公爵令嬢は、ファイナル・フュージョンしたい。   作:和鷹聖

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お待たせしました。
……長くなりすぎて、二つに分けたともいう。

前話にて、まさか、ガオガイガー上演の話やお嬢様のファイナル・フュージョンのシーンを通り越して、ナイツマに話題が集中しているとは……

良くも悪くもナイツマ、エル君はここまで影響力強いとはなぁ……
皆さんの反応が強くて不安になります。
クロスオーバーの事は、タグに入れていたはずなんですがねえ……
やはり判りづらかったのでしょうか?
(伏線はマナのルビ)
というか、エル君まだ出てませんよ!



また、前話の後書き、文章内容が適切じゃなかったことを反省してます。
あと、作品のナンバリングを変えました。少しはガオガイガーっぽいかと。

それでは改めて、後半どうぞ!


Number.05 ~ガオガイガー、上演&実戦~(2)

 ───陸皇亀(べへモス)

 

 それはWebサイト『小説家になろう』を起源とした小説、後に漫画化、そしてアニメ化された作品『ナイツ&マジック』に出てきた魔獣である。

 その名の通り亀の魔獣で、その巨体は正に要塞をも超える。そしてその巨体を生かし、隔絶した強さを誇った。

 作品中で言われた『師団級』という言葉。

 それは師団級の数をそろえなければ、勝てないという話だ。

 しかし、カルディナの目に映る個体は、数は多けれども『ナイツ&マジック』より小さい。

 作品中の言葉を借りるなら『旅団級』と例えるなら良いだろうか?

 

 どちらにせよ、脅威がここに存在するのは間違いないが、それよりも問題なのが、『ナイツ&マジック』の存在が『この世界にいる』という事だ。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

「───魔獣が出現致しました!数は5。大型・小型の『陸皇亀(ベヘモス)』と推測されますが、大火力の熱線を吐きましたわ!至急、公爵(お父様)に騎士団の出撃要請を!それと、『彼等』にも出撃するよう伝えて!私はそれまで、時間を稼ぎますわ!」

 

《お嬢様……まさか!?》

 

「───ええ。あの亀達には、このガオガイガー最初のお相手になって頂きますわ。」

 

 

 ファイナル・フュージョン直後、この世界に於ける、カルディナ、そしてガオガイガーの初戦が始まろうとしていた。

 

 先手は陸皇亀(べへモス)

 先程の熱光線(レーザー)が口を大きく開いた5匹の口から発射される。

 それを空中でステルスガオーの噴射口(スラスター)を利かせ、ガオガイガーは次々に回避に専念する。

 しかし、回避すれども等間隔で熱光線(レーザー)を発射する陸皇亀(べへモス)。正に弾幕である。

 こうなると当然ながら、カルディナは陸皇亀(べへモス)に文句の一つでも言いたい。

 

 

「というか、何故に熱光線(レーザー)!?火炎放射(ブレス)ではありませんの!?」

 

 

 そこは最もなところだ。

 確かに炎の温度を上げ続ければ、最終的にはプラズマになるので、ある意味熱光線(レーザー)は間違いではない(おそらく)。

 ここにいるのは恐らく陸皇亀(べへモス)、その眷属か(つがい)であろう。

 そして、小さい個体故に、身体を保持する『身体強化魔法』に割り当てる魔力(マナ)の配分が少ない故に、攻撃にリソースを振り分けられるため、陸皇亀(べへモス)自体、小さい個体ほど攻撃的なのだ。

 ……そして、長い生存競争の果てに、あの様な巨大な個体になるという。

 

 しかし、等間隔で放たれる熱光線(レーザー)は、如何に弾幕であろうとも、発射間隔さえ掴めば回避しやすい。

 アニメ(本編)でこの攻撃が出されたら、間違いなく被弾しているレベルだが、ガオガイガーはアニメ顔負けのマニューバ軌道で回避しつつ、間合いを詰めていく。

 

 その動きの根底には勿論、理由はある。

 カルディナが考え抜き、職人達が造り出した『IDメイル』が、カルディナ自身を強化、その動きを完璧にアシストするため、超重量のガオーマシンを纏おうとも、カルディナ自身の動きに淀みはない。

 

 さらに各ガオーマシンに搭載されている魔石、計5個に加え『同盟国』の主兵器に使われる『とある仕組み』が、Gストーン無きガオガイガーの力を高め、そして絶対的な防御力を与える。

