なんかネットでドアパンニキと呼ばれるようになりました 作:先詠む人
大学のサークルの仲間から連絡が来たとあるゲームの公式情報に驚いた俺は、すぐに過去の仲間にスマホで連絡を取ろうとした。
幸いなことに向こうも同じだったらしく電話を掛けるとワンコールで反応があり、そして同時に焦ったような声が聞こえてきた。
『おい!! 何で裕也がネトゲの公式放送出てるんだよ!? あいつ退院して結構経っているとはいえ前にお前から聞いた話だと本調子じゃないんだろ!!』
電話口からあふれ出す怒声のような声。それに耳が痛くなるような思いをしつつ俺は怒鳴り返すように答えた。
「そんなの俺が知るわけないだろ!? 俺も今さっき大学のダチから聞いておったまげたからおめーに連絡したんだよバカ!!」
目の前のパソコンの画面に映るのはサークル仲間から転送されたとあるゲームの公式Twit〇erのつぶやき。
電撃参戦!! と銘打たれた下に続いていたのは俺たちからしたらある意味見慣れた名前。
それは俺たちの青春を共にし、そして卒業式直前に何らかの原因で事故に遭い昏睡状態や生きることも危ぶまれた大事な仲間が使っていた別名。
クロノスという名から連想したこの名前は、あいつ自身が生き物の中で狼が一番好きなのと若干一匹狼気質なのもあって、アイツにぴったりの名前だと高校時代俺たちは笑っていた。
『それに一緒に番組に参加する予定になってる神田ってこれ修哉なんじゃねって前に疑惑立ってそのまま置いておいてた奴だろ? なんでこんなこと……』
電話相手である浩司が困惑したかのようにそう漏らすがそれは俺自身が一番知りたい。
「そんなの俺が一番聞きてぇよ……」
俺もそう漏らしながら呟きに貼られていたリンクから番組のページへと飛ぶ。数秒ほどの読み込み時間を待つと画面に動画が映される。そこに映っていたのは……
「「えっ!?」」
マッチが始まると同時にダッシュでマップ内で一番高い構造体へと向かう。
「高所取って援護します!!」
マッチ直前にオンにしたVC機能を使い宣言すると同時に現行仕様になってから追加されたジップラインを使って一気に移動し、このマップで一番高い塔の最上階までアンカーフックを使って宣言から数十秒もたたずにこのマップで一番高い塔へと俺はたどり着いた。
高所を取ってすぐ今日までに確保した3つの武器のうちの一つ、スナイパーライフルを展開してポジションを取るように構える。
そこで周囲の状況を一旦確認。そのままステータス画面から変装用に取り付けていたイヤリングを外そうとする……が
「は?」
アクセサリーから外そうとして画面に表示されたのは
という表示だった。
<あかん……>
内心そう思いながらステータス画面の横に表示されている、とある小説原作のアニメ作品のキャラクターを模したかのような金髪碧眼の
その姿は俺が元々使っているアバターとは雲泥の差がある俺の得意とする戦闘中の武装の適時変更という技術と似たような技術を使うキャラクターの姿。本来女性だけが使えるはずのアーマードスーツが世界を制した女尊男卑の世界で、ただ一人そのアーマードスーツが使えてしまった少年を主人公にした作品とコラボしたときにガチャで配布されたキャラクターを模したアバターへの容姿一時変更アイテム。それを俺のファンと名乗るプレイヤーが俺の得意とした技術がそれとほとんど同じだからとくれたのを倉庫に死蔵していたので変装に丁度いいと今回使っていたのだがまさかこんなことになるとは……
<…………しゃあない。切り替えていくしかない>
そう思い、すぐにメニュー画面をクローズ。ライフルについているスコープを覗き込んで敵チームがどこにいるかを確認する。
「…………居った。距離400程、方位南西、草原地帯に敵部隊発見。マップ的にはA-4エリアからB-3方面へ移動中」
ゲーム内VCで細かく報告しながらしゃがみ状態でスコープ越しに敵の位置を把握、そのまましゃがみから寝そべりに移行して二脚を用いてライフルがずれないように支える。
「距離200ほどに入ったタイミングで第1射撃ちます。2発ほど撃ったのちB-3エリアへ移動。そのまま合流して近接戦入ります」
『了解。……にしても、おn……大神さんがまさか女体化願望持ちだったなんてね~』
『あ、それ私も思った。大神さんなんで女性アバター使ってるんですか? 昔暴れてた時男性アバターでしたよね?』
スナイパーライフルのスコープに映る
