公爵令嬢は、ファイナル・フュージョンしたい。   作:和鷹聖

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どうもです!

ようやくこの章も書き終わりましたが、毎度のように考察と筆に時間が掛かり、遅くなり申し訳ございません。
故にまた分けます。

……というか燃え尽きた感がある次第。
この章を超える熱さは多分しばらくないだろうと思ってしまう程の熱さでお送りしたします。


Extra mission 02『迫りくる未来(あす)、覆す現在(いま)(3)』

 

《こ、『金色の破壊神』……》

《『滅びの悪魔』……》

 

太陽の如き光を発する『金色の破壊神』と称するに相応しく、そして『滅びの悪魔』とも例えられたシルエットを持つ存在。

最強の破壊神であり、三重連太陽系の大いなる遺産。

 

『ジェネシック・ガオガイガー』

 

───否。

 

「──違う。」

「あれは……ジェネシックでも、マギウスでも……ましてやロボットでもない!」

「どういう事だ、天海、戒道!?」

「……メインオーダールーム。今映像を送る、見てくれ。」

「こ、こいつぁ……何だ??」

 

ガオガイゴーより送られてきた映像、それは金色の破壊神となったスーパーメカノイド……らしき巨人。

だが、護の「ロボットでもない」という異常の言葉の意味はすぐに理解出来た。

 

その金色の破壊神は鋼ではなく、幾重にも組み合わさった『獣の骨格』で『人の形』として出来ていた。

見覚えのあるものから、全く見覚えのないものまで、多種多様な骨が重なり合い、そして何より骨でありながら重厚な駆体に見えるのは、その姿形がジェネシック・ガオガイガー、もしくはマギウス・ガオガイガーに酷似していたからである。

今まで相手にしてきた敵の中でも、特に異色の存在である。

更に驚くのは、ディビジョンフリート艦より生成したエネルギーが、OOO(トリプルゼロ)と共に吸い出されるように流動して、その異形の存在に集まっている。

そんな光景に誰もが驚愕する中、全方位通信がその場にいる全員に届く。

 

「ば、場所は……クシナダからです!」

「クシナダからって事は……」

《現行GGGの諸君……そしてガオガイガーのパイロット達、()()()()見事な戦いぶりだった。》

「この声は……まさか!」

《大河……長官!》

 

モニターに投影されるのは、OOO(トリプルゼロ)の影響下とはいえ、姿の変わらない大河幸太郎、その人であった。

だが、勇気のお手本のような熱い魂の熱は感じられず、冷たい眼差しを向けられるのは、彼を直に知る者にとっては非常に辛いものがあった。

そんな状態で()()()()と言われれば、痛ましい事この上ない。

 

《我々もこの度は全力を尽くした。だがキングジェイダー相手にここまで戦い、勝つとは君達の方が一枚上手だったのは認めざるを得ない。実に素晴らしかった。》

「大河長官……そう思うなら投降、という道をお奨めする。」

《悪いがそれは出来ないな、凱。我々もOOO(トリプルゼロ)の意思を受け、ここにいる。地球にいる全生命体を滅ぼすまで、我々は邁進するのみだ。》

「大河長官ッ!」

《……だからこそ、我々はキングジェイダーが敗れる事を想定し、このタイミングで最適手を打てるよう機会を伺ったのだ。ただ、想定外の存在が君達を消耗させ切れなかったがね。》

「……確かに。」

 

想定外───それはマギウスだと凱は直感する。マギウス・ガオガイガーがいなければ今以上に消耗していただろう。

大河長官にとっても、マギウス・ガオガイガーは想定外も想定外、最大級のジョーカーであったのだ。

 

「それで、長官の最適手というのが、そのジェネシックの骸みたいな奴なのか。」

「長官、そいつはいったい何なの!?」

《この方はオウス・オーバー・オメガの根幹にして『覇界王』を超えた超越の存在────『覇界神』だ。》

 

『神』というワードを聞き、一同は絶句し、固まる。

ここに来て、しかも大河長官よりそんな言葉を聞くとは誰しもが想像できなかったからだ。

 

