IS 月華の剣士   作:雷狼輝刃

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すいません短いです。


第12話  試合後の出来事

 

 

 

 第1アリーナ Aピット

 

 ピットに戻ってきた千春は苛ついていた。

 自分が物語の主人公だと思っている千春は、今の試合で自分が活躍する処か無惨な姿を晒して負けた事が納得出来なかったのだ。

 

 (クソッ、クソッ、クソッ! 何でアイツが勝つんだよ! 主人公である俺が、どんなに不利な状況でも華麗な逆転劇を見せて、勝つのが本当だろ! 何で俺が負けるんだよ!! )

 

 千春は手に持っていた水の入ったペットボトルを苛つきに任せて床に叩きつける。 

 ペットボトルは鈍い音をたてて、床で跳ね返り、そのまま入り口まで転がっていく。

 ペットボトルが入り口の扉にぶつかると同時に扉が開き千冬が入ってくる。 一歩踏み出した時、足がペットボトルがぶつかる。

 

 「フン、どうやら負けたのが納得いかずに荒れているようだな。」

 

 千冬はペットボトルを拾うと、そのまま進み近くのテーブルにペットボトルを置く。その眼光は冷たくそして鋭く、千春の状態を一目で見抜き指摘する。

 

 「ち、千冬姉・・・・・」

 

 千春はそんな千冬の視線に耐えきれず、顔を背けて黙り混む。

 

 「図星か。 言っておくがお前は負けるべくして負けたのだ。決して月村の勝利はまぐれでも何でもない。」

 

 自分の擁護をしてくれる、慰めてくれると思っていた千春は、全く正反対の言葉を告げる千冬に唖然とした。

 

 「お前はこの1週間の間いったい何をしていた。 ISを受領した初日以降、何をしていた。ISの訓練はどうやってしていた? 誰かに指導してもらうように頼んだか?」

 

 千冬の問いかけに

 

 「剣道の練習と、ISの自主訓練・・・・一人で初日に習った事を繰り返していた。 箒に頼んだんだけど、対戦相手と訓練したら八百長を疑われるから断られた。」

 

 千春の答えに顔をしかめながら

 

 「篠ノ之の言うことは正しい。」

 

 そう言うと千冬は今の試合の中での千春の問題点を幾つも指摘していった。

 

 「・・・・といった具合に、問題点を挙げればきりがないが、少なくとも初日に教えた基本的動作を自己流で反復練習せずに誰かにコーチを頼んで、やっていれば少しはマシになっていただろう。 何故、篠ノ之に断られた段階で私や山田先生に相談しなかった?」

 

 千春は千冬に言われて、千冬や真耶に相談という手段に初めて気がついた。 

 千冬はこの時あえて試合までの間に、千春が涼子に頼ってきたらコーチをしてもらうように、頼んだ事は口にしなかった。 

 そもそも涼子に頼んだのは、あくまでもクラス代表決定戦までの間の期間限定のコーチなのだから。

 

 「今日のところは機体を整備室に持っていきチェックしてもらえ。破損はそこまで酷く無いと思うが、倉持に運んでパーツの交換と整備、それから試合のデータを元にした調整をしてもらう事になるだろう。」

 

 千春は千冬の話を聞いて驚く

 

 「えっ? ここで修理とかしないの?」

 

 「まず、お前の機体の予備パーツが届いていない。倉持もまさかこんなに早く破損させるとは考えていなかったようで細かい部品しかない。それにお前の機体はデータ収集が急務だ。何かあればすぐにメーカーに戻して修理や調整をしなくてはならない。整備室には倉持の担当者である佐崎研究員が来ている。見てもらえ。」

 

 「は、はい。」

 

 「それからクラス代表に関しては私と山田先生が協議して決める。それからISを使った訓練に関してだが、学園上層部に、暫くの間誰かをコーチにつけてもらえないか掛け合ってみる。私がコーチをするのが1番早いのだが、如何せん一人の生徒にマンツーマンで私がコーチするとなると色々と面倒になるのでな。」

 

 千春のコーチの事が上層部の会議で決まる事になるとは、この時点で千冬は知るよしも無かった。

 

 「アリーナの使用期限時間も迫っている。織斑は早く整備室に向かえ。」

 

 「・・・・・・・わかりました。」

 

 千春は千冬に促されて整備室に向かうのだった。

 

 

 

 

 

 Bピット 

 

 既に着替えを終えて、整備室で虚に十六夜のチェックをしてもらっている零也達。

 

 虚は在学生では珍しく、国際資格である第1級IS整備技師の資格を持っている。通常、整備科の生徒達は卒業までに第2級IS整備技師又は準2級IS整備技師の資格試験を受けて合格できればよいほうで、殆どの生徒が第3級IS整備技師の資格取得にとどまっている。

