IS 月華の剣士   作:雷狼輝刃

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 零也VS千春の話ですが前後編に分けました。



 追記
 申し訳ありません。予約投稿の設定を忘れて第11話が間違って公開されてしまいました。

 取り下げました。


第9話  十六夜VS白鋼 前編

 

 

 「いくぞ十六夜!」

 

 零也がそう呟くとチェーンブレスレットが輝き、零也の体を覆っていく。

 光が収まると、そこには完全装甲型でありながらもスタイリッシュな姿をした藍色のIS【十六夜】を纏った零也がいた。

 零也はピットにあるカタパルトに進み乗りこむ。すると、まるでカタパルトに乗ったことに連動するかのようにディスプレイにメールが届くのだった。

 

 「メール? 誰からだろう?」

 

 メールを開くと、そこにはなのはとすずかからの音声データが流れてきた。この試合の事を聞き付けて試合開始前にメールを送るように設定していたようだ。

 

 

 『ヤッホー。零也君、元気~! 試合頑張ってね!』

 

 『零也、ムチャしないでね。怪我しないでね。』

 

 短いメッセージだけど、それは零也の力となった。

 

 「頑張るよ。なのは姉、すずか姉。」

 

 

 

 さてここで、1つ説明することがある。すずかとなのは、二人は零也と紫、そして雫にとっては叔母にあたる。しかしは二人のことを叔母とは呼ばずに姉と呼んでいる。  それにはちゃんと理由があるのだ。

 雫の場合は生まれた時はまだ二人は若く叔母と呼ぶのは可哀想と忍と恭也が姉と呼ぶように教育していた。

 しかし、零也と紫が引き取られた時に忍が悪ふざけで

 

 「この娘はすずか、私の妹で貴方達から見れば、そうね・・・・・叔母さんになるのかしら。」

 

 そう言われて二人がすずかのことを叔母さんと呼ぼうとした瞬間、恭也に目を塞がれた二人。

 その態度を不審に思った忍がすずかの顔を見た瞬間に絶句して固まり顔を青くした。

 

 「お姉ちゃん、少しO☆HA☆NA☆SHI☆しようかしら?」

 

 そう言って能面のような笑みを浮かべて忍を引きずって行ったすずか。 何が起きたのか分からない二人に恭也はすずかのことを姉と呼ぶように勧めた。

 ちなみに忍がこの時どうなったのかは恭也の口から語られる事は無かった。   すずかはこの時零也達にお姉ちゃんと呼ばれた事で、メロメロとなったのだ。

 そしてその流れでなのはの事も姉と呼ぶようになった。 

 もっとも美由希に関しては何故か姉と呼ばれる事は1度たりともなかった。

 

 

 

 やがて真耶から連絡がくる。

 

 『カタパルトとの接続を確認しました。発進のタイミングは月村君にお任せします。』

 

 「わかりました。月村零也、十六夜出ます!」

 

 掛け声と共にカタパルトから勢いよくアリーナに向かって飛び出す十六夜。

 

 アリーナに出ると、そこには白鋼を纏った千春が少し覚束ない感じの、不安定な姿勢で浮いている。

 

 千春は白鋼を受け取った日は千冬指導の元、涼子と訓練していたが、それ以降は一人で訓練していた。というのも、最初は箒に一緒に訓練しようと誘ったのだが、

 

 「馬鹿者、決定戦で戦う者同士が一緒に訓練してどうする? 八百長を疑われる可能性があるだろ!」

 

 そう叱責されて断られた。 箒以外の誰かに頼むという選択肢を自分で出せなかった千春は、結局一人で最初に教わった基本的動作の復習と、竹刀を使った素振りをするだけだった。

 その基本的動作も、動作の要点を教えたり、悪い箇所を指摘したりする人がいないので、どんどん我流となっていった。 

 その結果が、空中での待機姿勢が安定しない千春の姿だった。  ちなみにこの事を見守っていた涼子から報告を受けた千冬は盛大な溜め息をつき、頭を抱えたのだった。

 

 

 一方、千春とは対称的にお手本のような待機姿勢で空中にとどまる零也。 既に両腰に鞘に納められた小太刀を装着し、右手には複雑な形状をした銃らしき物を握っている。

 そんな中、千春は

 

 (えっ?!相手も完全装甲型? しかもなんか俺のと違ってシンプルというかスタイリッシュだな・・・・そういや俺、対戦相手の月村とかいう男の顔見たことないな。千冬姉から落ち着くまで接触するなと言われだけど・・・・コイツの存在が俺のハーレム生活に影響を及ぼす可能性もあるしな。よし、この試合で俺がぶちのめして見せ場を無くしてやる!)

