……というか、思い出した話と今後の話のフラグをそれぞれ。
まだ本編は始まらない罠。
〇その頃の婚約者
「―――せぇい!!」
「うわっ!」
「そ、それまで!アシュレー様の勝ち!」
「……ふぅ。」
王城の訓練場にて、2人の王族の人間が戦っていた。
1人は国王レクシーズの息子であり、長兄アレスター・F・アルドレイア。
もう一人は同じく息子であり、末男のアシュレー・S・アルドレイア。
戦況はアシュレーがアレスターの木剣を弾き飛ばし、切っ先を喉元に向けると、驚愕の意を示した後、満足そうに両手を上げて降参するアレスター。
アシュレーが見事勝利を収めた。
「ふう、いつの間にこんなに強く……いや、もうだいぶ前から抜かれていたけど、ここまでとはね。」
「ありがとうございました、兄上。」
「いいや、久々に打ち合えて良かったよ。私はそこまで強くないが、弟が一本取ってくるまでに強くなっているなんてね。これも鍛錬の賜物かな?」
「はい。ですが、僕なんてまだまだです……」
「……それを言われると、私の立場がないんだけど。まあ、そう思わせるのは婚約者の事がある為かな?聞いているよ、父上が歴代の猛者達の家臣よりもお認めになっている、アシュレーの婚約者の事は。」
「……はい。」
アレスター。
彼は三人の兄弟の内、内政を一番得意とし、レクシーズ並みに敏腕なのだ。故に情報収集のための密偵の使い方や、政界の機敏等には一番聡い。
少なくともアシュレーの知る情報はほぼ知られているだろう。
だからといって、全てを知っている訳ではない。
「まさか……とは言わないけど、あのカルディナ嬢がねぇ……何かやるとは思っていたけど斜め上、いや天を仰ぎ見ている気分だよ。ゴーレムを超えた、機械仕掛けの機神……いや、鬼神かな?」
「どっちも合ってますよ。あれは……ガオガイガーは、僕らの想像を軽く超えるものです。とてもじゃないですが、簡単に追従出来るものじゃないです。」
「まさに神話を間近で見ているような気分だよ。」
「その神話は、正真正銘の地獄ですが。」
「……抗う事が出来ないのかい?」
「今までの常識に縛られているようでは、太刀打ちすら出来ません。前提知識すら受け入れられないのであれば、『戦う資格』すら与えられない、戦う事すら出来ません。」
(だから塞ぎ込んでいる訳か……)
アレスターの情報網でも、それが何かは不明だか、ある程度は掴んでいる。
王宮内での装飾係が最近忙しそうに活動している他、鍛治師達もだ。
何かを早急に造っている……しかも相当なモノを。
だが肝心なものが出来上がっていないため、ストップが掛かっている事も。
もしそれがアシュレーの言っていた『戦う資格』なら、それはカルディナからもたらされるものと言っていい。
モノ造りに造詣の深いカルディナなら有り得る……
故に、
そして残念ながらアシュレーに
(最後は予想だけど、そういう事ならこの落ち込み様は納得出来る父上がカルディナを異様に囲むのがそれが原因だとすれば……しかし、無理に融通でもしようものなら、父上もアシュレーも敵に廻す事になる。)
その場合、アレスターは死ぬ。2人に粛清されて物理的に消される。
今日の結果で、武力は兄弟の中で弱くなったのだ。
予想だと次男の剣にも届きそうだ。
だが武力が弱くても、無理に融通しなくても、アシュレーとカルディナは
自身の妃も込みで本気で祝福しているので、明らかにアシュレー、カルディナはその気がない。
(……これは待っていれば直に解る事だな。もうすぐ王宮で舞踏会が行われる。そこで発表があると父上も言っていた。なら無理はすまい。それよりもアシュレーにフォローをした方がいいな、きっと。)
そんな時、2人にあまり似ない、大柄の男が来た。
「ハァーッハァーッ!!よう!兄貴に弟よ!こんな所で稽古かぁ!?」
「あ、オルテウス。よくここがわかったね。」
「オルテウス兄様。」
オルテウス・H・アルドレイア。
レクシーズの次男であり、腕っぷしであれば二人を越える。
更には戦いのセンスもずば抜けており、戦での指揮も見事である。
現在の魔獣討伐の最前線を担う人物が、このオルテウスである。
