公爵令嬢は、ファイナル・フュージョンしたい。   作:和鷹聖

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大変遅くなりました!
今回は前後、2話続きです。
連続投稿なので、読む順番はよく見てください。


話の都合上、サブタイトルを一部変更した他、文章の書き方を少し変えています。

それと今回は、説明回です。
また長くなったので、いつも通り(?)前半・後半に分けますが、この辺りの話は、あんまりスカッとしないのですが、御容赦してください。



あと最近気付いた事があります。

それは……



小説本文の字数が一万五千文字と思っていた事。

※実際は十五万文字……(´Д`)アカン


……そんな見間違いをしてる人は、私以外いないでしょう。


Number.06 ~カルディナが感じる、世界の違和感~(1)

 

「───只今、戻りましたわ~。」

「あ、お嬢!帰って来て──ギャアアアァァァーーー!!!」

「血塗れのオーガだーーッ!!!」

「……やはりですか。」

 

 

 案の定、戻った瞬間に、血塗れガオガイガーを見た職人達は腰を抜かした。

 

 ウン、怖いよね。血塗れのガオガイガー。

 破壊神、降臨ならぬ、鬼神、降臨。

 

 それはさておき、フュージョン・アウトしたカルディナは、ガオーマシンもろとも、IDメイルにこびりついた血糊を水魔法で形作った水球の中で洗い落としつつ、陸皇亀(ベヘモス)との戦闘の経緯を説明する。

 ちなみに職人達も長距離交信機(トランシーバー)で音声のみ拾っており、遠目で見る事が出来る場所だったので戦闘の姿も見ており、大まかな推移は判っていたが……

 

 

「……そんな経緯だったとは。」

「小さい個体とはいえ、陸皇亀(ベヘモス)相手に善戦でしたね、お嬢様。」

「まあ、現れたこと自体がイレギュラーですので、ガオーマシンがボロボロになったのは、御勘弁下さい。」

 

 

 しかし、カルディナの言葉とは裏腹に、ドリル・ガオー以外の他のガオーマシンはほぼ無傷だった。

 一番被害が大きいであろうステルス・ガオーのブロウクン、プロテクトの両アームは、ヘル・アンド・ヘブンの影響すら耐えきり、壊れていなかった。

 表面上は。

 

 

「そこまでには見えないけど。まあ、初出撃で全力で戦わなきゃ勝てなかった相手だし。それにこの後の整備で、破損内容で強化対策を考えるんだから、こちらはいい反省材料が出来た、と思ってるわよ。」

 

 

 イザリアの言葉に同意する職人達。

 カルディナはその光景に、この上なく安堵した。

 

 

「……ありがとうございます。そんな皆さんに少し報いる為に、私はこれから生け贄の羊さん(スケープゴート)になります。皆さんは、直ちにガオーマシンを持って撤収して下さい。」

「……ああ、これだけの騒ぎ起こしたんだし、報告もしたんだから、そりゃ『来る』わね。」

「お嬢様、私は残りますので。」

「フェルネスさん。毎度貧乏くじ、申し訳ありませんわ。」

「……おい、話がいまいち見えないんだが。」

「帰り道で話すから、今は急いで。」

「お、おう……」

 

 

 ダーヴィズの戸惑いを他所に、職人達は運搬荷車(キャリア)にガオーマシンを載せて、そそくさと工房へと撤収していく。

 その手際は1度や2度のものでなく、不気味な程に手慣れ過ぎていた。

 そして、十数分後……

 

 

「カルディナぁーーーッ!!!無事かァーーー!!?」

「領主様、危険です!!お待ち下さい!!」

「あら、お父様?」

 

 

 鎧を纏った十数名の乗馬集団が現れた。

 要請した騎士団だったが、その先頭に、カルディナの父親であり、現アースガルズ家当主もいた。

 

 名をクリストファー・エルス・アースガルズ。今年で37歳。サラサラのブロンドヘアに童顔という要素が、年以上に若く見られる、気の弱そうな優男。加えて愛妻家であり、3児の父親。

 特に長女の行動に(公私共に)悩まされる苦労人。

 

 フル装備の鎧甲冑で娘の危機に駆け付けた筈だが、そのカルディナは普段着(作業着兼ドレス)の姿で、フェルネスと岩のテーブルで、お茶と茶菓子(スコーンとベリージャム)を嗜みながら、暇潰しのチェスで6度目の王手(チェック)を掛けられたところで、出迎えた。

 

 これは、遠回しに遅い、と抗議の形だ。

 ちなみに、どこから出した?の質問は受け付けない。

 お嬢様なら『収納魔法』ぐらい嗜んでいる。

 

 

「え?あ?カ、カルディナ……?」

 

「お父様もいらしたのですね。丁度良かったですわ。フェルネスさんにチェスで危うく負けるところでしたの。」

 

「現在2回戦目で、1回戦は勝利させて頂きました。」

「それは言わない約束ですわよ!?」

「え、あ、その、陸皇亀(ベヘモス)は……?」

 

 

 陸皇亀(ベヘモス)討伐が行われたとは思えない、のほほんとした空気に、クリストファーは戸惑うしかなかった。

 

 

「ああ、全て討伐しました。亡骸は……あ、あの場所です。見えますでしょう?後で回収をお願いします。」

「え?あんな遠くに……なっ?!」

 

 

 望遠鏡(アースガルズ商会制作品)を娘から渡され、覗き込むと、見えたのは凄惨な大亀の死体の山。

 娘が殺ったとは思えない現場に、お父さん、思わず血の気が引きます。

 望遠鏡(標準装備)を覗いた騎士団の皆さんも、血の気が引いたり、思わず口を抑えたり。

 そんな中、顔を伏せながらも望遠鏡を握った手を振るわせて、クリストファーは意を決した。

 

