もうどうにでもなれぃ!な、この章の最終話(本当)
突如現れた『覇界神』とのヘルアンドヘヴン合戦で、ブラックホール、そして中性子星を生成してしまったカルディナ。
『覇界神』を止めるには手段がこれしかなく、阻むのを止めてしまうと地球が崩壊する危機。
しかしこのままでも第二の恒星誕生による太陽系消滅の危機。
だが、それでも諦めないGGG、そしてカルディナの作戦とは───?!
さあ、しかと刮目せよ!
「──カモン、ロックンロール!!ガッツ、アーンド、ブレイブッ!!」
マイクがサウンドにて『マギウス・ザ・パワー』の代わりに皆を鼓舞するために『ディスクB』の力を最大限に引き出し、音楽を響かせる。
そして機動部隊全員の力が、GSライドの力が高まったところで動きを見せる。
「先ずは僕達からだ!GSライド最大稼動、共鳴現象最大ッ!!」
「『ファイナルロック』、パージ───さあ廻れ、『スペースチェーンソー』ッ!!」
───ギュアアアアアアア!!!
真空ですら響く、チェーンソーの耳を突く稼動音。
白銀に輝くガオガイゴーが抜き打ったのはマギウスツール『スペースチェーンソー』。
マギウス・ガオガイガー同様にGストーンとJジュエルの共鳴現象のエネルギーを引き出す事が出来る故の抜擢である。
ファイナルロックを解除したからには止まる事はなく、チェーンソー稼動時特有の引っ張られる感覚に逆らいながら、ガオガイゴーはビッグボルフォッグと共に疑似中性子星へと突撃する。
そしてそれに呼応してか、ガオガイガーを筆頭にジェイダーも含め、他の機動部隊の勇者ロボ達もその後に続く。
その行為に、さすがの大河長官も雷牙博士も驚きを隠せない。
《あのハイパーツールは……スペースチェーンソー?馬鹿な、あれは廃棄されたはず……!》
《それに何をするつもりだ、わざわざ中性子星に全員で突撃するなど……!》
《……大河長官、雷牙博士。見せて差し上げますわ、貴方が育て上げたGGGの───勇気の力、その真価を!勇気ある誓いと共に!!》
《───!?》
カルディナの言葉に圧倒されるのも束の間、絶望への反撃はガオガイゴーのより始まる。
マギウスからガオガイゴーに委ねられた『スペースチェーンソー』は、カルディナのアイディアにより、反中間子と超重力衝撃波を同時に発生させる無茶をさせる事により、『我が一刀に、立てぬもの無し』という理念を成したもの。
それは現実に起こるあらゆる物質、そして現象にすら作用する。
「いっ……けぇぇぇぇえええええっ!!!」
「おおおおおおおーーーーッ!!!」
異常重力から来る強力な引力を利用したガオガイゴーの突貫───
目の前にある中性子星に対し、どんな危険な物質を内包していようとも、宇宙法則の摂理を内包しているモノであれば、反中間子が素粒子や電子結合を破壊し、超重力衝撃波があらゆる干渉を跳ね除け───伸びた光の刃が中性子星や、異常重力地場を真っ二つに切断する。
……そして一瞬訪れる静寂。
この瞬間、中性子星は崩壊した。
「───今です、ジェットワッパー!!」
中性子星崩壊の寸前、ガオガイゴーと共にいたビッグボルフォッグが合体したディビジョンフリート艦に向けジェットワッパーを射出、同時にガオガイゴーの胴体を拘束する。
その瞬間、急な遠心力が働き、ガオガイゴーの軌道が「カクン」と変わり機体が急に上を向いた。
同時に伸びに伸びた絶対切断の光の刃が『覇界神』に迫る───が、惜しくも拳の前方を掠めるだけとなり、同時に耐久限界を超えたジェットワッパーのワイヤーがブツンと切れ、ガオガイゴーとビッグボルフォッグは近くの小惑星に激しく激突する。
「ぐあぁぁッ!!」
「す、すみません、これ以上は……!」
「が、凱兄ちゃん!後は───!!」
「ああ、受け取ったぞ!3人の勇気を!!」
《あれはガオガイガー……凱か!それにジェイダーだと?!》
「行くぜ長官!!」
瞬く間等与えず、次いで来たのはガオガイガー、そしてその腹部に抱きかかえるように密接しているのはジェイダーである。
プラズマウイングを展開し、光速まで高めた殺人的加速度のジェイダーが、同じくスラスター全開のガオガイガーを抱きかかえた状態で流れ星のように崩壊した中性子星へと飛び込んでゆく。
《スペースチェーンソーの軌道による突入経路計算、完了。》
「承知したトモロ。凱ッ!!」
「ああ、頼むぞJ!」
《何をするつもりだ、凱!そんな速度で突っ込んで来るとは……!》
《中性子星は崩壊した、その上何をするつもりだ!》
「黙って見てな、クソ親父!」
《だが、お前が持つツール……それはディバイディング・ドライバーではないか。それでどうするつもりだ?》
「残念だが、コイツは
《恐ろしい点だと!?》
「こいつは、それを逆手にとったようなものだ、行くぞ『マギウスツール』───
ディバイディング、 ブレイカァァアアアアッ!!!