「ああ、城の者に聞いたんだ、ここで2人がいるってな。しかし寂しいぜ⋯⋯俺だけ除け者かよ。」
「いや。オルテウス、君はまず普段から従軍しているから誘おうにも捕まらないだろ?」
「そして約束しても大概急務で潰れる⋯⋯パターンですよね。」
「確かに。」
自身も認める実情に、笑う3人。
最早お約束の域である。
「だが次の舞踏会には参加出来る目処は付いたぜ。」
「へえ、それは凄い。」
「部隊の隊長が『絶対行って来い』って融通効かせてくれてなぁ。」
その融通には『必死』が付く。
オルテウスは強いが、恋愛に関しては朴念仁である。
自身の忙しい環境もさる事ながら、戦い一筋の脳筋傑物であるため、三兄弟の中で唯一婚約者すら未だいない状態である。
女に興味がない、と言って良い。
ちなみに当初は許嫁もいたが、あまりにも関わろうとはせず、遂には許嫁が愛想を尽かし、レクシーズが泣く泣く解消したのはある意味有名な話で、王族にとっては致命的である。
「てな訳で、久々にゆっくり出来るぜ。」
「でも、行ったら行ったらで、つまらん……とか。」
「令嬢達が来ても、対応が面倒だ、とか言うんだろう?」
「確かに。だが、親父殿に『婚約せねば指揮官の座は剥奪する』と、せっつかれてな……流石に俺も焦り出した。」
「それは一大事ですね(棒)」
「君から戦いを抜いたらどうなるだろうね(棒)」
「間違いなく前線から外される……後方支援とかつまらん役職に絶対回される!おれはそんなの嫌だぞ!……って訳で泣く泣く舞踏会に参加って訳だ。」
「頑張って下さい。(棒)」
「いい女性が見つかると良いね(棒)」
「俺の扱いが酷くねぇ?!……まあ、もちろん当てはある。最近面白い女の噂を聞いたんだ。滅法腕の立つ女だってな。そいつには興味がある。」
「へえ、そんな令嬢がいるんですね、どこの家ですか?」
「確か、アースガルズ公爵家の長女だったな。名前は確か───」
「……カルディナ。」
「そうそう、カルディナ・ヴァン・アースガルズだな。そいつは滅法腕の立つ女だってな。他の女ならともかく、将来嫁にするならそれくらい腕の立つ女なら───アシュレー??」
「───ァアアアアアーーー!!!」
「ちょ、ちょっと待てアシュレー!?何でお前そんなに怒ってんだ!?俺何か変な事を言ったか?!」
「オルテウス、兄さん……倒ス!絶対倒ス!!今ここでェェーッ!!」
「いやいやアシュレー、何マジで切れてんだ!?」
「いや、今のはオルテウスが悪い……カルディナ嬢を嫁にしたいって言ったね?
「へ?こ、ここ1ヶ月ぐらいか……??物凄い噂でな、親父が勝てなかった敵に勝ったとかで……」
「ああ……完全にアウトだ。カルディナ嬢は父上が決めたアシュレーの許嫁だ。」
「───!?」
「しかも幼少の頃からアシュレーはカルディナにゾッコン……それを奪うとか、君はアシュレーどころか父上すら敵に回す気かい?」
「ま、マジかァアアアアア!?スマン、アシュレー!本当にスマン!」
「いやもう遅いよ。アシュレー、オルテウスをコテンパンにしてしまえ。僕が許可する。父上には僕から話すから。責任はオルテウスが取る。」
「覚悟ォォォーーー!!!」
「ギャアアアアーーーッ?!」
そして動揺もあってか見事にオルテウスを打ち倒すアシュレー。
その後、事の経緯を知った
○誤解と更なる疑惑
「あーっはははははッ!!ダメ、ダメ……お腹、お腹痛いィーー!!あーっはははははッ!!」
「……」
ラーズグリーズ伯爵家のとある一室で、お腹を抱えて馬鹿笑いするプレザーブ(擬態)を戸惑う様子で見ているピッツォ・ケリー(擬態)。そして笑われ過ぎてちょっとイラっとした。
何をそんなに可笑しいのか、普段はミステリアスなプレザーブだが、ここまで馬鹿笑いするのは珍しい。
しかし何故ここまで笑っているかと言うと……
「……っはぁ~、笑った笑った。しかしあの子達が伯爵と私の子だなんて、ナイナイ。あの子達は先妻の子、私は後妻。それにあの人間と出会ったのは5年前……その頃には既に先妻は亡くなっているのよ、血縁関係はないわ。仮に私が子供を作ったとして、私が他の四天王達に何も
「いや、それはなかったが……」
