神憑くは無限の空   作:マギウスの親戚

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03. 野火マリエの考察

野火(のび) マリエ

 

 

 気付いたら、体が縮んでしまっていた。

 ロリマリエ、爆誕。

 

「んあ?」

 

 そう、私はマリエ。野火マリエ。

 咲森学園2年B組、親友の指南ショーコとその想い人・時縞ハルトの青春ドラマを観客席(自分の座席)から眺めるのが趣味の、無気力系記憶喪失美少女。

 

「あれ? 記憶、ある」

 

 記憶喪失設定が無くなってしまった。

 これではただの無気力系美少女だ。

 って、いやいや、うん?

 寝起きで頭が働かない感じ。

 ごめん、あと3秒待って。

 

 ………よし、覚醒。

 

 さて、この状況はいったいどういう事なのだろう。

 自己の認識はできる。どころかでき過ぎている(・・・・・・・)

 本来失われているはずの記憶さえ、今の私は思い出すことができる。

 かつてないほど完全な状態の頭脳に対して、身体は小学生になるかならないかといった未成熟さ。

 

 自分の状態を確認したならば、次は周囲の観察。

 見た感じ、普通の家庭の居間。

 キッチンでは大人の女性、母親が料理をしているようだ。

 他に人影は無い。

 手元にはタブレット端末がひとつ。

 画面には幼児向けのアニメが映っていた。

 私がこれを見ている間にご飯を作っているのだろう。

 いきなり幼児らしからぬ行動をして不審がらせるわけにもいかないので、とりあえずおとなしく目の前の動画を眺めることにした。

 

 

 

 

 幼児向けアニメなのでキャラクターの造形やストーリーはだいぶ緩いが、その緩さの中に輝くものというか、人として大切なものが描かれていると思いました。

野火マリエ 

 

 くっ、不覚にも感動してしまった。

 特に泣けたのは、劇場版で心を得た敵のロボットのダダン◯ンが隕石に向かって特攻するシーン!

 衝撃で外装が剥がれていって内部が剥き出しになりながらも、みんなを守るために最後まで諦めないダダン◯ン。

 かつての自分と重なってしまい……、もう涙で前が見えないっ!

 

 あ、ご飯できた? お腹ぺこぺこ〜。

 やった、オムライスだ。いただきまーす。

 

 

 

 

 

■■■■■■

 

 

 

 

 

 精神が肉体に引っ張られてしまった……。

 アニメ後のオムライスのコンボで完全に幼女やってました。

 

 お腹いっぱいになったせいで若干眠いけど、情報収集はしておかないと。

 寝室でお昼寝していることになっているので、しばらく様子を見に来ることはないだろう。

 先程から愛用しているタブレット端末の検索サイトで、世界情勢や歴史、科学技術について調べた。

 驚くべき事にここはジオールではなく、それどころか宇宙コロニーですらない。

 ここは地球の日本という国で、言語体系はジオールのものと同じ。

 この地球では宇宙進出はほとんどできておらず、専用の訓練を積んだ宇宙飛行士が無重力状態での実験目的に小規模ステーションに滞在するのが精々。

 自身の小さい頃どころか、歴史的にかなり過去の時代のようだ。

 

 しかし、歴史の授業で習うような世界の中に1つだけ、私の知る科学技術よりもはるかに進んだレベルのものがあった。

 

 IS

 正式には『インフィニット・ストラトス』という名称のとんでもメカだ。

 

 発明者は宇宙進出のために作ったらしいのだが、よく分からん原理で重力を無視して浮き上がって音速超えたり既存の武器を圧倒する火力だったりすれば、そりゃ兵器運用もされる。

 武器や機体そのものも量子変換して体積・質量ともにアクセサリーサイズにできるとか完全にSFだ。

 

(ま、ヴァルヴレイヴのSF感も似たようなモノだけど)

 

 なんでもISは搭乗者との相性や熟練度次第で独自の進化をするらしい。

 機体に高度なAIが搭載されていて個性があるのではないか、という意見もあるらしく、情報生命体であるマギウスに近いように感じた。

 あくまで類似点があるというだけで、意思表示ができるわけでもなく、マギウスのように人間に乗り移ったりはしないようだ。

 

「そういえば、記憶についての考察がまだだった」

 

 今の私は、物心ついた頃からヴァルヴレイヴでドルシア軍と戦ったところまでの記憶がある。

 つまり記憶を失う前と後の記憶、そしてRUNE(ルーン)を使い過ぎて、機体を動かすほど大事な記憶(思い出)が消えていく(おぞま)しい感覚まで────野火マリエが体験した全てを覚えているのだ。

 

 これは私の持つ知識ではあり得ない事だ。

 消費したRUNEが戻ることはない。身をもって知っている事実だ。

 

 だが、ここでふと思いつく。

 

 消費したRUNEは戻らない。

 ならば、消費した(・・・・)RUNEは(・・・・・)どこへ(・・・)行った(・・・)

 

 普通に考えればヴァルヴレイヴの中だろう。

 しかし、以前会話をしたヴァルヴレイヴI(1号機)の中にいるマギウス──ピノの発言を鑑みると、消費されたRUNEは少なくともデータとしては残っていないようだった。

 

 理屈も原理も全くの不明だが────元の世界で消費されたRUNEは、この世界に流れているのではないか?

 そう考えると、私の記憶が完全な理由も一応頷ける。

 

「もしそうなら、自分のRUNEを全部使い切ったマギウスがどこかにいるのかもね」

 

 まあ、本家のマギウスの知り合いはピノだけだから、会ったところで分からないだろうけど。

 でも、そうだね。私みたいに、戦う(守る)ために自分の存在全てを使い切るようなバカがいれば、それは知ってる人かも。

 時縞ハルト、流木野サキ、犬塚キューマ、山田ライゾウ、連坊小路アキラ、考えられるのはこの5人。

 

 いてほしい気持ちとそれとは真逆の気持ち、相反する望みを抱えながら5人の名前を検索するが、それらしい人物は見当たらない。

 

「……とりあえず、実名使用のSNSでアカウント作っとこう」

 

 プロフィール画像はその場で自撮りした。

 

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