左腕に装備された、響く炸裂音と同時にそのエネルギーを解放する、妄想上のツールではなく、マギウスツールNo.02『ディバイディングブレイカー』。
それはかつてカルディナやその学友達とでディバイディング・ドライバーを開発し、その成功作の真逆の性質により作られた、本来は失敗作であるもの。
ブラックホール並みのエネルギーを内包するディバイディング・ドライバーのエネルギーを瞬間的に発動し、限定的にディバイディングフィールドを展開するが、収束も瞬間的であり、その展開時間の設定には難がある。
また、ディバイディング・ドライバーの使用時の注意点として、30分の展開時間を超えると湾曲空間が収縮し、消滅する。その際に湾曲空間内に残された物質はフィールドのカベルにより圧縮され、最後は空間融合により湾曲空間の
しかしそれ故に作られたこのディバイディング・ブレイカーは、その危険性を逆手にとったハイパーツールなのである。
「距離3…2…今だ、ガオガイガー!」
「いっけぇぇえええッ!!!」
中性子星崩壊後、ストレンジ物質放出まで約1.65秒
湾曲空間の展開時間 0.031秒
展開継続時間 0.02秒
展開直径距離 40.32m
空間収束時間 0.021秒
それが周辺環境に害を出さず、崩壊を始めた中性子星を湾曲空間へと呑み込める時間と規模である。
そしてその時間内で活動をジェイダーのプラズマウイングによる光速移動が可能にしている事により、ガオガイガーは崩壊した中性子星を除去出来るのであった。
また、最初にガオガイゴーが中性子星を切断、崩壊させたのは、ディバイディング・ブレイカーによる超圧縮による恒星逆行促進を防ぐためであり、崩壊後は空間圧縮による影響は一切受けない。
ストレンジ物質がブラックホールでしか回収するように、ディバイディングブレイカーが極小のブラックホールとして崩壊した中性子星を『喰らう』のであった。
《馬鹿な、中性子星を……!》
《消滅させるだと!?だがそれで終わったと──》
《──超重力衝撃波発生器に異常発生!これは……!》
《No!超重力衝撃波発生器の4器ガ破損!その他は消滅してイマース!》
《量子回路にも異常発生!ゴルディオン・ヘルアンドヘヴン、出力維持出来ません!》
《何だと!?もしや、先程のスペースチェーンソーの
間髪入れず、そこに大きな振動が走る。
大質量の物体による衝突がディビジョンフリート艦を襲う。
「──撃龍神、天竜神、全力で押すんだ!!」
「応よ!!」
「みんなを助けるためにッ!!」
《こ、これは───超竜神、撃龍神、天竜神か!》
《3機でディビジョンフリート艦を押しているのか!》
《量子回路異常により、遮るものがありません!『覇界神』から離れていきます!!》
『ディスクB』& SPパックの組み合わせは翔超竜神、撃龍神、天竜神に限界以上の推進力をもたらし、ディビジョンフリート艦を『覇界神』から遠ざけていく。
《……やられた。》
《何という事を!一つ間違えれば自分達が消滅しかねん作戦だぞ、それをどうして──!》
「おい、何をボケてやがるクソ親父!入念なスタッフの準備!ギリギリまで高め、整備した装備!だがそれでもこの作戦の成功率は最初は数%、そんで皆で高めても32%……だからよ!」
「だからみんなの勇気で補うんだ!」
「確かに一人ひとりの力なんて、
「一人ひとりの力が合わされば───!」
「俺達に、出来ない事なんて───ない!!」
「僕達はそうやって不可能を可能にしてきたんだ!」
「地球を救う事も、宇宙を救う事だって……GGGは、ずっとそうしてきた!」
「だから中性子星やブラックホールが相手だろうとも──!」
