なんかネットでドアパンニキと呼ばれるようになりました 作:先詠む人
通話をしながら俺たちは画面を見る。
『なぁ、これ……』
通話越しに相手の困惑した声がする。
「……」
それに対して俺が黙っていると相手はそんな俺の様子を気にしてもいないように
『……あいつ。絶対今設定ミスってるよな』
そう続けた。俺はその言葉に
「……途中から音全部入ってるからな……」
そう答えるしかできなかった。画面の中では2体のキャラクターが武器を手に争っている。
片方のキャラクターは重厚感あふれる全身鎧をまとい、大剣を軽々と振り回して
もう片方は俺たちが卒業する前ぐらいに深夜アニメかどっかで見たことがあるキャラクターを模したような容姿にオレンジのSFチックなバトルスーツみたいな装甲をつけた女性キャラクター。女性キャラクターの方はこれまた過去に友人から見せられた記憶が残っているあるゲームキャラクターが使っていた死神の鎌のような光るパーツで構成された大鎌を振り回して大剣と時に回避しながらも斬り結ぶ。
画面の中心には2体のキャラクターが相も変わらず斬り結び続けている。そんな横の方で「解説の仕事? そんなの知らねぇ」といわんばかりにワイプで映し出された小さな画面の中で解説と最初に紹介されたはずの一人の男が血走ったかのような目をしながら高速で画面を凝視しつつ目を右から左へと走らせる。
そんな光景がずっと5分前から延々と繰り返し映し出されていた。
そして各々のキャラクターを操作している者たちの声が聞こえてくる。
それはともに男の声。
そしてそれは……
『この声……言わなくてもわかるよな?』
「あぁ……」
耳に当てたスマホ越しからでも伝わってくる通話相手の怨! 怨!怨!の意思。恐らくは画面越しに見ているキャラクターの操作主たちは俺たちがこれを見ているということを知らないだろう。だが、俺たちは恨まずにはいられなかった。
このゲームは昔俺が少しだけ触ったときの設定がそのまま使われているのならばチームごとの通話はできるが別チーム同士だと音声は聞こえない。ただし、観戦モードで見ているアカウントには両チームの音声が聞こえるようになっている。
そして俺たちが今開いているのはゲームを出している会社の公式アカウントの配信のため観戦モードのアカウントでこのマッチを見ている形になる。そのため両者の声が全て流れているのだが、そのせいで俺たちは疑惑を確信に変えていた。
『なんでこいつ死なねぇんだよこのチーターが!!』
俺たち、いや大半の奴からしたら「お? 鏡見ろよ。それが答えだ」とでも言いたくなるよな声で相手を罵倒している男の声は焦ったときのどもり方、罵倒のレパートリー。それらすべてが過去に俺たちのすべてをむちゃくちゃにした挙句一人だけ勝ち逃げした? 男の俺たちの記憶の中にある癖と完全に一致していた。
「『赦さねぇぞ四宮ぁ……』」
無意識のうちに零した言葉が通話相手とハモる。
恐らく画面で戦っている女性キャラクターを操作している
<この戦いに
そう願った瞬間、小さなワイプで血走った目を走らせていた男は急にニンマリと笑っていた。広大な砂漠から貴重なオアシスを見つけた男のように。そして口を開くと同時にキーボードに指を走らせる。
その瞬間
ポタリ……ポタリ……
口元のすぐ上を通り過ぎる何かがデスクの上に滴る音を聞きつつ高速で頭を回す。一瞬一瞬に全力を出さなければその次の瞬間体を真っ二つに切り裂かれるゲーム。
限界以上を強引に引き出されている視界は霞み始め、自分自身が今どこで何をしているかすらわからなくなっていく。
個という概念が半ば焼失していき、まるでこのゲームにすべてをかけて全て燃やし尽くしてしまうかのようなそんな様子で俺は手を動かす。
大剣を後ろに回すモーション。
その動きからくるのは2秒後に振り回し攻撃。普通の動きで避ければ改造されているこの武器を使った攻撃範囲から逃れれずにキャラクターはケーキのように切り裂かれる。
それを避けるには引きつけてから判定ギリギリを回避するしかない。俺の職業の特性として回避の際にコンマ数秒レベルで無敵時間が発生する。それを使って避けると同時に距離を詰めて武装をオルトロスに変更。
「…………」
今この瞬間喋るのに回すリソースすら惜しい。機械のような精密さで機械のように冷酷にただ操作に没頭する。
狙うは首筋。装備と装備の隙間にあるはずのドット単位の武装の防御値が一切関係ないはずのダメージゾーン。
弾かれたことでできた隙を付くように大剣が再度振り抜かれる。
先ほどの攻撃と違い今度はアーツが付与されている。武装をフェンリルに変更。地面を打ち抜き銃器全てに設定されている
そのままオルトロスに再度武装を変更しその状態でアーツを発動。落下しながら発動されたランペイジはさらに反動を俺に与え、そのまま大きく距離を開けた。
弾き飛ばされて落下しながら再度フェンリルに武装を変更。
着地と同時にスナイパーライフル専用アーツを発動し三脚など使わず即座にスコープを覗き込み一射を撃つ。残弾2発。
アーツによって補助された弾丸が直撃する。大きな火花が散るが、HPバーには変化なし。
……いや? 何か妙だ。前が霞んで何も見えなくなってきた。しかも心なしか朱に染まってきている?