 

「……騎士達ッ!カルディナを連れて行けッ!!」

「「お嬢様、失礼します。」」

「あら?あらあら?」

 

 

 女性の騎士2人が「これは仕事、仕事なのよォー!!御勘弁をー!」と苦虫を噛んだような険しい表情をして、カルディナの両腕を左右から拘束、強制連行へと至った。

 それをカルディナは、あえてワザとらしく慌てたフリをしてキョロキョロする。

 

 

「アラ?私ハコレカラ、何処ヘ連レテ行カレルノデショウ?」

「ワザとらしい!これだけの事を仕出かしておいて……!しばらく独房で反省しなさい!!」

「ああ、でしたら、後でフミタンにお茶と茶菓子を持ってくるように伝えてください。」

「状況判って、あえて言わない!!」

 

 

 そして連れて行かれたカルディナ。

 その姿が見えなくなるまで、呆れて手で顔を覆い隠すクリストファーを残りの騎士達は心配する。

 

 

「領主様……」

「……残りの者達は、死骸の確認を。カルディナはああは言っていたが、用心はする様に。『彼ら』にも要請しているようだから、確認次第、共同で回収作業に入り、報告するように。」

「……了解しました。」

 

 

 そして戦闘があった場所に向かう残りの騎士達が去った後、その場にはクリストファーとフェルネスのみが残った。消沈するクリストファーはポツリと呟く。

 

 

「……ちなみに『娘ぬきでの』被害予想は?」

「……騎士団は陸皇亀(ベヘモス)の元に到達する前に全滅。ゴーレムでも『数秒間対峙可能』程度でしょう。あの陸皇亀(ベヘモス)熱光線(レーザー)の前には、遮るものは溶け落ち、領地は甚大な被害を被り、王都の増援が来て大規模包囲作戦でようやく討伐出来たかと。」

「……情けない。」

「……全く、ですね。」

「ああ。全く情けない。偶発的とはいえ、齢15の娘の力を頼らねば、大亀1匹討伐出来ないとは……」

 

 

 それは、現公爵領に存在する全戦力を投入しても、今回の規模の陸皇亀(ベヘモス)は討伐出来ない事を意味する。

 今回、出撃した騎士団の中で、ゴーレム使いはいる。

 しかも相当な使い手が。

 クリストファー自身もそれなりのゴーレム使いで、外見とは裏腹に、相当な実力を持つ。

 そしてフェルネスも、だ。

 

 だが、それでも足りない。

 

 現に、戦闘があった区域は、燃えている箇所はほとんど無い。しかし、ほぼ全てが高温の地と化し、そして『炭』と化している。

 極端過ぎる火力が生んだ弊害である。土くれも半ば陶器状態になり掛けており、よく『プロテクト・シェード』が反射出来た、と言えよう。

 

 

「……これまでで、2番目の被害予想か。フレメヴィーラの例もあるが、こちらには幻晶騎士(シルエットナイト)などない。陸皇亀(ベヘモス)と聞いた瞬間、この領地は終わりを迎えたかと思ったよ。ちなみに、1番の被害予想は半年前の女皇殻獣(クイーンシェルケース)が統率した殻獣類(シェルケース)の群れだったな。」

「あれは個体数にモノを云わせての蹂躙ですからね。到達されての乱戦になれば、勝ち目はありません。お嬢様が街へ到達する前に『重力魔法』で殲滅したから助かりましたが、それがなければ、アースガルズ領は終焉を迎えていたでしょう。」

 

 

 その時に放ったのは、擬似ブラックホールのような、超重力の塊で、指定範囲内の対象を根こそぎ吸い込み、圧殺だったそうな。

 カルディナお嬢様の力が、如何に規格外なのが理解出来る。

 その時に「……確か、『貴方達の存在を、この宇宙から抹消してあげましょう』でしたっけ?」と呟いたのは誰にも気付かれていなかった。

 間違っても、超新星爆発なんて投げてません。

 そして、辛うじて生き残った女皇殻獣(クイーンシェルケース)に『無数の黒い槍』で止めを刺したのは、一部では有名な話。

 当然、魔力(マナ)切れで倒れたのはお約束(デフォ)

 

 

「……我が娘ながら、無茶苦茶過ぎる。」

「そこは奥方似、では?」

「それでも、だ。これ以上カルディナを危険な目に晒したくないのに……現実はそれを赦してくれない。私に出来る事と言えば、カルディナの所業を邪魔せず、容認・黙認するだけ、とは……」

 

 

 実は、相当目を瞑っている事は多々ある。

 幼少の時から、やらかしてきた事に枚挙がないカルディナだ。それはもうストレスが溜まり、胃腸炎になりかけた事も何度あったか。

 それでもそこには、一貫した『信念』があった。

 今回の陸皇亀(ベヘモス)討伐も、騎士団に任せれば良かった案件だが、予想被害が自分達の実力を超えているため、カルディナ()はやむ無く自身で討伐したのだろうと、クリストファーは考えていた。

 実際、手に負えないのだから、正解であろうが無かろうが、仕方ない。

 それでも普段からマメに事前、事後に報告、場合によっては相談を持ち掛けて来るのは、嫌われていないと思えるところだ。

 そして、先程の茶番劇も、事態を深刻化させ過ぎないようにと、カルディナのちょっとした配慮でもある。

 ……フォローとして、効果は薄い気がするが。

 

 

 