「私達は、諦めないッ!!」
「ガッツ、アーンド、ブレイブ、だッゼ!!」
《その通りですわ!『数字なんて単なる目安だ、後は勇気で補えばいい。』、そう言ったのは大河長官、貴方です!!》
《ぬぅ!?》
《長官達の……GGGが命を賭して紡いできたものは、GGGに根付いた理念そのもの……それを
『覇界神』より遠ざかるディビジョンフリート艦、クシナダの中よりGGGの叫びを、そしてカルディナの叫びを聞く大河長官達は、自分達の想像を超えた力の結集を体感していた。
あまりの想像を超えた事に驚き……驚き以上に
《ならばこの困難、乗り越えてみせよ、勇者達!!》
《□□□!??》
「ちょ……長官!!」
長官の、ありえぬ言葉に驚愕の意を表す『覇界神』。けれどもマギウス・ガオガイガーが邪魔で、ディビジョンフリート艦に手を出す事は出来ない。故に更なるエネルギーを注ぎ、ヘルアンドヘヴンを強化し、マギウスを排除しようとする。
それを裏付けるように、ジェイクォースのダメージの罅が広がる。気を僅かに緩めれば消滅は必至。
そしてその僅かな隙を逃さんと『覇界神』のヘルアンドヘヴンが、まずはジェイクォースを破壊せんと更に、また更に出力を上げていくが、カルディナは無言で黙ったまま耐える。
だが、『覇界神』から遠ざかるディビジョンフリート艦より、一瞬だけでも正気を取り戻したと思われる言葉に、GGGは歓喜し───皆の心は一つになった。
「ディ、ディビジョンフリート艦三艦、『覇界神』より安全圏への離脱を確認!」
「さあ、全部お膳立てはしてあげたわよ、カルナ!!」
「あとは君だけだ!」
「僕達の勇気……!」
「俺達の勇気を……!」
「Gストーンに乗せて!」
「貴女に渡すから!」
「受け取って、下さい!」
「今一度……!」
「今度こそ私達に──!」
「勝利を!」
「俺達に……!」
「勇気ある、誓いと共に!!」
「進め、カルナッ!!」
《───ッ!!》
……光が、集まる。
一つ一つはちっぽけな光。
一つ一つ違って、点でバラバラな光の集まり。
しかし、それは一つ一つ繋がり、輝きを増し、やがてそれは──光となる。
それもただの光ではない。
様々な者達の思いが込められた光──金色よりも熱く、白銀よりも眩しい、命の輝き。
それは───『太陽』の如く。
遂に拮抗を支えてきたジェイクォースが致命的な罅割れを起こす。
その有様に不気味な笑みを浮かべたような『覇界神』であったが、破壊されたと思われたジェイクォースが割れ、細かく分かれ、両拳に纏わりつき───変形。
ガオガイガーの大きさまでサイズダウンこそしたものの、ジェイクォースが2つ、X字に合わさり、マギウス・ガオガイガーに装着される様を見た瞬間、その不気味な双貌を驚愕の意で表した。
《ジェイクォース解析完了。構成崩壊後の再構成、終了……其の名、『ダブル・ジェイクォース』。共鳴現象、発動確認。いつでも行けます。》
《これが私の勝利の鍵……ダブル・ジェイクォースによる、シルバリオン・ヘルアンドヘヴンよ!!》
白銀の光より更に光量を、マギウス・ガオガイガーはそのエネルギーを大幅に増した。
激しい膨大なエネルギーとプラズマを撒き散らすヘルアンドヘヴン同士の競り合いに、その場にいる全員が注目する。
だが結果は最早明白であった。
《□□、□□□!?》
《……どうしてって感情が丸わかりね、『覇界神』。そんなものは至極単純───みんなが私にGストーンを通し勇気をくれた、Jジュエルの力が後押ししてくれた。それさえあれば私は、負けないッ!!》
『覇界神』の圧倒的な力を押し返している。