 

 そしてカルディナ自身もそうだ。

 来るべき今日という日のため、カルディナはガオガイガーに『成った』時のため、その特性、構造を十二分に活かすため、想定される訓練は徹底的に行っていた。

 まずは、この日を迎える為に。

 カルディナ()自身に宿した膨大な魔力(マナ)が、培った技術が、その精神が、ガオガイガーとなった(カルディナ)自身の力となる。

 

 故に、この程度ではやられはしないのだ。

 

 だが、逆にカルディナ以外では、余計な増援は余計な犠牲も生む可能性も出てくる。

 この熱光線(レーザー)の弾幕は、容易に人を灼く。

 

 

「……ならば、反撃です。騎士団が到着する前に殲滅ですわ。それに鈍亀ごとき、私の敵では……ありませんッ!!」

 

 

 空中で踵を返し、最大全速で陸皇亀(べへモス)目掛けて突貫する。

 その行動に驚いた陸皇亀(べへモス)達は再度弾幕を張るが、卓越した機動力と、回避マニューバを駆使するガオガイガーには当たらない。

 だが間合いが迫るにつれ、回避が困難になりつつあるのは事実。

 

 そして陸皇亀(べへモス)達の熱光線(レーザー)がガオガイガーに集中した時、ガオガイガーは次なる一手……『左腕』を突き出す。

 

 

「───贈り物は有り難いですが、お返します!!プロテクト・シェェェーーーードッ!!!

 

 

 左前腕部から空間を湾曲させる反発防御空間を形成し、反発効果により防御を行う『プロテクト・シェード』。

 光学兵器であれば、蓄積反射することが出来る。

 魔法では『障壁』と『反射』の複合魔法で構成され、更に反射時には、マルチロックオン機能まで付与した、この『プロテクト・シェード』は、物理攻撃以外は全て反射可能。

 全ての熱光線(レーザー)を受け止め、赤い五芒星を描いた後、全て『口』に返り、大爆発を起こす。

 

 しかし、陸皇亀(ベヘモス)は自らの攻撃程度では、やられはしない剛体の持ち主。

 多少焦げはするが、せいぜい怯む程度で済む。

 だが、それがカルディナの狙いだ。

 

 

「───そこッ!ブロウクン・マグナムッ!!!

 

 

 右上腕を超高速回転させ、相手に撃ち込む、ガオガイガー必殺の一撃、回転するロケットパンチこと『ブロウクン・マグナム』。

 職人達が鍛え上げた金剛性と『防御魔法』による強固な装甲に加え、『雷魔法』によるジャイロ運動と『超電磁砲』の技術を用いた加速機構、そして『とある仕組み・その2』をフルに活用したその一撃は、軽く音速を超える弾丸となる。

 そしてその一撃は……

 

 

「──Gobaッ!?!?」

 

 

 口から入り、内臓をズタズタに引き裂き、強固な甲羅を内部からカチ割り、砕き、血飛沫(ちしぶき)撒き散らしながら、その強固な身体を貫くッ!!

 

 

「……まずは1匹。」

 

 

 右腕を高く掲げ、戻ってきたブロウクン・アームを右腕にはめたカルディナは、静かに告げた。

 ちなみに、ブロウクン・マグナムはカルディナの腕ごとは撃ち出さない。あくまで外部ユニットのブロウクン・アームのみが射出される仕組みだ。

 そこは『フレームアーム・ガールズ』に準じている。

 

 

「───呆けている暇は、なくてよッ!!」

 

 

 まさかの眷属死亡が出た事により、少なからず動揺が出た陸皇亀(ベヘモス)達。

 しかしガオガイガーは手を緩めない。

 再び急速接近をしたと思いきや『姿が消える』……と錯覚させて、4~5mの内の1匹の頭の真下にしゃがみこみ、顎を砕くような直上蹴りを放つ。

 たまらず陸皇亀(ベヘモス)は頭を強制的に上に向かせられた。

その瞬間、ガオガイガーがその上に姿を現し、その頭を鷲掴みにして引き寄せ、膝蹴りを繰り出す。

 だが、ガオガイガーの膝蹴りは……

 

 

 

 

「──ドリル・ニーーーッ!!」

 

 

 狙いは眼球。

 鋭い回転衝角(ドリル)が鉄板の如く固い瞬膜(爬虫類独特の薄い膜)を問答無用で穿つ。

 そして目を穿たれた陸皇亀(べへモス)は、堪ったものでなく、あまりの痛みに耐え兼ね、悲痛な叫びを上げながら暴れ回る。

 鷲掴みにされた頭をブンブンと乱暴に振り回すが、ガオガイガーは身体を振り回されようが、その左手を一向に離さない。

 

 

「──ちょ、黙りなさ……!?このぉ!!プラズマ・ホーーールドッ!!

