようとしていた。
しかし――
《ベターマンって奴らか……何をするか知らないけど!》
《目の前で易々とやらせんぞ!》
何かやらかしそうな雰囲気の相手に待ったをかけられる訳でもなく、真っ先にメーザー砲の照準を向けるキングジェイダー。
《困りましたな。目的のモノがくるには僅かに時間が……目の前の御人はそれを待っていただけるでしょうかねぇ?》
《無理に決まってんだろう、ライ!どうするんだ、羅漢!?》
《ンー、慌てるなガジュマル。『かの者』がやると言っていたのだ、それを待てば良かろう。》
《そうだね、ボク達はやるべき事をやろう。》
《きっと凌いでくれるよ、ガジュマル。》
《……わかったよ、シャーラ。》
全く慌てる素振りのないカタフラクトに、Jは躊躇わずメーザー砲を放つ寸前――
「し、四方から動体反応が多数!!キングジェイダーの前に高速接近!!」
「このタイミングでベターメンの他に何が来やがる!?」
阿嘉松の驚きを追い越し、高速で飛来する物体がキングジェイダーとベターマン・カタフラクトの間に割って入る。
「――フォーメーション『プロテクト・フィールド』!!!」
《何だと!?》
必殺の間合いでメーザー砲を完璧に防がれる。
そこにあったのは黒や白の機械化した幻獣と思わしき群体達が展開しているであろう、宙に五芒星を描いた強力なエネルギーフィールド。
更にその上方には……
「あれは……ギャレオン!?」
「馬鹿な!?ガイガーは……ギャレオンはジェネシックと共にまだ取り込まれているはずだ!何故ここに!?」
「でもよく見ると、所々色違いね……偽物?」
《ギャレオンだと……さかしい!》
ギャレオンがいる――皆の疑問はさておき、2射、3射と次々にメーザー砲を放つが、キングジェイダーは目の前のエネルギーフィールドを撃ち貫けずにいる。
その間に『テンプスの路』より物体が現れた物体が更に皆を驚愕させる。
「あれも……ギャレオン!?」
「嘘でしょ!?この場にギャレオンが、2体!?」
皆の知る、鋼の獅子ギャレオン。
それが今、『テンプスの路』を通り、出てきたのであった。
その瞬間、凱はリミピッド・チャンネルを受ける。
《獅子王凱!そちらのギャレオンとフュージョンを!》
透き通った声でありながら情熱的な声のリミピッド・チャンネルであった。
そしてその声を聞いた凱は、何故かその事を自然と信じられ、その声に導かれるままギャレオンの元へと向かう。
――その刹那の中、凱はとある人物とすれ違う。
背中に天使の羽と悪魔の羽を生やし、白銀の鎧を纏い、銀の長髪をなびかせる、一人の女性───
一瞬だけ視線が合わさり、にこりと微笑む女性───
真空である筈の宇宙空間に宇宙服、ヘルメットなしで悠然とキングジェイダーに相対する姿は、初めて出会う筈なのに、凱はどこか親近感を覚える……
だがすぐに意識をギャレオンへと向け、叫ぶ!
そしてリミピッド・チャンネルの主もまた叫ぶ!