推進力も、腕力も、エネルギーも、何もかも。何一つ勝るはずのないであろう存在を押しているのだ。
《□□□、□□□□□□□□□□!!》
《ごちゃごちゃ煩い……お前が完全に勝利出来る力を持とうが、宇宙規模の圧倒的な出力差を見せつけようが、GストーンとJジュエルを持つ者が最後に勝つ絶対的理由、それは───私達の持つ勇気が、お前より遥かに強い、ただそれだけだ!!》
《□□□□□!?!?》
「絶望に満ちた、迫りくる破滅の
《───!?》
「いつだって最後に勝つのは────勇気ある者だぁぁぁぁああああああッ!!!」
マギウス・ガオガイガーのシルバリオン・ヘルアンドヘヴンが拳を割り、腕を砕き、胴体を貫き、光に還す。
あるであろう中核すら砕き、シルバリオン・ヘルアンドヘヴンは超重力衝撃波と破壊の力を力の限り放出して『覇界神』を討ったのである。
そして素粒子崩壊まで導かれた『覇界神』は……
オ マ エ ハ ダ レ ダ オ マ エ ハ ダ レ ダ オ マ エ ハ ダ レ ダ オ マ エ ハ ダ レ ダ オ マ エ ハ ダ レ ダ オ マ エ ハ ダ レ ダ オ マ エ ハ ダ レ ダ オ マ エ ハ ダ レ ダ レ ダ レ ダ レ ダ レ ダ レ ダ
《……まったく、声を封じておいて、よく言います。》
「……いいわ。我が名を刻みなさい。私の名は、カルディナ・ヴァン・アースガルズ。
か る でぃ な …… レ ヴォ リュ ダァァァアアアア!!!
最後の力を以て、カルディナへとその思念を煙をまとわすようにぶつけてきた。
煙のような呪詛を振り撒き、シルバリオン・ヘルアンドヘヴン後のエネルギーダウンで動けなくなったマギウス・ガオガイガーを呪うように包みこもうとする。
そして直感する、これは取り込まれたら
「くぅっ!」
《こちらは消耗して動けないというのに───》
「───伏せろ、カルナッ!!」
「───!!」
「『覇界神』よ、光になれぇぇぇえええッ!!!」
ジェイダーと共に急襲し、ゴルディオン・ダブルハンマーを横凪ぎに振るい、呪いを光に還すガオガイガー。
ゴルディオン・ダブルハンマーに触れた呪詛は祓われるように霧散する。
黄金の破壊神のもたらす破壊の光は、呪詛すらも光に還すのだ。
カ ル ディ ナ い つ か ま み え ん……
最後の抵抗をガオガイガーに阻まれ、『覇界神』は光になった。
金色の光に浄化されるように、素粒子すら残らず消滅してゆく………
「……勝った、のか?」
「はい、勝ちました。ありがとうございます、凱様!」
「何かマズイと思ったからな、役に立てて何より……この声はカルナ、なのか?」
「はい、私の声です。ようやく戦いは終わりましたわ。」
「や、やったぁぁーー!!」
勝利に湧くGGG。
『覇界王』キングジェイダーの襲来から『覇界神』という未知の存在という敵を打ち破り、怒涛の連戦を勝ち抜いたのだ。
その喜びは計り知れない。
「ありがとうカルナ……いや、カルディナ、と言ったんだな。君のお陰で勝利する事が出来た、ありがとう。」
「いえ、皆様のお力になれて、私も嬉しく思います。」
「いや、君がいなければキングジェイダーはともかく、あの『覇界神』という奴とはどうなっていたか……」
「私からも礼を言う。お前がいてくれたおかげで、犠牲を生まずに済んだ。」
「助かったよ、カルディナ。」
「J様、ルネ様……そうですわね、あれは私も想定の外でした。私の持つ対抗手段が通用してホッとしています。」
「確かにな。」
「とはいえ、まだ大河長官や命様達、旧GGG隊員の浄解がまだですわ。お力添えを。」
「もちろんだ。」