「覇界神……神というにはあまりにもそれは悪魔的ではありませんか?」

《見た目など二の次さ。本質は内にある。》

「……で、大河長官。そいつでいったい何を仕出かそうと言うんです??」

《もちろん、地球の破壊だ。》

「地球の破壊……J達もそう言っていましたが、何故地球を破壊する必要があるのですか?」

《お前たちには関係ない……と言いいたいところだが、一つ教えよう。》

「雷牙博士!」

OOO(トリプルゼロ)の目的は全生命体の抹殺だ。生命体は宇宙に内包するエントロピー変化を大きく狂わす。それは次代への宇宙へと移り変わる際にその宇宙の情報は熱死的状態になった時、生命体の情報が一点に集約される際に、それまでのエントロピー変化に大きな起伏があるとその情報集約に誤差と異常が生じる。つまり、次代への生命誕生に支障をもたらす。その誤差と異常を引き起こす最大の起点が、地球なのだよ。》

「そんな馬鹿な!三重連太陽系のようにオレンジサイトに干渉した訳でもないのに……!」

《だが、いずれそうするだろう。評議会の愚か者達の手によってな。そして既に干渉もしている。『ザ・パワー』として。そしてお前達はその術を持っている。愚かな地球の評議会が中心となってオレンジサイトへ来ないと言い切れない。》

「じゃ、じゃあ、地球が宇宙にとって害悪であると……」

《その通りだ。故に我々は地球を滅ぼす。》

「そ、そんな……」

 

大河長官と雷牙博士から告げられた事に驚きとショックを隠せない。

例えOOO(トリプルゼロ)の影響下での発言であったとしても、それらは紛れもない事実なのだろう。

いくらOOO(トリプルゼロ)の影響下とはいえ、身内の非道は堪える。

そんな中、ガオガイガーへクシナダより通信が入る。

 

《……凱、私達の使命は重大なものなの。お願い、地球を破壊させて。そうすれば宇宙は平穏に最後を迎えられる》

(みこと)ッ!?」

《私は……貴方と一緒に最後を迎えたいの。》

「命、お前まで……!」

 

最愛の人物、命からの言葉に動揺する凱。

───その時であった。

 

《──お待ちなさい!》

「!」

「カルナ……!?」

《皆様、そんな悪意に満ちた戯言に惑わされてはいけません。》

《君は……?》

《お初にお目に掛かります、大河長官。そしてソール11遊星主と戦いましたGGGの皆様。私はこのマギウス・ガオガイガーを駆る者、カルナと申します。》

《初めまして、カルナ君。大河幸太郎だ。》

《大河長官、その勇名は聞き及んでいます。》

《ありがとう。だが、我々の言葉に悪意があると言ったかな?我々に君達を貶めるような悪意はない。あるのは純然たる宇宙の摂理だ。》

《そうですか……では雷牙博士、一つ答えて頂けますか?》

《ぼくちゃんに、何かな?》

OOO(トリプルゼロ)はこの宇宙の法則、万有の理、宇宙そのもの……それは間違いではないですか?》

《その通りだ。》

《ではその『覇界神』とやらも、摂理そのものであると?》

《ああ。この宇宙の、OOO(トリプルゼロ)の体現者だ。》

《そうですか……ありがとうございました、実に下らないご回答でヘドが出ますわ。》

《下らない、だと?》

《はい。実に下らない────『誰か』の意思の下にある、ねじ曲がった意思(モノ)を宇宙の法則とほざく妄言など、実に下らない。》

「『誰か』の意思……?」

 

絶望的な状況の中、カルディナが発した言葉もまた衝撃的であった。

何を根拠に言うのか……

 

《長官が『覇界神』を紹介した際に『この方』と申され、雷牙博士も『OOO(トリプルゼロ)の体現者』と仰られています────何故『人』と例えて仰られたのです?》

《……ただの偶然だろう。言葉の綾であり、相応しい言葉がそれだったのだ。》

《確かにそうとも言えますね……では雷牙博士、熱死的宇宙のエントロピー変化についてですが、博士に物申す事が多々。》

《ほう……言ってみるがいい。》

《では、エントロピー変化の推移変化による情報統合は───》

《ほう、面白い意見だ。だが、エネルギー還元の連鎖反応に───》

 