ぼたぼたと何かがこぼれる音が連続して聞こえてくる。だがここで止まるわけにはいかない。
距離を詰めるかのように大剣を掲げ敵が接近してくる。
武装を
そして迫ってくる大剣の攻撃を避け、アーツ<
それは吸い込まれるように敵の首に食い込み、そして……
「え……」
画面に映されたのは敵の首に食い込んだ鎌の先が先ほどまでと違ってまるで絹豆腐に箸を入れるかのように吸い込まれていく姿。
さっきまで硬すぎて何もかもが弾かれていた攻撃がクリティカルヒットも相まって敵のHPを全損させていた。
呆然と画面を見る俺をよそに画面は中央に<YOUR WIN!!>の表示が展開される。
「う……そ……?」
画面を見て辛うじて認識できた勝利したという事実。それを脳が認識するにつれてずっとぼたぼたと垂れていたものが何かと言う現実が押し寄せてくる。
「っ……!?」
事故で受けたときの激痛と同等……否それ以上とでも言いたくなる頭が割れそうな程な激痛が走り、反射的に右手でそれを抑えるもそのせいでバランスを崩す。それと同時に俺の身体は傾いた。
あ、やべ。ぶっ倒れる
その時点でやっとそう認識するもそこまで言った状況を止める術は俺には無く。大きな音を立てて椅子ごと横にスローモーション映像を見ているみたいに倒れていく。
椅子が倒れる際に背もたれが机の横に置かれていた棚に引っかかり一瞬止まるが、それで体重を支えることができるわけもなく。俺の身体はそのまま床に投げ出されると同時に一瞬傾いたせいで滑り落ちた棚に置かれていた大量の
そして落下してきてスイッチが入ったせいで光り、音を鳴らすガシャットに包まれながら俺の意識は薄れていった。
「お兄ちゃん!?」
そんな悲鳴が部屋に流れるまであと数秒。
連続更新掛けれるといいな……
武器とかその辺のちょこっとした解説。
スナイパーライフル:フェンリル
作中でも書いているが、モチーフはSAOにも出てきたアンチマテリアルライフルウルティマラティオヘカートⅡ。
双剣:オルトロス
モチーフ:.hack//XXXXに出てきた主人公カイトが最後の戦闘でコルペニクぶった斬った時持ってた双剣+オルトロス(2つ首の狼?狗?だから)
技:《ランペイジ》
モチーフ:01のゴリラこと不破さんが変身する仮面ライダーバルカンの最終フォーム、ランペイジバルカンの必殺技のエフェクト。
というか、不破さん劇場版で迅君にバルカンじゃなくてゴリラー!!って叫ばれてなかった?(それを確認したかったけど映画もう公開終わってた)
大鎌:
モチーフ:言わずと知れた.hack//G.U.のハセヲが持ってた武器っていったらロストウェポンの方を思いついた人多いかもしれないけど、個人的には小説版の方の巫器の処刑鎌とXthフォームの巫器のイメージから引っ張ってる。(俺にとっての.hack//の入りがG.U.の小説版だったから)LRやりたかったけど発売当時ハード持ってなかったせいでやってないし、ハード自体は今の糞ブラックなとこで働き出してから生産中止鳴る前ギリギリでPro仕様買ったからまだ手に入ってない。
武器の名前は伊邪那美命と伊邪那岐命の神話で毎日何人殺すんならこっちはそれ以上子供産ませるわ(超概略)という逸話からイメージ引っ張った。
ケルト十字が付いた棒を振り回すことでゲージが溜まりそれが一定の量を超えることで鎌としての本来の姿を現す。
AWのクロムディザスターが頭浮かんだから名前貰った。以上。
.hack//関係のマンガとか小説って悲しいけど大体もう絶版なってる上に電子書籍にもなってないの多いから興味持った人は書店探すよか古本屋行きましょう。(そっちの方がある可能性高い)
自分が把握してる限りノベライズ版もコミカライズ版も角川から出てるから鳳マークのコーナーか角川スニーカー文庫のコーナー探したら見つかるかもよ。(.hack//の方の小説版は一時期探してたけどマジで見つからないからない可能性が高い。ただ一杯本集めてる図書館だったら置いてることあるけどね。)
ちょっと聞きたいんですが、戦闘描写は
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濃い方がいい
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薄い方がいい
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匙加減は任せた