ARMORED CORE -Resume “N”-   作:アカ狐

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……

Resume-11 Break-Shot

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Act.3

 

 

 

 

 

 

 

ジョンは端末の着信音で起こされた。

時計は彼が普段目覚める時間よりもずっと早い。

重いまぶたを擦りながら彼は端末を手に取る。電話の相手はブリードだった。

 

「よぉこんな時間にわりぃな。テレビをつけてみろ。面白いことになってんぞ。」

 

そう言って通話が切れた。

ブリードの軽い声に疑問を感じながらブリードはテレビをつけた。

映し出された光景に眠気が吹き飛んだ。

 

「“上空からの映像です!ここはクレストの軍事施設だった場所ですが、昨夜、所属不明機に襲撃を受け完全に破壊され、現在も消化活動と怪我人の救助が続いています!そしてあちこちに見える兵器の残骸が当時の状況を物語っています!現在の死傷者の正確な数はまだ分かっておりません!”」

 

状況を克明につたえるリポーターの声。

その言葉でさえ伝えきれないほどの凄惨な状況だった。

ジョンはとにかくブリードのところへ急がねばと服を着替えて部屋を出た。

 

 

 

 

-----

 

 

 

 

ジョンが部屋を出て向かったのは物置同然のようなブリードの仕事部屋だった。

あらゆる棚や机の上はすさまじい数の書類や資料が乱雑に置かれ、それらは下の方から黄ばみが侵食していて、上の方はホコリが被っている。

その奥に押し込まれるように置かれたブラウン管のモニターの前にブリードは鎮座していた。

 

「おう、来たか。」

 

ブリードはジョンを見た。その表情は楽しそうに見える。

 

「あのニュースはなんなんだ?」

 

「昨日、各地区のクレスト、ミラージュ、キサラギの軍事施設が所属不明の部隊に襲撃された。各企業はテロ組織や武装組織の線を洗ってるところだ。互いに関与していないと声明上では言っちゃいるがな。」

 

「今回の仕事はそれ関連か?」

 

ジョンの問いにブリードは首を横に振った。

 

「違う、それはもう他のレイヴン達に取られちまった。こっちに来てる依頼はミラージュから一件だけだ。」

 

ジョンはブリードの横に立つとモニターをのぞきこんだ。

依頼のメールとその横には別のウィンドウで彼が地図を開いているのが見えた。

 

「この前、お前が武装組織から守ったエネルギー施設の防衛だ。連中、残りの施設をやられるわけにはいかんらしい。」

 

「だろうな。」

 

「今度はヘリで現地まで行くぞ。航空機は軒並み回されちまってるからな。」

 

ーーーーー

 

輸送用のヘリに専用のフックで繋げられ、宙づりになった状態でジョンの愛機、ディンゴキラーが空輸されている。

もちろんジョンは機体のコックピットに収まり、輸送中も機体の調整を行っていた。

 

以前の戦闘の経験を活かし、ライフルからマシンガンに換装している。

弾薬費が嵩むということでブリードは渋っていたが、ジョンはそれ以上に機体の修理費の方を気にしたのだった。

 

「何も起こらないといいけどな……」

 

ジョンが言葉を漏らす。

 

「はっは!レイヴンが何も起こらないことを望むなんてな!」

 

突然飛び込んできた声に思わず驚いたが、声の主がヘリパイロットであることに気づくと、すぐに肩の力を抜いた。

 

「いいじゃないですか、別に…」

 

「アンタみたいなこと言ってるレイヴンはこれで二人目だよ」

 

「えっ…?」

 

「前に乗せたレイヴンのヤツも、何もないことを祈ってたんだよ。何もないなんてねえのによ」

 

「……その人のときは、やっぱり戦闘が…?」

 

ジョンは彼に問いかける。

パイロットは質問に答えなかった。

 

「さてね。話は終わりだ。投下の準備に入るぞ。」

 

作戦エリアである施設の上空から、その場所を見下ろす。

ガードメカやMTが配備されていて、かなり警備が厳重になっている。

クライアントもこの施設の防衛に本腰を入れていることが良く分かった。

 

「3,2,1,投下」

 

アームの固定が外れ、機体が指定された地点に着地する。

ジョンはディンゴキラーの戦闘システムを起動した。

 

「レイヴン様の御到着だ。」

 

「おっ!このまえボトムラインとやり合ってたやつだろ?見てたぜ!」

 

MTパイロット達の声がジョンの元にも届く。

ジョンは適当に相槌をうち、機体のオートマップを開いた。

この前のミッションで得た報酬で購入して載せ換えた頭部に備わっている機能だ。

これでだいぶ施設内の状況を把握しやすくなるはずだと、ジョンは思っていた。

 

「さぁて、果たして敵さんは来るのやら…」

 

彼のその言葉通り、襲撃者はやって来た。

施設全体に警報のサイレンが鳴り響く。

 

レーダーに反応が現れ、ジョンは頭部のスキャンシステムを起動し警戒したが、敵は地上ではなく空の上に居た。

 

ACが一機、基地の上空に滞空し、こちらを見ていた。

赤と黒のツートーンカラーがジョンの目を引いた。

 

「敵ACを確認、該当データなし」

 

「何だって!?そんな馬鹿な!?」

 

ジョンは驚く。

レイヴンは基本的にブラック・フェザーに確実に登録されていて、

それはアリーナに登録されていない人間でも必ずデーター上に載っていない訳がないはずなのだ。それなのにデータに存在しない。

 

ACの見た目からして、バンディットやベルクトの類ではない。

だとすればアレは……。

 

「ポチ!しっかりしろ!来るぞ!!」

 

