蒼穹のファフナー THE NEWTYPE   作:naomi

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最終話「可能性」

多くの犠牲を出しながらようやく辿り着いた合流の地。リカルドは輸送機の中で待機していた。コックピットで…

 

(ダメだ。お前をこれ以上戦わせる訳にはいかない)

 

(お願いです将軍。ここまで来て辿り着けませんでしたでは、これまでこの旅路で亡くなった方々に示しがつきません)

 

(お前はこれからの未来に必要な人材だ。ここで万が一失う訳にはいかん。我々が必ず送り届ける)

 

(ならばせめて待機させてください。いざという時に直ぐに出撃出来るように)

 

(うむ…)

 

「リカルド。私が指令を出すまで必ずファフナーを起動させるなよ」

 

ナレインのサンダルフォンから通信が入った。

 

「将軍。ありがとうございます」

 

「必ず、辿り着くぞ」

 

「了解」

 

最後の気力を振り絞り進む生き残った者達。静かにその時を待つリカルド。壁の外からは戦いの音が響き渡る。

 

「…」

 

(外は…皆は無事に辿り着けているんだろうか)

 

 

 

最後の最後で相手は人間か…

 

 

 

 

「ハッ。ウォルターさん。ダメだ、よせ」

 

 

 

君達の島を見てみたかった。

 

 

「ウォルターさんーーー」

 

1つの命がまた消えた。

 

(ここまで…ここまで来れたのに…ウォルターさん)

 

その直後とてつもない衝撃がリカルドの乗る輸送機を襲った。

 

(この輸送機落とされたのか)

 

輸送機に迫る憎しみの塊を感じ取ったリカルド。

 

「将軍すみません。リカルド・クラウン行きます」

 

強引に外へ出たリカルドのラファエル。戦場は人類とフェストゥムが混在する混沌とした地となっていた。

 

「何故お前達はこんなことをなんの躊躇いも無く出来るんだ」

 

空を駆けるリカルドのラファエル。

 

「なんだあの動き」

 

「あれは『閃光のリカルド』のラファエルだ」

 

「ターゲットを変えろ、あのファフナーに近寄るな」

 

「うおおおお」

 

「リカルドーーー」

 

人類軍のラファエルが一機突進してくる。

 

「この機体…ダスティンか」

 

「俺がお前を討つ」

 

激しい攻防を繰り広げる二機。

 

「止めてよ兄さん。なんで二人が」

 

「黙れビリー。俺は…こいつを討たなければ。先へ進めない。俺の進む道にお前は邪魔だリカルド」

 

「そんなお前に撃ち落とされる訳にはいかないな。ビリーの声は聴いたのか」

 

「お前に洗脳されたあいつの言葉など」

 

「なっ。大事に想う弟の声を何故そう断罪するんだお前は」

 

「黙れーーー」

 

「お前を必ず止める」

 

「お前を必ず仕留める今ここで」

 

「止めてよ二人とも」

 

ビリーのアリエルが二機の間に割り込む。

 

「ビリー」

 

「危ない」

 

咄嗟に回避する為に上昇するリカルドのラファエル。

 

「うおおおお」

 

ダスティンのラファエルからの銃撃が直撃しリカルドのラファエルは煙を出しながら海へと落ちていった。

 

「リカルドーーー。…兄さん」

 

「…行くぞ」

 

 

その頃。ミライは生き残った人達と一緒に脱出ボートに乗り込んでいた。

 

「…リカルド」

 

「えっ、ちょっとミライさん…消えた」

 

 

「っつぇ。ここは海の中か、俺は…そうかダスティンに落とされたんだったな。機体は…まだ動くか。将軍との『約束』守らないとな。ぐっぐぁぁぁ」

 

ニーベルングの指輪から徐々に同化現象が始まった。

 

「へへっ、そうか…」

 

「何をしている。リカルド」

 

コックピットに瞬間移動したミライ。

 

「ミライお前。何してる脱出した皆と一緒に」

 

「そのつもりだった。だがお前の危機を感じた。だからここに来た」

 

「そうか…」

 

「リカルドお前」

 

よく見ると同化現象は着々と進み。頭と身体は赤く染まっていた。

 

「こんな状態だ。この機体もいつ爆発するかわからない」

 

「行くぞここは危険だ」

 

「どの道助からない。こんな怪我を負ってたらな」

 

「何を馬鹿なことを言っている」

 

「なぁ…ミライ」

 

リカルドはミライをじっと見つめる。

 

「お前が俺を同化してくれ」

 

「なんだと」

 

「このままじゃ、俺は同化現象で消えるか、この怪我で息絶えるかのどっちかだ。だからお前が俺を同化してくれ」

 

「ダメだ。お前は私達との『約束』を守る為に私と一緒にいなければならない」

 

「なら…なおさらだ。お前に同化されることで俺はお前の中で生き続ける可能性があるんじゃないか、セラみたいに」

 

「…」

 

「それが出来れば、俺はお前をずっと導いてやれる」

 

「そんなの嫌だ…私は私は…」

 

ミライの頬に雫が垂れた。

 

「これは…」

 

「それは…涙だ」

 

「涙…」

 

「人が悲しい時や悔しい時に表す感情表現の1つだ…無愛想なお前が、ここへ来てようやく『感情』を出せるようになったんだな」

 

「これが…悲しみ…」

 

「ぐっぐああああ」

 

「リカルド」

 

リカルドの同化は留まることを知らないでいた。

 

「早くしろミライ」

 

「うわわわわわ」

 

「…ありがとうミライ。またな」

 

 

パリーン

 

 

リカルドの身体は粉々になって椅子に砕け落ちた。

 

「…リカルド。リカルド…ハッ」

 

(俺はお前の中にいる。安心しろ俺達がお前を導いて助けてやる)

 

(…)

 

(竜宮島の行く末を見守るんだ。彼等がきっと俺達の求める答えに辿り着いてくれる)

 

(彼等の行く末を…)

 

爆散するラファエル。ミライは咄嗟に氷の大地に瞬間移動した。

 

「わかった。お前を信じよう」

 

空をじっと見上げるミライ。雲の狭間から微かに光が射し込んだ。




(ここは…)

目覚めたリカルドはそこは真っ暗な何もない空間であった。

(リカルド)

懐かしい声が何処からか聞こえる。声のする場所へ進むと確かに彼女がそこにいた。

(やっと会えた…セラ)

(いらっしゃい)

(ごめんよ…君との約束を果たせなかった)

(ううん。貴方は私の願いにちゃんと答えてくれた。彼女を導いて欲しいという願いに。今度は2人で彼女を導びこ)

(そうだね…セラ)

真っ暗な空間に開かれた白き輝き。

(行こ。リカルド一緒に)

(うん。行こうセラ)

2人は互いの手を取り、その先へ進んでいった。
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