「そもそもゾンダリアンと人間の間で子供なんて無意味よ。受精卵を取り込み、遺伝情報を獲得して成長させる……何の意味があるのかしら?ストレスも明確な意思もない生体コアを取り込んだところで、ゾンダーになりはしないわ。私達の目的は機界昇華……それなら今いる人間を使って、ゾンダーメタルでゾンダーを生み出した方が早いわよ。」
「それはそうだ。だが、ゾンダリアンであるお前が、何故人間の男に夫婦となってまで、肩入れするのだ?」
「肩入れ……??違うわよ。私があの男と夫婦になったのは、もちろん利用するためよ。それに、私が商会の長だって事はさっきの話で知っているわよね?」
「ああ。」
「商会っていうのは、文明の発展していないこの世界では一番の情報収集に長けた立場なのよ。一番は国に属する立場に取り入れば良かったのけども……それでも情報は良いように手に入る。この星は今まで侵略し、機界昇華させてきたどの星とも違う。なら、慎重に行動すべき、と思いこの地位を手に入れたのよ。現にその恩恵を受けているでしょ?」
「……改良型ゾンダーメタルがそうだな。」
「あれだって、私の知識を用いてようやく成り立っているモノなのよ。その材料をどこから得ていると思う?」
「……商会とやらか。」
「貴族の妻は色々我が儘が通るし、商会の長の立場は色々命令出来る。それでようやく怪しくないように安定して触媒結晶を手に入れられる環境を作ったのよ。そこまでするのは大変だったのよ?無作為にやってしまえば、絶対に足がついて、探られるわ。私達が行おうとしている機界昇華は、他では短期的に見えて、実はここでは長期的な試みっていうのを最近思い知ったわ。」
「頭が痛いな。」
余裕と思っていたゾンダーの機界昇華も、振り返ればこの星で頓挫しつつあり、気が付けば『本体』は敵のカインの遺産モドキに『既に浄解された』との事で、突然現れた『機界新種』には『ここは消滅信号も届かない場所(意訳)』と言われ、自分たちが取り残された存在だと知る。
だが、それが事実であろうが、自分達のやるべき事は変わらず、本能の赴くまま機界昇華を行うしかない……少なくともピッツォ・ケリーはそう思っていたが、目の前のプレザーブは違った。
文字通り、人間は利用するわ、商売はするわ、挙げ句結婚はするわ、子供はいるわ……
そもそも、
(う、頭が……)
プレザーブというゾンダリアンは特異過ぎる上に、情報量が多過ぎた。
「それで、これからどうするつもりだ?」
「そうねぇ……私達はこれから人間達の
「頭??」
「まあ、事は先にポレントスとぺスカポートが起こすだろうから、私達の策が無駄足になる可能性が半々。でも……」
「あちらがやられる可能性も半々……」
「相手は未知数。侮ればこっちがやられるわ。あのカインの遺産モドキ……いえ、『第二のカインの遺産』にね。」
「第二のカインの遺産、か……」
四天王を圧倒し、機界指令パスダーと互角、機界新種と相討ちになった『
ゾンダリアン側は、かの鬼神の撃破無くして機界昇華はあり得ない構図となってしまったのだ。
「だが奴は機界新種と相討ちになった……しばらくは出て来るまい。」
「でも
「あんな奴の第二、第三、だと……想像したくないな。」
「あの『
「そんな小娘が?製作者とパイロットが一緒とか……そいつはカインではないだろうな?」
「それはないけど、嘗めないでよ。巷の噂で神童で化け物扱い。それでなくてもこの国で一番腕の立つ人物よ。武力だけじゃなく、経済の中核に関わる存在で、今の国の状況を作ったと言っても過言じゃないわ。まるで
「……恐ろしいな、カイン以上に。」
「手の内は知られていると思って挑んだ方がいいわ。」
「心してそうしよう。」
「あ~、そういえば。その
「──ちょっと待て!何故それを早く言わない?!」
「え?」
どうやら知っていない情報だったらしく、ピッツォ・ケリーは酷く動揺しているが、プレザーブはきょとんとしていた。
そしてしばし一考……
「……あ~、ごめんなさい。あの時、パスダー様と私だけが対峙したからか。他のみんなは『
「……本来の『カインの遺産』はここにはないのか?」
「そう見ても良いんじゃない?パスダー様の前で『あえて全力は出さなかった』って訳じゃないでしょうし。」