「一つ報告があります。」

「……聞こう。」

「今日、お嬢様の開発していた成果物が出来たのですが、その過程で気になるものを見せてくれました。」

「以前より報告にあった『GGG』というヤツか。いまいち解らないのだが……」

「無理もありません。正式名称はガオガイガー。今回開発したのは2メートル超えの鎧ですが、本来は30メートル級の鋼のゴーレム、だそうです。お嬢様は、それを造ろうとしています。」

「……ちょっと待て。フレメヴィーラの幻晶騎士(シルエットナイト)ですら、10メートルがいいところだ。その3倍……」

「───それが必要になる事態が発生する、という事です。」

「なッ!!?」

「少なくともお嬢様は、そう考え、行動している節があります。」

「そんな馬鹿な事が……」

「証拠は、今のところありません。ただ、お嬢様の事です。起こる問題や弊害は判って動いています。」

「本当に、カルディナは何を考えている……いや、何を見ているのだ?」

 

 

 気を揉むクリストファーであるが、そう告げたフェルネスには、ある種の確信めいたものがあった。

 

 そしてあの映像の事は、まだ報告していない。

 

 

(……お嬢様はあえて言わなかったのでしょうが、おそらく答えは既に出ている。さて、どう尋ねたらいいか。)

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 ───同時刻頃、工房。

 

 

「……何だこりゃ。ステルスガオーの噴射口(スラスター)が全部焼き切れてやがる。」

「こっちもよ。アームパーツが基本骨格残して外装がボロボロよ。あとは小型の魔石の動力源……確か魔力転換炉(エーテルリアクター)を元にしてたんだっけ?それと軟鉄製の部品は何とか無事ね。あのヘル・アンド・ヘブンって、相当ヤバい技だわ。」

「ドリル・ガオーは足関節はオシャカ寸前。ドリルも魔導回転発動機(マナ・モーター)がひしゃげてるよ。」

「回転軸が折られたんだから、損傷あるのは当たり前だけど、こうやって衝撃が加わるなんて、予想外……」

「うう~、魔術回路が焼き切れてる~。繋げてる回線は無事なのにどうして~!?」

「……唯一無事なのは、Sライナーガオーだけか。」

「いや、こっちも回路がアウト。」

「いやー!!この魔導演算機(マギウスエンジン)自信作だったのに~!オリジナルより強度も精度も上なのよ!?」

「けど、それ以外の外装が無事って凄くない?」

 

 

 職人達は反省会がてら、ガオーマシンの損傷分析を行っていたが、分析結果は職人達にとって、予想外のものだった。

 

 

「原因は間違いなく、魔力(マナ)の過剰供給だな。それに伴って回路や、武装、付与魔法(エンチャント)が耐えきれなくて、自壊したってところか。普通、こんな風にはならんぞ……」

噴射口(スラスター)焼き切れは、それと似たようなもんだが、空中で方向転換する時に、全方位に吹かしてたよな?あんな動きは予想以上だぞ。というか、本来は空飛ぶ事自体、有り得んが……」

「……想像以上に、お嬢の力が強力だって事ね。最後まで耐えきったのは、お嬢が内部を『強化魔法』でカバーし続けた結果、か。まさか戦闘による傷がロクにないとは……」

「鎧が使用者に助けられるとはよ、本末転倒だな。こりゃ、基本設計と付与魔法(エンチャント)、内部素材を見直さんと。だが、まだやれる範囲だな。」

「軟鉄の回線は無事って凄くない?コイツがもっと応用出来れば、何とかなるかも……」

「ああ。それにコイツはワンオフ、お嬢だけが使えるようにすりゃいい。」

「量産前提じゃなくて良かった~!前提条件の壁は高いけど……」

「……ええ、そうね。」

「ん?どうした、イザリア。そんなに考え込んで。まだ何か反省点でもあるか?」

 

 

 ようやく光明が出てきたと浮き立つ職人達の中で、ただ一人イザリアは浮かない顔をしていた。

 

 

「いや、改善点が見つかったのは私も嬉しいんだけど……このガオガイガーについて、改めて考えさせられてさ。」

「何をだ?」

「……初めはただ着込めば強い鎧、そしてこいつを元に巨大な巨人……機動兵器ってヤツを創るって思ってた。ただ、今回あの大亀を相手取って、具体的な改善点を見る度に、お嬢が考える『想定』が判んなくなっちまって……」

「想定?」

「このガオガイガー。お嬢の力さえあれば、現状ですら、単純な戦力を見積もってもフレメヴィーラの幻晶騎士(シルエットナイト)旧型(サロドレア)を軽く圧倒してるのよ。下手すりゃ最新型に匹敵する。そして今度は、こいつを応用して30メートル級を創るのはいいけど……何と戦うってんだろう?」

「……いや、そりゃ魔獣、とか。後は王国の防衛とか……」

「私もそこは考えたけど、『過剰過ぎる』のよ。大きい兵器が欲しけりゃ、もう少し大きい幻晶騎士(シルエットナイト)を造ればいい。でも最終完成形は、オーバー過ぎて、逆に誤解を与えるのは間違い無いわ。まさか、お嬢が現・王国に反逆するなんて、そんな無駄な事はしないだろうし。」

「……よく、反逆が無駄って、断言出来るな?」

「そりゃね。お嬢とは付き合い長いから。昔から人の事は気にしてないってフリしてるのに、過剰なくらい心配して、お節介ばっかり……だから、人を煽って反逆、とか自分が原因で人が傷付くのは、1番嫌いなのよ。」

「……まあ、お嬢のあの真っ直ぐで、時々子供っぽい性格からして、反逆なんてないだろうけど。」

「じゃあ、何と戦うって……ん??」

 

 