「向こうに因縁のあるやつがいるので変装用にマッチが始まるまで特殊な装備アイテム使って化けてたら戦闘エリアだとそのアイテム外せなかったんですよ」
そうとだけ答え、
「距離200……第1射撃ちます」
とVCボタンを押して淡々と告げ戦端を開く狼煙を上げる第1射を放った。
「クリティカル。1名撃破」
相手の移動する方向、速度、位置。それら全てから予想した場所へ放った弾丸はそこへまっすぐ引き寄せられるかのようにやってきた敵チームの一人。頭部装甲を除いて現状一番装甲値が高いといわれているアーマーを装備していたキャラクターの脳天をぶち抜き、レティクル越しに映すその姿をポリゴン片へと変えた。
クリティカルが出た証拠である一瞬だけ弾けるような光が脳天を貫いた瞬間出ていた。恐らく装備されていたアーマー値すらぶち抜いたに違いない。
元々俺が装備しているこのスナイパーライフル:フェンリルは、実際にあるアンチマテリアルライフルヘカテーⅡをベースにしたゲームオリジナルのライフルだ。
そのせいで一度に装填できる弾数はそれほど多くはないが、一発一発の火力は冗談じゃないほど高い。
その威力は最初に手に入れた後、調整を兼ねてマッチで使ってみたら一発の弾丸で盾を装備した敵のアーマー値を激しく削ったことで証明済みだ。
「2射目!!」
薬莢を排出。ボルトアクションムービーが一瞬挟まれる間に即座に次弾が装填され再びレティクルが画面中央に出現する。そして合わせた場所めがけて続けて放たれた2射目は神田が操作していると思われるキャラクターの中心線、胸の辺りに直撃した……が
「チッ!! やっぱりかよ!!」
舌打ちして悪態をつく。直撃弾が発生したというエフェクトも、放たれた弾丸がどこに当たったかを示す弾着表示も画面UIの左上にしっかり表示されているのに、キャラクター上部に表示されているHPゲージは一切の微動もなし。
その時点で俺の中で疑惑が半ば確信へと変わった。
「本来のあの装備だとアーマー値余裕でぶち抜いてる弾丸の直撃弾受けてるのにこれってことはどんだけ堅くなってるんだよ!?」
愚痴るかのようにぼやきながら言いつつ思い出すのは、このゲームに復帰してすぐのころのマッチで味方になったやつから愚痴るように聞いた話だ。
『アーマー値馬鹿みたいに堅くするチートっていうか、コード? が最近流行ってるらしい』
装備強化の画面でキーボードをコナミコマンドのようにある特殊な操作をすると出てくるソース画面にそのコードを打ち込むことで、どんな装備でも破壊不能オブジェクト並みに防御力を上げることができるという。流行らせた奴はこのゲーム自体を破壊するつもりでしかないのかと言いたくなるそれは、運営もチートかどうか判断しづらいためBANされないと流行っているらしい。
因みにそれに対抗するためなのか知らないが、逆に破壊不能オブジェクトも破壊できるように武器の攻撃力を上げるコードもあるらしい。ただし、防御力を上げるコードと違って一回だけ使用可能にした状態で高額で取引されているそうだ。恐らく出しているのは防御力を上げるコード出した奴らと同じ奴らだと思われるが、使用ユーザーは通報できても作ったやつを責める術が俺たちにはないと、それを教えてくれた奴は言っていた。
「2射失敗! 合流します。敵部隊1名のみ撃破。2名未だに健在。
キーボードを操作してVCボタンを押して味方にそう告げ、配置についていた高いところからムササビスーツ状のグライダーを装備して飛び降りる。
ムササビスーツ状のグライダーを装備している関係でかなりの速度が出た状態で合流予定地点であるエリアB-3へと移動する。
「っ!?」
着地する寸前にこちらへと来た斬撃を避けるためにショートカットボタンを押して装備を解除、攻撃をこするように躱す。そしてそこから流れるようにジャンプボタン、ダッシュボタンとアクションボタンを同時に押すことで勢いを殺すように前転着地する。
「……なっ!?」
ノーダメージ着地した直後、斬撃方向を見る。そこで俺が見たのは衝撃的な光景だった。
「おま……嘘……だろっ!?」
神田が操作していると思われたキャラクターの大剣による攻撃で地形を大幅に破壊されたフィールドと、それに巻き込まれたと思われるクジゴジのチームに所属していたはずのもう一人のキャラクターの半ばに分かたれ、今もなお消えて行っているポリゴン片と上半身。驚きのあまりキーボードの変なところを触ってしまいキーボード操作のショートカットが発動して一部設定が変わってしまう。しかし、それに俺が気付くことはなかった。