 だが虚は3年進級と同時に準1級、第1級の資格試験を受けて合格したのだ。

 

 妹の本音も第3級IS整備技師の資格を持っているが試験資格を満たしていない(年齢16歳以上等)だけで第2級IS整備技師と同等の技術を持っている。

 

 「目立つような大きな損傷はありませんし、パーツの磨耗も少ないです。 ただ各関節部への負荷が想定されている数値を若干上回っています。おそらく零也さんの御神流の技の威力が最初の設定値を上回っていた事が原因だと思います。ですが、ダンピールが今回の試合で学習したので、次からは修正されていくと思います。 とりあえずチェックデータを纏めて機体ごと月村重工に渡して、調整してもらう事になります。」

 

 虚が零也に告げる。

 

 「もう少し抑えようと思っていたけど、小太刀を握ったらスイッチが入ってしまってね。」

 

 零也は御神流の剣士として自分がまだ未熟だと恥じた。

 

 「兎も角、月村重工の方に連絡して機体を取りに来てもらう必要があると思います。」

 

 虚がそう言うと同時に、まるでタイミングを計ったかのように扉が開き、オータムが一人の女性を伴って入ってきた。

 

 「月村、お前に客だ。」

 

 オータムの隣にいたのは零也達のよく知る人物だった。

その人物を見て零也と紫は咄嗟に身構えるが、

 

 「零也~♥ 紫~♥ 会いたかったよ~~~♥」

 

 二人に向かって突進したきた女性は二人をあっさりと抱き込むと過剰といえるまでのスキンシップを始める。

 

 「ん~~~~♥♥♥♥、二人に1ヶ月以上も会えなくて寂しかったよ~♥」

 

 女性は二人を抱き締めたままスキンシップを続ける。

 

 「ーーーー! ちょっとーーし、雫姉さん、少し落ち着いて! い、息が、」

 

 「ん~~~~ー!」

 

 女性・・・・零也達の姉である月村雫の抱擁から逃れようともがく零也と紫、二人は雫の胸に顔を押さえつけられて苦しむ。

 たった一人で二人を押さえ込む雫。これだけでも雫の技量が二人を上回っているのが解る。

 

 「雫、その辺りにしておいてください。二人が本当に落ちますよ。」

 

 シュテルが雫に声をかける。

 

 「不足していたレイヤニウムとユカリニウムの補給が終わって無いんだけど。」

 

 「「「「「何それ?」」」」」

 

 雫の言い分に全員がツッコミを入れるのだった。

 

 「と、兎も角、雫姉さんがここに来たという事は雫姉さんが十六夜を回収に?」

 

 「ん、二人に逢いにくるついでにね。」

 

 「「「「「回収がついでになの?!」」」」」

 

 再びツッコミがはいる。

 

 「という訳で零也、十六夜を渡して。」

 

 雫に言われて零也は十六夜の待機形態であるチェーンブレスレットを渡す。受け取った雫はジャケットの中に着ているベストのボタンを外して、ベストの内ポケットからスチールケースを取り出して蓋を開き、その中に収める。

 ケースを閉じると無数のロック音が響く。そしてそれを内ポケットに戻しボタンを留めると、そこからもロック音がする。 更にベストのボタンを留めるとまたロック音がする。

 

 「もしかして雫姉さん自体が金庫に?」

 

 「そうよ、ケース・ポケット・ベストそれぞれに複数のロックが掛けられて簡単には解除できないわ。何より私が運ぶんだから。それに移動に使う車は母さん特製のワゴン車に運転手はノエルに、護衛として父さんがついているの。」

 

 零也の問いに答える雫。 ある意味最強の布陣だ。

 

 「さて名残惜しいけど、早く戻らないと仕事もあるし、これを片付けないとGWに休みを貰えないのよね。」

 

 そう言って雫は肩をすくめる。

 

 「それから紫、なのはさんが【天満月】のレポートの追加ヨロシクだって。」

 

 「えぇ~~~~ー!この間提出したばかりだよ。」

 

 「あれだけじゃ足りないんだって。」

 

 雫に言われて落ち込む紫。 【天満月】紫に渡された十六夜の同型機となる専用機だ。 

 零也と同時に渡されたものの、零也の十六夜のデータ収集と調整の方が優先された為に、2~3割程データ収集に差が生じてしまった。

 それを少しでも埋めるために紫には天満月を使用した時には可動データとレポートの提出が求められていたのだ。

 どうやら、それでも足りないらしく追加の提出を求められたようだ。

 

 

 

 

 




 
 

 第3.5世代型IS【天満月】 (外見:シビリアンアストレイ)