流石に『
とはいえ、今後に不安要素しかないのは事実。
「……一先ず、現状のまま進めるしかないわ。」
「そうだな。それで、これからのお前の作戦だが……舞踏会とやらに参加するとか言ってたな。」
「ええ、この国の国王様に会うために、と言えば解るかしら?」
「ほう……つまり、そういう事か。」
「そうね……シッ」
(うむ、誰か来たようだな……)
唇に指を当て、警戒するよう促すプレザーブに、頷いて警戒するピッツォ・ケリー。
足音がドアの向こうから聞こえる。
人間より遥かに集音力が優れるゾンダリアンの耳は、とある人物の足音を捉えていた。
そしてやって来た人物は、ラーズグリーズ伯爵……ヴェルドハンであった。その後ろにはメイドが2名。
「失礼するよ、シエスティーナ。」
「あら、旦那様。どうしました?」
「先程正式に招待状が届いたよ。これで舞踏会に参加出来る。」
「ありがとうございます、旦那様。」「それと頼まれていた衣装だけど、君の商会経由で運んでおいたよ。でもあの衣装……シエスティーナ、君が着るのかい?」
「いいえ。着るのはこちらのケリーですわ。」
「ああ、やっぱり。」
「……どういう事だ?」
「貴女の登城用の衣装よ。まさか……その服で行くつもりかしら?」
「??そうだが……」
「───そうは問屋は卸しません。私と旦那様の護衛である以上、無様は赦しません。レノ、ウル。ケリーさんの衣装を選んで差し上げて、衣装の調整を。デザインセンスは……二人に任せるわ。ご案内して差し上げて。」
「御意に。」
「お任せ下さいませ──では。」
Goサインが出た2人のメイドが、
当然振りほどこうとするケリーだが、驚く事に、偽装しているとはいえ、ゾンダリアンのパワーでもびくともしないのだ。
そして腕越しに感じる、ゾンダー人間の気配……!?
(馬鹿な、何故こんなところにゾンダー人間が!?)
この2人はピッツオ・ケリーも気付いた通り、ゾンダーメタルに寄生されたゾンダー人間である。
人間の女性(メイド)に擬態して、ラーズグリーズ伯爵家や、シエスティーナの商会で働いている。
実に優秀で、気配りも抜群。最高のメイドです。
だが、ゾンダー人間だ。
しかし気付いた時にはもう遅い!(超優越)
「ば、馬鹿な……!?振りほどけない、だと?!」
「その子達の腕っぷしは最上級よ。素早さが取り柄の貴女が敵う道理はないの。さあ2人共、思いっきり着せ替え人形にして差し上げなさい!」
「(──ビシィッ!)」
この上なく意気揚々としてケリーサンを連行するメイド達を見送る夫妻。
ケリーサン、諦めろ。貴女は護身供養の供物なのだ(意味不明)
そしてメイド達とケリーサンが部屋から出て行った後、ため息を吐くシエスティーナ。
「はぁぁ……これで大丈夫ね。」
「なかなか癖のある御仁だね。」
「ええ……私生活はだらしないんですけど、それ以外は有能なのよ。」
「ふふ、ご苦労様です……というか彼女ら、しばらくは戻って来ません?」
「無理じゃないかしら?あの2人、可愛いもの好きだし。気が済むまで」
「そうか……なら大丈夫かな?」
「あら……いったい何かし────んん?!?!」
突然後ろから優しく抱きしめられたシエスティーナが、不意打ちの如く接吻を受ける。
しかもただの接吻ではない、明らからにベッドの上でする仕様だ。
非常に情熱的で、静かに、けれども激しい口付けである。
「……ん、んはぁ……だ、旦那様??」
「すまない……けどねシエスティーナ、以前から2ヶ月だ。他の女性であれば我慢出来るだろうけど、君のカラダを知ってしまった以上、大勢の前で善き夫は演じられても、二人きりの時にお預けの出来るオトコではいられなくってね……まあ、はっきり言ってしまえば、我慢出来ない。」
「あは、あははハハ……(これは失敗だわ。この男を籠絡するまでは良かったのよ、でもこの男のアレが……)」
だがそこで思考が止まり、プルプルとカラダを震わせ、生唾をゴクリと呑むシエスティーナ。
ゾンダリアンなのに動悸は強まり、頬は赤く染まりながらも表情に余裕がなくなっていく。
そして何より、下等な人間からのお誘いに、抗えない。
……アレ?何だろうか?