 

「──GaaaAAAAAaaaaaーーーッ!!!」

 

 

 プロテクトシェードで発生する反発的防御フィールドを反転、目標を内部に捕獲し、フィールドの反発作用で拘束する『プラズマ・ホールド』。

 残念ながら、上記のような能力を正確に顕現させる事は『この規模』では出来ず、代替するしかなかった。

 代わりに『雷魔法』で相手を拘束する『雷撃拘束陣(プラズマ・ホールド)』を代替としている。

 結果、拘束手段のプラズマ・ホールドは、攻撃手段と化した。

 

 強力な『プラズマ・ホールド』の電撃を受けた陸皇亀(べへモス)は感電する。

 特にドリル・ニーを受けた右目からの電撃は、視神経、全身の神経組織を灼く。その強力な『身体強化魔法』を以てしても、内部への電撃は防ぎ切れない。

 そして、電撃を受けた陸皇亀(べへモス)は、そのまま事切れた。

 

 

「……続いて2匹。」

 

 

 事切れた陸皇亀(べへモス)から解放されたガオガイガーは、空中に放り出されるが、無事着地する。

 

 ちなみに、電撃を用いたのは『某少年』が親陸皇亀(べへモス)を討伐した方法を応用した戦法だ。

 ただ、残虐性はこちらが格段に上。

 残りの陸皇亀(べへモス)3匹がブチ切れる程度には。

 

 

「GyaOOooooo----ッ!!」

 

「───チィッ!」

 

 

 すぐに傍らの1匹が噛んで来たのを咄嗟に右腕でガード。思わぬ事態に舌打ちする。

 亀の噛む力は半端なく強く、がっちりと離さない。それが小さくても陸皇亀(べへモス)なら尚更その力は強い。

 そして『障壁魔法』を用いようとも、いとも簡単に右腕を噛み砕くであろう。

 

 本来であれば。

 

 カルディナはこんな場面であっても冷静に、そして右腕に膨大な魔力(マナ)を集め、そのギミックを発動させる。

 

 

「───オオオォォォォーーーー!!!ブロウクン・ナックルッ!!!

 

 

 本来であれば、ブロウクンアームを射出する技である『ブロウクン・マグナム』とは違い、劇中で僅か数回のみ使われた、ブロウクンアームを高速回転させたまま殴りつける亜種的な技『ブロウクン・ナックル』。

 カルディナは『障壁魔法』で僅かに右腕周囲を僅かに浮かせた瞬間、高速回転を掛け、出来た口の隙間から腕を抜き出す。

 更に高速回転させた拳で素早く顎を捉え、一気にカチ上げる、見事なアッパーを繰り出す。

 その一撃が脳を揺らし、意識が飛ぶ。

 

 

「──からの、ドリル・ニーッ!!」

 

 

 そこに容赦ないドリル・ニーが固い甲殻と『強化魔法』を兼ね備えた体……例え他と比較しても若干柔らかい顎下を貫き、脳まで達する。

 そして、ドリル・ニーを引き抜いた時、その手ごたえは十分にあった。

 

 

「3匹。」

 

 

 しかし、その直後頭上が暗くなる。

 4~5メートル級の陸皇亀(べへモス)がその巨体を生かし、ボディプレスを仕掛けてきた。

 ガオガイガーが気付いた時には加重を生かして、頭上へと落下し始めた時だった。

 更に、20メートル級が左舷より熱光線(レーザー)をチャージ、今にも放とうとする。

 

 

(動きを封じて、小個体ごとこちらを灼くつもり!?)

 

 

 一時的でも足止め出来ればガオガイガーを討つ事は容易いだろう。

 だが、小個体を用いてそれをしてくるとは予想を超えていた。

 犠牲を生じさせてでも倒すべき敵、とでも捉えられているのか?それとも敵を討つためか?