「……なあ、何か語りだしたぞ、あの2人。」

「凱兄ちゃん、解る?」

「いや、専門的過ぎて。だがビッククランチの発生時のエネルギーの連鎖によるエントロピー推移変化についてと言うのは、何となく。」

「しぼむ時に、膨大なエネルギー推移変化が起こる、という話らしいが……」

「……ごめん僕、全然解らない。」

 

外野を放っておいて、突然専門的学術を議論し始めたカルディナと雷牙。

さすがに大河長官ですら「あの、博士?カルナ君?もしも~し?」と戸惑うが、この2人外野の話を一切聞いていない。

『覇界の眷族』は性格はそのままに、倫理観のみをOOO(トリプルゼロ)に書き換えられている……が、今回はその性格が議論を白熱させていた。

こればかりは倫理観をOOO(トリプルゼロ)に書き換えられていようが、元の性格である以上、どうしようもない。

 

《──という事は、ビッククランチ発生の際には、宇宙全体に存在する質量が想定数値よりも大きくなると、自重力で、膨張から収縮に動きが反転、 存在する恒星や銀河の全てを巻き込んで、時空もろとも無次元の特異点にまで収束する、という事は、やはり間違いないのですね。》

《ああ、その通りだ。正に風船のように萎む。その速さは光速をも超え、一瞬で終わる。ただ流れ出る空気は特異点に吸い込まれるがね。》

《そうですか。なら───そんな大規模収束の最中、どこに地球が影響を及ぼす暇があるのでしょう?暗黒物質が大量に消費されて消滅した訳でもないのに。》

《……人類の生存は宇宙のサイクルそのものを乱す。その存在、生命活動こそが『情報』の軌跡となり残る。故に誰しもがその可能性を有するのだ。過去にもそのような事があった以上は、殲滅する他ないのだ。次代により良い、理想の宇宙を創造するためにな。》

《さしずめ、ソール11遊星主の暗黒物資収集の影響で、この宇宙にもオレンジサイトにも悪影響が出ている、そのようにですか?》

《ああ。オレンジサイトに手を出した三重連太陽系、そもそも奴らは愚かであった。消滅する宇宙より新たな宇宙を創造するなど愚の骨頂。世界の創造者はOOO(トリプルゼロ)に他ならない。脱出計画も意味などない。》

《ならば有機生命体……いえ、何故わざわざ生命体が生まれる因子をビッグバンに込めているのですか?》

《───!?》

 

それが核心をついたものなのか雷牙博士は……いや、大河長官も黙ってしまう。

今まで見たことのない反応に、誰しもが戸惑う。

まるでこと切れた人形のように、焦点が定まらない。

 

《要らぬのでしょう?自ら殺し回るのであれば、サイクルを正すなら宇宙に『意思ある者』は要らない筈。なのに何故生まれる因子を持たすのです?OOO(トリプルゼロ)の言い分であれば意志ある者の存在はそれ自体が()()、されどそのやり方はあまりにも生温い。であればその他の真意は何か……その説明があれば説得力満点なのですが、その点を無視して地球の破壊……それはきっちり「地球に『誰か』にとって都合の悪いモノがある」と宣伝しているようなものです。覇界を示し、ビッグクランチを促進させる理由としてはあまりにも───弱い。》

《……》

《正しく言えば『選定』でしょうか?「誰か」の『都合の良い存在のみ情報を生かす』……であれば受肉した有機生命体がサイクルの圧迫をしなくて済む───ま、無理でしょう。アミノ酸が生成される行程を蔑ろにすれば、今度は別の不具合が起きる───どうでもいい話ですわ。この話はもう、お・わ・り。》

「どうでもいいの!?すっごい核心めいた事を言ってた気がするんだけど!?」

《はい、どうでもいいのです。大河長官と雷牙博士()()()()()との会話は楽しかったのですが、私のこの会話の目的は『誰か』に操られた大河長官達との、下っだらないビッグクランチと、その疑問の討論をするためではありませんから。》

《そ……そのようなことが……我らが話はまだ終わっては……》

 

「──終わりと言ったぞ、虚像(グズ)共がッ!!」

 

ビリビリビリ───ッ!!!

