ひさびさに主人公登場。
何時も誤字脱字の修正ありがとう御座います。
この場を借りて御礼申しあげます。
中国 ISトレーニングセンター
2人の女性が大型モニターの映像を見ている。
IS学園で行われている学年別クラス対抗代表戦の中継を見ているのだった。 そう自国の代表候補生の鳳鈴音と織斑千春の試合だ。
本来なら他の代表候補生や訓練生も集めて見る予定だったのだが、2人が万が一の事を考えて、この事を内密にして代表候補生や訓練生には見せずに政府役人と1部関係者のみにしたのだ。
しかも1箇所に集まらずに複数の場所で。
色々と理由付けもした。もっとも最大の理由は鈴が無様に負ける姿をあまり多くの人の目に晒さない為だったのだが、その予想は大きく裏切られた。
これは2人に取っては良い意味での予想外の出来事だった。
「驚いたわね、あれが鳳代表候補生なの?」
楊の言葉に隣で見ていた李は
「乗っていたISは間違いなく甲龍だから、間違いないわ。でも、あの娘があれだけ多彩な武器を使いこなす何て。」
「確かに直前のオーバーホールの時に改修すると同時に鈴本人には内密に幾つかの武器を拡張領域に入れて置いたけど···」
2人が驚くのも無理はなかった。中国を出るまでの鈴は衝撃砲に絶対の自信を持っておりそれ以外の火器は勿論の事、お気に入りの双天牙月以外の武器には見向きもしなかったのである。
「衝撃砲も開始直後に崩拳を使っただけ、後は方天雷牙と黒龍を使って相手を圧倒したわ。勿論、対戦相手の技量を差し引いても驚くべき成長だわ。」
李は自分が指導していた時の問題児の驚くべき変化に戸惑っていた。
「そうね、相手が専用機持ちとはいえ初心者同然の素人、それを差し引いたとしてもあそこまで完封して勝つことが出来るなんて、日本に行って1週間。何があったのかしら?」
楊も同様に考えていたようで鈴の変わりように戸惑っていた。 だがそれは嬉しい誤算でもあった。もともと才能を秘めていた鈴。
だからこそ、短期間で代表候補生になり専用機持ちにもなった。
だが、そこで鈴は慢心してしまい、その後の成長は著しく落ちていった。 周囲の心配を他所に鈴本人は気づかず気にすることなく時は流れていった。
楊や李からすれば伸び代がまだまだあるのに、歩みを止めてしまっている鈴の事が歯痒く、幾度となく注意し指導したのだが、届く事がなかった。
なのに日本に行って1週間で、この変わりように本当に驚くしかなかった。
「日本に行って、何を体験したのかはわからないけど、僅か1週間でここまで成長するなんて、これなら本当に私の後を任せられるかも知れないわね。」
李は勝者のコールを受ける鈴の姿を笑みを浮かべて見ていた。
だが次の瞬間、異変が起きた。
中継を映していたモニターが急に眩ばかりの真っ白い光を放ったかとおもえば、映像が途切れて何も映さなくなった。
突然の事態に驚く2人。だが楊は直ぐにスマホを取り出すと何処かに電話をかけ始め、李はモニターに接続されているPCを操作する。
「他の会場でも同じように映像が途切れたそうよ。」
「色々操作したけど、駄目だわ。こちらの機器の問題ではなく、中継している機器か、送信元の方のトラブルみたいね。」
受信している中国側ではなく、途中で中継している衛星やアンテナの問題、もしくは送信しているIS学園側の問題だと。李は判断した。
「いったい何が?」
日本 IS学園
その異変は、鈴の勝利を告げるアナウンスが流れた直後にも起きたのだった。
管制室で試合を観戦していた千冬は、千春が負けたのを見てため息をつき
「やはり負けたか。たかだか1週間で代表候補生との実力と経験の差が埋まるとは思っていなかったが、こうまでも完封負けするとは。これは実力云々の前に本人の心構えにも問題があったようだな。」
「この結果を受けて国際IS委員会は、どう対応してきますかね?」
真耶の言葉に千冬は
「連中とて、短期間で成果がでるとは思ってないさ。次の学年別トーナメントにそれなりの成果を出せば問題無い。ただ」
千冬は最後に言おうとした言葉を飲んだ。それを口にするのは本人も少々不味いと感じていたからだ。
アリーナでは、千春が担架で運ばれて行ったところだった
(月村零也と比較された時が大きな問題になるだろうな)
