「目を覚ましたか」
リカルドは気がつくと医療テントのベットに寝ていた。
「どうなった…彼等は」
「自ら毒を盛った者、我々の憎しみを受け続けた者、Alvisの子によってその先を絶たれた者…全員もういない」
「そうか…Alvisの子ってまさか」
「紫の機体に乗る者だ」
頭を抱えるリカルド。その姿の意味がわからないミライ。するとナレインが見舞いにやってきた。
「目が覚めたかリカルド」
「将軍。ご心配おかけしました」
「私は行く」
「あぁ、すまないミライ」
「邪魔してすまない」
「いえ…すみません。皆を止められませんでした」
「君の所為ではない。彼等の怒りと憎しみを浄化出来なかった私の責任だ」
「今回は判断を誤りました」
「うむ。しかし追って来る者達が何者なのかの検討がついた」
「えっ将軍。どうやって」
ナレインは小さな電子機器をリカルドに渡した。
「紛れ込んでいたスパイ達を調べた際に出てきた」
「これは…特殊部隊用の通信器」
「裏を見てくれ」
そこにはコード:1#12#7#19と彫られていた。
「…アルゴス小隊。交戦規定アルファの発令に従い、フェストゥムおよび同化された人間や地域への攻撃を主任務とする、いわゆる汚れ役専門の部隊。しかし、噂では交戦規定アルファを言い分にヘスター事務総長の障害を合法的に抹殺する新国連本部の私兵ですね」
「そうだ。そしてアルゴス小隊を指揮しているのは君がよく知る人物だということもわかった」
「自分が知る人物ですか」
「あぁ。この通信器を解析した際の記録の一部だ」
(こちらハウンド1。どうやらターゲットは例の森へ進行した模様)
(ハウンド1。今のうちにキャンプに紛れ込んこみ状況の把握に徹しろ)
(了解)
隊長と思われる男の声。リカルドには聞き覚えがあった。
「今の声まさか」
「声紋解析した結果がこれだ」
そこには…
ダスティン・モーガン
彼の名前が記されていた。
「ダスティンが…まさか」
「ハワイの一件以降。彼が変わってしまったというのは噂で聞いていた」
「このことビリーは」
「どうやらダッカ基地での一件で遭遇していたらしい」
(それで最近情緒不安定に見えたのか、気づけなかったとは情けない)
「どうしますか、敵は厄介です」
「策はあるこうしようと思うが君の意見を聞きたい」
一通りナレインから対策を聞いたリカルド。
「…それが無難でしょうね。皆を無事に移動させるには」
「早速準備に取り掛かる頼むぞリカルド」
「将軍。1つだけお願いがあります」
「なんだね」
「…」
「…とても容認出来ないな。リスクが高すぎる、メリットも何も無い」
「確かにここにいる人にメリットはありません。けれども自分はハッキリさせたいのです」
「リカルド…君のその願いにここにいる人々を巻き込む訳にはいかない。1人でもやる覚悟なのか」
「はい」
「そうか…」
ナレインの思い悩む表情にリカルドは申し訳なさを感じつつ、それでも引き下がれなかった。
「わかった、但しだ。必ずここに戻って来るんだ」
「将軍。ありがとうございます」
「奴らこの中に逃げたのか」
「ここは廃棄になった区画だろ」
「でも最後に反応があったのはこの辺りなんだろ。ダスティン」
「…電力が復旧している」
巨大な鉄の壁が徐々に開く。
「これは」
「全員集めろ奴らはこの中だ。行くぞ」
(我々の目的はミールを人類にとって有益な存在に変化させることにある…)
「なんだ」
「広域通信だ。敵が来る」
漆黒の雲から現れるアザゼル型『アビエイター』
「マズイぞダスティン。俺達も早く地下に」
開放された地下への道は内部の爆発によって崩れ去った。
「えぇい。ナレイン」
「ダスティン。空が」
『アビエイター』の前になす術の無いアルゴス小隊。
「チェスター。爆撃支援要請」
苦し間際の爆撃も『アビエイター』前では屑鉄同然であった。
「下がれ、下がるんだよ」
「こんなところで、死んでたまるか」
「えぇーい…なんだ」
部隊の展開していないはずの方向から『アビエイター』へ砲撃が跳ぶ。
「どこの部隊だ」
「今のうちに態勢を立て直すぞ」
モニターを最大限拡大し確認するダスティン。
(あれはペルセウス中隊のラファエル。だがあの装備人類軍のモノでは無い)
「そこのラファエルのパイロット。そのまま奴を引き付けてくれ」
「ダスティンだな」
「お前…リカルドか」
互いの安否を案じていた戦友との再会は極限の状況下であった。