 

「今の声は、カルナ……??」

「……い、今の振動、宇宙が……」

「……揺れた??」

 

《……己が持論の論点を指摘され押し黙るが『神』か?『神』ならばあらゆる事象を完全とし、『世界』に責任を持つのが普通だろう。お前がやっている事は、ただ自分の理想とする世界を宇宙を利用して創生、廃棄している言い訳にしか聞こえない。そこには自分の理想論を欲望のまま押し付け、肝心なところをひた隠しにする『(オマエ)』の意志が見え隠れする、その『纏わり憑くドス黒い穢れ』が隠れていないとでも思ったか……そんな事で、そんな事の為に大河長官や雷牙博士達、GGG皆の誇りを、魂を、お前達が穢すなどッ!!》

 

カルディナの怒りが文字通り、宇宙を震わす。

その怒りが、マギウス・ガオガイガーを熱く、強く、白銀の光で宇宙を照す。

それはあらゆるモノに分け隔てなく光を照す太陽の如く、不浄を赦さぬ、浄化を促す天罰の光の如く。

怒りだけでなく、OOO (トリプルゼロ)に囚われたGGGメンバーがいいように弄ばれた悲しみもあった。

 

《覇界神、OOO(トリプルゼロ)ッ!!私は、お前達を───赦さないッ!!》

 

そしてカルディナには見えていた、レヴォリュダーの眼が、囚われた彼等に憑き入るモノが。

カルディナの言う『纏わり憑かせているドス黒いモノ』は、カルディナの光に触れると急速に消滅していき、僅かに残ったモノがGGG隊員達の身に潜める行動を取り、そして苦しむかのような様子が出ている。

その一部始終がモニター画面にばっちり映し出されていた。

 

「な、何だ、今のは……」

「今のは……OOO (トリプルゼロ)、なの?」

《む、むぅ……どうやら追い詰められているのはこちらの様だ。そして、カルナ君。まず君を破壊せねば、地球の破壊も難しいと判断しよう。》

《なら、こうするしかないのぉ……》

《うむ。総員、フォーメーションGG(ダブルジー)、発令!!》

 

《スワン君、国連事務総長より受け取ったキーを。》

《イェッサー。》

 

人類の叡智、繁栄、その終焉の為に……ゴルディオン・ヘルアンドヘヴン───

 

《発動、承ォォ認ッ!! 》

《超翼射出指令艦ツクヨミ展開。》

《極輝覚醒複胴艦ヒルメ展開。》

《最撃多元燃導艦タケハヤ展開。》

《ツクヨミ、ヒルメ、ドッキング。続いてタケハヤ、ドッキングします。》

《全出力接続完了。量子回線構築、超重力衝撃波発生器、接続開始。》

 

発動する合体シークエンスはその場にいた誰の予測を超えた。

ツクヨミ、ヒルメ、タケハヤがドッキングし、『覇界神』をカタパルト上に配置、ヒルメの超重力衝撃波発生器がカタパルト前方に『砲』のように配置されている

ドッキング、と銘していながらに行っているのはカタパルト射出機のような配置である。

だが各艦が連動した推力を出せるなら、明らかにその出力は破格。

『覇界神』の両腕を広げたその拳に強大なOOO(トリプルゼロ)のエネルギーが発現、合掌し合わせる。

 

「あれは……ヘルアンドヘヴン!?」

「ガオガイガーに似ているからとはいえ、もしかしたらとは思ったが……まさか!?」

 

超重力衝撃波発生器、8器がヘルアンドヘヴンの拳に旋回するように集まり、連動する。

 

《ゴルディオン・ヘルアンドヘヴン……これが我々の勝利の鍵だ。》

《ディビジョンフリート艦3艦の超重力波発生器からの出力と、OOO(トリプルゼロ)による無限出力で、ゴルディオン・クラッシャー以上のグラビディ・ショックウェーブを収束、カタパルトを用いて『覇界神』の力と共に突撃し、地球の地殻を貫通し、グラビティ・ショックウェーブを外側へ放出、地下マントルを破壊する。光速を超えた一撃だ。たとえ先程の反射を用いようが、範囲外へ向かう事も出来る以上、その前に地球を破壊出来よう。》