 

 そんな事を考えながら千春は試合開始の合図を待つ。

 

 

 

       そして

 

 『これより1年1組織斑千春対1年3組月村零也の特別模擬戦を開始します。』

 

 開始のアナウンスと同時にブザーが鳴り、試合が始まる。

 

 「よし、先手必勝!」

 

 そう言って千春は腰から夾竹刀を抜いて零也に向かっていく。 ただし、その速度はお世辞にも速いとは言えない。 本人は全速で真っ直ぐ向かっているつもりなのだろうが、姿勢は上下左右にぶれていた。

 対する零也は千春の動きを見極めて、右手に持っている十六夜の第3世代兵装の1つである【カレトヴルッフ】の銃口を向けてトリガーを引く。

 そこから放たれたのは銃弾ではなく、無数の細長い針のような物だった。 

 

 十六夜の第3世代兵装の1つ、マルチウェポンツール【カレトヴルッフ】。 複数の機能を1つに纏めた特殊武装である・・・・もっとハッキリと言えばなのはの暴走の結果出来た武装でもある。 十六夜に搭載する武装の候補が多すぎて絞り込めなかった時になのはが

 

 「それなら全部1つにしてしまえば良いのよ。」

 

 と言い出して作り始めた結果がこれである。 高周波ブレードにネイルガン、プラズマカッターにビームガンと他にも幾つかの機能が1つとなった武装である。

 無論、多機能兵装が特長というだけでは第3世代兵装と言えないだろう。 カレトヴルッフは隠された機能があるのだ。

 

 

 千春は突然自分に向かって放たれた針のような物に驚く。 回避運動をとれる訳もなく、針はそのまま白鋼の装甲に次々と刺さっていく。 

 

 (カレトヴルッフのネイルガン、速射性能と反動の少なさは聞いた通りだね。威力もまあまあかな、ただ飛針とちがって微妙なコントロールは難しいな。)

 

 カレトヴルッフのネイルガンモードの性能評価をする零也。

 

 「クソッ! えっと、さ、防守!」

 

 次々と針が刺さることに慌てた千春は左肩を前に出して防守で防御する。 防守が回転することによって、針は刺さらず弾かれていく。 

 防守の裏側に身を潜めてひたすら攻撃に耐える千春。

防守に当たる針の音が途絶えた事で千春は弾切れと判断し、先程まで零也がいた場所に向かって飛び出して行った、しかし

 

 「今度は俺の・・・へ?! いない?」

 

 だがそこに零也の姿はなかった。 もしこの時千春がハイパーセンサーを確りと使えたのなら或いは気づく事が出来たのかもしれない。 だがこの時の千春には、まだそこまで出来ていなかった。 だからこそ

 

 「グベッ!!!」

 

 千春は背後から、息が止まる程のとてつもない衝撃を受けた。 千春には見えていないが、そこには零也がおり二本の小太刀位の大きさのブレードに分割したカレトヴルッフで斬りつけていたのだ。

 

 (カレトヴルッフのツインブレードモード・・・入学直前まで調整してもらったけど、全体のバランスがまだ少し悪いな。振り・打点にズレが出てる。やはり、こいつで奥義を使うのは難しいな。)

 

 カレトヴルッフ・ツインブレードモード・・・零也がなのはに頼み追加して貰った機能で、愛用の二刀一対の小太刀【朱月】と同じ刃渡りの小太刀してもらったのだ。

 

 しかし、入学前迄に行われた訓練の中で幾度か刃の重心・グリップの形状・全体のバランス等を調整してもらったのだが、入学前で時間がなかったのも去ることながら、あくまで機能の1つである為に小太刀そのものを再現することは出来ず、多少不満の残る形となった。

 

 「クソッ、いつの間に後ろに卑怯だぞ! へ?! グベッ!!」

 

 千春が振り向くが、そこには零也の姿はなく再び背後から衝撃が襲う。 

 零也は古流剣術【永全不動八門一派 御神真刀流 小太刀二刀術】通称【小太刀二刀御神流(もしくは御神流)】を修めている。

 その中には相手の相手の死角に潜む技もあるのだ。

 

 

 

 

 

 

 管制室

 

 「小太刀か・・・・しかも二刀か、珍しい物を使うな。しかも中条流や富田流とは違うようだな。」

 

 千春の死角に移動しながら斬りつけている零也の姿を見ながら千冬は自分の知る小太刀の流派の名前を呟く。

 そんな中、箒は考えていた。

 

 (小太刀、二刀、何処かで聞いたような・・・・・)

 

 「それにしても、何故ああまで織斑さんは零也さんに翻弄されているのでしょうか?」

 

 セシリアの疑問に答えたのは管制室で観戦していた楯無だった。

 

 「零也は織斑君が振り向く方向を誘導しているのよ。方法は秘密だけどね♥」

 

 「そんなことが出来るのですか?」

 

 箒の疑問に楯無は

 

 「零也は出来るの。というか彼の流派の人間なら容易い事よ。」

 