 その時、職人達の脳裏に『あの事』が思い出された。

 自分達も、そして『本人も』荒唐無稽と思っているであろう『あの事』。

 

 

 ───本来、ガオガイガーが倒すべき敵。

 

 

「……まさか、な。」

「いや、でもよ……」

「……カルディナ様の事だから、造ったら『後は私がどうにかします』みたいな事を言い出すのかな?」

「……言うわね、絶対。あのお嬢は、絶対無茶やらかすに決まってるわ。」

 

 

 イザリアの言葉に、一同無言で頷く。

 何を敵とするかは、職人達には断言出来ない。

 充分なヒントはあったが、それは自分達の理解を遥かに超えるもの故に……

 

 

「……こりゃ、直接聞くしかないわね。」

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 ───夜、工房内。

 

 作業時間は過ぎて、職人達は撤収した工房。

 中は暗く、誰もいない筈の場所に、カルディナはいた。

 

 

「はぁ~、今日もお父様にこってり絞られましたわ。いくら親心とはいえ、お父様も心配性ですわ。こんな夜は、アニメを見てリフレッシュするしかありません。さて~、せっかく環境が整った訳ですし~、完全防音なので~、活用しない手はあ~りませんわ。今までは脳内映像だったので~、スクリーン投影は興奮しますわ~。さて何処から見ましょうか~?」

 

「……では、ガオガイガーの3話からは如何でしょう、お嬢様。」

「あら?フミタン。それにフェルネスさんに、イザリアさんまで……」

 

 

 視聴覚室の扉の前で「お待ちしてました、お嬢様」とごく自然に佇むフミタンが。

 その後ろにフェルネスとイザリアが。

 

 

「私の居場所がよく判りましたわね。」

「お嬢様のメイドならば、察知するのは当然かと。」

「公爵様のお説教の後です。今のお嬢様なら、ここにいらっしゃると推察しました。」

「私は直感だけどね。後は職人の代表ってとこ。」

「……本当に、判っていらっしゃいますわ。」

 

 

 この3人以上に、カルディナお嬢様を理解してる人物はいない。実の親ですら、ここまで理解してるか、怪しい。

 故に、頼り甲斐があるのも事実。

 

 

「折角ですので、お茶とお菓子をご用意致しました。皆さんもどうぞ。」

「流石、フミタン。ご馳走になるわ。」

「その代わり、私達も同席させて頂きたいのですが……」

「ええ、勿論ですわ。積もる話もあるでしょうから。席はたくさん御座いますから、お隠れにならずに見てくださいね、ダーヴィズさんも。」

「──ギクッ!わはは……バレてたか。」

「ええ、初めから。」

 

 

 物陰から出てきたのはダーヴィズだった。

 職人達は、事前にが大勢で行くと混乱しそうになりそうとの事で、イザリア1人を代表として行かせた。

 その筈だったが……

 

 

「……やっぱり、続きが気になってよ。」

「あんたねぇ……」

「まあ、それはそうでしょうね。私も半ば()らすようにお見せしたのですから。だから、後ろの2人も出てきても良いですわよ。今日は誰が来ても良いように致していますので。」

「はあ!?って、ヴィトーに、フラン!あんた等興味ないって言ってたでしょうに!」

 

 

 更にダーヴィズの後ろから、2人の職人が。

 ホビットの金属細工師である、ヴィトー・バギンズはご存じの通り。

 もう一人は狼系獣人の大柄な少年で、グレーの体毛の鍛冶師(見習い)のフラン・バナッシュ。

 

 2人とも未成年で、好奇心旺盛。

 周囲からは、やたら首を突っ込みたがる故に『命知らずコンビ』と言われる。

 

 

 ちなみに、獣人とは……

 伝承やフィクションに登場する、人型と他の動物の外見を合わせ持つ人物を指す。

 古くは民間伝承に現れ、神話学や人類学で論じられた。

(Wikipediaより一部抜粋。)

 

 この世界においては、動物を祖とし、その動物の特徴と特性を持つ人種である。

 哺乳類、爬虫類、鳥類等、多々種族はあり、収拾が付かないため、一纏めに『獣人』としている。

 個別に紹介する際には『○○系獣人』と言う必要がある。

 平均寿命は40~60歳と他種族より若干低めであるが、身体能力は、人間(ヒューム)族、ドワーフ族、エルフ族、ハーフリング族、どの種族よりも、どれかの能力が飛び出ている。

 故に、種族と仕事の業種がマッチすると、時折チートじみた実力を発揮する。

 外見は人間にその動物の部位がある『人間ベースの獣人』がほとんどで、『動物ベースの獣人』は稀にしか産まれない。

 

 そして、種族の特性なのか、繁殖能力は高く、王国の総人口の4分の1は獣人であるが、多産短命であるが故に、獣人が集中的に住む地域は、子供の数は極端に多く、教育環境が間に合わない事が、社会的問題になっているとか……

 

 尚、多種多様な成形の生物がいるため、どの種族であろうとも、人型の生物、またそれに近い形態を持ち、言語の通じる生物を、この世界では全て『(ヒト)』と称するようになった。

 

 

 閑話休題(それはさておき)

 

 

 

「……いやぁ、何と言うか。」

「まあ、混乱するからイザリアの姉貴1人で、ってのは判ってるんだけど……あんだけのものを見せられたらな……」

 

「「続きが、とっても気になる。」」

 

 

 好奇心旺盛故か、開き直って公爵令嬢を前にしてこの物言いである。

 普通なら不興を買い、極刑だろう。

 カルディナだから出来る物言いである。

 ……たまに、不興を買ってオシオキされる事もあるが。

 

 