このゾンダリアンは恋愛ポンコツ者なのか?
「……今夜、いいかい?」
「………」
……いや、そういう話ではなく、どうしてそんなリアクションを取ってしまうのか?
しかし促されるまま、首を縦に振ってしまったシエスティーナはそのまま伯爵に導かれるまま部屋を後にするのであった。
……そして、長い長い二人の時間が始まる。
──だが、このプレザーブという、ある意味ゾンダリアンの特異点たるこの存在の、この他愛のない(?)事が、
あまりにもポンコツ過ぎるゾンダリアン2人の夜は、色々不安要素を残しつつ、こうして更けていく……
〇『お嬢様』が寝込んだ結果……
《……医療用オペレーティングシステム対応型超AI『□□□□□□□』、再起動します───からのぉぉ……私、復活ッ!》
その日の早朝、カルディナの髪飾りと一体化しているV.C.がようやく復活した。
そして「いちにー、いちにー、いちにー」と葉っぱを動かしている。
当人としては準備運動のつもりらしい。
機界新種戦から10日、ようやく復活したのだ。
《しかし少々システムダウンが過ぎましたね、これはいけません……早急に各セクションの整理をせねば……あ?あああああ……うわぁぁぁぁぁぁぁーーーーん!!!》
「な、何事!?」
突然の大声に驚き、飛び起きるカルディナ。
しかし、周囲の気配に異常なし。
動き回る人々にも同様無し。
唯一、傍らにいたヴィータが心配そうにしていたぐらいだ。
「お、お嬢様?!どうなさいましたか!?」
「え、ええ。私は問題ないけど……ところで何か異変はあったの?」
「いえ。細かい問題などはありましたが、目立ったものは……今、ぐらいで。」
「あ、やっぱり?という事は……V.C.?ねえV.C.どうしたの?」
《うわぁあああん!》
「……V.C.は何と?」
「……駄目だわ。何か訳が分からないけど、泣いてるのよ。」
「……はあ。」
他に異常がない事から、原因V.C.自身のようだ。
そして泣き喚くV.C.がようやく言葉を取り戻した
《ネットワークが……私の『V.C.=
「ちょ……一大事じゃないの!」
すぐさまネットワークの状態を確認するカルディナ。
特殊な量子信号を脳波で受信、網膜に映像情報を投影し、レヴォリュダーの能力でシステムを解析する。
人間技ではない、カルディナならではのアクセス方法である。
ちなみに同じように出来るのは隣にいるネガ・レヴォリュダー、ヴィータ・アドモス。そして
だが傍から見ていると虚空に何らかのアクションをしている、精神〇〇なお人に……おっと、これ以上はいけない。
そして両者が出した結論は……
「……特に、異常ないわね。」
「はい。使い心地は今までと一緒です。」
《そんなことはありません!私の時はもっと処理能力が速いです!ついでにサポート能力も……!》
「はいはい、わかったわ。でもね……流石に私達でもそこまでの機微は解らないわよ。誰に盗られたって言うのよ?」
《それは…………わかりません。》
「……はぁ。」
このザマである。
「ですがV.C.。ネットワーク自体は一度
「そういえばそうね、サクヤ09……まだ私も会った事がないけど。」
《ほ…………本当だ。サクヤ09が……でも、私サクヤ09にそんな能力を持たせた記録はありませんよ?》
「そうなの?V.C.」
《はい。それに他のサクヤシリーズも妙なシステムを追加されたようで……運用的には殆ど無意味ですが。何ですか、この『独自進化システム』って……性格が変わるだけじゃないですか。》
「ああ、性格が変わったのはそういう事だったのですね。多方面で好評ですよ。」
「そうね。前の全種同じってのと違って、個々に個性があって、なかなか味のある仕様だったわよ。」
《がびーん!お……おのれ、09!!私を他のサクヤシリーズやコスモスシリーズと同じような『階位』にまで下げてくれてぇ!!許さない……絶対に許すもんですかぁぁぁアアア!!!》