 (もっとも、カレトヴルッフのツインブレードモードが納得いくもので無いから扱いに苦労しているみたいだけど。其処は訓練を重ねて馴れていくしかないとは思うな。)

 

 零也の動きを見ながらそう評価する楯無。生身での実力ならば圧倒的に零也が上回っているのだが、ISに関してはまだ楯無の方に分がある。もっとも、そのリーチもそう遠く無い日に埋るどころか追い越されると感じてはいる。

 

 「更識、月村は何流の使い手なのだ?」

 

 「恐らく、ご存知無いとは思います。あまりメジャーな流派ではないので。」

 

 「お前と旧知という事はやはり、そういった流派なのかだろう。まあ詳しく語る事は出来んと思うから聞かんが、流派名だけでも聞かせてくれんか?」

 

 更識家の事を其なりに知っている千冬は箒や、セシリア達の手前もあり詳しく聞くことを避けた。

 

 「・・・・・そうですね、流派名なら。永全不動八門一派 御神真刀流 小太刀二刀術、通称御神流。それが彼の修めている流派です。」

 

 それを聞いた瞬間、箒の脳裏に自分が幼い頃に父親が言っていた事を思い出した。

 

 (御神流・・・・・何処かで・・・・?!。そうだ、父さまが昔言っていた!)

 

 「さ、更識先輩!御神流とは、もしかしてあの御神流ですか!」

 

 「ん? 篠ノ之は知っているのか?」

 

 千冬は箒が御神流の事を知っている事に驚き聞こうとしたのだが、

 

 「あっ?! 織斑君が!」

 

 真耶の声にアリーナの方に意識が向く。そこでは

 

 

 

 

 

 アリーナ

 

 千春はずっと零也の攻撃に翻弄されている。背後から攻撃されて、視界の端に零也らしき姿を目撃し慌ててそちらを向くが、そこには零也の姿はなく再び背後から攻撃を受ける。 その繰り返しだった。

 既にSEは4割を切っていた。

 

 (クソッ、何なんだよ! アイツ、俺と同じ初心者かよ? 何で俺が一方的にやられてんだよ!何か卑怯な手段でも使っているのか? オリ主で、千冬姉の弟である織斑千春(おれ)が、こんな展開にされるはずがない!」

 

 一方的な展開にイラつき、自問自答する。

 

 「あぁぁーークソッ!こうなりゃ奥の手だ!」

 

 しびれを切らした千春は、白鋼の切り札を使う事にした。 そう、白鋼の第3世代兵装を。

 

 

 「いくぞ! 白鋼甲殻、発動!!」




 
 
 第3.5世代型IS【十六夜(いざよい)】(外見:シビリアンアストレイ)


  月村重工が作り上げた完全装甲型の第3.5世代型のIS。 
 御神流の技をISを装着した状態でも完璧に扱えるような機体を目指しすずかとなのは、そして外部協力者の技術が集結して完成した。
 思考同調型特殊AI【ダンピール】と部分展開装甲により御神流を完全に扱えるようになっている。


 武装
小太刀【紅月】:零也の愛刀である二刀一対の小太刀【朱月】をベースとして刀鍛冶によってIS用として打たれ鍛え上げられた小太刀。特殊な能力は無いものの、零也と御神流の技によりISの装甲を断ち切る事が容易である。

飛針:御神流で普段から使われている投擲武器のIS版。ニードルのような細長い形状のものからクナイのような形状のものまである。また飛針のなかには爆薬が仕込まれているものもある。

ワイヤー:これも御神流で普段から使われている物で、拘束を目的とした太い物から切断を目的とした細い物と多種多様のワイヤーが装備されている。

格闘戦用補助装甲【紅玉】:格闘戦用の補助装甲。両手両足に装着されており、これを用いて格闘戦をしても自機のSEが減ることは無い。

多機能型突撃銃【紅炎(こうえん)】:グレネード・スモーク弾・小型ミサイル等の複数の機能を搭載した突撃銃。また通常弾以外にも炸裂弾・徹甲弾が装填されている。
 
第3世代型兵装【カレトヴルッフ】:1つで複数の形態に変型するマルチウェポンツール。 高周波大剣・ネイルガン・ツインブレード・プラズマカッター・ビームガン・インパクトハンマー(ドリル)が現在搭載されている。ちなみにこれ以外にも機能が追加される予定となっている。

第3世代型兵装【万雷(ばんらい)】:正式名称はビームエネルギー放電装置。左右の掌にある放出口よりビームエネルギーを放出してビームブレード・ビーム砲・ビーム光球・ビームグローブ等に形態を変化させる武装。ただし、エネルギー消費量が多いため多用できない。
 余談になるが、なのは曰くビーム砲を使用する際には『ディバインバスター』というトリガーキーが必要とのこと。

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