「……この、命知らず(バカ)共は。」

「まあ、イザリアさん。いずれは何処かでお見せするつもりでしたので、関係者であれば誰でも構いませんわ。ただ……」

「……ただ?」

「来た方にはお話しますが、まず『聞かなきゃ良かった!』と後悔しない事をお祈りします。」

 

 

 カルディナのその言葉に、全員が思わず固まる。

 ちなみに、お嬢様からこの様なニュアンスの話が出ると、まず冗談では済まない。(実例多々あり。)

 流石に、命知らずの一人、狼少年(フラン)であっても、これからの展開に恐怖を感じる。

 

 

「……えと、何を見るの?」

「まずは、ガオガイガー第3話もとい、Number.03『聖なる左腕』からですわ。」

 

 

 カルディナはただ、黙々と魔術式投映機(プロジェクター)の準備を始めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 ──Number.03『聖なる左腕』

 

 前話Number.02『緑の髪の少年』より、ガオガイガーがEI-03を撃破した後、天海護によりゾンダーコアを浄解し、護が去って行った場面より始まる。

 戦闘により消耗したガオガイガーは、その場で倒れる。

 また、天海護も自身の不思議な力で帰り路に就く最中、武装したGGGの隊員達が保護しようと近づくが、それに危険を感じた護の危機を察知したギャレオンが颯爽と登場。護をGGGへと連れて行き、改めてGGGと会合させる。

 そして命の危機に瀕した獅子王凱と出会い、凱のGストーンを護がアジャスト、その身体機能を復活させる。

 そして市街地で暴れる新たなゾンダー、EI-04をディバイディング・ドライバーを駆使し、撃破するがゾンダーコアを浄解する前に、ゾンダーが再生、逃亡を許してしまう。

 

 

「そして次ですわ。」

 

 

 ──Number.04『逃亡者ゾンダー』

 

 Number.03にて、逃亡したゾンダーを捜索するところから話は始まる。

 都市の被害は回避されたものの、GGGの懸命の捜索をも振り切るゾンダー。

 ゾンダーを逃がし、落胆する護を勇気付ける凱。

 その最中でも、人々の営みは続き、その愛情が描かれているが、それを打ち破るかのように、ゾンダリアン四天王であるピッツァが、逃亡したゾンダーを回収、スペースシャトルに寄生させ、ゾンダーロボへ変容する。

 しかしガイガー、そしてガオガイガーの活躍によりゾンダーを撃破、護により浄解を果たす。

 そして護も自身の力に意味を見出す事が出来たところで話は終わる。

 

 

「……お嬢様。これらの話の、何処に問題が?確かにガオガイガーという話は、緻密な『画』が動く、演劇を超えたような演技力の異世界の話で、文化形式の違う私達には驚愕するものですが……」

 

 

 この世界に於いて、『画』が動く、という作品はない。

 アニメーションのように、20数枚のイラストを高速で見せる、という発想がないからだ。

 ちなみに、パラパラ漫画は?という考えもない。

 紙が貴重品で、本に悪戯描きをする輩がいないためだ。

 

 

「でも慣れちまえば、いい話なのがよく判る。度々危険や危機はあるけどよ、それを乗り越えて勝利してるんだから、さして後悔するもんじゃないと思うんだが……」

「ええ。話自体には特別な意図はありません。ただ、ガオガイガーという作品を理解した上でないと、これから私が言う事を理解して頂けないのでは、と思いまして、まずは見て頂いた限りです。」

『???』

 

 

 いまいちカルディナの話が見えないと、その場にいる誰もが思った。

 そしてNumber.04のエンディングが終わった後、傍らのフミタンが静かに呟いた。

 

 

「……お嬢様。ようやく判りました、お嬢様が時折口ずさむ、あの歌の事が。」

「あの歌……ああ。オープニングの曲の事ですか。」

 

 

 それは、カルディナが時折口ずさんでいた『勇者王ガオガイガー』のサビの一節。

 

 

「奇跡、神秘、真実、夢……非常に力強い、良い歌だと思います。ですが、お嬢様が口ずさむ時はどこか悲しげに……逆に助けを求めるかのような雰囲気でした。」

「……よく見てますわね。」

「お嬢様に仕えるメイドですので。ですからそれ故に考えさせられます。全てに秀でている方が、何をそこまでお求めになるのか……何が貴女を苦しめるのか。」

「……」

 

 

 フミタンの言葉に、カルディナはただ無言を貫く。

 それについては、自分から言うべきではない。

 フミタンもカルディナから、頂くべき言葉はそれでないと、そう普段は考えていた。

 そしてフミタンだから、次の言葉をカルディナに言う事が出来た。

 

 

「お嬢様、単刀直入にお伺いします。『ゾンダー』はこの世界にいるのですか?」

「「「………!!」」」

 

 

 それは、皆が疑問に思っていた事。

 

 カルディナがガオガイガーに拘る訳。

 ガオガイガーを再現した後、何を成すのか。

 そもそもガオガイガーとは、何を目的としたものなのか?

