蒼穹のファフナー THE NEWTYPE   作:naomi

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第30話「友との対峙」

「お前…リカルドか」

 

「話しがある、こいつを退けた後でだ。さっさと撤退しろ」

 

「ならばそのままお前が引き付けろ」

 

「わかった」

 

真矢から借りたドラゴントゥースで一発ごとに移動し囮を引き受けるリカルド。その隙にアルゴス小隊の面々はアビエイターの視界から消えていった。

 

「生存者は全員退避した。これより爆撃を開始する。お前もさっさと離脱しろ」

 

「了解した」

 

爆撃部隊が核兵器級戦略ミサイル『タイラント』及び煙幕、閃光弾などありったけの火力をアビエイターに放ち大地を揺るがす大規模な爆風が発生した。

 

(アザゼル型はどうなった。ダスティン達は)

 

携帯端末にメッセージが入る。

 

 

 

奴が気がつく危険性がある。機体を降りてこのポイントまで来い。

 

 

 

(ダスティン…)

 

ラファエルを置き単身指定されたポイントに向かうリカルド。

 

「おいおい本当に1人で来たぜ、人類軍の元エースパイロットさん」

 

高笑いを堪えながらファフナーパイロット思われる女から銃を向けられる。周囲には生き残ったアルゴス小隊の面々もこちらに銃を向けていた。

 

「丸腰の1人相手にそんなに向けるなよ。そんな物騒な物。噂通りのクソ部隊だな」

 

「同化された奴が私達人間と同じように扱ってもらえると思うなよ」

 

「自分達のことを棚に上げてよくそんなこと言えるな」

 

「なんだと」

 

「ファフナーに乗れるってことはお前達にもフェストゥム因子が強く根付いている。つまりお前達も俺も、ペルセウス中隊の者達と同じだ」

 

「かつての人類軍の英雄だからって舐めた口聞いてると容赦しないよ」

 

「全員武器を降ろせ」

 

茂みの奥から久しぶりに見る友が姿を見せた。

 

「よお、ダスティン久しぶりだな」

 

「あれ以来行方不明と聞いていたが、まさかナレインと一緒にいたとはな。リカルド。全員銃を降ろせ」

 

「ダスティン。だが」

 

「少なくともここにいるのは1人の人間だ。俺達は人間に対して非道になるほど落ちぶれちゃいない。違うか」

 

仕方なく銃を降ろすアルゴス小隊の面々。

 

「その言葉。ダッカの時にも言って欲しかったよ」

 

「なに」

 

「彼処には、命かながら辛く過酷な旅路を生き延びてたどり着いた力無き人々が大勢いた。それをお前達は俺達の救援要請を一方的に拒絶し、多くの人々を…虐殺した」

 

「同化された者全てを消すのが俺達の仕事だ。リカルド」

 

「その理屈なら今、お前は俺を生かしておいちゃいけないよな」

 

「なに」

 

「あそこにいた人間全てをフェストゥムに同化された人間だと断定するなら。俺もあそこにいた。ビリーも」

 

「…」

 

「お前ビリーがいるのは知ってるな」

 

「あぁ知ってる。あそこで遭遇したからな。何故ビリーがあそこにいる。お前が引き込んだのか、それともナレインか」

 

「どういう事情でビリーがペルセウス中隊に参加したかは知らない。だが参加したのはお前より前向きなビリーの意志だ」

 

「ビリーの意志だと」

 

「そうだ。お前は彼を思って後方部隊に配属出来るよう手配したようだが、ビリーは自分の意志で最終的にペルセウス中隊に参加した」

 

「余計なことを吹き込んでおいてよくいう」

 

「余計なことだと」

 

「希望だの共存だのと喚いた結果がハワイでの絶望じゃないのか」

 

「確かにハワイでの一件は俺達の無力さを再認識させられた。だがエスペラントというミールと対話出来る存在が現れたということは、お前の否定するものが夢物語じゃないってことだろ。人間はそもそも言語・人種・信仰するモノの違いで幾度となく争ってきた。けれども積み重ねていくことでようやく1つの目標に向かって進めるようになった。彼等との共存も決して不可能なことではないんだ」

 

「お前も目にしたろ。同化された仲間が仲間を撃つ非情さに同化された仲間を撃たなければいけない辛さ。俺は絶対に繰り返すつもりは無い」

 

「だから敵を全てを滅ぼすのか。今やフェストゥムは『感情』を学んでいる。それでは結局憎しみの連鎖を繰り返すだけだ。それは1つにまとまる前の人類と何も変わらない。進歩どころか退化だ」

 

「じゃあ俺達のこのやり場のない怒りと憎しみはどうする」

 

「…それを持つことは仕方ないことだ。ただそれはお前の内だけに留めるんだダスティン。その感情を広めてはいけない」

 

「話しにならない。それでは何も解決しない」

 

銃を向けるダスティン。

 

「俺達のよしみだ。助けてもらった恩もあるしな、今回は見逃してやる」

 

「ダスティン…」

 

「おい。ダスティンそれは」

 

「お前達は黙っていろ。…次に会うときはお前は俺が殺す。ビリーも助けてな」

 

「やはり俺達を行かせてはくれないか」

 

「…去れ、貴様と話すことなどもう無い」

 

「…そうか。またな」

 

再び訪れた友との別れ。またしても止められなかった友の憎しみに合流を目指すリカルドはコックピットの中で涙を流した。

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