そう千冬が考えていた時だった。
ピー ピー ピー ピー
管制室の警報機がけたたましく鳴り響く。その警報音に真耶が慌てて計器を操作すると
「学園のレーダーに反応あり、IS学園の上空5000mに未確認の機影を探知。これより対象に警告を与えます。」
「何?! 教員部隊は出撃し非常事態に備えよ。万が一に備えてアリーナの外部防御シールドの出力を最大に!」
真耶は千冬と管制室にいる他の教員達に報告すると、直ぐに所属不明機に警告を出す。
千冬は万が一に備えて待機していた教員部隊に出撃を命じ、殆どの生徒が集まっているアリーナの外部防御シールドの出力を上げて万が一に備えるように指示を出す。
4方を海に囲まれた人工島の上に建てられたIS学園。
その特殊さ故に、IS学園島を中心として周辺2kmは船舶の航行は勿論の事、その上空も飛行禁止空域に指定されているのである。
なのに事前の通知もなく探知されたという事は、少なくとも友好的な相手ではないという事だ。
「駄目です。こちらの警告に答えま?! 機影より高エネルギー反応、並びにレーザーサイトの照射を確認、目標は第1アリーナ、ここです!!」
「第1アリーナの防御シールドの出力最大に! アリーナ内部に警告を! 教員部隊は直ぐに第1アリーナに!」
千冬が次々に指示を出すが、
「機影から熱源を感知!来ます!!」
少し間に合わなかった。 真耶の声と同時に轟音と共にアリーナが激しく揺れ、アリーナの天井が爆発するのだった。
アリーナでは、勝利コールを受けた鈴が観客の声援に答えていた。 一方千春は気を失っているのかISは解除されて動く気配がない。 救護班が出て来て千春を担架に乗せて運んでいく。
それを見送り、自分もピットには戻ろうとした時だった。
ビー ビー ビー ビー ビー
アリーナ内部に、けたたましく警報音が鳴り響く。
突然の警報音に驚く観客席の生徒達。 一方鈴は警報音に驚きながらも、直ぐに管制室に連絡を取ろうとした。
たが、その前に轟音と共にアリーナ全体が大きく揺れるのだった。 そして天井部分が爆発した。
直前に鈴はアリーナの観客席間際の壁まで退避してした。
アリーナに煙がたちこめる。 だが異変はそこで終わりではなかった。
ズゥゥゥゥーーン
低く響くような音と振動で、何か重量があるものがアリーナのフィールドに落ちてきたのがわかった。
やがて煙がはれてくるとフィールドの中央にコンテナのような金属製の箱があり、その箱の上に1対の羽のような物を付けたラファールを纏った女性がいた。
そして左手にはフラッグを手にしていた。
そのフラッグを見て鈴は顔をしかめる。何故ならそのフラッグに描かれているエンブレムは、あまりにも悪名高い女性権利団体のシンボルマークだったのだ。
「私は、虐げられしか弱き女性達を救う救世の組織【リリーエンジェル】より遣わされし天使騎士!」
そう告げる女性は顔に銀色の仮面を被っており顔をわからないようにしていた。
「我々リリーエンジェルはIS学園に対して再三にISを穢せし罪人たる2人の男性の引き渡しを求めていたにも関わらず、それを無視してきた。故に今回実力行使に出る事にした。」
女性がそう言うとコンテナの扉が開き、2体のロボットのような物が出て来る。 両手が3本爪で1つ目のロボット(外見ズゴック)と両手が鋭い5本爪で1つ目のロボット(外見ゴッグvarサンダーボルト)だ。
「今引き渡せば他の者には危害を加えません。ですが、逆らえば?!」
女性がそう言っている最中にフィールドと観客席を遮るように10m程の鋼鉄の壁が現れるのだった。
そこに千冬から鈴に通信が入る。
『鳳、よく聞け。先程のアリーナへの攻撃でシステムの1部に障害が発生して観客席の出入り口の隔壁がおりた。そこで専用機持ち達に隔壁の破壊を命じた。更にアリーナの外にもそこにいるようなロボットが数台現れた。そちらの対処に教員部隊と2年生と3年生の専用機持ちを向かわせた。』
千冬から早口で伝えられる情報を素早く認識する鈴。
「つまりは隔壁が開放されて生徒たちが避難するまで時間を稼げばいいんですね?」
『同じ生徒であるお前に頼むのは心苦しいがすまん。』
「心配御無用です。私は中国の代表候補生です。このような任務も代表候補生の役目です!」
