なんかネットでドアパンニキと呼ばれるようになりました 作:先詠む人
「あだっ!?」
ゴンっという鈍い音とともに視界に星が散る。
「いってぇ……」
鈍痛が走る額をなでながら目を開くとそこには鞄が直撃した俺を心配そうにこちらを見る大地たちの顔ではなく、怒ったような顔をしながら俺の部屋に置いてる中で一番重たい目覚まし時計を振り切った体勢でこちらを睨む
「ぁにすんだよ!?」
とガバッと起き上がったところで気づく。あぁ…さっきのあの日の夢だったのかと。
今俺がいるのはあの夕暮れのパソコンルームではなく、電灯の白い光に照らされた自室。着ているのも高校の制服ではなく部屋着。
「私が何に対して怒ってるのかわかる?」
今にも怒髪天を突きますといわんばかりに怒っているハルはそう言って俺の胸倉をつかんだ。
「……知らん。というかどうせ俺という人間にはそもそも人に口を出す価値すらないのに口だしたからとかそう言った理由だろ…」
顔をそらしながらそう俺が返すと、あきれたといわんばかりにハルはため息をつき
「……ま~たそんなこと言って……いくら中学のあの試合のこと引きずってるからってなんでそんな自分を基本卑下すんの?第一あの試合だって完全にお兄ちゃん悪くないじゃん。悪いのは必死にゴール護ったお兄ちゃんがはじいたボールを思いっきりゴールにシュートしてオウンゴールしたディフェンダー?のあのお兄ちゃんの一個前で守ってた人じゃん。なんでかみんなお兄ちゃんが弾いたことを責めたけど*1。」
怒りも失せてどちらかというと呆れが上を言ったとでもいうかのように言って続けた。
「私が怒ってるのは自分の言いたくないこととか出たらすぐに逃げてそうして自分を卑下して自分を責めてそれを押し込んで何もないかのように振る舞うことだよ。そんなことしてたから卒業式の時に体調崩して血を吐いて病院に担ぎ込まれたんじゃないの?」
顔を合わせれなかった。実際、周りからのその試合の件がさらにひどく脚色された状態で広まっていたせいで嘲笑の目にさらされ続けたのをだれにも言えず我慢し続けた結果、式中に限界が来て証書を受け取るために壇上へ向かう途中で血を吐いて病院に緊急で担ぎ込まれるという悪い意味で伝説を残してしまった俺である。
「それに……いや、いろいろ言いたいことあったけどその顔じゃいいや。今にも死にそうな顔してるし。」
「……そんなひどい顔してんのか俺…」
そう言って鏡なんて上等なもん置いてないからベッドサイドに基本放り投げている携帯を掴んでインカメラを起動しようとすると何件も通知が来ているのに気づいた。
「……うせやん」
通知の相手先を見て俺はそう呟かずにいられなかった。通知が来ていたアプリはLI〇EとTwit〇er、それもTwi〇terの方は俺がクロノスとして活動していた際に個人連絡用に使っていたアカウントの方への連絡だ。
LI〇Eの方は大地と浩司だったから後回しにするとしてTwit〇erの方から確認する。通知の内容は全部DMでイリアスのクロノスとして活動していた際に絡みがあった有名な実況者の方々からいつの間に復帰したのかという驚きの文面か、事故で瀕死になっていると聞いていたがどうやら元気そうで安心した。また今度都合がいいときにでも一緒に遊びましょうという内容。
「どうしたの?……ってこの人もこの人も有名な実況者さんじゃん。お兄ちゃんやっぱり何か隠してるでしょ!?」
俺が半ば呆然としながら端末をいじっているとその画面を横から除いてきたハルが驚きの声を上げたことで俺は我に返った。
「見るなって!?」
慌てて画面を隠すように持つもハルは俺の腕からサッと端末を奪い、操作してTwit〇erのアカウントの個人画面を開いた。
「実況者グループイリアス所属のクロノス……?」
あぁ…読まれてしまった。そんな思いが俺の胸をよぎる。
「……ねぇお兄ちゃん。」
半ば愕然とするようにハルは俺の顔を見てこう続けた。
「このクロノスって他所の事務所だけどクジゴジで活動してる神田結城の中の人のことじゃないの…?」
「………はぁ?」
その思ってもいなかった返しに今度は逆に俺がアホみたいな顔して返事をしてしまった。
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神田結城
誕生日
20××年4月14日
活動期間
20××年4月14日~
経歴