 月村重工が作り上げた完全装甲型のISで零也の同型機(機体カラー:紅桔梗)。 コンセプトはほぼ同じだが、武装に若干の違いがある。


 武装
小太刀【紅鏡(こうきょう)】:紫の愛刀である二刀一対の小太刀【飛輪(ひりん)】をベースとして刀鍛冶によって打たれたIS用の小太刀。

飛針:十六夜に装備されているものと同じ。

ワイヤー:十六夜に装備されているものと同じ。

格闘戦用補助装甲【紅玉】:十六夜に装備されているものと同じ。

ビームライフル【彩雲】:零也よりも射撃の才能もある紫の為に装備された突撃銃型のビーム兵器。

第3世代型兵装【シェキナー】:ジャイアントガトリング・ビームランチャー・ミサイルランチャー・パイルバンカー・インパクトドリルを1つに纏めた複合型特殊武装。

第3世代型兵装【七剣星(しちけんぼし)】:両腕に装着されている多機能型小型盾。右腕の盾には高周波ブレード・マシンガン・グレネードが、左腕の盾にはスタッグビートルアーム・ショットガン・思念誘導ナイフが内蔵されている。


第3世代型兵装【万雷】:十六夜に装備されているもと同じ。



 

 第3世代型IS【鈴鹿姫】(外見:30㎜シリーズ アルト colorパープル )


 更識ISラボが作り上げた完全装甲型の第3世代型IS。簪の専用機。 
 様々な局面に対応できる万能型を目指して作られた機体で最大の特徴は、局面に応じた装備に瞬時に変更できるシステム、第3世代型兵装【十二単】である。 またそれに対応できる為にラファールの5倍以上ある新型拡張領域【七色】がある。


 武装
第3世代型兵装【十二単】:局面に応じて外装・武装・パッケージを瞬時変えることの出来るシステム。 ただ全部変えるだけでなく部分限定での変更も可能。 現在実装されているのは通常形態の【ノーマルモード】近接戦闘モードの【フェンサーモード】長距離戦闘型の【スナイプモード】高機動型の【インパルスモード】重火器戦闘型の【バスターモード】

高周波薙刀【夢現】:刀身が高周波ブレードになっている薙刀。

ビームランチャー【春雷】:大型のビーム砲

多弾頭ミサイルポッド【山嵐】:多弾頭ミサイルを8発装填されているミサイルポッド。同時に6機装着できる。

三連機関砲【星屑】:3機のガトリング砲を1つにした大型火器。

炸裂式槍【破竹】:槍の先端部分が刺さると爆発する。先端部分は爆発すると新しい物が装着される。

ビームガン【晴嵐】:小型のビームピストル。

放電端子内蔵手甲【雷電】:格闘戦用の手甲で放電端子が内蔵されており相手に接触する放電する。

大型狙撃銃【烏】:ビームと徹甲弾を切り換えて射つ事のできる狙撃銃。

可変盾【夜叉】:複数のパーツで構成された盾。通常は小型盾のバックラー形態だが、パーツの組み替えによりカイトシールド形態、カタール形態、チョッパー形態、アームボウ形態になる。

射出式有線鉄拳【金剛】:サブアームとして両肩に装着される鉄拳。右腕はスパイク鉄球、左腕はシザーアームとなっている。射出して離れた敵に命中させる。特殊ワイヤーで接続されており巻き戻す事が出来る。ちなみにこの武装は簪発案の物。





【ノーマルモード】:鈴鹿姫の基本形態。背中に可動式ブースターを装着した状態。 専用の装備は特に無し。


【フェンサーモード】:近接戦闘に特化した形態。両腕と両脚、胸部、肩部に追加装甲が装着され、更にキャタピラブレード(ローラーブレードのキャタピラ版)が装着される。 基本的に金剛はこの形態の時に使用する。


【スナイプモード】:長距離戦闘に特化した形態。胸部にリアクティブアーマーが装着され、頭部にセンサーと望遠カメラが追加される。更にAI制御されている2機の小型シールドが浮遊している。また可動式ブースターユニットが脚部に装着され背中に小型ウイングブースターが装着される。


【インパルスモード】:高機動に特化した形態。背中にウイングブースターユニットが装着され、可動式ブースターユニットが両肩に。更に両脚に小型ブースターが装着される。


【バスターモード】:重火器戦闘に特化した形態。全身に装甲が追加され、2門のガトリングキャノンが装着された専用バックパックを装着。両肩に同じく専用の可動式の盾を装着。加重した分、落ちた機動性を補う為に両脚にキャタピラブレードと小型ブースター、バックパックに可動式ブースターユニットが装着される。









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