 何れにせよ、自己犠牲を伴った行動に、ガオガイガーは驚く。

 それでも、その行動(ボディプレス)は予想の範疇にあった故か、それからの行動は速かった。

 

 

「でしたら、お望み通りに当たってあげますわ! ただしッ!!」

 

 

 ボディプレスを仕掛ける陸皇亀(ベヘモス)の腹を目掛けて突貫し、取り付くガオガイガー。

 更に噴射口(スラスター)をフルブーストさせ、無理矢理方向転換。いきなりの行動に4~5メートル級も踏ん張りが効かず、引き摺られてしまう。

 そして、4~5メートル級を盾にし、ガオガイガーは20メートル級にそのまま突撃。

 思わぬ行動にチャージしていた熱光線(レーザー)を放つ20メートル級陸皇亀(ベヘモス)の描いた軌跡は、ガオガイガーを直撃……する前に、盾と成り果てた4~5メートル級の甲羅に直撃。あまりの熱波に叫んでしまうが、攻撃は一切止まらない。甲羅が熱光線(レーザー)で灼かれるが、一度放ったものは終息するまで効果が切れない。

 だが、ガオガイガーはそれに構わず押し進み、完全に間合いを詰めて、2匹を激しくぶつける。

 4~5メートル級が熱光線(レーザー)地獄から抜け出した時には、死に体で倒れ込むしかなかった。

 

 

「これで4匹。残りは……!」

 

 

 『全長』20メートル級陸皇亀(ベヘモス)

 しかし、こちらは一筋縄ではいかない。

 

 

「GuOOOoooooーーー!!!」

 

「ッ!?」

 

 

 渾身の力で暴れ回る陸皇亀(ベヘモス)は周囲の木々を尻尾で薙ぎ倒し、突進してくる。その度に周囲が破壊され、その巨体の猛威を振るう。眷属か、仲間か、子供を立て続けに殺されてしまった故に、その怒りはもう留まるところを知らない。

 ガオガイガーは、その猛威に晒されながらも、紙一重に回避していく。

 

 

「───このッ!ブロウクン・マグナムッ!!」

 

 

 隙を見て放ったブロウクン・マグナムが、陸皇亀(ベヘモス)の顔の側面を捉える。

 しかし、甲殻で高い硬度を誇る顔には効果は薄く、甲殻を多少削り取る程度の現状では、致命傷を与えるには効果が足りない。

 更に、回避しながらブロウクン・アームを右腕に装着した直後、尻尾がガオガイガーの真正面を疾った時、ドリル・ニーの側面に当たり、バランスを崩された。

 幸いすぐに立て直す事は出来たが、その衝撃でドリルの基部が根元から破損、折れてしまう。

 

 

「何とッ!?やはりと言いますか、正面からの衝撃は強くても、側面からは弱いのですね。」

 

 

 更に相手の体格差が悪く、10倍近い大きさがある陸皇亀(ベヘモス)に対し、最後の切り札であり、必殺技の『ヘル・アンド・ヘヴン』も目的の場所たる弱点には、体格の差が問題で、そのままでは届かない。

 他の武装も大した効果を発揮しない以上は、半ばお手上げ状態である。

 

 

「こうなれば仕方ありません……出来ればガオガイガーの武装のみで仕留めたかったのですが、試験項目の消化のためにも、使わせて頂きますわ。」

 

 

 そして、ガオガイガーは片膝を付き、左手を地面に添える。

 それを好機と見た陸皇亀(ベヘモス)は一目散に突進、踏み潰そうと距離を縮めてきた。

 しかし、それは完全に悪手である。

 

 本来、ガオガイガーの武器・武装は、自身の巨体を生かしての格闘、右腕の『ブロウクン・マグナム』、左腕の『プラズマ・ホールド』、『プロテクト・シェード』、両膝の『ドリル・ニー』、そして『ヘル・アンド・ヘヴン』である。

 戦略兵器ではない、対ゾンダー用に開発、配備されたガオガイガーは、その設計仕様もあるが、直接の広範囲殲滅兵器等は持たない。

 しかし、ここは魔法が根付いた世界。

 そしてカルディナが纏うのは、魔法技術で生まれたガオガイガー。

 

 ならば、扱えない道理がない。

 

