神憑くは無限の空   作:マギウスの親戚

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02. マリエ、カムバック

時縞ハルト

 

 

 

 再び様子がおかしくなった僕を心配しまくる父さんをなんとかなだめ、自室でタブレット端末を使ってネットから情報を集めた。

 

 ジオール、アルス、ドルシア、咲森学園、ダイソンスフィア、ニューギニア条約……、どれもまともにヒットしない。

 ただ、ニューギニア島という場所は存在するし、大陸の位置や形も社会科の授業で習ったものとほぼ一致している。

 

 そして元号。

 僕の知る『真暦』ではなく『西暦』というものが使われている。

 この元号は、かつて月での戦争よりも昔に使われていた、というのを聞いた事がある。

 

 ならここは、やはり過去なのではないか?

 そう思ったのだが、今世間で注目されているある兵器(・・)の存在がそれを否定している。

 

 IS(インフィニット・ストラトス)

 

 元々は宇宙空間での活動を想定したマルチフォーム・スーツなのだが、現在はその機動性や武装の強さによって最高の兵器扱い。

 

(元々の目的が別にある超兵器……、まるでヴァルヴレイヴみたいだ)

 

 元の世界のジオールで作られた一騎当千の兵器、ヴァルヴレイヴ。

 しかしその本来の目的は、人間を超えた生物を造る事。

 その実験場であったモジュール77で僕は父さんに造られ、なんてことない日常を過ごし、そしてみんなを守るためにヴァルヴレイヴに乗った(呪われた)

 

(ああでも、最初はショーコが殺されたと思って、その復讐のためだったな……)

 

 指南(さしなみ)ショーコ。

 僕の幼なじみで、一緒に笑って、泣いて、遊んで、共に力を合わせて、抗って、戦って、

────拒絶され、でも最後に信じてくれて。

 

 僕がRUNE(ルーン)を使い切った後、ショーコたちがどうなったのかは分からない。

 肉体は残るからヴァルヴレイヴI(1号機)が回収されたら、かつてのマリエと同じように──

 

「──マリエ……? そうだ、マリエは僕と同じくRUNE(ルーン)を使い切って……。なら、もしかしたら」

 

 タブレット端末の検索ワードに『野火マリエ』と入力しようとして、

 

「あ、こっちの世界だと、名字だけじゃなく名前も漢字なんだよな」

 

 と思い至る。

 僕の名前も『ハルト』が漢字で『晴人』になっている。

 

「それなら『マリエ』も漢字に……、どれだろう」

 

 『まりえ』を予測変換すると『真理恵』『万里絵』『鞠江』など様々なパターンが考えられた。

 

「というかマリエがこの世界にいる事と同じ名前である前提が正しいかも分からないんだよな。でも他には何の取っ掛かりも思いつかないし」

 

 どうせなら年齢も今の僕と同じだと仮定して検索しよう。

 ダメ元で、僕の生まれた年と『マリエ』の漢字のパターンを変えて検索をかけた。

 

 

 

 

■■■■■■

 

 

 

 

 

「──見つけた」

 

 様々なパターンで検索して12回目。

 『野火真理江』での検索で、かつての同級生であるマリエをそのまま小さくしたような少女の写真が表示された。

 どうやら本名で登録するのが原則のSNSのプロフィールがヒットしたようだ。

 同じSNSアプリをすぐさまインストール。

 基本無料で利用できるものだったらしく、そのまますぐに起動し自分のプロフィールの作成にとりかかる。

 自分で把握している情報はそのまま打ち込み、自由に書ける箇所には

 

『VVV1号機、ハラキリブレード、ショーコの幼なじみ』

 

 と一応のため『ヴァルヴレイヴ』などの名詞をそのまま書かずに、分かる人は分かるようにしておいた。

 

「よし。次はこの『野火真理江』さんに友人申請をして、と」

 

 あとは反応があるまで待つか、と思っていたらすぐに『ピコン!』と端末が通知を表示する。

 SNSアプリと連動させたメールには『野火真理江さんに友人申請が承認されました』とあった。

 

(レスポンス良すぎ……さすが元女子高生)

 

 さっそくマリエと思わしき相手にメッセージを送ろうとすると、先にあちらから送られてきた。

 

《本当にハルトなの?》

 

 簡潔な一文。

 だがその内容以上のものが僕には感じられた。

 

《うん。僕は君の知る時縞ハルトだと思う。君はあのマリエだよね?》

 

《うん。ショーコの親友で、ハルトの友達で、クラスメイトで、咲森学園の生徒だった、野火マリエ》

 

 やっぱり、『野火真理江』は僕の知るマリエだった。

 それを確信した瞬間、なんとも言えない感情が胸の奥から湧き上がってきて、幼い故に緩い涙腺から涙がこぼれた。

 

 その後はメッセージでお互いの電話番号を伝え、こちらから電話をかけることになった。

 番号が間違いじゃないかしっかり確認してから、通話ボタンをタップ。

 1コール鳴り終わらないうちに電話が繋がった。

 

「も、もしもし。時縞ハルトです」

 

「──もしもし。野火、マリエです」

 

 その声は、子供特有の甲高さがあるけれど、確かにマリエの声だった。

 

「マリエ、ほんとにマリエなんだね……!」

 

 またしても涙が溢れそうになるが、なんとか堪える。

 

「──声は、声変わり前だから違うけど、でも分かる。本物のハルトなんだね」

 

「うん……!」

 

 しばらくお互い涙声で名前を呼び合い、落ち着いてきた頃に

 

「──じゃあ情報交換しよ。ハルトは何をどこまで覚えてる? 何か記憶の欠落を感じる?」

 

 マリエはそう尋ねてきた。

 

「えっと、小さい頃から高校生まで、──ヴァルヴレイヴに乗ってRUNE(ルーン)が尽きるまで戦ったところまで覚えてるよ。欠落は無いと思う」

 

「──私も同じ。私の場合は、テストパイロットの時に失った記憶もちゃんとある。だから記憶喪失時代しか知らないハルトには、ちょっと違和感あるかもだけど」

 

「でも、マリエはマリエだから。大丈夫、ちゃんとマリエだよ、うん」

 

「──はあ。やっぱりハルトはハルトだね」

 

 ん? なんか呆れられたようだけど、気のせいかな。

 

「──まあ、これでおおよそ確信できた。原理とかは全く分からないけど、

──私たちの(・・・・)消費した(・・・・)RUNEは(・・・・・)この世界に(・・・・・)流出(・・)していた(・・・・)

 

 

 

 

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