「…ここは」
リカルドは、目の前に壁がある状況を理解出来ないでいた。
「目覚めたか」
傍ではミライがじっとこちらを見ている。
「お前なんで…アザゼル型は」
「『存在と無の力』によって。私達は救われた」
「『存在と無の力』…」
「全身を同化されたお前を『存在の力』が救済した。あとで感謝しておけ」
「『存在の力』…」
(いくな。生きろ)
リカルドの記憶には力強い言葉が焼き付いていた。
「同化…」
自分が意識を失う直前のことを思い出す。手は…なんの変化も無かった。
「どうした」
「いや…なんでもない」
「そうか…私は行く。見舞いが来たようだ」
そう言いミライは足早に立ち去った。
(あの時確かに…そうか6年だもんな…)
「リカルド。良かった無事なんだね」
「ビリー。ミツヒロお前達も無事だったか」
「さっき。ミライさんいなかった」
「気を遣って席を外してくれたよ」
「なんだか。すみません」
「いや。ずっと傍にいてくれてただろうから、彼女も疲れた…んだと思う」
「そうですか」
「何が起きたんだ。何故俺達はアザゼル型に襲撃され生き残れたんだ」
「カズキ・マカベが来たんだよ」
「あのカズキ・マカベか」
「はい。Dアイランドの救援部隊として『ソウシ・ミナシロ』と共にここまで来てくれました」
「凄かったよ、Dアイランドの『ザルヴァートル・モデル』。同化されたリカルドや仲間を元に戻したり、光弾を放ったら簡単にフェストゥム消えるし。フェストゥム同化しちゃうし」
「もう1機もディアブロ型を相手に全く寄せ付けず奴等を蹴散らしていました」
「ロードランナーとの決闘は次元が違ったね」
「何。アザゼル型もやったのか」
「そうなんだよ。あとさ交戦規定aも同化されたファフナーすら元に戻して解除させたんだ。あの一瞬で何回人間離れした力を見たことか。アイもさっき目が覚めたんだ。良かったよ本当に」
「そうか…」
「どうしましたか」
「なんでもない」
「では、俺達は他の隊員を労いに行ってきます」
「わかった。わざわざありがとうな」
暫くして職務に復帰したリカルド。
「ご心配をお掛けしました」
「よく無事で戻って来てくれた。君が同化させたと一報を受けた時はどうなるかと」
「Dアイランドのファフナーが助けてくれたと聞きました」
「まさに奇跡の力だよ。彼等は。…いやすまない。つい興奮してしまった。今後の方針を君に話す必要があると思い病み上がりのところ来てもらった」
「…ここを放棄しますか」
「あぁ。この地エリアシュリーナガルを放棄。新たな希望の地を目指す」
「…場所は決まっているのですか」
「うむ。今いる全員まずはダッカ基地を目指す」
「ダッカ基地というと、カマル司令官のところですね」
「そうだ。そして希望者のみエスペラント達が見出だした新たな希望の地へと進む」
「場所はどこですか」
「それは私もまだ知らない。敵に知られぬよう、エメリーと一部の能力の高いエスペラントしかまだ知らない」
「果てしない道のりとなりそうですね」
「直ぐにでも出発したい。準備を整えてくれ」
「了解」
安泰の地と言われた聖地は荒れ果てた荒野へと変貌を遂げた。
そこに住まう人々は『希望』を信じ長く険しい旅路を受け入れた。