 

 全てはフミタンのその問いに集約されていた。

 

 そしてカルディナは、一考した後、口を開いた。

 

 

 

 

 

「───存在します。今は姿が無くとも、この世界の何処かに。ゾンダー(奴ら)はいます。」

「……やはり、ですか。」

 

 

 カルディナの言葉に、フミタンは静かに頷いた。

 その言葉に、他の者達も予想通りとはいえ、驚きは隠せない。

 これまでのカルディナの散りばめたヒントが、形と成ったとはいえ、空想の存在が実在するのだから。

 

 

「……とはいえ、私がゾンダーについて語れる事は少ないですわ。語れるのはガオガイガーの映像とその知識……そして『5歳の実体験』のみです。」

「5歳……もしや、あの『隣国』の訪問後のお嬢様一人を残して全滅した、襲撃者不明の事件の事では?」

「フェルネスさん、なにその事件?」

「……ほんの一部にしか公開されていない事件なので、知らないのは無理ありません。公爵様とお嬢様が『隣国』へ招待、訪問された後の事で、先行していたお嬢様の馬車が、正体不明の賊に襲撃された、らしいというのです。」

 

 

 それはカルディナが5歳の頃、『隣国』のパーティーに招待され、その帰りの事件だった。

 そのパーティーで大恥をかかされたカルディナは怒り心頭で、父親である公爵とは別の馬車で先に帰ったのだが、帰り路の最中、馬車が正体不明の賊に襲われ、馬車は炎上した。

 付き人だった数人の護衛も無残に殺され全滅。唯一生き残ったのはカルディナただ独りという事件だ。

 ただその場には、その他に別の人物がいて……

 

 

「確か、その事件の際にイザリアさんが、その場にいたとか……」

「ええ、私が初めてお嬢と出会ったのは、あの夜だったわ。けど、正確には私と『姉』の2人。そして助けたのは、姉の方よ。私は急に走り出した姉を、後ろからヒィヒィ言いながら追ったんだけど、私が着いた時には、姉の火魔法でその犯人とやらは、ドロドロに溶かされてたわ。」

「そしてこれが、その時の映像になりますが……」

 

「「「「「え??」」」」」

 

 

 カルディナの一言と共に、正面のスクリーンに映し出されたのは、ゴトゴト揺れる馬車の中の映像。

 映し出されたのは当時の護衛や付き人。

 

 そして聞こえるのは、聞いた事がある人なら判る、幼いカルディナの声。

 カルディナは声だけで、姿は見えない。

 

 

《む~!!あのバカ王子めぇ~!!私を『4番目の妃のこうほにしてあげよう』ですってー!! ぶれいを通りこして、ぶじょくですわー!!》

《お嬢様、お可哀そうに……》

《……流石に、あの王子の言葉はないだろう。子供とはいえ、どんな教育をしている。》

《ああ、そのお陰で王国との講和条約は白紙になったがな。いい様だ。全く、宗教国家が聞いて呆れ──》

 

 

 ───ドゴンッ!!

 

 

《え?何が──きゃあああッ!?》

《お嬢様!?》

《何だ、爆発──うわぁぁぁーー!!》

 

 

 それは在りし日の1コマを切り取ったというべき映像。

 そこから馬車は激しく揺れ、画面内は大きく回転し、車内は混乱する。

 現代風であれば、それは日常生活を映したスナップ映像。

 そこから混乱の渦中になった車内。

 

 そしてその映像に、一同驚愕。開いた口が塞がらない。

 

 ……いや、それはそうだ。『有り得ない』から。

 

 

 そして回転する馬車が止まった。

 スクリーンに映し出されるのは、激しく壊れた天井と思わしき亀裂より覗く、異形の化け物。

 

 発光する赤い双眸と、紫がかった木肌に似た肌を持つ、でっぷり太った人型の怪物。

 しかも見える範囲だけで3体。

 そしてブルブル震えたかと思うとその怪物は、それは奇妙で大きな叫び声を上げた。

 

 

《───ゾォンダァァァーー!!》

 

 

 

「……ナンダ、コリャ?」

「あの日の夜の映像ですが……この場にいた従者の皆様と護衛の方々には申し訳な」

「───ではなくて。何故この様な『画』……映像があるのですか?5歳の頃の話ですよね?」

「ええ、そうですわ。ご希望とあらば、あのバカ王子を引っ叩いた映像もございますが。」

「……あるの、ですか?」

 

 

 静かに、けれど珍しく声を荒げているのがフェルネス。

 彼が声を荒げるのは無理はない。

 さらっと出されていようが、今映し出されているのは、ガオガイガーの様な『画』ではない。

 

 正確には緻密であれど、ガオガイガーの映像は多少画質が荒いところが見受けられる。

 今、見ているのは現実と謙遜ない、フルハイビジョンの様な映像だ。

 平たく言えば高画質のカメラ映像。

 当然、この様な映像等、この世界にはない。

 

 そして、この場にいる、カルディナ以外の人物はこう思っている。

 

 

 ガオガイガー以外に、こんな『動く画』が!?

 しかもキレイ。

 

 そんな空気をカルディナは「おや?……ああ。」と察し、モニターに映る映像の再生を止めた。

 

 

「すいません、説明不足でしたわね。これは私の『見た記憶』ですわ。ちなみに私は、自分で見聞きしたものを、この様に再生出来る……そんな魔法と言えばいいでしょうか、持っています。」

「つまり……どういう事でしょう?もう、何が何だか……」

「……判りました。一から説明しましょう。」

 

 

 そして溜め息を吐いた後、カルディナは立ち上がって、舞台まで移動した後、自身の頭を指差して語りだした。

 

 

「……仮称として『記憶書庫(B・ライブラリー)』と名付けています。私は生まれながらに、この世界とは別の世界の理、法則、そしてアイディアが記された『集積情報』を頭の中に有しています。」

『!?!?』

「それは雑念とした記憶ではなく、整理整頓された本棚の様に、何時如何なる時でも自在に、様々なジャンルの情報を忘却する事なく情報を引き出せる能力として認識し、使わせて頂いています。」

 

『……』

 

 