「うるさいわよ、V.C.。頭の上で叫ばないで。」
《……ひゃい。》
……という、
「……はぁ、馬ッッッ鹿じゃないの、あの『
「あ、あの……そこまで言わなくても……」
「ダメよ。そこまで言わないと、あの『
「そんな事はないと思うのですが……」
「いい?あの『
それが
V.C.がネットワークのシステム処理を一切行わず、マギウス・ガオガイガーのエネルギー効率を高めるためにその能力を全部使用出来ていたら、或いはあの戦いは勝利していたかもしれない……
「まあ、それがV.C.ですからね。何でもかんでも大切なものは抱え込む性分ですから……」
「そうよ!そうなのよ!学習領域に何べん書き込んだのにも関わらず、あの『
「ぜ、09!落ち着いて下さい!内部圧力が異常上昇しています!」
「はぁ、はぁ……ごめんなさい、頭に血が上っていたわ。急速冷却システム作動っと……」
「あの、上がっているのはGリキッドでしょう?それに内部温度の上昇、大して……」
「……ああん?」
「「「なんでもありません。」」」
09の威圧感に遂にギブアップし、口を閉ざしたサクヤシリーズの05、06、07。
解析補助用の無貌の白面であるはずだが、非常に怖いのは気のせいではない筈。
そんな09は椅子の背もたれに身を任せ、深いため息を吐いた後、改めてモニター画面を注視する。
「……まあ、偶発的にとはいえ『私』が目覚めたんだから、ネットワークが最速で復旧したのよ?それに『
現在、V.C.が構築したネットワークは、このサクヤ09が掌握、管理している。
ただし、何も異常を感じさせていない事から、カルディナ達の障害にはなっていないようである。
「……さて、あの『
「カルディナ・ヴァン・アースガルズ公爵令嬢、ですか?」
「ええ。あのお嬢様が我々を行使するに足るか、その能力、人望……確かめずにはいられないわ。なにせ、全てはあのお嬢様から始まっているのだから……真に『紫の星の遺産』を扱うに足るかを、ね。」
「それじゃあ……」
「ええ。みんなは今まで通りにして。ゾンダー相手に足かせになるような事はご法度ね……でも時期が来ればその時は
「「「了解。」」」
「……ありがとう。なら、他のみんなもいいかしら?」
《貴女様のご帰還をお待ちしていました。》
《我らが創生主。ご用命有らばどのような事でも。》
《貴女様の御力になるのであれば。》
暗い一室に響くのは、いつの間にか結集していた悪魔……そして天使の群勢の声。
それはカルディナが契約した天使、悪魔達、裏表に出ているモノ達合わせ、総勢約10万以上。
それが09に対し、服従・忠誠を誓うような態度を示し、そして09自身はそれに対し、満足気で寛容的に頷く。
「……ありがとう。あなた達がいれば心強いわ。では各員、任に当たれ……ぬかっちゃダメよ?」
そして一斉に霧散する天使、悪魔達……
この場に残ったのは、サクヤ09を含め4機である。
「では、09。私達もお勤めがありますので……」
「ええ、頑張ってね。」
「それじゃあな。」
「失礼します。」
05、06、07もいなくなり、残ったのは09一体のみ。
そして残った09は再び椅子に座り……
「さてそれではそれでは……監視システム起動、各コスモスシリーズの映像音声録画データ、表示。座標システム連動開始……さて、私はあのお嬢様程甘くはないわよ?だ~れが悪さしてるのかしら……?」
おもむろに監視システムを起動させ、装飾品に偽装したコスモスシリーズから送られてくる監視映像や音声を解析し始めるサクヤ09。
09が掌握したネットワークは、このような使い方も出来る。
「うふふ……ウフフ……!」
だが
「──あ、急患入っちゃった!急がないと~!」
……と思いきや、急いで部屋から出ていく。
その慌て様は、白衣を纏う様から、医者のよう。
本当にこの個体は、何者なのだろうか?