その後、カルディナはディビジョンフリート艦3艦をマギウスフェザーの結界で包み、護と幾巳、凱に協力を仰ぐ。
そんなカルディナにアルエットは声をかけた。
「カルナ……貴女、大丈夫なの?」
「………まだ、平気ですわよ。」
「まだ………」
「それよりも準備出来ました、皆様の浄解の力を……!」
「うん!」
「わかった。」
「よし、やるぞ!」
「「──クーラティオ!」」
「──テンペルム!」
「──サンクトゥス!」
4人三種の浄解の言葉が重なり合い、ディビジョンフリート艦を包む。
膨大でありながら、眩い力が結界内を満たし、
《
「よし!」
「これで、長官達も帰って来れたんだ。」
「ああ。長かったが、ようやくJやトモロ、ルネさんもみんな帰って来れた……」
「キングジェイダーもそうだったけど、あの『覇界神』って奴が来た時にはどうなるかと思ったぜ。」
「ああ。あいつは完全に俺達の手に余る強敵だった。」
「これもカルナさん──ううん、カルディナさんのお陰ですね。」
「……そうだな。ありがとう、カルディナ。君のお陰で誰も死なせずに…………………………
…………………カル、ディナ??」
お礼を述べるために、後方にいたマギウス・ガオガイガーへと視線を向けた凱。
だが、凱の目に映ったのは光の粒子となって宇宙の闇へと熔けゆくマギウスの姿であった。
また、マイクの持つ『ガオガオーンVV』や、スペースチェーンソー、ディバイディングブレイカーも同様に光に熔けるように消滅し始めていた。
「これは……カルディナ、いったい何が──!」
「……分子崩壊、です。」
「何てこった……」
「……分子崩壊って、どういう事、アルエット!」
「俺達以上の何千、何万倍の人知を超えたエネルギーをあれだけ発したんだ……普通なら機体もパイロットも蒸発しても不思議じゃねぇ。」
「本来はいつ機体の限界が来てもおかしくはなかった……限界を超え、分子結合が崩壊するまで稼動した物体が結合力を失い……崩壊しているのだ。」
「じゃ、じゃあカルナは………」
「……パイロットにすら多大なダメージがあるだろう……もう、我々には助けられん。」
「そんな───!?」
「嘘付き!!大丈夫だって………大丈夫だって、言ったじゃない」
アルエットは涙ながらに訴える。だが、アルエットは判っていた。カルディナがこうなると予想していた事を。
そしてカルディナもこの結末を判っていたのだ。
シルバリオン・モードではない、ゆっくりと熔けゆくように分子崩壊するその光景は『限界』を超えてしまったが故の
アルエットはうずくまって涙するしか出来なかった。
ここまで消耗させるまで頼るしかなかった自分達の不甲斐なさと、どこか憎めない、このお人好しが消滅してしまう事実に。
「……ありがとうございます、私のために泣いて下さるのですね。」
「すまない……俺達が、弱いばかりに。」
「いいえ。私も皆様から勇気を受け取った事で、ここまで戦う事が出来たのです。確かに一人ひとりの力はどう足掻いても弱い。ですがそれを束ねる事で無限を超えた、絶対勝利の力を発揮する───私が皆様から学んだ事です。」
「僕達から………??」
「君はいったい、何者なんだ?どうして僕達にそこまで……」
「……私は、本来なら皆様とは関わらない者。それが何の因果かこうしてここにいます。それだけでも幸せですわ。」
「だからって、命を粗末にする理由にはならないわ!!」
「大丈夫です、ただ
「在るべき場所……」
「帰る………本当、なのか?」
「はい。なので私がこの場から消える事に涙は不要です。それに、このお別れにはこの言葉で送って下さると嬉しいですわ。皆様………」