「外部から破壊するのがシルバリオン・クラッシャーなら、内側から破壊するゴルディオン・ヘルアンドヘヴン……!」

「あれじゃあ、プロテクト・リフレクサーでも意味がない!」

「そ……そんなモノを持ち出して来やがるとは、見損なったぞ、クソ親父ィィーー!!」

 

阿嘉松の悲痛な叫びがオーダールームに響く。

だがそれに相応しい絶望があるのは間違いなく、カルディナも手の内の真っ向勝負や奇抜な手法も、眼前の『覇界神』には意味を成さない事を悟る。

 

《……悔しいですが、あの組み合わせは最善手。あれ以上の出力、破壊力を持たす術が……!》

 

「───おい、そのマギウスとかいうガオガイガーのパイロット……カルナと言ったな。」

《……J-002、どうしました?》

「率直に言う。貴様、ジェイクォースを使えるな?」

《……多分、ですね。どうかしらV.C.?》

《キングジェイダーのプログラムを完全には把握していませんので、連射は難しいですが、保持か密接状態であれば……って、まさか。》

「どこで知り、何故か扱える見ず知らずのお前に託すのもの癪であるが、使え。幾分か足しになるはずだ。遊ばすには勿体ないだろう?」

《あの戦いで、お前たちはJジュエルの凍結コマンドを使用した……つまりはジェイアークについて幾分か精通していると考察出来る。》

《トモロまで。いやまぁ……そうですが。》

「なら出来るだろう?そして出来るだろう、貴様には。」

《判りました。V.C.!!》

《いいでしょう。ジェイクォースの確保を完了。ジェイクォース、制御プログラムのローディング開始。》

《……ならば、来なさい!!》

 

キングジェイダーとの戦いで、シルバリオン・クラッシャーから外れた『ジェイクォース』。

宇宙空間を漂っていたそれは、OOO(トリプルゼロ)のエネルギーが未だ残っているが、マギウス・フェザーにより確保、誘導され、マギウス・ガオガイガーの手に掴まれた瞬間、OOO(トリプルゼロ)は消失、呪いから解き放たれたように銀色に光り、そして赤いエネルギーを纏う。

それは不死鳥はまだ死んでいないと、力の限り叫ぶかのような光景であった。

 

《ジェイクォースの残留OOO(トリプルゼロ)、消失。『マギウス・ザ・パワー』に転換完了。エネルギー充填開始。》

《貴方もくやしかったでしょう……貴方の主から託された想い、無駄にはしない!》

《Gストーン、Jジュエル同調完了───行けます。》

《これで、終局と致しましょう───》

 

シルバリオン・ヘルアンドヘヴン

 

───シルバリオン・ヘルアンドヘヴン

それはジェイクォースをマギウスツールと代替した、ヘルアンドヘヴンの亜種である。

ジェイクォース(Jの力)ヘルアンドヘヴン(Gの力)を同時併用し、同時にマギウスフェザーを超重力衝撃波発生器の代わりとした、疑似『シルバリオン・クラッシャー』である。

最大の違いは、ジェイクォースを撃ち出すのではなく、ヘルアンドヘヴンと同期する事で、同時に突貫する仕様である。

尚、この形態はシルバリオン・クラッシャー同様、威力が高すぎるため、核摘出には向かず、対象の完全なる殲滅を目的とする。

 

そして両者同時に対峙する、金と銀───二つの滅びの力。

両者の力は、どちらも星を殺せる程の力。

 

《行くわよ『覇界神』!!》

《───!》

 

その圧倒的な力の余波のぶつかり合いにその場にいる全員が目を見張るが、その均衡を破ったのはカルディナの怒りと悲しみ、そして圧倒的な相手に立ち向かう勇気。

 

「ウィーーータァッ!!!」

《□□□□□□□ッ!!!》

 

だが舌戦で負けたとは言え、本来の目的には然程も支障のない『覇界神』も何一つ気配を変える事なく、その拳はマギウスを定め───その向こうにある地球に凶拳を向ける。

 

そして激しくぶつかる二機。

その衝突は光速を超えたが、その事が誰にも予想すら出来ない事を引き起こした。

その異常に気付いたのはV.C.であった。

 