 

「──術式、並列展開。受けなさい、土魔法『大地の傷跡(スィド・スィカトリクス・イン・テラ)』、『岩の槍(ハスタム・ペタラム)』ッ!!」

 

 

 突如、地面が陥没し、クレパスが出現。陸皇亀(ベヘモス)の下半身が埋まる。

 そして、岩で出来た鋭角の槍が、残る上半身を絡め捕り、完全に拘束する。

 その強度も、陸皇亀(ベヘモス)如き(・・)が暴れ回っても破壊されない程度の強度を持つ。

 カルディナ十八番の一つ、土魔法の拘束コンボである。

 まさかの事態に陸皇亀(べへモス)は暴れるが、もう遅い。

 

 

「……さて、終局ですわッ!ヘル・アンド・ヘヴンッ!!!

 

 

 右手に、触れれば対象を崩壊へと導くエネルギーを内包した、闇魔法を破壊エネルギーとして。

 左手に、絶対の守護と、万物の浄化を内包した、光魔法を防御エネルギーとして。

 カルディナは魔術的解釈として、この二つを選び、集束する。

 

 

ゲム・ギル・ガン・ゴー・グフォ(二つの力を、一つに)……はあァッ!!」

 

 

 そして相反する、反発するエネルギーを込めた掌をその呪文と共に、併せ、前に突き出し、合わせた拳から風雷混合魔法(EMトルネード)を繰り出す。

 陸皇亀(ベヘモス)はなす術も無く、更に拘束。

 そしてステルス・ガオーの背部噴射口(スラスター)が、ガオガイガーの最大全速を生み出し、大地を滑るように突貫するッ!

 

 

「───オオオオオォォォォォーーーッ!!!」

 

 

 それは獅子が吼えるが如く、勇ましき声が響き、合わせた拳が拘束された陸皇亀(ベヘモス)の、腹甲と呼ばれる腹部に、ガオガイガーは突貫の勢い任せに、合わせた拳を突き刺す。

 

 

「ハァアアアァァァーーー!!!」

 

 

 その瞬間、拳に宿る破壊エネルギーが陸皇亀(ベヘモス)を貫き、全身の組織をズタズタにする。

 同時に、合わせた拳が開かれ、突き進む先にあるもの……触媒結晶こと、魔石に防御エネルギーを纏わせ、大部分の組織から切り離す、と同時に両手で鷲掴みにする。

 最後は力ずくで……

 

 

「──フンッ!!!」

 

 

 血管、繊維、神経組織ごと引きちぎり、天高く掲げた。

 そして、魔石を失った陸皇亀(ベヘモス)は、破壊エネルギーにて内部組織をズタズタにされたショックも合わさり、その場で事切れた。

 

 この時、爆発は起きなかった。

 当然ながら、相手はロボット……ゾンダーではない。

 相手は魔獣であり、爬虫類であり、有機生物である。

 では、爆発の代わりに何が起きただろうか?

 正解は、突き刺した箇所からの、豪快な血の噴水がガオガイガーに丸々降り掛かる事態。

 実に嫌な光景である。

 

 

「……う~ん、何とも締まらない最後ですわね。返り血とはいえ、初戦で血塗れになるとは……嫌ですわ。」

 

 

 バスケットボール大の魔石を脇に抱え直したガオガイガー……カルディナも似たような感想だった。

 そしてホッと一息つきつつ、数歩歩いた瞬間、身体の力が一気に抜けてしまい、ガオガイガーは膝を付いてしまう。

、数歩歩いた瞬間、身体の力が一気に抜けてしまい、ガオガイガーは膝を付いてしまう。 二度うちしてます

 

 

(あ、ははは……。まさか、気が抜けたら力が入らないなんて、きっと魔力(マナ)切れですわね。流石に陸皇亀(ベヘモス)5匹を相手取るのは……骨が折れましたわ。)

 

 

 本来であれば、旅団程度の数を揃えても、退治するのも困難な陸皇亀(ベヘモス)