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聞いたことのない名前を言われてすぐに検索アプリで詳細を聞きながら検索を掛ける。すぐに出てきた非公式Wikiを確認していると、下の掲示板の所にとある切り抜きのリンクとともに【また中身詐称するアホ神田】というタイトルが記載されていた。
「ほら、この動画。元動画は既にアーカイブ閉鎖されているから見れないけど切り抜き師の人が優秀だったからかこれ残ってるの。」
「……」
ハルの指差しと言葉を聞きながら無言でそのリンクを踏み、見慣れた動画サイトのアプリの起動画面を経て流れた動画にはとあるマシュマロを表示している右横に白髪のやんちゃそうな男のイラストが表示されていた。
<神田の魅せプの仕方見てたら差別発言して炎上して所属グループ潰したアホのこと思い出すんだけど神田Zeusuって知ってる~?>
真ん中に表示されている質問の内容を読み上げ、男の声とともにイラストが動く。
『これねぇ~、俺のマシュマロに結構来てるんだけどこの際言っとくわ。俺はむしろ面子潰された側』
そのわずかな声だけでわかった。ボイスチェンジャーを使って微妙にピッチ下げているようだが、こいつは
『オーディションの際にも聞かれたんだけどさ~、俺どっちかというとサポートしてた側だからな。ほら、クロノスって知ってる?あれ俺』
その言葉を聞いて端末を握る手に無意識のうちに力が入る。若干ミシっという音が聞こえたが俺はその動画を食い入るように見ていた。
「ほら、本人こう言ってるし。まぁ、誰も信じてないんだけどね。」
「……だろうな。」
俺がそう返すと画面内で
『あ、これ言っちゃダメだった!?いやぁ……ごめん。配信切るわ!!』
という反応を見せながら画面の中に映る男は慌てた様子で配信を切り、動画もそれとともに終わった。
「……」
心臓が叫ぶかのようにドクンドクンと鐘を打つ。
こんなところでこんなクソ野郎に言いたいように言われて負けたままで利用されたままで終わってたまるかと。
ふと、何も握っていない左掌を見つめて握りしめた。ギュギュギュと音が鳴るぐらい力を籠めながら自分が何をいまするべきか考える。何かで殴り倒すなりなんなりしてあの日のうっ憤を晴らす?それもいいだろうが、アイツが今どこにいるのかわからないし、そんなことをしたとしてもこの気持ちは恐らく晴れない。
それにあの日アイツが俺を階段下に蹴り落としたという事実は階段上の住宅街に監視カメラが無いから映像記録が一切ないことや、俺が撥ねられたり転げ落ちたりした際に蹴り飛ばされた際についたであろう靴跡が一切合切なくなってしまっていたせいで警察にも俺の訴えは通じず、動けないといわれアイツは現状無実の一般人でしかないのだ。一般人でしかない以上俺が危害を加えたところで俺が悪いと一方的に決まってしまう。そうしたらうっ憤を晴らしたところでそれだけで終わってしまう。アイツにとって一時的な損で俺は一生の損だ。その上そんなことしたら家族全員に迷惑をかけることになる。ましてやイメージ商売でもあるVtuberなんてやってるハルにとっては大打撃だ。
どうすればいい。何をすればいい。何をすれば最大効率でそして最大の傷をあいつにつけることができる。そう高速で考えている俺に気付いたのかハルは俺の肩を揺さぶって
「お兄ちゃん!!話聞いてる!?」
と、声をかけてきた。
「…ん。あぁ、聞いてなかった。」
正直、そんなところで嘘をついてもしょうもないし何よりうちの家系の女性はみんな俺か親父が嘘をついたとしてもすぐに嘘と見抜いてしまうので嘘を吐く必要がない。だから正直に聞いてなかったことを白状すると
「ほらやっぱり……」
と言ってから悪魔のような表情を浮かべて
「その神田さんを含めた数人と箱を超えたコラボが今度ある予定なんだけど、そこでお兄ちゃん私が推薦する特別ゲスト枠で参加してみない?多分事務所からのOKはお兄ちゃんならすぐもらえそうだし。」
そう悪魔のささやきのごとく告げてきた。
そう言えば直接関係ないですけど、今日って選ばれし子供たちのうちの7名がデジタルワールド行った日で栄ばあちゃんの誕生日ですね。この作品デジモンあんまり関係ないですけど。今日は最新話打ちながら途中からその配信見てました。サマーウォーズは今年はまだ見てないですが。今年はいつやるんですかねあれ。
一応、ドアパンニキとZeusuのリアル関係の因縁は次か、その次くらいで終わらせてあとは復讐鬼になりかけのドアパンニキが実況者としての本分を取り戻しつつ飯綱イヅナと絡む内容にしていこうと思っています。