《く、空間に異常発生──重力計測数値が反転!?》

《V.C.、どういう事!?》

《失念……していました、このままでは……!》

 

周辺の物質が二機の間へと、物凄い勢いで引っ張られ、消えて行く、しかも際限なく、一向に治まるどころか悪化していく。

そこにあるのは真っ黒な深淵たる常闇(とこやみ)……

そしてオーダールームでは(ヤン)博士が事態の異常さに気付く。

 

「この現象は───あり得ない話ではないが……!」

(ヤン)の旦那、これは何がどうなってやがる!」

「私にも全容は掴めないが……OOO(トリプルゼロ)で強化された超重力兵器(ゴルディオンクラッシャー)超重力兵器(シルバリオンクラッシャー)のぶつかり合い等という、人知を超えた所業だ、その超重力で特異点たるブラックホールなど出来る事は予想はしていたが、こうも簡単に……だが問題はその後……今度はブラックホールすら圧縮されるこの状況……見てみろ、ブラックホールが急速に縮退されていく、その後を……!」

「嘘でしょ……ブラックホールが、光ってる?!」

《例えるならアレは『疑似中性子星』、中性子星のなりかけの塊です。行き場を失ったエネルギーが高密度圧縮され、崩壊前のカタチへと還元……いえ()()している、それが今の状態です。》

 

太陽等の恒星が燃え尽きた後、超新星爆発を経て数倍の質量を持つ星が残る。それが中性子星。

だが本来は恒星→中性子星→ブラックホールの順で発生するが、今は現象自体が逆行、遡行して発生している。

そして逆行しているという事は、この中性子星が前段階へとシフトしようとしている事が伺い知れる。

それが超重力衝撃圧縮による爆縮の影響とは誰しもが思いもしなかったのだった。

 

《中性子星は超新星爆発によって生まれます。》

「つまりこの次に起こりえるのはこの距離での、超新星爆発だ!」

「おい、待てよ……この宙域で超新星爆発なんぞ起きてみろ、太陽系の前に俺達なんざみんなオダブツだぞ!」

《それだけではありません、超新星爆発の被害以上に通常の数千倍以上の重力圧縮によって生成された、中性子星内部に蓄えられているであろう『ストレンジ物質』、それらが解放される可能性もあります。》

「ストレンジ物質!その可能性もあったか!!」

 

楊博士が頭を抱えてしまう。

それは宇宙で一番危険な物質───ストレンジ物質。

元々出来た経緯が恐ろしいものであるが、中性子星の内部物質は元素として非常に安定している。

だが、その中に凝縮されている素粒子『クォーク』には、生命──しいては現在する物質にとって害悪となるものがある。

それこそが『ストレンジ物質』と呼ばれる素粒子である。

 

『ストレンジ物質』とは、元素内のクォークが自由に動き回るクォーク物質の中でも、アップクォーク、ダウンクォーク、ストレンジクォークが同比率で存在する物質である。

だが、中性子星が崩壊する事態となれば生命体にとって、この宇宙でこの上ない害悪をもたらす。

 

「……その危険性は『破壊』と『感染』にある。」

《ストレンジ物質が他の物質に付いてしまうと、あらゆる物理法則をねじ曲げ、その物質の組織を有機、無機関係なく、呆気なく『破壊』します。その様は正に『感染』。素粒子単位の飛沫物が物理的閉鎖すら不可能なレベルで襲ってくる……しかも天文単位の距離を一瞬で皆殺しにします。》

「そして破壊された物質は更なる『ストレンジ物質』となり、連鎖的に広まる……そうなればあらゆる生命、物質は死滅するしかない!」

「ゾ、ゾンダーや機界新種より被害が酷い……!」

「っていうか、ストレンジ物資の(くだり)って、機界新種の物質昇華と話が一緒じゃ……!」

「あー!今はそんな事を考えている暇はないわ!」

「その遡行が終わったとしても、次に誕生するのは恒星───つまり太陽だ。」

《こんな至近距離で恒星が誕生してしまえば、その熱波だけで何もせずとも地球は()()、恒星同士の近距離干渉でこの太陽系は───滅びます!」

 