鈴はそう答えながら自分が今からすることを素早く確認する。
(最優先事項は時間を稼ぐ事。外にも外敵がいる以上は避難先はアリーナ地下シェルター、おそらく5分から10分。)
鈴は残弾のない黒龍を拡張領域に戻すと、1番使い慣れている双天牙月を取り出して構える。
「どうやら私達の慈悲を無駄にするようですね。ならば遠慮はしません。その命を持って罪を償いなさい。」
女性の言葉と同時に2体のロボットが動き出す。
Bピット待合室
零也、紫、シュテルはモニターでアリーナでの出来事を見ていた。
「どうしますか零也。」
「鈴1人では危ない、援護に行かないと。」
「でも、相手の目標に兄さんがいるのよ?」
「だからこそ行くんだ。俺が行くことで避難するための時間稼ぎにもなるしな。」
「ですが零也、織斑教諭からは隔壁の破壊を命じられましたが?」
「ここからだと、隔壁の反対側から破壊しないといけないから逆に危ない。」
「観客席にはセシリアと箒と簪の3人がいるから、何とかなるか。」
「よし、管制室に連絡しよう。」
そう言って零也は管制室に連絡をとる。
『どうしたの月村君? 何かあったの。』
通信用のモニターにスコールが出た。そこで零也は自分達が鈴の援護に向かう事を説明する。
『······確かに、反対側からの隔壁の破壊は危険だし、時間稼ぎも出来るわね。ちょっと待ってね。』
スコールは零也の提案を聞いて、音声だけ遮断して千冬と相談をはじめる。
やがて
『わかったわ。でも決して無理はしないで時間稼ぎに徹してちょうだい。』
スコールがそう言うと零也達は
「「「わかりました。」」」
通信を終えると零也は紫とシュテルと打ち合わせをする。
「俺と紫が前衛で、シュテルは後衛。避難の為の時間稼ぎが優先事項だけど、可能なら対象の無力化。」
「「わかった。」」
「よし、行こう!」
3人はISを装着してアリーナに向かうのだった。
第2,5世代型IS レイスタ改・星光
(外見:レイスタ)
高町シュテルの専用機。 零也の護衛任務を請負ったシュテル用に学園が手配した機体。当初はラファールの予定だったが月村重工から零也の護衛役の為ならと、特別に零也達の機体のベースとなったレイスタを提供し、シュテル用にカスタマイズした。
武装
多機能突撃銃【紅炎】:十六夜に装備されている物と同じ。
ハンドガン【闇鴉】:銃身に追加装甲を施した大型拳銃。打撃にも使える。
コンバットナイフ【夕星】:IS用に作られたコンバットナイフ。スカートアーマー内部に収納されている。
ガンブレード【千本桜】:高周波ブレードとレーザーガンを一体化した武器。
ルガーランス【飛燕】:荷電粒子砲を内蔵したランス。エネルギーカードリッジを採用しており、機体のエネルギーを消費することが無い。
試作型ビームランチャー【星彩】:高出力ビーム兵器の試作型として作られた。ただし、その威力故に競技での使用は禁止している。
第2世代型IS ジムカスタム・シャークマウス
(外見:ジムコマンド)
紫堂涼子の専用機。 数ある学園の訓練機の中でも、IS発展初期の頃から完全装甲型にこだわっていたアナハイム社の第2世代型ジムを選んだ。 完全装甲型という事で、これまで学園の訓練機の中では不人気で倉庫で埃を被っている状態だった。 どういう訳か涼子はこれを選び、カスタマイズしてもらい、更に肩にシャークマウスを描く。
武装
ジムマシンガン:プルパップ式のマシンガン。
ジムライフル:アサルトライフル、単発・セミオート・フルオートに切り替えが出来る。また銃弾も徹甲弾・炸裂弾・通常弾と使い分けが出来る。銃口部分に銃剣を取り付ける事が出来る。
多連装ロケットランチャー:4連装のロケットランチャー。
ビームスプレーガン:ハンドガンタイプのビーム兵器。
アナハイム社ではビームの収束率を上げる事が難航していた。その中で作られ、射程距離は短いものの、最低限の威力を出したので採用された。 なお、この銃口にもシャークマウスが描かれている。
ショートシールド:左腕に装着されている小型の盾。パイルバンカーを内蔵している。
コンバットナイフ:高周波ブレードのコンバットナイフ、腰のスカートアーマー内部に収納されている。
手榴弾:スカートアーマー内部に収納されている。