 まさかの話に、誰しもが言葉を失った。

 それはそうだ。それはカルディナ・ヴァン・アースガルズを支えてきた根幹の内容である。

 彼女の偉業のタネを自ら明かすようなものだ。

 それからカルディナの話は続く。

 彼女が『記憶書庫(B・ライブラリー)』を用いて、何をしてきたか。

 何を考え、何を成したか。

 聞けば聞く程、その場にいる者にとっては覚えのある事ばかりだ。俄然納得がいった。

 ただし『記憶書庫(B・ライブラリー)』は物言わぬ情報の塊。

 情報の取捨と、この世界の情勢に合った選択は、間違いなくカルディナ自身。

 そして、その恩恵を受けてきたのは、間違いなく自分達……

 

 

「……そういう事だったのね。道理で専門外の知識をこれでもか、と知っていると思ったわ。」

「そして、先程の『画』……映像ですがあれは『記憶書庫(B・ライブラリー)』の応用、もしくは副次効果です。私の見聞きした情報が『記憶書庫(B・ライブラリー)』に自動的に映像に変換され、変わる事なく保存されます。そして、その情報は変わる事なく再生……つまり今の様に見る事が出来ます。」

「……成る程。生まれながらに持っている、という事は、お嬢様が今までは見聞きした全情報は全て『記憶書庫(B・ライブラリー)』とやらにある、という事ですか。」

「ええ。生まれてから、今まで。全てありますわ。先程の映像もその一つですが。」

『………』

 

 

 ───生まれてから、今まで。全て。

 それは、様々な意味を含め、想像を絶する。

 カルディナは立場上、大小、善悪、綺麗汚い、そして事の裏表……様々な事を見聞きしただろう。

 そして、この能力の使い途は、人の数だけ出てくる。

 それこそ裏も表も……

 

 

「誤解しないように付け加えますが、映像を引き出すのは任意です。勝手には出ませんわ。それに、不変的に保存されるだけで、映像にされなければ、基本的には普通の記憶と思い出し、でしかないと、私は考えてますが……変だと思います?『記憶書庫(このようなもの)』を持っているなんて。」

 

 

 説明の最中、急にカルディナの言葉が弱々しくなる。

 自身の、普通ではない秘密を明かすのだ。

 覚悟はしていただろうが、いざとなると、カルディナとはいえ臆病にもなる。

 

 しかし……

 

 

「いや。むしろ私は技術の出所がはっきりして安心したわ。それに私等、職人達にとっては『記憶書庫(B・ライブラリー)』って奴から出た技術が、どういうものか判別出来ない朦朧はいないわ。その技術の高さが、私等をどれだけ高めたか……」

「そうだよ、お嬢。お嬢が特別ってのは、みんな知っている。それが今更、そのタネが判ったところで、むしろお嬢の凄さが増すぐらいだよ。」

「ああ。それに、お嬢は俺達、職人にも、そして『あいつら』にも生きる場と、誇りをくれた。そして腕を存分に振れる場所を……みんなそう思ってる。」

 

 

 イザリア、そしてヴィトーとフランの言葉。

 それにフェルネスが続く。

 

 

「それに納得もしました。生まれながらに特別な能力を持つ者も、この世には多少なり、います。後はその能力を持つ者次第です。お嬢様は、このアースガルズ領の発展に、そしてアルド・レイア王国の発展に充分な貢献をしています。お嬢様を妬む者こそいますが、否定するものは、そういないでしょう。」

「それに、この世界とは別の理……ずいぶんイカす言葉じゃねえか。それにこの映像一つ取っても、凄ェ発見で、この国の王様が蔑ろにする訳ないだろうに。他にもまだまだあるんだろう?ワクワクすんじゃねぇか。」

 

 

 ダーヴィズも自分の事のように話す。

 そして、フミタンも……

 

 

「それにこうして秘密を打ち明けて頂いた、それこそ私達は嬉しいのです。その様な重要な秘密を打ち明けるに足ると認められてたのですから。」

「……フミタン。」

「ですからお嬢様も臆せず、仰って下さい。今後、何があろうとも、お嬢様の味方であり続けたい私達の為にも。」

「………」

 

 

 少しこそばゆい気もする。

 そしてそれ以上に安心した。

 親しい一部の人とはいえ、自分の秘密を明かすのは、いつか来る今後のための通過儀礼でもあるが、成す事情故に自身の異端性はどうしても隠しきれない。

 それがどう思われるか……

 しかし自分のやってきた事、隠してきた秘密について、率いる部下、配下は自分をこの様に評価していた。

 

 

(……良かった。)

 

 

 そして、そんな不安な気持ちをここにいる皆は、いつの間にか感じ取っていた。

 恥ずかしいので顔に出さないようにしつつ、胸に秘めるカルディナであったが、照れて顔が少々赤くなったのはご愛敬。

 

 

「ま、まあ、みなさんのご理解を得られたので、話を進めさせて頂きますが……私の事はまだ序の口。この程度で驚かれたら、この後が持ちませんわよ?」

「もちろんです。お願いします。」

 

 

 話を戻し、改めてスクリーンの異形の怪物を注視する一同。

 暗闇の中、発光する赤い双眸と、紫がかった木肌に似た肌を持つ、でっぷり太った人型の怪物。

 そして、独特過ぎてすぐにその存在が判る叫び声。

 

 

「これが、私が見たゾンダーです。在りえない事に3体いました。」

「こりゃ、まあソックリ……いや、ガオガイガーで出た奴と瓜二つだな。」

 

 

 ゆっくりと闊歩する、数体のゾンダーは周辺に散らばった鎧兜や荷台を認識すると、その形を粘土のように変え、それぞれそれらにダイブする。

 それはゾンダーをよく知っているものなら判る行為……融合である。

 