それは非情なる宣告でもあった。

強者の競り合いが地球最後の宣告と同義であった事が。

例え、2機のぶつかり合いで、中性子星誕生までにとどまったとしても、中性子星は地表から1000km程度に近づくだけでも水の反磁性により細胞が破壊され致命的な影響を受ける。 また化学反応も10万t前後までくると、原子核内の電子状態が変わってしまうため化学式通りの反応が起こらなくなり、どのような影響が起きるか、未知数となる。

 

だが一つ勘違いしてはいけない。

光速で飛来するゴルディオン・ヘルアンドヘヴンを防ぐためには、間違いなくシルバリオン・ヘルアンドヘヴンで迎撃、対抗する他なかった事を。

例え、他の勇者ロボ達を向かわせたところで、彼等では無力。

勇者王とて、『マギウス・ザ・パワー』の恩恵が切れた今のタイミングでは、この所業に参加する事は無謀と言える。

故に、止める事は出来ない。

止めてしまえば、競り負けて『覇界神』に地球に到達されてしまう。

故にカルディナは『覇界神』との対峙を止める事が出来なかった。

故に、それ以外の選択肢がなかったのである。

だが、立ち塞がるは全てを光にせんとする『覇界神』と全長30mにまで成長した中性子星という前代未聞の障害なのだ。

 

《ふむ、予定とは違うが……》

《これはこれで地球を……この太陽系すら滅ぼせよう。》

「──このクソジジィ!!まだこの期に及んで!」

《ルネか。OOO(トリプルゼロ)の恩恵から外されてしまうとはのぉ……》

「うるさい!!このままで済むと思うんじゃないよ!」

《だがどうする。事態は最早人類の科学力ではどうにも出来ない領域に達しようとする……ただ死を待つのみだ。》

「くっ……!」

「もう……打つ手はないのか───」

 

 

 

 

 

 

 

《……あります。打つ手は、あります。》

 

「───カルナ!?」

《今ならまだ……手の打ち様はあります───ぐぅッ!!》

《お嬢様!このプランは危険です!》

「カルナ!どんな方法なんだ、教えてくれ!!」

《V.C.、お願いッ!()()をみんなに───!!》

《う~……!どうなっても知りませんよ!》

「これは……!?」

 

GGGの各隊員の下に送られたのは、この状況を打開すべく、急遽カルディナが作成した作戦計画書(日本語)。

だが……

 

「ちょ……この方法は……!」

「……成功確率が数%、いやほぼゼロじゃねぇか!」

《とは言え、これしかァ───方法は思い付きませんの、でェ……!!》

《駄目です!こんな方法……お嬢様が死んでしまいます!私の負担も多過ぎます!自己犠牲に巻き込まないで下さい!》

「ああ、ダメだ。こんな方法はGGGブルー長官代理としても受け入れられない。」

《……うぅ。》

 

送られてきた計画書は内からも外からも、けんけんほろほろに言われる始末。

それは相当無茶苦茶な内容であった。

流石に、凱も反対の意を表している。

そんな意気消沈したカルディナの気持ちを代弁してか、ジェイクォースにも罅が入る。

 

「カルナ、これじゃ君にだけ負担が伸し掛かるようなものだ───俺達に、何が出来る!?」

《……ふぇ??》

「何腑抜けた声出してるのよ!?やっちゃったものは仕方なしに、こんなのアンタの内部システムだけで、外部のサポート無しの独断でやろうとするのがいけないのよ───みんなで、早くやるわよ!」

「時間がねェんだろう!?あの疑似中性子星を相手取ろうとするんだ、各機の調整が必須だ!みんな、2分以内で機動部隊の調整を終わらせろ!」

「「「了解!」」」

《み、皆さん……》

「……カルナ。ここには、たった独りの自己犠牲に甘んじる人はいない。」

「そうだよ。君は僕達に勇気を見せてくれた、なら今度は僕達が報いる番だ!」

「そして見せてやるんだ、OOO(あいつら)に───俺達の勇気の力を!」

《……そうですわね。GGG憲章第五条 一二五項でそう仰っていましたわ!」

「GGG憲章第五条 一二五項……!」

「そうだ、GGG憲章第五条 一二五項……」

 