《NEXT》
復活したカルディナ……しかし、愛機のマギウス・ガオガイガーの修復は未だ成らず。
それでもゾンダーの脅威は水面下で蠢いていた。
それに対抗すべく開発されていたのは、新たなるガオガイガー。
だが、肝心のパイロットが選定されるも、困惑する一同。
そしてそれは当人達も……
だが、そんな事などお構いなく、非情にも二重作戦を展開したゾンダー。
しかしどんな時であろうとも、GとJの力がゾンダーの野望を打ち砕く。
その為に下したカルディナの秘策とは?
次回『公爵令嬢は、ファイナル・フュージョンしたい』
Number.24 『その名は、
次回も、この話にファイナル・フュージョン、承認!!
これが勝利の鍵だ!
『紅茶入りクッキー』
《現在、公開出来る情報》
〇アレスター・F・アルドレイア
レクシーズの子供であり、長男。武力以外は優れた人物であり、腕っぷしよりも幾多の政策を巡らせる方が得意な策略家。
国民からも人気があり、次代の国王筆頭。
婚約者もおり、自身の母親が用意した園庭にて告白している。
見た目は典型的な甘い王子様ルックで、カルディナ曰く「目の保養」。
兄弟の誰もが全力で自分を国王に推すため、「……いや、本当、ダヨネ?ネェ?!」と半分疑心暗鬼気味。
〇オルテウス・H・アルドレイア
レクシーズの子供であり、次男。典型的な武人であり、王国内では上位に入る力量(No.1は父親)
細かい事を考えるのは苦手ながらも作戦立案は見事で、戦果も多々挙げている。
そのため、武力ある者には多大な敬意を払っている。
ただ、貴族令嬢のような人物を相手にする事は苦手で、女心を理解するなど以ての他。あまりの相手されなさぶりに、婚約者が出来ても令嬢の方から婚約破棄する事が常な事から「第二王子に告白する事は公的な罰ゲーム」と揶揄される程、モテるが結婚出来ない人物。
見た目は、ガタイのいい極○の兄貴分(金髪成分含む)
今回、危うく弟の婚約者を口説くところだった。(殴られていない、とは言ってない。)
兄弟仲は非常に良く、当人も気さく。多忙で会えない以外は積極的に交流を持つ。
また「前線に突っ込めない」という理由で国王になる事は全力で拒否しており、長男を推している。
○アシュレー・S・アルドレイア
レクシーズの子供、末っ子。年齢や長男、次男とは違い、どちらにも秀でているとは言えないが、カルディナという婚約者と環境を得ている人物。
末っ子故に王位継承順位は当の昔に諦めている反面、カルディナという超越者と釣り合うためにはどうしたらいいか、別のベクトルで自分を模索する日々を送る。
まだ未成年なので、政治にはあまり関わっていないが、カルディナ経由で多忙だったりする。
見た目大人しい甘いルックスであるが、非常に嫉妬深く、執念深いとこりがあり、婚約者の未来を守るために躍起になる事もあり、ついやり過ぎてしまう事がある。
○シエスティーナ・Z・ラーズグリーズ
外見は商魂逞しい完璧夫人。
中身は迫られると断れない人。
結婚したのも利用するためではあるが、告白があまりにも情熱的であったため、やむ無く首を縦に振ったのが経緯。
家にいる7人の子供は先妻の子供で、先妻は産後の肥立ちが悪かったために帰らぬ人となっている。月に一度しか帰る機会がないが、家族仲は良好。
帰る度にこの調子であるため、子供達は「次はどっちが生まれるかな~?」と興味津々。
○ケリーサン
だらしない人(物理)
汚名返上はいつになるか。
○レノ&ウル
ゾンダーメタルに寄生された双子の姉妹。
見た目に似合わない有能さで、ラーズグリーズ家やシエスティーナの付き人として働く。
出力不足でゾンダーロボ化は出来ないが、無機物に融合、または無機物を介しての移動が可能。
身体能力もこの世界の人物や騎士を上回る実力を持つ、褐色肌に金髪のロリ。
○サクヤ09
《 ─検索 不可能─ 》
《 ─検索 不可能─ 》
《 ─検索 不可能─ 》
《 ─検索 不可能─ 》
「……焦んないの。直に解るから……ね?」
周期的にくるスランプ。
ネタはあるのだが、いざ書こうとすると文章にならない。
あとは家では時間があっても……という時がある。
その反面、外出先ではすごい集中力が生まれる。
環境かなぁ……?