蒼穹のファフナー THE NEWTYPE   作:naomi

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第6話「腐心」

「目覚めたか。リカルド」

 

リカルドが目を覚ますとカークスが隣で座っていた。

 

「カークス。俺は」

 

「突然、独房で発狂して気を失ったんだとよ」

 

「そうか」

 

 

痛い。助けて

 

 

「…どうした」

 

「いや…なんでもない」

 

リカルドの記憶にはその声が刻み込まれていた。

 

「作戦は」

 

「成功だ。目標のフェストゥムの群は消滅したぜ…浮かない顔だな」

 

「声が聞こえたんだ」

 

「声って」

 

「痛い…助けてって」

 

「本当に大丈夫か」

 

「大丈夫。ありがとう」

 

「ゆっくり休みな。暫く任務は無いだろうし」

 

カークスが病室を離れる。艦の小窓から見上げた空は、厚い雲に被われていた。

 

 

 

「なに、例の群に生き残りがいただと」

 

「失態だなバーンズ将軍」

 

「しかし、確かに我が部隊は敵の全滅を確認している」

 

「厄介なことにそいつらは彼等と接触しようとしている可能性がある」

 

「まさか」

 

「そう。Dアイランドだ」

 

「しかし、奴等は『ヘヴンズドア作戦』後に姿を消して今現在消息不明なのだろう」

 

「左様。しかしな、フェストゥムに同化されたと言われる空母ボレアリオスに配備されていた戦略輸送船-B29が突如として現れ再び姿を消した。なんでもDアイランドは自分達の存在を消す技術を持っているのであろう」

 

「つまりその地点に奴等がいる可能性がある」

 

「そういうことだ」

 

「了解した。我が部隊が今度こそ排除しよう」

 

「頼んだぞ。バーンズ将軍人類の未来の為に」

 

「…ふん。現状を把握出来ん馬鹿どもが、良い気になりおって」

 

「将軍。任務ですか」

 

「うん。カークスか、あの時群れに生き残りがいたそうだ。そいつらがDアイランドと接触する可能性がある為。阻止しにゆく」

 

「あの群れって、リカルドが突然倒れた時の奴ですか」

 

「そうだ」

 

「なら、あいつは外した方がいいかもしれません。あれ以来フェストゥムを殲滅する関連の任務かなり消極的です。相手に人がいるこの作戦にとなると尚更ダメでしょう」

 

「奴は我が部隊にとって貴重な戦力だ。宝の持ち腐れにするつもりはない。奴のやる気を起こしなんとしても参加させろ」

 

 

 

「体調はどうだ。リカルド」

 

「ダスティン。だいぶ良くなったよ」

 

「そうか、ビリーもだいぶ心配していた。今度また顔を見せてやってくれ」

 

「あぁ、そういえばビリーもうすぐ卒業なんだってな」

 

「…あの馬鹿は俺の気も知らないで」

 

「お前と肩を並べて一緒に戦いたいんだよきっと。あぁ見えてしっかりしてるじゃないか」

 

「茶化すなよ」

 

「本音を言ったんだよ。…誰か来た。またな」

 

「あぁ。リカルド死ぬなよ」

 

「勿論」

 

「最近この辺りの空は優れないよな」

 

「カークス。そうだな」

 

「任務だ。Dアイランドに接触しようとしているフェストゥムがいる。そいつらを駆逐する」

 

「必要なのか。その任務」

 

「なにが言いたい」

 

「【接触】ということは、そのフェストゥム達に戦う気は無いんじゃないのか。それに相手がDアイランドなら彼等の方が俺達よりも優れた軍事技術を持ってる。加勢の必要も無いだろ」

 

「何を言ってるんだ。駆逐対象にDアイランドも入っているに決まっているだろ」

 

カークスから出た思わぬ発言にリカルドは胸ぐらを掴んでいた。

 

「なんでだ。彼等も人間だろ、別に俺達人類軍に敵意だって持っちゃいないじゃないか」

 

「そんなのわからないだろ。俺達から隠れて隙を見て俺達を攻撃する可能性だって考えられる」

 

「2年前だってあの作戦に参加して共に戦った。北極ミールだって破壊したのは彼等だろ。敵対する意識が無いのは2年前にわかったじゃないか」

 

「共通の敵だから、作戦に応じたんだろ。聞けば再三参加要請を拒否してたそうじゃないか。それに敵対する意識が無いなら何故あの後姿を消したんだ」

 

「俺達がこれまで彼等にしてきた仕打ちからしたら当然じゃないか。彼等の故郷を焼き、それでもなんとかして生きようとDアイランドを造り命かながら築いた技術を我々に奪われ、占領までした。俺達人類軍を信用出来ないのは当然だ」

 

「そう。だから憎しみの火種を抱えたあの島の技術は危険であり、フェストゥムと共闘するようなことがあれば…わかるだろリカルド」

 

「彼等はそんなことしない」

 

「なぜ、そう言い切れる。Dアイランドと関わったことのないお前が」

 

「それは…」

 

逆に胸ぐらをカークスに掴み返される。

 

「いい加減その偽善染みた発想をやめろ。お前のそのお気楽な考えでここにいる誰かが死ぬんだぞ」

 

「本気で言ってるのか、俺の考えが本気で偽善だと思うのか、カークス」

 

「目を覚ませリカルド。俺達人類軍はこの世界を守る為に、フェストゥムを殲滅するんだよ」

 

「違う…違うよカークス。軍隊ってのは力の無い人々を守る為にあるんだ。相手を滅ぼすために存在しているんじゃない」

 

「敵を滅ぼせば全て終わる」

 

「ダメだよそんなの、憎しみは新たな憎しみを生む。それでは何も解決しない」

 

「その力で処刑されないからってあんまり調子に乗ってると俺がお前を殺す」

 

「カークス…」

 

リカルドはその言葉に衝撃を受け膝から崩れ落ちた。

 

「お前には、爆撃部隊が確実に作戦を遂行出来るように参加してもらう。あてにしてるぜお前の先を読む力」

 

「…」

 

「大佐は奴らに殺されたこと忘れてんじゃねーぞ。馬鹿野郎」

 

一人取り残されたリカルド。

 

(フェストゥムどころか、人1人説得することも出来ない。なあ、どうしたら良いんだ俺は…)

 

次第に強まる雨の中彼はその場にうずくまった。

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