GGG憲章第五条 一二五項

GGG隊員は、いかに困難な状況に陥いろうとも、決して諦めてはならない。

 

皆からの言葉で吹っ切れ、意を決するカルディナ。

最早、白銀に輝く瞳に迷いはない。

そして改めて自分達が何をすべきか確認するGGG隊員達。

GGG隊員は、いかに困難な状況に陥いろうとも、己の、そして皆の勝利を決して諦めてはならないのだ。

 

《マイク、『ディスクB』と『ガオガオーンGG』は!?》

「OK、準備完了!いつでもセッション出来るッゼ!」

「各機動部隊のエネルギー障壁システム出力変更!」

「高重力下にもOOO(トリプルゼロ)にも一時的だけど耐えれる仕様よ!エネルギー切れには注意して!」

「おっしゃあ!」

「これで俺達も!」

「だが、この設定で作戦に必要な速度が出せるか……」

「──超竜神!」

「む、翔竜!それにビッグポルコート、大丈夫なのか!?」

「我々の損傷は問題ない。むしろ日龍と月龍をなだめるのに時間が掛かったぐらいさ。」

「うん、日龍や月龍を何とか説得して出てきたよ、それよりも───撃龍神と天竜神にはこれを!」

「あ、それはSPパック!」

 

SPパック──それは竜型ビークルロボ用に開発された、宇宙姿勢制御パックである。

シンメトリカルドッキングしたビークルロボの両肩に装着される事により、宇宙での移動が格段に速くなる。

尚、天竜神用のものは、超竜神のものを流用している。

それを撃龍神、天竜神の両肩に装着される。

 

「これで速度が段違いに速くなります。」

「有り難い!」

「でも超竜神兄様のは?」

「もちろんあるよ──超竜神、僕と合体だ!!

「そうか!わかった、行くぞ!」

 

「「「トリニティドッキング!」」」

 

「翔・超ォォ竜ゥゥ神ッ!!」

 

超竜神と、グリエノイド・翔竜がトリニティドッキングする事により、SPパックよりも更に強力な形態、『翔超竜神』となるのである。

 

「よし、これで我々の役目を果たせる!」

「よっしゃ、後は───!」

《──マギウス・ツール!!》

 

マギウス・ガオガイガーより射出される『マギウスツール』。それはガジェットツール同様に複数のパーツが合わさり、形となる。

そして形となったツールは、ガオガイガーとガオガイゴーにそれぞれ託される───

 

「目標座標設定終了。幾巳、リンカージェルの透析はもうそろそろ限界に近い。何よりあの疑似中性子星相手だから失敗すれば片道切符……だから、一発勝負だ!」

「ああ、元よりそのつもりだ。」

「護副隊長、こちらも配置に着きました。いつでもどうぞ!」

「ありがとう、ビッグボルフォッグ───じゃあみんな、行くよ……!」

「ああ、勇気ある誓いと共に!!」

「「「勇気ある誓いと共に!!」」」

 

皆が勇気ある誓いを復唱し、その覚悟を表す。

ここからGGG最大の作戦が始まるのである。

 






……

…………

…………何を、何をどう考えれば超重力衝撃波をぶつけ合ったら、ブラックホール→中性子星ができるんだよ!?
元は超重力衝撃波同士がぶつかった際の被害を書きたかっただけなのです。それで「ブラックホールが出来そうwwww」とか調子づいて「じゃあこの後どうなるかな~?」とか思って筆を進めたら……こうなった
(´;ω;`)
この辺り、本来は同士討ちで終える予定だったのですが、恒星が寿命を終えて超新星爆発を経て中性子星→ブラックホールになる(超要約)過程を知り、加筆した次第です。
それが太陽系崩壊の引き金ってアホかい!!

まあ、お嬢様の巡り合わせの引きの悪さと、トリプルゼロとザ・パワーがとてつもない悪さをしたと思ってくだせぇ。

いや、これどうすんの、どうすんだよ!?

……うん、ええ。まあちゃんと考えてます。

という訳で次回!(ヤケクソ感Max)

次回更新2~3日以内で。(確約)

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