「勇気と、共に……ああ、そうだな───」
「ありがとうございます……お兄様」
……こうして、マギウス・ガオガイガーは光に熔け、消えた。
後に残された者達は、敬意と感謝をする者、涙する者、教訓として次の戦いに備える者と、様々であった。
だが、失われただけではない。
この戦いで得られたデータが後の『ファイナル・ガオガイガー』の強化に繋がる足がかりとなった───
「───ああ……とんだ失態ですわ。」
《どうしました、お嬢様。》
そしてシミュレーションのミッションをクリアしたカルディナが筐体で自己嫌悪しながらうずくまる。
「せっかくのシルバリオンモードでしたのに、機体の強度不足で分子崩壊……何と情けない。」
《それもお嬢様が馬鹿力過ぎて機体が持たなかったのが原因です。なまじ『マギウス・ザ・パワー』などという力を過信し過ぎていたのでは?》
「身の内を巣くう
《分子崩壊した理由が、Zマスター戦でキングジェイダーが体内で『ザ・パワー』を開放したシチュエーションと類似している、というところが何とも言い難いところですね。》
「……とりあえずそれは反省材料の一つとしましょう。それよりも───『管理者』!!いるのでしょう、出てきなさい!!」
パチパチパチ……と何処からか音が響く。
そして目の前に青白く輝く人型───『管理者』が現れる。
『うむ、よくクリア出来たな。見ているこちらもひやひやしたが、大したもの───』
「───それより、答えなさい。」
「……何をだ?」
「とぼけないで!あの『覇界神』って奴よ!オレンジサイトに住まう
『…………』
「元のオレンジサイトの原初物質が汚染されていた形跡もある……そんなものがオレンジサイトの中核を名乗る、ですって?!オレンジサイトは原初宇宙誕生の卵のはず……いったいあれは何!?」
「………」
カルディナの問いに沈黙する『管理者』。
当初言っていた『暇潰し』というレベルではない今回の件。
カルディナが睨み付ける中、長く沈黙していた『管理者』が言葉を紡ぎ始める。
『……すまない。今回の件全てが完全にイレギュラーだった……とは言えないが、演算した未来予想の世界に『奴』が介入してきたのは完全なイレギュラーだ。』
「未来予想の世界……」
『ああ。仮想と言っても実体がないだけで、一つの創造された世界だ。その創造には『アカシックレコード』と『オレンジサイト』のデータが必要で、その2つは非常に密接した存在だ。切れぬ縁があると言ってもいい。『奴』はそこを突いてやって来た。ここまでの事態は初めてだが、『奴』にはどうしてもあの仮想世界に介入したかったようだ。』
《その理由は?》
『わからん。最近我々もその存在に悩まされてな……その正体は不明だ。だが確実にわかっている事がある。』
「……何ですか?」
『それは………確実な『敵意』を持っている、という事。奴は知的生命体を確実に滅ぼす意向を持っている。有能な者は手駒にしつつ、な。知的生命体の保全を願い、動く我々とは違い、『奴』は明らかに滅びを願う者だ。それがオレンジサイトに巣くうなど……!』
『管理者』の独白には、怒りが込められている。
それはカルディナやV.C.が息を呑む程。
『つまり我々の、知的生命体の敵だ。』
それは『管理者』の宣戦布告でもあった。
『そしてカルディナ、V.C.。お前には『奴』の討伐に協力して貰うぞ。』
「 え 」
《 え 》
そして巻き込まれた。
《NEXT》
『ふむ………ならばかねてより計画していた『アレ』を発動せん!』
「なにする気!?」
《……何かロクでもない気がします。》
どうやら『管理者』がアップを始めたようです。