「「──ギャレオォォーーーン!!」」
「「ガオォォーーーン!!」」
Gストーンの輝きが互いのギャレオンを導き、ギャレオンもまた、雄叫びを上げて勇気ある者の元に往く。
「「フューージョンッ!! ガイガーッ!!」」
エヴォリュダー凱は、ギャレオンとフュージョンする事により、ガイガーとなって再びこの宇宙に顕現するのだった。
そしてもう一体のギャレオンも女性とフュージョンし、ガイガーとなり、顕現した。
「やっぱりガイガー……」
《馬鹿な……あり得ん!》
有り得ない状況に誰もが驚く。
だが驚くのも束の間、ソムニウム達からリミピッド・チャンネルが凱に届く。
《元凶なる者よ、その鋼の獅子は過去より導きしモノ……》
「過去からだって!?」
《左様。緊急故にここに導き候。後に返します故、壊さぬよう気を付けて頂きたい。》
「あ、ああ。だとしたらあのガイガーはいったい……」
《ンー、それは当人から聞け。》
《あいつは俺達にも分からん。とてつもなく喧しい。》
《でも優しいよ》
《うん、とても優しい……私達寄りのニンゲン。》
《《彼の者》は我々も持て余す。だがお前達にとっても必要となろう。》
「……わかった、なら今は!」
ソムニウム達も困惑する存在である事、敵ではない事は理解出来た凱。
であれば次に打つ手は一つである。
2体のガイガー出現にビッグ・オーダールームのスタッフも動揺する最中、ファイナル・フュージョン承認要請のシグナルがメイン・オーダールームに届く。
慌てて報告する初野華とアルエットの様子に、阿嘉松は──
「……ど、どっちからだ??」
「りょ……両方からです。」
「片方は獅子王長官代理ですが、もう片方もあのガイガーから。しかもコンソールにメッセージ付きで……!」
「マジか!どんなメッセージだ!?」
「……日本語で『フリで構わないので、ファイナル・フュージョン承認を!』との事です」
「フ、フリって……それでいいのか?」
「もしかして、あのガイガーは、単独でファイナル・フュージョン出来るようになっているのでは?」
「そ、そうみたいです。『イエス!アイキャン!』って……どうします長官??」
「ククク……そういう馬鹿は嫌いじゃねぇ。見せて貰おうじゃねぇか、お前さんの勇姿って奴を!アルエット!お前は凱のを、初野はあのガイガーの担当だ」
「ええ!?どうすればいいんですか!?」
「ガオガイゴーと一緒で構わん!どうせフリだ!」
「ぴゃい!」
そう言った瞬間、華のコンソールにガオガイゴーのプログラムではない、ファイナル・フュージョンプログラムが表示される。
「きゃあああッ!!なんか画面が変わっちゃったよ、アルエットちゃん!しかも画面が勝手に動いてるー!?」
「……フリって言ったの、何処の誰よ!雰囲気出すと言ってもここまでやる気!?」
「ええい、ままよ!ファイナル・フュージョン、承認だぁぁぁーーッ!!」
「りょ、了解!ファイナル・フュージョン、プログラム──!」
「了解!ファイナル・フュージョン、プログラム───」
「「ダブル・ドラァァァーーーイブッ!!」」
───バキィッ!
華、アルエットが同時にドライブボタンに拳を叩きつけ、画面に表示される《 GAOGAIGAR 》の文字。
「──よっしゃぁぁぁーーーッ!!」
「──さあ、参ります!!」
「「 ファイナル・フューーージョン!! 」」
2体のガイガーの腰部から噴射されるEMトルネードが巨大な繭のように形成される。
そこにオービッット・ベースより射出され、凱のガイガーの下に疾走するガオーマシン。
追撃するキングジェイダーを体当たりで吹き飛ばし、もう一体のガイガーの周囲を旋回する
そして今始まる二つの
土竜と幻竜が
疾走する獣が肩を切るように駆け抜け──
空を駆ける翼を背に──
剛腕を携えた獅子が目覚めた時──
勇気の兜を被りし
ヘルメットより排熱を終えた、並び立つ2体のガオガイガーに全員が驚く。
元祖と亜流……今ここに会合を果たしたのだった。
《NEXT》
ある瞬間におけるすべての原子の位置と運動量を知り得る存在がいると仮定すると、物理法則にしたがって、その後の状態をすべて計算し、未来を完全に予測する事が出来るという。ニュートン力学に基づく古典論的な世界観における、全知の存在と見なされる。
物理学者ジェームズ・クラーク・マクスウェルが提唱した思考実験である。 もし仮に気体分子の動きを観察できる架空の存在――【悪魔】がいたとすると、熱力学第二法則で禁じられたエントロピーの減少が可能になるのではないか、と主張した。
【悪魔】は気体分子の動きを観察出来る架空の存在で、熱力学第二法則で禁じられているエントロピーの減少が可能になるのではないかと主張。その気になれば熱的死すら防げるとか……
これ以上災害が続かないように、
ちなみに月龍、日龍、翔龍、ポルコートの早期退場の理由は……察して。