当初の予定であったダッカ基地に進めなくなり、生き残った全員がエスペラントの目指す『新天地』を目指すこととなった。
しかし『新天地』の場所は明かされず、人々はひたすら進むしかなかった。
「クラウン大尉。大尉はどこに向かっているのかご存知なんじゃないですか」
「すみません。私も知らないんです」
「ナレイン将軍が信頼しているクラウン大尉すら知らないなんて」
「噂では将軍すらまだ目的地を知らないって言うぞ」
「エスペラントは何を考えているんだ」
「エスペラントは僕達には視えない先のことまで考えています。信じましょう彼女達を」
「大尉がそう仰るのなら…」
「ありがとうございます」
「大尉こちらでしたか、将軍がお呼びです」
「わかった。すぐに行く、では失礼します」
「大尉。頼りにしてます」
手を振り立ち去るリカルド。
「民間人の不信感は日に日に増してますね」
「俺達軍人の中にもそう抱く者も出始めてる。人々が不信感を抱くのは当然だ」
「本当にあるんですかね…エスペラント達が目指す場所は」
「ある。彼女達が行き当たりばったりでこんなにも人々を犠牲にする計画を建てる訳が無い」
「それもそうですね」
「…そう思わなきゃやっていけんよ、この旅は」
「大尉…」
「将軍入ります」
部屋に入ると既にコーヒーが用意されていた。
「リカルド。すまないこんな時に」
「将軍どうされましたか」
「…」
「将軍。」
「君には今後私の補佐としてここで働いてもらう」
「1人でも前線に立つべきこの状況ででありますか」
「そうだ」
「納得のいく理由を説明したいただけますか」
「…君はファフナーに乗ってどれくらいになる」
「…6年です」
「リカルド…君の身体は限界を向かえているんじゃないか」
エリアシュリーナガルがロードランナーに襲われた一件以来。度々戦闘中に同化現象にあっていたリカルド。
「いつ…気がつかれましたか」
「つい最近だ。君の動きが時々不可解な程急に鈍くなるという報告を聞いた。無理も無い、未完成のオリジナルの『MAKABE因子』を投与して6年。むしろ今まで何事も無く戦えていたのが奇跡なくらいだ」
「将軍。自分はまだ戦えます」
「無理をすればそうかもしれない。だがなリカルド。私は君に私の意志を継ぐ者として、なんとしても生きてもらいたい」
「将軍…」
「勿論。君のパイロットとしての力はまだこの果てしなき旅においては重要な戦力だ。パイロットを引退しろと命令はしない。だが今後無闇に君に戦場に立ち散って行くのだけはなんとしても避けたい」
ナレインは深々と頭を下げた。
「頼む。私の一度きりのワガママを聞いてはくれないか」
心との葛藤…
(お疲れ様…)
「将軍。顔を挙げてください…わかりました。自分が将軍の後継として役目を全う出来るかわかりませんが、将軍の期待に応えられるようベストを尽くします」
「ありがとうリカルド」
リカルドが少女と誓った『約束』への戦いが本当の意味で始まった。