 それを単騎で殲滅したガオガイガーこと、カルディナ。

 身体の力が抜けたのは魔力(マナ)切れだけでなく、極度の緊張が切れた事と、体力の限界、そして何よりヘル・アンド・ヘブンの『反動』が決定的だった。

 しかし、それがこの程度で済んだことは、他の者から見たら、正に奇跡と言えよう。

 ちなみに戦闘時間は10分程度、今回ガオガイガーが消費した魔力(マナ)幻晶騎士(シルエット・ナイト)が全力稼働した分に相等する。

 落ち着いて呼吸し、魔力(マナ)の回復を待ち、ようやく動ける程度には回復した後、ガオガイガーは立ち上がる事が出来た。

 

 

「さて、みんなの所へ戻らなければ。陸皇亀(これら)の回収、解体も行わなければいけませんし、何より試験結果の評価と、ポッキリ折れた、このドリルを修理してもらいませんと……」

 

《ザザッ──お嬢様、ご無事でしょうか!?》

 

 

 そこにフミタンからの通信が入った。

 距離が遠い影響で、少し雑音が入るが、気にはならない程度だ。

 

 

「フミタン?そちらは?」

 

《只今、騎士団と『彼ら』に要請し、出撃準備が終わる頃です。そちらは……》

 

「……ごめんなさい、もう戦闘は終了しました。皆さんには陸皇亀(ベヘモス)5匹の亡骸の回収を命じて下さい。」

 

《……判りました。》

 

 

 そうして、通信を切り、ガオガイガーは魔石とドリルを拾い、噴射口(スラスター)を起動させ、空へと飛び立つ。

 その前に今一度、自身が討ち倒した陸皇亀(ベヘモス)達の屍を空から一瞥する。

 

 

(……まあ、今更な話ですが、小さい個体ですけど、こうして陸皇亀(ベヘモス)、そして半年前に『あれの大群』が出てきたとなると、やはり『この世界はそういう場所』と思わざると思うべき、なのでしょうね。)

 

 

 それはカルディナのみが感じる、『この世界』への疑問。

 知る故に思う。

 

 

(今まで、意識しないようにしていたのですが、現実として来られると、そうも出来ませんわ。誰が曰く『胡蝶の夢』、そして『フラスコの実験』ですか。本当にそうで無ければ、どれ程良かったか……)

 

 

 某・人物が、思わず返答しそうなワードが頭に浮かび、溜め息を吐くしかないカルディナ。

 

 

 

「まあ、悩んでも仕方無いこと。陸皇亀(ベヘモス)の討伐を確認。これより帰還します。」

 

 

 振り返り、ガオガイガーは帰還の路へと飛び去って行った。

 その軌跡は、ただ真っ直ぐであろうとするものだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《NEXT》

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

《次回予告》

 

 

君達に最新情報を公開しよう。

 

 

魔獣との戦いに勝利を納めたガオガイガー。

 

しかし、カルディナの内心は複雑なもの。

 

そして周囲に広がる、とある疑惑。

 

カルディナが求めるガオガイガーの仕様と目的。

 

そして戦うべき『敵』。

 

今、カルディナが語る、世界の違和感とは。

 

 

 

 

次回『公爵令嬢はファイル・フュージョンしたい』

 

 

第6話~カルディナのみが感じる、世界の違和感~

 

 

 

これが勝利の鍵だ!

 

『胡蝶の夢』『フラスコの実験』

 

 

……それは戒めか、甘い毒か。

 

 

 

 

 

 




ベヘモスさんの設定は一部改変入ってます。
ネタとして、あの規模の魔獣が子孫を残す場合、ちゃんと雄雌いるのかな?と思ったところから出しました。
ガオガイガーは、設計と運用の関係上、広範囲殲滅兵器は持っていませんが、ディバイディング・ドライバーは例外でしょう。
ゴルディオン・クラッシャー? あれは更に例外。
故にお嬢様の魔法攻撃は広範囲殲滅兵器に当たらない!
……え?ダメ?

現状のヘル&ヘブンはGストーンがなく、魔法仕立てにするとこうなりました。
真のヘル&ヘブンじゃないから反動がキツそう。

しかし、ナイツ&マジックを隠し味程度(作者感覚)に入れたら、それがまさか、大盛り上がりになるとは……

エル君、強し。

でも、主人公はカルディナさんなので悪しからず。


……そして、次回はストーリー自体にダイレクトアタックしたいと思います。
ダメージは微量です。
まあ、してる方は少なからずいると思いますが、クロスオーバー作品を扱うにしては、フラスコの話はストーリーの根幹にケンカを売るようなものと認識してますが、皆さんはどう思います?

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