「このエリアは放棄された。避難を急げ」
西暦2146年。この世界の人類は宇宙から来た未知の生物『フェストゥム』により絶滅の危機に瀕していた。今日も何処かでフェストゥムが現れ、人々を恐怖のドン底に突き落とす。
「おい貴様。何処へ行く」
「逃げ遅れた人がいないか調査してきます」
「馬鹿者。今ここを離れれば助からんぞ」
「それでも…行きます」
「…未熟者が、出発急げ」
少年は己の抱いた正義を胸にひたすら走り回った。すると高台でたたずむ1人の少女を見つけた。
「何してるの、早く逃げないと」
「…逃げるといいながら貴方は何故ここにいるの」
「逃げ遅れた人がいないか心配だったんだ。君みたいに」
「…貴方は軍人さん」
「候補生ってだけで、正式な軍人では無いよ」
「ここを脱出する人を守るのが貴方の務めではないの」
「ここに暮らす人々を守るのが本来の務めだ」
「…貴方は正しい選択をした。見て」
少女が指を指した方向を見ると、少年が離れた輸送機がフェストゥムによって撃墜されていた。
「そんな…」
「貴方は正しい選択をした。だから今ここにいる」
「そんなことはいいから早く逃げるよ」
「…彼等を恐れてはダメ」
「何を言ってるのフェストゥムは僕達の…人類全ての脅威だろ」
「…彼等は只私達を理解したいだけなの…きっと」
「理解…って話しも出来ない相手にどう僕達を理解させるのさ」
「私達を地球上に住む生命が理解出来ないように、私達も彼等を理解出来ないだけなの」
「なんでそんなわかったようなことが言えるの」
「…なんとなく」
「…話にならないよそんなの。あぁ…」
2人のいる高台にスフィンクス型が一体近づいた。少年は少女の手を掴むが少女は優しく少年の手を離した。
「なんで…」
「彼等はきっと私達を理解したいだけだから」
あなたはそこにいますか
「…」
少女の身体は緑色の結晶に徐々に侵食される。
「ダメだ。そんなの」
少年は再び少女の手を掴もうとするが、すでに少女の手は『同化』されていた。
「ありがとう。貴方と話せてよかった。お名前は」
「リカルド・クラウン」
「リカルド。またね」
少女はバラバラになって消えた。少年は咄嗟に拳銃を構える。
あなたはそこにいますか
再び向けられる問…
「俺は…ここにいる」
対峙した1人と1体お互いに一歩も動かずにそこにいる。
動き出した1体は少年を置いてどこかにいった。荒廃した町に少年は1人取り残された。
(また会おうねリカルド)
少女の声が少年の頭の中に響く。
(また会うってどうやって)
(貴方が信じれば、私は貴方の傍にいる。貴方が信じ続けることが出来たら)
(君は…何者なの)
(私は…。またねリカルド)
少女の声が途切れる、少年は空を見上げ少女の言葉を深く考えた。