「味方毎切り裂いたってのかアイツ!?」
その常人なら絶対にやらないというか、仕様上できないはずのフレンドリーファイアを成し遂げた目の前のキャラクターは、凶刃を振りかざし衝撃で固まっているこちらへチャンスと言わんばかりに襲ってきたからだ。
「この自分のためなら何してもいいとでも言いたげな躊躇なさ……てめぇやっぱりゼウスか!?」
俺もすかさずショートカットボタンを押して武装を不壊属性双剣オルトロスへと変更。受け止めた大剣の攻撃をそのまま受け流すように後ろへとずらし、そのまま敵キャラクターの首筋へとむけて
もはや0距離とでもいえそうな近さで放たれたその七色の嵐。属性をてんこ盛りにした双剣専用アーツの斬撃は、その威力の反動で発生するノックバックダメージを俺のキャラクターに与えながらもキャラクター同士の距離を大幅に開けさせる。
しかし、俺のHPゲージがノックバックダメージの影響で減ったのに対し、神田が操作するキャラクターのHPバーは一切の動きを見せずにいた。
「双剣最強アーツ0距離被弾でもダメなしとかここまでおかしなことなってんだからさすがに動けよ運営!!」
そんなゲーム崩壊とでも言いたくなる事態に半ギレしながら双剣を構えて再度襲い掛かる。
狼を模した飾りから蒼炎を奔らせ、そこから迸る炎の牙でアバターを食いちぎるかのように駆け抜けるアーツ:エッジバイトを繰り出すが、それでもダメージは一切入ってない。
「チッ!」
あまりの手ごたえの無さと、ゲームの仕様上ありえないはずの現状に無意識のうちに舌打ちをしてしまう。
「データドレインなしでモルガナ八相*1相手にしてるんじゃねーんだからいい加減にダメージ喰らえやボケ!!」
悪態をついても仕方ないと理解しているとはいえ、悪態をつかずにはいられず愚痴ってしまう。
『大神さんこれどんな状況!?』
「こっちくんな!! こいつやばい!!」
聞こえてきた声にそう叫ぶかのようにVCボタンを押すことすら忘れて端的に返し、俺は即座に飛んできた斬撃をかわす。
躱したことにより斬撃は俺の背後の方へと飛んで行き、それはそこにあった山々を消し飛ばした。
『キャーッ!?』
VC越しに二つ分の悲鳴が聞こえる。斬撃を放ったのちすぐに襲い掛かってきた大剣の重い攻撃を受け止めながらチラッと味方のHPゲージを確認すると、味方のゲージは消し飛ばされて二人ともデッド状態になっていた。
「クソがッ!?」
再度ランペイジを発動し、嵐を巻き起こすことで自分自身もダメージを受けながら距離を空ける。そのまま俺は再びショートカットボタンで装備を変更し、双剣から俺の一番のメインウェポンへと武器を苛立ちとともに変更した。
「チーター相手に全力とかだせぇとかお前前に言ってたよな……」
昔、イリアス全員でオンゲでチーター集団っぽい奴ら相手にしたとき
「だが、てめぇのことだ。その言葉に対してたとえそうだとしても全力でつぶすのが俺の流儀だって昔俺が言ったの忘れてねぇよなぁ!!」
ただそれを身を護るように振り回す。
それはケルト十字架が付いた灰色の棒。振り回すことでゲージが溜まり、それが一定のラインを超えたことで本来の姿を現す。
ブォン……ブォン……
そんな音とともに、十字架が付いた側からまるで透明なクリスタルが血によって朱色に染まったかのような色をしたパーツ状の光が徐々に現出する。
それに対して大剣を掲げて神田の操作するキャラクターはダッシュ系のアーツを使ってこちらへと距離を詰めてくる。しかし
「判断が遅い」
その時すでに
「いつだって化け物を殺すのは
ぽつりとつぶやくかのように言葉を零す。
「その人間を殺すのが神様だ……」
まるで自分自身に言い聞かせるように
「なら神様を殺せるのは? ……答えは一つしかない」
そう嘯く俺のキャラクターの後ろで影に浮かぶ二つの双眸が赤く光った。
このご時世でアカンことなるのわかり切ってるのになんで売ったし白い箱も黒い箱も。案の定Twitterで燃えてたし
まぁ、確かなろうの評価システムの位置もこんな感じだったはずだし。
ちょっと聞きたいんですが、戦闘描写は
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濃い方がいい
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薄い方がいい
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匙加減は任せた