ブリードの言葉でハッとする。

赤のACが施設目掛けて突貫し、MT部隊が攻撃を開始していた。

しかし、ミサイルと機関砲の弾幕をモノともせず、赤のACは肩に装備されたグレネードキャノンを展開し、地上目掛けて砲撃した。

MT一機が直撃を受けて爆散し、爆風で近くにいたMT三機が沈黙した。

 

「野郎!!」

 

「背後を取れ!奴を取り囲むんだ!」

 

「本部!こちらブラボー1!敵の攻撃を受けている!MT4機がやられた!」

 

パイロット達の怒声にも似た声が無線からコックピットに響き、ジョンのアドレナリンがじわりじわりと温度を上げていく。

 

愛機ディンゴキラーのブーストを全開で吹かして空中に飛び上がり、赤いACに向けてマシンガンの引き金を引いた。

銃口から火を噴き、何発もの薬莢をばらまきながら、向かってくる弾幕が襲い掛かる。

その機体は空中で機体を反転させて被弾をものともせずにミサイルを放つ。

 

ディンゴキラーは機体を右に左に振ってミサイルをかわし、さらにマシンガンで追撃をする。

赤いACは機体を降下させ、進路上に居たMTを左腕に装備したレーザーブレードで切り伏せてから着地させ、右手の銃をディンゴキラーに向けた。

 

パルスライフルと呼ばれる。特殊な球状のエネルギー弾を放つ銃で、通常のレーザーライフルよりも威力と射程で劣るものの、消費エネルギーの低さと装弾数、速射性能が上回る武器だ。

 

赤いACが引き金を引く。

ジョンは驚愕した。

マシンガンの比じゃない連射速度のエネルギー弾がディンゴキラーに向かってきたのだ。

ディンゴキラーは避けるのが精一杯だが、それでも被弾してしまう。

エネルギー防御に優れたミラージュ製のパーツで固められた機体でも、この弾幕では確実に削り負けてしまう。ジョンに時間の問題が迫っていた。

 

「ぐ、うぅ…!!」

 

機体への衝撃で姿勢が乱れ、ジョンが苦悶の声を漏らす。

そのまま赤いACが肉薄してブレードを振りかざした。

まずい。ジョンがそう思った時だった。

 

“ドガァ!!”

 

赤いACの右腕に何かが着弾して爆発し、姿勢が乱れた機体はそのまま吹っ飛ばされて地面に落下した。

何かと思いジョンが目をやると、MTの一機がバズーカを狙い撃ちしたのだ。

 

「ハハハ!どうだクソッタレ!!」

 

男の声とは裏腹に赤いACは地面に激突をして倒れた状態から起き上がろうとしている。

 

「この機を逃すな!一気に畳みかけろ!」

 

その場にいた全戦力で赤いAC目掛けて一斉に攻撃をする。

体を起こしたところにコアに数発のロケット弾が命中し、

よろけたところに別方向から砲撃を喰らい、

機関砲の弾幕によって左脚の膝が千切れ、その場にガクンと左手を突いた。

 

どうにか右手のパルスライフルを向けようとする赤いACの肩にミサイルが直撃し、

右腕が吹き飛び、その爆風で倒れ込んだところに飛んできた一発の砲弾がグレネードキャノンの弾倉に直撃し、赤いACは大爆発を起こした。

その場にいた全員がその爆風と爆炎の熱と光に目を細める。

 

「……」

 

「何?」

 

ジョンは眉をひそめた。

赤いACの無線を拾ったのだ。

そのほとんどはノイズの嵐であり、誰が何を喋っているのか聞き取れない。

ジョンが唯一聞こえた言葉は、

 

「……Re…sume………」

 

このたった一言だけであった。

 

「レジューム…?」

 

ジョンには完全に破壊されているはずの赤いACからなぜ無線が発信されているのか、そして誰に向かってなんの目的の通信をしていたのか、全く分からなかった。

MT部隊が動かなくなった赤いACの残骸に近づいていく。

ジョンも後に続き、兵士がコアであろう部分のハッチを開けて悲鳴を上げた。

 

ジョンはメインカメラでその場所をズームし、驚愕した。

赤いACのコクピットには “ 誰一人として搭乗していなかったのである。 ”

 

 

 

 

 

‐‐‐‐‐

 

 

 

 

 

帰投後、ブリードに状況の報告をしたジョンは自室に戻り、寝転んでいた。

赤いACのことを思い出し、タブレット端末で再度データ検索をかける。

機体構成は覚えている。それに似た物を探した。

 

「…マジかよ。」

 

本当にデータに該当する機体が出てこなかったのだ。

ブラック・フェザーに所属するレイヴンはアリーナに登録されているものもそうでないものもデータ検索を掛ければ必ずヒットする。

しかしあの赤いACと同じ機体構成の機体は無かった。

が、アリーナに一人、ジョンの目に留まった。

 

No.9 パベット

機体名、ノウェム

ジョンが見る限りその機体は戦った赤いACとは似ていない。形が違いすぎる。

同じはずがないのだが……。

 

「なんで、機体の武装がこうも同じなんだ…?」

 

赤いACはパルスライフル、ブレード、グレネードキャノン、ミサイルで武装した中量二脚型だった。

ノウェムもまた同じ武装構成かつ、機体のカラーリングも同じ赤と黒のツートーンであった。

 

“ ピーッ!ピーッ! ”

 

通信用端末から通知音が響く。

ジョンはブリードからの連絡と思い、通信を開いた。

 

「初めましてレイヴン。“ハウンド”と言ったほうがいいかしら?」

 

「誰だ?」

 

ジョンも聞いたことのない女性の声。

思わず誰かと問い返す。

 

「ご紹介が遅れました。私はネスラ。実は貴方に依頼があってこうしてご連絡を取らせていただきました。」

 

「俺に依頼だと…??」

 

 

 

 

 

Act.3 END

 

 

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