 ある個体は、鎧兜の怪物、リビングアーマーの様な姿に。

 ある個体は、荷台のチェストボックスと融合し、宝箱の怪物、ミミックの様な姿に。

 ある個体は、荷台や鎧兜では足りないようで、周辺の岩や木々すらも取り込み、様々なものが混在するゴーレムの様に。

 

 どれも禍々しい、三者三様の仕様となった。

 

 

「うわ!化けた!」

「でも思ってたのより、小さいんだけど……」

「おそらく、質量とエネルギーの問題でしょう。あれだけでは映像のように巨大にはなれませんわ。」

 

 

 事実、決闘級魔獣程度の大きさにも満たず、もしくはそれ以下の大きさでしかない。

 

 

「しかし、何故この様な者が……まさか、このゾンダーは誰かが創ったとか……」

「いや、それはないでしょ?確か、ゾンダーメタルって奴がないと、こいつらは存在しない……ハズ、よね、お嬢……?」

「正確には素粒子Z0を振り撒く、ゾンダーメタルプラントが存在すれば、ゾンダーメタルはありますわ。そしてそれを管理するゾンダー人間……ゾンダリアンもセットに。」

 

「「「「「───!!??」」」」」

 

「そして挙げ句には、EI-01(パスダー)の様な首魁もいるのでしょう。私はこれっきりですが、過去にも幾つか似たようなゾンダーの目撃情報は点在してます。」

「じ、事実、ですか……?」

「ええ。それに、ここ数年で僅かですが増えてきています。」

 

「「「「「───!!??」」」」」

 

 

 まさかのカミングアウトに一同、本日何回目か解らない絶句。

 まさか自分達の知らないところで、そんな事が起きているとは……

 ちなみに調べたのは、フミタンと、カルディナの息がかかった数人の執事、メイドである。

 

 

「……ホントに?フミタンさん。」

「……はい、お嬢様の命で、時折目撃証言を聞き出すよう、過去に数回ありました。『訓練』と称されて、初めは訳が分からないまま聞き出しをしていましたが、実際に見たと証言が上がり、そして実在するとは思いませんでした。極め付けはガオガイガーの冒頭を見た時のゾンダーの姿……あまりの驚きに、どうリアクションを取ればいいか、解かりませんでした。」

「……そりゃそうだよ。」

「ちなみに、目撃情報の照会に使った資料はこちらです。フミタン、皆さんに見せて。」

「はい。こちらになります。」

 

 

 そしてフミタンが見せたのは、一冊の本。

 それは……

 

「……幻獣百科?」

「確か、千年前よりエルフ族の手によって作られた本で、既に滅んだ幻の獣だったり、今も尚存在する強大な魔獣を記した、挿し絵付の百科事典ですね。発行部数こそ少ないですが、今でも魔獣退治に重宝され、何十年かに一度、更新されています。」

「その通りです、フェルネスさん。これは500年程前に発行されたものですが……こちらのページをご覧下さい。」

「……まさか。」

「まさか、です。」

 

 

 そして恐る恐る幻獣百科を覗く一同。

 もう、答えは判っている。答えは出ている。

 見なくてもいいだろう。見なくても判るだろう。

 ……が、本当は見たくないのが本音。

 ……しかし、見ねばならない。

 

 一同、勇気を出して本を覗き込むと……

 

 

 

『………』

「……なんて事なのよ。」

「……本当にヤバいって。」

「……どうしてこうなった。」

「……どうしているんだよ。」

「……ええ、いましたね。」

 

 

 絵師の腕は非常に良いのだろう。

 挿絵のスケッチは、ほぼ狂いなくカルディナの映像と瓜二つ。

 全ての特徴は、ゾンダーメタルを植え付けられた、ゾンダー人間と一致していたのだった。

 

 そしてカルディナは疲れた表情で、椅子に座り込むとポツリと呟く。

 

 

「……まるで、『胡蝶の夢』ですわ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《……NEXT》

 

 

 




いよいよ出しました、ゾンダー。
でも、ゾンダーを放っておいたら機界昇華が起こるのでは?と思うでしょうが、事情はありますので、この点は追々に。

あと、話の流れで、シルエットナイトの技術でガオガイガーを創るというのは、正直無茶が有りすぎるし、何よりそれは『シルエットナイト』では?思われる方もいると思います。

実際、その通りではと筆者も思います。

そして、これじゃあ『ナイツマ』が原作では?という声も幾らか出ているのは事実です。

でも現在は話の流れで『ナイツマ』要素が強く出ているだけで、ガオガイガーの話の流れで例えるなら、Number 01にすら届いていない『準備期間』です。

また、原作タグにガオガイガーを使用していますが、これは話の展開上、中心軸をガオガイガーにしないと、話が矛盾してしまうからです。

ましてやガオガイガーで『異世界モノで公爵令嬢を主人公にする』というものです。
世界観や設定は相当ねじれてます。
ガオガイガーとオリジナル設定だけでは、話が大甘になり、メカニックの設定がぼやけて困難になるからです。

また、筆者は『ナイツマ』大好きなので、どうしてもクロスオーバーさせたかったのですが、少し出しただけで、世界観が『ナイツマ』だと思わせるのは、『ナイツマ』がそれだけ異世界ロボモノとして、強い存在感を出しているのでは?と思います。

すいませんが、もう少し生暖かく見守ってください。

筆者の性格上、キャラクターやロボの細かい描写をハッキリさせておかないと、前には進めないので。

あと誤解されている世界観ですが、皆さんが思う以上にめんどくさい設定になってます。
筆者も原作タグを『異世界・スーパーロボット大戦』でいいのでは?と思います。

それでは次話にて。

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